JP3460673B2 - 特定の遺伝子を発現した生細胞の選択的分離方法 - Google Patents

特定の遺伝子を発現した生細胞の選択的分離方法

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JP3460673B2
JP3460673B2 JP2000130793A JP2000130793A JP3460673B2 JP 3460673 B2 JP3460673 B2 JP 3460673B2 JP 2000130793 A JP2000130793 A JP 2000130793A JP 2000130793 A JP2000130793 A JP 2000130793A JP 3460673 B2 JP3460673 B2 JP 3460673B2
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    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/158Expression markers

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の遺伝子を発
現した生細胞の選択的分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特定の遺伝子を発現した細胞を生きたま
まで選択的に分離する方法としては、当該遺伝子の翻訳
産物が細胞表面分子である場合は、同表面分子に蛍光標
識抗体を結合させフローサイトメーターにより蛍光を発
する細胞を同定し、同定された細胞をセルソーター(Fl
uorescence Activated Cell Sorter、FACS)により
分離する方法を挙げることができる。また、細胞表面分
子に特異的に結合する抗体が敷き詰められたディッシュ
底面上に目的細胞のみを吸着させるパニング法も知られ
ている。
【0003】一方、遺伝子の翻訳産物として細胞表面分
子を生じることなく、翻訳産物が専ら細胞内(細胞質内
もしくは諸器官内)に局在する分子である場合は、上記
の方法を採用することができない。この場合は、細胞内
に局在する分子に特異的な蛍光標識抗体をマイクロイン
ジェクション法により細胞内に導入して遺伝子発現細胞
を蛍光標識し、レーザー光などの照射により生じた蛍光
強度の格差に基づいて、上記のセルソーターにより目的
遺伝子発現細胞を分離することは理論的には可能であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、マイク
ロインジェクションによる上記の細胞標識法は、1回の
実験あたり1個ないしは数個の細胞に蛍光標識抗体を導
入するのが実験手技上の限界であり、また、一度に多く
を標識できる手法ではなく、分子量12万以上の高分子
である抗体の高濃度溶液は粘性が高く細胞内への導入は
容易ではないことから、実用化の観点で問題がある。
【0005】また、遺伝子の翻訳産物が細胞表面分子で
はなく、翻訳産物が細胞外液中に遊離され、細胞内や細
胞膜付近に止まらないような分子である場合は、特定の
遺伝子を発現した細胞を上述の手法で選択的に捕らえ、
他の分子と分離することは非常に困難である。これは、
遺伝情報に基づいて翻訳されて生じたポリぺプチド鎖が
折り畳まれて細胞外へ分泌される過程で、その構造は細
胞内で時々刻々変化するため、既存の抗体では生細胞の
細胞内もしくは細胞表面で効率よくこのポリペプチド鎖
に結合できないからである。また、遺伝子翻訳産物が細
胞表面に存在する場合であっても、その分子が特定の細
胞の細胞表面に特異的に存在するものでなければ、細胞
の選択的分離は困難である。
【0006】上記のような問題点が生じる典型的な例と
して、以下に述べる、遺伝子の翻訳産物としてサイトカ
インを分泌する細胞を選択的に分離する場合が挙げられ
る。
【0007】生体内に抗原が侵入した場合、その抗原を
異物として認識したヘルパーT細胞(CD4+T細胞)
は活性化され、相互に免疫機能を異にするTH1(T
Helper 1、マクロファージ等を活性化し異物を
貪食させて排除するなど細胞性免疫機能を担当する)
と、TH2(T Helper 2、B細胞を活性化し異
物を中和する抗体分子の産生等を促すなど液体性免疫機
能を担当する)とに分化する(図94参照)。TH1お
よびTH2は、サイトカインとしてそれぞれインターロ
イキン−2(IL−2)およびインターロイキン−4
(IL−4)を生じる。健常な状態では、TH1とTH
2は相互に機能を抑制し、均衡を保っているが、この関
係が破綻すれば、さまざまな感染症や自己免疫疾患の原
因となる。
【0008】TH1またはTH2を選択的に分離取得す
ることができれば、免疫機能補充等への応用をはかるこ
とができるため医学的な重要性が高い。したがって、T
H1やTH2の細胞表面に存在し、分離取得のために用
いることが可能な分子を見出す試みが様々なされてき
た。
【0009】例えば、接着分子、P-ならびにE-セレク
チン(selectine)依存的な組織浸潤がヒトTH1に特
異的に観察されることが報告されている(Austrup, F.
et al.Nature, 385, 81-83, 1997)。これは、TH1の
細胞表面特異的に前記セレクチンと接着するリガンドが
存在することを意味する。しかしながら、P-ならびに
E-セレクチンに対する反応性をフローサイトメトリー
で調べてみると、P-セレクチンについてはTH1:T
H2=131:52、E-セレクチンについてはTH
1:TH2=668:88との結果が得られるため、当
該特異性は完全なものではなく、炎症を引き起こした組
織(皮膚、関節)に特有な生理的条件下でTH1において
特に顕著なP-ならびにEに対するリガンドの発現誘導
が起きることが反映された結果であると解釈される。
【0010】また、CC−ケモカイン、エオタキシン
(eotaxin)受容体(CCR3)がヒトTH2の細胞表
面において略特異的に存在するとの報告もある(Sallus
to,F.et al. Science, 277, 1997)。しかしながら、C
CR3陰性のT細胞群の中でもIL−4を産生するTH
2型が1.9%の割合で混在することから、当該特異性
は完全なものではない。また、好酸球、好塩基球の細胞
表面にはTH2よりも格段に多くの同受容体が存在する
ことから、血液中から粗精製されたTリンパ球からCC
R3陽性細胞を分離しただけでは、TH2以外の細胞が混
入する可能性が懸念される。
【0011】さらに、他のCC−ケモカイン、MIP-
1βもしくはIP10の受容体であるCCR5、および
CXC−ケモカイン、SDF-1の受容体であるCXC
R3がヒトTH1の細胞表面に略特異的に存在するとの
報告もある(Loestscher, P.et al. Nature, 391, 344,
1998)。しかしながら、得られた9株のTH2クロー
ンの中の1株はCCR5陽性であったことから、当該特
異性は完全なものではない。また、CXCR3の遺伝子
発現とCXC−ケモカイン依存的な遊走活性のレベルで
はTH1がTH2よりも高いものの、調べたTH2の全
クローンにおいてCXCR3の遺伝子発現が確認された
ことから、当該特異性は完全ではない。また、CCR
5、CXCR3は好中球の細胞表面にも存在することか
ら、血液中から粗精製されたTリンパ球から分離される
CCR5もしくはCXCR3陽性細胞中に好中球が混入
する可能性が懸念される。
【0012】また、IL−12(インターロイキン1
2)の受容体(IL−12R)はヒトTH1の細胞表面に
略特異的に存在するとの報告がある(Rogge, L. et al.
J.Exp.Med, 185, 825, 1997)。しかしながら、TH1
の細胞表面にはIL−12に対する高親和性受容体(Kd
値=27 pM)と低親和性受容体(Kd値=5 nM)が1細胞
表面あたりそれぞれ140分子、450分子存在する
が、同様の低親和性受容体(Kd値=2 nM)がTH2にも
1細胞表面あたり220分子存在する。このことから、
IL−12RもTH1の細胞表面マーカーとして完全な
ものとは言えない。また、NK細胞の細胞表面にもIL
−12Rが存在することから、血液中から粗精製された
Tリンパ球から分離されるIL−12R陽性細胞中にN
K細胞が混入する可能性が懸念される。
【0013】また、IL−18(インターロイキン1
8)の受容体(IL−18R)は、オバルブミン(oval
bumin)に対するT細胞受容体のトランスジェニックマ
ウスから樹立したTH1クローンの細胞表面に特異的に
存在するとの報告がある(Xu,D. et al. J.Exp.Med, 18
8, 1485, 1998)。しかしながら、IL−18Rと同様
にインターロイキン1の受容体(IL−1R)ファミリ
ーに属する分子ST2LがTH2の細胞表面に存在する
ことが知られている。IL−1Rファミリー間の遺伝子
相同性はヒトでは特に高いため、ヒトではIL−18R
がTH1の決定的な細胞表面マーカーとは言えず、これ
までのところヒトTH1の細胞表面に特異的に存在する
ことを報告した例はない。また、単球、好中球、NK細
胞の細胞表面にはTH1よりも格段に多くのIL−18
Rが存在することから、血液中から粗精製されたTリン
パ球から分離されるIL−18R陽性細胞中には、TH
1以外の細胞が混入する可能性が懸念される。
【0014】上記の報告は、総じてTH1もしくはTH
2の細胞表面に存在するサイトカイン、ケモカインなど
の受容体が、量(細胞表面あたりの数)的もしくは質的
(リガンドに対する受容体の親和性もしくはリガンドの
結合にともなう刺激の細胞内伝達性)に顕著に変化し、
その結果、該受容体の分布がTH1もしくはTH2のい
ずれかに極度に偏ることを述べているものと解釈され
る。このようなTH1もしくはTH2の細胞表面分子の
偏りを生じる原因は、ヘルパーT細胞をとりまく生体内
の環境(生理的条件)にあると考えられる。
【0015】例えば、前記サイトカイン受容体のリガン
ドの一つであるIL−12は感染初期にマクロファージ
等によって分泌されるサイトカインであり(Walker, W.
etal. J. Immunol., 162, 5894, 1999)、IL−18
も活性化されたマクロファージやクッパー細胞によって
産生される(Yoshimoto, T. et al. J. Immunol., 161,
3400, 1998)ことが知られている。当然のことなが
ら、これらの両サイトカインは細胞性免疫機能を司るT
H1との間にTH2と比較してより多くの接点を有し、
マクロファージからTH1への生理的情報の伝達を担う
(生体内でTH1を活性化する)因子であると解釈され
る。
【0016】このことから、TH1がマクロファージを
活性化することが、マクロファージから返される刺激
(IL−12やIL−18)を受けることに繋がり、逆
に、TH1によって活性化されたマクロファージは生体
内の異物を排除しながらもTH1を活性化することにな
る。このような相互に依存し合う関係が生体内の炎症部
位で成立していく中で、IL−12やIL−18に対す
る受容体数ならびに受容体分子の活性がTH1の細胞表
面において顕著に増すことは充分に予想されることであ
る。一方のTH2は、生体内でTH1と同じ条件下に曝
されることがないため、IL−12やIL−18を受け
とめる必要性すら無いと解釈される。しかしながら、た
とえ僅かであれIL−12やIL−18の受容体がTH
2の細胞表面に検出される以上、TH2もIL−12や
IL−18に対応する潜在能力を有することは否定でき
ない。
【0017】したがって、これらのサイトカイン受容体
はTH1とTH2両者の中からTH1を識別するための
決定的なマーカーであるとは考えられない。このことに
加え、TH1もしくはTH2に分布が偏る前記ケモカイ
ン、サイトカイン受容体は、NK細胞等ヘルパーT細胞
以外の細胞種にも分布することから、TH1もしくはT
H2を識別するマーカーとして実用的ではないと考えら
れる。例えば、ヒトから採血して得られた血液サンプル
から通常の方法で分離精製されるCD4陽性細胞(ヘル
パーT細胞)の細胞試料中には単球や顆粒球が混在して
いることが多く、これらが疑似陽性細胞となり、TH1
もしくはTH2と見誤ることが予想されるからである。
【0018】上記のように、TH1とTH2とを表面分
子を利用して選択的に分離するのは非常に困難である。
また、TH1およびTH2が産生するサイトカイン(I
L−2およびIL−4)は細胞内や細胞膜付近に止まら
ず、細胞外液中に遊離してしまうため、サイトカインを
用いてTH1とTH2とを選択的に分離することも困難
である。
【0019】本発明は、上記の従来技術の問題点を鑑み
てなされたものであり、細胞にマーカーとして使用可能
な細胞表面分子が存在しない場合や、存在しても細胞間
で区別ができない場合、さらにはマーカーとなるべき分
子が細胞外液中に遊離してしまう場合であっても、目的
とする細胞、すなわち特定の遺伝子を発現した細胞を生
きたままの状態で選択的に分離取得することが可能な分
離方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の問題点は、特定の遺伝子の翻訳産物(ポリぺプチ
ド)を標的(マーカー)として用い、遺伝子発現細胞を
分離しようとするために生じるものであることを見出し
た。そして、この見解に基づいて鋭意研究を重ねた結
果、翻訳産物(ポリぺプチド)に代えて、遺伝子の転写
産物であり、主として細胞質中に浮遊状態で存在するm
RNAを標的(マーカー)として用いることにより、マ
ーカーとして使用可能な細胞表面分子が存在しない場合
や、存在しても細胞間で区別ができない場合、さらには
マーカーとなるべき分子が細胞外液中に遊離してしまう
場合であっても、特定の遺伝子を発現した細胞を生きた
ままの状態で選択的に分離することが可能であることを
見出し、本発明を完成させた。
【0021】すなわち、本発明の特定の遺伝子を発現し
た生細胞の選択的分離方法は、特定のmRNAを発現し
た生細胞を含む生細胞群の細胞中に、該mRNAを標識
可能な標識剤を導入する第1の工程と、前記標識剤で前
記mRNAを標識することにより、標識化mRNAを含
有する生細胞を含む生細胞群を得る第2の工程と、前記
標識化mRNAを検出することにより該標識化mRNA
を含有する生細胞を同定し、同定した該生細胞を前記第
2の工程で得られた前記生細胞群から選択的に分離する
第3の工程とを含むことを特徴とするものである。
【0022】本発明の特定の遺伝子を発現した生細胞の
選択的分離方法においては、前記第1の工程における標
識剤が、前記mRNAと相補的な塩基配列を有し、且つ
蛍光色素で標識されたプローブであり、前記第2の工程
における標識化mRNAが、該プローブと前記mRNA
とのハイブリッド体であり、前記第3の工程において、
該ハイブリッド体を含有する生細胞を含む生細胞群に光
を照射して、該ハイブリッド体の形成に基づく前記蛍光
色素の蛍光変化を検出することにより該蛍光変化を生じ
る生細胞を同定し、同定された該生細胞を前記第2の工
程で得られた前記生細胞群から選択的に分離することが
好ましい。
【0023】また、前記プローブが、第1のプローブお
よび第2のプローブからなり、該第1のプローブと、該
第2のプローブとは、前記mRNAに対して隣接してハ
イブリダイズ可能な塩基配列を有し、該第1のプローブ
がエネルギードナー蛍光色素で標識され、そして該第2
のプローブがエネルギーアクセプタター蛍光色素で標識
されたものであり、前記蛍光変化が、該第1のプローブ
のエネルギードナー蛍光色素から、該第2のプローブの
エネルギーアクセプター蛍光色素への蛍光共鳴エネルギ
ー移動(FRET)により生じるものであることが好ま
しい。
【0024】さらに、本発明の特定の遺伝子を発現した
生細胞の選択的分離方法においては、前記第3の工程に
おける、前記蛍光変化を生じる生細胞の選択的分離が、
セルソーター(FACS)により実施されることが好ま
しい。
【0025】また、前記mRNAが、サイトカインをコ
ードするmRNAであることが好ましく、さらには、前
記mRNAが、インターロイキン−2(IL−2)をコ
ードするmRNAであり、前記第1のプローブが配列表
の配列番号9に記載の塩基配列を有するプローブであ
り、前記第2のプローブが配列表の配列番号10に記載
の塩基配列を有するプローブであり、さらに、前記特定
の遺伝子を発現した生細胞がIL−2を発現した生細胞
であることが好ましい。
【0026】また、前記mRNAが、インターロイキン
−4(IL−4)をコードするmRNAであり、前記第
1のプローブが配列表の配列番号17に記載の塩基配列
を有するプローブであり、前記第2のプローブが配列表
の配列番号18に記載の塩基配列を有するプローブであ
り、さらに、前記特定の遺伝子を発現した生細胞がIL
−4を発現した生細胞であることが好ましい。
【0027】本発明においては、前記第3の工程におい
て選択的に分離される生細胞が、Tヘルパー1(TH
1)細胞、または、Tヘルパー2(TH2)細胞である
ことが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の特定の遺伝子を発現した
生細胞の選択的分離方法は、特定のmRNAを発現した
生細胞を含む生細胞群の細胞中に、該mRNAを標識可
能な標識剤を導入する第1の工程と、前記標識剤で前記
mRNAを標識することにより、標識化mRNAを含有
する生細胞を含む生細胞群を得る第2の工程と、前記標
識化mRNAを検出することにより該標識化mRNAを
含有する生細胞を同定し、同定した該生細胞を前記第2
の工程で得られた前記生細胞群から選択的に分離する第
3の工程とを含む方法である。
【0029】本発明において細胞中に導入する標識剤
は、mRNAを標識できるものであればよく、特に制限
されない。標識剤は細胞内でmRNAと結合することに
より標識化mRNAが生じるが、細胞中にmRNAが存
在しない場合や、mRNAが存在したとしても標識剤を
過剰量導入したような場合は、mRNAとの結合に関与
しない標識剤が細胞中に残存することが考えられるた
め、標識剤は、mRNAと結合したときのみに検出可能
となるようなものであるか、もしくは、mRNAと結合
したものとmRNAに結合しないものとを別々に検出で
きるようなものであることが好ましい。
【0030】本発明においては、標識剤として、mRN
Aと相補的な塩基配列を有し、且つ蛍光色素で標識され
たプローブ(以下、場合により蛍光標識プローブと呼
ぶ)を使用することが好ましい。このようなプローブは
細胞内でmRNAとハイブリッド体を形成するが、上記
のようにハイブリッド体を形成しないプローブと分離し
て検出する必要があるために、本プローブはハイブリッ
ド体が形成されたことに基づいて蛍光変化を生じるよう
なものを用いることが好ましい。
【0031】このようなプローブとしては、それぞれ別
種の蛍光色素で標識したプローブを組み合わせて用いる
ことが好ましい。すなわち、第1のプローブおよび第2
のプローブからなるプローブであって、該第1のプロー
ブと、該第2のプローブとは、前記mRNAに対して隣
接してハイブリダイズ可能な塩基配列を有し、該第1の
プローブがエネルギードナー蛍光色素で標識され、そし
て該第2のプローブがエネルギーアクセプタター蛍光色
素で標識されたプローブを用いることが好ましい。
【0032】第1のプローブを標識するエネルギードナ
ー蛍光色素と、第2のプローブを標識するエネルギーア
クセプタター蛍光色素とを、適当な距離(例えば8nm
以下)に接近させることにより、蛍光共鳴エネルギー移
動(FRET)が可能となる。したがって、プローブに
おけるそれぞれの蛍光色素の標識位置は、第1のプロー
ブと第2のプローブとmRNAの3者がハイブリッド体
を形成したときに、エネルギードナー蛍光色素とエネル
ギーアクセプタター蛍光色素の間でFRETが生じうる
距離になるようにすることが好ましい。前記2種類の蛍
光色素間の好適な距離は、蛍光色素の種類や、mRNA
においてハイブリダイズする部位等により変化するが、
一般的には、2つの蛍光色素は20塩基以内の距離に位
置することが好ましく、2〜4塩基以内の位置とするこ
とがより好ましい。FRETを生じうるプローブを設計
する場合においては、例えば、Lakowicz, J. R. "Princ
iples of Fluorescence Spectroscopy" (1983), Plenum
Press, New York を参照することができる。
【0033】本発明において用いられるエネルギードナ
ー蛍光色素としては、4,4−ジフロロ−1,3,5,
7−テトラメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s
−インダセン−8−プロピオン酸(4,4-difluoro-1,3,
5,7-tetramethyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene-8-pr
opionic acid)およびその誘導体(これらはBodipy 493
/503シリーズとしてモレキュラープローブス社から入手
可能);テトラメチルローダミンイソチオシアネート
(5−イソチオシアネートおよび6−イソチオシアネー
トの混合物であってもよい)(tetramethylrhodamine-5
-(and-6)-isothiocyanate)およびその誘導体(これら
はTRITCシリーズとしてモレキュラープローブス社
から入手可能);及び4,4−ジフロロ−5,7−ジメ
チル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン
−3−プロピオン酸(4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-bo
ra-3a,4a-diaza-s-indacene-3-propionic acid)および
その誘導体(これらはBodipy FLシリーズとしてモレキ
ュラープローブス社から入手可能)が挙げられる。
【0034】また、本発明において用いられるエネルギ
ーアクセプター蛍光色素としては、1,1’−ビス(ε
−カルボキシペンチル)−3,3,3’,3’−テトラ
メチル インドジカルボシアニン−5,5’−二スルホ
