JP3453180B2 - 皮膚の診断装置 - Google Patents

皮膚の診断装置

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JP3453180B2
JP3453180B2 JP03289194A JP3289194A JP3453180B2 JP 3453180 B2 JP3453180 B2 JP 3453180B2 JP 03289194 A JP03289194 A JP 03289194A JP 3289194 A JP3289194 A JP 3289194A JP 3453180 B2 JP3453180 B2 JP 3453180B2
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  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)
  • Measuring And Recording Apparatus For Diagnosis (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の利用分野】この発明は皮膚の診断装置に関し、
例えば人体の皮膚移植での皮膚の配向方向の測定や、牛
皮等の動物の皮膚の配向方向の測定、あるいは人の皮膚
の配向の強弱による皮膚の老化の程度の測定に関する。
【0002】
【従来技術】人や牛,羊,豚,鹿等の哺乳類の皮膚は、
表皮とその下の真皮及び真皮の下の皮下脂肪の3つの組
織からなる。また真皮の主要成分はコラーゲン繊維であ
る。コラーゲン繊維には配向があり、この配向が皮膚の
配向である。従来の皮膚の診断装置では、皮膚断面の電
子顕微鏡写真や、皮膚のX線回折から、配向方向を決定
する。また皮膚の配向方向によって、引っ張り強度や張
力に対する弾性率(皮膚の弾性係数)が異なることか
ら、配向方向を決定できることも知られている。さらに
皮膚の配向度(配向の程度)は皮膚の老化の程度と関係
し、皮膚が老化するにつれて配向度が低下することも経
験的に知られている。
【0003】発明者らは、マイクロ波の透過率やマイク
ロ波領域での複素誘電率から皮膚の配向方向を決定でき
ることを見い出した(細胞及び分子の生物学(Celluar
andMolecular Biology)39巻6号673−680頁,
1993年,大崎茂芳,山田正興,高楠彰,村上浩
二)。マイクロ波を利用した配向方向の測定装置では、
4GHz程度のマイクロ波を皮膚に照射し、透過率が方
向によって異なることから配向方向を決定する。またマ
イクロ波における複素誘電率に方向性があることから、
皮膚の配向方向を決定する。さらにマイクロ波における
透過率や複素誘電率からは、配向方向だけでなく、配向
の強弱,即ち配向度を求めることもできる。
【0004】しかしながらこれらの配向方向の測定装置
は、いずれも大がかりな装置を必要とし、簡易かつ迅速
に配向方向を決定するのには適していない。特に生きた
ままの皮膚に対して配向方向や配向度を決定するのに適
していない。例えば電子顕微鏡での撮影や、X線回折、
マイクロ波の透過率の測定、引っ張り強度の測定など
は、皮膚を人体や動物から切り取った後でなければ不可
能である。このため皮膚の配向方向の測定を、皮膚移植
に応用することができない。
【0005】皮膚移植で癒着率が低い原因の1つは、配
向方向が周囲と一致しない皮膚を移植することによるも
のである。即ち移植した皮膚とその周囲の皮膚との配向
方向が一致しないため、移植した皮膚が周囲の皮膚に癒
着せず、移植が失敗するのである。そして移植する皮膚
は通常、同じ患者の尻等の皮膚を用いる。ここで患者に
苦痛を与えず、皮膚を切り取らずに、配向方向を決定で
