JP3470949B2 - 半導体発光装置 - Google Patents

半導体発光装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レンズ型の樹脂封
止体を備えた発光ダイオード等の半導体発光装置に関
し、詳しくは発光素子から発光された光を波長変換して
レンズ外部に放射する半導体発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】発光素子から発光された光を波長変換し
てレンズ外部に放射する半導体発光装置において、近年
では、赤、緑、青の中間色又は白色等の混合色の発光が
可能な半導体発光装置が望まれている。中間色又は混合
色を実現するため、半導体発光素子の発光により励起さ
れて蛍光を発する蛍光物質を樹脂封止体中に添加し、半
導体発光素子の光を波長変換して樹脂封止体の外部に放
射する半導体発光装置が提案されている。
【0003】例えば、特開平7−99345号公報に開
示された半導体発光装置は、図5に示すように、一端に
皿状のカップ10を備えた第1のリードフレーム11
と、一端に細線接続部を備えた第2のリードフレーム1
2と、該カップ10上に固着された半導体発光素子2
と、該半導体発光素子2に形成された電極と細線接続部
との間を電気的に接続する導電性ワイヤ13と、半導体
発光素子2、ワイヤ13、第1のリードフレーム11お
よび第2のリードフレーム12の一端を封止する樹脂封
止体15とを有する。
【0004】この装置によれば、蛍光物質が混入された
一次樹脂で発光素子が封止され、この一次樹脂封止体1
6をさらに二次樹脂封止体17で包囲するように構成さ
れており、発光素子の波長が一次樹脂封止体16内にお
いて所望の波長に変換され、しかもカップ10によって
光が反射されると共に二次樹脂封止体17にて形成され
るレンズにより反射光が集光されるので、変換光の集光
効率が向上するとされている。また、一次樹脂封止体1
6がカップ10の縁部の水平面よりも低くなるようにカ
ップ10内に充填され、外部から入射する光がカップ1
0の縁で遮られ蛍光物質にまで到達しないので、発光装
置の混色を防止できるとされている。
【0005】しかし、特開平7−99345号公報に開
示された半導体発光装置では、波長蛍光物質が一次樹脂
中に混入されて一次樹脂封止体16が構成されているの
で、樹脂中に波長変換材料を分散させる際に、波長変換
材料の比重が樹脂の比重よりも大きいために蛍光物質が
一次樹脂封止体16の底部に溜まりやすく、また蛍光物
質の分散性が悪いために、発光素子の波長が一次樹脂封
止体16内において効率良く変換されていないという欠
点があった。さらに、多量の蛍光物質を必要とするので
高価になるという欠点があった。
【0006】また、特開平10−200165号公報に
は、別の構成の半導体発光装置が開示されている。この
半導体発光装置においては、蛍光物質を含有する蛍光カ
バーが半導体発光素子を封止する樹脂封止体の外面に被
着されており、該蛍光カバーによって半導体発光素子か
ら生じる光りとは異なる波長の光が取り出されるとされ
ている。
【0007】しかし、このような構成の半導体発光装置
は、レンズを構成する樹脂封止体の外面に蛍光カバーを
被着しているため、樹脂封止体によるレンズの機能が損
なわれるという欠点があり、また樹脂封止体の表面にお
いて異なる光束の密度の違いによる蛍光物質の濃度をコ
ントロールしなければ均一な色調の白色を得ることがで
きないという欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点
を解消するためになされたものであり、その目的とする
ところは、発光素子の波長が所望の波長に変換され、変
換光の集光効率が向上することができ、また発光装置の
混色を防止できる上に、波長変換材料の使用量を少なく
しコストを抑えた安価な発光素子の発光の異なる波長に
変換する半導体発光装置(LED)を提供するものであ
る。
【0009】本発明の他の目的は、樹脂封止体によるレ
ンズの機能が損なわれることがなく、また均一な色調の
白色を得ることができる半導体発光装置を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体発光装置
の製造方法は、半導体発光素子を収容して載置するカッ
プと、該カップ内に載置された半導体発光素子を封止す
る一次樹脂封止体と、該一次樹脂封止体を封止しレンズ
機能を有する二次樹脂封止体と、を有する半導体発光装