ン酸カリウム塩(1,1'-bis(ε-carboxypentyl)-3,3,3',
3'-tetramethyl indodicarbocyanine-5,5'-disulfonate
potassium salt)およびその誘導体(これらはCy5シ
リーズとしてアマシャム ファルマシア バイオテク社
から入手可能);1,1’−ビス(ε−カルボキシペン
チル)−3,3,3’,3’−テトラメチル インドカ
ルボシアニン−5,5’−二スルホン酸カリウム塩(1,
1'-bis(ε-carboxypentyl)-3,3,3',3'-tetramethyl ind
ocarbocyanine-5,5'-disulfonate potassium salt)およ
びその誘導体(これらはCy3シリーズとしてアマシャ
ム ファルマシア バイオテク社から入手可能);X−
ローダミンイソチオシアネート(5−イソチオシアネー
トおよび6−イソチオシアネートの混合物であってもよ
い)(X-rhodamine-5-(and-6)-isothiocyanate)および
その誘導体(これらはXRITCシリーズとしてモレキ
ュラープローブス社から入手可能);6−(((4,4
−ジフロロ−5−(2−チエニル)−4−ボラ−3a,
4a−ジアザ−s−インダセン−3−イル)スチリロキ
シ)アセチル)アミノヘキサン酸(6-(((4,4-difluoro-
5-(2-thienyl)-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-yl)s
tyryloxy)acetyl)aminohexanoic acid)およびその誘導
体(これらはBodipy 630/650シリーズとしてモレキュラ
ープローブス社から入手可能);6−(((4,4−ジ
フロロ−5−(2−ピローリル)−4−ボラ−3a,4
a−ジアザ−s−インダセン−3−イル)スチリロキ
シ)アセチル)アミノヘキサン酸(6-(((4,4-difluoro-
5-(2-pyrrolyl) -4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene- 3-y
l)styryloxy)acetyl)aminohexanoic acid)およびその
誘導体(これらはBodipy 650/665シリーズとしてモレキ
ュラープローブス社から入手可能)等が挙げられる。
【0035】本発明においては、エネルギードナー蛍光
色素としてはBodipy 493/503を用いることが好ましく、
また、エネルギーアクセプター蛍光色素としてはCy5
またはXRITCを用いることが好ましい。
【0036】本発明において、1本のプローブを構成す
るオリゴヌクレオチドの塩基数には特に厳しい制限はな
い。ただし、塩基数が極端に少ない場合、例えば10塩
基未満である場合は、十分安定なハイブリッド体を形成
することが困難になる傾向にある。また、プローブの塩
基数が50塩基を超すほど多い場合には、プローブの合
成が困難になるばかりか、プローブの安定性も低下し、
ハイブリッド体形成に要する時間も長くなる傾向にあ
る。
【0037】プローブの塩基数は、用いる生細胞中のm
RNAの濃度やハイブリダイゼーション時の温度等のハ
イブリダイゼーションの条件を考慮して決定する。一般
に、プローブとmRNAとで形成されるハイブリッド体
の融点は、プローブの塩基数が増えるにつれ上昇する。
例えば、プローブの塩基数が15程度である場合は、室
温において十分に高い効率でハイブリッド体が形成され
る傾向にあるが、37℃においてはハイブリッド体の形
成率は必ずしも高くない。したがって、37℃でハイブ
リッド体の検出を行うためには15塩基以上、好ましく
は20塩基以上の長さを有するプローブを使用すること
が望ましい
【0038】ただし、塩基数が多くなるほどmRNAと
ハイブリッド体を形成する速度が小さくなる傾向は、プ
ローブの塩基数が15〜20の範囲でも同様である。例
えば、室温において、20塩基のプローブとmRNAの
ハイブリダイゼーションが終了するために必要な時間
は、15塩基のプローブを用いる場合に比べて数倍長
い。
【0039】これらの要件を総合的に判断すれば、使用
するプローブの塩基数は、10〜50塩基であることが
好ましく、15〜20塩基であることがさらに好まし
い。
【0040】プローブを設計する場合においては、上述
したようにプローブの塩基数が重要となるが、これに加
えて、プローブがmRNAのどの位置でハイブリダイズ
するかも重要となる。すなわち、一般に、mRNAはそ
れ自体が複雑な立体構造をとっている分子であるため、
用いるプローブがmRNAのある部位と相補的な塩基配
列を有していても、その部位が分子内の他の部位と相互
作用する場合には立体構造的にハイブリダイゼーション
に障害が生じることがある。したがって、本発明におい
て、プローブがハイブリダイズするmRNAの部位を適
宜選択することが好ましい。
【0041】ハイブリダイズする部位は、例えば以下に
述べるような手法により決定することができる。まず、
目的のmRNAの塩基配列をデータベース等から入手す
る。データベースが利用できない場合は公知の方法によ
りmRNAの塩基配列を決定する。そして、その情報を
もとにmRNAの2次構造をシミュレーションする。こ
れは、例えば、DNAsis(日立ソフトエンジニアリ
ング株式会社製)等のRNAの2次構造予測用の市販の
コンピュータプログラムを使用することにより可能であ
る。得られた2次構造図を用いて立体構造的に障害のな
い部分を中心に、適当な数の塩基配列を選択し、その塩
基配列に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチド
を合成し、それを蛍光標識してプローブとして用いる。
【0042】コンピュータプログラムにより得られた2
次構造図をもとに、FRETを生じうる一組のプローブ
を設計する場合においては、mRNAの立体構造的に障
害のない部分を中心として、例えば、30〜40塩基の
部位を数箇所選択し、それぞれの部位をさらに2つに分
割し(各15〜20塩基)、2分割された部位のそれぞ
れに相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合
成し、それを蛍光標識して第1のプローブおよび第2の
プローブとして用いることが好ましい。
【0043】このようにして合成した数組のプローブの
中から最適なプローブの組を選別するためには、例え
ば、以下のような方法を用いることができる。すなわ
ち、上記の方法により合成した第1のプローブと第2の
プローブの混合溶液を調製して蛍光スペクトルを測定す
る。次いで、目的のmRNAをこの混合溶液に添加し
て、蛍光スペクトルの変化を観察する。第1のプロー
ブ、第2のプローブおよびmRNAでハイブリッド体が
形成されれば2種類の蛍光色素間でFRETが生じ、そ
の結果、エネルギードナー色素の蛍光強度が減少し、エ
ネルギーアクセプター色素の蛍光強度が増大した蛍光ス
ペクトルが得られる。次に、第1のプローブと第2のプ
ローブの何種類かの組について上記の作業を行い、蛍光
スペクトルの変化量を比較して、変化量が大きいプロー
ブの組を選択する。なお、上記の測定に使用するmRN
Aは、対応するcDNAを組み込んだプラスミドDNA
を用いてインビトロ転写反応により合成することが可能
である。
【0044】また、mRNAへのハイブリダイゼーショ
ンの効率を正確に評価するためには、それぞれのプロー
ブとmRNAとを水溶液中で混合し反応させた後、高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)等により、ハイブ
リッド体と遊離したままのプローブを分離し、ハイブリ
ッド体を構成するプローブのプローブ全体に対する比率
を求めることが可能である。
【0045】以上、蛍光標識プローブの最適化について
詳述したが、上述したように蛍光標識プローブは本発明
において用いられる標識剤の好ましい一形態である。本
発明においては標識剤を調製した後に、これを特定のm
RNAを発現した生細胞中に導入する。標識剤を生細胞
中に導入する方法に関しては特に制限はなく、マイクロ
インジェクション法、エレクトロポレーション法、リポ
フェクション法など公知の方法が適用可能である。本発
明においては、一度に100万個以上の生きた細胞に短
時間で標識剤を導入する方法である、エレクトロポレー
ション法を用いることが好ましい。
【0046】標識剤を生細胞に導入した後は、細胞中に
おいて当該標識剤によりmRNAを標識する。標識剤と
して蛍光標識プローブを用いた場合においては、当該プ
ローブとmRNAをハイブリダイズさせる。ハイブリダ
イゼーションを行う条件は特に制限されないが、例え
ば、蛍光標識プローブを導入した生細胞を室温にて数分
間保持すればよい。
【0047】細胞内でmRNAを標識した後は、標識化
mRNAを検出することにより、該標識化mRNAを含
有する生細胞を同定し、同定した該細胞を選択的に分離
する。本発明において、標識化mRNAを検出する方法
には特に制限はない。ただし、標識剤を導入した生細胞
群はその全てがmRNAを発現しているとは限らず、ま
た、mRNAが存在したとしても標識剤を過剰量導入し
たような場合は、mRNAと結合していない標識剤が細
胞中に残存するため、検出時においては、標識化mRN
Aと、mRNAと結合していない遊離の標識剤とを、分
離して検出することが必要である。
【0048】標識化mRNAと、mRNAと結合してい
ない遊離の標識剤とを、簡単且つ高感度に分離して検出
する方法としては、エネルギードナー色素で標識された
第1のプローブと、エネルギーアクセプター色素で標識
された第2のプローブを組み合わせて使用する方法が好
ましい。すなわち、これらのプローブを生細胞中に導入
し、プローブとmRNAがハイブリダイズする条件で生
細胞を保持した後に、第1のプローブのエネルギードナ
ー蛍光色素の励起光を生細胞群に照射し、FRETに基
づく第2のプローブのエネルギーアクセプター蛍光色素
からの蛍光を観測することにより、簡単且つ高感度に分
離検出が可能である。
【0049】励起光の照射によって、mRNAとハイブ
リダイズしている第1のプローブのエネルギードナー色
素も、mRNAとハイブリダイズしていない第1のプロ
ーブのエネルギードナー色素も同時に励起されるが、第
1のプローブに隣接して第2プローブがハイブリダイズ
している場合にのみFRETが生じ、このときは第2の
プローブのエネルギーアクセプター蛍光色素から蛍光が
生じる。すなわち、エネルギーアクセプター蛍光色素か
らの蛍光が観察されたときは、第1のプローブと第2の
プローブが隣接していることを意味するから、生細胞中
でmRNAが標識化されたこと、すなわち、生細胞中に
mRNAが発現していることがわかる。
【0050】このようにして検出された特定のmRNA
を発現した生細胞は選択的に分離されるが、この分離方
法に関しては特に制限はない。本発明において、蛍光標
識プローブを用いる場合においては、セルソーター(Fl
uorescence Activated CellSorter、FACS)を用い
て、特定のmRNAを発現している生細胞を検出すると
ともに、選択的に分離することが好ましい。
【0051】セルソーターは、フローサイトメーターと
細胞分取装置とを備えたものであり、特定物質を蛍光標
識プローブで染色した個々の細胞に、細い流路の途中で
レーザー光を照射することにより、散乱光(前方散乱光
や側方散乱光)や蛍光のシグナル情報を個々の細胞ごと
に測定し、その結果を、例えば度数分布(ドットプロッ
ト)として表示する機能を有しており、特定のシグナル
情報を発する細胞にゲートをかけ所望の細胞を分取する
ことができる。なお、以上のような方法はフローサイト
メトリーと呼ばれている。
【0052】本発明において、FRETを生じうる蛍光
標識プローブを用いてセルソータにより特定のmRNA
を発現した生細胞を選択的に分離する場合においては、
例えば以下に述べる方法を適用することができる。すな
わち、セルソーターにより個々の生細胞における、エネ
ルギードナー蛍光色素(例えば、Bodipy 493/503)を励
起するレーザーを照射したときの同蛍光色素の相対的蛍
光強度、およびFRETに基づくエネルギーアクセプタ
ー蛍光色素(例えば、Cy5)の相対的蛍光強度のシグ
ナル情報を得て、例えば、前者を横軸、後者を縦軸とし
てドットプロットを行い、後者が高い値をとる細胞群を
選択し、R2として領域指定する。さらに、測定対象の
生細胞の細胞サイズに基づく前方散乱光と、生細胞の内
部構造の複雑さに基づく側方散乱光のシグナル情報を得
て、例えば、前者を横軸、後者を縦軸としてドットプロ
ットを行い、測定対象の生細胞を表わしていると考えら
れる細胞群を選択し、R1として領域指定する。そし
て、R1およびR2の両選択条件を満たす(R1かつR
2に属する)生細胞のみを分取できるようにセルソータ
ーをセッティングすることにより、特定のmRNAが発
現した細胞のみを選択的に分離することができる。
【0053】以上で説明した方法により、様々な種類の
生細胞が選択的分離の対象となる。また、様々な種類の
mRNAが対象となる。抗原を異物として認識し活性化
されたヘルパーT細胞から派生するTH1とTH2は、
識別のための決定的な細胞表面抗原(マーカー)が存在
せず、さらに、TH1およびTH2が産生するサイトカ
イン(IL−2およびIL−4)は細胞内や細胞膜付近
に止まらず、細胞外液中に遊離してしまうため、TH1
またはTH2は、本発明の選択的分離方法の適用対象と
して最適である。すなわち、本発明の選択的分離方法
は、サイトカインをコードするmRNAを保有する生細
胞を含む生細胞群を対象とすることが好ましい。
【0054】なかでも、インターロイキン−2(IL−
2)をコードするmRNAを保有する生細胞を含む生細
胞群を対象とし、配列表の配列番号9に記載の塩基配列
を有しエネルギードナー蛍光色素で標識された第1のプ
ローブと、配列表の配列番号10に記載の塩基配列を有
しエネルギーアクセプター蛍光色素で標識された第2の
プローブを用い、これらのプローブのFRETを利用し
て選択的分離を行うことが好ましい。
【0055】配列表の配列番号9に記載の塩基配列は、
IL−2を生じるmRNAの塩基配列における342〜
356番目の塩基配列に相補的であり、配列表の配列番
号10に記載の塩基配列は、IL−2を生じるmRNA
の塩基配列における357〜371番目の塩基配列に相
補的である。エネルギードナー蛍光色素で標識された第
1のプローブと、エネルギーアクセプター蛍光色素で標
識された第2のプローブをmRNAの上記の位置で隣接
させることにより、FRETに伴う検出を非常に高感度
に行うことができる。
【0056】また、インターロイキン−4(IL−4)
をコードするmRNAを保有する生細胞を含む生細胞群
を対象とし、配列表の配列番号17に記載の塩基配列を
有しエネルギードナー蛍光色素で標識された第1のプロ
ーブと、配列表の配列番号18に記載の塩基配列を有し
エネルギーアクセプター蛍光色素で標識された第2のプ
ローブを用い、これらのプローブのFRETを利用して
選択的分離を行うことが好ましい。
【0057】配列表の配列番号17に記載の塩基配列
は、IL−4を生じるmRNAの塩基配列における26
5〜279番目の塩基配列に相補的であり、配列表の配
列番号18に記載の塩基配列は、IL−4を生じるmR
NAの塩基配列における280〜294番目の塩基配列
に相補的である。エネルギードナー蛍光色素で標識され
た第1のプローブと、エネルギーアクセプター蛍光色素
で標識された第2のプローブをmRNAの上記の位置で
隣接させることにより、FRETに伴う検出を非常に高
感度に行うことができる。
【0058】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例についてさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
【0059】(1) IL-2 mRNAと相補的なオリゴヌクレ
オチドの蛍光色素標識体の調製 IL-2 mRNAおよびIL-4 mRNAの全塩基配列から任意に30塩
基の連続した配列を5箇所選び、これらと相補的な配列
を有し、Bodipy493/503(エネルギードナー蛍光色
素)、Cy5(エネルギーアクセプター蛍光色素)、もし
くはXRITC(エネルギーアクセプター蛍光色素)で蛍光
標識されたオリゴDNAプローブ(15mer)を設計し
た。
【0060】DNA/RNAシンセサイザー(Perkin Elmer:Mo
del 394もしくはPerceptive:Model18909)を用いて、β
シアノエチルアミダイト法により、設計したプローブの
核酸合成を行った。なお、IL-2 mRNAの全塩基配列とオ
リゴDNAプローブの塩基配列を図1に示し、IL-4 mRNAの
全塩基配列とオリゴDNAプローブの塩基配列を図2に示
す。また、設計したIL-2に関する10種類のオリゴDN
Aプローブの塩基配列(配列番号1〜10)と、該オリ
ゴDNAプローブがハイブリダイズするIL-2 mRNAの塩
基番号(ハイブリダイズ位置)を以下の表1に示し、IL
-4に関する10種類のオリゴDNAプローブの塩基配列
(配列番号11〜20)と、該オリゴDNAプローブが
ハイブリダイズするIL-4 mRNAの塩基番号(ハイブリダ
イズ位置)を以下の表2に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】なお、以下に述べる(4A)においては、
上記配列番号1〜10の塩基配列の5’末端をBodipy49
3/503で標識して得られたプローブを用い、(8)にお
いては、上記配列番号1〜10の塩基配列を蛍光色素で
標識せずにプローブとして用いた。(9)においては、
上記配列番号1、3、5、7、9の5’末端をBodipy49
3/503で標識したプローブと、上記配列番号2、4、
6、8、10の3’末端から4−5塩基間にXRITC
で標識したプローブを用いた。また、(11)において
は、上記配列番号1、3、5、7、9の5’末端をBodi
py493/503で標識したプローブと、上記配列番号2、
4、6、8、10の3’末端から4−5塩基間にCy5
で標識したプローブを用いた。また、Bodipy493/503、
XRITC、Cy5による標識方法は、以下に述べる
(a)〜(c)の方法に従った。
【0064】本発明においては、エネルギードナー蛍光
色素で標識したオリゴDNAプローブをドナープローブ
と略称し、エネルギーアクセプター蛍光色素で標識した
オリゴDNAプローブをアクセプタープローブと略称す
る場合がある。また、配列番号1の塩基配列をエネルギ
ードナー蛍光色素で標識したプローブは、配列番号1が
IL-2 mRNAの228〜242番目の塩基配列に相補的で
あることから、IL-2 228-242(D)と表記する場合がある
(Dはドナーを意味する)。また、配列番号2の塩基配
列をエネルギーアクセプター蛍光色素で標識したプロー
ブは、配列番号2がIL-2 mRNAの243〜257番目の
塩基配列に相補的であることから、IL-2 243-257(A)と
表記する場合がある(Aはアクセプターを意味する)。
なお、蛍光色素で標識しない場合は、例えば、単にIL-2
228-242と表記する。したがって、以下に述べる(9)
および(11)においては、用いるプローブは以下の表
3に示すプローブ名で表わすことができる。
【0065】
【表3】
【0066】IL−4用プローブも上記と同様に表記す
る場合がある。例えば、以下に述べる(3B)において
は、用いるプローブは以下の表4に示すプローブ名で表
わすことができる。
【0067】
【表4】
【0068】(a)ドナープローブ(Bodipy493/503標
識)の作製 2.5mgのNHSS(N-Hydroxysulfosuccinimide sodium salt)
を30μlの滅菌水に溶かしたものと、5mgのEDAC(1-ethyl
-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide)を50μlの滅
菌水に溶かしたものと1mgのBodipy493/503プロピオン酸
を50μlのDMFに溶かしたものを混合し、室温で30分間反
応させた。
【0069】一方、5'末端アミノ化試薬6-(トリフル
オロアセチルアミノ)ヘキシル-(2-シアノエチル)-
(N,N-ジイソプロピル)-ホスホロアミダイトを用いて
上記塩基配列を有するオリゴDNAの5'末端にヘキシル
アミノ基が導入したもの(凍結乾燥品)を200μlの0.5
M Na2HCO3/NaH2CO3緩衝液(pH9.3)に溶解させた。
【0070】これらを混合して遮光条件下で一晩反応さ
せ、反応液をゲル濾過し、未反応の色素を除去した後、
CAPCELL PACK18(資生堂、カラムサイズは6mm内径×250
mm全長)を用いた逆相高速液体クロマトグラフィー(流
速;1ml/分、カラム温度;40℃、移動相組成;5 mM TEA
A入りのCH3CNの5%溶液Aと40%溶液Bを用意しBの比率を20
分の間に30-80%の濃度勾配をかけた)により、260nmと4
93nmに吸収をもつ反応生成物を分取し、凍結乾燥した。
【0071】(b)アクセプタープローブ(Cy5標
識)の作製 1チューブ分のCy5色素(Amersham, Fluorolink Cat. N
o. PA25001)を100μlの滅菌水に溶解した。一方、Uni-
Link AminoModifier (Clontech社製)を用いて上記塩基
配列を有するオリゴDNAの3’末端から4と5塩基の
間にヘキシルアミノ基を導入したもの(凍結乾燥品)を
200μlの Na2HCO3/NaH2CO3緩衝液(0.5M、pH9.3)に溶
解させた。そして、これらを混合し、遮光して一晩反応
させた。
【0072】反応液をゲル濾過し、未反応の色素を除去
した後、CAPCELL PACK18(資生堂、カラムサイズは6mm
内径×250mm全長)を用いた逆相高速液体クロマトグラ
フィー(流速;1ml/分、カラム温度;40℃、移動相組
成;5 mM TEAA入りのCH3CNの5%溶液Aと40%溶液Bを用意
しBの比率を20分の間に15-60%の濃度勾配をかけた)に
より、260nmに吸収をもつ成分を分取し、その吸収スペ
