JP3481209B2 - 胎、素地及びそれらを用いる七宝の製造方法 - Google Patents

胎、素地及びそれらを用いる七宝の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、七宝を製造するた
めの胎、素地及びそれらを用いた金属箔七宝及び省胎七
宝の製造方法ならびに欠陥七宝品の修復方法に関する。
【0002】
【従来の技術】銅板等を素地金属とし、その表面に釉薬
を焼き付けたものは七宝と呼ばれ、銀線等の線で絵模様
をつけたものは有線七宝と呼ばれる。有線七宝の代表的
な製法は、銅板等の素地金属で器物を成形した後、表面
に区画線の模様を描き、これに沿って銀線等の線を糊付
けし、全体に下釉薬を盛って、焼成する。次いで線で区
切られた部分に適当な色釉薬を差し、焼成する。釉薬差
しと焼成を数回繰り返した後、最後に研磨により絵模様
の線を出すと共に表面に光沢を与えるというものであ
る。
【0003】一方、線と線に囲まれた七宝釉薬単体の硝
子質部分からなるものは省胎七宝と呼ばれる。省胎七宝
の代表的な製法は、例えば、素地金属として銅板を用
い、上記の七宝加工を施して制作された銅板七宝加工品
を濃硝酸と濃塩酸の混液等に浸漬し、銅板を溶解除去
し、銀線と銀線で囲まれた七宝釉薬単体の硝子質部分だ
けを残すというものである。この場合に、省胎七宝とす
るために最後に溶解除去される銅板等は、胎と呼ばれ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】省胎七宝は、非常に難
しい手法で、プロの職人において成功率は60%以下と
言われる。その理由は、主として、銅板等の金属を省胎
七宝製造のための胎として用いることにある。即ち、七
宝製品は下地焼成、線の固定、色差調整、研磨後の光沢
付与等のため6〜7回電気炉に出し入れするため、金属
胎と釉薬はその度に膨張と収縮を繰り返す。しかし、膨
張と収縮の程度が金属胎と釉薬とでは異なるため、最後
に金属胎を溶解除去して省胎七宝とした段階でひび割れ
や割れが発生する。
【0005】例えば、平面的銅板七宝加工品における銅
板は、焼成によって膨張した釉薬の収縮を防止する役割
をも果たしているため、その銅板を溶解除去し、省胎七
宝にした段階で、釉薬が元に収縮して破砕する。また、
立体的銅板七宝は箆絞りで銅板を立体形にするので、銅
板内部に歪みが生じ易く、歪みのあるものに釉薬を塗布
焼成するため、釉薬に移された歪みが銅板の溶解除去に
より露呈し、割れやひび割れが発生する。
【0006】また、金属胎では、瓢箪、球体等の形状を
有する所謂閉塞胎を成形することはできないので、かか
る形状の省胎七宝を製造することはできない。更に、金
属胎では、胎を強酸により溶解除去してしまうため、1
個の胎で1個の省胎七宝しか製造できず、しかも有毒な
酸性ガスを発生する。
【0007】本発明の課題は、金属を使用しない胎を提
供し、もって金属胎の有する上記欠点を克服し得る七宝
及び省胎七宝並びにその製造方法を提供することにあ
る。また、本発明の課題は、金属を使用しない胎を用い
ることにより、省胎七宝の欠陥品の補修方法を提供する
ことにもある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明においては、耐火
石膏とガラス短繊維との混合物に水を加え、成形し、乾
燥後、該成形品の表面からコロイダルシリカを浸透さ
せ、加熱することにより得られる七宝胎、又は、耐火石
膏とガラス短繊維とコロイダルシリカとの混合物に水を
加え、成形後、加熱することにより得られる七宝胎を用
る。本発明の胎においては、金属胎のような膨張と収
縮は認められず、また本発明の胎では、金属胎では成形
できない、いわゆる閉塞胎の成形も容易である。更に本