置の製造方法であって、該一次樹脂封止体の表面に、蛍
光物質と樹脂とを混合した溶液状の樹脂組成物を塗布し
て硬化させることにより波長変換材料層を形成する工
程、および一次樹脂封止体を包囲するように二次充填用
樹脂を充填して二次充填封止体を形成する工程、を包含
し、そのことにより上記目的が達成される。
【0011】一つの実施態様においては、前記樹脂組成
物は、さらに増粘剤が混合されている
【0012】本発明の他の半導体発光装置の製造方法
は、半導体発光素子を収容して載置するカップと、該カ
ップ内に載置された半導体発光素子を封止する一次樹脂
封止体と、該一次樹脂封止体を封止しレンズ機能を有す
る二次樹脂封止体と、を有し、 蛍光物質と、樹脂と、
蛍光物質が表面に付着したマイクロバルーンを含有する
樹脂組成物を、前記カップ内に充填して硬化させること
により該一次樹脂封止体を形成する工程、および一次樹
脂封止体を包囲するように二次充填用樹脂を充填して二
次充填封止体を形成する工程、を包含する。
【0013】本発明のさらに他の半導体発光装置の製造
方法は、半導体発光素子を収容して載置するカップと、
該カップ内に載置された半導体発光素子を封止する一次
樹脂封止体と、該一次樹脂封止体を封止しレンズ機能を
有する二次樹脂封止体と、を有し、一次充填用樹脂で形
成される一次樹脂封止体の表面に、パウダー状の波長変
換材料を吹き付けて波長変換材料層を形成する工程、波
長変換材料層を形成した後、一次充填用樹脂を硬化させ
る工程、および一次樹脂封止体を包囲するように二次充
填用樹脂を充填して二次充填封止体を形成する工程、を
包含する。
【0014】
【0015】
【0016】本発明の作用は以下の通りである。
【0017】本発明の半導体発光装置は、カップ内部に
充填する一次樹脂封止体内には波長変換材料は含有され
ず、その表面又は表面近傍にのみ波長変換材料の層が形
成され、その一次樹脂封止体を包囲する形の二次樹脂封
止体が設けられている。
【0018】従って、半導体発光素子を封止した一次樹
脂封止体の表面または表面近傍に波長交換材料の層を形
成したことにより、波長を所望とする波長に変換するこ
とができ、しかも点光源の半導体発光素子からでた光束
を樹脂で構成したレンズ(二次樹脂封止体)によって集
光することができる。
【0019】一次充填用樹脂封止体の表面又は表面近傍
にのみ波長変換材料層を形成することで、波長変換材料
の使用量を少なくし、コストを抑えることができる。
【0020】また、樹脂と、蛍光物質を表面に付着した
マイクロバルーンを含有する樹脂組成物をカップ内に充
填して硬化させることにより、蛍光物質を均一に一次樹
脂封止体内に分散させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明を図面を参照して説
明する。
【0022】図1は本発明の一実施例に係る半導体発光
装置の模式図である。この半導体発光装置は、一端に皿
状の反射カップ10を備えた第1のリードフレーム11
と、一端に細線接続部を備えた第2のリードフレーム1
2と、該カップ10上に固着された化合物半導体からな
る半導体発光素子2と、該半導体発光素子2に形成され
た電極と細線接続部との間を電気的に接続する導電性ワ
イヤ13と、該カップ10内に充填され半導体発光素子
2を封止する一次樹脂封止体3と、該一次樹脂封止体3
及び第1のリードフレーム11、第2のリードフレーム
12の一端を封止する二次樹脂封止体6を有する。
【0023】上記半導体発光素子2は、第1のリードフ
レーム11に導電性ペーストでダイボンドされ、第2の
リードフレーム12に対して導電性ワイヤ13でワイヤ
ボンドされている。
【0024】上記一次樹脂封止体3はエポキシ樹脂等の
透光性樹脂を硬化させることにより形成され、該一次樹
脂封止体3の表面または表面近傍に半導体発光素子2の
発光波長を他の波長に変換する波長変換材料層4が設け
られている。
【0025】この波長変換材料層4は、蛍光物質と樹脂
と増粘剤を混合した溶液状の樹脂組成物を一次樹脂封止
体3の表面に塗布して硬化させることにより形成されて
いる。
【0026】樹脂組成物を一次樹脂封止体3の表面に塗
布する方法としては、公知の塗布方法が採用できる。
【0027】上記波長変換材料としては、例えば、蛍光
染料、蛍光顔料等、半導体発光素子2の発光波長を他の
波長に変換できるものであれば公知の材料を使用するこ
とができる。例えば、基体、付活体及び融剤よりなる蛍
光物質がある。基体としては、亜鉛、カドミウム、マグ