クトルを220-700nmの範囲で測定し、650-700nmにおける
Cy5の最大吸収を確認後、凍結乾燥した。
【0073】(c)アクセプタープローブ(XRITC
標識)の作製 100μlのXRITC色素溶液(溶媒;100% DMSO、Perkin Elm
er, ROX-NHS)を、(b)と同様にヘキシルアミノ基が
導入された上記塩基配列を有するオリゴDNAと反応さ
せた。反応生成物を逆相高速液体クロマトグラフィーに
かけ、260nmに吸収をもつ成分を分取し、その吸収スペ
クトルを220-650nmの範囲で測定し、550-600nmにおける
XRITCの最大吸収を確認後、凍結乾燥した。
【0074】(2A)ヒトIL-2 RNAの試験管内合成 ヒトIL-2 mRNAと同等の塩基配列を有するヒトIL-2 RNA
を取得するために、ヒトIL-2 cDNAを有するプラスミドD
NA、pTCGF-II(ATCC#39673)より制限酵素pstIで切り出
したIL-2 cDNA断片を、RNA合成用ベクターpBluescript
KS(+)のpst I消化部位にT3プロモーター下流に同cDNAが
位置するようにライゲーションキット(タカラ社製)を
用いて連結した。得られた組換体プラスミドを大腸菌JM
109株のコンピテントセル(タカラ社製)に導入し、得
られた同大腸菌の形質転換体を培養し、100 mlの同培養
液からPlasmid Midi Kit(QIAGEN社製)を用いて46.2μ
gのプラスミドDNAを抽出・精製した。
【0075】同組換体プラスミドを制限酵素Sma I消化
により線状化し、同プラスミド溶液中に存在する蛋白質
をproteinase Kで分解後、フェノール/クロロホルムを
用いて変性・除去した。この精製遺伝子断片(0.66 μ
g)を鋳型とするRNAを合成するために、インビトロ転写
反応キット(Megascript T3 Kits、Ambion社)を用いて
ヒトIL-2 mRNAを構成する各塩基(A(アデニン)、C
(シトシン)、G(グアニン)、U(ウラシル))の組成
(A::C:G:U=35:18:14:32%)に基づいて、それ
ぞれ105、54、42、96 mM(終濃度)のA、C、G、Uを、T3
RNAポリメラーゼとともに前記鋳型に添加し、 RNAポリ
メラーゼ反応溶液を調製した。37℃で6時間ポリメラー
ゼ反応を行い、ヒトIL-2 RNAを合成した。反応終了後、
DNase I(Megascript T3 Kits、Ambion社製)で鋳型DNA
を分解し、転写反応溶液中の蛋白質をフェノール/クロ
ロホルムを用いて変性・除去した。得られたRNA溶液に
等容のイソプロパノールを加え、遠心(14krpm、7分
間)による沈殿物としてヒトIL-2RNAを回収し、未反応
の酵素反応基質である各ヌクレオチド等を除去した。70
%エタノールで1回すすいだヒトIL-2 RNA沈殿物(139
μg)をRNase を含有しない水(Megascript T3 Kits、A
mbion社製)で溶かし、5 μg/μlのヒトIL-2 RNA溶液を
調製し、以降のハイブリダイゼーション実験に使用し
た。
【0076】(2B)ヒトIL-4 RNAの試験管内合成 次に、ヒトIL-4 mRNAと同等の塩基配列を有するIL-4 RN
Aを取得するために、ヒトIL-4 cDNAを有するプラスミド
DNA、pcD-hIL-4(ATCC#57593)より制限酵素BamHIおよ
びXho Iで切り出したIL-4 cDNA断片を、RNA合成用ベク
ターpBluescriptKS(+)のBamHIおよびXho I消化部位にT3
プロモーター下流に同cDNAが位置するようにライゲーシ
ョンキット(タカラ社製)を用いて連結した。得られた
組換体プラスミドを大腸菌JM109株のコンピテントセル
(タカラ社製)に導入し、得られた同大腸菌の形質転換
体を培養し、100 mlの同培養液からPlasmid Midi Kit
(QIAGEN社製)を用いて152 μgのプラスミドDNAを抽出
・精製した。
【0077】同組換体プラスミドを制限酵素Sma I消化
により線状化し、同プラスミド溶液中に存在する蛋白質
をproteinase Kで分解後、フェノール・クロロホルムを
用いて変性・除去した。この精製遺伝子断片(0.49 μ
g)を鋳型とするRNAを合成するために、インビトロ転写
反応キット(Megascript T7 Kits、Ambion社)を用いて
ヒトIL-4 mRNAを構成する各塩基の組成(A::C:G:U=
29:24:21:26%)に基づいてA、C、G、Uをそれぞれ8
7、72、63、78 mM(終濃度)をT7 RNAポリメラーゼとと
もに前記鋳型に添加し、 RNAポリメラーゼ反応溶液を調
製した。37℃で6時間ポリメラーゼ反応を行い、ヒトIL-
4 RNAを合成した。
【0078】反応終了後、DNase I(同キット、Ambion
社)で鋳型DNAを分解し、転写反応溶液中の蛋白質をフ
ェノール・クロロホルムを用いて変性・除去した。得ら
れたRNA溶液にイソプロパノールを2倍容加え、遠心(1
4krpm、7分間)による沈殿物としてヒトIL-4 RNAを回収
し、未反応の酵素反応基質である各ヌクレオチド等を除
去した。70%エタノールで1回すすいだRNA沈殿物(183
μg)をRNase free water(同キット、Ambion社)で溶
かし、5 μg/μlのRNA溶液を調製し、以降のハイブリダ
イゼーション実験に使用した。
【0079】(3A)蛍光標識プローブとヒトIL-2 RNA
のハイブリダイゼーションによる蛍光スペクトル変化 ドナープローブとアクセプタープローブが隣接してハイ
ブリダイズすることにともなう蛍光共鳴エネルギー移動
(FRET)に基づく蛍光スペクトルの変化を測定するため
に、300 nM(終濃度)のBodipy493/503標識ドナープロ
ーブおよびXRITC標識アクセプタープローブの組とヒトI
L-2 RNAとを混合し、100μlの1×SSC(150 mM 塩化ナト
リウム, 17 mM クエン酸ナトリウム, pH 7.0)溶液と
し、室温で15分間放置した後に蛍光スペクトルを測定
した。ドナープローブとアクセプタープローブの組とし
ては、IL-2 228-242(D)とIL-2 243-257(A)、IL-2 198-2
12(D)とIL-2 213-227(A)、IL-2 77-91(D)とIL-2 92-106
(A)、IL-2 287-301(D)とIL-2302-316(A)、IL-2 342-356
(D)とIL-2 357-371(A)を用いた。また、対照として、30
0 nMの上記プローブ単独の蛍光スペクトルを同様に測定
した。なお、蛍光スペクトル測定条件は以下の通りであ
った。 蛍光分光光度計;F4500(日立) 励起波長;480nm 蛍光測定波長;500-750nm 温度;室温
【0080】その結果、全てにおいてヒトIL-2 RNAを加
えると、エネルギードナー蛍光色素を励起したときのド
ナー色素の蛍光強度はFRETにより減少し、エネルギーア
クセプター色素の蛍光波長領域(580-650nm)に顕著な蛍
光スペクトルの変化(蛍光強度が増大)が認められた
(図3〜7)。図3、4、5、6、7には、それぞれIL
-2 228-242(D)とIL-2 243-257(A)の組、IL-2 198-212
(D)とIL-2 213-227(A)の組、IL-2 77-91(D)とIL-2 92-1
06(A)の組、IL-2 287-301(D)とIL-2 302-316(A)の組、I
L-2 342-356(D)とIL-2 357-371(A)の組を用いたときの
蛍光スペクトルを示す。図2〜6を比較することにより
わかるように、蛍光スペクトルはプローブの各組の間で
格差が見られ、IL-2 342-356(D)とIL-2 357-371(A)の組
を用いたときが最も顕著であった。
【0081】(3B)蛍光標識プローブとヒトIL-4 RNA
のハイブリダイゼーションによる蛍光スペクトル変化 ドナープローブとアクセプタープローブが隣接してハイ
ブリダイズすることにともなう蛍光共鳴エネルギー移動
(FRET)に基づく蛍光スペクトルの変化を測定するため
に、300 nM(終濃度)のBodipy493/503標識ドナープロ
ーブおよびCy5標識アクセプタープローブの組とヒトIL-
2 RNAとを混合し、100μlの1×SSC(150mM 塩化ナトリ
ウム, 17 mM クエン酸ナトリウム, pH 7.0)溶液とし、
室温で15分間放置した後に蛍光スペクトルを測定し
た。ドナープローブとアクセプタープローブの組として
は、IL-4 70-84(D)とIL-4 85-99(A)、IL-4 119-133(D)
とIL-4 134-148(A)、IL-4 176-190(D)とIL-4 191-205
(A)、IL-4 265-279(D)とIL-4 280-294(A)、IL-4 376-39
0(D)とIL-4 391-405(A)を用いた。また、対照として、3
00 nMの上記プローブ単独の蛍光スペクトルを同様に測
定した。なお、蛍光スペクトル測定条件は以下の通りで
あった。 蛍光分光光度計;F4500(日立) 励起波長;480nm 蛍光測定波長;500-750nm 温度;室温
【0082】その結果、全てにおいてヒトIL-2 RNAを加
えると、エネルギードナー蛍光色素を励起したときのド
ナー色素の蛍光強度はFRETにより減少し、エネルギーア
クセプター色素の蛍光波長領域(650-700nm)に顕著な蛍
光スペクトルの変化(蛍光強度が増大)が認められた
(図8〜12)。図8、9、10、11、12には、そ
れぞれIL-4 70-84(D)とIL-4 85-99(A)の組、IL-4 119-1
33(D)とIL-4 134-148(A)の組、IL-4 176-190(D)とIL-4
191-205(A)の組、IL-4 265-279(D)とIL-4 280-294(A)の
組、IL-4 376-390(D)とIL-4 391-405(A)の組を用いたと
きの蛍光スペクトルを示す。図8〜12を比較すること
によりわかるように、蛍光スペクトルはプローブの各組
の間で格差が見られ、IL-4 265-279(D)とIL-4 280-294
(A)の組を用いたときが最も顕著であった。この測定結
果をBodipy493-503を励起したときのCy5の蛍光強度と、
Bodipy493-503の蛍光強度の比(Cy5の蛍光強度/Bodipy
493-503の蛍光強度)を百分率(概算値)で表すと以下
の表5の通りとなった。
【0083】
【表5】
【0084】(4A)プローブとヒトIL-2 RNAとのHPLC
によるハイブリダイゼーション効率の測定 上記配列番号1〜10の塩基配列を有するオリゴDNA
をBodipy493/503で標識したドナープローブの各々3 pmo
lを、等モルの(2A)で合成したヒトIL-2 RNAと混合
し、10μlの1×SSC(150 mM 塩化ナトリウム, 17 mM ク
エン酸ナトリウム, pH 7.0)溶液とし、室温で15分間
放置した。その後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
を用いて、ヒトIL-2 RNAと上記プローブとからなるハイ
ブリッド体を、遊離のプローブから保持時間の差異を利
用して以下の条件で分離した(同条件下での保持時間は
遊離のプローブが約4〜5分、ハイブリッド体が7.5分
前後である)。 カラム:TSKgel DEAE-NPR(東ソー、内径4.6mm×全長3
5mm) カラム流速:1ml/分 カラム温度:25℃ 移動相:A液;20 mM Tris-HCl (pH9.0) 移動相:B液;0.5 M NaCl、20 mM Tris-HCl (pH9.0)
【0085】上記A液に対するB液の比率について、10分
の間に25-100%(0.125-0.5 M NaClに相当)の濃度勾配
をかけ、溶出される成分について紫外吸収(260nm)に
よる核酸を示すピークと励起波長475nm/蛍光測定波長5
15nmによる標識色素Bodipy493/503に関するピークの検
出を同時に行い、検出された全蛍光ピーク面積の中でハ
イブリッド体のピーク面積が占める割合(%)を求め、ハ
イブリダイゼーション効率の指標とした。
【0086】図13にIL-2 342-356(D)を用いた場合の
HPLCクロマトグラムを示し、図14にIL-2 357-371
(D) を用いた場合のHPLCクロマトグラムを示す。ま
た、各プローブに関するハイブリッド体のピーク面積が
占める割合(%)をまとめて表6に示す。
【0087】
【表6】
【0088】表6に示した結果から、IL-2 213-227
(D)、IL-2 342-356(D)、そしてIL-2 357-371(D)が個別
で比較的効率よく標的RNAにハイブリダイズするプロー
ブであることが判明した。(3A)において、IL-2 342
-356(D)、IL-2 357-371(A)はそれぞれドナープローブ、
アクセプタープローブとしてハイブリダイゼーションの
効率を司る蛍光スペクトル変化が最も顕著であったこと
から、(3A)と(4A)の両実験結果は整合性がとれ
ていると考えられる。
【0089】(4B)プローブとヒトIL-4 RNAとのHPLC
によるハイブリダイゼーション効率の測定 上記配列番号11〜20の塩基配列を有するオリゴDN
AをBodipy493/503で標識したドナープローブの各々3 p
molを、等モルの(2B)で合成したヒトIL-4RNAと混合
し、10μlの1×SSC(150 mM 塩化ナトリウム, 17 mM ク
エン酸ナトリウム, pH 7.0)溶液とし、室温で15分間
放置した。その後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
を用いて、ヒトIL-4 RNAと上記プローブとからなるハイ
ブリッド体を、遊離のプローブから保持時間の差異を利
用して分離した(同条件下での保持時間は遊離のプロー
ブが約4〜5分、ハイブリッド体が7.5分前後であ
る)。分離の条件およびハイブリダイゼーション効率の
測定方法は上記(4A)と同様であった。
【0090】図15、16、17、18に、IL-4 119-1
33(D)、IL-4 134-148(D)、IL-4 265-279(D)、IL-4 280-
294(D)を用いた場合のHPLCクロマトグラムをそれぞ
れ示す。また、各プローブに関するハイブリッド体のピ
ーク面積が占める割合(%)をまとめて表7に示す。
【0091】
【表7】
【0092】表7に示した結果から、IL-4 265-279(D)
およびIL-4 280-294(D)が個別で比較的効率よく標的RNA
にハイブリダイズするプローブであることが判明した。
(3B)において、IL-4 265-279(D)、IL-4 280-294(A)
はそれぞれドナープローブ、アクセプタープローブとし
てハイブリダイゼーションの効率を司る蛍光スペクトル
変化が最も顕著であったことから、(3B)と(4B)
の両実験結果は整合性がとれていると考えられる。
【0093】(5)ヒトT細胞白血病株細胞Jurkat E6-
1におけるIL-2遺伝子発現の誘導 細胞密度が1×106/mlのJurkat E6-1細胞に0.5 mg/ml
(終濃度)の抗CD3抗体(イムノテック社製)、同濃度
の抗CD28抗体(イムノテック社製)、10 nM PMA(シグ
マ社製)を添加して3日間(72時間)37℃、5% 二酸化
炭素存在下で培養した。
【0094】(6) IL-2蛋白分子の産生量の測定 (5)のIL-2遺伝子発現誘導処理に依存して多くのIL-2
分子が産生され培養上清中に放出されれば、その細胞内
ではIL-2 mRNAが活発に合成されたものと判断される。
そこでIL-2遺伝子発現の確認のために、(5)の処理が
施されたJurkatE6-1細胞(以下、場合によりIL-2発現誘
導細胞と呼ぶ)の培養上清を採取し、上清中のIL-2 (pg
/ml/107 cells)をヒトインターロイキン-2測定キットを
利用した以下に述べるELISAサンドイッチ法により定量
し、未処理細胞(以下、場合によりIL-2発現未誘導細胞
と呼ぶ)の場合と比較した。
【0095】抗ヒトIL-2モノクローナル抗体が固相化さ
れている96ウェルプレート(抗体プレート)の使用する
ウェルを洗浄液で2回洗浄し、使用する各ウェルに150
μlの緩衝液を加えた。各ウェルに50 μlのスタンダー
ドIL-2(0-1,600 pg/ml、前記測定キットの付属品)お
よび上記培養上清を加え、37℃で一晩インキュベートし
た。ウェル内の反応液を除去し、洗浄液で3回洗浄し
た。第一抗体(抗ヒトIL-2ウサギ血清)溶液を100 μl/
ウェルになるように加え、室温で2時間インキュベート
した。次いで、ウェル内の抗体液を除去し、洗浄液で3
回洗浄した。
【0096】第二抗体(ペルオキシダーゼ標識抗ウサギ
IgG抗体)溶液を100 μl/ウェルになるように加え、室
温で2時間インキュベートした。ウェル内の抗体液を除
去し、洗浄液で3回洗浄後、各ウェルを充分乾燥させ
た。ペルオキシダーゼ基質(o-フェニレンジアミン)の
0.015%過酸化水素水溶液を100 μl/ウェルになるように
加え、室温で10-20分間反応させた。反応停止液(1 N H
2SO4)を100 μl各ウェルに加え、反応を停止させ、各
ウェルの492 nmにおける吸光度をマイクロプレート用吸
光度計で測定した。スタンダードIL-2の吸光度値から作
成される検量線を基に、培養上清中のIL-2を定量した。
【0097】その結果、IL-2発現誘導細胞は6157±168
(pg/ml/107 cells)のIL-2分子が培養液中に検出された
のに対して、IL-2発現未誘導細胞の上清中のIL-2は検出
限界以下(<0.1 pg/ml/107 cells)であった。
【0098】(7)IL-2遺伝子発現量の測定 本実験には、スタンダードとしてIL-2 RNA、測定試料と
してJurkat E6-1細胞の全RNA、さらにIL-2 RNAもしくは
mRNA検出用のプローブとしてIL-2リボプローブ(ジゴキ
シゲニン標識体)が実験材料として必要であったため、
以下の(a)〜(c)のようにしてこれらを取得した。
【0099】(a)スタンダードIL-2 RNA スタンダードIL-2 RNAは、(2A)で合成されたヒトIL
-2 RNA(1 μg/μl)を1×dilution buffer(RNase を
含有しない滅菌蒸留水:20×SSC:ホルムアミド= 5:3:1)
で(104倍、105倍、106倍、107倍に)順次希釈された後
に、同希釈RNA溶液を68℃で10分間加熱後急冷されたも
のをブロッテイングに用いた。
【0100】(b)Jurkat E6-1細胞の全RNA Jurkat E6-1細胞の全RNAは、RNeasy Kit(QIAGEN社製)
を利用して抽出した。(5)の条件下で0、24、48、7
2、96時間IL-2発現誘導処理を施された細胞(0.8-1.2×
107個)を1,500rpmで5分間の遠心により沈殿として回収
し、10μlのβメルカプトエタノールを加えた1,000μl
のホモジナイゼーションbufferに細胞を懸濁し、18-gau
geの注射針で吸引/噴出しを繰り返し、充分に変性させ
た。同ホモジネートに1,000μlの70%エタノールを加
え、RNA吸着用カラムに加え、4,000×gで5分間遠心し、
さらに洗浄用bufferを加え、同様に遠心しカラムを洗浄
した。
【0101】カラムにRNase を含有しない滅菌蒸留水を
加え、吸着RNAを溶出させた。その溶出RNA溶液に1/10倍
容の4 Mの酢酸ナトリウムと1倍容のイソプロパノール
を加え、RNAは15,000×gで15分間遠心し沈殿物として回
収した。同RNAはRNase を含有しない滅菌蒸留水に溶解
した後、等容の2×dilution buffer(RNase を含有しな
い滅菌蒸留水:20×SSC:ホルムアミド = 1:6:2)で希釈
し、68℃で10分間加熱後急冷した。
【0102】(c)ジゴキシゲニン(DIG)標識IL-2リ
ボプローブ DIG標識IL-2リボプローブは、DIG RNA Labeling Kit(B
oehringer Mannheim社製)を利用して合成した。EcoRI
消化により完全に線状化された10 μgのヒトIL-2 cDNA
組み換えプラスミド(pTCGF#2)DNAをフェノール/クロ
ロホルム抽出による蛋白質変性除去後にエタノール沈殿
により精製し、リボプローブ合成のための鋳型とした。
同鋳型DNA(5 μg)と1.8 mM ATP、0.9 mM CTP、0.7 mM
GTP、1.1mM UTP、0.58 mM UTP(DIG標識体)をT7 RNA
ポリメラーゼ存在下で混和し、37℃で2時間インキュベ
ートした後、DNase I溶液を加え10分間反応させ、鋳型D
NAを破壊した。同反応溶液に1/10倍容の5 Mの酢酸ナト
リウムと1倍容のイソプロパノールを加え、合成RNAは1
5,000×gで15分間遠心し沈殿物として回収した。同RNA
はRNase を含有しない滅菌蒸留水に溶解した。
【0103】(d)IL-2遺伝子発現量の測定 上記(a)〜(c)で取得した材料を用いてIL-2遺伝子
発現量を測定した。細胞全RNA試料溶液をスタンダードI
L-2 RNA溶液とともにナイロン膜にドットし、5×SSCで
2回洗った後、ナイロン膜上のRNAをUV-クロスリンカー
(Biorad社製)により固定した。同ナイロン膜をPrehyb
ridization buffer(5×SSC、5% SDS、50 mMリン酸ナト
リウム (pH7.0)、 50% ホルムアミド、2% Blocking Rea
gent (Boehringer Mannheim社製)、1% N−ラウロイル
サルコシネート(N-lauroyl sarcosinate))とともにハイ
ブリバッグ(井内社製、耐湯バッグL)に封入し、68℃
で1時間プレハイブリダイゼーションを行った。
【0104】終濃度100 ng/mlになるようにDIG標識IL-2
リボプローブをPrehybridization bufferで希釈し、10
分間煮沸後急冷し、ハイブリダイゼーション液とした。
ハイブリパック内のプレハイブリダイゼーション液をハ
イブリダイゼーション液と交換し、68℃で一晩ハイブリ
ダイゼーションを行った。ナイロン膜を2×Washing sol
ution(2×SSC、0.1% SDS)で各5分間2回洗った後、0.