発明の胎は、金属胎のように強酸で溶解除去する必要が
無いので1個の胎で複数個の省胎七宝を製造することが
できて、しかも有毒な酸性ガスは発生しない。
【0009】また本発明は、本発明の七宝胎の表面に金
属箔を被覆して得られる七宝素地に係り、更に、本発明
の七宝素地の表面上に七宝加工を施した後、該七宝胎を
除くことを特徴とする金属箔七宝の製造方法に係る。ま
た、本発明は、本発明の七宝胎の表面に銀箔を被覆して
得られる七宝素地の表面上に七宝加工を施した後、該七
宝胎を除き、次いで銀箔を除去することを特徴とする省
胎七宝の製造方法に係り、七宝焼成後の釉薬の収縮に合
わせて融着した銀箔も収縮するので、釉薬に割れやひび
割れは発生しない。
【0010】更に、本発明は、割れやひび割れの発生し
た省胎七宝の欠陥品の裏に銀箔を張り、該銀箔の下に本
発明の七宝胎を形成させ、焼成することを特徴とする該
欠陥品の修復方法に係る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で使用する耐火石膏とは、
通常の石膏(CaSO・2HO)又は焼石膏(Ca
SO・1/2HO)に、例えば陶器の素焼き粉末な
どの添加物を混入し、耐熱温度を高くしたものをいう。
石膏又は焼石膏に混入する添加物は、硫酸カルシウムの
耐火性・耐熱性を高め、七宝焼成温度に耐えるものであ
ればよく、陶器の素焼き粉末には限定されない。
【0012】本発明で使用するガラス短繊維は、短繊維
形状のガラス繊維であり、上記耐火石膏の補強材として
用いられる。長さは1〜7mm、好ましくは3〜6mm
のものがよい。特にストランドチョップと呼ばれる短尺
ガラス繊維が好ましい。
【0013】本発明で使用するコロイダルシリカは、シ
リカゾルとも呼ばれるもので、無水ケイ酸の超微粒子を
コロイド溶液としたものをいう。コロイダルシリカは耐
火石膏成形品に容易に浸透し、吸着力が強いので、これ
を用いることにより、急熱・急冷に耐える硬質の七宝胎
が得られる。
【0014】本発明の七宝胎は、耐火石膏(重量比で9
9.99〜92%、好ましくは99〜98%)とガラス
短繊維(重量比で0.01〜8%、好ましくは1〜2
%)との混合物に、水を耐火石膏に対して重量比で40
〜85%、好ましくは50〜75%加えて十分撹拌し、
必要形状に成形し、室温〜200℃で十分に乾燥後、該
成形品の表面からコロイダルシリカを乾燥成形品に対し
て重量比で3〜15%、好ましくは8〜15%浸透さ
せ、200〜600℃、好ましくは300〜450℃で
加熱することにより得られる。コロイダルシリカを浸透
させる方法としては、例えば塗布、噴霧、ディッピング
等の方法を例示できる。
【0015】また、本発明の七宝胎は、耐火石膏とガラ
ス短繊維を上記の重量比で、更にこれらにコロイダルシ
リカを耐火石膏とガラス短繊維の混合物に対して上記の
重量比で混合し、該混合物に水を耐火石膏に対して上記
の重量比で加えて十分撹拌し、必要形状に成形し、この
成形品を200〜600℃、好ましくは300〜450
℃で加熱することによっても得ることができる。混合の
手順としては、同様の重量比で、耐火石膏とガラス短繊
維との混合物にコロイダルシリカと水との混合物を加え
て撹拌する方法が好ましい。
【0016】本発明の七宝素地は、上記七宝胎の表面に
金属箔を被覆することにより得られる。金属箔として
は、銀箔、金箔、白金箔などを例示できるが、これらに
限定されるものではない。金属箔は、上記七宝胎の表面
の内、少なくとも七宝加工を施す表面の全面に糊等で貼
り付けた後、空焼きすることにより被覆される。金属箔
は、少なくとも七宝加工を施す表面の全面を覆う必要が
あり、そのため金属箔同士が重なる部分ができてもよ
い。糊はCMC糊、白笈糊の他、澱粉質糊でも、合成樹
