JP3473137B2 - エネルギー吸収体の取り付け構造 - Google Patents

エネルギー吸収体の取り付け構造

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JP3473137B2 JP27979194A JP27979194A JP3473137B2 JP 3473137 B2 JP3473137 B2 JP 3473137B2 JP 27979194 A JP27979194 A JP 27979194A JP 27979194 A JP27979194 A JP 27979194A JP 3473137 B2 JP3473137 B2 JP 3473137B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、衝撃力を受ける部位に
配置されて衝突エネルギーを吸収するエネルギー吸収体
の取り付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の車体の前部等の衝撃を受ける部
位には衝突時における衝突エネルギーを吸収するために
エネルギー吸収体が設けられることが多い。一般に、図
57に示すように衝撃時における変位を横軸にとり、そ
のときの荷重を縦軸にとると、同図のハッチングで示す
部分の面積が吸収エネルギーに相当する。この吸収エネ
ルギーの値が大きいほど、衝撃は緩和される。また、同
図の点線で示すように、荷重が急に変化すると急激なシ
ョックが作用する。そのため、そのような現象が生じな
いようにすることが必要である。更に、乗員への衝突時
の影響を小さくするために荷重の最大値を乗員への影響
の低いレベルに抑えることが必要である。以上の要請を
満足するものとして図58に示すエネルギー吸収体1が
採用されている。この物は図示のように上下端を開口す
る内孔1bを有する中空円筒体からなり、上端部には約
45度のテーパ部1aが形成される。また、エネルギー
吸収体1はエネルギー吸収効率が高いことが必要なため
FRPで形成されるものが多い。
【0003】かかるエネルギー吸収体に関する公知技術
として特開平5−118370号公報が挙げられる。こ
の「エネルギー吸収構造体」は繊維補強熱可塑性樹脂筒
状中空体からなり、その上下端の両方又は片方が斜めに
面取りされた形状のもので図58に示したエネルギー吸
収体1とほぼ同一の形状のものからなる。この「エネル
ギー吸収構造体」はその公報内の図3に示されているよ
うに、複数個をハニカム状の束にまとめて車体等の衝撃
吸収場所に取り付けられることもある。
【0004】図58等に示したエネルギー吸収体は、図
59に示すような取り付け部材11,11及びねじロッ
ド12等からなる取り付け構造により車体等に取り付け
られている。取り付け部材11,11はエネルギー吸収
体1の上下両端に当接する平板状のフランジ板部13
と、それから突起する突起部14とからなり、突起部1
4がエネルギー吸収体1の内孔1bに挿入され、取り付
け部材11,11の一方又は双方が車体等に取り付けら
れる。また、ねじロッド12は可撓性の部材からなり、
取り付け部材11,11間に架設されて両者を連結す
る。かかるエネルギー吸収体の取り付け構造に関する公
知技術とし.特開平3−168428号公報及び特公昭
54−31号公報が挙げられる。特開平3−16842
8号公報に開示する「衝撃緩衝装置」は、その第3図に
示されているようにクラッシャブルパイプ(エネルギー
吸収体に相当するもの)を直列に複数個(図示は3個)
配置し、その上下端及びクラッシャブルパイプ間の連結
部には図59に示した取り付け部材11,11と近似す
る構造のふた体又は連結リングが設けられている。ま
た、上下端のふた体は締め付けロッド(図59のねじロ
ッド12に相当する)により連結されている。一方、特
公昭54−31号公報は特開平3−168428号公報
とほぼ近似する構造のものからなるが、ふた体又は連結
リングを使用せず、クラッシャブルパイプの端部を上下
板に溶着している。
【0005】FRPで形成された図58に示すエネルギ
ー吸収体1は、その内径と肉厚を図60に示すように、
座屈を生じないで圧潰が生ずるような寸法関係にするこ
とにより、軸方向の圧縮荷重を受けた場合に図61に示
すようにテーパ部1aから順次圧潰され、円筒部の内外
に破片を自由に排出しつつ圧潰荷重が図62に示すよう
に予定された値でほぼ一定に保たれ、その結果安定した
エネルギー吸収が実現される。一方、金属円筒のように
圧潰に適さない材料を利用する場合には座屈荷重を衝撃
吸収に利用するが、荷重は座屈開始以後は激減するため
図57のBu線となってしまう。かかる欠点を補う公知
技術として実開昭57−184338号公報及び実開昭
59−196736号公報が挙げられる。実開昭57−
184338号公報に開示する「配管破断用緩衝装置」
は、その第3図に示すように、異なる高さの円筒を複数
個同心に配置し、同程度の座屈荷重が順次生ずるように
し、図63の線図のように衝撃吸収過程での荷重急減を
或程度防止しようとしている。また、実開昭59−19
6736号公報の「緩衝装置」では、座屈利用のエネル
ギー吸収体たる複数の円筒を軸直角方向に分散配置した
ものを、取り付け部材11,11と近似する構造の蓋体
で保持し、各円筒への荷重を平均化する構造を採用して
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開平5−11837
0号公報に示した「エネルギー吸収構造体」のように取
り付け部材11のような部材を用いないで車体等に取り
付けるものもあるが、一般には図59及び特開平3−1
68428号公報に示すようにフランジ板部13及び突
起部14等を有する取り付け部材11,11の如きもの
を介在させて車体等に組み付ける場合が多い。しかしな
がら、図59等に示したエネルギー吸収体の取り付け構
造には次のような問題点がある。すなわち、取り付け部