きるのでなければ、皮膚移植には応用できない。
【0006】生きたままの皮膚を切り取らずに配向方向
を決定することの重要性は、皮膚の老化の程度の判断で
も同じで、皮膚を切り取った後でなければ老化の程度を
評価できないとすれば、皮膚配向の強弱から老化の程度
を評価することに意味はない。皮膚の老化の程度を評価
することの主な応用は、女性の皮膚の老化の程度を診断
し、基礎化粧品の販売に参照することである。
【0007】皮革工業においても、皮膚の配向方向を知
る必要がある。皮膚は配向方向に沿った方向で引っ張り
に強く、配向方向に直角な方向では弱い。そこで革靴や
革コート等の製造では、その部分の革に加わる力の向き
に応じて原皮の向きを変えて用いる必要があり、革に加
わる力と革の配向とが一致するように原皮を用いるのが
好ましい。しかしながら電子顕微鏡やX線回折、マイク
ロ波透過率では、簡易かつ迅速に皮革の配向を知ること
は難しい。引っ張り強度による検査は簡便ではあるが、
それでも引っ張り試験機に皮革をセットして引っ張り強
度や弾性率を測定するには、時間を要する。
【0008】
【発明の課題】この発明の課題は、容易かつ迅速に皮膚
の配向方向や配向度を測定することにあり、特に生きた
ままの皮膚を、人体や動物の体から切り取らずに配向方
向や配向度を測定できるようにすることにある。
【0009】
【発明の構成】この発明は、皮膚の表面画像を撮影する
ための手段と、撮影した画像から毛穴の概形を検出する
ための手段と、求めた毛穴の概形の長軸方向を求め、求
めた長軸方向を皮膚の配向とするための手段、とを設け
た、皮膚の診断装置にある。好ましくは、毛穴の概形
皮膚の表面画像(表皮画像)のエッジから求めると共
に、前記長軸方向の両端での表面画像のエッジの強弱を
比較し、エッジの強い側を検出するための手段と、前記
長軸方向に平行で、かつ前記エッジが強い側から弱い側
への方向から、皮膚の配向方向を求めるための手段とを
設ける。また好ましくは、撮影した皮膚の表面画像を画
像データとして記憶するためのフレームストアと、フレ
ームストア上の画像データをエッジフィルタで処理して
毛穴の概形を求めるための手段とを設ける。さらに好ま
しくは、皮膚移植等で、移植しようとする部位に最も配
向方向が近い試料を決定するため、皮膚の配向方向の測
定結果を記憶するための手段を設けるとともに、複数の
測定結果に対して配向方向の類似度を判定するための手
段を設ける。
【0010】この発明はまた、撮影した画像から毛穴の
概形を検出するための手段と、毛穴の概形の長軸方向と
短軸方向とを求めるための手段と、毛穴の長軸方向長さ
と短軸方向長さとの比を、毛穴の縦横比として求めるた
めの手段とを設けて、求めた毛穴の縦横比から皮膚の配
向の強弱を求めるようにした、皮膚の診断装置にある。
【0011】
【発明の作用】この発明では、毛穴の概形を求め、その
長軸方向の向きから皮膚の配向を求める。即ち毛穴の向
きは皮膚の配向方向と一致し、毛穴の向きを求めれば配
向方向を求めることができ、毛穴の向きは毛穴の概形か
ら長軸方向を求めることにより求まる。次に皮膚の配向
の強弱は毛穴の配向の強弱に対応し、毛穴が細長く偏平
なほど皮膚の配向は強く、毛穴が円形に近いほど皮膚の
配向は弱い。即ち、毛穴の標準的な形状は楕円形であ
り、毛穴が真円に近づくほど配向は弱く、偏平に引き伸
ばされるほど配向は強いのである。そこで毛穴の形状か
ら皮膚の配向の強弱を求めることができる。
【0012】毛穴の配向や配向度を求めるのに必要なこ
とは、皮膚の表面を撮影し、画像処理により毛穴の形状
を抽出し、毛穴の向きや毛穴の縦横比を求めることであ
る。皮膚に対する測定としては表面画像を撮影するだけ
でよく、例えば皮膚移植を行う患者に対して苦痛を与え