脂系糊でもよいが、その後の七宝加工性の点から、CM
C糊、白笈糊が好ましい。金属箔を貼り付けた後、ブラ
シ等で軽く叩き、箔と胎の間の空気を脱気するのが好ま
しい。空焼きは金属箔を焼きなまし、七宝胎との密着を
良くし、糊を燃焼揮散させるために行うもので、温度は
500〜750℃、好ましくは600〜700℃で行
う。
【0017】本発明の金属箔七宝は、本発明の上記七宝
素地の表面上に七宝加工を施した後、上記七宝胎を除く
ことにより得られる。七宝素地は本発明の七宝胎の表面
に金属箔を上記と同様の方法で被覆することにより得ら
れる。七宝加工は、通常の七宝加工方法、例えば以下の
方法により行うことができる。金属箔の上に下地釉薬を
塗布し、800〜900℃で下地焼成を行い、その上に
銀線を模様状に糊付けし、800〜900℃で焼成して
銀線を下地釉薬に融着させる。次に銀線に囲まれた部分
に色釉薬を塗布し、銀線模様の外側に色釉薬で地紋様を
彩色し、乾燥させ、800〜900℃で焼成し、焼成後
の釉薬が銀線の高さを越えるまで、施釉と焼成を繰り返
した後、釉薬焼成面をリューターで研磨し、再焼成して
研磨面に光沢を与える。
【0018】七宝加工を施した後、七宝胎を除く。通常
の平面形の胎や立体形の胎の場合は、金属箔と胎を引き
離すことにより容易に胎を取り外すことができる。瓢箪
・球体等の形状を有するいわゆる閉塞胎の場合は、頭頂
部に小さな穴をあけ、好ましくは高温水を注入し、水分
を胎に浸透させて剥離した胎を水とともに除去すること
により、除くことができる。
【0019】本発明の省胎七宝は、本発明の上記七宝胎
の表面に銀箔を被覆して得られる七宝素地の表面上に七
宝加工を施した後、該七宝胎を除き、次いで銀箔を除去
することにより得られる。七宝素地は、本発明の七宝胎
の表面に銀箔を上記と同様の方法で被覆することにより
得られる。七宝加工は、上記と同様の方法により行い、
七宝胎を上記と同様の方法で除けば本発明の銀箔七宝が
得られる。釉薬に融着した銀箔は、例えば希硝酸液を用
いて溶解除去すれば、銀線模様でかたどられた七宝釉薬
単体物となり、本発明の省胎七宝が得られる。
【0020】本発明の七宝胎は、割れやひび割れが発生
した省胎七宝の欠陥品の補修に使用することができる。
該欠陥品の裏に銀箔を張り、銀箔の下に本発明の七宝胎
を形成させる。七宝胎は、該銀箔の下に、耐火石膏とガ
ラス短繊維とのスラリー状混合物を塗り、乾燥後、コロ
イダルシリカを浸透させ、上記七宝胎の加熱温度で加熱
すること、又は、耐火石膏とガラス短繊維とコロイダル
シリカとのスラリー状混合物を塗り、同様の温度で加熱
することにより形成される。耐火石膏とガラス短繊維と
コロイダルシリカと水の比率は上記と同様である。
【0021】これを上記の七宝焼成温度で焼成すると、
釉薬は溶融し、割れ、ひび割れは修復され、銀箔下に本
発明の七宝胎が形成されていることにより、その後の釉
薬の収縮においても割れやひび割れは発生しない。七宝
胎を上記と同様にして除き、希硝酸液に浸漬して銀箔を
溶解除去すると修復された省胎七宝が得られる。
【0022】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説
明するが、何らこれらに限定されるものではない。
【0023】実施例1(七宝胎) 市販の耐火石膏(吉野石膏製)100gとストランドチ
ョップ(ユニチカ製)1gとの混合物に水を50g加え
て十分撹拌して得られたスラリーの一部を円錐形状(底
面の直径100mm、高さ80mm、内部空洞で厚さ5
mm)に成形し、他の一部を平面形状(120mm×1
20mm、厚さ8mm)に成形した。円錐成形品を平面
成形品の中央に載置し、200℃に加熱して十分に乾燥
させた後、コロイダルシリカ(ダイアケミカル製)10
