JP3452883B2 - 画像処理を用いた生物組織評価方法 - Google Patents

画像処理を用いた生物組織評価方法

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JP3452883B2 JP2000268097A JP2000268097A JP3452883B2 JP 3452883 B2 JP3452883 B2 JP 3452883B2 JP 2000268097 A JP2000268097 A JP 2000268097A JP 2000268097 A JP2000268097 A JP 2000268097A JP 3452883 B2 JP3452883 B2 JP 3452883B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像処理を用いた生
物組織評価方法に関し、特に、コンピュータを用いて生
物組織中の腫瘍像の良悪性を定量的に評価するために役
立つ評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】医療用の診断支援装置として、コンピュ
ータを用いた種々の装置が利用されている。たとえば、
CT装置、MRI装置などは、現在の医療診断には欠か
せない診断支援装置として一般に普及しており、検体を
三次元スキャンすることにより、体内組織の三次元画像
データを得ることが可能である。一方、疾病の正確な判
定には、組織学的な検査が必要不可欠であり、現在、年
間に500万件以上の組織診断が行われている。このよ
うな組織診断には、通常、検体となる生物組織の二次元
画像が用いられる。この生物組織の二次元画像を得る方
法としては、ヘマトキシリン・エオジン染色を利用した
方法が一般的に知られており、染色された生物組織の顕
微鏡画像がCCDカメラなどを介してデジタルデータと
して取り込まれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したヘマトキシリ
ン・エオジン染色を利用した方法などによって、生物組
織の二次元画像が得られたとしても、この二次元画像と
して表現された生物組織に対する医学的な診断を正確に
行うには、高度な医学的知識と経験が必要になる。特
に、生物組織中に腫瘍像が存在した場合、この腫瘍が癌
などの悪性腫瘍であるのか、良性腫瘍であるのか、を見
分けるには、極めて高度な判断が必要になる。たとえ
ば、ヘマトキシリン・エオジン染色を利用して得られた
二次元画像上の生物組織が、悪性腫瘍であるのか否かを
判定する場合、色差のしきい値に基づいて染色像を少数
の領域に分割して特徴抽出を行う方法などが提案されて
いるが、実用化のレベルには至っていない。その原因の
ひとつは、生物組織を染色した場合、細胞核やリンパ球
が同じ色に染色されてしまうため、色による特徴評価だ
けでは癌細胞領域などの識別が困難であるからである。
これまで、癌細胞などの病巣の発見は、熟練した病理医
が経験や包括的知識に基づいて行ってきたため、たとえ
ば、癌細胞領域の形態的な特徴を評価するために客観的
な指標を与えるような技術に関しては、十分な研究がな
されていないのが現状である。
【0004】生物組織画像の客観的な解析を行うために
は、臨床で得られた種々の画像を系統的に分類した画像
データベース(電子カルテ)を構築することが不可欠で
ある。しかしながら、現在の画像データベースは、患者
の氏名、性別、年齢、症例、日時などのデータが記録さ
れているに過ぎず、生物組織画像そのものの特徴につい
て検索を行うことはできない。これは、これまで、生物
組織画像を定量的に評価する方法が確立されておらず、
画像そのものの特徴を定量化することが困難であったた
めである。
【0005】そこで本発明は、生物組織の二次元画像に
対して、コンピュータを利用した画像処理を施すことに
より、特徴を定量的に評価することが可能な生物組織評
価方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】(1) 本発明の第1の態
様は、評価対象となる生物組織の画像に対して、コンピ
ュータを用いて所定の画像処理を施すことにより、生物
組織の特徴を定量的に評価する画像処理を用いた生物組
織評価方法において、画像上に表現されたテクスチャー
の特徴を数値として示すパラメータを複数H通り定義す
る段階と、評価対象となる生物組織の画像を入力する段
階と、入力した生物組織画像上に所定のエネルギー値を
もった多数の仮想生物を発生させる段階と、個々の仮想
生物について、H通りのパラメータの中から選択された
h通り(h≦H)のパラメータの組み合わせを示す遺伝
子を定義する段階と、各仮想生物の発生位置の周辺画像
のテクスチャーの特徴を示すH通りのパラメータのう
ち、少なくとも遺伝子によって示されているh通りのパ
ラメータの値を求め、これらのパラメータ値を各仮想生
物のもつ潜在パラメータ値として定義する段階と、 (a) 仮想生物を、生物組織画像上で移動させ、この移動
により消費する消費エネルギー値を決定する処理、 (b) 仮想生物の移動後の周辺画像について、当該仮想生
物の遺伝子によって示されているh通りのパラメータの
値を現環境パラメータ値として求め、h通りの潜在パラ
メータ値とh通りの現環境パラメータ値との類似性に基
づいて、当該仮想生物が摂取すべき摂取エネルギー値を
定める処理、 (c) 仮想生物のもつエネルギー値に対して、消費エネル
ギー値を減じ、摂取エネルギー値を加えることにより、
エネルギー値の更新を行い、更新後のエネルギー値が所
定の下限値に達した場合には当該仮想生物が死滅したも
のとして除去し、更新後のエネルギー値が所定の上限値
に達した場合には当該仮想生物が増殖したものとして同
一の遺伝子を有する新たな仮想生物を近傍に発生させる
処理、なる3つの処理(a) ,(b) ,(c) を、所定回数だ
け繰り返し実行する段階と、生物組織画像上に最終的に
生存している仮想生物についての遺伝子のヒストグラム
を作成する段階と、を行うようにし、評価対象となる生
物組織の画像を、得られたヒストグラムとして定量的に
評価できるようにし、処理(c) におけるエネルギー値の
更新を行う際に、仮想生物の移動後の位置を中心とした
近傍参照領域と、この近傍参照領域を含みその境界を更
に遠方まで広げた遠方参照領域とを定義し、近傍参照領
域内のテクスチャーの特徴を示す近傍パラメータ値と、
遠方参照領域内のテクスチャーの特徴を示す遠方パラメ
ータ値と、の類似性が低い場合には、当該仮想生物のも
つエネルギー値もしくは当該仮想生物が摂取するエネル
ギー値を減じる処理を更に行うようにしたものである。
【0007】(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1
の態様に係る画像処理を用いた生物組織評価方法におい
て、各仮想生物の発生位置の周辺画像について求めた潜
在パラメータ値を初期値とし、移動後の周辺画像につい
て求めた現環境パラメータ値と潜在パラメータ値とに所
定以上の類似性が得られた場合には、潜在パラメータの
値に対して、現環境パラメータ値に近付けるような更新
処理を行うようにしたものである。
【0008】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1
または第2の態様に係る画像処理を用いた生物組織評価
方法において、仮想生物の発生、仮想生物に対する遺伝
子の定義、仮想生物に対する移動、を行う際に乱数を用
い、ランダムな位置にランダムな遺伝子をもった仮想生
物が発生され、ランダムに移動するようにしたものであ
る。
【0009】(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1
〜第3の態様に係る画像処理を用いた生物組織評価方法
において、各仮想生物の移動後の周辺画像について明度
値を求め、この明度値が大きい順に一定割合の仮想生物
に対しては、当該仮想生物のもつエネルギー値もしくは
当該仮想生物が摂取するエネルギー値を減じる処理を更
に付加するようにしたものである。
【0010】(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4
の態様に係る画像処理を用いた生物組織評価方法におい
て、明度値が大きい順に一定割合の仮想生物に対して
は、当該仮想生物が死滅するのに十分な程度に、エネル
ギー値を減じる処理を行うようにしたものである。
【0011】
【0012】(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1
第5の態様に係る画像処理を用いた生物組織評価方法
において、生物組織画像のテクスチャーの特徴を数値と
して示す複数H通りのパラメータとして、所定の参照領
域内の各画素の濃度値についての平均、分散、エネルギ
ー、エントロピー、コントラストなる群の中から選択さ
れた複数のパラメータを用いるようにしたものである。
【0013】(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1
第6の態様に係る画像処理を用いた生物組織評価方法
において、生物組織画像としてカラー画像を用いるよう
にし、この生物組織画像のテクスチャーの特徴を数値と
して示すパラメータ値として、所定の参照領域内の各画
素の三原色の各色成分ごとの濃度値に関するパラメータ
値を用いるようにし、パラメータ値相互の類似性を、各
色成分ごとのパラメータ値に基づいて定義される三次元
ベクトルの角度差に基づいて決定するようにしたもので
ある。
【0014】(8) 本発明の第8の態様は、上述の第1
第7の態様に係る画像処理を用いた生物組織評価方法
において、個々の仮想生物に年齢を定義するようにし、
3つの処理(a) ,(b) ,(c) を実行するたびに個々の仮
