JP3459166B2 - 光位相同期光源 - Google Patents

光位相同期光源

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JP3459166B2 JP30169097A JP30169097A JP3459166B2 JP 3459166 B2 JP3459166 B2 JP 3459166B2 JP 30169097 A JP30169097 A JP 30169097A JP 30169097 A JP30169097 A JP 30169097A JP 3459166 B2 JP3459166 B2 JP 3459166B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の光源から出
力される光の光周波数および光位相を同期させる光位相
同期光源に関する。このような光位相同期技術は、例え
ばコヒーレント光通信システムや位相感応型光増幅器等
に必要不可欠なものである。
【0002】
【従来の技術】従来の光位相同期光源としては、主に光
位相同期ループ法と光注入同期法が検討されている。
【0003】光位相同期ループ法は、入力信号光と光位
相同期光源から出力される局発光を位相検出器に入力
し、その位相誤差信号を光位相同期光源に帰還すること
により、入力信号光に対する局発光の光位相同期を実現
する方法である。
【0004】具体的には、図11(a) に示すように、入
力信号光E1 と光位相同期光源51から出力される局発
光E2 を光合波器52で合波し、合波光E1+E2および
1−E2 の一部を光分波器53−1,53−2でそれ
ぞれ分波して光位相検出器54に入力する。そして、光
位相検出器54から出力される位相誤差信号を光位相同
期光源51に帰還して局発光E2 の光位相を制御する。
これにより、合波光として出力される入力信号光E1
局発光E2 の光周波数および光位相を同期させることが
できる。
【0005】なお、局発光E2 を出力信号光とする場合
には、図11(b) に示すように、入力信号光E1 と、光
位相同期光源51から出力される局発光E2 の一部を光
分波器53で分波して光位相検出器54に入力し、光位
相検出器54から出力される位相誤差信号を光位相同期
光源51に帰還する。ただし、以下の説明では図11
(a) に示す合波光を出力信号光とする場合について説明
するが、局発光E2 を出力信号光とする場合においても
同様である。
【0006】光注入同期法は、入力信号光の一部を分岐
して注入同期光源に注入することにより、出力光の光周
波数を入力信号光の光周波数に同期させる方法である。
この方法では、非常に微弱な入力信号光に対しても有効
に注入同期が可能であり、さらに簡単な構成で非常に広
帯域の周波数同期保持幅(〜GHz)を実現できる。した
がって、数十MHz程度の光周波数ゆらぎある入力信号光
(光源)に対しても容易に光周波数同期が可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、光通信シス
テムで光源として用いられる半導体レーザの発振光周波
数安定性は悪く、通常数百kHzから数十MHz程度の発振
光周波数ゆらぎがある。そのため、光位相同期ループ法
により光位相同期を実現するには、この帯域以上の数十
MHz〜数GHz程度の帯域幅での動作を保証する光・電気
ハイブリッド回路が必要になる。しかし、これを実現す
るには、光位相同期光源の周波数変調特性のフラットネ
スをGHzの帯域で実現し、かつループ長を短くする必要
があるなど、多くの困難を伴う。
【0008】また、このような広帯域の光・電気ハイブ
リッド回路を実現するのが困難な場合には、レーザ光源
の発振光周波数ゆらぎ自体を安定化させる必要があり、
光位相同期回路全体の構成の複雑化が避けられない。
【0009】一方、光注入同期法では、注入同期するレ
ーザ光源のフリーランニング時の発振周波数と入力信号
光の光周波数に離調がある場合には、出力信号光の光位
相が変化し、光位相を同期させることはできない。すな
わち、光注入同期法は実質的には光周波数同期技術であ
り、光位相同期を安定に実現するのは困難である。
【0010】本発明は、光位相同期ループに要求される
帯域幅を低減しながら、周波数引き込み幅および同期保
