JP3463679B2 - 冷蔵保存果汁の製造方法 - Google Patents

冷蔵保存果汁の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、みかん
・オレンジ・ネーブル・グレープフルーツ等の柑橘類、
りんご、ぶどう、梨、洋なし、メロン、パイナップル、
桃、いちご、マンゴー等の果物の果汁(ジュース)を作
り、それを殺菌し、冷蔵保存する冷蔵保存果汁の製造方
法に関し、より具体的には、果汁の殺菌効果を高めるこ
とと風味劣化を少なくすることとを両立させる手段に関
する。
【0002】
【従来の技術】冷蔵保存果汁の製造方法としては、果物
を洗浄後、搾汁し、熱殺菌(90℃以上に加熱)処理を
行った後に冷蔵保存する方法が従来から一般的である。
しかしながらこの方法では、熱殺菌処理による果汁の風
味劣化が問題となっている。
【0003】熱殺菌法に代わる殺菌法として、パルス電
界(具体的にはパルス高電界。以下同じ)印加によるパ
ルス電界殺菌法が注目されている。この方法は、果汁に
パルス電界を印加することによって、果汁中の菌(細
菌、酵母(酵母菌)等の菌。以下同じ)の細胞膜を破壊
して殺菌する方法である。この方法によると、果汁を従
来の熱殺菌程度の高い温度にまで加熱・温度保持しなく
ても殺菌を行うことができる。
【0004】しかし、パルス電界殺菌法においても、従
来の熱殺菌法よりかは低い温度レベルではあるけれど
も、若干の高温度条件において電界殺菌処理を行った方
が殺菌効果が高まることがあり、これを実現するため
に、(1)電界殺菌処理部の前段に予備加熱器を設けた
り、あるいは、(2)パルス電界印加そのものによる果
汁へのジュール熱による温度上昇を利用する、等の手段
を併用する場合がある。
【0005】パルス電界印加後の果汁は、熱殺菌法によ
る到達温度よりは低温度ではあるけれども、常温と比較
すれば高温度であるため、パルス電界印加後速やかに果
汁を冷却する目的で、電界殺菌処理部の後段に冷却器を
設ける場合もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来から行われている
果物の洗浄工程や搾汁工程では、熱殺菌処理を前提とし
ているため、熱殺菌前の果汁中に存在する菌数の低減の
観点にはあまり注意が払われていない。そのため、未殺
菌時においては、果汁中に104 個/cc〜10 6 個/
ccという桁(オーダー)の菌が生存することが普通で
ある。
【0007】このような条件下においても、パルス電界
殺菌処理によって、従来の熱殺菌処理に比較して低温に
て殺菌処理を行うことは可能であるので、熱殺菌処理に
比べて、殺菌処理後の果汁の官能評価における優位差は
得られる。官能評価とは、簡単に言えば、果汁の風味劣
化を評価することであり、風味劣化が少なければ官能評
価は高い。
【0008】しかし、より風味劣化の少ない果汁を得る
目的で、できるだけ低温条件にて殺菌処理を施すことが
要求されている。例えば、果汁の殺菌処理後の到達温度
を65℃以下、望ましくは55℃以下に抑えることが要
求されている。また、印加パルス電界の電界強度の時間
積分値(以下これを、電界強度積分値と略して言う場合
がある。これは、矩形波パルス電界の場合は、電界強度
Eとパルス幅τとの積E・τである。)についても、で
きるだけ小さくする方が果汁の風味劣化の少ないことが
分かっている。
【0009】一方、パルス電界殺菌処理による殺菌効果
の観点から言えば、殺菌処理温度および印加パルス電界
の電界強度の時間積分値は重要な条件であり、より高温
度および/またはより大きい電界強度積分値にて殺菌処
理を行う方が殺菌効果は高い。
【0010】要する、殺菌効果を高めるためには、殺菌
処理温度または印加パルス電界の電界強度積分値、ある
いはその両方を高める必要があり、果汁中の菌を殺菌
し、十分な(例えば30日程度の)保存寿命を得るため
には、場合によっては、果汁の品質劣化防止の観点から
好ましい処理温度よりも高温度または過剰な電界強度積
分値にて殺菌処理を行うことが必要なこともある。その
場合は、果汁の風味劣化が大きくなり、十分に品質の高
い果汁を提供できなくなる恐れがある。
【0011】上記のように、従来の熱殺菌法の代わり
に、それよりも低温殺菌が可能なパルス電界殺菌法を採
用するにしても、単にそれだけでは、果汁の殺菌効果を
高めることと風味劣化を少なくすることとをうまく両立
させることは難しい。
【0012】そこでこの発明は、果汁の殺菌効果を高め