材11,11により上下端を閉止されたエネルギー吸収
体1に衝撃力が作用するとテーパ部1a(図58)が形
成されている側が圧潰する。この圧潰により図59に示
すように破片15が発生するが、この破片15は図示の
ように外側に広がると共にエネルギー吸収体1の内孔1
bと突起部14との間の微小間隙内にも入り込み抵抗を
受ける。このため、更に圧潰が続くとエネルギー吸収体
1の内孔1bを拡径しようとする力が作用し、図59に
示すように軸線方向に沿う大きな亀裂16が発生する。
図64はこの場合における変位−荷重線図を示すもので
ある。すなわち、圧潰変位が或る値まではほぼ一定荷重
を保持した状態で変形が生じるが、或る圧潰変位(亀裂
16が生じる変位)を境にして荷重が急激に下がり、エ
ネルギー吸収体1が破壊し衝突エネルギーの吸収能力が
なくなるという問題点がある。また、特公昭54−31
号公報の場合は溶着構造のため衝撃時において溶着部が
破壊され易く、衝突エネルギーの吸収が十分に出来ない
という問題点がある。
【0007】一般に自動車等の衝突エネルギーは非常に
大きく、エネルギー吸収体1を一本使用したのみでは所
要エネルギーを吸収しきれないことが多い。また、図5
8のエネルギー吸収体1は図60に示すように、円筒肉
厚tが同じであるときは内径が小さいほど材料の単位重
量当りのエネルギー吸収量(比エネルギー吸収量)が大
きくなるという特性を有している。この特性を利用し
て、エネルギー吸収の所要量が大なる場合又は設置スペ
ースが限定される場合には特開平5−118370号公
報の図3に示されるように、FRPなどの厚肉円筒状中
空体を複数個束ねてエネルギー吸収量を増やす構造が提
案されている。しかし、この例では円筒が互いに密着配
置されているため互いに圧潰破片の自由な排出を妨げ合
い、図62の斜線で示すような理想的な圧潰特性を折角
潜有しながらそれを実現せずに急激に荷重が増加する結
果乗員等に障害を与え易い。エネルギー吸収体を複数個
併用する構成としては、上記の他に実開昭57−184
338号公報の第3図に示す金属円筒の座屈現象のみを
利用したものもある。これは、前記のように異なる高さ
の円筒を複数個同軸に配置して同程度の座屈荷重が順次
生ずるようにし、衝撃吸収過程での荷重急減を或程度防
止することを目的としているが、複数個の円筒を使用し
ても所要荷重を安定的に増加するものではない。また、
実開昭59−196736号公報では、前記のように座
屈利用のエネルギー吸収体たる複数の円筒を軸直角方向
に分散配置したものを、取り付け部材11,11と近似
する構造の蓋体で保持し、各円筒への荷重を平均化する
構造を採用しているが、この構造は単に各金属円筒の座
屈開始を同期化するものであって座屈後の衝撃荷重を制
御するものではない。またこの構造に、圧潰に適するF
RP製の円筒を使用しても各々の円筒の位置を、衝撃時
に一定位置に保持して一様の圧潰を安定的に進行させる
ことは出来ない。更に、特開昭60−109630号公
報の「エネルギー吸収具」では、FRP円筒を用いても
これらの円筒を正しく固定出来ず、かつ圧潰現象が生じ
ないような治具を用いていることに問題がある。
【0008】本発明は、図58に示したエネルギー吸収
体1を使用した場合における前記したような問題点の発
生を阻止すべく創案されたものであり、圧潰の過程中に
おいて内孔の拡径作用を無くして軸線方向に沿う大きな
亀裂の発生を解消し、かつエネルギー吸収体を複数組み
合わせて使用する場合に各エネルギー吸収体相互間に破
片の自由な排出を妨げない配置として衝突エネルギーを
安定的に吸収し乗員への悪影響を防止するエネルギー吸
収体の取り付け構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の目的を
達成するために、少なくとも一端側にテーパ部を有する
中空円筒体からなるエネルギー吸収体を車体等に取り付
ける取り付け構造であって、その取り付け構造が前記中
空円筒体の両端をそれぞれ閉止する取り付け部材と、該
取り付け部材間を連結する可撓性の連結ロッドとを備え
ると共に、前記テーパ部側の取り付け部材が該テーパ部
に当接する平板状部材と、該平板状部材から突出する突
起部とを備え、その突起部が前記エネルギー吸収体の内
孔及び/又は外周に線接触、点接触又は部分的に面接触
するエネルギー吸収体の取り付け構造を構成するもので
あり、更に、請求項2として前記突起部に前記可撓性の
連結ロッドからなるものを含めると共に、前記エネルギ
ー吸収体に、請求項3として同軸及び/又は偏軸に配置
された複数の寸法の異なる前記中空円筒体、請求項4と
して軸直角方向に分散配置された複数の同寸及び/又は
違寸の前記中空円筒体、請求項5として軸方向に配置さ
れた複数の請求項3及び/又は請求項4のエネルギー吸
収体を含めるものである。
【0010】
【作用】エネルギー吸収体のテーパ部側の取り付け部材
はテーパ部に当接する平板状部材と、その平板状部材か
ら突出する突起部とを備え、その突起部がエネルギー吸
収体の内孔及び/又は外周に線接触、点接触又は部分的
に面接触する。この接触により、テーパ部側の取り付け
部材はエネルギー吸収体の軸と直角方向に固定されて嵌
合状態となる。テーパ部側の取り付け部材又は双方の取
り付け部材が自動車等に取り付けられることによりエネ
ルギー吸収体が所定の位置に設置される。エネルギー吸
収体の端部には破壊トリガーとしてテーパ部が全周に施
され衝突時にはこの端部から破壊が順次他端部側に進行
する。この時発生するエネルギー吸収体の破片はエネル
ギー吸収体の未破壊部分の内外に移動するが、突起部と
円筒の未破壊部分とが線接触、点接触又は部分的に面接
触しているため、円筒の内外に移動してくる破片は突起
部と円筒の未破壊部分との間には入り込まない。これに
より、衝撃吸収過程において円筒が膨張し大きく亀裂す
るのを防止することが出来、エネルギー吸収体が一定荷
重を保ちながらエネルギーを吸収する。複数の中空円筒