持幅の広帯域性を確保し、数十MHz程度までの発振光周
波数ゆらぎがあるレーザ光源から出力された信号光に対
して光位相同期を可能にする光位相同期光源を提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の光位相同期光源
は、光位相同期ループ法と光注入同期法とを組み合わせ
ることを特徴とする。すなわち、入力信号光のキャリア
成分の光周波数に同期した光を出力する注入同期光源
と、その出力光(注入同期光)の光周波数をδfシフト
させて入力信号光のキャリア成分に光位相同期させる光
周波数シフタと、この光周波数シフタを制御する光位相
同期ループとにより構成される。
【0012】この光位相同期ループでは、注入同期光源
の光位相変動と光経路長の変動による光位相差変動の影
響を補償して安定に光位相を同期させる。これにより、
入力信号光とフリーランニング状態の注入同期光の間の
離調が数百MHz程度存在し、かつ数十MHz程度の光周波
数ゆらぎが存在する場合でも、数十kHz程度の狭帯域幅
の光位相同期ループで光位相同期を安定に実現すること
ができる。
【0013】図1は、請求項1に記載の光位相同期光源
の基本構成を示す。図において、入力信号光の一部を光
分波器11で分岐して注入同期光源12に入力し、入力
信号光のキャリア成分の光周波数に同期した注入同期光
を出力させる。この注入同期光を光周波数シフタ13に
入力して光周波数をδfシフトさせ、この光周波数シフ
トを受けた注入同期光E2 と光分波器11で分岐された
入力信号光E1 を2入力2出力の光合波器14に入力し
て合波する。光合波器14から出力される合波光E1
2 およびE1 −E2 の一部を光分波器15−1,15
−2でそれぞれ分波して光位相検出器16に入力する。
そして、光位相検出器16から出力される位相誤差信号
を光周波数シフタ13を駆動する制御回路17に帰還
し、注入同期光に与える光周波数シフトδfを制御す
る。これにより、合波光として出力される入力信号光E
1 と注入同期光E2 の光周波数および光位相を同期させ
る。
【0014】ここで、注入同期光源および光周波数シフ
タによる光周波数制御と、光位相同期ループによる光周
波数シフタの制御とに分けて説明する。図2(a) は注入
同期光源12および光周波数シフタ13の動作例を示
す。クロック周波数frep でディジタル変調された入力
信号光
【0015】
【数1】
【0016】の一部を注入同期光源12に注入すると、
その出力光は E2,2=|E2,2|exp[i(ω1t+θ1'+δθinj)] …(2) となる。ここで、δθinj は、注入同期光源12で生ず
る光位相シフト量であり、入力信号光の光周波数と注入
同期光源12のフリーランニング発振周波数の離調によ
り変化する。この注入同期光を光周波数シフタ13によ
りδf Hzシフトすると、 E2,3=|E2,2|exp[i{(ω1+2πδf)t+θ1'+δθinj}] …(3) となる。
【0017】図2(b) は光位相同期ループによる光周波
数シフタ13の制御動作例を示す。ディジタル変調され
た入力信号光と、光周波数シフタ13から出力される注
入同期光が光合波器14で合波される。ここで、光合波
器14に入力される入力信号光と注入同期光との間の光
経路差および光経路長変動による光位相変動、注入同期
光源12で生ずる光位相シフトを考慮すると、入力信号
光が
【0018】
【数2】
【0019】であれば、光周波数シフタ13から出力さ
れる注入同期光は、 E2 =|E2|exp[i{(ω1+2πδf)t+θ2}] …(5) となる。ここで、 θ1 =θ1'+Δθshf,1 …(6) θ2 =θ1'+δθinj+Δθshf,2 …(7) であり、Δθshf,1、Δθshf,2は、入力信号光が光合波
器14に至る光経路と、注入同期光源12および光周波
数シフタ13を経由して光合波器14に至る光経路の光
経路長変動に起因する光位相シフトである。これは、光
回路の機械振動や環境温度の変化により変化する。すな
わち、入力信号光の光周波数変動に対して低い周波数で
ランダムに変動するパラメータである。
【0020】この光合波器14に入力される入力信号光
と注入同期光の光位相θ1 ,θ2 を同期させるには、光
周波数シフタ13を制御回路17により制御する光位相