想生物の年齢を増加させ、年齢が所定の寿命に達した仮
想生物については死滅したものとして除去するようにし
たものである。
【0015】(9) 本発明の第9の態様は、上述の第1
第8の態様に係る画像処理を用いた生物組織評価方法
において、親の仮想生物がもっていた遺伝子を遺伝させ
る際に、所定の確率で突然変異を生じさせるようにし、
突然変異が生じた場合には、遺伝子をランダムに変更し
てから遺伝させるようにしたものである。
【0016】(10) 本発明の第10の態様は、上述の第
1〜第9の態様に係る画像処理を用いた生物組織評価方
法を構成する各段階をコンピュータに実行させるための
プログラムを、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記
録するようにしたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施形態
に基づいて説明する。
【0018】§1.本発明の基本概念 はじめに、本発明の基本概念を簡単に述べておく。い
ま、図1(a) ,(b) に示すような組織画像が用意されて
いるものとしよう。ここに示す組織画像は、動物の乳腺
組織画像であり、図1(a) が正常な乳腺組織画像、図1
(b) が癌化した乳腺組織画像の一例を示している。図1
(a) に示す正常な組織では、細胞核領域が環状の組織構
造をとっているが、図1(b) に示す癌化した組織では、
細胞核領域が肥大している状態が確認できる。もっと
も、ここでは説明の便宜上、個々の細胞核領域の相違を
非常に明瞭化したパターンとして図示してあるが、正常
な組織と癌化した組織との差は、これほど明瞭に認識で
きるものではなく、実際には、細胞核領域がどの部分で
あるかを認識することさえ、ある程度熟練した病理医で
なければ困難である。そこで、図1(a) ,(b) に示すよ
うな組織画像をデジタルデータとしてコンピュータに取
り込み、所定の画像処理を施すことにより、個々の組織
画像の特徴を定量的に評価することができれば便利であ
る。
【0019】本発明に係る評価方法を用いれば、図1
(a) ,(b) に示す組織画像に対して、それぞれ図2(a)
,(b) に示すようなヒストグラムを得ることができ
る。いずれのヒストグラムも、横軸は、各組織画像上に
表現されたテクスチャー(絵柄模様)の何らかの特徴を
示す特徴因子である。特徴因子としてどのようなパラメ
ータを用いるかは、後に詳述するが、この特徴因子はテ
クスチャーに潜在する何らかの特徴を客観的に捉えたも
のということができる。図1(a) に示すような正常な乳
腺組織画像について図2(a) に示すようなヒストグラム
が得られ、図1(b) に示すような癌化した乳腺組織画像
について図2(b) に示すようなヒストグラムが得られた
とすれば、図2(a) に示すヒストグラムは正常な乳腺組
織画像に潜在する特徴を客観的に示すデータとして利用
することができ、図2(b) に示すヒストグラムは癌化し
た乳腺組織画像に潜在する特徴を客観的に示すデータと
して利用することができる。
【0020】臨床的に得られた多数の症例のそれぞれに
ついて、このようなヒストグラムを収集してデータベー
スを構築すれば、このデータベースを診断の補助資料と
して利用することが可能になる。たとえば、ある検体か
ら採取された組織画像について、本発明に係る評価方法
を適用してヒストグラムが得られれば、この検体につい
て得られたヒストグラムを、データベースに蓄積された
多数のヒストグラムと比較することにより、当該検体に
ついて、ある程度の診断を行うことが可能になる。たと
えば、当該検体について得られたヒストグラムが、図2
(b) に示すヒストグラムに近い分布をもっていれば、当
該検体の生物組織は癌化している可能性が高いとの情報
を得ることができる。
【0021】もちろん、本発明に係る方法によって得ら
れるヒストグラム情報は、必ずしも正しい診断結果を提
示するものではなく、誤診断が行われる可能性もある。
しかしながら、臨床医学の分野では、そもそも完全に正
しい診断を行うことは不可能であり、様々な診断支援装
置から得られる情報に基づく総合判断を行うことによ
り、できるだけ正しい診断を行わざるを得ない。そのよ
うな点において、本発明に係る生物組織評価方法は、コ
ンピュータを診断支援装置として利用することを可能に
する技術として、産業上の利用価値を十分に有するもの
である。
【0022】続いて、図3を参照して、本発明に利用さ
れる基本的な手法の概念を述べる。本発明の特徴は、所
定の遺伝子をもった仮想生物の環境適応性を利用して、
生物組織の画像上に表現されたテクスチャー(絵柄模
様)の特徴を抽出するという手法を採る点にある。い
ま、図3(a) に示すような仮想環境を定義し、この仮想
環境上に多数の仮想生物が分布しているという状態を考
える。個々の仮想生物には、それぞれ所定の遺伝子が与
えられている。ここでは、3種類の遺伝子X,Y,Zを
定義し、初期状態において、合計9匹の仮想生物が生成
され、3匹の仮想生物は遺伝子Xをもち、3匹の仮想生
物は遺伝子Yをもち、3匹の仮想生物は遺伝子Zをもっ
ているものとしよう。この遺伝子X,Y,Zは、個々の
仮想生物の生存を左右する何らかのパラメータを示して
おり、個々の仮想生物がどのような環境条件に敏感であ
るか、を示す指標となる。
【0023】たとえば、遺伝子Xは温度、遺伝子Yは湿
度、遺伝子Zは大気圧というパラメータであったとしよ
う。各仮想生物には、それぞれ発生位置の環境における
遺伝子の示すパラメータの値が、潜在パラメータとして
与えられる。具体例を示せば、遺伝子Xをもった仮想生
物は、それぞれの発生位置における温度が潜在パラメー
タとして与えられることになり、たとえば、温度18°
C,30°C,4°Cのような潜在パラメータ値が与え
られることになる。別言すれば、遺伝子Xをもった仮想
生物は、温度という環境条件に敏感であり、自分が生ま
れた場所の温度環境が、自己の生存に最も適している環
境ということになる。この遺伝子Xをもった仮想生物に
とって、湿度環境や大気圧環境は自己の生存には無関係
である。一方、遺伝子Yをもった仮想生物は、それぞれ
の発生位置における湿度が潜在パラメータとして与えら
れることになる。たとえば、湿度80%,15%,60
%のような潜在パラメータ値が与えられることになる。
別言すれば、遺伝子Yをもった仮想生物は、湿度という
環境条件に敏感であり、自分が生まれた場所の湿度環境
が、自己の生存に最も適している環境ということにな
る。この遺伝子Yをもった仮想生物にとって、温度環境
や大気圧環境は自己の生存には無関係である。
【0024】続いて、これらの仮想生物を所定の距離だ
け移動させ、移動後の環境が自己の生存環境に適してい
るか否かの判断をさせる。移動にはエネルギーを消費さ
せるようにするが、移動後の環境が自己の生存環境に適
していた場合には、餌を与え、エネルギーが増えるよう
にする。移動後の環境が自己の生存環境に適していない
場合には、餌は与えられないので、エネルギーは消費す
るだけである。たとえば、温度に敏感なことを示す遺伝
子Xをもち、潜在パラメータとして、温度18°Cが与
えられた仮想生物は、移動後の温度環境が18°C付近
であれば、餌をもらえることになり、湿度に敏感なこと
を示す遺伝子Yをもち、潜在パラメータとして、湿度8
0%が与えられた仮想生物は、移動後の湿度環境が80
%付近であれば、餌をもらえることになる。
【0025】こうして、移動を繰り返し、餌をもらえず
にエネルギーを消尽した仮想生物は死滅し、餌をもらう
ことによりエネルギーが増加した仮想生物については、
同一遺伝子をもった子孫を発生させるような処理を行う
と、図3(b) に示すように、ある特定の遺伝子をもった
仮想生物の個体数は増加し、別な特定の遺伝子をもった
仮想生物の個体数は減少してゆき、最終的に、図3(c)
に示すような状態に安定する。図示の例では、遺伝子X
をもった仮想生物は絶滅し、遺伝子Yをもった仮想生物
が繁栄しており、遺伝子Zをもった仮想生物はかろうじ
て生き延びている。そこで、遺伝子X,Y,Zを横軸に
とり、それぞれ生存している仮想生物数を頻度とするヒ
ストグラムを作成すれば、このヒストグラムは、仮想環
境の定量的な特徴を示すものになる。この例の場合、遺
伝子Xで示される「温度」というパラメータに関連した
生存環境は全く見られないが、遺伝子Yで示される「湿
度」というパラメータに関連した生存環境は整ってい
る、という傾向が客観的なヒストグラムとして示された
ことになる。
【0026】もっとも、本発明に係る評価方法の対象
は、あくまでも生物組織の画像であるので、個々の仮想
生物に与える遺伝子としては、上述したような温度や湿
度といった要素ではなく、画像上に表現されたテクスチ
ャーの特徴を示す要素を用いることになる。以下、本発
明に係る具体的な評価方法の手順を説明する。
【0027】§2.本発明に係る具体的な評価方法の手
ここでは、本発明に係る画像処理を用いた生物組織評価
方法の具体的な手順を、図4の流れ図に基づいて説明す
る。本発明の主眼は、評価対象となる生物組織の画像に
対して、コンピュータを用いて所定の画像処理を施すこ
とにより、生物組織画像上のテクスチャーの特徴を定量
的に示すヒストグラムを得ることであり、この図4の流
れ図に示す各手順はコンピュータを利用して実行される
ことになる。
【0028】まず、ステップS1において、H通りのパ
ラメータの定義が行われる。ここで定義されるパラメー
タは、画像上に表現されたテクスチャーの特徴を数値と
して示すパラメータであれば、どのようなパラメータで
もかまわない。一般に、このようなパラメータとして
は、画像を構成する個々の画素についての濃度値分布を
示すパラメータが用いられている。たとえば、図5の上
段に示すような生物組織画像をコンピュータで取り扱う
場合、この画像は、縦横に配列された多数の画素の集合
として、コンピュータに取り込まれることになる。この