体を組み合わせて取り付ける場合には、それ等に、圧潰
時に破片の自由な排出を相互に妨げないような寸法と位
置関係を保持させることにより、複数の中空円筒体の組
み合わせ体が一定荷重を保ちながらエネルギーを吸収す
る。
【0011】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づき説明する。前
記のように、本発明においては、突起部がエネルギー吸
収体の内孔及び/又は外周に線接触、点接触又は部分的
に面接触する。以下においては、この接触の仕方別に実
施例を示す。すなわち、線接触するものとして、実施例
1〜5(図1〜17)、点接触するものとして、実施例
6〜7(図18〜21)、部分的に面接触するものとし
て、実施例8,9(図22〜25)、また、可撓性の連
結ロッドを突起部とするものとして、実施例10,11
(図26〜31)を示す。また、複数の中空円筒体をエ
ネルギー吸収体とするものとして、実施例12〜20
(図32〜54)を示す。なお、突起部は各中空円筒体
の軸直角方向の位置決めをするという上記接触の効果を
各中空円筒体につき3以上の箇所で及ぼし得るものであ
れば、その形状,個数等は任意に定めてよい。
【0012】(実施例1)図1は本実施例1の全体構造
を示す軸断面図、図2は同実施例の上部取り付け部材の
側面図、図3は図2のA−A断面図、図4は図1のB−
B断面図、図5は同実施例の圧潰変形状態を示す軸断面
図、図6は同実施例の変位−荷重線図である。図1にお
いて、1は本実施例のエネルギー吸収体の取り付け構造
により車体等に取り付けられるエネルギー吸収体を表
し、図58に示したエネルギー吸収体1と同じものを表
す。このエネルギー吸収体1の両端には開口端部をそれ
ぞれ閉止する取り付け部材2,3が嵌合する。取り付け
部材2,3は可撓性の連結ロッド4により相互に連結さ
れると共に、それぞれ又は取り付け部材3が車体側に取
り付けられる。これにより、エネルギー吸収体1は適正
に車体等に取り付けられる。なお、以下の説明において
は説明の便宜上、エネルギー吸収体1のテーパ部1a側
の取り付け部材2を上部取り付け部材2とし、反対側の
取り付け部材3を下部取り付け部材3とする。
【0013】上部取り付け部材2は図2及び図3にも示
すように、フランジ板状の平板状部材5と、その平板状
部材5に設けられた3本の丸棒状の突起部6とからな
る。なお、下部取り付け部材3も上部取り付け部材2と
全く同一の構造であるが、上部取り付け部材2とは互い
に円筒軸を中心に180度位相をずらした位置関係で保
持されている。平板状部材5は図3に示すように四角形
状の平板からなり、図1に示すようにテーパ部1aの端
面に当接係合する。この平板状部材5には図3に示すよ
うに、車体側へ取り付け用の取り付け孔7が四隅に形成
されると共に、連結ロッド4を取り付け用のねじ孔8が
形成されている。突起部6は、エネルギー吸収体1の内
孔1bに線接触するように配置されてエネルギー吸収体
1を正しい位置に保持する。図4は図1のB−B断面を
示し、突起部6が1cにおいて内孔1bとエネルギー吸
収体1の軸方向に線接触している状態を示す。この状態
でエネルギー吸収体1の軸方向に衝撃力が加えられると
テーパ部1aが破壊のトリガーとなり、上部取り付け部
材2側からエネルギー吸収体1の圧潰が開始される。図
5は圧潰中のエネルギー吸収体1の軸断面図で、エネル
ギー吸収体1の破片9,10がエネルギー吸収体1の未
圧潰部の内外に移動してくる状況を示す。この過程にお
いて、突起部6は内孔1bに軸方向に線接触しているた
め突起部6と内孔1bとの間に破片10が入り込むこと
はなく、破片10がエネルギー吸収体1の未圧潰部を内
側から膨張させることはない。そのため、圧潰進行過程
でエネルギー吸収体1の未圧潰部に軸方向に沿う大きな
亀裂が生ずることはなく、荷重をほぼ一定に保つ安定的
なエネルギー吸収のための圧潰が実現される。図6はそ
の場合の変形状態を示すもので、ほぼ一定の荷重で変形
が続き従来技術のように急激な荷重変化が生じない。そ
のため、衝突エネルギーを十分に吸収することが出来
る。
【0014】(実施例2)本発明の実施例2を、図7及
び図8に示す。図7は全体構造の軸断面図、図8は図7
のC−C断面図である。本実施例は、実施例1の丸棒状
の突起部6をエネルギー吸収体1の外周1dに1eにお
いて線接触させたものである。突起部6と外周1dとが
線接触しているため、エネルギー吸収体1の圧潰が進行
しても破片が突起部6と外周1dとの間に入り込むこと
はない。そのため、エネルギー吸収体1の未圧潰部に軸
方向に沿う大きな亀裂が生ずることはなく、衝撃エネル
ギーは十分に吸収される。
【0015】(実施例3)本発明の実施例3を、図9〜
12に示す。図9は全体構造の軸断面図、図10は上部
取り付け部材2の底面図、図11は同側面図、図12は
突起部6側を上にした同斜視図である。本実施例では突
起部6を放射多角形の平板状とし、各図の1cで示す部
分でエネルギー吸収体1の内孔1bに線接触させる。本
実施例でも、突起部6が内孔1bに線接触しているた
め、圧潰が進行しても破片が突起部6と内孔1bとの間
に入り込むことはない。そのため、エネルギー吸収体1
の未圧潰部に軸方向に沿う大きな亀裂が生ずることはな
く、衝突エネルギーは十分に吸収される。
【0016】(実施例4)本発明の実施例4を、図13
〜15に示す。図13は全体構造の軸断面図、図14は
図13のD−D断面図、図15は突起部6の斜視図であ
る。本実施例では、突起部6を放射多角形の平板状と
し、その中央部に設けられたねじ孔により可撓性の連結
ロッド4の軸方向に沿ってその設置位置を調節可能に取
り付けられている。本実施例でも、突起部6が内孔1b
に1cにおいて線接触しているため、圧潰が進行しても
破片が突起部6と内孔1bとの間に入り込むことはな
い。そのためエネルギー吸収体1の未圧潰部に軸方向に
沿う大きな亀裂が生ずることはなく、衝突エネルギーは