同期ループを構成する。なお、入力信号光を注入同期光
源12に注入しない場合には、光合波器14に入力され
る入力信号光と注入同期光源12の出力光のビートスペ
クトルは広がっており(図3(a))、周波数ゆらぎは大き
いが、注入同期により入力信号光と注入同期光のビート
スペクトルは狭窄される(図3(b))。その結果、光位相
同期ループに要求される制御帯域幅は劇的に低下し、注
入同期を用いずに光源の光周波数を制御する従来の光位
相同期ループと比較しても低雑音で高精度の光位相同期
が実現可能となる。
【0021】光合波器14において入力信号光と光周波
数シフタ13から出力される注入同期光を合波すると、
【0022】
【数3】
【0023】の合波光が出力される。この合波光の一部
を分岐して光位相検出器16に入力すると、入力信号光
と注入同期光の光位相差に比例する位相誤差信号
【0024】
【数4】
【0025】が出力される。ここで、θ1 ,θ2 は、時
間的に変動するパラメータであり、δfHzはθ2 に含ま
れるとみなした。また、制御回路17を低域通過フィル
タ・増幅回路および電圧制御発振器で構成すると、低域
通過フィルタ・増幅回路で光位相検出器16から出力さ
れる位相誤差信号のDC近傍成分のみを増幅し、 Ierr ∝ cos(θ1−θ2) …(11) を電圧制御発振器に入力する。その結果、電圧制御発振
器の発振周波数は、 δf=dθ2/dt ∝ sin(θ1−θ2−π/2) …(12) により制御される。これを光周波数シフタ13に入力す
ることにより、式(8),(9) に示す合波された入力信号光
と注入同期光間の光位相同期が達成され、 θ1 =θ2 +π/2 …(13) となる。
【0026】以上のように、本発明の光位相同期光源で
は、注入同期光源12で入力信号光に注入同期すること
により光周波数同期を実現し、光合波器14、光位相検
出器16、制御回路17および光周波数シフタ13で構
成される光位相同期ループにより、注入同期光源12お
よび光経路長変動による光位相シフトを補償することが
できる。注入同期光源12では、入力信号光と注入同期
光源12のフリーランニング発振周波数の離調が数百M
Hz以上の場合でも容易に光周波数同期が可能である。さ
らに、注入同期された注入同期光源12は、数十MHz
度の入力光周波数ゆらぎに対しても追随し、光周波数同
期を維持する。そのため、光位相同期ループに要求され
る制御帯域幅は、注入同期時の注入同期光源12の位相
変動と、注入同期光源12の出力光が伝搬する光回路の
光経路長変動を補償するのに要求される数十kHzでよ
い。これにより、狭帯域の光位相同期ループを用いて
も、数十MHz程度の光周波数ゆらぎがある入力信号光に
対して光位相同期を高安定に実現することができる。
【0027】図4は、請求項4に記載の光位相同期光源
の基本構成を示す。本構成は、図1に示す基本構成とほ
ぼ同様であるが、注入同期光源12から出力される注入
同期光と入力信号光のキャリア成分との間にδfHzの光
周波数差を与えるために、2つの光周波数シフタ13−
1,13−2を用いることを特徴とする。すなわち、光
周波数をΔfシフトさせる第1の光周波数シフタ13−
1と、光周波数を−Δf+δfシフトさせる第2の光周
波数シフタ13−2とを備え、さらに第1の光周波数シ
フタ13−1を駆動するΔfの発振器18を備え、発振
器18の出力信号を制御回路17に参照信号として与え
る。これは、現時点では、高効率に光周波数をある中心
周波数に対して正負の両方向に変化させることができる
光周波数シフタがないために、光周波数シフタを2台用
い、ある中心周波数に対して正負の両方向に光周波数を
変化させる構成を実現するものである。
【0028】ここで、注入同期光源および光周波数シフ
タによる光周波数制御について、図5を参照して説明す
る。なお、光位相同期ループの動作は図1に示す基本構
成のものと同様である。
【0029】式(1) で示される入力信号光E2,1 の一部
を光周波数シフタ13−1に入力してΔfHzシフトする
と、
【0030】
【数5】
【0031】となり、これを注入同期光源12に注入す
ると、その出力光は E2,2=|E2,2|exp[i{(ω1+2πΔf)t+θ1'+δθinj}] …(15) となる。これをさらに光周波数シフタ13−2に入力し
