JP3485539B2 - 同位体分離装置 - Google Patents

同位体分離装置

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JP3485539B2 JP2000369137A JP2000369137A JP3485539B2 JP 3485539 B2 JP3485539 B2 JP 3485539B2 JP 2000369137 A JP2000369137 A JP 2000369137A JP 2000369137 A JP2000369137 A JP 2000369137A JP 3485539 B2 JP3485539 B2 JP 3485539B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、光化学反応を利用
して、少量の物質から短時間に、かつ、効率よく同位体
を分離して高濃度の同位体物質を得る同位体分離装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光、特に自由電子レーザ光を用い
て選択的に光化学反応させることにより同位体を分離・
濃縮する同位体分離装置では、図5に示すように、同位
体を含む原料と反応に応じて選定される添加剤とからな
る作業物質を反応容器にあらかじめ充填し、所定の標的
同位体に選択的に化学反応を生起させるような特定の波
長の光を作業物質に照射して、作業物質に含まれる標的
同位体との選択光反応を促進させ、その結果得られた標
的同位体が濃縮された反応生成物を分離して目的物とし
て取り出したり、反応生成物を除去することにより残留
分を目的物として濃縮したりするバッチ方式が用いられ
てきた。
【0003】従来のバッチ方式は、小容量を処理する場
合に適するが、作業物質と光反応による生成物質が反応
容器内に共存する状態で光の連続照射を受けるため、目
的とする分離プロセスに必要な主反応と同時に、しばし
ば副反応や再反応を起こすという欠点がある。また、作
業物質が停滞した状態で反応が行われるので反応容器等
の機器の壁面にも物質が付着しやすく、その付着物質が
壁面の素材あるいは壁面に付着していた不純物との間で
副反応を起こし、それが原因で機器の腐食や劣化が生じ
ることがあった。さらに、光が出入りする入射窓や出射
窓に物質が付着して窓の透過率を低下させたり、窓その
ものの劣化を招くこともあった。
【0004】入射窓への物質の付着を防ぐ方法として
は、図6に示すように、ArやNeなどの不活性物質を
入射窓内面に吹き付ける方法が採られている。しかし、
この方法では完全に窓面の付着を防ぐまでには至らず、
また、作業物質にこれら不活性物質が混入されることか
ら反応容器内の作業圧力が上昇する結果となり、光化学
反応にとって好ましくない。
【0005】入射窓や出射窓及び反応容器壁面への物質
の付着を防ぐ他の方法としては、図7に示すように、作
業物質が停滞しないように反応容器内を流しながら光化
学反応を行う例もある。この例では作業物質が反応容器
を通過していき滞留時間が限られるため反応率が低くな
る。反応率を高くしようとして作業物質の流速を遅くす
ると、前述の副反応や再反応が進み、その反応生成物が
入射窓や反応容器内面に付着してしまう弊害が生ずる。
【0006】なお、特開平10−128074に、断熱
冷却した作業物質に分子線を照射する同位体分離装置が
開示されている。開示された装置は、図8に示すよう
に、高圧配管である原料容器に貯留された作業物質を減
圧バルブで圧力や速度を調整しながら反応容器に送り込
み任意の波長の自由電子レーザ光を照射して選択的に光
化学反応を起こさせ、反応済みの作業物質は分離セルで
反応生成物を分離した後、吸引ポンプで昇圧して原料容
器に戻す方式、すなわち、作業物質を循環使用する方式
である。開示装置に用いられる吸引ポンプは、作業物質
を原料タンクに押し込むためだけではなく、反応容器内
を吸引して超音速ノズルが作動するための真空圧力に保
つことにも使われている。
【0007】しかし、開示された同位体分離装置では超
音速ノズルからガスを噴出させているため、高圧配管内
のガス圧力が高くなる。同位体分離においては、反応性