ようにして取り込んだ生物組織画像について、ある指定
点の近傍におけるテクスチャーの特徴を定量的に評価す
るには、次のような方法を採る。ここでは、一例とし
て、図5の上段に示す生物組織画像上に×印を付して示
した指定点位置におけるテクスチャーの特徴を定量的に
評価するために、図5の下段に示すような5×5の画素
からなる領域を当該指定点についての参照領域として考
えることにする。コンピュータに取り込まれた画像デー
タは、上述したように、多数の画素によって構成されて
いるので、指定点を中心としたその近傍領域に図5の下
段に示すような25個の画素の集合からなる参照領域を
定義することができる。太線枠で示された中央の画素
が、指定点の位置に相当する画素であり、ここではその
周囲を含めた全25個の画素からなる領域を参照領域と
しているが、もちろん、より広い領域を参照領域として
もかまわない。
【0029】個々の画素は所定の濃度値を有している。
図5に示す例では、入力された生物組織画像がモノクロ
画像であるとして、第i番目の画素のもつ濃度値をQ
(i)で示した。通常、画素のもつ濃度値は所定の階調
をもっており、たとえば、8ビットで階調を表現した場
合、階調数L=256になる。この場合、個々の画素
は、0〜255のうちのいずれかの濃度値Qをとる。こ
のような階調画像からなるテクスチャーの特徴を定量的
に表現するパラメータとしては、具体的には、図6に示
すような5つのパラメータが知られている。すなわち、
平均(Ave.),分散(Var.),エネルギー(E
ngy.),エントロピー(Ent.),コントラスト
(Cont.)といったパラメータである。これらの各
パラメータは、コンピュータによる画像処理の分野にお
いて広く利用されているパラメータであるため、詳しい
説明は省略するが、各パラメータの値は、図示した式に
よって数学的に定義される。ここで、式の左辺のQa,
Qv,Qn,Qe,Qcは、それぞれ平均,分散,エネ
ルギー,エントロピー,コントラストの各パラメータ値
を示し、式の右辺のLは濃度値の階調数(上述の例の場
合、L=256)、Qは各画素の濃度値(上述の例の場
合、Q=0〜255)、Mは参照領域内の全画素数(上
述の例の場合、M=25)、N(Q)は参照領域内にお
いて濃度値Qをもった画素の数、P(Q)は参照領域内
において濃度値Qをとる確率(ここでは、P(Q)=N
(Q)/Mとして算出)である。なお、ここに示すエネ
ルギー(Engy.)は、テクスチャー特性を示すパラ
メータであり、個々の仮想生物の生存状態を示すための
エネルギーとは別のものである。
【0030】図4の流れ図におけるステップS1の処理
は、このようなパラメータを定義する処理である。ここ
に示す実施形態では、このステップS1において、図6
に示すように、平均(Ave.),分散(Var.),
エネルギー(Engy.),エントロピー(En
t.),コントラスト(Cont.)なる5通り(H=
5)のパラメータを定義したものとする。
【0031】続いて、ステップS2において、評価対象
となる生物組織画像の入力処理が行われる。実際の生物
組織から二次元画像を得る方法としては、ヘマトキシリ
ン・エオジン染色を利用した方法が知られており、ヘマ
トキシリン・エオジンによって染色された生物組織の顕
微鏡画像を、CCDカメラなどを介してデジタルデータ
として取り込む処理を行えば、多数の画素の二次元配列
データとして、コンピュータ内に生物組織画像を用意す
ることができる。
【0032】次に、ステップS3において、所定のエネ
ルギー値(生存状態を示すためのものであり、上述した
パラメータの1つであるエネルギー(Engy.)とは
別個のものである)をもった多数の仮想生物を、ステッ
プS2で入力した生物組織画像上に分布するように発生
させる処理が行われる。もちろん、この仮想生物の発生
は、コンピュータ上のシミュレーションとして行われる
ものであり、実際には、図7に示すように、生物組織画
像が入力されたXY二次元座標系において、所定の座標
値(x,y)が定義され、この座標値に対応する位置に
1匹の仮想生物が存在するとの仮定の下で、以下の各処
理が行われることになる(図7では、個々の仮想生物の
位置を×印で示してある)。ここに示す実施形態では、
多数の仮想生物が、生物組織画像上にできるだけ一様に
分布して発生するように、乱数を用いて座標値(x,
y)をランダムに定義するようにしている。
【0033】続くステップS4において、ステップS3
で発生させた各仮想生物に遺伝子を定義し、更にステッ
プS5において、各仮想生物の発生位置の周辺画像に基
づいて、潜在パラメータの定義を行う。図8は、このよ
うにステップS3,S4,S5を経た段階において、個
々の仮想生物について定義されるデータを示す図であ
る。ここで、「位置座標」は、ステップS3の仮想生物
の発生段階において定義される座標値(x,y)であ
る。前述したように、個々の仮想生物は、生物組織画像
上のランダムな位置に発生させられるので、この「位置
座標」の値は、各仮想生物ごとにそれぞれランダムな値
が定義されることになる。後述するステップS6におい
て、各仮想生物は移動することになるが、「座標位置」
の値は現時点における仮想生物の位置を示すデータであ
るので、後に移動を行うことにより、この値は逐次変化
してゆくことになる。「エネルギー値」は、各仮想生物
の生存状態を示す値であり、ステップS3において仮想
生物が発生させられた段階において、各仮想生物に所定
の初期エネルギー値が定義される。この実施形態では、
各仮想生物の発生時に一律に1000なるエネルギー値
を与えている。したがって、図7に示すように、生物組
織画像上に発生した各仮想生物は、当初は一律に100
0なるエネルギー値をもっていることになる。後述する
ように、このエネルギー値は、移動によって消費する
が、移動後の環境によっては新たなエネルギーの摂取が
行われることもあり、徐々に変化してゆくことになる。
【0034】「遺伝子」は、ステップS1で定義された
H通りのパラメータの中から選択されたh通り(h≦
H)のパラメータの組み合わせを示すものであり、個々
の仮想生物が、どのようなパラメータに関連した環境に
敏感であるか、を示す指標というべきものである。ここ
に示す実施形態では、図6に示すような5通りのパラメ
ータ(H=5)が定義されている。「遺伝子」は、この
5通りのパラメータの中から、どのパラメータを選択し
て組み合わせるか、を示す指標である。5通りの対象物
から1つ以上の対象物を選択する組み合わせは、全部で
31種類存在するが、この実施形態では、3つ以上の対
象物を選択する組み合わせだけを「遺伝子」として定義
している。図9は、このようにして定義された遺伝子を
示す表である。全5通りのパラメータの中から選択され
た3通りのパラメータの組み合わせ(h/H=3/5)
が10種類、全5通りのパラメータの中から選択された
4通りのパラメータの組み合わせ(h/H=4/5)が
5種類、全5通りのパラメータの中から選択された5通
りのパラメータの組み合わせ(h/H=5/5)が1種
類、合計16種類の遺伝子が定義されており、各遺伝子
は4ビットのデータによって示されている。たとえば、
遺伝子「0000」は、平均(Ave.),分散(Va
r.),エネルギー(Engy.)なる3つのパラメー
タの組み合わせを示しており、遺伝子「1010」は、
平均(Ave.),分散(Var.),エネルギー(E
ngy.),エントロピー(Ent.)なる4つのパラ
メータの組み合わせを示している。
【0035】上述したように、本発明における遺伝子
は、個々の仮想生物が、どのようなパラメータに関連し
た環境に敏感であるか、を示す指標というべきものであ
る。たとえば、遺伝子「0000」をもった仮想生物
は、平均(Ave.),分散(Var.),エネルギー
(Engy.)なる3つのパラメータに関連した環境に
敏感であり、移動によって、これら3つのパラメータに
関連した環境が大きく変化しなければ、新たな環境に十
分に適合することができ、餌(エネルギー)を摂取する
ことができる。逆に、これら3つのパラメータに関連し
た環境が大きく変化すると、新たな環境に適合できず、
餌(エネルギー)の摂取ができなくなり、やがて死滅し
てしまう。別言すると、遺伝子「0000」をもった仮
想生物は、エントロピー(Ent.)およびコントラス
ト(Cont.)なるパラメータに関連した環境には無
関心であり、移動によって、この2つのパラメータが変
化したとしても、エネルギーの消費や摂取には、何ら影
響が及ぶことはない。
【0036】結局、ステップS4では、ステップS3で
発生させた個々の仮想生物に、図9に示す16通りの遺
伝子のうちのいずれか1つを与える処理が行われる。本
実施形態では、乱数を用いて全くランダムに遺伝子を決
定し、各仮想生物に与えるようにしている。したがっ
て、各仮想生物には、1/16の確率で、図9に示す遺
伝子「0000」〜「1111」のいずれかが与えられ
ることになる。
【0037】各仮想生物に対して、ステップS5で定義
される潜在パラメータ値は、各仮想生物の発生位置の周
辺画像についてのH通り(この例では5通り)のパラメ
ータの値であり、いわば個々の仮想生物の生まれた環境
を示す値ということになる。具体的には、個々の仮想生
物について、その発生位置の周辺画像(たとえば、図5
の下段に示すように、発生位置を中心とした5×5画素
からなる画像)の平均(Ave.),分散(Va
r.),エネルギー(Engy.),エントロピー(E
nt.),コントラスト(Cont.)の計算値が、当
該仮想生物の潜在パラメータ値となる。ここでは、この
潜在パラメータ値を、Qa,Qv,Qn,Qe,Qcと
表すことにする。もっとも、ここで述べる実施形態の場
合、各仮想生物のすべてについて、この5通りのパラメ
ータ値Qa,Qv,Qn,Qe,Qcを求める必要はな
く、少なくとも遺伝子によって示されているh通りのパ