ネシウム、シリコン、イットリウム等の希土類元素等の
酸化物、硫化物、珪酸塩、バナジン酸塩等の無機蛍光物
質又はフルオレセイン、エオシン、油類(鉱物油)等の
有機蛍光物質があげられる。付活体としては、銀、銅、
マンガン、クロム、ユウロビウム、亜鉛、アルミニウ
ム、鉛、リン、砒素、金等があげられる。融剤は、塩化
ナトリウム、塩化カリウム、炭酸マグネシウム、塩化バ
リウム等があげられる。波長変換材料の添加量は、典型
的には樹脂組成物に対して0.001〜数%程度の微量
が用いられる。
【0028】上記半導体発光素子2は、従来公知の各色
を発光する素子が使用される。例えば、GaAlP系、
GaP系、GaN系の半導体発光素子2を使用すれば、
発光色はそれぞれ赤色、緑色、青色となる。また、Ga
As系の半導体発光素子2を使用すれば、赤外発光装置
が得られる。
【0029】一次樹脂封止体3を構成する樹脂と二次樹
脂封止体6を構成する樹脂は同一でもよく、あるいは異
なっていてもよい。一次樹脂封止体3と二次樹脂封止体
6とを異なる樹脂で形成する場合には、一次樹脂封止体
3、二次樹脂封止体6の屈折率を順に小さくして空気の
屈折率に近くなるように設定することが好ましい。また
一次樹脂封止体3には半導体発光素子2の屈折率より小
さい材料が好ましく用いられる。
【0030】上記構成の半導体発光装置を作製するに
は、以下のように行うことができる。
【0031】上記カップ10内に予めプレディップによ
り一次充填用樹脂を満たした後、パウダー状の波長変換
材料を吹き付け、一次充填用樹脂で形成される一次樹脂
封止体3の表面に波長変換材料層4を形成する。波長変
換材料層4を形成した後、樹脂を硬化させる。次に、一
次樹脂封止体3を包囲するように二次充填用樹脂を充填
してレンズ機能を有する二次樹脂封止体6を形成する。
【0032】このようにして得られた半導体発光装置
は、点光源の半導体発光素子2からでた光束を、樹脂で
構成したレンズ形状の二次樹脂封止体6によって集光す
ることができ、しかもこのような特性を損なうことな
く、半導体発光素子2を封止した一次樹脂封止体3の表
面または表面近傍に波長交換材料層6を形成して波長を
所望とする波長に変換することができる。従って、均一
な色調の白色を得ることもできる。
【0033】図2は別の実施形態を示すものである。反
射カップ10内に予めプレディップにより一次充填用樹
脂を満たすまでは、図1に示した実施形態の場合と同様
である。一旦、一次充填用樹脂を硬化し、次に波長変換
材料を含有した樹脂をプレディップ(浸漬して塗布)に
より一次樹脂封止体3の表面に波長交換材料層5を形成
し再度硬化を行う。
【0034】その後は、二次充填用樹脂で必要とするレ
ンズ形状の二次樹脂封止体6を形成し、半導体発光装置
を作製する。
【0035】いずれの場合においても、一次樹脂封止体
3と二次樹脂封止体6との間には波長変換材料層4が形
成され、半導体発光素子2の発光波長を異なる波長に変
換することができる。
【0036】また、波長変換材料を一次樹脂封止体3表
面あるいは表面近傍に均一に設けるために、波長変換材
料と樹脂と増粘剤を混合した樹脂組成物を用いて、この
ものを一次樹脂封止体3表面に塗布してもよい。増粘剤
としては、例えば、シリコン系増粘剤等の公知のものが
使用される。増粘剤を混合することにより、波長変換材
料の樹脂組成物中での分散性がよくなる。
【0037】また、図3に示すように、真空蒸着によっ
て蛍光物質を一次樹脂封止体3の表面に付着させること
により波長変換材料層4を形成してもよい。
【0038】また、図4に示すように、蛍光物質と樹脂
とを含む樹脂組成物を前記カップ10内部に充填した
後、該カップ10の開口側を下側にした状態で樹脂組成
物を硬化させることにより波長変換材料層4を形成して
もよい。すなわち、波長変換材料は、樹脂に比べて比重
が大きいために、カップ10に充填された一次樹脂封止
体3の表面側(下方側)に波長変換材料が堆積して硬化
することになり、従って、一次樹脂封止体3の表面に波
長変換材料層4が形成され、該封止体3の底部(カップ
10の底面側)には透明樹脂部分が形成される。この場
合にも増粘剤を樹脂組成物に添加してもよい。
【0039】さらに、蛍光物質と、樹脂と、蛍光物質が
表面に付着したマイクロバルーンと、増粘剤を含有する
樹脂組成物を、カップ10内に充填して硬化させること
により一次樹脂封止体3を形成してもよい。この場合に
は、マイクロバルーンに付着した半導体変換材料は、一
次樹脂封止体3の表面側に移りやすく、波長変換材料単