ることがない。また皮膚表面を撮影するだけで、配向方
向や配向度を決定できるので、簡易かつ迅速に処理でき
る。
【0013】皮膚の表面画像から毛穴の形状を求めるに
は、例えばエッジフィルタにより毛穴の内外のエッジを
抽出すれば良い。抽出した毛穴の形状は一般に楕円形で
あり、その長軸方向から配向方向が分かる。エッジを検
出すると、毛穴の奥(根元)の側と手前(出口)の側と
を区別できる。従来の電子顕微鏡撮影やマイクロ波測定
ではコラーゲン繊維の配向の向きだけが分かり、実際の
配向方向は不明で、180度反転した2つの配向方向が
候補として考えられ、実際の配向方向がそのいずれであ
るかは不明であった。しかし毛穴の画像を観察すると、
実際の皮膚の配向方向が分かり、180度反転した2つ
の向きの内で、皮膚がどちらに配向しているか区別でき
る。
【0014】
【実施例】図1に実施例の皮膚診断装置を示し、図2に
配向方向の決定アルゴリズムを示す。また図3に、皮膚
の欠損部に対して元の配向方向を求めるための演算マス
クを示す。図1において、2はCCDカメラで、皮膚の
表面を撮影できるものであれば良く、例えば任意の光学
カメラ等でも良い。光学カメラを用いる場合、スキャナ
を接続して、画像をデジタル化すれば良い。CCDカメ
ラ2の解像度は、例えば640×400画素とする。4
は撮影した皮膚表面の画像を記憶するためのフレームス
トアで、例えば640×400画素の規模とし、カラー
あるいは白黒のいずれでもよく、分解能は画素当たり8
〜24ビット程度とする。
【0015】6はグラフィックプロセッサで、エッジ抽
出処理部8,チェイン処理部10,長軸方向決定部1
2,配向方向決定部14,配向度決定部16,平均化処
理部18の5つの部分からなる。20は欠損部推定処理
部で、火傷等で失われた皮膚に対して、周囲の皮膚の配
向方向と配向度から、火傷で失われた部分の配向度と配
向方向とを推定する。22はキーボードで、装置全体に
対するコマンドを入力すると共に、試料の試料番号や患
者の体での位置等を入力する。
【0016】24はメインメモリで、多数のデータカー
ド26及び図示しない作業領域からなり、データカード
26には皮膚の配向方向と配向度とを記憶させる。例え
ば図での矢印が配向の向きであり、矢印の根元側が毛穴
の奥(根元)の側を表し、先端が毛穴の出口側を表す。
また図の楕円は配向度を表し、楕円が偏平になるほど配
向が著しく、楕円が円に近づくほど配向が小さい。デー
タカード26にはタグ領域を設け、試料番号(図での9
−1)や配向方向,配向度を記入する。図の場合、配向
方向はy軸から見てx軸方向に28度戻った方向にあり
配向角としては−28度となり、試料の配向は強く配向
度(オリエンテーション)は3.6となる。タグ領域に
は、これ以外に試料の採取位置等を記憶させる。データ
カード26は試料毎に設け、メインメモリ24の残りの
領域を作業領域としグラフィックプロセッサ6や欠損部
推定処理部20等での演算に用いる。
【0017】28は類似度判定処理部で、皮膚を移植し
ようとする部分に対して、配向方向と配向度とが最も近
い試料を選び出すためのものである。例えば火傷で皮膚
が部分的に失われ、その部分に皮膚の移植を行うとす
る。火傷で失われた部分の皮膚の元の配向方向と配向度
とを、欠損部推定処理部20で推定する。この機構は後
に説明する。次に類似度判定処理部28では、欠損部推
定処理部20で求めた配向度と配向方向に対して最も近
い配向度と配向方向とを持つデータカード26を選び出
す。この作業は実際には、欠損部推定処理部20で作成
したデータカード26に対して、最小2乗法誤差等で、
最も類似したデータカード26を選び出すことである。
類似度の判定には、例えば配向方向の誤差に対する重み