2×Washing solution(0.2×SSC、0.1% SDS)で68℃で
各15分間2回洗った。Buffer I(100 mM マレイン酸、1
50 mM NaCl(pH7.5))による1分間の洗いの後、ナイロン
膜をBuffer II(Blocking Reagent (Boehringer Mannhei
m社製)をbuffer Iで1%溶液としたもの)で30分間ブロッ
キングを行った。
【0105】DIG標識RNAハイブリッドの化学発光検出
は、DIG Luminescent Detection Kit(Boehringer Mann
heim社製)を使用して行った。アルカリフォスファター
ゼ標識抗DIG抗体のBuffer II溶液(150 mU/ml)でナイ
ロン膜を室温で1時間処理後、Buffer Iで各15分間2回
洗い、CSPD(disodium 3- (4-methoxyspiro[1,2-dioxet
ane-3,2'- (5'-chloro) tricyclo [3.3.1.13, 7] deca
n] -4-yl) phenylphosphate)をBuffer III(0.1 M Tri
s, pH 9.7, 0.1 M NaCl, 0.05 M MgCl2)で希釈して得
られた250 μMの基質溶液とともにバッグ(LIFETECHNOL
OGIES社製、Photogene development folder)に封入し
た。標識RNAに基づき発せられたフォトン数をアルガス5
0(浜松ホトニクス社製)で計測し、スタンダードIL-2
RNAのフォトン数から検量線を作成し、それを基にして
細胞の全RNA中のIL-2 mRNAを定量した。得られたIL-2 m
RNA量(モル)と全RNA抽出に用いた細胞数から単一細胞
あたり大体のIL-2 mRNA分子数を求めた(図19)。
【0106】図19に示すように、0、24、48、72、96
時間IL-2発現誘導処理を施された細胞の細胞内IL-2 mRN
A分子数(×104)は、<0.29×10-4、0.76±0.17、1.11
±0.40、1.22±0.67、1.20±0.28であり、72時間(3日
間)処理された細胞において最もIL-2 mRNAが多く存在
することが判明した。また、上記各時間処理した細胞の
培養液中のIL-2含量(pg/ml/107 cells)は順に<0.3
2、1032±25、2433±533、2688±194、2531±283である
ことから、IL-2の遺伝子発現の活発化にともない、より
多くのIL-2分子が分泌されることが示唆された。
【0107】(8)個々のプローブとIL-2遺伝子発現が
誘導されたヒトT細胞白血病株細胞Jurkat E6-1細胞のI
L-2 mRNAとの細胞内ハイブリダイゼーション 前記(5)と同様に抗CD3抗体、抗CD28抗体、PMAで3日
間処理することによってIL-2遺伝子発現を誘導させたIL
-2発現誘導細胞と、IL-2発現未誘導細胞について、細胞
内のIL-2 mRNAと個々のIL-2プローブとのハイブリダイ
ゼーションを以下のようなIST(In Situ Transcriptio
n)法により検出した。
【0108】各Jurkat E6-1細胞(5×105 cells/ml)を
PBS(-)で3回洗い、1 mlのPBS(-)で懸濁し、12mmのカバ
ーガラス(poly-L-lysineが底面にコート)上にマウン
トし、単層細胞を調製した。0.5% Triton-X100溶液に細
胞を90秒間室温で曝すことによって細胞膜に物質透過性
を付与した。細胞を速やかにPBS(-)で洗い、10 μM(最
終濃度)の上記表1に示した配列番号1〜10の塩基配
列を有するプローブ(非色素標識体)、オリゴdT(デ
オキシチミジンオリゴヌクレオチド、非色素標識体)ま
たはオリゴdA(デオキシアデニンオリゴヌクレオチ
ド、非色素標識体)を添加し、1時間室温でインキュベ
ートした。細胞を速やかにPBS(-)で洗い、4%パラホルム
アルデヒド溶液で室温で15分間固定した。
【0109】細胞を1×SSCで3回洗い、0.35 mMのDIG
(ジゴキシゲニン)標識dUTPを含む1mM デオキシリボヌ
クレオチド溶液(Boehringer Mannheim社製)を1 u/μl
の逆転写酵素(東洋紡社製)とともに細胞に加え、30℃
で2時間インキュベートした。細胞を1×SSCで3回洗
い、Blocking buffer(Blocking Reagent(Boehringer M
annheim社製) を1(w/v)%になるようにマレイン酸緩衝
液で溶解したもの)で室温で1時間処理した。細胞をマ
レイン酸緩衝液で3回洗い、FITC(Fluorescein-isothi
ocyanate)標識抗DIG抗体(Blocking bufferで1 μg/ml
になるように溶解したもの)を添加し、30分間室温でイ
ンキュベートした。カバーガラスをPBS(-)で3回洗い、
蛍光顕微鏡観察し、1視野あたりの総蛍光強度(相対
値)を測定した。
【0110】そのときに得られた蛍光顕微鏡写真を図2
0および21に示す。図20は、固定された状態のIL-2
発現誘導細胞およびIL-2発現未誘導細胞の細胞中の全て
のmRNAとオリゴdTとの間で形成される複合体を蛍
光検出した蛍光顕微鏡写真であり、オリゴdTの代わり
にオリゴdAを細胞に添加した場合や、複合体を蛍光標
識するのに必要なDIG標識dUTPと逆転写酵素の両
者を添加しなかった場合の対照実験結果も示している。
図21は、固定された状態のIL-2発現誘導細胞およびIL
-2発現未誘導細胞の細胞中のIL-2 mRNAと上記プローブ
(非蛍光標識体)との間で形成されるハイブリッド体を
蛍光検出した蛍光顕微鏡写真である。なお、図21にお
いては、IL-2発現誘導細胞およびIL-2発現未誘導細胞の
それぞれにおいて、各プローブの蛍光像を2枚表示して
ある。また、蛍光強度と細胞数から、1細胞あたりの蛍
光強度(平均値±SE)を算出し、オリゴdTを細胞に添
加したときの蛍光強度を基準(100%)に各プローブによ
る値を規格化し、図22に示す。
【0111】その結果、IL-2 342-356およびIL-2 357-3
71が個別で最も効率良く細胞内IL-2mRNAとハイブリダイ
ズすることが示された。これらはIL-2 mRNA分子内の連
続した30塩基配列に相補的であることから、それぞれが
エネルギードナー蛍光色素、エネルギーアクセプター蛍
光色素で標識されれば、細胞内ハイブリダイゼーション
にともなうFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)に基づく蛍
光を特異的に検出することが可能となることが示唆され
た。
【0112】(9)ドナープローブ、アクセプタープロ
ーブとIL-2発現誘導細胞におけるIL-2mRNAとの細胞内ハ
イブリダイゼーション(ISH法) (8)のIST法による実験結果において、蛍光顕微鏡視
野全体の細胞にほぼ均一にプローブが導入されていたこ
とに着目し、このプローブ導入方法をドナーおよびアク
セプターの蛍光標識プローブにも応用し、これらのプロ
ーブと細胞内IL-2 mRNAとのハイブリダイゼーションをF
RETに基づく蛍光として測定し、各組のプローブについ
て比較検討した。この方法はIST法からヒントを得て発
展させたことからISH(In Situ Hybridization)法と呼
ぶ。
【0113】(8)で記した方法によって細胞膜表面に
物質透過性を付与されたIL-2発現誘導細胞およびIL-2発
現未誘導細胞に、Bodipy493/503で標識したドナープロ
ーブおよびXRITC標識したアクセプタープローブの
溶液を2 μM(最終濃度)添加し、1時間室温でインキ
ュベートした。ドナープローブとアクセプタープローブ
の組としては、IL-2 228-242(D)とIL-2 243-257(A)、IL
-2 198-212(D)とIL-2213-227(A)、IL-2 77-91(D)とIL-2
92-106(A)、IL-2 287-301(D)とIL-2 302-316(A)、IL-2
342-356(D)とIL-2 357-371(A)を用いた。蛍光標識プロ
ーブをPBS(−)で洗い除き、4%パラホルムアルデ
ヒド溶液で15分間室温で細胞を固定した。カバーガラ
スをPBS(−)で3回洗って蛍光顕微鏡観察を行い、
細胞にA(エネルギーアクセプター色素)の励起光を照
射したときに細胞から発せられるAの蛍光(以下、場合
によりA/A像と呼ぶ)、細胞にD(エネルギードナー
色素)の励起光を照射したときに細胞から発せられるD
の蛍光(以下、場合によりD/D像と呼ぶ)、細胞にD
の励起光を照射したときに蛍光共鳴エネルギー移動(F
RET)により細胞から発せられるAの蛍光(以下、場
合によりD/A像と呼ぶ)を得た。この結果、IL-2 342
-356(D)をドナープローブ、IL-2 357-371(A)をアクセプ
タープローブとしたときに最大レベルのFRETに基づ
く蛍光が検出された。この蛍光顕微鏡写真を図23に示
す。なお、図23においては、IL-2発現誘導細胞および
IL-2発現未誘導細胞のそれぞれにおいて、各プローブの
組のA/A像、D/D像、D/A像を2枚表示してあ
る。また、対照実験としてプローブを導入しなかった結
果も示してある。
【0114】次に、得られた蛍光像の1視野全体の D/
A(D励起によるFRETに基づくAの蛍光)およびA
/A(A励起によるAの蛍光)を測定し、これらの測定
値と1視野あたりの細胞数から1細胞あたりの蛍光強度
値(平均値±SE)を算出した。以上の計算結果から細
胞内ハイブリダイゼーションの効率を求めるために、細
胞内全体のアクセプタープローブに対するIL-2 mRNAと
ハイブリダイズしたプローブの割合{(1細胞あたりの
D/A)/(1細胞あたりのA/A)}を百分率に換算し
た。この(D/A)/(A/A)(%)を指標にプローブ
の各組を比較した結果を図24に示す。以上(8)、
(9)の結果を総合すると、IL-2 342-356(D)、IL-2 35
7-371(A)は個別で、かつ連続して標的mRNAに細胞内
でハイブリダイズすることが示唆された。
【0115】(10)生きたIL-2発現誘導細胞にドナー
プローブおよびアクセプタープローブを導入したときの
細胞内ハイブリダイゼーション (3A)〜(9)の結果を踏まえ、IL-2 342-356(D)、I
L-2 357-371(A)を生細胞内のIL-2 mRNA検出に使用する
プローブとして選定した。蛍光色素で標識されたこれら
のプローブをIL-2遺伝子を発現する生きた細胞に導入
し、FRETによる蛍光の変化を指標にハイブリダイゼーシ
ョンを特異的に検出することを試みた。
【0116】前記(5)と同様に抗CD3抗体、抗CD28抗
体、PMAで3日間処理することによって得られたIL-2発
現誘導細胞と、IL-2発現未誘導細胞を回収し、氷冷PBS
(-)で2回洗った後、同PBS(-)で細胞密度が1×107 cell
s/mlになるように懸濁した。0.9mlの同細胞懸濁液を、
エレクトロポレーション用キュべット内にいれ、5.4 nm
ol(最終濃度6.0 μM)のBodipy493/503標識されたドナ
ープローブIL-2 342-356(D)、および5.3 nmol(同終濃
度5.86 μM)のXRITC標識されたアクセプタープローブI
L-2 357-371(A)を添加して250 V、975 μFで細胞にパル
スをかけた。細胞懸濁液を70μmのセルストレイナー(F
alcon)を通過させ、軽く遠心後、細胞をPBS(-)で再度
懸濁した。さらに通過液を40μmのストレイナー(Falco
n社製)を通し、通過液を遠心後、再度懸濁して多くの
死細胞を巻き込んだデブリ等を可及的に除いた後に、蛍
光顕微鏡で観察した。
【0117】その結果を図25に示す。図25にはIL-2
発現誘導細胞およびIL-2発現未誘導細胞における、A/
A像、D/D像、D/A像、および位相差顕微鏡観察に
よる透過像が示されている。なお、図25においては、
IL-2発現誘導細胞およびIL-2発現未誘導細胞のそれぞれ
において、各プローブの組のA/A像、D/D像、D/
A像、および位相差顕微鏡観察による透過像を2枚表示
してある。IL-2発現誘導細胞においては、視野全体の細
胞20〜22個の中で1〜3個の細胞に、ドナープロー
ブおよびアクセプタープローブがIL-2 mRNAに対して隣
接してハイブリダイズしたことに基づく、D/Aが検出
された。一方、IL-2発現未誘導細胞にはこのようなFR
ETによる蛍光は全く検出されなかった。
【0118】(11)フローサイトメトリーによるIL-2
遺伝子を発現する細胞の選択的分離 IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘導細胞に、ドナープロ
ーブとアクセプタープローブを導入し、これらのプロー
ブとIL-2 mRNAの生細胞内ハイブリダイゼーションに基
づくFRETによる蛍光強度の格差を利用して、IL-2発現誘
導細胞とIL-2発現未誘導細胞とを選択的に分離すること
を以下のように試みた。
【0119】(9)と同様に調製したIL-2発現誘導細胞
とIL-2発現未誘導細胞の細胞懸濁液をそれぞれ100対0、
0対100、50対50、20対80%の割合で混合して得られた懸
濁液0.9mlをエレクトロポレーション用キュべット内に
いれ、16.2 nmol(最終濃度18.0 μM)のBodipy493/503
標識されたドナープローブIL-2 342-356(D)、および14.
7 nmol(同終濃度16.4 μM)のCy5標識されたアクセプ
タープローブIL-2 357-371(A)を添加して(9)と同じ
条件でパルスをかけた。生細胞を集め、フローサイトメ
トリー用実験装置(FACSCalibur、BECTON DICKINSON社
製)に注入した。
【0120】流路の一カ所で、細胞にエネルギードナー
蛍光色素(Bodipy493/503)の励起光を照射したとき
に、前記ハイブリダイゼーションに基づいてアクセプタ
ー(Cy5標識体)から発せられる相対的蛍光強度(FL3-H
eight)をBodipy493/503による相対的蛍光強度(FL1-He
ight)とともにドットプロットとして検出した。このプ
ロットの中でFL3-Heightが高い値をとる細胞群を選択
し、R2として領域指定した。一方、ヒトリンパ球系細胞
としての細胞のサイズ(FSC-Height;前方散乱光)なら
びに内部構造の複雑さ(SSC-Height;側方散乱光)を有
する集団を参考値(FACSCalibur Training Manual, BEC
TON DICKINSON社)に基づいて選択し、R1として領域指
定した。
【0121】以上により得られたドットプロットを図2
6〜33に示す。なお、図26はIL-2発現誘導細胞とIL
-2発現未誘導細胞の混合比率が100対0の場合のFSC-Heig
htおよびSSC-Heightに基づくドットプロットを示し、図
27は同様の混合比率の場合のFL1-HeightおよびFL3-He
ightに基づくドットプロットを示す。図28はIL-2発現
誘導細胞とIL-2発現未誘導細胞の混合比率が0対100の場
合のFSC-HeightおよびSSC-Heightに基づくドットプロッ
トを示し、図29は同様の混合比率の場合のFL1-Height
およびFL3-Heightに基づくドットプロットを示す。ま
た、図30はIL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘導細胞の
混合比率が50対50の場合のFSC-HeightおよびSSC-Height
に基づくドットプロットを示し、図31は同様の混合比
率の場合のFL1-HeightおよびFL3-Heightに基づくドット
プロットを示す。さらに、図32はIL-2発現誘導細胞と
IL-2発現未誘導細胞の混合比率が20対80の場合のFSC-He
ightおよびSSC-Heightに基づくドットプロットを示し、
図33は同様の混合比率の場合のFL1-HeightおよびFL3-
Heightに基づくドットプロットを示す。
【0122】前記R2の条件を満たし、かつR1の条件も満
たす集団をセルソーテイング機能(セルソーター)を利
用して選択的に分取した。分取した細胞群を再びFACSCa
liburに注入し、目的通りに蛍光標識された細胞群であ
ることを確認するために同様のドットプロットとして検
出した。得られたドットプロットを図34〜39に示
す。図34はIL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘導細胞の
混合比率が100対0の場合のFSC-HeightおよびSSC-Height
に基づくドットプロットを示し、図35は同様の混合比
率の場合のFL1-HeightおよびFL3-Heightに基づくドット
プロットを示す。また、図36はIL-2発現誘導細胞とIL
-2発現未誘導細胞の混合比率が50対50の場合のFSC-Heig
htおよびSSC-Heightに基づくドットプロットを示し、図
37は同様の混合比率の場合のFL1-HeightおよびFL3-He
ightに基づくドットプロットを示す。さらに、図38は
IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘導細胞の混合比率が20
対80の場合のFSC-HeightおよびSSC-Heightに基づくドッ
トプロットを示し、図39は同様の混合比率の場合のFL
1-HeightおよびFL3-Heightに基づくドットプロットを示
す。
【0123】図27、図31、図33を比較することに
より、細胞懸濁液中のIL-2発現誘導細胞の割合を100か
ら50、20%と減少させるのにともない、FL3-Heightが高
くR2に属する細胞群のドットプロット全体の中で占める
割合が減少することがわかった。これに対して、同じド
ナープローブおよびアクセプタープローブをIL-2発現未
誘導細胞に導入しても、FL3-Heightの値が高い細胞群は
全く認められなかった(図29)。また、セルソーテイ
ング機能によりソートアウト(選択的分離)した細胞の
大多数はゲートR1ならびにR2の条件を満たす集団である
ことから、IL-2発現誘導細胞が充分なFRET蛍光を発
する細胞群として分取されたことが確認された(図34
〜39参照)。
【0124】(12)蛍光顕微鏡観察によるフローサイ
トメトリー前後の細胞群の比較 フローサイトメトリー前後の細胞の一部をガラス底ディ
ッシュに移し、蛍光顕微鏡を用いて視野全体の細胞の中
で、D/A、A/A、D/Dの蛍光を発する細胞の割合
について調べた。
【0125】その結果を図40〜46に示す。図40、
42、44、46には、フローサイトメトリー前の細胞
群における、IL-2 mRNAとドナープローブおよびアクセ
プタープローブの3者で形成されるハイブリッド体のF
RETに基づくアクセプター色素の蛍光像(D/A
像)、細胞中の全てのドナープローブの存在を示すドナ
ー色素の励起によるドナー色素の蛍光像(D/D像)、
アクセプタープローブの存在を示すアクセプター色素の
励起によるアクセプター色素の蛍光像(A/A像)、お
よび前記細胞群の位相差顕微鏡観察による透過像が示さ
れている。図41、43、45はフローサイトメトリー
後(セルソーテイング機能によって選択的に分取された
後)の、上記と同様の像が示されている。なお、図40
〜46においては、細胞の蛍光像と透過像間の位置合わ
せのために、一部の細胞を指し示す矢印が記載されてい
る。
【0126】図40および41の細胞群は、IL-2発現誘
導細胞とIL-2発現未誘導細胞(いずれも生きた状態)を
100対0の比率で混合したものであり、図42および43
の細胞群は、これらの比率が50対50のものである。ま
た、図44および45の細胞群は、IL-2発現誘導細胞と
IL-2発現未誘導細胞(いずれも生きた状態)を20対80の
比率で混合したものであり、図46の細胞群はこれらの
比率が0対100のものである。
【0127】図40において、位相差顕微鏡観察による
透過像に20cellsとの記載があることからわかるよう
に、視野全体に20個の細胞が存在している。また、A
/A像、D/A像およびD/D像に、それぞれ5cells、4
cellsおよび7cellsとの記載があることからわかるよう
に、A/A、D/A、D/Dの蛍光を発する細胞の個数は
それぞれ5、4、7個であることがわかる。
【0128】また、図42においては、20cells、3c
ells、1cellsおよび10cellsとの記載があることから
わかるように、視野全体の細胞は20個であり、このな
かでA/A、D/A、D/Dの蛍光を発する細胞の個数は
それぞれ3、1、10個である。同様に、図44におい
て、36cells、7cells、1cellsおよび20cellsとの
記載があることからわかるように、視野全体の細胞は3
6個であり、このなかでA/A、D/A、D/Dの蛍光を
発する細胞の個数はそれぞれ7、1、20個である。更
に、IL-2発現誘導細胞を含まない図46においては、2
1cells、2cells、0cellsおよび3cellsとの記載があ
ることからわかるように、視野全体の細胞は21個であ
り、このなかでA/A、D/A、D/Dの蛍光を発する細
胞の個数はそれぞれ2、0、3個である。
【0129】以上のことから、IL-2発現誘導細胞の割合
を100から50、20%と減少させるのにともないフローサ
イトメトリー前にはハイブリダイゼーションに基づいて
IL-2mRNAが蛍光標識されている細胞(D/Aの蛍光を発す
る細胞)の視野全体の細胞に対する割合が減少すること
がわかった。
【0130】図41は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未
誘導細胞(いずれも生きた状態)を100対0の比率で混合
したものに対してフローサイトメトリーによる選択的分
離を行った後の像を示すものであるが、位相差顕微鏡観
察による透過像に7cellsとの記載があることからわか
るように、視野全体に7個の細胞が存在している。ま
た、A/A像、D/A像およびD/D像に、それぞれ7cel
ls、7cellsおよび7cellsとの記載があることからわか
るように、A/A、D/A、D/Dの蛍光を発する細胞の
個数はいずれも7個であった。
【0131】また、図43の全てにおいて6cellsとの
記載があることからわかるように、視野全体の細胞は6
個であり、このなかでA/A、D/A、D/Dの蛍光を発
する細胞の個数はいずれも6個であった。同様に、図4
5の全てにおいて5cellsとの記載があることからわか
るように、視野全体の細胞は5個であり、このなかでA
/A、D/A、D/Dの蛍光を発する細胞の個数はいずれ
も5個であった。
【0132】図40と41、図42と43、図44と4
5を比較することにより、フローサイトメトリーのセル
ソーテイング機能(セルソーター)によって、IL-2 mRN
Aが蛍光標識されている細胞のみを選択的に分離するこ
とが可能であることがわかった。
【0133】(13)In situ Hybridization法による
フローサイトメトリー前後の細胞群の比較 フローサイトメトリー前後の細胞の一部を別のガラス底
ディッシュに移し、4%パラホルムアルデヒド/PBS (pH
7.4) で室温で30分間細胞を固定し、FISH(Fluorescent
in situ Hybridization)法により視野全体の細胞の中
でIL-2 mRNAを保有する細胞(IL-2 mRNA (+))の割合を
求めた。このFISH法に用いるリボプローブは、未反応の
リボプローブが細胞内に止まることに起因する高バック
グラウンドを防ぐために、(7)(c)で記した方法で
取得された全長のIL-2リボプローブを次の方法で細かく
断片化したものを実験に用いた。
【0134】10 μgのリボプローブを100 μlのアルカ
リ変性用溶液(42 mM NaHCO3, 63 mMNa2CO3, 5 mM DT
T)に溶かし、60℃で10〜15分間インキュベートした後
に、10μlの3 M 酢酸ナトリウムとともに350 μlのエタ
ノールを加え、リボプローブをエタノール沈殿させた。
-20℃で30分間放置後、16 krpmで20分冷却遠心し、得ら
れた沈殿を70% エタノールで沈殿を洗い、乾燥させた
後、50 μlのRNase を含有しない滅菌蒸留水で溶解し、
アルカリ変性IL-2リボプローブ溶液とした。
【0135】ディッシュ底面に固定された細胞をPBS
(-)で3回洗い、0.1% Triton X-100/PBS溶液で室温にて
5分間処理し細胞膜に物質透過性を付与した後にPBS (-)
で3回洗い、0.2N HClで室温にて10分間処理した。単層
細胞をPBS (-)で洗った後、1μg/ml Proteinase K/PBS
溶液で5分間37℃でインキュベートした。単層細胞をPBS
(-)で洗った後、4% パラホルムアルデヒド/PBS (pH7.