ることと風味劣化を少なくすることとをうまく両立させ
ることのできる方法を提供することを主たる目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明の冷蔵保存果汁
の製造方法は、果物を洗浄する洗浄工程と、この洗浄工
程後の果物の表面を非加熱殺菌処理する非加熱殺菌工程
と、この非加熱殺菌工程後の果物を搾って果汁を得る搾
汁工程と、この搾汁工程によって得られた果汁にパルス
電界を複数ショット印加して電界殺菌処理を施すパルス
電界殺菌工程と、このパルス電界殺菌工程後の果汁を1
0℃以下の温度で保存する冷蔵保存工程とを備えてお
り、しかも前記洗浄工程および前記非加熱殺菌工程をそ
れぞれ1回以上ずつ行うことによって、前記搾汁工程直
後の果汁中の菌数を1000個/cc以下に抑制してお
くことを特徴としている。
【0014】前述したように従来は、熱殺菌処理を前提
として洗浄工程および搾汁工程が行われていたので、熱
殺菌前の果汁中に存在する菌数の低減の観点にはあまり
注意が払われていなかった。
【0015】しかし、パルス電界殺菌法を採用して、よ
り風味劣化の少ない果汁を得る方法を種々検討した結
果、上記のように、洗浄工程および非加熱殺菌工程をそ
れぞれ1回以上ずつ行って、搾汁工程直後の果汁中の菌
数を1000個/cc以下に抑制しておくことが効果的
であることを見い出した。
【0016】この方法によれば、菌数を予め減少させた
上でパルス電界殺菌処理を行うので、従来の菌数(10
4 個/cc〜106 個/cc)で殺菌処理を行う場合よ
りも低温度または低電界強度積分値のパルス電界印加条
件でパルス電界殺菌処理を行っても、殺菌処理後の菌数
を十分に少なくすることができ、果汁の殺菌効果を高め
ることができる。その結果、果汁の保存寿命を長くする
ことができる。
【0017】しかもこの方法によれば、従来の菌数で殺
菌処理を行う場合よりも低温度また低電界強度積分値の
パルス電界印加条件でパルス電界殺菌処理を行うことが
できるので、殺菌処理後の果汁の風味劣化を少なくする
ことができる。
【0018】このようにこの発明によれば、果汁の殺菌
効果を高めることと風味劣化を少なくすることとをうま
く両立させることができる。
【0019】前記搾汁工程直後の果汁中の菌数は、20
0個/cc以下に抑制しておくのがより好ましい。その
ようにすれば、より低温度またはより低電界強度積分値
のパルス電界印加条件でパルス電界殺菌処理を行って
も、殺菌処理後の菌数をより少なくすることができるの
で、果汁の殺菌効果を高めることと風味劣化を少なくす
ることとをよりうまく両立させることができる。
【0020】搾汁工程直後の果汁中の菌数の下限は特に
ないが、0個/ccにするのは現実的ではなく、またそ
れであればその後にパルス電界殺菌処理を施す必要もな
いので、強いて挙げれば0個/ccより大というのが下
限である。
【0021】前記冷蔵保存工程における果汁の保存温度
は、5℃以下にするのがより好ましい。そのようにすれ
ば、冷蔵保存時の菌の増殖をより抑制することができる
ので、果汁の保存寿命をより長くすることができる。
【0022】冷蔵保存工程における果汁の保存温度の下
限も特にないが、0℃以下にするのは現実的ではなく、
またそのようにすると果汁が凍る可能性もあるので、強
いて挙げれば0℃以上というのが下限である。
【0023】前記パルス電界殺菌工程における殺菌処理
後の果汁の到達温度は、65℃以下にするのが好まし
い。そのようにすれば、パルス電界印加による果汁の風
味劣化をより少なくすることができる。当該温度は、5
5℃以下にするのがより好ましく、そのようにすれば、
パルス電界印加による果汁の風味劣化をより一層少なく
することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係る冷蔵保存
果汁の製造方法の一例を示す工程図である。
【0025】この冷蔵保存果汁の製造方法は、果物を選
り分けて傷みのある果物を除去する選果工程11と、こ
の選果工程11後の果物を例えば中性洗剤等によって洗
浄する洗浄工程12と、この洗浄工程12後の果物を水
洗いする水洗い工程13と、この水洗い工程13後の果
物を例えば希釈されたジ亜塩素酸ナトリウムに浸漬する
こと等によって果物の表面を非加熱殺菌処理する非加熱
殺菌工程14と、この非加熱殺菌工程14後の果物を水
洗いする水洗い工程15と、この水洗い工程15後に水
切りした果物を搾って果汁を得る搾汁工程16と、この