をa,配向度の誤差に対する重みをbとし(a,b>
正)、a・α2+b・β2 が最小となるものを求める。
もちろん、配向方向と配向度の双方を考慮せず、配向方
向のみについて、最も類似したデータカード26を抽出
しても良い。30は出力インターフェースで、32はC
RTモニタ、34はプリンタである。
【0018】グラフィックプロセッサ6の詳細について
説明すると、エッジ抽出処理部8は2階微分フィルタ
(ラプラシアンフィルタとも呼ばれる)を用いてフレー
ムストア4の各画素のデータを処理し、エッジを抽出す
る。エッジ抽出処理部8での処理の順序は、例えばフレ
ームストア4の上から下へと1行ずつ、左から右へ走査
するように定める。
【0019】後に示すように、表皮の画像から毛穴の概
形を求めることは容易で、通常はエッジ抽出処理部8で
フレームストア4のデータを処理するだけで、毛穴の形
状を決定できる。しかしエッジの抽出のみでは毛穴の形
状を完全に抽出できない場合に備えて、チェイン処理部
10を設ける。チェイン処理部10では、分解能の不足
のため孤立したエッジを連結し、毛穴の形状を得る。孤
立したエッジを連結する条件は、連結しようとするエッ
ジから見ても近くにあるエッジに接続し、かつ接続後の
エッジ形状が円形あるいは楕円形となることである。
【0020】楕円形の毛穴形状が得られると、長軸方向
決定部12で長軸方向を決定する。毛穴は一般に楕円形
であり、配向に乏しいほど円形に近づき、配向が著しい
ほど偏平となる。そして楕円形の毛穴の長軸が配向の方
向であり、配向方向は長軸方向に平行かあるいはこれを
180度回転させたものである。
【0021】毛穴には根元(奥)と出口とがあり、後に
示すように毛穴の画像のエッジは奥の側で強く、出口側
では弱い。これは毛穴の奥の側のエッジでは、毛穴の周
囲の皮膚から毛穴の内部へと画質の著しい変化が生じ、
これに伴って強いエッジが表れるからである。そこで長
軸方向に沿った両側でのエッジの強弱の程度を、配向方
向決定部14で求める。エッジが強い側が毛穴の奥であ
り、エッジの弱い側が毛穴の出口である。このようにし
て実際の配向方向が、長軸方向決定部12で求めた軸に
平行もしくは反平行のいずれであるかを決定する。
【0022】フレームストア4の解像度を640×40
0画素とすると、1つの毛穴当たりに30〜50画素×
30〜50画素程度の領域を割り当てても、数十個程度
の毛穴をフレームストア4に含めることができる。CC
Dカメラ2の視野は、毛穴を数個以上例えば100個以
下撮影するように定める。毛穴の画像は1辺が30〜5
0画素程度で、配向度の分解能は2〜3%以上となる。
配向度は毛穴の縦横比で定まり、縦横比が大きいほど、
即ち毛穴が偏平であるほど配向が著しい。このため配向
度決定部16では、長軸方向決定部12で求めた長軸に
垂直な線を毛穴の中心を通るように発生させ、毛穴の短
軸方向長さを求める。これと同時に毛穴の長軸方向長さ
を求め、これらの比を配向度として出力する。既に述べ
たようにフレームストア4には数10個の毛穴の画像が
あり、平均化処理部18ではこれらの各毛穴に対して求
めた配向の方向と配向度とを平均化し、これをデータカ
ード26へ出力する。
【0023】グラフィックプロセッサ6の動作アルゴリ
ズムを図2に示す。エッジ抽出処理部8では、図2の右
側のマスクを用いて、毛穴の輪郭をエッジとして抽出す
る。図2の右側のマスクは、処理している点(マスクの
中心)に対して+4の重みを割り当て、その周囲の4点
に対して−1の重みを割り当てて、2階微分を行う。こ
こでは1画素程度の幅でのエッジの検出を例示し、マス
ク中心の1点に対して周囲4点との差を求めた。しかし
図2の3×3(一辺が3)のマスクではなく、例えば5
×5等のより大きなマスク等を用いても良い。また5×