4)で30分間再度固定した。2 mg/ml グリシン/PBSで2
回洗い(15分/回)、50% 脱イオン済ホルムアミド/2
×SSC溶液(溶液A、後出)で30分間処理し、ハイブリダ
イゼーション溶液(50% 脱イオン処理済ホルムアミド、
5×denhardt、2×SSC、アルカリ変性処理済IL-2リボプ
ローブ(1 μg/ml))を調製し、90℃で10分間熱変性
処理後氷冷し、同溶液100 μlをディッシュに添加し、4
5℃で一晩反応させた。
【0136】ハイブリダイゼーション後の単層細胞を溶
液 Aで5分間45℃で洗い、続いて溶液 B(10 mM Tris・H
Cl (pH8.5), 500 mM NaCl)で2回洗い(5分/回)、20
μg/ml RNase A/溶液 B(90℃10分間熱処理したも
の)で37℃で20分間処理した。溶液 A、溶液 C(50% 脱
イオン処理済ホルムアミド/1×SSC)の順で45℃で各30
分間、さらに溶液 Cで室温で20分間洗った。さらに、Bu
ffer 1(100 mM マレイン酸、150 mM NaCl(pH7.5))
で洗った(5分×2回)後、Buffer 2(1% Blocking Reag
ent (Boehringer Mannheim社製) in Buffer I)で室温
で20分間ブロッキングを行った。
【0137】Buffer 1で2回洗った後、 FITC標識抗DIG
抗体(Fab、Buffer 2で100倍希釈したもの、蛋白質濃度
にして〜1 μg/ml)を単層細胞に加え30分間以上インキ
ュベートし、PBS (-)で3回洗浄後蛍光顕微鏡観察し、視
野全体の細胞に対するIL-2 mRNAを保有する細胞の割合
を求めた。
【0138】図47および48は、IL-2発現誘導細胞と
IL-2発現未誘導細胞の混合比率が100対0である場合の蛍
光顕微鏡写真であり、図47はフローサイトメトリー
前、図48はフローサイトメトリー後を示す。また、図
49は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘導細胞の混合
比率が0対100である場合のフローサイトメトリー前の蛍
光顕微鏡写真である。図50および51は、IL-2発現誘
導細胞とIL-2発現未誘導細胞の混合比率が50対50である
場合の蛍光顕微鏡写真であり、図50はフローサイトメ
トリー前、図51はフローサイトメトリー後を示す。ま
た、図52および53は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現
未誘導細胞の混合比率が20対80である場合の蛍光顕微鏡
写真であり、図52はフローサイトメトリー前、図53
はフローサイトメトリー後を示す。
【0139】なお、図中に記載された数字は視野全体の
細胞数あたりの蛍光を発する細胞の個数を示しており、
例えば、図47の48/48は、視野を占める48細胞
全てに蛍光が観察され、IL-2 mRNAが含まれることを示
すのに対して、図49の0/32は、32個の細胞の中
でIL-2 mRNAを保有する細胞が皆無であることを示す。
また、図50の18/35は、35個の細胞中に18個
のIL-2 mRNA保有細胞が検出されたことを示し、図52
の8/39は、39個の細胞中に8個のIL-2 mRNA保有
細胞が検出されたことを示すことから、図50において
は50対50の比率で、図52においては20対80の
比率でIL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘導細胞を混合し
たことがよく反映されている。一方、図48、図51、
図53における数字はそれぞれ9/9、7/7、8/8
であり、このことから、フローサイトメトリー前には多
くても50%もしくは約20%しか存在しなかったIL-2
mRNA保有細胞はすべてフローサイトメトリー後に10
0%に濃縮されることが確認された。
【0140】(14)特定の遺伝子を発現する生細胞の
蛍光強度の格差を利用した分離法 (11)〜(13)の実験結果を整理し、IL-2 mRNAが
蛍光標識されることに基づく蛍光強度の格差を利用した
分離法の成績を以下の表8に示す。フローサイトメトリ
ー前には多くても50%もしくは約20%しか存在しな
かったIL-2 mRNA保有細胞は、この蛍光強度の格差を利
用した分離法によって100%に濃縮された。すなわ
ち、IL-2 mRNA保有細胞を含む生細胞群から100%の
純度で当該IL-2 mRNA保有細胞が選択的に分離された。
【0141】
【表8】
【0142】(15) ヒト末梢血からのリンパ球の分
終濃度10 U/mlのヘパリンを加えた血液を、健常人から2
00ml採取後、2倍容の3%デキストランin PBS(phosphat
e buffered saline)溶液と50mlの遠心チューブ(Falco
n2070)内で混和し、室温で15分間静置し、赤血球を沈
降させた。上清21.5 mlを15 mlのフィコールパック(フ
ァルマシア)に静かに重層し、490×g(1,600 rpm)で30
分間遠心した。上清において白色の浮遊物として観察さ
れるリンパ球層をピペットにより採取した。リンパ球層
を3倍容のHBSS(Hanks' Balanced Salt Solution, GIB
CO BRL製)と50mlの遠心チューブ(Falcon2070)内で混
和し、1,200 rpmで10分間遠心後、リンパ球から成る沈
殿を30 mlのPBS(-)で2回洗浄後、細胞密度が約2.5×10
7 cells/mlになるように懸濁した。
【0143】(16)末梢血リンパ球からヘルパーT細
胞(CD4陽性細胞)の分離および蛍光抗体染色 CD4陽性細胞の分離には、ヒトCD4陽性細胞回収用
カラムキット(HumanCD4 cell Recovery Column Kit、C
EDARLANE社製)を使用し、同キットに備え付けのプロト
コールに従い、以下のように分離操作を行った。
【0144】CD4陽性細胞分離用カラム (CEDARLANE
社)をカラムスタンドにセットし、カラム内ガラスビー
ズを15mlのPBS(-)を注ぎ加え、洗い流し、PBS(-)がビ
ーズの真上に僅かに残った状態で止めた。同ビーズにヤ
ギ抗ヒトIgG (H+L)およびヤギ抗マウスIgG (H+L)血清を
付加するために、カラムリエージェント(Column Reage
nt, CEDARLANE社)内の試薬粉末を1〜1.5mlのPBS(-)
で溶かし、同リエージェント溶液をカラム内ビーズに加
え、流し、ビーズの真上に僅かに残った状態で止め、室
温で1-8時間静置した。
【0145】セルリエージェント(Cell Reagent, CEDA
RLANE社)内の粉末を1.5mlのPBS(-)で溶かし、同セル
リエージェント全量と(15)で調製した3.5-4.5m
lのリンパ球懸濁液を50mlの遠心チューブ(Falcon 207
0)内で混和し、30分間以上氷上でインキュベート
し、細胞群中のCD8陽性細胞を同リエージェントに含
まれるCD8に対する特異抗体(マウス抗ヒトCD8)で
中和した。このリンパ球懸濁液に15mlのPBS(-)を加
え、4℃で200×g(約1,200 rpm)で5-10分間遠心し、
上清をピペッテイングにより除いた。
【0146】得られた細胞沈殿を15mlのPBS(-)で洗っ
た後、沈殿を細胞密度が約5×107 cells/mlになるよう
に懸濁した。PBS(-)で平衡化されたカラムのビーズに2
0mlのPBS(-)を注ぎ加え、洗い流しながら、流速を6-
8滴/分(1滴/8秒間)に合わせた後、細胞懸濁液を
カラムビーズに加え流し、15mlのFalconチューブで溶出
液を回収し、細胞懸濁液がビーズの真上に僅かに残った
状態で流入を停止した。さらにPBS(-)をビーズに注ぎ加
え、15mlのFalconチューブで10〜15mlの溶出液を回
収した。得られた溶出液を4℃で1,200 rpmで10分間遠
心し、上清をピペッテイングにより除き、得られた細胞
沈殿を細胞密度が1.0×107 cells/mlになるように胎児
ウシ血清(FBS)が10%含まれるPBS(-)で懸濁し
た。
【0147】細胞懸濁液中にCD4陽性T細胞が占める
割合を調べる目的で、得られた細胞懸濁液の一部(50μ
l)に対して、抗CD4/CD8抗体(サイマルテスト(Leu-3A
/2a)、Becton Dickinson社)とコントロール抗体(サイ
マルテストコントロール、Becton Dickinson社)20μl
を2mlのマイクロチューブ内で混合し、30-45分間遮光
しながら氷中でインキュベートし、細胞表面のCD4お
よびCD8を蛍光染色した。2mlのPBS(-)を前記混合液
に加え、ボルテックスミキサーで混和し、300×gで5分
間遠心し、上清をピペッテイングもしくはアスピレーシ
ョンにより除去後、細胞沈殿を1mlのPBS(-)で懸濁後、
フローサイトメトリー用実験装置(FACSCalibur、Becto
n Dickinson社)に注入し、CD4およびCD8に関す
るフローサイトメトリーを実施した。その結果、前記カ
ラムにかける前の末梢血リンパ球中には多くのCD8陽
性細胞が確認された(図56)。これに対して、前記C
D4陽性細胞分離操作を経て得られた細胞懸濁液には5
0%程度のCD4陰性ならびに弱陽性細胞が含まれるこ
とが判明したが、CD8陽性細胞の混入は認められなか
った(図59)。
【0148】(17)ヘルパーT細胞(CD4陽性細
胞)の活性化 (16)で得られた細胞懸濁液(細胞密度は1.0×107 c
ells/ml)に1 μg/ml(終濃度)のイオノマイシン(SIG
MA)、30 nM PMA(SIGMA)を添加して37℃、5% CO2存在
下で2時間インキュベートした。
【0149】(18)ヘルパーT細胞(CD4陽性細
胞)の細胞内IL-2 mRNAの蛍光標識 (17)で得られた活性化CD4陽性細胞の懸濁液0.9
mlを、エレクトロポレーション用キュべット(Gene Pul
ser専用キュベット(電極間距離=0.4cm)、BIO-RAD社)
内に容れ、5.4 nmol(最終濃度6.0 μM)のBodipy493-5
03で標識されたドナープローブIL-2 342-356(D)および
5.3 nmol(同終濃度5.86 μM)のCy5で標識されたアク
セプタープローブIL-2 357-371(A)を添加して250 V、97
5 μFで細胞にパルスをかけた。細胞懸濁液を70μmのセ
ルストレイナー(Falcon)を通過させ、軽く遠心後、細
胞をPBS(-)で再度懸濁した。さらに通過液を40μmのス
トレイナー(Falcon)を通し、通過液を遠心後、再度懸
濁して多くの死細胞を巻き込んだデブリ等を可及的に除
いた後に、細胞の一部をカバーガラスチャンバー(Lab-
Tek II Chambered Coverglass#155409、NUNC社)に移
し、蛍光顕微鏡を用いて視野全体の細胞の中で、下記の
蛍光を発する細胞の割合について調べた。 A/A{細胞にA(アクセプター色素)の励起光を照射し
たときに細胞から発せられるAの蛍光} D/A{細胞にD(ドナー色素)の励起光を照射したとき
に細胞から発せられるAの蛍光、FRETによる蛍光} D/D{細胞にDの励起光を照射したときに細胞から発せ
られるDの蛍光}
【0150】その結果、視野全体(25細胞)の中で3
個の細胞がD/Aの蛍光を発していることが観察され、IL-
2 mRNAがドナーおよびアクセプタープローブとのハイブ
リダイゼーションに基づいて特異的に蛍光標識されたこ
とが確認された。この結果から、活性化CD4陽性細胞
群中にTH1が12%程度存在することが示唆された
(図60)。
【0151】(19)活性化CD4陽性細胞群からのフ
ローサイトメトリーによるTH1の選択的分離 IL-2 mRNAとドナーおよびアクセプタープローブとの生
細胞内ハイブリダイゼーションに基づくFRETによる蛍光
によって生じる(IL-2 mRNAを保有する細胞としない細
胞間の)蛍光強度の格差を利用して、TH1を選択的に
分離することを以下のように試みた。
【0152】(18)で得られたIL-2 mRNAが蛍光標識
された細胞が含まれる細胞群の懸濁液を、フローサイト
メトリー用実験装置(FACSCalibur)に注入した。流路
の一カ所で、細胞にドナー色素(Bodipy)の励起光を照
射したときに、前記ハイブリダイゼーションに基づいて
アクセプター(Cy5標識体)から発せられる相対的蛍光
強度(FL3-Height)をBodipyによる相対的蛍光強度(FL
1-Height)とともにドットプロットとして検出した。こ
のブロットの中でFL3-Heightが高い値をとる細胞集団を
選択し、R2として領域指定した(図63)。
【0153】一方、ヒトリンパ球系細胞としての細胞の
サイズ(FSC-Height;前方散乱光)ならびに内部構造の
複雑さ(SSC-Height;側方散乱光)を有する集団を参考
値(FACSCalibur Training Manual, BECTON DICKINSO
N)に基づいて選択し、R1として領域指定した(図6
2)。前記R2の条件を満たし、かつR1の条件も満たす集
団をセルソーテイング機能を利用して選択的に分取し
た。分取した細胞集団を再びFACSCaliburに注入し、目
的通りに蛍光標識された細胞集団であることを確認する
ために同様のドットプロットとして検出した結果、セル
ソーテイング機能によりソートアウトされた細胞の大多
数はゲートR1ならびにR2の条件を満たす集団であり、IL
-2 mRNAが蛍光標識された細胞は充分なFRET蛍光を発す
る細胞群として分取されたことが確認された(図6
5)。これに対して、蛍光標識プローブを導入しなかっ
た対照実験の細胞群のドット解析の結果、FL1-Heightに
ついて微弱な蛍光を発する細胞群が検出されたものの、
FL3-Heightについては総てのドットがベースライン付近
に密集したため、IL-2 mRNAが特異的に蛍光標識された
細胞群とはドットプロット上で容易に識別されることが
確認された(図67)。
【0154】次に、ソートアウトされた細胞群の一部を
(18)と同様に蛍光顕微鏡で観察した。その結果、ソ
ートアウトされた細胞群は視野全体の8個の細胞総てが
D/A(FRETによる蛍光)を発しており、IL-2 mRNAが蛍光
標識されていることが観察された(図61)。この結果
と、(18)のフローサイトメトリーにかける前の結果
をIL-2 mRNAが蛍光標識された細胞の存在比率を指標に
比較したところ、フローサイトメトリーに基づくセルソ
ーテイングによってTH1が選択的に分離されたことが示
唆された。
【0155】(20)ヘルパーT細胞(CD4陽性細
胞)の細胞内IL-4 mRNAの蛍光標識 (17)で得られた活性化CD4陽性細胞の懸濁液0.9
mlを、(18)と同様にエレクトロポレーション用キュ
べット(BIO-RAD社)内に容れ、15.1 nmol(最終濃度1
6.8 μM)のBodipy493-503で標識されたドナープローブ
IL-4 265-279および13.6 nmol(同終濃度15.1 μM)のC
y5で標識されたアクセプタープローブIL-4 280-294を添
加して250 V、975 μFで細胞にパルスをかけた。細胞懸
濁液を(18)と同様に70μmのセルストレイナー(Fal
con)を通過させ、軽く遠心後、細胞をPBS(-)で再度懸
濁した。さらに通過液を40μmのストレイナー(Falco
n)を通し、通過液を遠心後、再度懸濁して多くの死細
胞を巻き込んだデブリ等を可及的に除いた後に、細胞の
一部をカバーガラスチャンバー(NUNC社)に移し、蛍光
顕微鏡を用いて視野全体の細胞の中で、(18)と同様
にA/A、D/A、D/Dの蛍光を発する細胞の割合について調
べた。その結果、視野全体(41細胞)の中で2個の細
胞がD/Aの蛍光を発していることが観察され、IL-4 mRNA
がドナーおよびアクセプタープローブとのハイブリダイ
ゼーションに基づいて特異的に蛍光標識されたことが確
認された(図68)。この結果から、活性化CD4陽性
細胞群中にTH2が5%近く存在することが示唆された。
【0156】(21)活性化CD4陽性細胞群からのフ
ローサイトメトリーによるTH2の選択的分離 IL-4 mRNAとドナーおよびアクセプタープローブとの生
細胞内ハイブリダイゼーションに基づくFRETによる蛍光
によって生じる(IL-4 mRNAを保有する細胞としない細
胞間の)蛍光強度の格差を利用して、TH2を選択的に分
離することを以下のように試みた。
【0157】(20)で得られたIL-4 mRNAが蛍光標識
された細胞が含まれる細胞群の懸濁液を、フローサイト
メトリー用実験装置(FACSCalibur)に注入した。(1
9)と同様に、細胞にドナー色素(Bodipy)の励起光を
照射したときに、前記ハイブリダイゼーションに基づい
てアクセプター(Cy5標識体)から発せられる相対的蛍
光強度(FL3-Height)をBodipyによる相対的蛍光強度
(FL1-Height)とともにドットプロットとして検出し
た。このプロットの中でFL3-Heightが高い値をとる細胞
集団を選択し、R2として領域指定した(図71)。
【0158】一方、ヒトリンパ球系細胞としての細胞の
サイズ(FSC-Height;前方散乱光)ならびに内部構造の
複雑さ(SSC-Height;側方散乱光)を有する集団を選択
し、R1として領域指定した(図70)。前記R2の条件を
満たし、かつR1の条件も満たす集団をセルソーテイング
機能を利用して選択的に分取した。分取した細胞集団を
再びFACSCaliburに注入し、目的通りに蛍光標識された
細胞集団であることを確認するために同様のドットプロ
ットとして検出した結果、セルソーテイング機能により
ソートアウトされた細胞の大多数はゲートR1ならびにR2
の条件を満たす集団であり(図72および73)、IL-4
mRNAが蛍光標識された細胞は充分なFRET蛍光を発する
細胞群として分取されたことが確認された。
【0159】次に、ソートアウトされた細胞群の一部を
(20)と同様に蛍光顕微鏡で観察した。その結果、ソ
ートアウトされた細胞群は視野全体の7個の細胞総てが
D/A(FRETによる蛍光)を発しており、IL-2 mRNAが蛍光
標識されていることが観察された(図69)。この結果
と、(20)のフローサイトメトリーにかける前の結果
をIL-4 mRNAが蛍光標識された細胞の存在比率を指標に
比較したところ、フローサイトメトリーに基づくセルソ
ーテイングによってTH2が選択的に分離されたことが示
唆された。
【0160】(22) ヘルパーT細胞(CD4陽性細
胞)におけるTH2の誘導 健常な生体内ではTH1とTH2の均衡が保たれており、両者
のバランスがとれた関係が生体内免疫調節の恒常性が維
持されていると考えられる。これとは反対に、TH1とTH2
の均衡の破綻は多くの免疫病発症の要因となる。生体内
で発生する均衡を破綻させる要素こそが当該疾病に至ら
しめる根源に違いないが、発病に至るまでの機構は試験
管内で再構成させるにはあまりに複雑である。しかしな
がら、両者の均衡が破綻した状態を人為的に再構成する
ことは以前から知られている。例えば、TH2がTH1に対し
て圧倒的に優位である場合には、生体内では代表的な液
性免疫機能であるB細胞による免疫グロブリン(抗体分
子)の過剰な産生と分泌が促され、その結果、通常では
産生されない自己抗体(自己成分に反応し組織障害を引
き起こす抗体)が作られ、自己免疫疾患の原因となるこ
とが考えられる。
【0161】このような病態を模倣し、TH2優位なヘル
パーT細胞群を人為的に構成するには、「自らが産生す
るサイトカイン(IL-4)によって、自らを活性化する」
というTH2の性質を利用した高濃度のIL-4でヘルパーT
細胞群を処理してTH2を誘導する方法がとられている(O
penshaw, P. et al. J. Exp. Med. 182(5), 1357, 199
5)。そこで、(16)で得られたCD4陽性細胞の細
胞懸濁液に(17)で記載したイオノマイシン、PMAと
ともに20 ng/ml(終濃度)のヒトリコンビナントIL-4
(Genzyme社)を添加して37℃で2時間インキュベート
した。
【0162】(23)TH2優位なヘルパーT細胞におけ
るTH1の細胞内IL-2 mRNAの蛍光標識 TH2優位なヘルパーT細胞群の中では少数派と思われるT
H1を選択的に分離取得することを試みた。(22)でTH
2が誘導されたCD4陽性細胞の懸濁液0.9 mlを、(1
8)と同様にエレクトロポレーション用キュべット(BI
O-RAD社)に容れ、5.4 nmol(最終濃度6.0 μM)のBodi
py493-503で標識されたドナープローブIL-2 342-356お
よび5.3 nmol(同終濃度5.86 μM)のCy5で標識された
アクセプタープローブIL-2 357-371を添加して250 V、9
75 μFで細胞にパルスをかけた。(18)と同様に細胞
懸濁液から多くの死細胞を巻き込んだデブリ等を除去し
た後、細胞の一部をカバーガラスチャンバー(NUNC社)
に移し、蛍光顕微鏡を用いて視野全体の細胞の中で、A/
A、D/A、D/Dの蛍光を発する細胞の割合について調べ
た。その結果、視野全体(23細胞)の中で1個の細胞
がD/Aの蛍光を発していることが観察され、IL-2 mRNAが
特異的に蛍光標識された細胞が存在することが確認され
た(図74)。この結果から、TH2優位なCD4陽性細
胞群中でTH1は4%程度にまで減少したことが示唆され
た。
【0163】(24)TH2優位なヘルパーT細胞群から
のフローサイトメトリーによるTH1の選択的分離 (19)と同様にIL-2 mRNAが蛍光標識されることによ
って生じる(IL-2 mRNAを保有する細胞としない細胞間
の)蛍光強度の格差を利用して、TH1を選択的に分離す
ることを以下のように試みた。
【0164】(23)で得られたIL-2 mRNAが蛍光標識
された細胞が含まれる細胞群の懸濁液を、フローサイト
メトリー用実験装置(FACSCalibur)に注入した。(1
9)と同様に、細胞にドナー色素(Bodipy)の励起光を
照射したときに、アクセプター(Cy5標識体)から発せ
られる相対的蛍光強度(FL3-Height)をBodipyによる相
対的蛍光強度(FL1-Height)とともにドットプロットと
して検出した。このプロットの中でFL3-Heightが高い値
をとる細胞集団を選択し、R2として領域指定した(図7
7)。一方、ヒトリンパ球系細胞としての細胞のサイズ
(FSC-Height;前方散乱光)ならびに内部構造の複雑さ
(SSC-Height;側方散乱光)を有する集団を選択し、R1
として領域指定した(図76)。前記R2の条件を満た
し、かつR1の条件も満たす集団をセルソーテイング機能
を利用して選択的に分取した。分取した細胞集団におい
て目的通りに蛍光標識された細胞が存在することを確認
するために、細胞を再びFACSCaliburに注入し、同様に
ドットの分布を調べた結果、セルソーテイング機能によ
りソートアウトされた細胞の大多数はゲートR1ならびに
R2の条件を満たす集団であり(図78および79)、IL
-2 mRNAが蛍光標識された細胞は充分なFRET蛍光を発す
る細胞群として分取されたことが確認された。
【0165】次に、ソートアウトされた細胞群の一部を
(20)と同様に蛍光顕微鏡で観察した。その結果、ソ
ートアウトされた細胞群は視野全体の5個の細胞総てが
D/A(FRETによる蛍光)を発しており、IL-2 mRNAが蛍光
標識されていることが観察された(図75)。この結果
と、(23)のフローサイトメトリーにかける前の結果
をIL-2 mRNAが蛍光標識された細胞の存在比率を指標に
比較したところ、フローサイトメトリーに基づくセルソ
ーテイングによってTH1が選択的に分離されたことが示
唆された。
【0166】(25)ヘルパーT細胞(CD4陽性細
胞)におけるTH1の誘導 (22)とは反対に、TH1がTH2に対して圧倒的に優位で
ある場合には、結核様癩のような慢性疾患に罹患するこ
とが知られている(Mitra, D.K. et al. Int.Immunol.