ラメータ値を潜在パラメータ値として求めれば十分であ
る。たとえば、遺伝子「0000」が与えられた仮想生
物については、平均(Ave.),分散(Var.),
エネルギー(Engy.)なる3つのパラメータ値し
か、生存に影響を与えることがないので、3通りのパラ
メータ値Qa,Qv,Qnのみを潜在パラメータ値とし
て求めておけば十分である。ただ、後述するように、
「遺伝子の突然変異」という要素を考慮に入れた取り扱
いを行う場合には、後に遺伝子が変更される場合がある
ので、すべての仮想生物について、5種類すべてのパラ
メータ値を潜在パラメータ値として求めておくようにす
る。
【0038】こうして、図4のステップS3,S4,S
5の各段階を経ることによって、図8に示すように、個
々の仮想生物について、それぞれ、「位置座標」、「エ
ネルギー値」、「遺伝子」、「潜在パラメータ値」が定
義されることになる。続くステップS6,S7,S8の
処理は、これら各仮想生物について実行される処理であ
り、しかも、ステップS9を経て、何回か繰り返される
処理である。
【0039】まず、ステップS6の処理は、その時点で
生存している全仮想生物を、それぞれ生物組織画像上で
移動させ、この移動により消費する消費エネルギー値を
決定する処理である。仮想生物の移動方法として、この
実施形態では、乱数に基づいたランダムな移動方法を採
っている。具体的には、図10に示すように、移動対象
として着目する仮想生物を中心として、7×7=49画
素の領域を移動範囲として捉え、これら49画素のうち
のいずれか1つの画素を移動先としてランダムに決定す
る方法を採っている。ただし、移動先となる画素は、現
在位置の画素(図の黒丸の画素)および他の仮想生物が
存在する画素(図の白抜き三角の画素)を避けるように
する。もっとも、他のすべての画素が他の仮想生物によ
って占有されているような場合には、現在位置の画素を
移動先の画素とする(実質的な移動は行われなかったこ
とになる)。また、本実施形態の場合、どのような移動
を行った場合であっても(全く移動しなかった場合で
も)、一律に、移動による消費エネルギー値を300と
するようにしている。移動後の仮想生物の新たな位置
は、図8に示す「位置座標」のデータを更新することに
より記録されることになる。
【0040】なお、本実施形態では、すべての仮想生物
を全くランダムに移動させているが、各仮想生物に予め
固有の移動習性をそれぞれ定義しておき、この移動習性
に従って移動処理を行うようにすることもできる。たと
えば、各仮想生物に前後左右の向きを定義しておき、な
るべく直進する習性をもった仮想生物や、右回転を行う
習性をもった仮想生物など、その仮想生物の移動習性に
応じて移動先となる画素を決定するようにしてもよい。
また、図10に示す例では、移動先を7×7=49画素
の範囲内に限定しているが、移動先の範囲設定は任意に
行うことができる。もっとも、1回の移動により極端に
遠くの画素へ移ることがあると、著しい環境変化により
仮想生物が死滅する確率が高くなり、すべての仮想生物
が絶滅してしまうおそれがあるので、移動距離はあまり
大きくならないように設定するのが好ましい。
【0041】次のステップS7の処理は、仮想生物の移
動後の環境が、当該仮想生物にとって、生存に適した環
境であるか否かを判断する処理である。上述したよう
に、各仮想生物には、自分が生まれた地点の環境とし
て、潜在パラメータ値が定義されている。ステップS7
では、移動後の環境を示す現環境パラメータ値と潜在パ
ラメータ値とを比較し、両者の類似性に基づいて、当該
仮想生物が摂取すべき摂取エネルギー値を定める処理が
行われる。ただし、各仮想生物は遺伝子を有しており、
この遺伝子によって示されているパラメータのみが比較
されることになる。すなわち、仮想生物の移動後の周辺
画像について、当該仮想生物の遺伝子によって示されて
いるh通りのパラメータの値を現環境パラメータとして
求め(移動後の位置に相当する画素を中心画素として、
たとえば、図5の下段に示すように25個の画素を抽出
し、これらの画素について必要なh通りのパラメータ値
を求めればよい)、h通りの潜在パラメータ値とh通り
の現環境パラメータ値との類似性に基づいて、当該仮想
生物が摂取すべき摂取エネルギー値が定められる。
【0042】たとえば、遺伝子「0000」が与えられ
ている仮想生物の場合、遺伝子によって示されているh
通りのパラメータ値とは、図9に示すように、平均(A
ve.),分散(Var.),エネルギー(Eng
y.)なる3通りのパラメータ値(h=3)ということ
になるので、この3通りのパラメータ値についてのみ比
較を行えば足りる。いま、この仮想生物についての潜在
パラメータ値がQa(平均),Qv(分散),Qn(エ
ネルギー)であり、移動後の周辺画像について計算され
た現環境パラメータ値がQQa(平均),QQv(分
散),QQn(エネルギー)であったとすると、Qaと
QQa、QvとQQv、QnとQQnとを相互に比較す
ればよい。
【0043】要するに、潜在パラメータ値となりうる5
つのパラメータ値をQa,Qv,Qn,Qe,Qcと標
記し、現環境パラメータ値となりうる5つのパラメータ
値をQQa,QQv,QQn,QQe,QQcと標記す
ることにすると、図11に示すように、全5通りのパラ
メータの中から、遺伝子に基づいて選択されたh通りの
パラメータについてのみ、潜在パラメータ値と現環境パ
ラメータ値との類似性が判断されることになる。各パラ
メータ値は何らかの数値として表現されているため、そ
の類似性はパラメータ値の近似性に基づいて決定するこ
とができる。パラメータ値の近似性は、両者の差に基づ
いて決定することもできるし、両者の比に基づいて決定
することもできる。すなわち、両者の差あるいは比が小
さければ小さいほど近似性は高いと判断できる。
【0044】ステップS7の目的は、こうして求めた類
似性に基づいて、当該仮想生物が摂取すべき摂取エネル
ギー値を定めることである。考慮すべきパラメータ値に
ついての類似性の評価は、たとえば、非常に類似、かな
り類似、やや類似、わずかに類似、非類似、といったよ
うな段階評価により行うことができ、このような段階評
価を行った場合には、より類似の程度が大きい場合に、
より大きな摂取エネルギー値を定めることができる。た
だし、この摂取エネルギーの決定処理は、個々の仮想生
物ごとに別個に行う必要があり、しかも個々の仮想生物
が移動するたびに行う必要がある。このため、多数の仮
想生物を多数回移動させてシミュレーションを行う場
合、類似度の演算に複雑な計算を必要とすると、全体の
演算負担は膨大なものになってしまう。特に、§3で述
べるように、組織画像がカラー画像であった場合、その
演算負担はかなり重いものとなる。
【0045】そこで、本実施形態では、次のような単純
な方法で、「類似する」か「類似しない」かの2通りの
類似性のみを定義し、「類似する」と判断された場合に
は、摂取エネルギー値を1200とし、「類似しない」
と判断された場合には、摂取エネルギー値を0とした。
2通りの類似性のいずれであるかは、遺伝子によって定
まるh通りのパラメータ値のそれぞれについて、「近似
する」か「近似しない」かの2通りの近似性を定義し
(たとえば、パラメータ値の差が所定値以内の場合に限
り「近似する」とすればよい)、h通りのパラメータ値
のすべてについて「近似する」と判断された場合にの
み、潜在パラメータ値と現環境パラメータ値とが「類似
する」と判断して摂取エネルギー値を1200とし、h
通りのパラメータ値のうちの1つでも「近似しない」と
判断された場合は、潜在パラメータ値と現環境パラメー
タ値とが「類似しない」と判断して摂取エネルギー値を
0とする取り扱いを行うようにしている。
【0046】たとえば、遺伝子「0000」をもった仮
想生物の場合、図11に示すパラメータ値のうち、Qa
とQQa、QvとQQv、QnとQQnの3つの比較結
果がいずれも「近似する」と判断されれば、摂取エネル
ギー値は1200となるが、1つでも「近似しない」と
判断された場合には、摂取エネルギー値は0とする。
【0047】さて、ステップS8では、個々の仮想生物
ごとに、エネルギーの増減による死滅もしくは増殖の処
理が行われる。すなわち、ステップS6において消費エ
ネルギーが決定され、ステップS7において摂取エネル
ギーが決定されているので、当該仮想生物のもつエネル
ギー値に対して、消費エネルギー値を減じ、摂取エネル
ギー値を加えることにより、エネルギー値の更新を行う
ことになる。本実施形態の場合、移動の有無や形態にか
かわらず、消費エネルギーは一律300としており、遺
伝子によって示されるパラメータの類似性に基づいて、
1200または0のいずれかの摂取エネルギーが与えら
れることにしているので、結局、ステップS7におい
て、潜在パラメータと現環境パラメータとが「類似す
る」との判断(別言すれば、遺伝子の示すパラメータに
関して、現環境が生まれた環境に類似するという判断)
が得られれば、差し引き900のエネルギー値が加えら
れることになり、「類似しない」と判断されれば、30
0のエネルギー値が減じられることになる。
【0048】このようなステップS6,S7,S8の処
理は、ステップS9における終了条件(たとえば、所定
の繰り返し回数を越えたか否か)が満足されるまで、繰
り返し実行されることになる。その結果、個々の仮想生
物は、生物組織画像上を動き回り、その都度、エネルギ
ー値を更新させてゆく。そこで、ステップS8では、こ
の更新後のエネルギー値が所定の下限値に達した場合に
は当該仮想生物が死滅したものとして除去し、更新後の
エネルギー値が所定の上限値に達した場合には当該仮想
生物が増殖したものとして同一の遺伝子を有する複数の
新たな仮想生物を発生させる処理を行うことにする。具
体的には、更新後のエネルギー値が下限値0に達した仮
想生物は、死滅したものとして除去し、更新後のエネル