搾汁工程16によって得られた果汁を移送等のために一
時保管する一時保管工程17と、この一時保管工程17
後の果汁にパルス電界を複数ショット印加して電界殺菌
処理を施すパルス電界殺菌工程18と、このパルス電界
殺菌工程18後の果汁をボトル等の容器に充填する容器
充填工程19と、この容器充填工程19後の果汁を10
℃以下の温度で保存する冷蔵保存工程20とを備えてい
る。
【0026】上記工程11〜20の内、選果工程11、
水洗い工程13および15、一時保管工程17および容
器充填工程19は必要に応じて設けられるものであり、
必須のものではない。
【0027】そしてこの発明による製造方法では、上記
洗浄工程12を1回または複数回行い、かつ非加熱殺菌
工程14を1回または複数回行うことによって、搾汁工
程16直後の果汁中の菌数を1000個/cc以下に、
望ましくは200個/cc以下に抑制しておくことを重
要な要素としている。
【0028】上記パルス電界殺菌工程18に用いるパル
ス電界殺菌装置30の概略例を図2に示す。
【0029】このパルス電界殺菌装置30は、前記搾汁
工程16によって得られた果汁28にパルス電界EP
印加して電界殺菌処理を施す電界殺菌処理部32と、こ
の電界殺菌処理部32に高圧のパルス電圧VP を繰り返
して印加するパルス電源38とを備えている。
【0030】電界殺菌処理部32は、この例では、互い
に沿って配置された二つの電極34を有していて、両電
極34間に果汁28が流される。両電極34間に上記パ
ルス電源38からパルス電圧VP を繰り返して供給する
ことによって、両電極34間の果汁28にパルス電界E
P が複数ショット(複数パルス)印加され、それによっ
て果汁28に対する電界殺菌処理が行われる。二つの電
極34は、この例では一例として平行平板状をしている
が、同軸円筒状等であっても良い。36は絶縁物であ
る。
【0031】(実施例1)果汁としてバレンシアオレン
ジ果汁を作り保存した実施例について説明する。
【0032】バレンシアオレンジを選果し(選果工程1
1)、中性洗剤にて洗浄し(洗浄工程12)、水洗いし
(水洗い工程13)、600倍希釈したジ亜塩素酸ナト
リウム水溶液にて浸漬殺菌し(非加熱殺菌工程14)、
水洗いし(水洗い工程15)、水切り後に搾汁し(搾汁
工程16)、それによって得られた果汁を3時間一時保
管し(一時保管工程17)、パルス電界殺菌処理を行い
(パルス電界殺菌工程18)、ボトル充填(容器充填工
程19)後、5℃にて保存を行った(冷蔵保存工程2
0)。
【0033】搾汁工程16直後の果汁中の菌数は、工程
11〜15の処理を施した結果、100個/cc程度に
抑制できた。
【0034】パルス電界殺菌工程18では、1ショット
の波形が図3に示すような矩形波形のパルス電界EP
果汁に複数ショット印加した。このときのパルス電界E
P の電界強度Eは30kV/cm、パルス幅τは2μs
とした。このパルス電界殺菌処理による果汁の温度上昇
は約24℃、殺菌処理後の果汁の到達温度は約60℃で
あった。
【0035】なお、果汁にパルス電界EP を複数ショッ
ト印加するということは、パルス電界殺菌工程18にお
いて同一の果汁にパルス電界EP を複数ショット印加す
ることである。より具体例を示せば、図2に示した電界
殺菌処理部32を通過中の同一の果汁28に、パルス電
界EP を複数ショット印加することである。
【0036】また、比較のために、上記パルス電界殺菌
工程18を経ずに(即ちパルス電界殺菌処理を行わず
に)保存した果汁も製造した。
【0037】この実施例において、結果として次のもの
が得られた。
【0038】(1)パルス電界殺菌処理を行っていない
果汁は、冷蔵保存工程20における保存期間が18日で
菌の顕著な増殖が観測された。増殖した菌種は主に乳酸
菌および酵母菌であった。18日以降は菌数は1000
個/cc以上となり、22日以降は官能評価においても
飲めない状態となった。
【0039】(2)パルス電界殺菌処理を行った果汁
は、冷蔵保存工程20における保存期間が60日を経過
しても、菌の顕著な増殖は観測されなかった。また、6
0日後においても、官能評価において良好な品質(風
味)を保持していた。即ち、果汁の殺菌効果を高めるこ
とと風味劣化を少なくすることとをうまく両立させるこ
ととができた。
【0040】なお、果汁を得る果物は、上記バレンシア
オレンジに限られるものではなく、他の果物でも良い。
例えば、他の柑橘類(みかん、ネーブル、グレープフル
ーツ等)、りんご、ぶどう、梨、洋なし、メロン、パイ
