【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、線維芽細胞成長因子
(Fibroblast growth factor、以下FGFと略称す
る。)安定化組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】FGFは、1974年にGospoda
rowiczがウシ脳下垂体から線維芽細胞の増殖を強
く刺激するタンパク質として見いだされた(Natur
e:24巻、123頁、1974年)。そしてFGFの
遺伝子がクローニングされ遺伝子組み換え技術を用いた
大量生産が可能となり、FGFの研究は精力的に行われ
るようになった。その結果、線維芽細胞ばかりでなく血
管内皮細胞、血管平滑筋細胞 、角膜内皮細胞、骨芽細
胞、軟骨細胞など多種の細胞に対する細胞増殖を刺激す
ることが明らかになってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、FGFは他の
ポリペプチドと同様にプロテアーゼ、熱、pH等の影響
を受けやすく、実用的な製剤化が困難とされてきた。F
GFを安定化するために、水溶性ポリサッカライドを用
いる方法(特開昭63−152324)あるいは硫酸化
グルカンを用いる方法(特開昭2−138223)など
が報告されている。硫酸化グルカンを用いる方法におい
ては、例えばシクロデキストリン硫酸の遊離のものある
いはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリ
メチルアンモニウム塩などの水に対する溶解性が高い塩
の形のものが報告されているが、いまだ満足すべき方法
でないことから、本発明者らはFGFのプロテアーゼ、
熱、pH等に対する安定性を改善することを目的として
検討を進めてきた。
【0004】
【問題を解決するための手段】本発明者らはこの目的を
解決するために鋭意検討した結果、FGFを硫酸化シク
ロデキストリンアルミニウム塩と接触させることにより
FGFが安定化されることを見い出し本発明を完成し
た。
【0005】従って本発明は硫酸化シクロデキストリン
アルミニウム塩を含有することを特徴とするFGF安定
化組成物である。
【0006】本発明で用いられるFGFとしては塩基性
のもの(以下bFGFと略称する)でもよく、酸性のも
の(以下aFGFと略称する)でもよい。本発明のFG
Fは、天然源から単離するかまたは組み換えDNA技術
などによって製造されたものでもよい。
【0007】本発明で用いられる硫酸化シクロデキスト
リンアルミニウム塩における硫酸化シクロデキストリン
としては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキス
トリン、γ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル
−α−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−
シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロ
デキストリン、ヒドロキシエチル−α−シクロデキスト
リン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリンまた
はヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリンの硫酸エ
ステル誘導体があげられる。
【0008】シクロデキストリンの硫酸エステルの調製
は、通常の方法を用いることにより製造できる。本発明
で用いられる硫酸化シクロデキストリンアルミニウム塩
におけるスルホニル基はシクロデキストリンの1分子あ
たり2個以上あればよく、好ましくは4個以上である。
アルミニウムは、それぞれのスルホニル基に対応する量
が好ましい。また、異なる硫酸エステル化度の混合物あ
るいは単一の硫酸エステル化度のいずれのものを用いて
もよい。
【0009】FGF安定化組成物は、FGFを含有する
溶液をそのまま粉末状の硫酸シクロデキストリンアルミ
ニウム塩に添加混合しあるいは硫酸化シクロデキストリ