ギー値が上限値2000に達した仮想生物は、増殖した
ものとして、同一の遺伝子を有する2匹の新たな仮想生
物(初期エネルギー値は1000)に置換させる、とい
う処理を行っている。
【0049】続いて、このステップS8で行われる仮想
生物の死滅/増殖処理に関する具体的な実施形態を述べ
よう。既に述べたように、仮想生物の死滅/増殖処理を
行うか否かは、その時点で仮想生物に残存しているエネ
ルギー値に基づいて決定される。すなわち、移動による
消費エネルギーを減じ、パラメータの類似性に基づいて
与えられる摂取エネルギーを加えることにより更新され
たエネルギー値が、所定の下限値(たとえば、0)に達
した場合には死滅したものとし、所定の上限値(たとえ
ば、2000)に達した場合には増殖したものとしてい
る。このように、更新後のエネルギー値のみに基づいて
死滅/増殖処理を行うようにした場合、エネルギー値が
上限値と下限値との間を揺れ動いている限りは、死滅も
せず、増殖もせず、という中途半端な状態となる。もち
ろん、そのような中途半端な状態を維持する仮想生物
も、やがては死滅か増殖かのいずれかの状態に落ち着く
ことになるものと予想されるが、実用上は、ある程度の
移動回数を重ねても中途半端な状態のままであるような
仮想生物は積極的に除去するようにした方が、安定した
結果をより早く得ることができるようになる。
【0050】このような観点から、実際には、エネルギ
ー値に基づく死滅の他に、移動回数に基づく死滅という
概念を採り入れるのが好ましい。具体的には、個々の仮
想生物に年齢を定義するようにし、図4のステップS9
を経由するたびに(別言すれば、ステップS6〜S8の
手順を繰り返すたびに)、個々の仮想生物の年齢を増加
させ、年齢が所定の寿命に達した仮想生物については死
滅したものとして除去するような処理を付加すればよ
い。たとえば、発生時の仮想生物の年齢を0才とし、ス
テップS9を経由するたびに1才の加齢を行うように
し、ステップS8では、年齢が所定の寿命(たとえば、
80才)になった仮想生物については、死滅したものと
して除去するようにすればよい。このように寿命の概念
を採り入れると、各仮想生物は、エネルギー値が下限値
に達したために死滅(いわゆる餓死)する場合と、年齢
が寿命に達したために死滅(いわゆる老死)する場合と
があることになり、上述したように、中途半端の状態の
まま長期間生存しつづけることはなくなる。
【0051】次に、具体的な増殖処理について述べる。
増殖処理は、更新後のエネルギー値が所定の上限値(こ
の例では2000)に達した仮想生物の個体数を増加さ
せる目的の処理であり、当該仮想生物と同一の遺伝子を
有する新たな仮想生物を近傍に発生できれば、どのよう
な方法を用いてもかまわない。本実施形態では、次のよ
うな方法により、この増殖処理を行っている。すなわ
ち、仮想生物を増殖させる際に、増殖対象となる親の仮
想生物を除去し、その近傍に複数の新たな子の仮想生物
を発生させるようにし、子の仮想生物には、所定の初期
エネルギー値を与えるとともに、親の仮想生物がもって
いた遺伝子と同一の遺伝子を与えるようにしている。
【0052】たとえば、図12に示すように、黒丸で示
す第i代目の仮想生物G(i)が増殖対象となる親の仮
想生物となった場合を考える(上述の例の場合、この仮
想生物G(i)の更新後のエネルギー値が2000に到
達したことになる)。この場合、親となる仮想生物G
(i)が2つに分裂して増殖したものとし、親である仮
想生物G(i)を除去し、白丸で示す子となる第(i+
1)代目の仮想生物G(i+1)aとG(i+1)bと
を発生させることにする。このとき、子となる各仮想生
物G(i+1)a,G(i+1)bには、それぞれ初期
エネルギー値1000を与えることにする(あるいは、
親である仮想生物G(i)が有していたエネルギー値が
2000を越えていた場合には、その1/2の値をそれ
ぞれ子の初期エネルギー値とするようにしてもよい)。
また、子となる各仮想生物G(i+1)a,G(i+
1)bには、それぞれ親である仮想生物G(i)が有し
ていた遺伝子をそのまま与えるようにする。
【0053】このように、親の遺伝子をそのまま受け継
いだ2匹の子が生成されることになるが、この2匹の子
の生成位置は、親の近傍のいずれかの画素上にランダム
に決定すればよい。ただし、既に他の仮想生物(三角で
示す)が存在する画素は避けるようにする。図12に示
す例では、親の存在する画素を中心として7×7画素の
近傍領域を定義し、この近傍領域内のいずれかの画素上
(ただし、他の仮想生物が存在しない画素上)に、子が
生成されるようにしている。なお、ここでは、1匹の親
を2匹の子に分裂させる例を示したが、もちろん3匹以
上の子に分裂させるようにしてもよい。また、上述の例
では、増殖後に親を除去してしまっているが、もちろ
ん、親をそのまま残した状態で(この場合は、たとえ
ば、エネルギー値を初期値に戻すなどの処理が必要にな
ろう)、新たに子を発生させ、親と子が共存するような
形での増殖も可能である。
【0054】以上述べてきたような増殖処理を行うと、
子は親のもつ遺伝子をそのまま受け継いでいるため、一
般的には、その生成位置近傍の環境は自己に適合した好
環境となっている。したがって、生物組織画像のある特
定の部分には、その環境に適合した遺伝子をもつ仮想生
物が益々繁殖する傾向が現れる。ただし、ある特定の遺
伝子をもつ仮想生物の子孫が、必ず親と同一の遺伝子を
もち続けるようにすると、遺伝子に多様性がなくなり、
すべての子孫が絶滅してしまうケースも起こり得る。そ
こで、実際には、遺伝子を親から子へ伝える際には、親
の仮想生物がもっていた遺伝子に所定の確率で突然変異
を生じさせるようにするのが好ましい。たとえば、突然
変異の確率を10%に設定した場合、遺伝子を子に遺伝
させるときに、10回のうちの9回まではそのまま遺伝
させるが、10回のうちの1回は、遺伝子をランダムに
変更してから遺伝させるようにすることになる。
【0055】なお、子として発生した仮想生物のもつ潜
在パラメータ値は、親のもつ潜在パラメータ値をそのま
ま引き継ぐように設定してもよいし、子として発生した
時点で、当該発生地点の周辺画像についてのパラメータ
値を求め、これを当該子の潜在パラメータ値と定義する
ようにしてもよい。
【0056】また、これまで述べてきた実施形態では、
各仮想生物のもつ潜在パラメータ値は、当該仮想生物の
発生時に定義された値のまま不変とする取り扱いを行っ
てきたが、実用上は、発生時に定義された値(発生位置
の周辺画像について求めたパラメータ値)を初期値と
し、移動後に求めた現環境パラメータと潜在パラメータ
値とにある程度の類似性が得られた場合には(具体的に
は、上述の例の場合、摂取エネルギー値1200が得ら
れた場合には)、潜在パラメータの値を現環境パラメー
タに近付けるような更新処理を行うようにするのが好ま
しい。このような更新処理は、たとえば、図4に示す流
れ図におけるステップS8の処理とともに行うようにす
ればよい。このように、各仮想生物のもつ潜在パラメー
タ値に対する更新処理を、毎移動時に行えば、潜在パラ
メータ値が環境に応じて徐々に変遷してゆくことにな
り、各仮想生物の生存確率をより高めることができる。
別言すれば、各仮想生物は、種々の場所をわたり歩くう
ちに環境適応性を身につけてゆき、当初は、生まれた地
点の環境が自己にとって最適な環境であったのに、次第
に自己にとって最適な環境(潜在パラメータ値)が変遷
してゆくことになる。
【0057】たとえば、遺伝子「0000」をもった仮
想生物の潜在パラメータ値が、Qa,Qv,Qnであ
り、この仮想生物が移動した地点の現環境パラメータ値
が、QQa,QQv,QQnであったとしよう。この場
合、ステップS7において、両パラメータ値の類似性が
判断され、両者が類似すると判断された場合には、摂取
エネルギー値1200が与えられ、非類似と判断された
場合には、摂取エネルギー値は0となる。ここで、両者
が非類似の場合には、当該仮想生物の潜在パラメータ値
は、依然として、Qa,Qv,Qnのままとする。とこ
ろが、両者が類似する場合には、当該仮想生物の潜在パ
ラメータ値Qa,Qv,Qnを、それぞれ現環境パラメ
ータ値QQa,QQv,QQnに近付けるような更新処
理を行う。具体的には、両者の平均値をとり、(Qa+
QQa)/2,(Qv+QQv)/2,(Qn+QQ
n)/2を、新たな潜在パラメータ値とするような更新
処理を行えばよい。
【0058】さて、こうして、ステップS6〜S8の処
理を所定の終了条件(たとえば、所定の回数)が満たさ
れるまで繰り返し実行すると、ある特定の遺伝子をもっ
た仮想生物は絶滅し、別な特定の遺伝子をもった仮想生
物は繁栄することになる。そこで、ステップS10にお
いて、生物組織画像上に最終的に生存している仮想生物
についての遺伝子のヒストグラムを作成する。図13
に、このようなヒストグラムの一例を示す。横軸には、
16種類の遺伝子が示されており、縦軸には、各遺伝子
の頻度(各遺伝子をもった仮想生物の最終的な数)が示
されている。特定の遺伝子の頻度が零になっている(棒
グラフが存在しない)のは、当該遺伝子をもった仮想生
物が絶滅してしまったことを示している。このヒストグ
ラムは、ステップS2で入力した生物組織画像の特徴に
対して定量的な評価を与える材料になる。
【0059】もちろん、個々の遺伝子が、生物組織画像
のどのような特徴を示しているのか、ということは、一
概に論じることはできない。しかしながら、たとえば、
図13のヒストグラムによれば、この生物組織画像上に
は、遺伝子「0111」をもった仮想生物が多数生存し
ていることが示されており、これは、分散(Va
r.)、エネルギー(Engy.)、コントラスト(C
ont.)なる3つのパラメータ(図9参照)を総合的
に考慮したときに類似性をもつ一定の面積をもった領域
が当該生物組織画像上に存在することを示している。ま