体は該封止体の底部側へ移行しやすいために、一次樹脂
封止体3全体としては波長変換材料が均一に分散される
ことになる。
【0040】なお、複数種の波長変換材料を樹脂組成物
に添加混合してもよく、またそのうち一方をマイクロバ
ルーンに付着させた状態で樹脂組成物に混入してもよ
い。例えば、青色を発する半導体発光素子2を用い、緑
色に変換する材料の層と、赤色に変換する材料の層とを
一次樹脂封止体3の表面側に設けることにより、白色の
光を発光することができる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、カップおよび二次樹脂
封止体のレンズの形状等によって所望の光指向性が得ら
れ、波長変換に伴う輝度の低下を最小限に抑制すること
ができる。
【0042】また、発光素子の波長が所望の波長に変換
され、変換光の集光効率が向上し、さらに発光装置の混
色を防止できる上に、波長変換材料の使用量を少なくし
コストを抑えた安価な発光素子の発光の異なる波長に変
換する発光装置を提供することができる。さらに、樹脂
封止体によるレンズの機能が損なわれることがなく、ま
た均一な色調の白色を得ることができる半導体発光装置
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体発光装置の一実施形態の製造方
法を示す模式図である。
【図2】本発明の半導体発光装置の他の実施形態の製造
方法を示す模式図である。
【図3】本発明の半導体発光装置のさらに他の一実施形
態の模式図である。
【図4】本発明の半導体発光装置のさらに他の実施形態
の製造方法を示す模式図である。
【図5】従来の半導体発光装置の模式図である。
【符号の説明】
2 半導体発光素子 3 一次樹脂封止体 4 波長変換材料層 6 二次樹脂封止体 10 カップ 11 第1のリードフレーム 12 第2のリードフレーム

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体発光素子を収容して載置するカッ
    プと、該カップ内に載置された半導体発光素子を封止す
    る一次樹脂封止体と、該一次樹脂封止体を封止しレンズ
    機能を有する二次樹脂封止体と、を有する半導体発光装
    置の製造方法であって、該一次樹脂封止体の表面に、蛍光物質と樹脂とを混合し
    た溶液状の樹脂組成物を塗布して硬化させることにより
    波長変換材料層を形成する工程、および 一次樹脂封止体を包囲するように二次充填用樹脂を充填
    して二次充填封止体を形成する工程、 を包含する半導体
    発光装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記樹脂組成物は、さらに増粘剤が混合
    されている請求項1に記載の半導体発光装置の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 半導体発光素子を収容して載置するカッ
    プと、該カップ内に載置された半導体発光素子を封止す
    る一次樹脂封止体と、該一次樹脂封止体を封止しレンズ
    機能を有する二次樹脂封止体と、を有する半導体発光装
    置の製造方法であって、 蛍光物質と、樹脂と、蛍光物質が表面に付着したマイク
    ロバルーンを含有する樹脂組成物を、前記カップ内に充
    填して硬化させることにより該一次樹脂封止体を形成す
    る工程、および 一次樹脂封止体を包囲するように二次充填用樹脂を充填
    して二次充填封止体を形成する工程、を包含する半導体
    発光装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 半導体発光素子を収容して載置するカッ
    プと、該カップ内に載置された半導体発光素子を封止す
    る一次樹脂封止体と、該一次樹脂封止体を封止しレンズ
    機能を有する二次樹脂封止体と、を有する半導体発光装
    置の製造方法であって、 一次充填用樹脂で形成される一次樹脂封止体の表面に、
    パウダー状の波長変換材料を吹き付けて波長変換材料層
    を形成する工程、 波長変換材料層を形成した後、一次充填用樹脂を硬化さ
    せる工程、および 一次樹脂封止体を包囲するように二次充填用樹脂を充填
    して二次充填封止体を形成する工程、を包含する半導体
    発光装置の製造方法。
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