11(11), 1801, 1999)。このような病態を模倣し、TH1
優位なヘルパーT細胞群を人為的に構成するには、TH1
を活性化するサイトカインIL-12を細胞外液中のIL-4を
中和して不活化するためのIL-4に対する特異抗体でヘル
パーT細胞群を処理してTH1を誘導する方法がとられて
いる(Openshaw, P. et al. J. Exp.Med. 182(5), 135
7, 1995)。
【0167】そこで、(16)で得られたCD4陽性細
胞の細胞懸濁液に(17)で記載したイオノマイシン、
PMAとともに10 ng/ml(終濃度)のヒトリコンビナントI
L-12(Genzyme社)を抗ヒトIL-4マウスモノクローナル
抗体(Genzyme社)とともに添加して37℃で2時間イン
キュベートした。
【0168】(26)TH1優位なヘルパーT細胞におけ
るTH2の細胞内IL-4 mRNAの蛍光標識 TH1優位なヘルパーT細胞群の中では少数派と思われるT
H2を選択的に分離取得することを試みた。(25)でTH
1が誘導されたCD4陽性細胞の懸濁液0.9 mlを、(1
8)と同様にエレクトロポレーション用キュべット(BI
O-RAD社)に容れ、15.1 nmol(最終濃度16.8 μM)のBo
dipy493-503で標識されたドナープローブIL-4 265-279
(D)および13.6 nmol(同終濃度15.1 μM)のCy5で標識
されたアクセプタープローブIL-4 280-294(A)を添加し
て250 V、975 μFで細胞にパルスをかけた。
【0169】(18)と同様に細胞懸濁液から多くの死
細胞を巻き込んだデブリ等を除去した後、細胞の一部を
カバーガラスチャンバー(NUNC社)に移し、蛍光顕微鏡
を用いて視野全体の細胞の中で、A/A、D/A、D/Dの蛍光
を発する細胞の割合について調べた。その結果、視野全
体(42細胞)の中で1個の細胞がD/Aの蛍光を発して
いることが観察され、IL-4 mRNAが特異的に蛍光標識さ
れた細胞が存在することが確認された(図80)。この
結果から、TH1優位なCD4陽性細胞群においてTH2が2
%程度の割合で残っていることが示唆された。
【0170】(27)TH1優位なヘルパーT細胞群から
のフローサイトメトリーによるTH2の選択的分離 (21)と同様にIL-4 mRNAが蛍光標識されることによ
って生じる(IL-4 mRNAを保有する細胞としない細胞間
の)蛍光強度の格差を利用して、TH2を選択的に分離す
ることを以下のように試みた。
【0171】(26)で得られたIL-4 mRNAが蛍光標識
された細胞が含まれる細胞群の懸濁液を、フローサイト
メトリー用実験装置(FACSCalibur)に注入した。(1
9)と同様に、細胞にドナー色素(Bodipy)の励起光を
照射したときに、アクセプター(Cy5標識体)から発せ
られる相対的蛍光強度(FL3-Height)をBodipyによる相
対的蛍光強度(FL1-Height)とともにドットプロットと
して検出した。このブロットの中でFL3-Heightが高い値
をとる細胞集団を選択し、R2として領域指定した(図8
3)。一方、ヒトリンパ球系細胞としての細胞のサイズ
(FSC-Height;前方散乱光)ならびに内部構造の複雑さ
(SSC-Height;側方散乱光)を有する集団を選択し、R1
として領域指定した(図82)。前記R2の条件を満た
し、かつR1の条件も満たす集団をセルソーテイング機能
を利用して選択的に分取した。分取した細胞集団におい
て目的通りに蛍光標識された細胞が存在することを確認
するために、再び細胞をFACSCaliburに注入し、同様に
ドットの分布を調べた結果、セルソーテイング機能によ
りソートアウトされた細胞の大多数はゲートR1ならびに
R2の条件を満たす集団であり(図84および85)、IL
-4 mRNAが蛍光標識された細胞は充分なFRET蛍光を発す
る細胞群として分取されたことが確認された。
【0172】次に、ソートアウトされた細胞群の一部を
(20)と同様に蛍光顕微鏡で観察した。その結果、ソ
ートアウトされた細胞群は視野全体の細胞総てがD/A(F
RETによる蛍光)を発しており、IL-4 mRNAが蛍光標識さ
れていることが観察された(図81)。この結果と、
(23)のフローサイトメトリーにかける前の結果をIL
-4 mRNAが蛍光標識された細胞の存在比率を指標に比較
したところ、フローサイトメトリーに基づくセルソーテ
イングによってTH2が選択的に分離されたことが示唆さ
れた。
【0173】(28)In situ Hybridization法による
フローサイトメトリー前の細胞集団中のIL-2 mRNAもし
くはIL-4 mRNA保有細胞の検出 フローサイトメトリー(セルソーターで分離する)前の
細胞の一部をカバーガラスチャンバー(Lab-Tek II Cha
mbered Coverglass#155409、NUNC社)に移し、4% パラ
フォルムアルデヒド/PBS (pH7.4) で室温で30分間細胞
を固定し、以下に記載したFISH(Fluorescent in situ
Hybridization)法により視野全体の細胞におけるIL-2
mRNAもしくはIL-4 mRNAを保有する細胞(IL-2 mRNA (+)
もしくはIL-4 mRNA (+))の存在割合を求めた。
【0174】第一に、固定された前記細胞の細胞内IL-2
mRNAを検出するのに必要なジゴキシゲニン(以下DIG)
標識IL-2リボプローブを、DIG RNA Labeling Kit(Boeh
ringer Mannheim)を用いて同キット専用のプロトコー
ルに従って合成した。(2A)で記載した方法でヒトIL
-2 RNA合成用に作成された組換体プラスミド(pTCGF#
2)10 μgをEcoRI消化により完全に線状化し、得られた
DNA溶液中の線状DNAを、phenol/chloroform抽出による
蛋白質変性除去後にエタノール沈殿により精製し、リボ
プローブ合成のための鋳型とした。同鋳型DNA(5 μg)
と1.8 mM ATP、0.9 mM CTP、0.7 mM GTP、1.1 mM UTP、
0.58 mM UTP(DIG標識体)をT7 RNA polymerase存在下
で混和し、37℃で2時間インキュベートした後、DNase I
溶液を加え10分間反応させ、鋳型DNAを破壊した。同反
応溶液に1/10倍容の5 Mの酢酸ナトリウムと1倍容のイ
ソプロパノールを加え、15,000×gで15分間遠心するこ
とにより沈殿物として回収された合成RNAは、RNase fre
eの滅菌蒸留水に溶解された。
【0175】第二に、固定された前記細胞の細胞内IL-4
mRNAを検出するのに必要なDIG標識IL-4リボプローブ
を、IL-2の場合と同様にDIG RNA Labeling Kit(Boehri
nger Mannheim)を用いて次の方法で合成した。(2
B)で記載した方法でヒトIL-4 RNA合成用に作成された
組換体プラスミド(phIL-4#9)をSma Iで完全に消化し
て線状化し、得られたDNA溶液中の線状DNAをphenol/chl
oroformで処理後、エタノール沈殿により精製し、リボ
プローブ作成のための鋳型とした。同鋳型DNA(5 μg)
と1.2 mM ATP、1.0 mM CTP、1.1 mM GTP、0.8 mM UTP、
0.5 mM UTP(DIG標識体)をT7 RNA polymerase存在下で
混和し、37℃で2時間インキュベートした後、DNase I溶
液を加え10分間反応させ、鋳型DNAを破壊した。同反応
溶液に1/10倍容の5 Mの酢酸ナトリウムと1倍容のイソ
プロパノールを加え、15,000×gで15分間の遠心により
沈殿物として回収された合成RNAは、RNase freeの滅菌
蒸留水に溶解された。
【0176】第三に、上記の通り得られた全長のIL-2も
しくはIL-4のリボプローブを直接ハイブリダイゼーショ
ンに用いると、未反応のリボプローブが細胞内に止まる
ことに起因する高バックグラウンド(ノイズ)が予想さ
れたため、(13)と同様に、次の方法により細かく断
片化されたものをハイブリダイゼーション実験に用い
た。10 μgのIL-2もしくはIL-4リボプローブを100 μl
のアルカリ変性用溶液(42 mM NaHCO3, 63 mM Na2CO3,
5 mM DTT)に溶かし、60℃で10-15分間インキュベート
した後に、10 μlの3 M 酢酸ナトリウムとともに350 μ
lのEtOHを加え、リボプローブをエタノール沈殿させ
た。-20℃で30分間放置後、16 krpmで20分間冷却遠心
し、得られた沈殿を70% エタノールで洗い、乾燥させ
た後、50 μlのRNase free滅菌蒸留水で溶解し、アルカ
リ変性IL-2もしくはIL-4リボプローブ溶液とした。
【0177】チャンバーの底面に固定された細胞をPBS
(-)で3回洗い、0.1% Triton X-100/PBS溶液で室温で5
分間処理して細胞膜に物質透過性を付与した後にPBS
(-)で3回洗い、0.2 N HClで室温で10分間処理した。単
層細胞をPBS (-)で洗った後、1μg/ml Proteinase K/P
BS溶液で5分間37℃でインキュベートした。単層細胞をP
BS (-)で洗った後、4% パラフォルムアルデヒド/PBS
(pH7.4)で30分間再度固定した。2 mg/ml グリシン/PBS
で2回洗い(15分/回)、50% 脱イオン済フォルムアミ
ド/2×SSC溶液(以下Soln. A)で30分間処理し、ハイ
ブリダイゼーション溶液(50% 脱イオン処理済フォルム
アミド、5×denhardt、2×SSC、アルカリ変性処理済IL-
2もしくはIL-4リボプローブ(1 μg/ml))を調製し、
90℃で10分間変性処理後氷冷し、同溶液100 μlをチャ
ンバーに添加し、45℃で一晩反応させた。
【0178】ハイブリダイゼーション後の単層細胞をSo
ln. Aで5分間45℃で洗い、続いてSoln. B(10 mM Tris
・HCl (pH8.5), 500 mM NaCl)で2回洗い(5分/
回)、20 mg/ml RNase A/Soln. B(90℃で10分間熱処
理したもの)で37℃20分間処理した。 Soln. A、Soln.
C(50% 脱イオン処理済フォルムアミド/1×SSC)の順
で45℃で各30分間、さらにSoln. Cで室温で20分間洗っ
た。さらに、Buffer 1(100 mM マレイン酸、150 mM Na
Cl(pH7.5))で洗った(5分×2回)後、Buffer 2(1%B
locking Reagent (Boehringer Mannheim) in Buffer
I)で室温で20分間ブロッキングを行った。 Buffer 1で
2回洗った後、 FITC標識抗DIG抗体(Fab、Buffer 2で1
00倍希釈したもの、蛋白質濃度にして〜1 μg/ml)を単
層細胞に加え30分間以上インキュベートし、PBS (-)で3
回洗浄後蛍光顕微鏡観察し、視野全体の細胞に対するIL
-2 mRNAもしくはIL-4 mRNAを保有する細胞(TH1もしく
はTH2)の存在割合を求めた。
【0179】その結果、TH1を選択的に分離するためにI
L-2 mRNAを蛍光標識した(18)の実験で使用した細胞
群において、24細胞中5個のIL-2 mRNA、43細胞中
3個のIL-4 mRNAを保有する細胞が検出された(図8
6)。この結果においてIL-2 mRNA保有細胞の存在比率
(20.8%)は(18)で記載した蛍光顕微鏡観察結果
(12.0%)をかなり上回ったが、この原因として(1
8)の実験では顕微鏡視野下の総てのTH1に均一に蛍光
プローブが導入されなかったことが考えられた。
【0180】一方、TH2を選択的に分離するためにIL-4
mRNAを蛍光標識した(20)の実験で使用した細胞群に
おいて、28細胞中6個のIL-2 mRNA、42細胞中3個
のIL-4 mRNAを保有する細胞が検出された(図88)。
この結果におけるIL-4 mRNA保有細胞の存在比率(7.1
%)は(20)で記載した蛍光顕微鏡観察結果(4.9
%)を僅かに上回る程度であった。
【0181】さらに、TH2優位な細胞群からTH1を選択的
に分離するためにIL-2 mRNAを蛍光標識した(23)の
実験で使用した細胞群において、28細胞中2個、別の
視野では35細胞中3個のIL-2 mRNA、41細胞中8
個、別の視野では42細胞中9個のIL-4 mRNAを保有す
る細胞が検出された(図90)。この結果においてIL-2
mRNA保有細胞の存在比率(7.9%)は(23)で記載し
た蛍光顕微鏡観察結果(4.3%)を上回ったが、この原
因も(23)の実験で総てのTH1に均一に蛍光プローブ
が導入されなかったことが考えられた。
【0182】また、TH1優位な細胞群からTH2を選択的に
分離するためにIL-4 mRNAを蛍光標識した(26)の実
験で使用した細胞群において、24細胞中9個、別の視
野では29細胞中11個のIL-2 mRNA、48細胞中1
個、別の視野では41細胞中1個のIL-4 mRNAを保有す
る細胞が検出された(図92)。この結果においてIL-4
mRNA保有細胞の存在比率(2.2%)は(26)で記載し
た蛍光顕微鏡観察結果(2.4%)と同等であった。この
ようにIL-4 mRNAについて蛍光顕微鏡観察結果とFISHの
結果の整合性が高いことは、IL-2と比較して高濃度のIL
-4蛍光プローブ存在下で細胞に電気パルスを加えたため
比較的均一にプローブがTH2に導入された可能性が考え
られた。
【0183】(29)In situ Hybridization法による
フローサイトメトリー後の(セルソーターによって選択
的に分離された)細胞集団中のIL-2、γ-IF、TNF-β、
IL-4、IL-5、IL-10 mRNA保有細胞の検出 (24)−(27)で取得したフローサイトメトリー後
の(セルソーターによって選択的に分離された)細胞の
一部をカバーガラスチャンバー(NUNC社製)に移し、 4
% パラフォルムアルデヒド/PBS (pH7.4) で室温で30分
間細胞を固定し、(28)で詳細に記載したFISH法によ
り視野全体の細胞におけるTH1型のサイトカインであるI
L-2、γ-IF、TNF-βならびにTH2型のサイトカインであ
る IL-4、IL-5、IL-10のmRNAを保有する細胞(IL-2 mRN
A (+)、γ-IF mRNA (+)、TNF-βmRNA (+)、 IL-4 mRNA
(+)、IL-5 mRNA (+)、IL-10 mRNA (+) )の存在割合を
求めた。以上のサイトカインの中で、IL-2およびIL-4に
ついては、アルカリ変性されたリボプローブを既に(2
8)で取得済みであるため、固定された細胞におけるIL
-2およびIL-4以外の上記サイトカインのmRNAを検出する
のに必要なリボプローブ(DIG標識体)を、DIG RNA Lab
eling Kit(Boehringer Mannheim)を用いて同キット専
用のプロトコールに従って合成した。
【0184】第一に、γ-IFに関しては、ヒトγ-IF cDN
Aを有するプラスミドDNA、pPLc28-HIIF52を、28℃で
培養した同プラスミド保有大腸菌株(ATCC#39278)の培
養液50 mlからPlasmid Midi Kit(QIAGEN)を用いて抽
出・精製した。同プラスミドを制限酵素BamHIおよびCla
Iで消化し、切り出されたγ-IF cDNA断片を、RNA合成用
ベクターpBluescript KS(+)のAccIおよびBamHI消化部位
にライゲーションキット(タカラ)を用いて連結した。
得られた組換体プラスミドを大腸菌JM109株のコンピテ
ントセル(タカラ)に導入し、得られた同大腸菌の形質
転換体を培養し、100 mlの同培養液からPlasmid Midi K
it(QIAGEN)を用いてプラスミドDNAを抽出・精製し
た。得られた組換体プラスミド(phγ-IF#1)を制限酵
素KpnIで消化し、得られたDNA溶液中の線状DNAをphenol
/chloroformで処理後、エタノール沈殿により精製し、
リボプローブ作成のための鋳型とした。同鋳型DNA(5
μg)と1.3 mM ATP、0.7 mM CTP、0.8 mM GTP、0.8 mM
UTP、0.43 mM UTP(DIG標識体)をT7 RNA polymerase存
在下で混和し、37℃で7時間インキュベートした後、DNa
se I溶液を加え10分間反応させ、鋳型DNAを破壊した。
同反応溶液に1/10倍容の5Mの酢酸ナトリウムと1倍容の
イソプロパノールを加え、15,000×gで15分間の遠心に
より沈殿物として回収された合成RNAは、RNase freeの
滅菌蒸留水に溶解された。
【0185】第二に、TNF-βに関しては、ヒトTNF-β c
DNAを有するプラスミドDNAを保有する大腸菌株HILBI37
(ATCC#104607)の培養液50 mlからPlasmid Midi Kit
(QIAGEN)を用いて抽出・精製した。同プラスミドを制
限酵素BamHIで消化し、得られたDNA溶液中の線状DNAをp
henol/chloroformで処理後、エタノール沈殿により精製
し、リボプローブ作成のための鋳型とした。同鋳型DNA
(5 μg)と0.7 mM ATP、1.4 mM CTP、1.1 mM GTP、0.4
mM UTP、0.24 mM UTP(DIG標識体)をT7 RNA polymera
se存在下で混和し、37℃で6時間インキュベートした
後、DNase I溶液を加え10分間反応させ、鋳型DNAを破壊
した。同反応溶液に1/10倍容の5 Mの酢酸ナトリウムと
1倍容のイソプロパノールを加え、15,000×gで15分間
の遠心により沈殿物として回収された合成RNAは、RNase
freeの滅菌蒸留水に溶解された。
【0186】第三に、IL-5に関しては、ヒトIL-5 cDNA
を有するプラスミドDNA、phIL-5-115.1(ATCC#59395)2
μgの凍結乾燥粉末を20 μlの滅菌蒸留水に溶解後、同
プラスミド1 ngを大腸菌JM109株のコンピテントセル
(タカラ)に導入し、得られた同大腸菌の形質転換体を
培養し、50 mlの同培養液からPlasmid Midi Kit(QIAGE
N)を用いてプラスミドDNAを抽出・精製した。同プラス
ミドを制限酵素BamHIで消化し、切り出されたIL-5 cDNA
断片を、RNA合成用ベクターpBluescript KS(+)のBamHI
消化部位にライゲーションキット(タカラ)を用いて連
結した。
【0187】得られた組換体プラスミドを大腸菌JM109
株のコンピテントセル(タカラ)に導入し、得られた同
大腸菌の形質転換体を培養し、100 mlの同培養液からPl
asmid Midi Kit(QIAGEN)を用いてプラスミドDNAを抽
出・精製した。得られた組換体プラスミド(phIL-5#8)
を制限酵素Not Iで消化し、得られたDNA溶液中の線状DN
Aをphenol/chloroformで処理後、エタノール沈殿により
精製し、リボプローブ作成のための鋳型とした。同鋳型
DNA(5 μg)と1.3 mM ATP、0.7 mM CTP、0.8mM GTP、
0.8 mM UTP、0.42 mM UTP(DIG標識体)をT3 RNA polym
erase存在下で混和し、37℃で6時間インキュベートした
後、DNase I溶液を加え10分間反応させ、鋳型DNAを破壊
した。同反応溶液に1/10倍容の5 Mの酢酸ナトリウムと
1倍容のイソプロパノールを加え、15,000×gで15分間
の遠心により沈殿物として回収された合成RNAは、RNase
freeの滅菌蒸留水に溶解された。
【0188】第四に、IL-10に関しては、ヒトIL-10 cDN
Aを有するプラスミドDNA、pH15Cを保有する大腸菌株(A
TCC#104607)の培養液50 mlからPlasmid Midi Kit(QIA
GEN)を用いて抽出・精製した。得られたプラスミドを
制限酵素BamHIで消化し、切り出されたIL-10 cDNA断片
を、RNA合成用ベクターpBluescript KS(+)のBamHI消化
部位にライゲーションキット(タカラ)を用いて連結し
た。得られた組換体プラスミドを大腸菌JM109株のコン
ピテントセル(タカラ)に導入し、得られた同大腸菌の
形質転換体を培養し、50 mlの同培養液からPlasmid Mid
i Kit(QIAGEN)を用いてプラスミドDNAを抽出・精製し
た。
【0189】得られた組換体プラスミド(phIL-10#10)
を制限酵素Sma Iで消化し、得られたDNA溶液中の線状DN
Aをphenol/chloroformで処理後、エタノール沈殿により
精製し、リボプローブ作成のための鋳型とした。同鋳型
DNA(5 μg)と1.1 mM ATP、0.9 mM CTP、0.9 mM GTP、
0.6 mM UTP、0.50 mM UTP(DIG標識体)をT7 RNA polym
erase存在下で混和し、37℃で6時間インキュベートした
後、DNase I溶液を加え10分間反応させ、鋳型DNAを破壊
した。同反応溶液に1/10倍容の5 Mの酢酸ナトリウムと
1倍容のイソプロパノールを加え、15,000×gで15分間
の遠心により沈殿物として回収された合成RNAは、RNase
freeの滅菌蒸留水に溶解された。
【0190】以上で取得したγ-IF、TNF-β、IL-5、IL-
10の全長リボプローブについても、IL-2、IL-4の場合と
同様に細かく断片化するために、10 μgのリボプローブ
を100 μlの前記アルカリ変性用溶液に溶かし、60℃で1
0-15分間インキュベートした後に、10 μlの3 M 酢酸ナ
トリウムとともに350 μlのエタノールを加え、リボプ
ローブを沈殿させた。-20℃で30分間放置後、16 krpmで
20分間冷却遠心し、得られた沈殿を70% エタノールで
洗い、乾燥させた後、50 μlのRNase free滅菌蒸留水で
溶解し、アルカリ変性γ-IF、TNF-β、IL-5、IL-10リボ
プローブ溶液を調製した。チャンバーの底面に固定され
た細胞をPBS (-)で3回洗い、0.1% Triton X-100/PBS溶
液で室温で5分間処理して細胞膜に物質透過性を付与し
た後にPBS(-)で3回洗い、0.2 N HClで室温で10分間処
理した。
【0191】単層細胞をPBS (-)で洗った後、1 μg/ml
Proteinase K/PBS溶液で5分間37℃でインキュベートし
た。単層細胞をPBS (-)で洗った後、4% パラフォルムア
ルデヒド/PBS (pH7.4)で30分間再度固定した。2 mg/ml
グリシン/PBSで2回洗い(15分/回)、50% 脱イオン
済フォルムアミド/2×SSC溶液(以下Soln. A)で30分
間処理し、ハイブリダイゼーション溶液(50% 脱イオン
処理済フォルムアミド、5×denhardt、2×SSC、アルカ
リ変性処理済IL-2、γ-IF、TNF-β、IL-4、IL-5、IL-10
リボプローブ(1 μg/ml))を調製し、90℃10分間変
性処理後氷冷し、同溶液100 μlをチャンバーに添加
し、45℃で一晩反応させた。
【0192】ハイブリダイゼーション後の単層細胞をSo
ln. Aで5分間45℃で洗い、続いてSoln. B(10 mM Tris
・HCl (pH8.5), 500 mM NaCl)で2回洗い(5分/
回)、20 mg/ml RNase A/Soln. B(90℃で10分間熱処
理したもの)で37℃で20分間処理した。 Soln. A、Sol
n. C(50% 脱イオン処理済フォルムアミド/1×SSC)の
順で45℃で各30分間、さらにSoln. Cで室温で20分間洗