た、この生物組織画像上では、遺伝子「1111」をも
った仮想生物は絶滅してしまっていることが示されてい
るが、これは5種類のパラメータすべてを総合的に考慮
したときに類似性をもつ一定の面積をもった領域は、当
該生物組織画像上には存在しないことを示している。
【0060】いずれにせよ、1枚の生物組織画像に対し
て、図13に示すような1つのヒストグラムが得られる
ことになり、このヒストグラムは、当該生物組織画像を
定量的に評価する材料として機能することになる。した
がって、臨床的に得られた多数の生物組織画像に対し
て、それぞれヒストグラムを求め、それぞれ症例などを
添付してデータベースとして蓄積するようにすれば、こ
のデータベースは生物組織画像に基づく診断を行う上
で、貴重な情報を提供してくれることになる。たとえ
ば、特定の検体から得られた生物組織画像について、本
発明によりヒストグラムを求め、このヒストグラムに類
似するヒストグラムをデータベースから検索すれば、過
去の類似症例を探し出すことができる。
【0061】§3.組織画像がカラー画像である場合の
実施形態 上述した§2では、組織画像がモノクロ画像であった場
合の例を示したが、実際には、カラーの組織画像を用い
た方が、より精度の高い結果が得られる。そこで、ここ
では、カラー組織画像を用いた場合の各パラメータの取
り扱い方法を簡単に述べておく。
【0062】この場合、図4のステップS2で入力する
生物組織画像が、カラー画像ということになる。通常、
コンピュータ上でのカラー画像は、三原色の各色成分ご
との濃度値データとして取り扱われる。そこで、各組織
画像のテクスチャーの特徴を示すパラメータとしては、
所定の参照領域内の各画素の三原色の各色成分(ここで
は、赤R,緑G,青Bの三原色を用いることにする)ご
との濃度値に関するパラメータを用いるようにすればよ
い。たとえば、5×5の画素からなる参照領域を構成す
る各画素には、図14に示すように、三原色の各色成分
ごとに濃度値が定義される。ここで、Qr(i),Qg
(i),Qb(i)は、それぞれ第i番目の画素の赤色
成分の濃度値,緑色成分の濃度値,青色成分の濃度値を
示している。そこで、これら各色成分ごとにそれぞれ別
個独立して、図6に示す5種類のパラメータを求めるよ
うにすればよい。
【0063】このように、生物組織画像としてカラー画
像を用いると、潜在パラメータ値も、現環境パラメータ
値も、それぞれカラー画像に関するパラメータ値となる
ため、両者の類似性の判断を行う上では、図15の表に
示すように、それぞれ各色ごとのパラメータ値について
の比較を行う必要がある。たとえば、平均(Ave.)
なるパラメータに関しては、潜在パラメータ値として、
赤色成分に関するパラメータ値Qra,緑色成分に関す
るパラメータ値Qga,青色成分に関するパラメータ値
Qbaが求まり、同様に、現環境パラメータ値として、
赤色成分に関するパラメータ値QQra,緑色成分に関
するパラメータ値QQga,青色成分に関するパラメー
タ値QQbaが求まることになる。
【0064】こうして求まった3つの色成分ごとのパラ
メータ値に関する類似性を判断するために、本実施形態
では、各色成分ごとのパラメータ値に基づいて定義され
る三次元ベクトルの角度差を用いるようにしている。た
とえば、平均(Ave.)なるパラメータ値についての
比較を行う場合、まず、潜在パラメータ値となる三原色
パラメータ値Qra,Qga,Qbaに基づいて、図1
6(a) に示すような三次元ベクトルV(Ave.)を定
義する。この三次元ベクトルV(Ave.)は、三原色
R,G,Bの濃度値をそれぞれ座標軸として示したRG
B三次元座標系上に定義されるベクトルであり、原点O
と点Q(Ave.)とを結ぶベクトルである。ここで、
点Q(Ave.)は、座標値(Qra,Qga,Qb
a)で表される位置の点である。同様に、現環境パラメ
ータ値となる三原色パラメータ値QQra,QQga,
QQbaに基づいて、図16(b) に示すような三次元ベ
クトルVV(Ave.)を定義する。この三次元ベクト
ルVV(Ave.)も、三原色R,G,Bの濃度値をそ
れぞれ座標軸として示したRGB三次元座標系上に定義
されるベクトルであり、原点Oと点QQ(Ave.)と
を結ぶベクトルである。ここで、点QQ(Ave.)
は、座標値(QQra,QQga,QQba)で表され
る位置の点である。
【0065】このようにして、平均(Ave.)なるパ
ラメータについて、2つのベクトルV(Ave.)およ
びVV(Ave.)が定義できたら、これら両ベクトル
の三次元空間上での角度差θ(Ave.)を求めれば、
この角度差θ(Ave.)は、3つの色成分を考慮した
類似性を示す値となる(角度差が小さければ小さいほ
ど、類似性が高いことになる)。同様に、分散(Va
r.),エネルギー(Engy.),エントロピー(E
nt.),コントラスト(Cont.)についても、そ
れぞれ三次元ベクトルを定義し、角度差θ(Va
r.),角度差θ(Engy.),角度差θ(En
t.),角度差θ(Cont.)を求めるようにする。
図17は、このようにして、5種類のパラメータについ
てそれぞれ角度差を求めた例を示している。
【0066】潜在パラメータ値と現環境パラメータ値と
の類似性は、これら5通りの角度差のうち、遺伝子によ
って示されるh通りの角度差に基づいて決定すればよ
い。前述したように、類似性を定量的に評価し、その定
量値に応じて摂取エネルギーの値を決定することも可能
であるが、ここで示す実施形態の場合は、演算負担を軽
減するため、類似性の評価として、「類似する」か「類
似しない」かの2通りのみを用意し、「類似する」場合
には摂取エネルギー値を1200とし、「類似しない」
場合には摂取エネルギー値を0としている。このように
2通りの評価をするために、本実施形態では、次のよう
な取り扱いをしている。まず、角度差θのしきい値とし
て5°という値を定め、角度差θが5°未満である場合
には、当該パラメータは「近似する」と判断し、角度差
θが5°以上である場合には、当該パラメータは「近似
しない」と判断する。このような判断を、遺伝子が示す
h通りのパラメータについてそれぞれ行い、すべてにつ
いて「近似する」と判断された場合には、当該潜在パラ
メータ値と現環境パラメータ値とは「類似する」との判
断を行うようにすればよい。
【0067】§4.仮想生物を細胞核領域内に集合させ
る手法 これまで述べた実施形態では、図7に示すように、生物
組織画像の全領域に分散するように仮想生物を生成し、
これら仮想生物を自由に移動させてシミュレーションを
行い、最終的に、この生物組織画像上に生き残った仮想
生物の遺伝子のヒストグラムを作成した。こうして得ら
れたヒストグラムは、基本的には、与えられた生物組織
画像の全領域のテクスチャー特性を示すものになる。し
かしながら、図1(a) ,(b) に示す乳腺組織画像の例の
ように、一般的な生物組織には細胞核領域が存在し、正
常な組織であるか、癌化した組織であるかの差は、この
細胞核領域のテクスチャー特性に顕著に現れる。したが
って、生物組織内の腫瘍が、良性のものか悪性のものか
を診断するような場合、細胞核領域の内部についてのテ
クスチャー特性の情報が得られることが好ましい。
【0068】細胞核領域内の情報のみをヒストグラムと
して得るには、ヒストグラムを作成する最終段階(図4
のステップS10)において、図18(a) ,(b) に示す
ように、仮想生物(図に×印で示す位置に存在する)が
細胞核領域内に集合した状態になっていればよい。この
図18(a) ,(b) に示すような仮想生物分布に基づいて
作成されたヒストグラムは、図19(a) ,(b) にハッチ
ングを施した細胞核領域に関するテクスチャー特性の情
報を示していることになる。
【0069】本願発明者は、細胞核領域とそれ以外の領
域とには明度差があり、この明度差を利用すれば、図4
のステップS3における発生時には、図7に示すよう
に、生物組織画像の全領域に仮想生物が分散していたと
しても、シミュレーションの最後の段階、すなわち、図
4のステップS10におけるヒストグラム作成時には、
図18(a) に示すように、生物組織画像の細胞核領域内
にのみ仮想生物が分布している状態にすることができる
ことに気が付いた。すなわち、各領域の明度に着目する
と、細胞核領域の明度値は、その他の領域の明度値に比
べると小さい傾向にある。換言すれば、細胞核領域は、
他の領域に比べて一般に暗い領域になっている。そこ
で、各仮想生物の移動後の周辺画像について明度値を求
め、この明度値が大きい順に一定割合の仮想生物に対し
ては、当該仮想生物のもつエネルギー値もしくは当該仮
想生物が摂取するエネルギー値を減じる処理を行うよう
にすれば、明度値の大きい領域に移動した仮想生物は死
滅する確率が高まり、結果的に、明度値の小さい領域
(すなわち細胞核領域)に、生存した仮想生物が集まる
ようになる。ここに示す実施形態では、明度値が大きい
順に一定割合の仮想生物に対しては、当該仮想生物が死
滅するのに十分な程度に、エネルギー値を減じる処理を
行い、細胞核領域外の仮想生物を間引き処理している。
これにより、図4のステップS6〜S8の処理を1回行
うごとに、一定割合の仮想生物が必ず死滅することにな
る。
【0070】具体的には、次のような方法を採ればよ
い。まず、ステップS8に示す死滅もしくは増殖処理を
行う際に、各仮想生物の存在位置周辺における生物組織
画像の明度値を求める。明度値は、各画素の濃度値に基
づいて計算することができる。そして、図20の表に示
すように、各明度値の大きい順に全仮想生物をソート
し、上位の一定割合に該当する仮想生物については、直
ちにエネルギー値を0にまで減じる処理を行い、死滅さ
せるようにする。たとえば、全仮想生物の数をKとし
て、50%の割合に該当する仮想生物に対してエネルギ
ー値を減らす処理を行うように決めてあった場合、図2