十分に吸収される。更に、本実施例においては、突起部
6の設置位置が前記のように調節可能であるため、エネ
ルギー吸収体1の破片を収容する空間1fの大きさを調
節することが出来、更に有効な衝突エネルギーの吸収が
可能となる。
【0017】(実施例5)本発明の実施例5を、図16
及び図17に示す。図16は全体構造の軸断面図、図1
7は図21のE−E断面図である。本実施例では、平板
状部材5に多角形の棒状をした4本の突起部6がエネル
ギー吸収体1の外周1dにそれぞれ1eで線接触するよ
うに配置されている。これにより、エネルギー吸収体1
は正しい位置に保持される。突起部6が線接触している
ため、エネルギー吸収体1の圧潰が進行しても破片が突
起部6と外周1dとの間に入り込むことはない。そのた
めエネルギー吸収体1の未圧潰部に軸方向に沿う大きな
亀裂が生ずることはなく、衝撃エネルギーは十分に吸収
される。
【0018】(実施例6)本発明の実施例6を、図18
及び図19に示す。図18は全体構造の軸断面図、図1
9は図18のF−F断面図である。本実施例では、平板
状部材5にL字型の4本の突起部6が設けられている。
この突起部6は一端部が円錐形状をなし、その円錐の頂
点がエネルギー吸収体1の内孔1bと1cにおいて点接
触する。これによりエネルギー吸収体1が正しい位置に
保持される。突起部6が点接触しているため、エネルギ
ー吸収体1の圧潰が進行しても破片が突起部6と内孔1
bとの間に入り込むことはない。そのためエネルギー吸
収体1の未圧潰部に軸方向に沿う大きな亀裂が生ずるこ
とはなく、衝撃エネルギーは十分に吸収される。
【0019】(実施例7)本発明の実施例7を、図20
及び図21に示す。図20は全体構造の軸断面図、図2
1は図20のG−G断面図である。本実施例は、実施例
6のL字型の突起部6をエネルギー吸収体1の外周1d
に1eにおいて線接触させたものである。突起部6と外
周1dとが線接触しているため、エネルギー吸収体1の
圧潰が進行しても破片が突起部6と外周1dとの間に入
り込むことはない。そのため、エネルギー吸収体1の未
圧潰部に軸方向に沿う大きな亀裂が生ずることはなく、
衝撃エネルギーは十分に吸収される。
【0020】(実施例8)本発明の実施例8を、図22
及び図23に示す。図22は全体構造の軸断面図、図2
3は図25のH−H断面図である。本実施例では、平板
状部材5に棒状の4本の突起部6が設けられている。こ
の突起部6がエネルギー吸収体1の内孔1bに対する部
分はエネルギー吸収体1の内面とほぼ同一の曲率を有し
ており、内孔1bと1cにおいてごく部分的に面接触す
る。これによりエネルギー吸収体1は正しい位置に保持
される。突起部6がごく部分的に面接触しているため、
エネルギー吸収体1の圧潰が進行しても破片が突起部6
と内孔1bとの間に入り込むことはない。そのためエネ
ルギー吸収体1の未圧潰部に軸方向に沿う大きな亀裂が
生ずることはなく、衝撃エネルギーは十分に吸収され
る。
【0021】(実施例9)本発明の実施例9を、図24
及び図25に示す。図24は全体構造の軸断面図、図2
5は図24のJ−J断面図である。本実施例は、実施例
8の棒状の突起部6をエネルギー吸収体1の外周1dに
1eにおいてごく部分的に面接触させたものである。突
起部6と外周1dとがごく部分的に面接触しているた
め、エネルギー吸収体1の圧潰が進行しても破片が突起
部6と外周1dとの間に入り込むことはない。そのた
め、エネルギー吸収体1の未圧潰部に軸方向に沿う大き
な亀裂が生ずることはなく、衝撃エネルギーは十分に吸
収される。
【0022】(実施例10)本発明の実施例10を、図
26〜29に示す。図26は全体構造の軸断面図、図2
7は図7のK−K断面図、図28は上部取り付け部材2
の底面図、図29は圧潰変形状態を示す軸断面図であ
る。本実施例では、突起部として3本の可撓性の連結ロ
ッド4を用いている。図27に示すように、3本の連結
ロッド4はエネルギー吸収体1の内孔1bに1cで線接
触するように配置される。これにより、エネルギー吸収
体1は正しい位置に保持される。本実施例では、連結ロ
ッド4が内孔1bに線接触しているため、図29に示す
ように圧潰が進行しても破片10が連結ロッド4と内孔
1bとの間に入り込むことはない。そのため、エネルギ
ー吸収体1の未圧潰部に軸方向に沿う大きな亀裂が生ず
ることはなく、衝突エネルギーは十分に吸収される。
【0023】(実施例11)本発明の実施例11を、図
30及び図31に示す。図30は全体構造の軸断面図、
図31は図30のL−L断面図である。本実施例は、実
施例10の可撓性の連結ロッド4をエネルギー吸収体1
の外周1dに1eにおいて線接触させたものである。連
結ロッド4と外周1dとが線接触しているため、エネル
ギー吸収体1の圧潰が進行しても破片が連結ロッド4と
外周1dとの間に入り込むことはない。そのため、エネ
ルギー吸収体1の未圧潰部に軸方向に沿う大きな亀裂が
生ずることはなく、衝撃エネルギーは十分に吸収され
る。
【0024】(実施例12)本発明の実施例12を、図
32乃至図35に示す。図32は全体構造の軸断面図、
図33は図32のM−M断面図、図34は全体構造が軸
方向の衝撃を受けた状態の軸断面図である。図35は複
数のエネルギー吸収体の吸収エネルギーを説明する図で
ある。図32において、1g,1h,1jは本実施例の
エネルギー吸収体の取り付け構造により車体等に取り付
けられる複数のエネルギー吸収体を表し、図58に示し
たエネルギー吸収体1と同じ原理で圧潰すべきもので、
それぞれ全長が同じで内径は相異なるものを表す。これ
等のエネルギー吸収体の両端には開口端部をそれぞれ閉
止する取り付け部材2a,3aが接合する。取り付け部
材2a,3aは可撓性の連結ロッド4aにより相互に連
結されると共に、それぞれ又は取り付け部材3aが車体
側に取り付けられる。これにより、エネルギー吸収体1
g,1h,1jは適正に車体等に取り付けられる。