の高いガスを使用する場合が多いことから、このような
高圧環境下ではレーザ光を伴わない分解反応や化学反応
の反応速度も大きいため、ガス自体がレーザ光との反応
を待たずに分解結合反応を起こす。このため、同位体分
離における分離性能は大きく低下する可能性がある。さ
らに、分離プロセスに必要のない副反応の反応生成物が
作業物質と共に原料タンクに戻されるので、再び減圧バ
ルブを通って反応容器に送られ光反応生成物が再び光反
応により違う物質になる再反応を生ずることもあり、分
離性能に悪影響を与えることがあった。
【0008】なお、光化学反応を終えた作業物質は、反
応容器から反応生成物分離装置に送られて反応生成物が
分離される。反応生成物分離装置としては沸点の差によ
り目的の反応生成物を分離する低温トラップが一般に使
用され、冷却源としては窒素、ヘリウム等の低沸点の液
体やペルチェ素子等の電子冷却素子が使用されている。
この場合に、低温トラップに隣接する配管や機器もトラ
ップの温度の影響を受けて低温になり、温度によっては
その隣接する配管や機器のところで分離が生じて、分離
された物質により配管や機器に問題が生じたり、低温ト
ラップにおける回収効率が低下するという問題もあっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、光化学反応を利用する同位体分離
装置であって、副反応や再反応を低く抑え、光の入射窓
や出射窓に物質が付着して透過率低下や劣化を来すこと
を防ぎ、反応容器等機器内面への物質の付着やそれに起
因する機器内面の腐食や劣化を防止した、反応生成物分
離装置の回収効率の高い同位体分離装置、特に自由電子
レーザを利用した同位体分離装置を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の同位体分離装置は、光を用いて光化学反応
により同位体を分離・濃縮する同位体分離装置であっ
て、光化学反応の反応容器、反応生成物分離装置、及
び、同位体分離に使用する作業物質の循環装置を含む循
環系を構成し、その循環系内に所望の圧力で封入した作
業物質を循環装置を用いて循環させながら同位体の分離
・濃縮を行うことを特徴とする。本発明の同位体分離装
置は、分離工程に入る前に所要量の作業物質を循環系内
に封入するものであるから、装置全体として考えればバ
ッチ方式であるが、循環装置により作業物質の流れを一
定速度以上に保ち反応容器中の作業物質を適切な速度で
入れ替えることにより、副反応や再反応を低く押えるこ
とができる。
【0011】ここで、一定速度とは、光がパルスである
場合は、2つの隣接するパルスの間に反応容器内の物質
が流れる程度の速度をいう。この速度以上に保つことに
より、一つの光パルスの照射を受けた作業物質が次の光
パルスに照射される前に反応容器内から排出されるた
め、ひとたび光化学反応を起こした作業物質は再度光パ
ルスの照射を受ける前に反応容器外に運び出される。排
出された物質は反応生成物を分離した後再び反応容器に
戻るため、反応生成物の再反応を防ぎ、副反応を押える
ことができる。また、光が長パルス又は連続波である場
合は、一定速度とは主反応に必要な時間だけ反応容器内
に作業物質が滞在する程度の速度である。この速度以上
に保つことにより反応生成物の再反応や副反応をミニマ
ムに押えることができる。
【0012】また、本発明の同位体分離装置では、特開
平10−128074に開示された循環方式と異なり、
循環系内に高圧力領域が発生しないため、高圧下で発生
しがちなレーザを伴わない副反応を抑制することができ
る。なお、循環系内に封入する作業物質は開示方式のも
のと比較すると著しく少量であって、光化学反応の生成
物は反応生成物分離装置により循環物質から逐次除去さ
れるため、系内の循環する作業物質における光反応の標
的同位体の濃度は反応時間と共に急速に低くなってい
く。
【0013】また、反応に適した圧力で封入した作業物
質を循環させるので、分離工程において反応容器の圧力
を所望の値に維持するのは容易である。なお、循環装置
は、作業物質の流速を一定速度以上に保つだけであるか
ら、低揚程のベンチレータとインバータ等の風速調整機
構の組み合わせで十分である。さらに、反応容器を始め
作業物質に接する機器内面では、常に作業物質が流れて