5等のより大きなマスクを用いる場合、エッジの抽出前
にフレームストア4のデータを平滑化し、ノイズを除い
た後にエッジを抽出しても良い。
【0024】チェイン処理部10では、エッジとエッジ
とを連結し、楕円形の毛穴の形状を求める。毛穴は根元
側でエッジが明確で、出口側でエッジが弱い。そのため
チェイン処理部10では主として、出口側のエッジを連
結することになる。そしてチェイン処理部10では、得
られた毛穴の形状が楕円形となるように連結を行う。な
お後に示すように、毛穴に対しては一般に明瞭な画像が
得られるので、チェイン処理部10は設けなくても良
い。
【0025】毛穴の形状は楕円形であり、その長軸方向
を決定すると、配向方向を決定できる。ただし長軸方向
からはどちらが毛穴の根元でどちらが先端であるかは判
別しないので、毛穴の根元側でエッジが強く先端側でエ
ッジが弱いことを利用して、配向方向を決定する。また
毛穴の形状は楕円形であり、楕円の長軸長さと短軸長さ
の比は、皮膚の配向度に対応する。そこで配向度決定部
16で楕円の長軸長さと短軸長さの比を求める。発明者
は、後述の図8〜図18の毛穴の表面画像から求めた配
向度が、図6のマイクロ波透過率から求めた配向度と一
致することを確認した。
【0026】図3に、欠損部推定処理部20での処理を
示す。図の中央の領域xの皮膚が火傷等で失われ、周囲
のa〜hの8箇所の配向から、欠損部xでの配向を推定
するとする。この場合まず周囲8箇所に対して配向方向
と配向度とを測定する。次に失われた皮膚xの配向方向
と配向度は、上下左右の4点b,d,e,gの各部分の
寄与が各々20%で、対角線方向のa,c,f,hの寄
与が各5%であるとして、周囲8点の配向方向と配向度
とを重み付きで平均する。図3は図5に示す配向データ
から求めたもので、実際には中央のxの領域でも皮膚は
欠損していない。そして中央のxの領域での破線が実測
データで、実線が周囲8点から求めた推定データであ
る。推定データは実測データとよく一致し、欠損部の周
囲の配向から欠損部の配向を推定できる。
【0027】実施例では毛穴の概形の抽出をエッジの抽
出で行ったが、毛穴の輪郭は明瞭で、エッジ処理ではな
く単なる差分処理でも毛穴の輪郭を求めることができ
る。差分では、フレームストア4の各画素に対して、上
のピクセルと左のピクセルとに対する明暗の差分の値を
求め、この値から毛穴の外形を抽出する。実施例では毛
穴の全体形状を求めたが、毛穴の形状全体を求めず、例
えば根元側の部分のみの形状を求めても良い。例えば毛
穴の輪郭の1/2〜2/3程度を求めれば、長軸方向か
ら配向方向を決定でき、長軸方向長さと短軸方向長さの
比から配向度を決定できる。
【0028】図4〜図20に、子牛の表皮に対する観察
結果を示す。ここでは皮膚の断面の電子顕微鏡写真等を
撮影するため子牛の皮膚を試料に用いたが、人の皮膚で
も結果はほぼ同様である。図4に子牛の皮膚に対する試
料番号を示す。図5に同じ試料について、4GHz程度
の周波数でのマイクロ波透過率によって求めた皮膚の配
向方向を示す。図6に、試料1−1〜11−1について
の、マイクロ波透過率での配向方向と配向度を示す。図
の繭状の図形は配向の程度を表し、繭の中央が細いほど
配向が著しく、繭が円形に近づくほど配向が弱い。また
繭の中央を通るラインは配向方向を表す。
【0029】図4の試料を用いて、100倍の電子顕微
鏡写真により、毛穴の方向から求めた配向方向や配向度
と、マイクロ波により求めた配向方向や配向度とを比較
した。図7は皮膚断面の電子顕微鏡写真で、図の左側が
表皮で、表皮の右側の部分がコラーゲン繊維を主とした
真皮である。図の左下の黒い部分が毛穴とその毛母細胞
であり、偏平な楕円形の部分が毛母細胞で、そこから図