ンアルミニウム塩を懸濁させた溶液中にFGFを加え混
合することにより吸着して得られる。このようにして得
られたFGF安定化組成物におけるFGFと硫酸化シク
ロデキストリンアルミニウム塩の重量比は1:2〜1:
500である。本発明のFGF含有安定化組成物中で
は、FGFと硫酸化シクロデキストリンアルミニウム塩
とは一定の割合で複合体を形成し、単離することができ
る。
【0010】本発明の組成物は、中性条件下ではもとよ
り酸性条件のプロテアーゼ存在下おいて安定でありおよ
び熱に対して安定であり、生体における親和性を強く有
するためにFGFの各種の作用を生体内で発揮できる。
【0011】本発明の組成物は、そのまままたは公知の
製剤学的製造法に準じ、所望により製剤学的に許容され
得る添加剤、希釈剤、賦形剤、無痛化剤等を混合し、常
套手段により、製剤としては上記の特性を利用して埋め
込み製剤、懸濁製剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末
剤、固形状、懸濁状製剤として非経口的または経口的に
投与することができる。
【0012】
【実施例】実施例をあげて本発明を具体的に説明する。
なお、本実施例で用いられるbFGFの生物活性試験
は、以下のようにして行なった。すなわちbFGFをD
MEM:F−12Ham培地にて3段階希釈したものを
96穴マイクロプレート(平底)に0.1ml添加し、
そこにBHK−21細胞をDMEM:F−12Ham培
地にて浮遊させた細胞懸濁液(3×104 cells/
ml)を0.1ml播種した。3日間培養した後、5%
グルタルアルデヒドを40μl加え15分間固定し、メ
タノール、PBSで洗浄を行った後、BCA試薬を20
0μl入れて65℃、30分間加熱し、595nmにお
ける吸光度を測定した。
【0013】〔参考例1〕 硫酸化β−シクロデキスト
リンアルミニウム塩の合成
10.0gのβ−シクロデキストリンを500mlのジ
メチルホルムアミド(DMF)に溶解後、この溶液に3
0gの(CH3 )3 NSO3 を加えて70℃で16時間
攪拌した。この反応混合物を室温に冷却し、DMFをデ
カントして捨て1リットルのアセトンを添加した。析出
した結晶を濾取し、風乾した。風乾した結晶は、100
mlの水を加えて溶解し、続いて150mlの30%酢
酸ナトリウム水溶液を添加し室温で4時間攪拌後、その
溶液に1.5リットルのエタノールを加えた。一晩放置
後析出した結晶を濾取し、その結晶を150mlの水で
溶解後、室温で5時間透析膜を用いて透析した。透析膜
中の溶液は、約150mlまで50℃で減圧濃縮を行
い、1リットルのエタノールを加えて析出する結晶を濾
取し、60℃で減圧乾燥することにより、20.5gの
白色粉末が得られた。それの硫黄の含量は14.95%
であった。
【0014】さらにその結晶10gを水250mlに溶
解し、300mlの2.8%塩化アルミニウム水溶液を
加えた。その溶液に2N水酸化ナトリウムを攪拌しなが
らpHが4.5になるまで添加した。その後室温で1時
間攪拌し析出沈澱を遠心分離した。得られた結晶を60
℃で24時間減圧乾燥することにより、10.0gの白
色粉末を得た。この得られた硫酸化β−シクロデキスト
リンアルミニウム塩化合物中の硫黄の含量は15.16
%であった。
【0015】〔実施例1〕硫酸化α−シクロデキストリ
ンアルミニウム塩25mgに900μlの蒸留水を加え
よく懸濁させた後、500μgのbFGFを含有する1
00μlの水溶液を加え、液状のbFGF−硫酸化α−
シクロデキストリンアルミニウム塩の安定化組成物を製
造した。同様にして、各々bFGF−硫酸化β−シクロ
デキストリンアルミニウム塩組成物、bFGF−硫酸化
γ−シクロデキストリンアルミニウム塩組成物およびb
FGF−硫酸化−2−ヒドロキシプロピル−β−シクロ
デキストリンアルミニウム塩組成物を製造した。
【0016】〔実施例2〕硫酸化β−シクロデキストリ
ンアルミニウム塩25mgに900μlの蒸留水を加え
よく懸濁させた後、500μgのbFGFを含有する1
00μlの水溶液を加えよく混合し、ついで凍結乾燥を
行いbFGF−硫酸化β−シクロデキストリンアルミニ
ウム塩の粉末状組成物を製造した。
【0017】〔実施例3〕硫酸化β−シクロデキストリ