いて滞留しないので物質の付着が少なく、それに起因す
る入射窓の透過率の低下や劣化、また、機器内面の腐食
・劣化が防止できる。
【0014】 また、本発明の同位体分離装置は、反応
生成物分離装置を循環系内に複数個設置して、主反応の
反応生成物のみならず副反応の反応生成物も分離除去す
ことを特徴とする。複数の反応生成物分離装置を設け
る場合には、対応する分離目的の生成物の融点や沸点に
応じた温度の低温トラップをそれぞれ選定し、温度の高
いトラップから順に循環系の中に直列に配置する。この
ようにして主反応ばかりでなく副反応まで含めて反応生
成物を徹底して分離回収することにより、循環して再び
反応容器に戻される作業物質には光反応による反応生成
物が含まれず、反応容器における副反応や再反応を極力
抑えられ、主反応が効率よく促進される。
【0015】さらに、本発明の同位体分離装置は、作業
物質を反応容器に導入する導入口をレーザ又は光の入射
窓および射出窓を有する反応容器の長手方向の両側壁付
近に設け、作業物質を排出する排出口を反応容器の中央
部に設けてもよい。導入口と排出口をこのように配置す
ることにより、作業物質は常に反応容器の両端、レーザ
又は光の透過する窓の近傍から流入し、未反応の新鮮な
状態で窓の表面を洗浄しながら、窓の付近に滞留するこ
となく反応器中央部の方に流れて、反応生成物を生成し
て反応器中央部から流出する。これにより物質が入射窓
に付着するのを防ぐことができる。
【0016】また、反応容器は循環系内に並列に複数設
けて、容器の光透過窓を直列に連ねて光を透過させるよ
うにして反応効率を向上させるようにしてもよい。な
お、光反応に用いる光は、自由電子レーザ光であること
が好ましい。自由電子レーザは波長の選択性がよく、同
位体同士の僅かな光反応波長の差に対応して鋭いピーク
の強力な光エネルギーを供給することができる。また、
本発明の同位体分離装置は、反応生成物分離装置の前後
に加熱器を設けてもよい。これら加熱器により低温トラ
ップに隣接する配管や機器の温度を低温にならないよう
に調節し、トラップ以外の部分で反応生成物の分離が生
ずる弊害を除くことができ、その結果として、分離回収
効率を高めることができる。
【0017】さらに、本発明の装置は、物質を高純度化
するために、あるいは、特定の同位体を含む物質を合成
するために、上記同位体分離装置を用いたことを特徴と
する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について実施例に基
づき図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の同
位体分離装置の実施例の構成を示す説明図、図2、図
3、図4は図1実施例の別の態様を示す説明図である。
【0019】
【実施例】本実施例の同位体分離装置は、図1に示すご
とく、光化学反応の反応容器1、反応生成物分離装置
2、及び、作業物質の循環装置3を適当な内半径のパイ
プ4で繋いだ循環系を基本構成とする。この循環系に
は、上記主要機器のほかに、循環系内の作業物質の圧力
を測定する圧力計5、循環系内の物質の成分を測定する
測定装置6、反応生成物分離装置前後に配置された加熱
器7,8、これら加熱器の温度コントローラ7a、8
a、循環する作業物質の流量センサー9、その流量セン
サーからの信号を用いて循環系内の流速を適切に保つよ
うに循環装置を制御する調整装置10が含まれる。
【0020】さらに、循環系に封入する原料の原料タン
ク11、同じく循環系に原料とともに封入され作業物質
に一部となる添加剤の添加剤タンク12、それらを循環
系に繋ぎ込む供給ライン13、循環系をあらかじめ真空
に引く真空ポンプ14とその排気ライン15、及び、そ
れらに係わるバルブ11a、12a、13a、15a、
さらに、同位体分離装置全体を制御し管理する制御記録
装置16が設けられている。
【0021】反応容器1の長手方向の一端には、レンズ
1aで集光された自由電子レーザ光1bの入射窓1cが
設けられ、さらに長手方向の他端には、作業物質を透過
した自由電子レーザが透過してくる出射窓1dと反応後
の自由電子レーザ光のエネルギーを計測するメータ1e
が設けられている。また、作業物質の導入口4a、4b