ナップル、桃、いちご、マンゴー等でも良い。
【0041】洗浄工程12における洗浄は、上記中性洗
剤水溶液によるもの以外の手段でも良い。例えば、酸性
またはアルカリ性洗剤水溶液による洗浄でも良いし、超
音波洗浄等でも良い。この洗浄工程12は、前述した菌
数が達成できれば1回でも良いし、必要に応じて複数回
行っても良い。その場合、複数回同じ手法を採用しても
良いし、異なった手法を組み合わせても良い。
【0042】非加熱殺菌工程14における殺菌処理は、
上記例では600倍希釈ジ亜塩素酸ナトリウム水溶液に
よる浸漬殺菌としたが、洗剤種、希釈倍率および浸漬時
間は果物にダメージを与えないことを考慮して、果物の
種類に応じて選べば良い。例えば、洗剤種は、塩化ベン
ザルコニウム、アルコール類のようなものでも良いし、
オゾン水、電解水、過酸化水素水等のようなものでも良
い。希釈倍率、浸漬時間も各果物の条件に応じて適宜選
定すれば良い。
【0043】洗浄工程12または非加熱殺菌工程14に
おいては、浸漬による方法の他に、流水洗浄、流水殺
菌、バブリング(液中に多数の気泡を発生させること)
等の手法を用いても良い。
【0044】非加熱殺菌工程14は、前述した菌数が達
成できれば1回でも良いし、必要に応じて複数回行って
も良い。その場合、複数回同じ手法を採用しても良い
し、異なった手法を組み合わせても良い。また、超音波
洗浄手法との併用、可聴音波殺菌(例えば英国BLMイ
ンターナショナル社製、商品名BLM2000等の装置
使用)等と組み合わせても良い。このような複数の手法
を組み合わせることによって、より確実な表面殺菌を行
うことができる。
【0045】搾汁工程16、パルス電界殺菌工程18お
よび容器充填工程19の一部または全てを、無酸素雰囲
気、例えば窒素雰囲気にて実施しても良い。この処理に
より、搾汁時、パルス電界殺菌時あるいは容器充填後の
果汁中の酵素の働きによる果汁の品質劣化(褐色変化、
変色、果汁の分離等)が問題となる果汁の品質劣化を防
止することができる。例えば、りんごジュースの場合で
は、搾汁後のジュースの褐色変化を防止することができ
る。
【0046】搾汁工程16または容器充填工程19にお
いて、果汁の酸化等による劣化を防止する目的で、ビタ
ミンC等の酸化防止剤を果汁に添加しても良い。
【0047】容器充填工程19においては、無菌環境下
または減菌環境下での充填を実施することが好ましい。
【0048】冷蔵保存工程20においては、上記実施例
では5℃としたが、果汁の種類等の条件に応じて、0℃
〜10℃の範囲内で最適な温度を選択すれば良い。ま
た、保存寿命を伸張する目的で、可聴音波殺菌等の手法
を併用しても良い。
【0049】一時保管工程17は、搾汁工程16後の果
汁をパルス電界殺菌工程18へ移送する等のために必要
に応じて設ける工程であり、この一時保管工程17にお
ける一時保管の期間は短い方が好ましい。この一時保管
工程17を経ずに、搾汁工程16の後直ちにパルス電界
殺菌工程18に入るのが、一時保管中の菌の増殖を抑え
る目的からは最も好ましい。しかし、菌の増殖があまり
問題にならない期間、例えば48時間以内のものであれ
ば、この一時保管工程17を設けても構わない。この一
時保管工程17における果汁の温度についても、低温、
例えば0℃〜10℃の範囲内が好ましく、5℃以下がよ
り好ましい。
【0050】一時保管工程17または冷蔵保存工程20
において、果汁中の固形成分や果汁成分の結晶化した物
が沈殿する場合がある。このような沈殿物(いわゆるオ
リ)は、果汁の商品価値を低下させる場合があるので、
保管あるいは保存開始後ある一定時間経過の後に(例え
ば1日〜10日後に)、上記沈殿物を除去するようにし
ても良い。この除去手段としては、例えば、果汁の上澄
み液のみを他の容器へ充填し直すこと等が採り得る。
【0051】(実施例2)上記パルス電界殺菌工程18
において、バレンシアオレンジ果汁にパルス電界殺菌処
理を施す際に、印加パルス電界EP 等の条件を次のよう
に変えて行った実施例について説明する。
【0052】(a)パルス電界EP の波形:矩形波形
(図3参照) (b)パルス電界の電界強度E:25kV/cm (c)印加パルス電界の電界強度の時間積分値G(=E
・τ):0.015、0.025、0.035または
0.05V・s/cm(これはパルス電界のパルス幅τ
が0.6、1.0、1.4または2.0μsにそれぞれ
対応) (d)パルス電界殺菌処理による果汁の温度上昇:15