ンアルミニウム塩25mgに900μlの蒸留水を加え
よく懸濁させた後、500μgのaFGFを含有する1
00μlの水溶液を加えよく混合し、ついで30℃で3
時間減圧乾燥を行いaFGF−硫酸化β−シクロデキス
トリンアルミニウム塩の粉末状組成物を製造した。
【0018】〔試験例1〕上記実施例1で得られた各種
の組成物を用い、pH5.0のクエン酸緩衝液を加えて
bFGFを抽出し、その抽出物中のbFGFの生物活性
を測定した。結果を表1に示す。コントロールとしては
硫酸化シクロデキストリンアルミニウム塩無添加のbF
GF水溶液を使用した。
【0019】
【表1】
【0020】表1より、安定化組成物中のbFGFの活
性は無処理区と同様に100%の活性を示したことか
ら、硫酸化シクロデキストリンアルミニウム塩と複合体
を形成した後もbFGFの生物活性は安定に保持されて
いた。
【0021】〔試験例2−1〕ペプシン溶液中でのbF
GFの安定性試験
実施例1で製造した各種組成物を遠心分離後、その上澄
液900μlを除去し、50μgのペプシンを含むpH
1.2の日局崩壊試験液第1液900μlを加え、37
℃で6時間インキュベートした。その後、HPLC法に
よってbFGFの残存率を測定し、その結果を表2に示
す。対照群としては、無処理のbFGFを用いた。
【0022】
【表2】【0023】表2より、無処理のbFGFの残存率は0
%であったにもかかわらず、各種硫酸化シクロデキスト
リンアルミニウム塩組成物中のbFGFはペプシン存在
下37℃、6時間という苛酷な条件下においてペプシン
による分解に対して安定に保持されていた。
【0024】〔試験例2−2〕 ペプシン溶液中でのb
FGFの安定性試験
硫酸化β−シクロデキストリンアルミニウム塩25mg
をマイクロチューブに採取し、250μgのbFGFを
含有する1mlの水溶液を加え激しく混合した後、その
懸濁液を遠心分離し、上澄み液を900μl除去し、そ
の残渣に50μgのペブシンを含むpH1.2の日局破
壊試験液第1液900μlを加え、37℃でインキュベ
ートした。その後HPLC法によってbFGFの残存率
を測定した。
【0025】また、比較物理として硫酸化β−シクロデ
キストリンナトリウム塩25mgをマイクロチューブに
採取し、50μgのペプシンを含むpH1.2の日局破
壊試験液第1液900μlを加え、250μgのbFG
Fを含有する100μlの水溶液を加え,37℃でイン
キュベートした。その後、HPLC法によってbFGF
の残存率を測定した。それらの結果を図1に示す。な
お、対照としては、無処理のbFGFを用いた。
【0026】図1より明らかなように、硫酸化β−シク
ロデキストリンアルミニウム塩におけるbFGFの残存
率は高く安定に保持されており、一方硫酸化β−シクロ
デキストリンナトリウム塩においてはbFGFの残存率
は急激に低下することが認められた。
【0027】〔試験例3−1〕キモトソプシン溶液中で
のbFGFの安定性試験
実施例1で製造した各種組成物を遠心分離後、その上澄
液900μlを除去し、50μgのキモトリプシンを含
むpH7.4の20mMリン酸緩衝液900μlを加
え、37℃で24時間インキュベートした。その後、H
PLC法によってbFGFの残存率を測定し、その結果
を表3に示す。
【0028】
【表3】【0029】表3より、無処理のbFGFの残存率は0
%であったにもかかわらず、各種硫酸化シクロデキスト
リンアルミニウム塩組成物中のbFGFはキモトリプシ
ン存在下37℃、24時間という苛酷な条件下において
キモトリプシンのようなプロテアーゼに対して安定に保
持されていた。
【0030】〔試験例3−2〕 キモトリプシン溶液中
でのbFGFの安定性試験
試験例2−2と同様に処理したのち、ペプシンの代わり
にキモトリプシン50μgを含むpH7.4の20mM
リン酸緩衝液900μlを加え、37℃でインキュベー
トした。その後、HPLC法によってそれぞれのbFG
Fの残存率を測定し、その結果を図2に示す。なお、対
照としては、無処理のbFGFを用いた。
【0031】図2より、硫酸化β−シクロデキストリン
アルミニウム塩におけるbFGFの残存率は高く安定に
保持されており、一方硫酸化β−シクロデキストリンナ