0の表に基づいて、明度値の大きさが最大の仮想生物か
ら、第(K/2)番目の仮想生物に至るまで、合計(K
/2)匹の仮想生物に対して、エネルギーを減らす処理
を行い、死滅させるようにする。
【0071】このように、1回の移動ごとに、明度値の
上位50%の仮想生物を死滅させるようにすると、細胞
核領域以外の領域へ移動した仮想生物の多くは死滅する
ことになり、数回の移動を繰り返すうちに、すべての仮
想生物が細胞核領域内に分布した状態になる。通常、こ
の明度値に基づく間引き処理は、シミュレーション開始
後、数回だけ行えば十分である。仮想生物が細胞核領域
内に分布した状態になった後にも、このような明度値に
基づく間引き処理を行うと、本来、最後まで生存させる
べき仮想生物を死滅させてしまう結果となり好ましくな
い。ただ、明度値に基づく間引き処理をやめてしまう
と、折角、細胞核領域内に集まった仮想生物が、移動に
より、細胞核領域の境界を越えて外部の領域へと分散し
てしまうおそれがある。そこで、実際には、領域の境界
付近の仮想生物の生存確率を低くする処理を組み合わせ
るようにし、仮想生物が境界を越えて細胞核領域の外部
へと流出する現象を抑制するようにするのが好ましい。
【0072】具体的には、各仮想生物の存在位置を中心
とした近傍参照領域と、この近傍参照領域を含みその境
界を更に遠方まで広げた遠方参照領域とを定義し、近傍
参照領域内のテクスチャーの特徴を示す近傍パラメータ
値と、遠方参照領域内のテクスチャーの特徴を示す遠方
パラメータ値と、の類似性が低い場合には、当該仮想生
物のもつエネルギー値もしくは当該仮想生物が摂取する
エネルギー値を減じる処理を更に付加すればよい。
【0073】たとえば、図21に示す例では、黒丸で示
した仮想生物が存在する画素を中心として、5×5画素
の領域からなる近傍参照領域A1と、7×7画素の領域
からなる遠方参照領域A2とが定義されている。そこ
で、近傍参照領域A1内のテクスチャーの特徴を示す近
傍パラメータ値と、遠方参照領域A2内のテクスチャー
の特徴を示す遠方パラメータ値とを求める。これは各領
域内の画素の有する濃度値を用いて、図6に示すような
パラメータ値を計算すればよい。そして、近傍パラメー
タ値と遠方パラメータ値との類似性が低い場合には、当
該仮想生物のエネルギーを減らす処理を行う。
【0074】図21に示す例では、第2行目の画素と第
3行目の画素との間に画像としての境界が存在するた
め、図示の仮想生物は境界付近に存在することになる。
このように、境界付近に存在する仮想生物では、上述し
た方法で求めた近傍パラメータ値と遠方パラメータ値と
の間の類似性が低下することになる。たとえば、図21
の例では、遠方パラメータ値の計算には、上2行に位置
する画素の濃度値が影響を与えることになるため、近傍
パラメータ値の計算結果とはかなり異なる値が得られる
ことになる。このように、近傍パラメータ値と遠方パラ
メータ値との間の類似性が低い場合には、この仮想生物
は境界付近に存在するものと判断し、上述したように、
生存確率を低下させる処理を行うようにすればよい。
【0075】以上、本発明に係る画像処理を用いた生物
組織評価方法をいくつかの実施形態に基づいて説明して
きたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるもので
はなく、この他にも種々の形態で実施可能である。ま
た、これまで述べてきたいくつかの実施形態を任意の組
み合わせで実行してもかまわない。なお、本発明に係る
画像処理を用いた生物組織評価方法は、コンピュータを
用いた処理を前提としたものであり、図4の流れ図に示
す手順は、コンピュータによって実行されることにな
る。したがって、これらの各手順をコンピュータに実行
させるためには、所定のプログラムを用意することにな
るが、このプログラムは、磁気ディスクや光ディスクな
ど、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録して配付
することも可能であり、また、ネットワークを介して転
送することも可能である。
【0076】
【発明の効果】以上のとおり本発明に係る評価方法によ
れば、生物組織の二次元画像に対して、コンピュータを
利用した画像処理を施すことにより、特徴を定量的に評
価することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】動物の正常な乳腺組織および癌化した乳腺組織
の画像の一例を示す図である。
【図2】本発明を用いることにより作成されたヒストグ
ラムの一例を示す図である。
【図3】仮想生物を用いたシミュレーションにより生物
組織の評価を行う本発明の基本概念を説明するモデル図
である。
【図4】本発明に係る画像処理を用いた生物組織評価方
法の基本的な手順を示す流れ図である。
【図5】一般的な生物組織画像を構成する画素を示す図
である。
【図6】図4の流れ図のステップS1において定義され
るパラメータ値の一例を示す図である。
【図7】図4の流れ図のステップS2において入力され
た生物組織画像上に、ステップS3において多数の仮想
生物を発生させた状態を示す図である。
【図8】本発明で用いられる個々の仮想生物について定
義されるデータを示す図である。
【図9】本発明で用いられる仮想生物に与えられる遺伝
子の一例を示す図表である。
【図10】図4の流れ図のステップS6における移動処
理を示す図である。
【図11】図4の流れ図のステップS7における移動後
の環境評価処理を示す図表である。
【図12】図4の流れ図のステップS8における仮想生
物の増殖処理を示す図である。
【図13】図9に示す遺伝子を用いて最終的に得られた
ヒストグラムの一例を示す図である。
【図14】生物組織画像上の1点近傍に定義された参照
領域内のカラー画素構成を示す図である。
【図15】三原色の各色成分ごとの5つのパラメータに
ついての潜在パラメータ値と現環境パラメータ値とを比
較して示した図表である。
【図16】三原色の各色成分ごとのパラメータについて
の潜在パラメータ値と現環境パラメータ値との類似性判
断を行う手法の一例を示す図である。
【図17】三原色の各色成分ごとの5つのパラメータに
ついての潜在パラメータ値と現環境パラメータ値との類
似性判断を行う手法の一例を示す図である。
【図18】最終的に、細胞核領域内にのみ仮想生物を集
めた状態を示す図である。
【図19】図18に示す仮想生物から情報が得られる細
胞核領域を示す図である。
【図20】移動後の周辺画像の明度値が大きい仮想生物
へのエネルギーを減らす手法の一例を示す図である。
【図21】領域の境界近傍に位置する仮想生物を認識す
る手順を説明する図である。
【符号の説明】
A1…近傍参照領域 A2…遠方参照領域 Ave.…テクスチャを構成する画素値の平均を示すパ
ラメータ Cont.…テクスチャを構成する画素値のコントラス
トを示すパラメータ Engy.…テクスチャを構成する画素値のエネルギー
を示すパラメータ Ent.…テクスチャを構成する画素値のエントロピー
を示すパラメータ G(i)…第i世代の仮想生物 G(i+1)a,G(i+1)b…第(i+1)世代の
仮想生物 Var.…テクスチャを構成する画素値の分散を示すパ
ラメータ Q(Ave.),QQ(Ave.)…ベクトルの先端点 Q(Cont.),QQ(Cont.)…ベクトルの先
端点 Q(Engy.),QQ(Engy.)…ベクトルの先
端点 Q(Ent.),QQ(Ent.)…ベクトルの先端点 Q(Var.),QQ(Var.)…ベクトルの先端点 Q(1)〜Q(25):各画素の濃度値 Qb(1)〜Qb(25):各画素の青色成分の濃度値 Qg(1)〜Qg(25):各画素の緑色成分の濃度値 Qr(1)〜Qr(25):各画素の赤色成分の濃度値 Qa,Qra,Qga,Qba…発生位置周辺画像のテ
クスチャーを構成する画素値の平均値(潜在パラメータ
値) Qc,Qrc,Qgc,Qbc…発生位置周辺画像のテ
クスチャを構成する画素値のコントラスト値(潜在パラ
メータ値) Qn,Qrn,Qgn,Qbn…発生位置周辺画像のテ
クスチャを構成する画素値のエネルギー値(潜在パラメ
ータ値) Qe,Qre,Qge,Qbe…発生位置周辺画像のテ
クスチャを構成する画素値のエントロピー値(潜在パラ
メータ値) Qv,Qrv,Qgv,Qbv…発生位置周辺画像のテ
クスチャを構成する画素値の分散値(潜在パラメータ
値) QQa,QQra,QQga,QQba…移動位置周辺
画像のテクスチャを構成する画素値の平均値(現環境パ
ラメータ値) QQc,QQrc,QQgc,QQbc…移動位置周辺
画像のテクスチャを構成する画素値のコントラスト値
(現環境パラメータ値) QQn,QQrn,QQgn,QQbn…移動位置周辺
画像のテクスチャを構成する画素値のエネルギー値(現
環境パラメータ値) QQe,QQre,QQge,QQbe…移動位置周辺
画像のテクスチャを構成する画素値のエントロピー値
(現環境パラメータ値) QQv,QQrv,QQgv,QQbv…移動位置周辺
画像のテクスチャを構成する画素値の分散値(現環境パ
ラメータ値) V(Ave.)…発生位置周辺画像のテクスチャを構成
する画素値の平均を示すベクトル V(Cont.)…発生位置周辺画像のテクスチャを構
成する画素値のコントラストを示すベクトル V(Engy.)…発生位置周辺画像のテクスチャを構
成する画素値のエネルギーを示すベクトル V(Ent.)…発生位置周辺画像のテクスチャを構成
する画素値のエントロピーを示すベクトル V(Var.)…発生位置周辺画像のテクスチャを構成
する画素値の分散を示すベクトル VV(Ave.)…移動位置周辺画像のテクスチャを構
成する画素値の平均を示すベクトル VV(Cont.)…移動位置周辺画像のテクスチャを
構成する画素値のコントラストを示すベクトル VV(Engy.)…移動位置周辺画像のテクスチャを