【0025】上部取り付け部材2aは図32及び図33
にも示すように、フランジ板状の平板状部材5aと、各
エネルギー吸収体につき3本以上の丸棒状の突起部6a
とからなる。なお、下部取り付け部材3aも上部取り付
け部材2aと全く同一の構造である。平板状部材5aは
図32及び図33に示すように円板形状の平板からな
り、図32に示すように全てのエネルギー吸収体のテー
パ部1aの端面に当接係合する。これ等のエネルギー吸
収体は下部平板状部材5aにより車体側へ溶接される。
突起部6aは、これ等のエネルギー吸収体の内孔1bに
線接触するように配置されてエネルギー吸収体1g,1
h,1jを正しい位置に保持する。図33は図32のM
−M断面を示し、突起部6aが1cにおいて内孔1bと
エネルギー吸収体1g,1h,1jの軸方向に線接触し
ている状態を示す。この状態でこれ等のエネルギー吸収
体の軸方向に衝撃力が加えられるとテーパ部1aが破壊
のトリガーとなり、上部取り付け部材2a側からこれ等
のエネルギー吸収体の圧潰が同時に開始される。
【0026】図34は圧潰中のこれ等のエネルギー吸収
体の軸断面図で、各エネルギー吸収体の破片9,10が
エネルギー吸収体1g,1h,1jの未圧潰部の内外に
移動してくる状況を示す。この過程において、突起部6
aは内孔1bに軸方向に線接触しているため突起部6a
と内孔1bとの間に破片10が入り込むことはなく、破
片10がこれらのエネルギー吸収体の未圧潰部を内側か
ら膨張させることはない。従って圧潰進行過程で各エネ
ルギー吸収体の未圧潰部に軸方向に沿う大きな亀裂が生
ずるということはない。更に、エネルギー吸収体1gの
内面とエネルギー吸収体1hの外面との間、及びエネル
ギー吸収体1hの内面とエネルギー吸収体1jの外面と
の間にはそれぞれ破片9及び10を収容するに必要な空
間1fが確保されているため、空間1fにこれらの破片
が無理に圧入されることがない。従ってエネルギー吸収
体1g,1h,1jの未圧潰部に軸方向に沿う大きな亀
裂が生ずることも無く、又破片が1fに詰まったままで
これ等のエネルギー吸収体の圧潰を妨げることもない。
そのため、限られたスペースで複数のエネルギー吸収体
の圧潰エネルギーを重畳し、かつ荷重をほぼ一定に保つ
安定的なエネルギー吸収のための圧潰が実現される。図
34はその場合の変形状態を示し、また図35は図34
での圧潰荷重の重畳状態を表す。図35中、P線はエネ
ルギー吸収体1jを単独で圧潰させたと仮定した場合の
圧潰荷重と軸方向圧潰変位の関係を示す。Q線はエネル
ギー吸収体1jと1hを同時に圧潰させたと仮定した場
合の圧潰荷重と軸方向圧潰変位の関係を示す。R線は本
実施例によりエネルギー吸収体1j,1h,1gを同時
に圧潰させた場合を示す。本実施例によれば、限られた
スペースでもほぼ一定の大きな荷重で変形が続き、従来
技術のような急激な荷重変化が生じない。そのため、大
量の衝突エネルギーを十分に吸収することが出来る。
【0027】(実施例13)本発明の実施例13を、図
36及び図37に示す。図36は全体構造の軸断面図、
図37は図36のN−N断面図である。本実施例は、前
記実施例12の突起物を図37に明らかなように軸方向
に沿う多角柱状とし、それ等の多角柱の稜線をエネルギ
ー吸収体1g,1h,1jの内孔1bに1cにおいて線
接触するようにしたものである。
【0028】(実施例14)本発明の実施例14を、図
38及び図39に示す。図38は全体構造の軸断面図、
図39は図38のP−P断面図である。本実施例は、前
記実施例12の突起物の代わりに上下の取り付け部材を
連結する可撓性の連結ロッド4aを使用したものであ
る。図39に示すように可撓性の連結ロッド4aは内孔
1bに1cにおいて軸方向に線接触している。そのた
め、可撓性の連結ロッド4aと内孔1bとの間にエネル
ギー吸収体の破片が入り込むことはない。また、各エネ
ルギー吸収体間には圧潰破片を収容するに十分な空間1
fが確保されている。
【0029】(実施例15)本発明の実施例15を、図
40乃至図42に示す。図40は全体構造の軸断面図、
図41は全体構造が軸方向の衝撃を受けた状態の軸断面
図である。図42は複数のエネルギー吸収体の吸収エネ
ルギーを説明する図である。図40において、1g,1
h,1jは本実施例のエネルギー吸収体の取り付け構造
により車体等に取り付けられる複数のエネルギー吸収体
を表し、図58に示したエネルギー吸収体1と同じ原理
で圧潰すべきもので、それぞれ全長が相異なり、かつ内
径も相異なるものを表す。エネルギー吸収体の全長は1
j,1h,1gの順に短くなっており、内径はこの順に
大きくなっている。これらのエネルギー吸収体の下端部
には開口端部をそれぞれ閉止する取り付け部材3aが接
合する。上端部の取り付け部材2aは最長のエネルギー
吸収体1jのみを閉止する。取り付け部材2a,3aは
可撓性の連結ロッド4aにより相互に連結されると共
に、それぞれ又は取り付け部材3aが車体側に取り付け
られる。これにより、エネルギー吸収体1g,1h,1
jは適正に車体等に取り付けられる。
【0030】上部取り付け部材2aは、図40に示すよ
うに、フランジ板状の平板状部材5aと、その平板状部
材5aに設けられた丸棒状の突起部6bが3本以上,同
6cが3本以上及び同6dが3本以上とからなる。これ
らの突起部の長さは6d,6c,6bの順に長くなって
おり、エネルギー吸収体の圧潰前において、それぞれ対
応するエネルギー吸収体1j,1h,1gに嵌合するよ
うに設定されている。下部取り付け部材3aは上部取り
付け部材2aとは異なり突起部6aは必ずしも長さを異
にする必要はない。平板状部材5aは円板形状の平板か
らなり、下部平板状部材5aが図55及び図56に示す
ように車体側へ溶接される。突起部6b,6c,6d及
び6aは、これ等のエネルギー吸収体の内孔1bに線接
触するように配置されてエネルギー吸収体1g,1h,
1jを正しい位置に保持する。この状態でこれらのエネ