gを塗布し、400℃で焼成し、リキュールグラス省胎
七宝の製作(実施例5)に用いる七宝胎を得た。
【0024】実施例2(七宝胎) 実施例1と同じ耐火石膏100gとストランドチョップ
1gとの混合物に、コロイダルシリカ10gを水50g
に混入した水溶液を加えて十分撹拌し、実施例1と同様
にして、同形状の七宝胎を得た。実施例1に比べて、石
膏の硬化が速やかに進むため、所定の形状への成形を速
やかに行う必要があることを除けば、実施例1と同じ七
宝胎が得られた。
【0025】実施例3(七宝素地) 実施例1の七宝胎の円錐部の全面にCMC糊を塗布し、
底辺20〜30mm、高さ100mmの三角形に裁断し
た銀箔を貼り付け、銀箔と銀箔が数mm重なる部分を作
りながら、七宝胎の円錐部の全面を銀箔で覆い、ブラシ
で軽く叩き、胎と箔の間に残る空気を脱気した。平面部
も銀箔で覆い、更に胎の裏に銀箔を巻き込み、CMC糊
で貼り付け、脱気した。乾燥後、電気炉に入れて650
℃で5分焼成し、銀箔と七宝胎との密着を良くするとと
もに、CMC糊を燃焼揮散させ、リキュールグラス省胎
七宝の製作(実施例5)に用いる七宝素地を得た。
【0026】実施例4(銀箔七宝) 実施例2と同じ重量比の耐火石膏とストランドチョップ
とコロイダルシリカと水との混合物から、実施例2と同
様の方法で平面形状(60mm×60mm、厚さ8m
m)の七宝胎を作り、その表面全面にCMC糊を塗布
し、86mm平方の銀箔を中央に載置し、胎の表面に銀
箔を貼り付け、余剰分5mmを裏面に折り曲げた。ブラ
シで軽く叩き、脱気し、乾燥後、電気炉に入れて600
℃で焼成し、平面形七宝素地を得た。銀箔の上に七宝白
透を0.2mmの厚みに塗布し、乾燥後、電気炉に入れ
て850℃で焼成し、釉薬が溶融したことを確かめて電
気炉から取り出した。木の葉模様の銀線をCMC糊で固
定し、十分乾燥させた後電気炉に入れて、850℃で焼
成し、釉薬が溶融したことを確かめて電気炉から取り出
した。銀線で区切られた模様部分に七宝色釉薬を塗布
し、模様の外側に七宝色釉薬で地紋様を彩色し、乾燥
後、電気炉に入れて850℃で焼成し、釉薬が溶融した
ことを確かめて電気炉から取り出した。釉薬が銀線の高
さを越えるまで2回同様の工程を繰り返し、釉薬焼成面
をリューターで研磨し、銀線の高さに平滑にした。再度
電気炉に入れて850℃で焼成し、焼艶を出した。七宝
胎の裏に折り曲げられた銀箔を広げ、七宝焼成物を七宝
胎から取り外すと、平面形銀箔七宝が得られた。
【0027】実施例5 実施例4の銀箔に変えて金箔を用いた以外は実施例4と
同様の方法により平面形金箔七宝を得た。
【0028】実施例6(省胎七宝) 実施例3の七宝素地の銀箔表面上に銀箔用七宝白透を
0.2mmの厚みに塗布し、乾燥後、電気炉に入れ、8
50℃で下地焼成を行った。花模様に折り曲げた銀線を
CMC糊で固定し、乾燥後、850℃で焼成し、銀線模
様を下地釉薬に固着させた。花模様部分に七宝色釉薬を
塗布し、花模様の外側に地紋様を彩色し、乾燥後、85
0℃で焼成し、同様の工程を3回繰り返し、銀線の高さ
を越えた釉薬の焼成面をリューターで研磨し、平滑にし
た後、再度850℃で焼成した。七宝胎の裏に折り曲げ
られた銀箔を広げ、七宝焼成物を七宝胎から取り外し、
20%希硝酸水溶液に浸漬して、銀箔を溶解除去し、銀
線模様でかたどられた七宝釉薬単体物からなるリキュー
ルグラス用の省胎七宝を得た。
【0029】実施例7(閉塞胎省胎七宝) 長径65mm、短径50mmの卵から半面づつシリコン
雌型を作り、各々に実施例1と同じ重量比の耐火石膏と
ストランドチョップと水からなるスラリーを流し、硬化
するまでにシリコン型をあわせて立体形にし、シリコン
型から卵形の胎を取り出した。胎に多数の穴をあけ、通
気性をもたせ、更に頭頂部に5mm径の穴をあけ、1.