構成する画素値のエネルギーを示すベクトル VV(Ent.)…移動位置周辺画像のテクスチャを構
成する画素値のエントロピーを示すベクトル VV(Var.)…移動位置周辺画像のテクスチャを構
成する画素値の分散を示すベクトル X,Y,Z…遺伝子 θ(Ave.)…両ベクトルの角度差 θ(Cont.)両ベクトルの角度差 θ(Engy.)両ベクトルの角度差 θ(Ent.)両ベクトルの角度差 θ(Var.)両ベクトルの角度差
フロントページの続き (56)参考文献 医用電子と生体工学,1999年 3月10 日,Vol.37,No.1,p90−97 1999年電子情報通信学会情報システム ソサエティ大会講演論文集,1999年,p 241 1994年電子情報通信学会秋季大会−ソ サエティ先行大会−講演論文集 ;情報 システム,1994年,p115 1996年電子情報通信学会情報システム ソサエティ大会講演論文集,1996年,p 99 1997年電子情報通信学会情報システム ソサエティ大会講演論文集,1997年,p 59 1998年電子情報通信学会情報システム ソサエティ大会講演論文集,1998年,p 58 1993年電子情報通信学会秋季大会講演 論文集,1993年,6−112 2000年電子情報通信学会情報システム ソサエティ大会講演論文集,2000年 9 月 7日,p301 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 21/00 - 21/61 JOIS、PATOLIS

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 評価対象となる生物組織の画像に対し
    て、コンピュータを用いて所定の画像処理を施すことに
    より、生物組織の特徴を定量的に評価する方法であっ
    て、 画像上に表現されたテクスチャーの特徴を数値として示
    すパラメータを複数H通り定義する段階と、 評価対象となる生物組織の画像を入力する段階と、 入力した生物組織画像上に所定のエネルギー値をもった
    多数の仮想生物を発生させる段階と、 個々の仮想生物について、前記H通りのパラメータの中
    から選択されたh通り(h≦H)のパラメータの組み合
    わせを示す遺伝子を定義する段階と、 各仮想生物の発生位置の周辺画像のテクスチャーの特徴
    を示すH通りのパラメータのうち、少なくとも遺伝子に
    よって示されているh通りのパラメータの値を求め、こ
    れらのパラメータ値を各仮想生物のもつ潜在パラメータ
    値として定義する段階と、 (a) 仮想生物を、前記生物組織画像上で移動させ、この
    移動により消費する消費エネルギー値を決定する処理、 (b) 仮想生物の移動後の周辺画像について、当該仮想生
    物の遺伝子によって示されているh通りのパラメータの
    値を現環境パラメータ値として求め、h通りの潜在パラ
    メータ値とh通りの現環境パラメータ値との類似性に基
    づいて、当該仮想生物が摂取すべき摂取エネルギー値を
    定める処理、 (c) 仮想生物のもつエネルギー値に対して、前記消費エ
    ネルギー値を減じ、前記摂取エネルギー値を加えること
    により、エネルギー値の更新を行い、更新後のエネルギ
    ー値が所定の下限値に達した場合には当該仮想生物が死
    滅したものとして除去し、更新後のエネルギー値が所定
    の上限値に達した場合には当該仮想生物が増殖したもの
    として同一の遺伝子を有する新たな仮想生物を近傍に発
    生させる処理、 なる3つの処理(a) ,(b) ,(c) を、所定回数だけ繰り
    返し実行する段階と、 前記生物組織画像上に最終的に生存している仮想生物に
    ついての遺伝子のヒストグラムを作成する段階と、を有し、前記処理(c) におけるエネルギー値の更新を行
    う際に、仮想生物の移動後の位置を中心とした近傍参照
    領域と、この近傍参照領域を含みその境界を更に遠方ま
    で広げた遠方参照領域とを定義し、前記近傍参照領域内
    のテクスチャーの特徴を示す近傍パラメータ値と、前記
    遠方参照領域内のテクスチャーの特徴を示す遠方パラメ
    ータ値と、の類似性が低い場合には、当該仮想生物のも
    つエネルギー値もしくは当該仮想生物が摂取するエネル
    ギー値を減じる処理を更に行うようにした ことを特徴と
    する画像処理を用いた生物組織評価方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の評価方法において、 各仮想生物の発生位置の周辺画像について求めた潜在パ
    ラメータ値を初期値とし、移動後の周辺画像について求
    めた現環境パラメータ値と潜在パラメータ値とに所定以
    上の類似性が得られた場合には、前記潜在パラメータの
    値に対して、前記現環境パラメータ値に近付けるような
    更新処理を行うことを特徴とする画像処理を用いた生物
    組織評価方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の生物組織評価
    方法において、 仮想生物の発生、仮想生物に対する遺伝子の定義、仮想
    生物に対する移動、を行う際に乱数を用い、ランダムな
    位置にランダムな遺伝子をもった仮想生物が発生され、
    ランダムに移動するようにしたことを特徴とする画像処
    理を用いた生物組織評価方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の生物組
    織評価方法において、 各仮想生物の移動後の周辺画像について明度値を求め、
    この明度値が大きい順に一定割合の仮想生物に対して
    は、当該仮想生物のもつエネルギー値もしくは当該仮想
    生物が摂取するエネルギー値を減じる処理を更に付加し
    たことを特徴とする画像処理を用いた生物組織評価方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の生物組織評価方法にお
    いて、 明度値が大きい順に一定割合の仮想生物に対しては、当
    該仮想生物が死滅するのに十分な程度に、エネルギー値
    を減じる処理を行うことを特徴とする画像処理を用いた
    生物組織評価方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜のいずれかに記載の生物組
    織評価方法において、 生物組織画像のテクスチャーの特徴を数値として示す複
    数H通りのパラメータとして、所定の参照領域内の各画
    素の濃度値についての平均、分散、エネルギー、エント
    ロピー、コントラストなる群の中から選択された複数の
    パラメータを用いるようにしたことを特徴とする画像処
    理を用いた生物組織評価方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜のいずれかに記載の生物組
    織評価方法において、 生物組織画像としてカラー画像を用いるようにし、この
    生物組織画像のテクスチャーの特徴を数値として示すパ
    ラメータ値として、所定の参照領域内の各画素の三原色
    の各色成分ごとの濃度値に関するパラメータ値を用いる
    ようにし、パラメータ値相互の類似性を、前記各色成分
    ごとのパラメータ値に基づいて定義される三次元ベクト
    ルの角度差に基づいて決定することを特徴とする画像処
    理を用いた生物組織評価方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜のいずれかに記載の生物組
    織評価方法において、 個々の仮想生物に年齢を定義するようにし、3つの処理
    (a) ,(b) ,(c) を実行するたびに個々の仮想生物の年
    齢を増加させ、年齢が所定の寿命に達した仮想生物につ
    いては死滅したものとして除去するようにしたことを特
    徴とする画像処理を用いた生物組織評価方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜のいずれかに記載の生物組
    織評価方法において、 親の仮想生物がもっていた遺伝子を遺伝させる際に、所
    定の確率で突然変異を生じさせるようにし、突然変異が
    生じた場合には、遺伝子をランダムに変更してから遺伝
    させることを特徴とする画像処理を用いた生物組織評価
    方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜のいずれかに記載の画像
    処理を用いた生物組織評価方法を構成する各段階をコン
    ピュータに実行させるためのプログラムを記録したコン
    ピュータ読取り可能な記録媒体。
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1994年電子情報通信学会秋季大会−ソサエティ先行大会−講演論文集 ;情報システム,1994年,p115
1996年電子情報通信学会情報システムソサエティ大会講演論文集,1996年,p99
1997年電子情報通信学会情報システムソサエティ大会講演論文集,1997年,p59
1998年電子情報通信学会情報システムソサエティ大会講演論文集,1998年,p58
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2000年電子情報通信学会情報システムソサエティ大会講演論文集,2000年 9月 7日,p301
医用電子と生体工学,1999年 3月10日,Vol.37,No.1,p90−97

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