った。さらに、Buffer 1(100mM マレイン酸、150 mM N
aCl(pH7.5))で洗った(5分×2回)後、Buffer 2(1%
Blocking Reagent (Boehringer Mannheim) in Buffer
I)で室温で20分間ブロッキングを行った。 Buffer 1で
2回洗った後、 FITC標識抗DIG抗体(Fab、Buffer 2で1
00倍希釈したもの、蛋白質濃度にして〜1 μg/ml)を
単層細胞に加え30分間以上インキュベートし、PBS (-)
で3回洗浄後蛍光顕微鏡観察し、視野全体の細胞に対す
るIL-2、γ-IF、TNF-β、IL-4、IL-5、IL-10 mRNAを保
有する細胞の存在割合を求め、セルソーターで分離され
た細胞のタイプ(TH1もしくはTH2)を同定した。
【0193】その結果、(19)と(24)でセルソー
ターにより分離された細胞集団はIL-2、γ-IF、TNF-β
のmRNAについて陽性、 IL-4、IL-5、IL-10については陰
性であり(図87および91)、調べた範囲内で総ての
細胞がTH1特有のサイトカイン産生細胞であることが示
された。一方、(21)と(27)でセルソーターによ
り分離された細胞集団はIL-2、γ-IF、TNF-βのmRNAに
ついては陰性、反対にIL-4、IL-5、IL-10について陽性
であり(図89および93)、TH2特有のサイトカイン
産生細胞であることが判明した。
【0194】(30)特定の遺伝子を発現する生きたTH
1もしくはTH2の蛍光強度の格差を利用した選択的分離法 (24)−(29)の実験結果を整理し、IL-2もしくは
IL-4 mRNAが蛍光標識されることに基づく蛍光強度の格
差を利用した、換言すれば、これらのmRNAをマーカーと
して利用したTH1もしくはTH2の選択的分離実験を、(1
8)、(20)、(23)、(26)の各実験結果毎に
整理し、選択的分離の成績として示した(表9)。
【0195】
【表9】
【0196】(18)において、12%(図60、生細胞
の蛍光観察結果)もしくは20%(図86、FISH実験の結
果)程度しか存在しなかったIL-2発現細胞(TH1)は、
(19)で記載されたようにこの蛍光強度の格差を利用
した分離法によって100%に濃縮された。フローサイト
メトリーにかける前の細胞集団におけるIL-4発現細胞
(TH2)は(20)で記載されたように、4.9%(図6
8、生細胞の蛍光観察結果)もしくは7.1%(図88、FI
SH実験の結果)程度しか存在しなかった。しかし、IL-4
mRNAをマーカーに利用した(21)の選択的分離法に
よって取得された細胞は総てIL-4 mRNAを保有してい
た。
【0197】さらに、TH2が過剰に活性化された免疫疾
患を想定してTH1とTH2の存在比率を人為的にTH2に偏ら
せた(バランスを破綻させた)(23)において、4.3%
(図74、生細胞の蛍光観察結果)もしくは7.9%(図9
0、FISH実験の結果)と(18)と比較して顕著に減少
したTH1が、フローサイトメトリーによる選択的分離法
によって100%の純度で取得されることが(24)で示
された。また、(23)とは反対に、TH1が圧倒的に優
位となった免疫疾患を想定してTH1とTH2のバランスを人
為的にTH1に偏らせた(26)において、2.4%(図8
0、生細胞の蛍光観察結果)もしくは2.3%(図92、FI
SH実験の結果)と(25)と比較してさらに減少したTH
2が、前記選択的分離法によって(27)では100%の純
度で取得された。
【0198】以上の結果についてさらに確認するために
前記(29)で実施したTH1もしくはTH2特有のサイトカ
インのmRNAを検出してタイプ解析の結果から、(18)
と(23)の細胞から(19)と(24)でセルソータ
ーにより分離された細胞集団は総てがTH1であり、(2
0)と(26)の細胞から(21)と(27)で選択的
に分離された細胞集団はTH2であることが証明された。
【0199】これら総ての結果を総合すると、TH1もし
くはTH2特有のサイトカインであるそれぞれIL-2もしく
はIL-4のmRNAをマーカーとして利用した前記分離方法に
よって、TH1もしくはTH2が、これら両者を含む細胞集団
から100%の純度で選択的に分離されることが結論され
た。
【0200】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
細胞にマーカーとして使用可能な細胞表面分子が存在し
ない場合や、存在しても細胞間で区別ができない場合、
さらにはマーカーとなるべき分子が細胞外液中に遊離し
てしまう場合であっても、目的とする細胞、すなわち特
定の遺伝子を発現した細胞を生きたままの状態で選択的
に分離取得することが可能な分離方法を提供することが
可能となる。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Laboratory of Molecular Biophotonics <120> Method for selectively separating live cells that have expressed a specific gene <130> MBP-179 <140> <141> <160> 20 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 1 gtaaaactta aatgt 15 <210> 2 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 2 ggccttcttg ggcat 15 <210> 3 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 3 tttgggattc ttgta 15 <210> 4 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 4 gagcatcctg gtgag 15 <210> 5 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 5 gcaagactta gtgca 15 <210> 6 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 6 ctgtttgtga caagt 15 <210> 7 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 7 ggtttgagtt cttct 15 <210> 8 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 8 agcacttcct ccaga 15 <210> 9 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 9 cctgggtctt aagtg 15 <210> 10 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 10 attgctgatt aagtc 15 <210> 11 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 11 cagttgggag gtgag 15 <210> 12 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 12 gaacagaggg ggaag 15 <210> 13 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 13 cgtggacaaa gttgc 15 <210> 14 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 14 tatcgcactt gtgtc 15 <210> 15 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 15 ctgtgaggct gttca 15 <210> 16 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 16 acagagtctt ctgct 15 <210> 17 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 17 agccctgcag aaggt 15 <210> 18 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 18 ccggagcaca gtcgc 15 <210> 19 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 19 ccgtttcagg aatcg 15 <210> 20 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Probe <400> 20 gaggttcctg tcgag 15
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、IL-2 mRNAの全塩基配列と、オリゴDNA
プローブの塩基配列を示す図である。
【図2】図2は、IL-4 mRNAの全塩基配列と、オリゴDNA
プローブの塩基配列を示す図である。
【図3】図3は、ドナープローブ228-242(D)およびアク
セプタープローブ243-257(A)がIL-2 RNAに対して隣接し
てハイブリダイズして生じたハイブリッド体の蛍光スペ
クトルを示す図である。
【図4】図4は、ドナープローブIL-2 198-212(D)およ
びアクセプタープローブIL-2 213-227(A)がIL-2 RNAに
対して隣接してハイブリダイズして生じたハイブリッド
体の蛍光スペクトルを示す図である。
【図5】図5は、ドナープローブIL-2 77-91(D)および
アクセプタープローブIL-2 92-106(A)がIL-2 RNAに対し
て隣接してハイブリダイズして生じたハイブリッド体の
蛍光スペクトルを示す図である。
【図6】図6は、ドナープローブIL-2 287-301(D)およ
びアクセプタープローブIL-2 302-316(A)がIL-2 RNAに
対して隣接してハイブリダイズして生じたハイブリッド
体の蛍光スペクトルを示す図である。
【図7】図7は、ドナープローブIL-2 342-356(D)およ
びアクセプタープローブIL-2 357-371(A)がIL-2 RNAに
対して隣接してハイブリダイズして生じたハイブリッド
体の蛍光スペクトルを示す図である。
【図8】図8は、ドナープローブIL-4 70-84(D)および
アクセプタープローブIL-4 85-99(A)がIL-4 RNAに対し
て隣接してハイブリダイズして生じたハイブリッド体の
蛍光スペクトルを示す図である。
【図9】図9は、ドナープローブIL-4 119-133(D)およ
びアクセプタープローブIL-4 134-148(A)がIL-4 RNAに
対して隣接してハイブリダイズして生じたハイブリッド
体の蛍光スペクトルを示す図である。
【図10】図10は、ドナープローブIL-4 176-190(D)
およびアクセプタープローブIL-4191-205(A)がIL-4 RNA
に対して隣接してハイブリダイズして生じたハイブリッ
ド体の蛍光スペクトルを示す図である。
【図11】図11は、ドナープローブIL-4 265-279(D)
およびアクセプタープローブIL-4280-294(A)がIL-4 RNA
に対して隣接してハイブリダイズして生じたハイブリッ
ド体の蛍光スペクトルを示す図である。
【図12】図12は、ドナープローブIL-4 376-390(D)
およびアクセプタープローブIL-4391-405(A)がIL-4 RNA
に対して隣接してハイブリダイズして生じたハイブリッ
ド体の蛍光スペクトルを示す図である。
【図13】図13は、ドナープローブIL-2 342-356(D)
とIL-2 RNAの混合物溶液をHPLCを用いて分離したと
きに得られたHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図14】図14は、アクセプタープローブIL-2 357-3
71(D)とIL-2 RNAの混合物溶液をHPLCを用いて分離
したときに得られたHPLCクロマトグラムを示す図で
ある。
【図15】図15は、ドナープローブIL-4 119-133(D)
とIL-4 RNAの混合物溶液をHPLCを用いて分離したと
きに得られたHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図16】図16は、アクセプタープローブIL-4 134-1
48(D)とIL-4 RNAの混合物溶液をHPLCを用いて分離
したときに得られたHPLCクロマトグラムを示す図で
ある。
【図17】図17は、ドナープローブIL-4 265-279(D)
とIL-4 RNAの混合物溶液をHPLCを用いて分離したと
きに得られたHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図18】図18は、アクセプタープローブIL-4 280-2
94(D)とIL-4 RNAの混合物溶液をHPLCを用いて分離
したときに得られたHPLCクロマトグラムを示す図で
ある。
【図19】図19は、IL-2の発現誘導処理にともなうJu
rkat E6-1細胞のIL-2分泌量、細胞抽出液中のIL-2 mRNA
を蛍光検出した蛍光顕微鏡写真、細胞内IL-2 mRNAの分
子数を示す図である。
【図20】図20は、固定された状態のIL-2発現誘導細
胞およびIL-2発現未誘導細胞の細胞中に、オリゴヌクレ
オチド(オリゴdTまたはオリゴdA)を導入後、DI
G標識dUTPおよび逆転写酵素を添加したもの、オリ
ゴヌクレオチドを導入しなかったもの、いずれも導入も
しくは添加しなかったものの蛍光顕微鏡写真である。
【図21】図21は、固定された状態のIL-2発現誘導細
胞およびIL-2発現未誘導細胞の細胞中のIL-2 mRNAと各
種プローブ(非蛍光標識体)との間で形成されるハイブ
リッド体を蛍光検出した蛍光顕微鏡写真である。
【図22】図22は、固定された状態のIL-2発現誘導細
胞およびIL-2発現未誘導細胞の細胞中のIL-2 mRNAと各
種プローブ(非蛍光標識体)との間で形成されるハイブ
リッド体を蛍光標識し、その蛍光強度を、前記細胞中の
全てのmRNAとオリゴdTとの間で形成される複合体の蛍
光標識化合物から発せられる蛍光強度値を基準に規格化
した結果を示す図である。
【図23】図23は、固定された状態のIL-2発現誘導細
胞およびIL-2発現未誘導細胞の中のIL-2 mRNAと各ドナ
ープローブおよびアクセプタープローブの3者で形成さ
れるハイブリッド体のドナー蛍光色素を励起したとき
の、D/A像、D/D像、A/A像を示す蛍光顕微鏡写
真である。
【図24】図24は、固定された状態のIL-2発現誘導細
胞およびIL-2発現未誘導細胞の細胞中のIL-2 mRNAと各
ドナープローブおよびアクセプタープローブの3者で形
成されるハイブリッド体のドナー蛍光色素を励起したと
きのアクセプター蛍光色素の蛍光を測光し、前記細胞中
の全てのアクセプタープローブの存在を示すアクセプタ
ー蛍光色素を励起したときのアクセプター蛍光色素の蛍
光の測定値を基準に規格化した結果を示す図である。
【図25】図25は、生きた状態のIL-2発現誘導細胞お
よびIL-2発現未誘導細胞の中のIL-2 mRNAとIL-2 342-35
6(D)およびIL-2 357-371(A)の3者で形成されるハイブ
リッド体の、D/A像、D/D像、A/A像、および位
相差顕微鏡観察による透過像を示す顕微鏡写真である。
【図26】図26は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞の混合比率が100対0である細胞群に対してフロー
サイトメトリーを行った結果を、前方散乱光と側方散乱
光を基にドットプロットした図である(R1は測定対象
の生細胞として選択された領域)。
【図27】図27は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞の混合比率が100対0である細胞群に対してフロー
サイトメトリーを行った結果を、エネルギードナー蛍光
色素による相対的蛍光強度と、FRETに基づくエネル
ギーアクセプター蛍光色素の相対的蛍光強度を基にドッ
トプロットした図である(R2はFRETに基づく蛍光
を発する細胞として選択された領域)。
【図28】図28は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞の混合比率が0対100である細胞群に対してフロー
サイトメトリーを行った結果を、前方散乱光と側方散乱
光を基にドットプロットした図である。
【図29】図29は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞の混合比率が0対100である細胞群に対してフロー
サイトメトリーを行った結果を、エネルギードナー蛍光
色素による相対的蛍光強度と、FRETに基づくエネル
ギーアクセプター蛍光色素の相対的蛍光強度を基にドッ
トプロットした図である。
【図30】図30は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞の混合比率が50対50である細胞群に対してフロー
サイトメトリーを行った結果を、前方散乱光と側方散乱
光を基にドットプロットした図である(R1は測定対象
の生細胞として選択された領域)。
【図31】図31は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞の混合比率が50対50である細胞群に対してフロー
サイトメトリーを行った結果を、エネルギードナー蛍光
色素による相対的蛍光強度と、FRETに基づくエネル
ギーアクセプター蛍光色素の相対的蛍光強度を基にドッ
トプロットした図である(R2はFRETに基づく蛍光
を発する細胞として選択された領域)。
【図32】図32は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞の混合比率が20対80である細胞群に対してフロー
サイトメトリーを行った結果を、前方散乱光と側方散乱
光を基にドットプロットした図である(R1は測定対象
の生細胞として選択された領域)。
【図33】図33は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞の混合比率が20対80である細胞群に対してフロー
サイトメトリーを行った結果を、エネルギードナー蛍光
色素による相対的蛍光強度と、FRETに基づくエネル
ギーアクセプター蛍光色素の相対的蛍光強度を基にドッ
トプロットした図である(R2はFRETに基づく蛍光
を発する細胞として選択された領域)。
【図34】図34は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞の混合比率が100対0である細胞群に対して、図2
6におけるR1のゲートおよび図27におけるR2のゲ
ートをかけてフローサイトメトリーによる選択的分離を
行い、それにより得られた細胞群に対して再びフローサ
イトメトリーを行った結果を、前方散乱光と側方散乱光
を基にドットプロットした図である。
【図35】図35は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞の混合比率が100対0である細胞群に対して、図2
6におけるR1のゲートおよび図27におけるR2のゲ
ートをかけてフローサイトメトリーによる選択的分離を
行い、それにより得られた細胞群に対して再びフローサ
イトメトリーを行った結果を、エネルギードナー蛍光色
素による相対的蛍光強度と、FRETに基づくエネルギ
ーアクセプター蛍光色素の相対的蛍光強度を基にドット
プロットした図である。
【図36】図36は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞の混合比率が50対50である細胞群に対して、図3
0におけるR1のゲートおよび図31におけるR2のゲ
ートをかけてフローサイトメトリーによる選択的分離を
行い、それにより得られた細胞群に対して再びフローサ
イトメトリーを行った結果を、前方散乱光と側方散乱光
を基にドットプロットした図である。
【図37】図37は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞の混合比率が50対50である細胞群に対して、図3
0におけるR1のゲートおよび図31におけるR2のゲ
ートをかけてフローサイトメトリーによる選択的分離を
行い、それにより得られた細胞群に対して再びフローサ
イトメトリーを行った結果を、エネルギードナー蛍光色
素による相対的蛍光強度と、FRETに基づくエネルギ
ーアクセプター蛍光色素の相対的蛍光強度を基にドット
プロットした図である。
【図38】図38は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞の混合比率が20対80である細胞群に対して、図3
2におけるR1のゲートおよび図33におけるR2のゲ
ートをかけてフローサイトメトリーによる選択的分離を
行い、それにより得られた細胞群に対して再びフローサ
イトメトリーを行った結果を、前方散乱光と側方散乱光
を基にドットプロットした図である。
【図39】図39は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞の混合比率が20対80である細胞群に対して、図3
2におけるR1のゲートおよび図33におけるR2のゲ
ートをかけてフローサイトメトリーによる選択的分離を
行い、それにより得られた細胞群に対して再びフローサ
イトメトリーを行った結果を、エネルギードナー蛍光色
素による相対的蛍光強度と、FRETに基づくエネルギ
ーアクセプター蛍光色素の相対的蛍光強度を基にドット
プロットした図である。
【図40】図40は、生きた状態のIL-2発現誘導細胞と
IL-2発現未誘導細胞を100対0の比率で混合した細胞群の
フローサイトメトリー前の、D/A像、D/D像、A/
A像、および位相差顕微鏡観察による透過像を示す顕微
鏡写真である。
【図41】図41は、生きた状態のIL-2発現誘導細胞と
IL-2発現未誘導細胞を100対0の比率で混合した細胞群に
対して、図26におけるR1のゲートおよび図27にお
けるR2のゲートをかけてフローサイトメトリーによる
選択的分離を行い、それにより得られた細胞群の、D/
A像、D/D像、A/A像、および位相差顕微鏡観察に
よる透過像を示す顕微鏡写真である。
【図42】図42は、生きた状態のIL-2発現誘導細胞と
IL-2発現未誘導細胞を50対50の比率で混合した細胞群の
フローサイトメトリー前の、D/A像、D/D像、A/
A像、および位相差顕微鏡観察による透過像を示す顕微
鏡写真である。
【図43】図43は、生きた状態のIL-2発現誘導細胞と
IL-2発現未誘導細胞を50対50の比率で混合した細胞群に
対して、図40におけるR1のゲートおよび図31にお
けるR2のゲートをかけてフローサイトメトリーによる
選択的分離を行い、それにより得られた細胞群の、D/
A像、D/D像、A/A像、および位相差顕微鏡観察に
よる透過像を示す顕微鏡写真である。
【図44】図44は、生きた状態のIL-2発現誘導細胞と