トリウム塩においてはbFGFの残存率は急激に低下す
ることが認められた。
【0032】以上の試験結果より、酸性条件下で活性を
示すペプシンおよび中性付近で活性を示すキモトリプシ
ンのいずれのプロテアーゼにおいても、硫酸化β−シク
ロデキストリンアルミニウム塩に吸着されたbFGFが
硫酸化β−シクロデキストリンナトリウムに吸着された
bFGFよりも極めて安定に保持されていることから、
bFGFを抗消化性潰瘍剤として経口投薬する場合には
硫酸化β−シクロデキストリンアルミニウム塩により安
定化されたbFGFが非常に有用であることが示唆され
る。
【0033】〔試験例4〕 胃潰瘍治療試験
7週齢の雄性ラット(Jcl:Wistar)をエーテ
ル麻酔下に開腹し、胃体部と幽門部境界の部位に漿膜側
より直径6mmのパイプを当て酢酸50μlを20秒間
入れる。その後、酢酸を取り除き生理食塩液で洗い腹部
を閉じる。手術の翌日から薬物を10日間1日1回経口
投与する。薬物最終投与翌日にエーテルにてラットを殺
し、潰瘍面積(mm2 )を測定し表4に示した。
【0034】対照群:水
bFGF群:10μg/kg
bFGF−硫酸化α−シクロデキストリンアルミニウム組成
物群:bFGF10μg/kg
シメチジン群:200mg/kg
【0035】
【表4】【0036】表4より、本発明の組成物を投与すること
により、bFGFによる胃潰瘍治癒効果が認められた。
【0037】〔試験例5〕 肉芽形成試験
試料の調製
bFGFを500μg/mlになるように注射用水で調
製し、その溶液500μlを硫酸化β−シクロデキスト
リンアルミニウム塩25mg、硫酸化β−シクロデキス
トリンナトリウム塩25mgまたは水酸化アルミニウム
25mgに加えたものを用いた。対照群としてはbFG
Fを含まない夫々のビヒクルを用いた。硫酸化β−シク
ロデキストリンアルミニウム塩を含む試料および水酸化
アルミニウムを含む試料は用時よく懸濁させ使用した。
【0038】7週齢の雄性ラット(Wistar)を用い、試
験を行った。試料をそれぞれ20μlずつペーパーディ
スク(直径:8mm、厚さ1mm,東洋濾紙(株)製)
の中央部分に添加した後、ラット背部正中線に沿って左
右の皮下に埋込み、切開部を縫合した。埋込み7日後に
エーテル麻酔下で屠殺し、ペーパーディスクとそれを取
り巻く肉芽を注意深く剥離してその重量を測定し、ペー
パーディスクおよび硫酸化β−シクロデキストリンアル
ミニウム塩または水酸化アルミニウムの重量を補正後、
湿重量(mg)求めた。その結果を表5に示す。なお、
提供ラットは各群4匹ずつ用いた。
【0039】
【表5】
【0040】bFGFは創傷治癒過程における線維芽細
胞の増殖、血管新生に伴う肉芽形成に影響を及ぼし損傷
治癒を促進する。そこで吸着された状態でbFGFが肉
芽形成におよぼす影響を試験した結果、bFGFを含む
水溶液、硫酸化β−シクロデキストリンアルミニウム塩
組成物、硫酸化β−シクロデキストリンナトリウム塩組
成物または水酸化アルミニウム組成物はそれぞれの対照
群に対しいずれもペーパーデスクの湿重量が有意に増加
した。さらに硫酸化β−シクロデキストリンアルミニウ
ム塩組成物はbFGFを含む水溶液、硫酸化β−シクロ
デキストリンナトリウム塩組成物および水酸化アルミニ
ウム組成物群に比較し有意に増加した。このことから硫
酸化β−シクロデキストリンアルミニウム塩組成物は生
体内で安定であるとともに生体における親和性を強く有
するためにbFGFの各種の作用が生体内で発揮できる
ことが認められた。
【0041】
【発明の効果】本発明によればFGFを硫酸化シクロデ
キストリンアルミニウム塩との複合体とすることにより
FGFを安定化させることができるので、FGFを安定
な状態で製剤化することができる。Description: BACKGROUND OF THE INVENTION 1. Field of the Invention The present invention relates to a composition for stabilizing fibroblast growth factor (FGF). [0002] FGF was introduced in 1974 by Gospoda.