て−Δf+δf Hz シフトすると、式(3) で示す注入同期
光となる。この光周波数シフタ13−2の周波数シフト
量δfを光位相同期ループで制御することにより、図1
に示す基本構成と同様の動作が可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態) 図6は、本発明の光位相同期光源の第1の実施形態を示
す。本実施形態は、図1に示す基本構成に対応するもの
である(請求項1,5)。
【0033】本実施形態の光位相同期光源は、ディジタ
ル変調された入力信号光を分岐する光分波器21と、分
岐された入力信号光を注入してそのキャリア成分の光周
波数に同期した注入同期光を出力する注入同期光源22
およびこれを駆動する電源23と、注入同期光源22か
ら出力された注入同期光の光周波数をδfシフトさせる
光周波数シフタ24と、光周波数シフトを受けた注入同
期光と光分波器21で分岐された入力信号光を合波する
2入力2出力の光合波器25と、光合波器25から出力
される各合波光の一部を分岐する光分波器26−1,2
6−2と、各光分波器で分岐された合波光の位相差に比
例した位相誤差信号を出力するバランスドレシーバ27
と、この位相誤差信号の低周波成分を増幅して出力する
低域通過フィルタ・増幅回路28と、その出力信号に応
じて光周波数シフタ24を制御する電圧制御発振器29
とにより構成される。
【0034】ここで、注入同期光源22は、共振器長 5
00μmの分布帰還型InGaAsP 半導体レーザを用い、
光出力は10mW、フリーランニング時の発振線幅は2M
Hzとする。また、注入同期引き込み幅および注入同期保
持幅は、それぞれ 500MHz、600MHzであり、広帯域に
わたって光周波数同期が可能である。光周波数シフタ2
4は、位相変調器を集積化したSSB光周波数シフタ
(参考文献: J.M.KAHNet al.,IEEE Journal of Lightw
ave Technology, QE-17, p.2225, 1981) を用い、電圧
制御発振器29に帰還される電圧に応じて光周波数をδ
f Hzシフトさせる。
【0035】入力信号光は、線幅 500kHzの光信号がデ
ィジタル変調されているとする。この光は、ファイバ長
40mの区間でコヒーレンスを保つ(ファイバの屈折率を
1.5とする)。したがって、入力信号光の一部を分岐す
る光分波器21から光合波器25までの光経路長と、光
分波器21から注入同期光源22を通って光合波器25
に至る光経路長との差が40m以下であれば、光合波器2
5で合波された後の信号光のキャリア成分と注入同期光
の光周波数は同一と見なすことができる。その場合に、
光位相同期ループに要求される動作帯域幅は、注入同期
時の注入同期光源22の位相変動と、注入同期光源22
から出力された注入同期光が伝搬する光回路の光経路長
変動を補償するのに要求されるkHzのオーダーでよい。
また、注入同期光源22の注入同期保持幅が 600MHzで
あるので、数百MHz程度の入力信号光の離調が存在して
も、注入同期光源22で光周波数同期が達成され、kHz
程度の狭帯域な光位相同期ループで安定に光位相同期を
実現することができる。
【0036】(第2の実施形態) 図7は、本発明の光位相同期光源の第2の実施形態を示
す。本実施形態は、図1に示す基本構成に対応するもの
である(請求項2,5)。
【0037】本実施形態の特徴は、第1の実施形態の構
成において、注入同期光源22と光周波数シフタ24の
配置を逆にしたところにある。ディジタル変調された入
力信号光は、光周波数シフタ24でδfの光周波数シフ
トを受けて注入同期光源22に入力される。本構成にお
いても第1の実施形態と同様に機能する。さらに、本実
施形態では、注入同期光源22の出力側に光周波数シフ
タ24がないので、光パワーを減衰させることなく注入
同期光を取り出すことができる。
【0038】(第3の実施形態) 図8は、本発明の光位相同期光源の第3の実施形態を示
す。本実施形態は、図1に示す基本構成に対応するもの
である(請求項3,5)。
【0039】本実施形態の特徴は、光位相同期ループに
おいて、注入同期光と入力信号光の繰り返しサイドバン
ド成分のビート信号を位相誤差信号として検出し、光周
波数シフタ24に帰還する構成を有するところにある。