5mmφのステンレス線2本を差し込み、胎内部に上記
スラリーを流してステンレス線を固定した。このステン
レス線で、別途用意した固定台に卵型胎を固定し、20
0℃で乾燥させ、表面全面にコロイダルシリカを塗布
し、450℃で焼成し、卵形七宝胎を得た。七宝胎の全
面にCMC糊を塗布し、実施例3と同様の方法で全面に
銀箔を貼り付け、乾燥、焼成し、卵形七宝素地を得た。
銀箔の上に、実施例4と同様の方法で、七宝加工を施し
た。卵形七宝胎に固定されたステンレス線を引き抜いて
外し、頭頂部の穴から高温水を注入し、水分を胎に浸透
させ、先を鉤型に曲げた細い金属棒を挿入して剥離した
胎をかき出して除去した。七宝胎を除いた七宝焼成物
は、実施例5と同様の方法で希硝酸液に浸漬して銀箔を
溶解除去すると、銀線模様でかたどられた七宝釉薬単体
のガラス質からなる卵形省胎七宝が得られた。
【0030】実施例8(欠陥品の修復) 銅板七宝加工品から銅板を溶解除去して釉薬内部に細か
い割れ目(貫入)が発生したリキュールグラス用省胎七
宝の欠陥品の内面全面に銀箔を張り、その上に実施例1
と同じ重量比の耐火石膏とストランドチョップと水から
なるスラリーを塗り、充分乾燥させてからコロイダルシ
リカを塗布し、400℃で焼成した。これを電気炉に入
れて850℃で焼成し、釉薬が溶融して貫入が完全に修
復されたことを確かめて電気炉から取り出した。修復さ
れた七宝焼成物から七宝胎を取外し、希硝酸液に浸漬し
て銀箔を溶解除去すると完全に修復されたリキュールグ
ラス用省胎七宝が得られた。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば金属胎のような膨張・収
縮のない安定した胎を得ることができ、その表面に銀箔
を形成させて得られる七宝素地の上に七宝加工を施すこ
とにより、釉薬に割れやひび割れの発生しない省胎七宝
を得ることができる。
【0032】また金属胎では、瓢箪、球体等の形状を有
するいわゆる閉塞胎を成形することができないが、本発
明によれば閉塞胎を成形することができるので、かかる
形状の省胎七宝を製造することができる。
【0033】また、金属胎では胎を溶解してしまうた
め、1個の胎で1個の省胎七宝しか製造できないのに比
べて、本発明によれば1個の胎で3〜5個の省胎七宝を
製造することができる。
【0034】また、金属胎は、胎を溶解除去するために
強酸を用いるため、有毒な酸性ガスを発生するが、本発
明によればそのような危険はない。さらに本発明によれ
ば割れやひび割れが発生した省胎七宝の欠陥品を補修す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B44C 1/02 B44C 1/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)又は(B)の七宝胎の表面に
    金属箔を被覆して得られる七宝素地。(A)耐火石膏とガラス短繊維との混合物に水を加え、
    成形し、乾燥後、該成形品の表面からコロイダルシリカ
    を浸透させ、加熱することにより得られる七宝胎 (B)耐火石膏とガラス短繊維とコロイダルシリカとの
    混合物に水を加え、成形後、加熱することにより得られ
    る七宝胎
  2. 【請求項2】 請求項の七宝素地の表面上に七宝加工
    を施した後 宝胎を除くことを特徴とする金属箔七
    宝の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1の(A)又は(B)の七宝胎の
    表面に銀箔を被覆して得られる七宝素地の表面上に七宝
    加工を施した後、該七宝胎を除き、次いで銀箔を除去す
    ることを特徴とする省胎七宝の製造方法。
  4. 【請求項4】 省胎七宝の欠陥品の裏に銀箔を張り、該
    銀箔の下に請求項1の(A)又は(B)の七宝胎を形成
    させ、焼成することを特徴とする該欠陥品の修復方法。
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