lowicz was found as a protein that strongly stimulates fibroblast proliferation from bovine pituitary gland (Natur
e: 24, 123, 1974). The FGF gene has been cloned and mass production using genetic recombination technology has become possible, and research on FGF has been vigorously conducted. As a result, it has become clear that it stimulates cell proliferation not only for fibroblasts but also for various cells such as vascular endothelial cells, vascular smooth muscle cells, corneal endothelial cells, osteoblasts, and chondrocytes. [0003] However, FGF, like other polypeptides, is susceptible to the effects of protease, heat, pH, etc., and it has been difficult to formulate a practical formulation. F
In order to stabilize GF, a method using a water-soluble polysaccharide (JP-A-63-152324) or a method using a sulfated glucan (JP-A-2-138223) has been reported. In the method using a sulfated glucan, for example, a free form of cyclodextrin sulfate or a form of a salt having high solubility in water such as sodium salt, potassium salt, ammonium salt, and trimethylammonium salt has been reported. Since it is still not a satisfactory method, we have studied the protease of FGF,
Studies have been made for the purpose of improving stability against heat, pH, and the like. Means for Solving the Problems The present inventors have made intensive studies to solve this object, and as a result, have found that FGF is stabilized by contacting FGF with a sulfated cyclodextrin aluminum salt. The present invention has been completed. Accordingly, the present invention is an FGF-stabilized composition comprising a sulfated cyclodextrin aluminum salt. [0006] The FGF used in the present invention may be basic (hereinafter abbreviated as bFGF) or acidic (hereinafter abbreviated as aFGF). FG of the present invention
F may be isolated from natural sources or produced, such as by recombinant DNA technology. The sulfated cyclodextrin in the sulfated cyclodextrin aluminum salt used in the present invention includes α-cyclodextrin, β-cyclodextrin, γ-cyclodextrin, hydroxypropyl-α-cyclodextrin, and hydroxypropyl-β-.
Sulfuric acid ester derivatives of cyclodextrin, hydroxypropyl-γ-cyclodextrin, hydroxyethyl-α-cyclodextrin, hydroxyethyl-β-cyclodextrin or hydroxyethyl-γ-cyclodextrin are exemplified. The preparation of the sulfate of cyclodextrin can be carried out by using a conventional method. The number of sulfonyl groups in the sulfated cyclodextrin aluminum salt used in the present invention may be two or more, preferably four or more, per molecule of cyclodextrin.
Aluminum is preferably in an amount corresponding to each sulfonyl group. Also, a mixture of different degrees of sulfate esterification or a single degree of sulfate esterification may be used. [0009] The FGF-stabilized composition is prepared by adding a solution containing FGF directly to a powdery aluminum salt of cyclodextrin sulfate or mixing it by adding FGF to a solution in which a sulfated aluminum salt of cyclodextrin is suspended. And obtained by adsorption. The weight ratio of FGF to the sulfated cyclodextrin aluminum salt in the FGF-stabilized composition thus obtained was from 1: 2 to 1:
500. In the FGF-containing stabilized composition of the present invention, a complex can be formed between FGF and sulfated cyclodextrin aluminum salt at a certain ratio, and the complex can be isolated. [0010] The composition of the present invention is stable in the presence of protease under acidic conditions as well as neutral conditions, and is stable to heat, and has a strong affinity in the living body. Can be demonstrated in vivo. The composition of the present invention may be mixed with pharmaceutically acceptable additives, diluents, excipients, soothing agents and the like, if necessary, or according to known pharmaceutical manufacturing methods. By means, the preparation can be administered parenterally or orally as an implantable preparation, suspension preparation, tablet, capsule, granule, powder, solid, suspension preparation utilizing the above properties. it can. The present invention will be specifically described with reference to examples.
In addition, the biological activity test of bFGF used in this example was performed as follows. That is, bFGF is changed to D
MEM: 0.1 ml of what was diluted in three steps with F-12Ham medium was added to a 96-well microplate (flat bottom),
A cell suspension (3 × 10 4 cells / cell suspension) in which BHK-21 cells were suspended in DMEM: F-12Ham medium.
ml) was inoculated. After 3 days of culture, 5%
After adding 40 μl of glutaraldehyde and fixing for 15 minutes, washing with methanol and PBS, the BCA reagent was added to 20 μl.