すなわち、第1の実施形態の構成に加えて、注入同期光
源22に入力される入力信号光を分岐する光分波器30
と、分岐された入力信号光の繰り返し周波数を検出する
繰り返し周波数検出回路31と、低域通過フィルタ・増
幅回路28の出力信号と繰り返し周波数検出回路31の
出力信号とを乗算する乗算器32と、乗算器32の出力
信号の低周波成分を増幅して電圧制御発振器29に入力
する低域通過フィルタ・増幅回路33とを備える。
【0040】本構成により、バランスドレシーバ27で
注入同期光と入力信号光の繰り返しサイドバンド成分の
ビート信号を検出し、これを入力信号光の繰り返し周波
数成分と乗算することにより、DC成分近傍の位相誤差
信号を得ることができる。したがって、第1の実施形態
の光位相同期ループに比べて、入力信号光の低周波成分
の強度ゆらぎ、バランスドレシーバその他の光位相同期
ループの構成部品を駆動する電源の電圧ドリフトに伴う
影響を除去することが容易になり、安定に光位相同期を
実現することができる。
【0041】(第4の実施形態) 図9は、本発明の光位相同期光源の第4の実施形態を示
す。本実施形態は、図4に示す基本構成に対応するもの
である(請求項4,5)。
【0042】本実施形態の特徴は、第1の実施形態の構
成に加えて、注入同期光源22の入力側に光周波数シフ
タ34を挿入し、入力信号光の光周波数をΔfシフトさ
せて注入同期光源22に入力し、光周波数シフタ24で
注入同期光の光周波数を−Δf+δfシフトさせるとこ
ろにある。発振器35は光周波数シフタ34を駆動する
とともに、電圧制御発振器29に参照信号を与える。電
圧制御発振器29は、この参照信号により制御電圧の入
力がないときにΔfで発振するようになっている。
【0043】ここで、例えば光周波数シフタ34は、一
次回折光が±250 MHz近傍に現れるように設計された音
響光学変調器を用い、発振器35の発振周波数をΔf=
250MHzに設定することにより、入力信号光の光周波数
が+250 MHzシフトして注入同期光源22に注入する。
光周波数シフタ24を制御する電圧制御発振器29も、
入力電圧が0のときに 250MHzで発振する。
【0044】入力信号光は、第1の実施形態と同様に、
線幅 500kHzの光信号がディジタル変調されているとす
ると、光位相同期ループに要求される動作帯域幅は、注
入同期時の注入同期光源22の位相変動と、注入同期光
源22から出力された注入同期光が伝搬する光回路の光
経路長変動を補償するのに要求されるkHzのオーダーで
よい。
【0045】(第5の実施形態) 図10は、本発明の光位相同期光源の第5の実施形態を
示す。本実施形態は、図4に示す基本構成に対応するも
のである(請求項6)。
【0046】本実施形態の特徴は、第4の実施形態の構
成において、光位相同期ループとしてコスタスループを
用いるところにある。すなわち、光 180度ハイブリッド
として用いた光合波器25に代えて光90度ハイブリッド
36を用い、バランスドレシーバ27に代えて、光分波
器26−1,26−2で分岐された合波光を電気信号に
変換するフォトダイオード37−1,37−2、その電
気信号の低周波成分を増幅して出力する低域通過フィル
タ・増幅回路38−1,38−2、その出力信号を乗算
する乗算器39を用いる。なお、本実施形態のコスタス
ループは、第1の実施形態〜第3の実施形態にも同様に
適用することができる。
【0047】ところで、上述した式(8) 〜(13)に示す動
作は、コスタスループでは次のようになる。光90度ハイ
ブリッド36において入力信号光E1 と光周波数シフタ
24から出力される注入同期光E2 を合波すると、
【0048】
【数6】
【0049】の合波光が出力される。この合波光の一部
を分岐してフォトダイオード37−1,37−2に入力
すると、
【0050】
【数7】
【0051】の電気信号が出力される。これらの電気信
号を乗算器39で乗算することにより、入力信号光と注
入同期光の光位相差に比例する位相誤差信号
【0052】
【数8】
【0053】が出力される。ここで、θ1 ,θ2 は、時
間的に変動するパラメータであり、δfHzはθ2 に含ま
れるとみなした。この位相誤差信号を低域通過フィルタ