IL-2発現未誘導細胞を20対80の比率で混合した細胞群の
フローサイトメトリー前の、D/A像、D/D像、A/
A像、および位相差顕微鏡観察による透過像を示す顕微
鏡写真である。
【図45】図45は、生きた状態のIL-2発現誘導細胞と
IL-2発現未誘導細胞を20対80の比率で混合した細胞群に
対して、図32におけるR1のゲートおよび図33にお
けるR2のゲートをかけてフローサイトメトリーによる
選択的分離を行い、それにより得られた細胞群の、D/
A像、D/D像、A/A像、および位相差顕微鏡観察に
よる透過像を示す顕微鏡写真である。
【図46】図46は、生きた状態のIL-2発現誘導細胞と
IL-2発現未誘導細胞を0対100の比率で混合した細胞群の
フローサイトメトリー前の、D/A像、D/D像、A/
A像、および位相差顕微鏡観察による透過像を示す顕微
鏡写真である。
【図47】図47は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞を100対0の比率で混合したフローサイトメトリー
前の細胞群を、ガラス底ディッシュに固定させ、固定さ
れた状態の細胞のIL-2 mRNAとIL-2リボプローブとの間
でハイブリッド体を形成させ、該ハイブリッド体を蛍光
検出した蛍光顕微鏡写真である。
【図48】図48は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞を100対0の比率で混合した細胞群に対して、図2
6におけるR1のゲートおよび図27におけるR2のゲ
ートをかけてフローサイトメトリーによる選択的分離を
行い、それにより得られた細胞群をガラス底ディッシュ
に固定させ、固定された状態の細胞のIL-2 mRNAとIL-2
リボプローブとの間でハイブリッド体を形成させ、該ハ
イブリッド体を蛍光検出した蛍光顕微鏡写真である。
【図49】図49は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞を0対100の比率で混合したフローサイトメトリー
前の細胞群を、ガラス底ディッシュに固定させ、固定さ
れた状態の細胞のIL-2 mRNAとIL-2リボプローブとの間
でハイブリッド体を形成させ、該ハイブリッド体を蛍光
検出した蛍光顕微鏡写真である。
【図50】図50は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞を50対50の比率で混合したフローサイトメトリー
前の細胞群を、ガラス底ディッシュに固定させ、固定さ
れた状態の細胞のIL-2 mRNAとIL-2リボプローブとの間
でハイブリッド体を形成させ、該ハイブリッド体を蛍光
検出した蛍光顕微鏡写真である。
【図51】図51は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞を50対50の比率で混合した細胞群に対して、図3
0におけるR1のゲートおよび図31におけるR2のゲ
ートをかけてフローサイトメトリーによる選択的分離を
行い、それにより得られた細胞群をガラス底ディッシュ
に固定させ、固定された状態の細胞のIL-2 mRNAとIL-2
リボプローブとの間でハイブリッド体を形成させ、該ハ
イブリッド体を蛍光検出した蛍光顕微鏡写真である。
【図52】図52は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞を20対80の比率で混合したフローサイトメトリー
前の細胞群を、ガラス底ディッシュに固定させ、固定さ
れた状態の細胞のIL-2 mRNAとIL-2リボプローブとの間
でハイブリッド体を形成させ、該ハイブリッド体を蛍光
検出した蛍光顕微鏡写真である。
【図53】図53は、IL-2発現誘導細胞とIL-2発現未誘
導細胞を20対80の比率で混合した細胞群に対して、図3
2におけるR1のゲートおよび図33におけるR2のゲ
ートをかけてフローサイトメトリーによる選択的分離を
行い、それにより得られた細胞群をガラス底ディッシュ
に固定させ、固定された状態の細胞のIL-2 mRNAとIL-2
リボプローブとの間でハイブリッド体を形成させ、該ハ
イブリッド体を蛍光検出した蛍光顕微鏡写真である。
【図54】図54は、ヒト末梢血より分離されたリンパ
球をフローサイトメトリーにかけ、前方散乱光(FSC)
と側方散乱光(SSC)を基にドットプロットした結果を
示す図である。
【図55】図55は、ヒト末梢血より分離されたリンパ
球の細胞表面をコントロール抗体で蛍光染色したもの
を、フローサイトメトリーにかけ、ドットプロットした
結果を示す図である。
【図56】図56は、ヒト末梢血より分離されたリンパ
球の細胞表面のCD4(CD4 FITC)とCD8(CD8 PE)を蛍光
染色したものをフローサイトメトリーにかけ、ドットプ
ロットした結果を示す図である。
【図57】図57は、ヒト末梢血からCD4陽性細胞分
離用カラムにより分離されたCD4陽性細胞をフローサ
イトメトリーにかけ、細胞の前方散乱光(FSC)と側方
散乱光(SSC)を基にドットプロットした結果を示す図
である。
【図58】図58は、ヒト末梢血からCD4陽性細胞分
離用カラムにより分離されたCD4陽性細胞をコントロ
ール抗体で蛍光染色したものを、フローサイトメトリー
にかけ、ドットプロットした結果を示す図である。
【図59】図59は、ヒト末梢血からCD4陽性細胞分
離用カラムにより分離されたCD4陽性細胞の細胞表面
のCD4(CD4 FITC)とCD8(CD8 PE)を蛍光染色したもの
をフローサイトメトリーにかけ、ドットプロットした結
果を示す図である。
【図60】図60は、生きた状態のCD4陽性細胞(ヘ
ルパーT細胞)の細胞内のIL-2 mRNAとIL-2 342-356(D)
およびIL-2 357-371(A)の3者で形成されるハイブリッ
ド体の、A/A、D/A、D/Dの蛍光像、および位相
差顕微鏡観察による透過像を示す顕微鏡写真である。
【図61】図61は、生きた状態の図60のCD4陽性
細胞の細胞群に対して、図62におけるR1のゲートお
よび図63におけるR2のゲートをかけてフローサイト
メトリーによる選択的分離を行い、それによって得られ
た細胞群の、A/A、D/A、D/Dの蛍光像、および
位相差顕微鏡観察による透過像を示す顕微鏡写真であ
る。
【図62】図62は、図60のCD4陽性細胞(ヘルパ
ーT細胞)の細胞群に対してフローサイトメトリーを行
った結果を、細胞の前方散乱光(FSC)と側方散乱光(S
SC)を基にドットプロットした結果を示す図である(R
1は測定対象の生細胞として選択された領域)。
【図63】図63は、図60のCD4陽性細胞(ヘルパ
ーT細胞)の細胞群に対してフローサイトメトリーを行
った結果を、エネルギードナー蛍光色素による相対的蛍
光強度と、FRETに基づくエネルギーアクセプター蛍
光色素の相対的蛍光強度を基にドットプロットした図で
ある(R2はFRETに基づく蛍光を発する細胞として
選択された領域)。
【図64】図64は、セルソーターで分離された図61
の細胞群に対してフローサイトメトリーを行った結果
を、細胞の前方散乱光(FSC)と側方散乱光(SSC)を基
にドットプロットした結果を示す図である(R1は測定
対象の生細胞として選択された領域)。
【図65】図65は、セルソーターで分離された図61
の細胞群に対してフローサイトメトリーを行った結果
を、エネルギードナー蛍光色素による相対的蛍光強度
と、FRETに基づくエネルギーアクセプター蛍光色素
の相対的蛍光強度を基にドットプロットした図である
(R2はFRETに基づく蛍光を発する細胞として選択
された領域)。
【図66】図66は、蛍光プローブを導入していないC
D4陽性細胞(ヘルパーT細胞)の細胞群に対してフロ
ーサイトメトリーを行った結果を、細胞の前方散乱光
(FSC)と側方散乱光(SSC)を基にドットプロットした
結果を示す図である。
【図67】図67は、蛍光プローブを導入していないC
D4陽性細胞(ヘルパーT細胞)の細胞群に対してフロ
ーサイトメトリーを行った結果を、エネルギードナー蛍
光色素による相対的蛍光強度と、FRETに基づくエネ
ルギーアクセプター蛍光色素の相対的蛍光強度を基にド
ットプロットした図である。
【図68】図68は、生きた状態のCD4陽性細胞(ヘ
ルパーT細胞)の細胞内のIL-4 mRNAとIL-4 265-279(D)
とIL-4 280-294(A)の3者で形成されるハイブリッド体
の、A/A、D/A、D/Dの蛍光像、および位相差顕
微鏡観察による透過像を示す顕微鏡写真である。
【図69】図69は、生きた状態の図68のCD4陽性
細胞の細胞群に対して、図70におけるR1のゲートお
よび図71におけるR2のゲートをかけてフローサイト
メトリーによる選択的分離を行い、それによって得られ
た細胞群の、A/A、D/A、D/Dの蛍光像、および
位相差顕微鏡観察による透過像を示す顕微鏡写真であ
る。
【図70】図70は、図68のCD4陽性細胞(ヘルパ
ーT細胞)の細胞群に対してフローサイトメトリーを行
った結果を、細胞の前方散乱光(FSC)と側方散乱光(S
SC)を基にドットプロットした結果を示す図である(R
1は測定対象の生細胞として選択された領域)。
【図71】図71は、図68のCD4陽性細胞(ヘルパ
ーT細胞)の細胞群に対してフローサイトメトリーを行
った結果を、エネルギードナー蛍光色素による相対的蛍
光強度と、FRETに基づくエネルギーアクセプター蛍
光色素の相対的蛍光強度を基にドットプロットした図で
ある(R2はFRETに基づく蛍光を発する細胞として
選択された領域)。
【図72】図72は、セルソーターで分離された図69
の細胞群に対してフローサイトメトリーを行った結果
を、細胞の前方散乱光(FSC)と側方散乱光(SSC)を基
にドットプロットした結果を示す図である(R1は測定
対象の生細胞として選択された領域)。
【図73】図73は、セルソーターで分離された図35
の細胞群に対してフローサイトメトリーを行った結果
を、エネルギードナー蛍光色素による相対的蛍光強度
と、FRETに基づくエネルギーアクセプター蛍光色素
の相対的蛍光強度を基にドットプロットした図である
(R2はFRETに基づく蛍光を発する細胞として選択
された領域)。
【図74】図74は、生きた状態でTH2の誘導処理が
施されたCD4陽性細胞(ヘルパーT細胞)の細胞内の
IL-2 mRNAとIL-2 342-356(D)およびIL-2 357-371(A)の
3者で形成されるハイブリッド体の、A/A、D/A、
D/Dの蛍光像、および位相差顕微鏡観察による透過像
を示す顕微鏡写真である。
【図75】図75は、生きた状態の図74のCD4陽性
細胞の細胞群に対して、図76におけるR1のゲートお
よび図77におけるR2のゲートをかけてフローサイト
メトリーによる選択的分離を行い、それによって得られ
た細胞群の、A/A、D/A、D/Dの蛍光像、および
位相差顕微鏡観察による透過像を示す顕微鏡写真であ
る。
【図76】図76は、図74のCD4陽性細胞(ヘルパ
ーT細胞)の細胞群に対してフローサイトメトリーを行
った結果を、細胞の前方散乱光(FSC)と側方散乱光(S
SC)を基にドットプロットした結果を示す図である(R
1は測定対象の生細胞として選択された領域)。
【図77】図77は、図74のCD4陽性細胞(ヘルパ
ーT細胞)の細胞群に対してフローサイトメトリーを行
った結果を、エネルギードナー蛍光色素による相対的蛍
光強度と、FRETに基づくエネルギーアクセプター蛍
光色素の相対的蛍光強度を基にドットプロットした図で
ある(R2はFRETに基づく蛍光を発する細胞として
選択された領域)。
【図78】図78は、セルソーターで分離された図75
の細胞群に対してフローサイトメトリーを行った結果
を、細胞の前方散乱光(FSC)と側方散乱光(SSC)を基
にドットプロットした結果を示す図である(R1は測定
対象の生細胞として選択された領域)。
【図79】図79は、セルソーターで分離された図75
の細胞群に対してフローサイトメトリーを行った結果
を、エネルギードナー蛍光色素による相対的蛍光強度
と、FRETに基づくエネルギーアクセプター蛍光色素
の相対的蛍光強度を基にドットプロットした図である
(R2はFRETに基づく蛍光を発する細胞として選択
された領域)。
【図80】図80は、生きた状態でTH1の誘導処理が
施されたCD4陽性細胞(ヘルパーT細胞)の細胞内の
IL-4 mRNAとIL-4 265-279(D)とIL-4 280-294(A)の3者
で形成されるハイブリッド体の、A/A、D/A、D/
Dの蛍光像、および位相差顕微鏡観察による透過像を示
す顕微鏡写真である。
【図81】図81は、生きた状態の図80のCD4陽性
細胞の細胞群に対して、図82におけるR1のゲートお
よび図83におけるR2のゲートをかけてフローサイト
メトリーによる選択的分離を行い、それによって得られ
た細胞群の、A/A、D/A、D/Dの蛍光像、および
位相差顕微鏡観察による透過像を示す顕微鏡写真であ
る。
【図82】図82は、図80のCD4陽性細胞(ヘルパ
ーT細胞)の細胞群に対してフローサイトメトリーを行
った結果を、細胞の前方散乱光(FSC)と側方散乱光(S
SC)を基にドットプロットした結果を示す図である(R
1は測定対象の生細胞として選択された領域)。
【図83】図83は、図80のCD4陽性細胞(ヘルパ
ーT細胞)の細胞群に対してフローサイトメトリーを行
った結果を、エネルギードナー蛍光色素による相対的蛍
光強度と、FRETに基づくエネルギーアクセプター蛍
光色素の相対的蛍光強度を基にドットプロットした図で
ある(R2はFRETに基づく蛍光を発する細胞として
選択された領域)。
【図84】図84は、セルソーターで分離された図81
の細胞群に対してフローサイトメトリーを行った結果
を、細胞の前方散乱光(FSC)と側方散乱光(SSC)を基
にドットプロットした結果を示す図である(R1は測定
対象の生細胞として選択された領域)。
【図85】図85は、セルソーターで分離された図81
の細胞群に対してフローサイトメトリーを行った結果
を、エネルギードナー蛍光色素による相対的蛍光強度
と、FRETに基づくエネルギーアクセプター蛍光色素
の相対的蛍光強度を基にドットプロットした図である
(R2はFRETに基づく蛍光を発する細胞として選択
された領域)。
【図86】図86は、図60のフローサイトメトリー前
のCD4陽性細胞(ヘルパーT細胞)の細胞群を、カバ
ーガラスチャンバーの底面に固定させ、固定された状態
の細胞のIL-2 mRNAもしくはIL-4 mRNAとそれぞれIL-2リ
ボプローブもしくはIL-4リボプローブとの間で、ハイブ
リッド体を形成させ、該ハイブリッド体を蛍光検出した
蛍光顕微鏡写真である。
【図87】図87は、図61のセルソーターにより選択
的に分離された細胞の細胞群を、カバーガラスチャンバ
ーの底面に固定させ、固定された状態の細胞のIL-2、γ
-IF、TNF-β、IL-4、IL-5、IL-10 mRNAとそれぞれIL-
2、γ-IF、TNF-β、IL-4、IL-5、IL-10リボプローブと
の間で、ハイブリッド体を形成させ、該ハイブリッド体
を蛍光検出した蛍光顕微鏡写真である。
【図88】図88は、図68のフローサイトメトリー前
のCD4陽性細胞(ヘルパーT細胞)の細胞群を、カバ
ーガラスチャンバーの底面に固定させ、固定された状態
の細胞のIL-2 mRNAもしくはIL-4 mRNAとそれぞれIL-2リ
ボプローブもしくはIL-4リボプローブとの間で、ハイブ
リッド体を形成させ、該ハイブリッド体を蛍光検出した
蛍光顕微鏡写真である。
【図89】図89は、図69のセルソーターにより選択
的に分離された細胞の細胞群を、カバーガラスチャンバ
ーの底面に固定させ、固定された状態の細胞のIL-2、γ
-IF、TNF-β、IL-4、IL-5、IL-10 mRNAとそれぞれIL-
2、γ-IF、TNF-β、IL-4、IL-5、IL-10リボプローブと
の間で、ハイブリッド体を形成させ、該ハイブリッド体
を蛍光検出した蛍光顕微鏡写真である。
【図90】図90は、図74のフローサイトメトリー前
のCD4陽性細胞(ヘルパーT細胞)の細胞群を、カバ
ーガラスチャンバーの底面に固定させ、固定された状態
の細胞のIL-2 mRNAもしくはIL-4 mRNAとそれぞれIL-2リ
ボプローブもしくはIL-4リボプローブとの間で、ハイブ
リッド体を形成させ、該ハイブリッド体を蛍光検出した
蛍光顕微鏡写真である。
【図91】図91は、図75のセルソーターにより選択
的に分離された細胞の細胞群を、カバーガラスチャンバ
ーの底面に固定させ、固定された状態の細胞のIL-2、γ
-IF、TNF-β、IL-4、IL-5、IL-10 mRNAとそれぞれIL-
2、γ-IF、TNF-β、IL-4、IL-5、IL-10リボプローブと
の間で、ハイブリッド体を形成させ、該ハイブリッド体
を蛍光検出した蛍光顕微鏡写真である。
【図92】図92は、図80のフローサイトメトリー前
のCD4陽性細胞(ヘルパーT細胞)の細胞群を、カバ
ーガラスチャンバーの底面に固定させ、固定された状態
の細胞のIL-2 mRNAもしくはIL-4 mRNAとそれぞれIL-2リ
ボプローブもしくはIL-4リボプローブとの間で、ハイブ
リッド体を形成させ、該ハイブリッド体を蛍光検出した
蛍光顕微鏡写真である。
【図93】図93は、図81のセルソーターにより選択
的に分離された細胞の細胞群を、カバーガラスチャンバ
ーの底面に固定させ、固定された状態の細胞のIL-2、γ
-IF、TNF-β、IL-4、IL-5、IL-10 mRNAとそれぞれIL-
2、γ-IF、TNF-β、IL-4、IL-5、IL-10リボプローブと
の間で、ハイブリッド体を形成させ、該ハイブリッド体
を蛍光検出した蛍光顕微鏡写真である。
【図94】図94は、生体内免疫系を構成する各種細胞
の細胞分化における相互関係と、インターロイキン(I
L)等のサイトカインを介して各種細胞が協調もしくは
牽制し合い、生体の免疫機能の恒常性が保たれることを
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/566 G01N 33/58 A 33/58 C12R 1:91 //(C12Q 1/02 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:91) (C12Q 1/68 C12R 1:91) (56)参考文献 特開 平11−285386(JP,A) 国際公開98/013524(WO,A1) 国際公開98/033897(WO,A1) 新生化学実験講座2,核酸V−細胞工 学的技術−,株式会社東京化学同人発 行,1993年 9月 6日,P.89−93 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12Q 1/00 - 1/70 C12M 1/00 - 1/40 G01N 33/48 JSTPlus(JOIS) BIOSIS/WPI(DIALOG)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特定のmRNAを発現した生細胞を含む
    生細胞群の細胞中に、該mRNAを標識可能な標識剤を
    導入する第1の工程と、 前記標識剤で前記mRNAを標識することにより、標識
    化mRNAを含有する生細胞を含む生細胞群を得る第2
    の工程と、 前記標識化mRNAを検出することにより該標識化mR
    NAを含有する生細胞を同定し、同定した該生細胞を前
    記第2の工程で得られた前記生細胞群から選択的に分離
    する第3の工程と、 を含むことを特徴とする特定の遺伝子を発現した生細胞
    の選択的分離方法。
  2. 【請求項2】 前記第1の工程における標識剤が、前記
    mRNAと相補的な塩基配列を有し、且つ蛍光色素で標
    識されたプローブであり、 前記第2の工程における標識化mRNAが、該プローブ
    と前記mRNAとのハイブリッド体であり、 前記第3の工程において、該ハイブリッド体を含有する
    生細胞を含む生細胞群に光を照射して、該ハイブリッド
    体の形成に基づく前記蛍光色素の蛍光変化を検出するこ
    とにより該蛍光変化を生じる生細胞を同定し、同定され
    た該生細胞を前記第2の工程で得られた前記生細胞群か
    ら選択的に分離することを特徴とする請求項1記載の特
    定の遺伝子を発現した生細胞の選択的分離方法。
  3. 【請求項3】 前記プローブが、第1のプローブおよび
    第2のプローブからなり、 該第1のプローブと、該第2のプローブとは、前記mR
    NAに対して隣接してハイブリダイズ可能な塩基配列を
    有し、 該第1のプローブがエネルギードナー蛍光色素で標識さ
    れ、そして該第2のプローブがエネルギーアクセプタタ
    ー蛍光色素で標識されたものであり、 前記蛍光変化が、該第1のプローブのエネルギードナー
    蛍光色素から、該第2のプローブのエネルギーアクセプ
    ター蛍光色素への蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)
    により生じるものであることを特徴とする請求項2記載
    の特定の遺伝子を発現した生細胞の選択的分離方法。
  4. 【請求項4】 前記第3の工程における、前記蛍光変化
    を生じる生細胞の選択的分離が、セルソーター(FAC
    S)により実施されることを特徴とする請求項2または
    3記載の特定の遺伝子を発現した生細胞の選択的分離方
    法。
  5. 【請求項5】 前記mRNAが、サイトカインをコード
    するmRNAであることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか一項に記載の特定の遺伝子を発現した生細胞の選
    択的分離方法。
  6. 【請求項6】 前記mRNAが、インターロイキン−2
    (IL−2)をコードするmRNAであり、前記第1の
    プローブが配列表の配列番号9に記載の塩基配列を有す
    るプローブであり、前記第2のプローブが配列表の配列
    番号10に記載の塩基配列を有するプローブであり、さ
    らに、前記特定の遺伝子を発現した生細胞がIL−2を
    発現した生細胞であることを特徴とする請求項3〜5の
    いずれか一項に記載の特定の遺伝子を発現した生細胞の
    選択的分離方法。
  7. 【請求項7】 前記第3の工程において選択的に分離さ
    れる生細胞が、Tヘルパー1(TH1)細胞であること
    を特徴とする請求項6記載の特定の遺伝子を発現した生
    細胞の選択的分離方法。
  8. 【請求項8】 前記mRNAが、インターロイキン−4
    (IL−4)をコードするmRNAであり、前記第1の
    プローブが配列表の配列番号17に記載の塩基配列を有
    するプローブであり、前記第2のプローブが配列表の配
    列番号18に記載の塩基配列を有するプローブであり、
    さらに、前記特定の遺伝子を発現した生細胞がIL−4
    を発現した生細胞であることを特徴とする請求項3〜5
    のいずれか一項に記載の特定の遺伝子を発現した生細胞
    の選択的分離方法。
  9. 【請求項9】 前記第3の工程において選択的に分離さ
    れる生細胞が、Tヘルパー2(TH2)細胞であること
    を特徴とする請求項8記載の特定の遺伝子を発現した生
    細胞の選択的分離方法。
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