7の下へ延びる黒い部分が毛穴である。毛穴の向きはコ
ラーゲン繊維の向きとよく一致し、毛穴の配向から皮膚
の配向を求めることができる。なおこの明細書でいう配
向とは、表皮に平行な面内での配向であり、表皮に垂直
な方向への配向は含まない。
【0030】図8〜図18に、図4の試料1−1〜11
−1についての、100倍の電子顕微鏡写真を示す。測
定の開始時に高倍率写真を意図したため電子顕微鏡を用
いたが、100倍程度の倍率であれば光学カメラやCC
Dカメラ2で充分であり、患者の皮膚をCCDカメラ2
で撮影するだけで良い。図8の試料1−1の顕微鏡写真
では、毛穴は図の右下から左上へと配向し、これは図5
の結果とよく一致する。同様に他の試料についても、毛
穴の向きとマイクロ波透過率により求めた配向方向とは
よく一致する。また各試料について、毛穴形状の偏平度
から求めた配向度とマイクロ波透過率から求めた配向度
もよく一致する。毛穴の輪郭は明瞭で、図8〜図18の
ように画像処理を全く施さず、しかも白黒の二値画像で
も、毛穴の輪郭がほぼ表れている。
【0031】例えば図11の試料4−1では、白黒二値
画像からそのままで毛穴の輪郭を決定できる。実際には
フレームストア4のデータは白黒の二値画像ではなく階
調画像である。図8〜図18の画像が1ビットの200
DPI(200画素/インチ)画像であるのに対して、
フレームストア4の画像は8〜24ビットの200DP
I程度の画像で、図8〜図18に比べ極めて高画質であ
る。エッジの抽出は容易で、表皮を100倍程度に拡大
して撮影しエッジを抽出すれば、毛穴の向きと配向度を
正確に測定できる。
【0032】図19,図20に、子牛の表皮に対する光
学顕微鏡写真を示す。98倍の光学顕微鏡(図19)で
毛穴の向きと配向度とを容易に撮影でき、このことから
CCDカメラ2で患者の皮膚等を撮影すれば、容易に良
好な毛穴の画像が得られることが分かる。
【0033】図4の試料の試料について、100倍の電
子顕微鏡写真から毛穴をサンプリングし、図2に示した
毛穴の縦横比を求めた。縦横比は図2のa/bを意味
し、各4個の毛穴の平均である。試料は図4での添え字
が1の試料で、図8〜図18に示したものと同じ試料で
ある。ただし各試料での電子顕微鏡写真の撮影位置は、
図8〜図18と同じではない。マイクロ波吸収により求
めた配向度MORと、毛穴の縦横比から求めた配向度φ
との関係を図21に示す。2つの方法で求めた配向度は
一致し、毛穴の縦横比から配向度が求められることが分
かる。
【0034】
【発明の効果】この発明では、容易かつ迅速に皮膚の配
向方向を求めることができる(請求項1〜4)。またこ
の発明では、皮膚の表面画像を撮影して画像処理を行う
だけで配向方向を求めることができるので、例えば患者
の皮膚を切り取らずにそのまま配向方向を求めることが
できる。このため、皮膚移植での移植する皮膚と周囲の
皮膚との適合性の評価等を容易に行うことができる。
【0035】またこの発明では、皮膚の配向度を皮膚を
切り取らずに容易に求めることが出来る(請求項5)
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の皮膚診断装置のブロック図
【図2】 図1の実施例での配向方向決定アルゴリズ
ムを示すフローチャート
【図3】 図1の実施例での皮膚欠損部の配向を求め
るための演算マスクの図
【図4】 測定に用いた子牛の皮膚の部位を示す図
【図5】 図4の子牛の皮膚での、マイクロ波透過率
による配向方向の測定結果を示す特性図
【図6】 図4の子牛の皮膚での、マイクロ波透過率
による配向データを示す特性図
【図7】 子牛の皮膚の断面組織と毛穴とを示す電子
顕微鏡写真
【図8】 図4の試料1−1での表皮組織の電子顕微
鏡写真