・増幅回路28でDC近傍成分のみを増幅し、 Ierr ∝ sin(θ1−θ2) …(21) を電圧制御発振器29に入力する。その結果、電圧制御
発振器29の発振周波数は、 δf=dθ2/dt ∝ sin(θ1−θ2) …(22) により制御される。これを光周波数シフタ24に入力す
ることにより、式(16),(17) に示す合波された入力信号
光と注入同期光間の光位相同期が達成される。
【0054】このコスタスループは、バランスドレシー
バを用いた光位相同期ループに比べて、注入同期光源2
2の周波数安定性に対する動作耐力が大きく、さらに動
作安定性を高めることができる。入力信号光が、線幅10
MHzの光信号がディジタル変調されているとすると、注
入同期光源22の光周波数も入力信号光に追随し、線幅
10MHzの注入同期光が出力される。ここで、入力信号光
の一部を分岐する光分波器21から光合波器27までの
光経路長と、光分波器21から注入同期光源22を通っ
て光合波器27に至る光経路長との差が、入力信号光お
よび注入同期光のコヒーレンス長20m(ファイバの屈折
率を1.5 とする)以下であれば、入力信号光および注入
同期光の光周波数差は無視できる。しかし、入力信号光
と注入同期光のビートスペクトル幅は、上記の実施形態
の場合と比較して広くなる。このような場合でも、コス
タスループを用いることにより、安定に光位相同期を実
現することができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光位相同
期光源は、光位相同期ループに要求される帯域幅を抑え
ながら、光周波数引き込み幅、光位相同期保持幅の広帯
域性を確保することができる。すなわち、数十MHz程度
までの発振光周波数ゆらぎが存在するレーザ光源から出
力された信号光に対して、安定に光位相同期を実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載の光位相同期光源の基本構成を
示すブロック図。
【図2】図1に示す光位相同期光源の動作を説明する
図。
【図3】図1に示す光位相同期光源の動作を説明する
図。
【図4】請求項4に記載の光位相同期光源の基本構成を
示すブロック図。
【図5】図4に示す光位相同期光源の動作を説明する
図。
【図6】本発明の光位相同期光源の第1の実施形態を示
すブロック図。
【図7】本発明の光位相同期光源の第2の実施形態を示
すブロック図。
【図8】本発明の光位相同期光源の第3の実施形態を示
すブロック図。
【図9】本発明の光位相同期光源の第4の実施形態を示
すブロック図。
【図10】本発明の光位相同期光源の第5の実施形態を
示すブロック図。
【図11】従来の光位相同期光源の構成を示すブロック
図。
【符号の説明】
11,15 光分波器 12 注入同期光源 13 光周波数シフタ 14 光合波器 16 光位相検出器 17 制御回路 18 発振器 21,26 光分波器 22 注入同期光源 23 電源 24 光周波数シフタ 25 光合波器 27 バランスドレシーバ 28 低域通過フィルタ・増幅回路 29 電圧制御発振器 30 光分波器 31 繰り返し周波数検出回路 32 乗算器 33 低域通過フィルタ・増幅回路 34 光周波数シフタ 35 発振器 36 光90度ハイブリッド 37 フォトダイオード 38 低域通過フィルタ・増幅回路 39 乗算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/29 - 7/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディジタル変調された入力信号光を分岐
    する光分波器と、 前記光分岐器で分岐された入力信号光を注入してそのキ
    ャリア成分の光周波数に同期した注入同期光を出力する
    注入同期光源と、 前記注入同期光源から出力された注入同期光の光周波数
    をδfシフトさせる光周波数シフタと、 前記光分波器で分岐された入力信号光E1 と、前記光周
    波数シフタで光周波数をシフトさせた注入同期光E2
    を合波し、合波光E1+E2およびE1−E2を出力する2
    入力2出力の光合波器と、 前記光合波器から出力される各合波光の一部を分岐する
    光分波器と、 前記各光分波器で分岐された合波光の位相差に比例した