が入射窓1c、出射窓1dそれぞれの近傍、すなわち、
反応容器1の長手方向の両側壁付近に設けられ、作業物
質の排出口4cが反応容器1の長手方向の中央部に設け
られている。
【0022】光学系の機構については、光源からのレー
ザ光をそのまま照射してもよいが、集光強度照射容積を
所望の値にするためには図1に示すようにレンズ1aを
用いるか、レンズの代わりにミラーを用いて集光するの
が望ましい。また、反応断面積を大きくするために、一
定の高い集光強度で大きな照射容積を得たい場合には、
長尺の光路長を取ることができる光学系を反応容器内部
又は外部に設置するのがよい。例えば、図2のように複
数の反応容器21a、21b、21cを循環路中に並列
に配設し、レンズ22a、22b、22c,22dを用
いて、あるいは、場合によってはレンズに代えてミラー
を用いて、レーザ光が各反応容器を直列に貫いて最適な
照射が行えるようにする方法がある。また、図3に示す
ように反応容器23に平面鏡、球面鏡、非球面鏡等のミ
ラー24a、24bを対向して設置して多重パスを構成
する光学系を用いて、レーザ光と作業物質との作用距離
を長くする方法を採用してもよい。
【0023】循環系内の物質の成分は、フーリエ変換
(赤外)分光光度計、分散型の分光器、質量分析器、ガ
スクロマトグラフ等の測定装置6を循環系内に設置し
て、逐次測定する。分光光度計や分光器を用いる場合は
循環系内の物質に光を照射する必要がある。この場合は
循環系のパイプ4に照射用の窓を設けるか、循環系内に
窓を有する照射セルを設置する。また、質量分析器を用
いる場合は、作動排気装置を循環系に接続して微量の作
業物質を逐次採取して測定を行うようにする。作動排気
装置の変わりにバルブを設け、随時これを開くことによ
り試料を採取して測定を行ってもよい。質量分析器によ
れば、分光器では測定できないような微量の成分分析が
可能である。
【0024】本実施例の同位体分離装置では、反応に適
合する圧力状態は作業物質の封入圧力により基本的に確
保される。したがって、作業物質の循環装置3は、作業
物質の流れを作ればよいので、図1に示す回転するプロ
ペラにより構成されるベンチレータ等で十分であり、図
7に示した従来装置で使用される真空ポンプなどは必要
としない。なお、ベンチレータは、ロータリーポンプや
他のドライポンプなどで問題となるガスの混入を排除す
ることができるので、封止状態の作業ガスを循環させる
目的に対してより適合する循環装置となる。インバータ
等の調整装置10が、循環系に設置された流量センサー
9の信号を用いてベンチレータ3を調整することによ
り、循環系内の作業物質の流速を前述の一定速度以上に
正確に制御することができる。
【0025】反応生成物分離装置2の上流及び下流に
は、反応生成物分離装置2に隣接して加熱器7,8が設
置される。加熱器7,8には温度コントローラ7a,8
aがそれぞれ設けられ、加熱器7,8の出力を制御し
て、反応生成物分離装置2に隣接するパイプあるいは機
器の温度を保持して、反応生成物が分離装置2の外で分
離して付着することを防いでいる。
【0026】図1では、循環系内に一つの反応生成物分
離装置2が設置されているが、図4に示すように複数の
反応生成物分離装置25a、25b、25cを設けても
よい。図4は、主反応および副反応の3種類の反応生成
物を目的とした場合を示している。分離対象の生成物の
分離に用いる融点あるいは沸点の高い方から順番に、第
1分離装置25a、第2分離装置25b、そして第3分
離装置25cと直列に配置することにより、反応生成物
が混ざることなく別々に回収される。この場合は、それ
ぞれの反応生成物分離装置の温度レベルが異なるから、
それぞれの温度レベル及び隣接する配管や機器の状況に
従い必要に応じてそれぞれ独立に温度設定ができる入口
加熱器26a,26b,26c、及び、出口加熱器27
a,27b,27cが設置される。
【0027】分離作業を開始するには、まず、原料タン
ク11及び添加剤タンク12の出口バルブ11a,12
aを閉じ、作業物質の供給ライン13及び排気ライン1
5のそれぞれのバルブ13a,15aを開き、真空ポン
プ14を起動して循環系内を真空にする。次にバルブ1