ルギー吸収体の軸方向に衝撃力が加えられると、先ずエ
ネルギー吸収体1jのテーパ部1aが破壊のトリガーと
なり、上部取り付け部材2a側からこのエネルギー吸収
体1jの圧潰が開始されて進行する。上部取り付け部材
2aが次に図41に示すようにエネルギー吸収体1hの
上端部に達するとエネルギー吸収体1hのテーパ部1a
が破壊のトリガーとなり図41に示す如くエネルギー吸
収体1jと1hが同時に圧潰される。更に圧潰が進行す
ると上部取り付け部材2aがエネルギー吸収体1gに到
達しエネルギー吸収体全本数の圧潰に移行する。
【0031】図41は圧潰中のこれらのエネルギー吸収
体の軸断面図で、各エネルギー吸収体の破片9,10が
エネルギー吸収体1g,1h,1jの未圧潰部の内外に
移動してくる状況を示す。この過程において、突起部6
b,6c,6dは内孔1bに軸方向に線接触しているた
めこれらの突起部と内孔1bとの間に破片10が入り込
むことはなく、破片10がこれらのエネルギー吸収体の
未圧潰部を内側から膨張させることはない。従って圧潰
進行過程で各エネルギー吸収体の未圧潰部に軸方向に沿
う大きな亀裂が生ずることはない。更に、エネルギー吸
収体1gの内面とエネルギー吸収体1hの外面との間、
及びエネルギー吸収体1hの内面とエネルギー吸収体1
jの外面との間にはそれぞれ破片9及び10を収容する
に必要な空間1fが確保されているため、空間1fにこ
れらの破片が無理に圧入されることがない。従ってエネ
ルギー吸収体1g,1h,1jの未圧潰部に軸方向に沿
う大きな亀裂が生ずることも無く、また破片が空間1f
に詰まったままでもこれ等のエネルギー吸収体の圧潰を
妨げることはない。そのため、限られたスペースで複数
のエネルギー吸収体の圧潰エネルギーを順次段階的に重
畳することにより衝突初期での乗員への衝撃を緩和し、
かつ衝撃吸収過程で荷重をほぼ一定に保つ安定的なエネ
ルギー吸収のための圧潰が実現される。図42は図41
での圧潰荷重の重畳状態を表すもので図41中、P線は
エネルギー吸収体1jのみが圧潰されている状態、Q線
はエネルギー吸収体1jと1hが同時に圧潰されている
状態、R線はエネルギー吸収体1j,1h,1gが同時
に圧潰されている状態の圧潰荷重と軸方向圧潰変位の関
係を示す。図42のS線は圧潰現象の立ち上がり時の荷
重が実施例12の図35に較べ緩やかであることを示
す。従って、限られたスペースでもほぼ一定の大きな荷
重で変形が続き従来技術のように急激な荷重変化が生じ
ない。そのため、大量の衝突エネルギーを十分に吸収す
ることが出来る。
【0032】(実施例16)本発明の実施例16を、図
43〜図45に示す。図43は全体構造の軸断面図、図
44は図43のQ−Q断面図、図45は全体構造が軸方
向の衝撃を受けた状態の軸断面図である。本実施例では
限られたスペースで大きな衝撃吸収エネルギーを実現す
るため複数のエネルギー吸収体を同時に使用する方法の
うち、エネルギー吸収体をその軸直角方向に複数個分散
配置するものである。この様な分散配置例の模式平面図
を図46に示す。この様な分散配置の複数のエネルギー
吸収体の相互の位置関係は、各エネルギー吸収体の圧潰
が均一に進行するように、エネルギー吸収体の圧潰時の
破片が各エネルギー吸収体の間に狭搾されることがない
ように設定されねばならない。また、限られたスペース
での設置が必要であるので各エネルギー吸収体の径は小
さいほど良い。また一方、図60に示すようにエネルギ
ー吸収体の肉厚を増やせば比エネルギー吸収量が大きく
なり、エネルギー吸収体を組み合わせた全体構造の比容
積エネルギー吸収量も大きくなる。この関係は図47に
例示する如くである。すなわち、横軸にエネルギー吸収
体の円筒内径をとるとき肉厚が大なるほど縦軸に示す圧
潰時の荷重が大きくなる。
【0033】本実施例に反し、エネルギー吸収体を分散
配置する場合にエネルギー吸収体として金属円筒または
薄肉FRP円筒等を使用する場合は衝撃荷重として座屈
荷重を利用するが、座屈現象は、座屈が一旦生じた以後
は荷重がゼロになるのが原理であるので、複数のエネル
ギー吸収体のうちの何れか一本が座屈を始めると他のエ
ネルギー吸収体が負担する荷重が加速度的に増加し、次
々と座屈が伝播する結果衝撃荷重の安定的重畳が困難で
ある。更に、座屈荷重は実質的に同一の材質及び同一の
形状寸法に製作しても、実際に起きるときの値は非常に
ばらつきがあるため、その均一化制御には困難が伴う。
また若しこれを均一化したとしても座屈現象の原理上、
如何に多数のエネルギー吸収体が同時に使用されても座
屈開始以降は荷重は急減し安定的なエネルギー吸収体組
み合わせ構造とはなり難い。
【0034】本実施例の全体構造の軸断面図を図43に
示す。上部取り付け部材2aには、図43に示すよう
に、圧潰時に発生する破片を収容するための空間1fを
各エネルギー吸収体1の内部に確保するため、テーパ部
1aよりも下方に離れて内接する円板状の突起部6bが
設けられている。下部取り付け部材3aはエネルギー吸
収体1の下端部の軸直角方向の位置を保持すると共に、
可撓性の連結ロッド4aにより上部取り付け部材2aと
ともにエネルギー吸収体1を軸方向に保持する。複数の
エネルギー吸収体1は同一の材質及び同一の形状寸法の
もので、図58に示したエネルギー吸収体1と同じ原理
で圧潰すべきものである。図44は図43のQ−Q断面
を示す。下部取り付け部材3aは、円板形状でありその
上にその円中心位置及びその軸対称位置にエネルギー吸
収体1が分散配置され、車体側へ溶接される。この状態
でこれ等のエネルギー吸収体の軸方向に衝撃力が加えら
れるとテーパ部1aが破壊のトリガーとなり、上部取り
付け部材2a側からこれ等のエネルギー吸収体の圧潰が
同時に開始される。図45は圧潰中のこれらのエネルギ
ー吸収体の軸断面図で、各エネルギー吸収体の破片10
がエネルギー吸収体1と突起部6bの間に確保されてい
る空間1fに、破片9が各エネルギー吸収体1の外面相