℃ (e)パルス電界殺菌処理後の果汁の到達温度:55℃
【0053】この実施例において、パルス電界殺菌処理
後の果汁の官能評価について次の結果が得られた。
【0054】(1)電界強度積分値Gが0.025V・
s/cm以下の場合が、電界強度積分値Gが0.035
V・s/cm以上の場合に比べて、果汁の官能評価は明
らかに高かった。即ち、果汁の風味劣化は明らかに少な
かった。
【0055】(2)電界強度積分値Gが0.015V・
s/cmの場合は、果汁の官能評価は一番高かった。
【0056】一方、パルス電界殺菌処理後の果汁の殺菌
効果について次の結果が得られた。
【0057】(1)電界強度積分値Gが0.025V・
s/cm以上の3条件における殺菌効果は互いにほぼ同
等であり、冷蔵保存果汁は30日以上の保存寿命を得
た。
【0058】(2)電界強度積分値Gが0.015V・
s/cmの場合は他の3条件と比較して殺菌効果が明ら
かに劣り、冷蔵保存果汁の保存寿命は、未電界殺菌処理
サンプルと殆ど変わらなかった。即ち、18日以降に菌
増殖が見られた。
【0059】以上要するに、果汁の官能評価を高めるた
めには電界強度積分値Gを小さくすることが有効である
けれども、殺菌効果を確保する上ではこれ以上小さくす
ることができないというしきい値が存在することが確認
できた。即ち、官能評価と殺菌効果とがうまく両立する
最良の電界強度積分値Gは、0.025V・s/cm程
度であることが確認できた。
【0060】ところで、特表平9−510867号公報
には、パルス電界印加による液体食品の受ける電気化学
的作用の可能性を指摘し、この電気化学的作用を防止す
る目的で、パルス電界のパルス幅τ[s]が次式を満た
すようにすることが提案されている。ここで、Cd は電
界処理電極表面に形成される電気二重層キャパシタの単
位面積当たりのキャパシタンス[F/cm2 ]、VR
前記電気二重層における電気化学的反応が開始し得る反
応電圧[V]、ρは液体の電気抵抗率[Ω・cm]、E
は印加電界強度[V/cm]である。
【0061】
【数1】τ<Cd ・VR ・ρ/E
【0062】また同公報から、上記Cd は約480μF
/cm、VR は約0.6Vであることを読み取ることが
できる。
【0063】これらの値と、バレンシアオレンジ果汁の
抵抗率(パルス電界印加時)ρ=150Ω・cmを上記
数1に代入すると、次式が得られる。
【0064】
【数2】 E・τ<Cd ・VR ・ρ=480×10-6×0.6×150 =0.043[V・s/cm]
【0065】この数2のE・τは、前述した印加電界強
度の時間積分値Gと同じ意味である。即ち、上記公報に
よれば、電界強度積分値Gが0.043V・s/cm以
下であれば果汁中において電気化学的作用は生じず、従
って官能評価の低下、即ち風味劣化はないはずである。
【0066】しかしながら、本願の発明者達は、上記実
施例に示すように、上記公報において電気化学的作用が
生じないとされている領域(即ち電界強度積分値Gが
0.043V・s/cm以下の領域)においても風味劣
化が生じること、また、電界強度積分値Gを0.025
V・s/cm以下、望ましくは0.015V・s/cm
以下にすれば風味劣化が抑制できることを見い出した。
これは、上記公報からは全く予測することのできない発
見であり、大きな意味を持っている。
【0067】上記実施例は、バレンシアオレンジ果汁に
おける例であるが、他の果物の果汁でも良い。その場
合、果汁の抵抗率ρが異なり、かつ印加電界強度積分値
Gの許容値は抵抗率ρの大小に比例するので、上記バレ
ンシアオレンジ果汁で確認した最適の電界強度積分値G
=0.025V・s/cmを、任意の種類の果汁(その
抵抗率をρとする)に適用すると、次式で表すことがで
きる。括弧内は、バレンシアオレンジ果汁の抵抗率15
0に対する任意の果汁の抵抗率ρの比である。Kは比例
定数である。
【0068】
【数3】G≦0.025(ρ/150)=K・ρ≒1.
7×10-4・ρ [V・s/cm]
【0069】この数3を満たすことによって、パルス電
界印加によって生じる果汁の風味劣化をより効果的に抑
制することができる。
【0070】また、パルス電界印加による果汁の風味劣
化防止により一層の重点を置くならは、バレンシアオレ
ンジ果汁における電界強度積分値G=0.015V・s
/cmを適用して、任意の果汁について次式を適用して
も良く、そのようにすればより風味劣化の抑制された果
汁の製造が可能になる。
【0071】
【数4】G≦0.015(ρ/150)=K・ρ≒1.