5aを閉じ、原料タンクの出口バルブ11aを開けて原
料を循環系内に導入する。導入にあたっては、循環系に
設置された圧力計5により充填圧を測定する。所望の圧
力まで原料を充填できたら出口バルブ11aを閉じる。
次いで、他の物質を添加する必要があるときは、添加剤
タンク12の出口バルブ12aを開けて添加剤を循環系
内に導入する。この場合も圧力計5で充填圧が計測さ
れ、所望の圧力に達したときに出口バルブ12a及びバ
ルブ13aを閉じて作業物質の循環系内への充填が完了
する。
【0028】充填完了後、循環装置3を起動し循環系内
に一定速度以上の速度で作業物質の循環を確立させ、反
応容器1内に入射窓1cを通してレーザ光1bを照射し
光化学反応を促進させる。同じ原子でも同位体により反
応エネルギーが異なる場合がある。そこで、照射するレ
ーザ光1bとして、標的同位体が別の同位体より所定の
化学反応を生じやすいような波長のものを選択すること
により、標的同位体に化学反応の収率が高くなり、濃度
が相対的に高い標的同位体化合物を得ることができる。
標的同位体化合物である反応生成物は分離装置2で分離
回収される。目的とする同位体は、反応生成物、あるい
は、反応しなかった作業物質に濃縮されているので、そ
のいずれかを回収することにより目的同位体をより濃厚
に含む物質の製造が完了する。
【0029】本実施例の同位体分離装置では、循環系内
を作業物質が循環して繰り返し光反応を行うので、より
濃厚な反応性生物を得ることができる。また、循環系内
の作業物質の量が少なくてもよいため、特に非目的同位
体を標的同位体として光反応させて除去し残留分を目的
同位体として収穫するような場合に、より短い時間で高
濃度の目的同位体を得ることができる。さらに、作業物
質が適切な速度で反応容器1内を通過するため、副反応
や再反応を低く押えることができる。
【0030】また、作業物質は入射窓1cと出射窓1d
の近傍に設けられた導入口4a、4bから反応容器1の
中央部に設けられた排出口4cに向かって流れるので、
入射窓や出射窓は反応生成物を含まない作業物質の流れ
で洗われる状態となる上、窓付近のデッドスペースが小
さくなって物質が滞留しないため、物質の付着及びそれ
に起因する透過率の低下や入射窓や出射窓の腐食や劣化
を防止することができる。さらに、循環系全体として作
業物質が停滞することなく常に流れているので系内の壁
や機器の表面に物質が付着しにくく、装置の腐食や劣化
が防止できる。なお、上記実施例では光反応用に波長選
択性がよく高エネルギーな自由電子レーザ光を用いた
が、要求される性能によっては他の光やレーザ光であっ
てもよいことはいうまでもない。
【0031】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の同位体分離
装置は、循環系内に作業物質を循環させ反応容器内の作
業物質を適切な速度で入れ替えることにより副反応や再
反応を抑えることができ、副反応により生じた物質も含
め反応生成物を高い回収効率で分離回収できるため主反
応を効率よく促進することができる。また、反応容器内
を所望の圧力に容易に維持できる等分離工程の運転操作
も容易である。さらに、作業物質が循環系内を常に流れ
ており、特に入射窓は反応生成物を含まない作業物質の
流れに接しているので、入射窓の透過率の低下や入射窓
の劣化、及び、機器内面の腐食・劣化を防止できるので
装置の保守が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の同位体分離装置の実施例の構成を示す
説明図である。
【図2】本実施例の反応容器の他の態様を示す説明図で
ある。
【図3】本実施例の反応容器のさらに他の態様を示す説
明図である。
【図4】本実施例の反応生成物分離装置の他の態様を示
す説明図である。
【図5】従来のバッチ方式の同位体分離装置の例を示す
断面図である。
【図6】従来のバッチ方式の同位体分離装置の他の例を
示す断面図である。
【図7】従来のバッチ方式の同位体分離装置のさらに他
の例を示す断面図である。
【図8】従来の作業物質を循環使用する方式の同位体分