互で形成される間隙に移動してくる状況を示す。この過
程において、空間1fが破片10を収容するに十分な容
量としてあるため、これ等のエネルギー吸収体の未圧潰
部を内側から膨張させることはない。従って圧潰進行過
程で各エネルギー吸収体の未圧潰部に軸方向に沿う大き
な亀裂が生ずるということはない。更に、各エネルギー
吸収体1の外面相互で形成される間隙には破片9を収容
するに必要な空間が確保されているため、これらの間隙
に破片が無理に狭搾圧入されることはない。従って、エ
ネルギー吸収体1の未圧潰部に軸方向に沿う大きな亀裂
が生ずることはなく、また破片が上記各エネルギー吸収
体1の外面同士間の間隙に詰まったままでこれらのエネ
ルギー吸収体1の圧潰を妨げることもない。そのため、
各エネルギー吸収体1は安定した一定の荷重で均等に圧
潰され、限られたスペースで複数のエネルギー吸収体の
圧潰エネルギーを有効に重畳し、且つ荷重をほぼ一定に
保つ安定的なエネルギー吸収のための圧潰が実現され
る。
【0035】(実施例17)本発明の実施例17の全体
構造の軸断面図を、図48に示す。本実施例では限られ
たスペースで大きな衝撃吸収エネルギーを実現するため
複数のエネルギー吸収体を同時に使用する方法のうち、
エネルギー吸収体をその軸直角方向に複数個分散配置し
て構成し、更に、この構成をエネルギー吸収体の軸方向
に複数組直列に連結一体化したものである。この構成を
図48に示す。本実施例は前出図43に示す実施例16
の構成を軸方向に複数組直列に連結一体化したものであ
る。図48においてエネルギー吸収体1g,1h,1j
の順に円筒肉厚が薄くなっている。一方、前出実施例1
6で引用した図47に示す如くエネルギー吸収体の肉厚
を増やせば圧潰荷重が大きくなる。従って、この状態で
軸方向の衝撃荷重が加えられると先ず最上段のエネルギ
ー吸収体1jのテーパ部1aから圧潰が始まり、エネル
ギー吸収体1jの圧潰が終了すると、次にエネルギー吸
収体1hのテーパ部1aから圧潰が始まり、エネルギー
吸収体1hの圧潰が終了すると、更に順次に、エネルギ
ー吸収体1gのテーパ部1aから圧潰が始まる。この様
に、圧潰荷重が小さいエネルギー吸収体から順次圧潰が
進行するため、限られたスペースで複数のエネルギー吸
収体の圧潰エネルギーを順次段階的に増加させることが
でき、衝突初期での乗員への衝撃を緩和しつつ、衝撃吸
収過程で荷重をほぼ一定に保つ安定的なエネルギー吸収
のための圧潰が実現される。取り付け部材2aは本実施
例の構造の最上端部、取り付け部材3aは最下端部、取
り付け部材2b及び2cはエネルギー吸収体1g,1
h,1j群の間に設置され、可撓性の連結ロッド4aで
互いに連結され、これらのエネルギー吸収体群の組立間
係位置を保持すると共に衝撃荷重の伝達平均化を実現す
る。
【0036】(実施例18)本発明の実施例18を、図
49及び図50に示す。図49は全体構造の軸断面図、
図50は図49のS−S断面図である。本実施例は前記
実施例17とほぼ同じ構成のものの取り付け部材2a,
3a,2b,2cに丸棒状の突起部6aを設けたもので
ある。突起部6aは、1つの取り付け部材につき各エネ
ルギー吸収体に3本以上設けられ、各突起部6aは各エ
ネルギー吸収体の内孔1bに軸方向に線接触するように
設けられている。そのため、各エネルギー吸収体の圧潰
の過程において、突起部6aと内孔1bとの間に圧潰時
の破片が入り込むことはない。更に、各エネルギー吸収
体の外面間には圧潰破片を収容するに必要な空間が確保
されている。
【0037】(実施例19)本発明の実施例19を、図
51及び図52に示す。本実施例は、前記実施例18の
突起部を三角柱状の突起部6aとしたものである。 (実施例20)本発明の実施例20を、図53及び図5
4に示す。本実施例は、前記実施例18の突起部を可撓
性の連結ロッド4aに代えたものである。
【0038】図55及び図56に上記した実施例の適用
例を示す。図55はエネルギー吸収体群20が下部取り
付け部材19により車体フレームのサイドメンバーに溶
接部23で固定された状態を示す。22は車体フレーム
のクロスメンバーである。図56は、車体等におけるエ
ネルギー吸収体取り付け構造の取り付け位置を示す。2
0は図55に示すエネルギー吸収体群に対応する。24
は車両の前部を表わす。エネルギー吸収体群を車体のフ
レーム等の前部に配置することにより、通常の進行方向
の衝突に際し、図55に示す上部取り付け部材18を通
して衝撃力がエネルギー吸収体群20に伝播される。
【0039】
【発明の効果】中空円筒状のエネルギー吸収体のテーパ
部側の取り付け部材をそのテーパ部に当接する平板状部
材と、その平板状部材から突出し中空円筒体の内孔及び
/又は外周に線接触、点接触または部分的に面接触する
突起部とを備えるものとしたことにより、その突起部と
エネルギー吸収体との間にエネルギー吸収体の破片等が
入り込むことはない。そのため、圧潰進行過程でエネル
ギー吸収体の軸線方向に沿って大きな亀裂が生ずること
はなく、安定的なエネルギー吸収のための圧潰が実現さ
れる。更に、上記の特徴を有するエネルギー吸収構造を
1単位として、これを複数個、同心、偏心または水平分
散配置構造等を採用することにより、限られたスペース
において大きな衝撃エネルギーを吸収する必要のある場
合においても、安定的なエネルギー吸収のための圧潰が
実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の全体構造を示す軸断面図。
【図2】同実施例の上部取り付け部材の側面図。
【図3】図2のA−A断面図。
【図4】図1のB−B断面図。
【図5】同実施例の作用を説明するための軸断面図。
【図6】同実施例の圧潰変形時における変位−荷重曲
線。
【図7】実施例2の全体構造を示す軸断面図。
【図8】図7のC−C断面図。
【図9】実施例3の全体構造を示す軸断面図。
【図10】同実施例の上部取り付け部材の底面図。
【図11】同実施例の上部取り付け部材の側面図。