0×10-4・ρ [V・s/cm]
【0072】パルス電界殺菌工程18において果汁に印
加するパルス電界EP の電界強度Eの大きさについて述
べると、パルス電界印加によって、果汁中に存在する菌
の細胞膜を破壊して殺菌するという前述したメカニズム
を達成するためには、これまでに数多くの研究者が行っ
た実験結果から、パルス電界EP の波形中に15kV/
cm以上の電界強度の部分を含む必要がある。そうでな
いと、殆ど殺菌効果が得られない。本願の発明者達も実
験で同様の結果を確認している。従って、パルス電界E
P の最大電界強度E(即ちパルス電界EP の波形のピー
ク部の電界強度)は、上記15kV/cmに余裕を持た
せて、20kV/cm以上にするのが好ましい。
【0073】(実施例3)上記パルス電界殺菌工程18
において、果汁に、正負の内の一方の極性(例えば正極
性。または負極性)の第1パルス電界および当該第1パ
ルス電界に続いていて第1パルス電界とは逆の極性(例
えば負極性。または正極性)の第2パルス電界から成る
両極性パルス電界EP を印加した実施例について説明す
る。
【0074】ここでは、図4に示すように、正極性の第
1パルス電界EP1とそれに続く負極性の第2パルス電界
P2とから成る両極性パルス電界EP を印加した。但
し、極性の組み合わせ方はこの例とは逆転させても良
い。第1パルス電界EP1の電界強度積分値G1 (=E1
・τ1 )は0.015V・s/cm、第2パルス電界E
P2の電界強度積分値G2 (=E2 ・τ2 )は0.03V
・s/cmとした。その他は実施例2と同様である。E
1 、E2 は、それぞれ、パルス電界EP1、EP2の電界強
度、τ1 、τ2 は、それぞれ、パルス電界EP1、EP2
パルス幅である。
【0075】この実施例において、結果として次のもの
が得られた。
【0076】(1)パルス電界殺菌処理後の果汁の官能
評価は、上記実施例2における電界強度積分値Gが0.
015V・s/cmの場合と同等であった。つまり、非
常に良い官能評価が得られた。
【0077】(2)パルス電界殺菌処理後の果汁の殺菌
効果は、上記実施例2における電界強度積分値Gが0.
025V・s/cm以上の場合と同等であり、有効な殺
菌効果が得られた。
【0078】上記(1)および(2)の結果は、両極性
パルス電界を印加することによって、果汁の殺菌効果を
高めることと風味劣化を少なくすることとを、より効果
的により確実に両立させることができるということを示
している。
【0079】上記結果が得られた理由としては次のよう
に考えられる。
【0080】(1)官能評価に関して 図4の両極性パルス電界EP 印加時の図2に示した電界
殺菌処理部32の電極34の表面における電気二重層充
電の様子を図5(A)〜図5(D)に示す。(A)〜
(D)は、それぞれ、図3中の時刻t1 〜t4 における
ものである。
【0081】(a)第1パルス電界EP1印加時(時刻t
1 〜t2 ) 第1パルス電界EP1の印加により、各電極34の表面に
ごく薄い電気二重層40が形成され、当該電気二重層4
0に第1パルス電界EP1の電界強度積分値G1に相当す
る電荷量が蓄積される。
【0082】(b)第2パルス電界EP2印加の前半(時
刻t2 〜t3 ) この領域においては、第1パルス電界EP1と逆極性の電
界印加が行われるため、第1パルス電界EP1による蓄積
電荷は放電され、時刻t3 において電気二重層40の蓄
積電荷は打ち消されて無くなる。
【0083】(c)第2パルス電界EP2印加の後半(時
刻t3 〜t4 ) この領域においては、各電極34の表面の電気二重層4
0に第1パルス電界E P1印加時とは逆極性に電荷が蓄積
される。ここで電気二重層40に蓄積される電荷量は、
第2パルス電界EP2の後ろ半分だけとなるので、第2パ
ルス電界EP2のみを印加した場合の半分、即ち第2パル
ス電界EP2の電界強度積分値G2 の半分に相当する量と
なる。
【0084】(d)両極性パルス電界EP を複数ショッ
ト印加することにより、以降は、上記のような作用が繰
り返される。
【0085】以上のような作用によって、第1パルス電
界EP1の印加によって、それに続く第2パルス電界EP2
による電気二重層40における電荷蓄積量が軽減され、
この実施例の場合は第2パルス電界EP2の電界強度積分
値G2 の半分、即ち0.015V・s/cmに相当する
量しか蓄積されない。パルス電界EP の印加によって果
汁の風味が劣化して官能評価が低下するのは、この電気
二重層40に蓄積されている電荷量に依存し、それが多
くなると電極表面において果汁に及ぼす電気化学的作用
が大きくなり、風味劣化が大きくなる。電荷蓄積量が少
なくなると風味劣化も少なくなる。従ってこの実施例で
は、官能評価は、電界強度積分値Gが0.015V・s
/cmのパルス電界EP を印加した場合と同等のものが
得られたものと考えられる。
【0086】(2)殺菌効果に関して パルス電界印加による果汁の殺菌効果は、前述したよう
に、果汁に印加される電界強度積分値Gに依存する。こ
の電界強度積分値Gに関しては、この実施例では、上記
実施例2において必要十分であることを見い出した0.