After adding 0 μl and heating at 65 ° C. for 30 minutes, the absorbance at 595 nm was measured. Reference Example 1 Synthesis of Aluminum Sulfated β-Cyclodextrin Aluminum salt 10.0 g of β-cyclodextrin was dissolved in 500 ml of dimethylformamide (DMF), and 3
0 g of (CH 3 ) 3 NSO 3 was added and stirred at 70 ° C. for 16 hours. The reaction mixture was cooled to room temperature, the DMF was decanted off and 1 liter of acetone was added. The precipitated crystals were collected by filtration and air-dried. Air-dried crystals are 100
After adding and dissolving 150 ml of a 30% aqueous sodium acetate solution and stirring at room temperature for 4 hours, 1.5 l of ethanol was added to the solution. After standing overnight, the precipitated crystals were collected by filtration, dissolved in 150 ml of water, and dialyzed at room temperature for 5 hours using a dialysis membrane. The solution in the dialysis membrane was concentrated under reduced pressure at 50 ° C. to about 150 ml, and 1 liter of ethanol was added. The precipitated crystals were collected by filtration and dried at 60 ° C. under reduced pressure to obtain 20.5 g of a white powder. Was done. Its sulfur content is 14.95%
Met. Further, 10 g of the crystals were dissolved in 250 ml of water, and 300 ml of a 2.8% aluminum chloride aqueous solution was added. 2N sodium hydroxide was added to the solution with stirring until the pH reached 4.5. Thereafter, the mixture was stirred at room temperature for 1 hour, and the precipitate was centrifuged. The obtained crystal is
Drying under reduced pressure at 24 ° C. for 24 hours gave 10.0 g of white powder. The sulfur content of the obtained sulfated β-cyclodextrin aluminum salt compound was 15.16.
%Met. Example 1 To 25 mg of sulfated α-cyclodextrin aluminum salt, 900 μl of distilled water was added and suspended well, and then 1 μl of 500 μg of bFGF was added.
Add 00 μl aqueous solution and add liquid bFGF-sulfated α-
A stabilized composition of cyclodextrin aluminum salt was prepared. Similarly, bFGF-sulfated β-cyclodextrin aluminum salt composition, bFGF-sulfated γ-cyclodextrin aluminum salt composition and b
An FGF-sulfated-2-hydroxypropyl-β-cyclodextrin aluminum salt composition was prepared. Example 2 900 μl of distilled water was added to 25 mg of a sulfated β-cyclodextrin aluminum salt and suspended well, and then a suspension containing 500 μg of bFGF was added.
An aqueous solution of 00 μl was added, mixed well, and then freeze-dried to produce a powdery composition of bFGF-sulfated β-cyclodextrin aluminum salt. Example 3 900 μl of distilled water was added to 25 mg of sulfated β-cyclodextrin aluminum salt and suspended well, and then 500 μg of aFGF containing aFGF was added.
Add 00 μl of the aqueous solution, mix well, then add
After drying under reduced pressure for an hour, a powdery composition of aFGF-sulfated β-cyclodextrin aluminum salt was produced. [Test Example 1] Using the various compositions obtained in Example 1 above, a citrate buffer at pH 5.0 was added to extract bFGF, and the biological activity of bFGF in the extract was measured. did. Table 1 shows the results. As a control, bF containing no sulfated cyclodextrin aluminum salt was added.
GF aqueous solution was used. [Table 1] From Table 1, it can be seen that the activity of bFGF in the stabilized composition was 100% as in the non-treated group, and therefore, the bioactivity of bFGF was observed even after forming a complex with the sulfated aluminum salt of cyclodextrin. Activity was stably retained. [Test Example 2-1] bF in pepsin solution
Stability test of GF After centrifugation of the various compositions produced in Example 1, 900 μl of the supernatant was removed, and pH containing 50 μg of pepsin was removed.
Add 900 μl of the first solution of the Japanese Pharmacopoeia disintegration test solution of 1.2, and add 37
Incubated at 6 ° C for 6 hours. Thereafter, the residual ratio of bFGF was measured by the HPLC method, and the results are shown in Table 2. As a control group, untreated bFGF was used. [Table 2] From Table 2, the residual ratio of untreated bFGF is 0.