    位相誤差信号を出力する光位相検出器と、 前記位相誤差信号に応じて前記光周波数シフタを制御す
    る制御回路とを備えたことを特徴とする光位相同期光
    源。
  2. 【請求項2】 ディジタル変調された入力信号光を分岐
    する光分波器と、 前記光分岐器で分岐された入力信号光の光周波数をδf
    シフトさせる光周波数シフタと、 前記光周波数シフタで光周波数をシフトさせた入力信号
    光を注入してそのキャリア成分の光周波数に同期した注
    入同期光を出力する注入同期光源と、 前記光分波器で分岐された入力信号光E1 と、前記注入
    同期光源から出力される注入同期光E2 とを合波し、合
    波光E1+E2およびE1−E2を出力する2入力2出力の
    光合波器と、 前記光合波器から出力される各合波光の一部を分岐する
    光分波器と、 前記各光分波器で分岐された合波光の位相差に比例した
    位相誤差信号を出力する光位相検出器と、 前記位相誤差信号に応じて前記光周波数シフタを制御す
    る制御回路とを備えたことを特徴とする光位相同期光
    源。
  3. 【請求項3】 ディジタル変調された入力信号光を分岐
    する光分波器と、 前記光分岐器で分岐された入力信号光の繰り返し周波数
    を検出する繰り返し周波数検出回路と、 前記光分岐器で分岐された入力信号光を注入してそのキ
    ャリア成分の光周波数に同期した注入同期光を出力する
    注入同期光源と、 前記注入同期光源から出力された注入同期光の光周波数
    をδfシフトさせる光周波数シフタと、 前記光分波器で分岐された入力信号光E1 と、前記光周
    波数シフタで光周波数をシフトさせた注入同期光E2
    を合波し、合波光E1+E2およびE1−E2を出力する2
    入力2出力の光合波器と、 前記光合波器から出力される各合波光の一部を分岐する
    光分波器と、 前記各光分波器で分岐された合波光の位相差に比例した
    位相誤差信号を出力する光位相検出器と、 前記位相誤差信号と前記繰り返し周波数検出回路の出力
    信号との乗算信号に応じて前記光周波数シフタを制御す
    る制御回路とを備えたことを特徴とする光位相同期光
    源。
  4. 【請求項4】 ディジタル変調された入力信号光を分岐
    する光分波器と、 前記光分岐器で分岐された入力信号光の光周波数をΔf
    シフトさせる第1の光周波数シフタと、 前記第1の光周波数シフタで光周波数をシフトさせた入
    力信号光を注入してそのキャリア成分の光周波数に同期
    した注入同期光を出力する注入同期光源と、 前記注入同期光源から出力された注入同期光の光周波数
    を−Δf+δfシフトさせる第2の光周波数シフタと、 前記光分波器で分岐された入力信号光E1 と、前記光周
    波数シフタで光周波数をシフトさせた注入同期光E2
    を合波し、合波光E1+E2およびE1−E2を出力する2
    入力2出力の光合波器と、 前記光合波器から出力される各合波光の一部を分岐する
    光分波器と、 前記各光分波器で分岐された合波光の位相差に比例した
    位相誤差信号を出力する光位相検出器と、 前記位相誤差信号に応じて前記第2の光周波数シフタを
    制御する制御回路とを備えたことを特徴とする光位相同
    期光源。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかに記載
    の光位相同期光源において、 光位相検出器は、合波光E1+E2およびE1−E2を電気
    信号に変換して減算を行うバランスドレシーバを用いた
    構成であることを特徴とする光位相同期光源。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項4のいずれかに記載
    の光位相同期光源において、 光合波器に代えて光90度ハイブリッドを備え、 光位相検出器は、前記光90度ハイブリッドから出力され
    た2つの合波光を電気信号に変換する光・電気変換器
    と、各電気信号を乗算する乗算器とを用いた構成である
    ことを特徴とする光位相同期光源。
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