025V・s/cm以上の0.03V・s/cmという
電界強度積分値G2 が、第2パルス電界EP2の印加によ
って果汁に加えられる。従ってこれによって、高い殺菌
効果が併せて得られたものと考えられる。
【0087】以上要するに、第2パルス電界EP2の印加
に先立って電荷キャンセルのための第1パルス電界EP1
を印加することによって、第2パルス電界EP2による電
気二重層40への電荷蓄積量を低減することができ、官
能評価に好結果を与える。しかも、第2パルス電界EP2
によって殺菌に十分な電界強度積分値G2 が果汁に印加
されるので、殺菌効果も高い。
【0088】第1パルス電界EP1の電界強度積分値G1
に対する第2パルス電界EP2の電界強度積分値G2 の倍
率M(=G2 /G1 )は、2程度が最も好ましいけれど
も、1よりも大きければ上記電荷蓄積量低減の効果は得
ることができ、1.2以上であればより明確な効果を得
ることができる。
【0089】一方、上記倍率Mが2を超えても、打ち消
し切れなくなって電気二重層40に残る電荷量が多くな
る。また、そのようなバランスの大きく崩れた両極性パ
ルス電界を印加するパルス電源の製作も難しくなる。従
って上記倍率Mは、2.2以下にするのが好ましい。以
上を総合すると、上記倍率Mは、1.2以上2.2以下
にするのが好ましい。
【0090】第1パルス電界EP1の電界強度積分値G1
および第2パルス電界EP2の電界強度積分値G2 は、上
記例以外のものでも良い。具体的には、良好な官能評価
を得るためには、第1パルス電界EP1の電界強度積分値
1 は、上記数3を満たすものが好ましく、上記数4を
満たすものがより好ましい。第2パルス電界EP2の電界
強度積分値G2 は、上記のとおり当該電界強度積分値G
1 の上記M倍が好ましい。
【0091】第1パルス電界EP1と第2パルス電界EP2
との時間差は、第1パルス電界EP1による電荷が自然放
電しない内に第2パルス電界EP2を印加することが大事
であり、具体的には、第1パルス電界EP1の印加完了後
1μs以内に第2パルス電界EP2を印加するのが好まし
い。図4の例では、時刻t2 において両パルス電界
P1、EP2がつながっているので、この時間差がほぼ0
の場合の例である。
【0092】両極性パルス電界EP の波形については、
図4の例は、第1パルス電界EP1および第2パルス電界
P2が共に矩形波状の場合の例であるが、そのいずれ
か、あるいは両方がそうでなくても良い。例えば、正弦
波状波形、指数減衰波形等でも良い。その場合は、上記
電界強度積分値G1 またはG2 は、文字通り電界強度E
の時間積分値∫Edtによって表すことができる。普通
の(即ち単極性の)パルス電界EP の場合も同様であ
る。
【0093】両極性パルス電界EP を印加するためのパ
ルス電源には、種々のものが採り得る。例えば、二つの
互いに逆極性のパルス電源を組み合わせても良い。ある
いは、前記電界殺菌処理部32の二つの電極34間に互
いに直列に接続されたコンデンサ、出力スイッチおよび
インダクタンスの組み合わせによって、減衰振動波形を
した両極性パルス電圧を電界殺菌処理部32に印加する
構成のものでも良い。あるいは、電界殺菌処理部32の
二つの電極34に直列に接続された直列コンデンサと、
この直列コンデンサと電界殺菌処理部32とで構成され
る直列回路に並列に接続されていて可飽和リアクトルか
ら成る磁気スイッチと、この磁気スイッチと前記直列回
路とで構成される直並列回路にパルス電圧を印加するパ
ルス電源とを備える構成のものでも良い。
【0094】
【発明の効果】この発明は、上記のとおり構成されてい
るので、次のような効果を奏する。
【0095】請求項1記載の発明によれば、菌数を予め
減少させた上でパルス電界殺菌処理を行うので、従来の
菌数(104 個/cc〜106 個/cc)で殺菌処理を
行う場合よりも低温度または低電界強度積分値のパルス
電界印加条件でパルス電界殺菌処理を行っても、殺菌処
理後の菌数を十分に少なくすることができ、果汁の殺菌
効果を高めることができる。その結果、果汁の保存寿命
を長くすることができる。
【0096】しかもこの発明によれば、従来の菌数で殺
菌処理を行う場合よりも低温度また低電界強度積分値の
パルス電界印加条件でパルス電界殺菌処理を行うことが
できるので、殺菌処理後の果汁の風味劣化を少なくする
ことができる。
【0097】このようにこの発明によれば、果汁の殺菌
効果を高めることと風味劣化を少なくすることとをうま
く両立させることができる。
【0098】請求項2記載の発明によれば、パルス電界
印加による果汁の風味劣化をより少なくすることができ
る、という更なる効果を奏する。
【0099】請求項3記載の発明によれば、次のような
更なる効果を奏する。
【0100】即ち、パルス電界の最大電界強度の下限を