【図12】同実施例の上部取り付け部材の突起部を上向
きにした斜視図。
【図13】実施例4の全体構造を示す軸断面図。
【図14】図13のD−D断面図。
【図15】同実施例の位置調節可能な突起部の斜視図。
【図16】実施例5の全体構造を示す軸断面図
【図17】図16のE−E断面図。
【図18】実施例6の全体構造を示す軸断面図。
【図19】図18のF−F断面図。
【図20】実施例7の全体構造を示す軸断面図。
【図21】図20のG−G断面図。
【図22】実施例8の全体構造を示す軸断面図。
【図23】図22のH−H断面図。
【図24】実施例9の全体構造を示す軸断面図。
【図25】図24のJ−J断面図。
【図26】実施例10の全体構造を示す軸断面図。
【図27】図26のK−K断面図。
【図28】同実施例の上部取り付け部材の底面図。
【図29】同実施例の作用を説明するための軸断面図。
【図30】実施例11の全体構造を示す軸断面図。
【図31】図30のL−L断面図。
【図32】実施例12の全体構造を示す軸断面図。
【図33】図32のM−M断面図。
【図34】同実施例の作用を説明するための軸断面図。
【図35】同実施例の圧潰変形時における変位−荷重曲
線。
【図36】実施例13の全体構造を示す軸断面図。
【図37】図36のN−N断面図。
【図38】実施例14の全体構造を示す軸断面図。
【図39】図38のP−P断面図。
【図40】実施例15の全体構造を示す軸断面図。
【図41】同実施例の作用を説明するための軸断面図。
【図42】同実施例の圧潰変形時における変位−荷重曲
線。
【図43】実施例16の全体構造を示す軸断面図。
【図44】図43のQ−Q断面図。
【図45】同実施例の作用を説明するための軸断面図。
【図46】エネルギー吸収体を軸直角方向に分散配置す
る模式図。
【図47】エネルギー吸収体の円筒肉厚と圧潰荷重の関
係を表す線図。
【図48】実施例17の全体構造を示す軸断面図。
【図49】実施例18の全体構造を示す軸断面図。
【図50】図49のS−S断面図。
【図51】実施例19の全体構造を示す軸断面図。
【図52】図51のT−T断面図。
【図53】実施例20の全体構造を示す軸断面図。
【図54】図53のU−U断面図。
【図55】エネルギー吸収体群を車両に取り付ける適用
例の部分図。
【図56】エネルギー吸収体群を車両に取り付ける適用
例の全体図。
【図57】衝突時における一般的な圧潰変形状態を示す
変位−荷重線図。
【図58】本発明に適用されるエネルギー吸収体の構造
を示す軸断面図。
【図59】従来のエネルギー吸収体の取り付け構造にお
ける作用を示す一部軸断面図。
【図60】エネルギー吸収体円筒の肉厚、座屈荷重と圧
潰荷重の関係を表す線図。
【図61】図58に示すエネルギー吸収体の圧潰時の様
子を説明する軸断面図。
【図62】本発明に適用されるエネルギー吸収体が圧潰
したときの圧潰変位ー荷重線図。
【図63】従来技術で用いられる座屈荷重のみを利用し
た場合のエネルギー吸収体の変位ー荷重線図。
【図64】従来の取り付け構造の圧潰変形時における変
位−荷重曲線。
【符号の説明】
1 エネルギー吸収体 1a テーパ部 1b 内孔 1c エネルギー吸収体の内孔との接触部 1d 外周 1e エネルギー吸収体の外周との接触部 1f 空間 1g エネルギー吸収体 1h エネルギー吸収体 1j エネルギー吸収体 2 上部取り付け部材 2a 取り付け部材 2b 取り付け部材 2c 取り付け部材 3 下部取り付け部材 3a 取り付け部材 4 可撓性の連結ロッド 4a 可撓性の連結ロッド 5 平板状部材 5a 平板状部材 6 突起部 6a 突起部 6b 突起部 6c 突起部 6d 突起部 7 取り付け孔 8 ねじ孔 9 破片 10 破片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−168428(JP,A) 特開 昭60−109630(JP,A) 特開 昭62−17438(JP,A) 特開 平5−118370(JP,A) 特開 平7−145841(JP,A) 実開 昭60−138043(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 7/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一端側にテーパ部を有する中
    空円筒体からなるエネルギー吸収体を車体等に取り付け
    る取り付け構造であって、その取り付け構造が前記中空
    円筒体の両端をそれぞれ閉止する取り付け部材と、該取
    り付け部材間を連結する可撓性の連結ロッドとを備える
    と共に、前記テーパ部側の取り付け部材が該テーパ部に
    当接する平板状部材と、該平板状部材から突出する突起
    部とを備え、その突起部が前記エネルギー吸収体の内孔
    及び/又は外周に線接触、点接触又は部分的に面接触す
    ることを特徴とするエネルギー吸収体の取り付け構造。
  2. 【請求項2】 前記突起部が前記可撓性の連結ロッドか
    らなる請求項1のエネルギー吸収体の取り付け構造。
  3. 【請求項3】 前記エネルギー吸収体が同軸及び/又は
    偏軸に配置された複数の寸法の異なる前記中空円筒体か
    らなる請求項1又は請求項2のエネルギー吸収体の取り
    付け構造。
  4. 【請求項4】 前記エネルギー吸収体が軸直角方向に分
    散配置された複数の同寸及び/又は違寸の前記中空円筒
    体からなる請求項1又は請求項2のエネルギー吸収体の
    取り付け構造。
  5. 【請求項5】 前記エネルギー吸収体が軸方向に配置さ
    れた複数の請求項3及び/又は請求項4のエネルギー吸
    収体からなる請求項1又は請求項2のエネルギー吸収体
    の取り付け構造。
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