【図9】 図4の試料2−1での表皮組織の電子顕微
鏡写真
【図10】 図4の試料3−1での表皮組織の電子顕微
鏡写真
【図11】 図4の試料4−1での表皮組織の電子顕微
鏡写真
【図12】 図4の試料5−1での表皮組織の電子顕微
鏡写真
【図13】 図4の試料6−1での表皮組織の電子顕微
鏡写真
【図14】 図4の試料7−1での表皮組織の電子顕微
鏡写真
【図15】 図4の試料8−1での表皮組織の電子顕微
鏡写真
【図16】 図4の試料9−1での表皮組織の電子顕微
鏡写真
【図17】 図4の試料10−1での表皮組織の電子顕
微鏡写真
【図18】 図4の試料11−1での表皮組織の電子顕
微鏡写真
【図19】 子牛の表皮組織の98倍の光学顕微鏡写真
【図20】 図19と同じ試料の34倍の光学顕微鏡写
【図21】 図4の試料についてのマイクロ波吸収から
求めた配向度と、表皮組織の電子顕微鏡写真からも求め
た配向度との関係を示す特性図
【符号の説明】
2 CCDカメラ 4 フレームストア 6 グラフィックプロセッサ 8 エッジ抽出処理部 10 チェイン処理部 12 長軸方向決定部 14 配向方向決定部 16 配向度決定部 18 平均化処理部 20 欠損部推定処理部 22 キーボード 24 メインメモリ 26 データカード 28 類似度判定処理部 30 出力インターフェース 32 CRT 34 プリンタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−64232(JP,A) 特開 平3−118036(JP,A) 特開 平5−329133(JP,A) 特開 平7−55447(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/107 A61B 5/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 皮膚の表面画像を撮影するための手段
    と、撮影した画像から毛穴の概形を検出するための手段と、 求めた毛穴の概形の長軸方向を求め、求めた長軸方向を
    皮膚の配向とするための手段 、とを設けた、皮膚の診断
    装置。
  2. 【請求項2】 前記毛穴の概形の検出手段を、皮膚の表
    面画像のエッジから毛穴の概形を検出するように構成
    、 さらに、前記長軸方向の両端での表面画像のエッジの強
    弱を比較し、エッジの強い側を検出するための手段と、 前記長軸方向に平行で、かつ前記エッジが強い側から弱
    い側への方向から、皮膚の配向方向を求めるための手段
    とを設けたことを特徴とする、請求項1の皮膚の診断装
    置。
  3. 【請求項3】 撮影した皮膚の表面画像を画像データと
    して記憶するためのフレームストアと、 フレームストア上の画像データをエッジフィルタで処理
    して毛穴の概形を求めるための手段とを設けたことを特
    徴とする、請求項2の皮膚の診断装置。
  4. 【請求項4】 皮膚の配向方向の測定結果を記憶する
    ための手段を設けるとともに、複数の測定結果に対して
    配向方向の類似度を判定するための手段を設けたことを
    特徴とする、請求項3の皮膚の診断装置。
  5. 【請求項5】 皮膚の表面画像を撮影するための手段
    と、撮影した画像から毛穴の概形を検出するための手段と、 毛穴の概形の長軸方向と短軸方向とを求めるための手段
    と、 毛穴の長軸方向長さと短軸方向長さとの比を、毛穴の縦
    横比として求めるための手段とを設けて、求めた毛穴の
    縦横比から皮膚の配向の強弱を求めるようにした 、皮膚
    の診断装置。
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