設けたので、パルス電界印加による殺菌作用を確実に発
揮させることができる。
【0101】しかも、パルス電界の電界強度の時間積分
値を、実験によって果汁の風味劣化を効果的に抑制する
ことができることを見い出した値以下に制限するので、
パルス電界印加によって生じる果汁の風味劣化をより効
果的に抑制することができる。
【0102】請求項4記載の発明によれば、次のような
更なる効果を奏する。
【0103】即ち、両極性パルス電界を用いることによ
って、果汁の風味劣化をもたらす電極表面の電気二重層
への電荷蓄積量を低減して風味劣化をより効果的に抑制
することができると共に、殺菌に必要な電界強度の時間
積分値を果汁に確実に印加することができるのでより確
実な殺菌効果を得ることができる。従って、果汁の殺菌
効果を高めることと風味劣化を少なくすることとをより
確実により効果的に両立させることができる。
【0104】請求項5記載の発明によれば、両極性パル
ス電界を用いることによる請求項4記載の発明の効果を
より確実に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る冷蔵保存果汁の製造方法の一例
を示す工程図である。
【図2】図1中のパルス電界殺菌工程に用いるパルス電
界殺菌装置の一例を示す概略図である。
【図3】パルス電界の1ショットの波形の一例を示す図
である。
【図4】両極性パルス電界の1ショットの波形の一例を
示す図である。
【図5】両極性パルス電界印加時の電極表面の電気二重
層充電の様子を示す図であり、(A)〜(D)は、それ
ぞれ、図3中の時刻t1 〜t4 におけるものである。
【符号の説明】
12 洗浄工程 14 非加熱殺菌工程 16 搾汁工程 18 パルス電界殺菌工程 20 冷蔵保存工程 28 果汁 30 パルス電界殺菌装置 EP パルス電界
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−229859(JP,A) 特開2001−245643(JP,A) 特開2001−69959(JP,A) 特開 平11−56319(JP,A) 特開 平6−245696(JP,A) 特許2781558(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 3/00 - 3/54 A23B 7/04 - 7/055,7/158

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 果物を洗浄する洗浄工程と、この洗浄工
    程後の果物の表面を非加熱殺菌処理する非加熱殺菌工程
    と、この非加熱殺菌工程後の果物を搾って果汁を得る搾
    汁工程と、この搾汁工程によって得られた果汁にパルス
    電界を複数ショット印加して電界殺菌処理を施すパルス
    電界殺菌工程と、このパルス電界殺菌工程後の果汁を1
    0℃以下の温度で保存する冷蔵保存工程とを備えてお
    り、しかも前記洗浄工程および前記非加熱殺菌工程をそ
    れぞれ1回以上ずつ行うことによって、前記搾汁工程直
    後の果汁中の菌数を1000個/cc以下に抑制してお
    くことを特徴とする冷蔵保存果汁の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記パルス電界殺菌工程における殺菌処
    理後の果汁の到達温度を65℃以下に抑える請求項1記
    載の冷蔵保存果汁の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記パルス電界殺菌工程で印加するパル
    ス電界が次の(a)および(b)の条件を満たす請求項
    1または2記載の冷蔵保存果汁の製造方法。 (a)パルス電界の最大電界強度は20kV/cm以上
    であること。 (b)パルス電界の電界強度の時間積分値をG[V・s
    /cm]、果汁の抵抗率をρ[Ω・cm]としたとき、 G≦1.7×10-4・ρ であること。
  4. 【請求項4】 前記パルス電界殺菌工程で印加するパル
    ス電界が、正負の内の一方の極性の第1パルス電界およ
    び当該第1パルス電界に続いていて第1パルス電界とは
    逆の極性の第2パルス電界から成る両極性パルス電界で
    ある請求項1、2または3記載の冷蔵保存果汁の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記第2パルス電界の電界強度の時間積
    分値を、前記第1パルス電界の電界強度の時間積分値の
    1.2倍以上2.2倍以下にする請求項4記載の冷蔵保
    存果汁の製造方法。
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