%, The bFGF in the various sulfated cyclodextrin aluminum salt compositions was stably maintained against degradation by pepsin under severe conditions of 37 ° C. and 6 hours in the presence of pepsin. [Test Example 2-2] b in pepsin solution
Stability test of FGF Sulfated β-cyclodextrin aluminum salt 25mg
Was collected in a microtube, 1 ml of an aqueous solution containing 250 μg of bFGF was added, and the mixture was vigorously mixed. The suspension was centrifuged, and 900 μl of the supernatant was removed. Was added, and the mixture was incubated at 37 ° C. Thereafter, the residual ratio of bFGF was measured by the HPLC method. As a comparative physics, 25 mg of sulfated β-cyclodextrin sodium salt was collected in a microtube, and 900 μl of the first solution of the Japanese Pharmacopoeia test solution containing 50 μg of pepsin at pH 1.2 was added, and 250 μg of bFG was added.
100 μl of an aqueous solution containing F was added and incubated at 37 ° C. Then, bFGF was analyzed by HPLC.
Was measured. The results are shown in FIG. In addition, untreated bFGF was used as a control. As is clear from FIG. 1, the residual ratio of bFGF in the sulfated β-cyclodextrin aluminum salt is high and stably maintained, whereas the residual ratio of bFGF in the sulfated β-cyclodextrin sodium salt is rapidly increased. Was observed. [Test Example 3-1] Stability test of bFGF in chymotosopsin solution After centrifugation of the various compositions prepared in Example 1, 900 µl of the supernatant was removed, and pH 7.0 containing 50 µg of chymotrypsin was removed. 900 μl of 20 mM phosphate buffer solution of No. 4 was added and incubated at 37 ° C. for 24 hours. Then H
The residual ratio of bFGF was measured by the PLC method, and the results are shown in Table 3. [Table 3] From Table 3, the residual ratio of untreated bFGF is 0.
%, The bFGF in various sulfated cyclodextrin aluminum salt compositions was stably retained against proteases such as chymotrypsin under severe conditions of 37 ° C. and 24 hours in the presence of chymotrypsin. . [Test Example 3-2] Stability test of bFGF in chymotrypsin solution After treatment as in Test Example 2-2, 20 mM of pH 7.4 containing 50 µg of chymotrypsin instead of pepsin
900 μl of phosphate buffer was added and incubated at 37 ° C. Then, each bFG was analyzed by HPLC.
The residual ratio of F was measured, and the results are shown in FIG. In addition, untreated bFGF was used as a control. FIG. 2 shows that the residual ratio of bFGF in the sulfated β-cyclodextrin aluminum salt is high and stably maintained, while the residual ratio of bFGF in the sulfated β-cyclodextrin sodium salt decreases rapidly. Was observed. From the above test results, it was found that bFGF adsorbed on the sulfated β-cyclodextrin aluminum salt was converted into sulfated β-cyclodextrin by both proteases, pepsin exhibiting activity under acidic conditions and chymotrypsin exhibiting activity near neutrality. -Is retained much more stably than bFGF adsorbed on cyclodextrin sodium,
When bFGF is orally administered as an anti-peptic ulcer agent, it is suggested that bFGF stabilized by sulfated β-cyclodextrin aluminum salt is very useful. Test Example 4 Gastric Ulcer Treatment Test A 7-week-old male rat (Jcl: Wistar) was laparotomized under ether anesthesia, and a 6 mm diameter pipe from the serosal side was applied to the site between the stomach body and the pylorus. Add 50 μl for 20 seconds. Thereafter, the acetic acid is removed and the abdomen is closed by washing with physiological saline. From the day after the operation, the drug is orally administered once a day for 10 days. On the day after the last administration of the drug, the rats were killed with ether, and the ulcer area (mm 2 ) was measured. Control group: water bFGF group: 10 μg / kg bFGF-sulfated α-cyclodextrin aluminum Composition group: bFGF 10 μg / kg Cimetidine group: 200 mg / kg From Table 4, it was confirmed that the administration of the composition of the present invention showed a gastric ulcer healing effect of bFGF. [Test Example 5] Preparation of a test sample for granulation formation bFGF was prepared with water for injection so as to have a concentration of 500 µg / ml. What was added to 25 mg of salt or 25 mg of aluminum hydroxide was used. BFG as a control group
Each vehicle without F was used. The sample containing the sulfated β-cyclodextrin aluminum salt and the sample containing aluminum hydroxide were well suspended and used before use. The test was performed using 7-week-old male rats (Wistar). 20 μl of each sample is a paper disc (diameter: 8 mm, thickness: 1 mm, manufactured by Toyo Roshi Kaisha, Ltd.)