離装置の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 反応容器 1a 集光レンズ 1b レーザ又は光 1c 入射窓 1d 出射窓 1e エネルギーメータ 2 反応生成物分離装置 3 循環装置 4 パイプ 4a,4b 導入口 4c 排出口 5 圧力計 6 測定装置 7,8 加熱器 7a,7b 温度コントローラ 9 流量センサー 10 調整装置 11 原料タンク 11a 原料タンク出口バルブ 12 添加剤タンク 12a 添加剤タンク出口バルブ 13 供給ライン 13a 供給ライン開閉バルブ 14 真空ポンプ 15 排気ライン 15a 排気ライン開閉バルブ 16 制御記録装置 21a,21b,21c 反応容器 22a,22b,22c,22d レンズ 23 反応容器 24a,24b ミラー 25a,25b,25c 反応生成物分離装置 26a,26b,26c 入口加熱器 27a,27b,27c 出口加熱器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 チェルニシェフ アンドレイ ロシア国ノボシビルスク市インスチツツ カヤ3 インスティチュート・オブ・ケ ミカルカイネティックス・アンド・コン バスチョン内 (72)発明者 黒田 晴雄 千葉県野田市山崎2641 東京理科大学 総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭58−76130(JP,A) 特開 昭53−129437(JP,A) 特開 平6−319957(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 59/00 - 59/50

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光を用いて作業物質に光化学反応を生じ
    させることにより同位体を分離する同位体分離装置にお
    いて、光化学反応の反応容器、反応生成物分離装置及び
    ベンチレータからなる循環装置を配管で直列に接続した
    循環系を構成し、前記反応生成物分離装置を主反応の反
    応生成物のみならず副反応の反応生成物にも対応するよ
    うに循環系内に複数個設置して、該ベンチレータにより
    該循環系内の圧力勾配を抑えつつ系内に封入した作業物
    質を循環させながら光化学反応と反応生成物分離をする
    ことにより同位体の分離を行うことを特徴とする同位体
    分離装置。
  2. 【請求項2】 前記反応容器は、前記光の入射窓を備え
    ると共に、該入射窓対向する位置に該光の出射窓を備
    え、前記作業物質を導入する導入口を前記入射窓と前記
    出射窓の直近内側にそれぞれ設け、該作業物質を排出す
    る排出口を該反応容器の中央部に設けたことを特徴とす
    る請求項記載の同位体分離装置。
  3. 【請求項3】 前記反応容器は、前記光の入射窓を備え
    ると共に、該入射窓対向する位置に該光の出射窓を備
    え、前記作業物質を導入する導入口を前記入射窓と前記
    出射窓の直近内側にそれぞれ設け、該作業物質を排出す
    る排出口を中央部に設けた容器を、前記入射窓と前記出
    射窓を突き合わせて前記光の光路に沿って直列に2個以
    上接続することにより循環系中に並列に配設して形成し
    たことを特徴とする請求項記載の同位体分離装置。
  4. 【請求項4】 前記反応生成物分離装置の上流および下
    流に加熱器を設けたことを特徴とする請求項1から
    いずれかに記載の同位体分離装置。
  5. 【請求項5】 前記光化学反応に用いられる光が、自由
    電子レーザ光であることを特徴とする請求項1から
    いずれかに記載の同位体分離装置。
  6. 【請求項6】 物質を高純度化するために用いられるこ
    とを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の同位
    体分離装置。
  7. 【請求項7】 物質を合成するために用いられることを
    特徴とする請求項1からいずれかに記載の同位体分離
    装置。
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