And then implanted subcutaneously on the left and right along the midline of the back of the rat, and the incision was sutured. Seven days after implantation, the animals were sacrificed under ether anesthesia, the paper disks and the granules surrounding them were carefully peeled off and weighed, and after correcting the weight of the paper disks and sulfated β-cyclodextrin aluminum salt or aluminum hydroxide,
The wet weight (mg) was determined. Table 5 shows the results. In addition,
Four rats were used for each group. [Table 5] BFGF affects the proliferation of fibroblasts during the wound healing process and the formation of granulation accompanying angiogenesis, and promotes wound healing. Then, as a result of testing the effect of bFGF on granulation in the adsorbed state, an aqueous solution containing bFGF, a sulfated β-cyclodextrin aluminum salt composition, a sulfated β-cyclodextrin sodium salt composition or an aluminum hydroxide composition Showed a significant increase in paper desk wet weight for each control group. Furthermore, the sulfated β-cyclodextrin aluminum salt composition significantly increased as compared to the aqueous solution containing bFGF, the sulfated β-cyclodextrin sodium salt composition, and the aluminum hydroxide composition group. From this, it was confirmed that the sulfated β-cyclodextrin aluminum salt composition is stable in the living body and has a strong affinity in the living body, so that various functions of bFGF can be exerted in the living body. According to the present invention, since FGF can be stabilized by forming a complex with FGF and a sulfated cyclodextrin aluminum salt, it is possible to formulate FGF in a stable state. it can.
【図面の簡単な説明】
【図1】 安定化剤の存在又は非存在下でのbFGFの
安定性を示すグラフ
【図2】 安定化剤の存在又は非存在下でのbFGFの
安定性を示すグラフBRIEF DESCRIPTION OF THE DRAWINGS FIG. 1 is a graph showing the stability of bFGF in the presence or absence of a stabilizer. FIG. 2 is a graph showing the stability of bFGF in the presence or absence of a stabilizer. Graph
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(72)発明者 大谷 淑郎
東京都文京区本駒込二丁目28番8号 科
研製薬株式会社内
(72)発明者 木村 国雄
東京都文京区本駒込二丁目28番8号 科
研製薬株式会社内
(72)発明者 藤井 政博
東京都文京区本駒込二丁目28番8号 科
研製薬株式会社内
(72)発明者 畑 芳幸
東京都文京区本駒込二丁目28番8号 科
研製薬株式会社内
(56)参考文献 特開 平2−138223(JP,A)
特表 平3−505736(JP,A)
欧州特許出願公開457223(EP,A
1)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
A61K 38/22
A61K 47/40
A61P 1/04 ──────────────────────────────────────────────────続 き Continued on the front page (72) Inventor Yoshiro Otani 2-28-8 Honkomagome, Bunkyo-ku, Tokyo Within Kaken Pharmaceutical Co., Ltd. (72) Kunio Kimura 2-28-8 Honkomagome, Bunkyo-ku, Tokyo No. Kaken Pharmaceutical Co., Ltd. (72) Inventor Masahiro Fujii 2-28-8 Honkomagome, Bunkyo-ku, Tokyo Kaken Pharmaceutical Co., Ltd. (72) Inventor Yoshiyuki Hata 2-28-8, Honkomagome, Bunkyo-ku, Tokyo No. Kaken Pharmaceutical Co., Ltd. (56) References JP-A-2-138223 (JP, A) JP-A-3-505736 (JP, A) European Patent Application Publication 457223 (EP, A1) (58) Field (Int.Cl. 7 , DB name) A61K 38/22 A61K 47/40 A61P 1/04