JP3450845B2 - 広帯域カラー画像信号送信装置および受信装置 - Google Patents

広帯域カラー画像信号送信装置および受信装置

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JP3450845B2 JP2002227561A JP2002227561A JP3450845B2 JP 3450845 B2 JP3450845 B2 JP 3450845B2 JP 2002227561 A JP2002227561 A JP 2002227561A JP 2002227561 A JP2002227561 A JP 2002227561A JP 3450845 B2 JP3450845 B2 JP 3450845B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、広帯域カラー画
像信号をフィールド間およびフレーム間の多重オフセッ
トサブサンプリングにより帯域圧縮して伝送する広帯域
カラー画像信号送信装置および受信装置に関し、特に、
広帯域カラー画像信号の動画像領域における伝送画質を
動画像の物理的特性並びに視覚的特性に対する知見に基
づいて改善するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】広帯域カラー画像信号の多重サブサンプ
リングによる帯域圧縮伝送方式の一つに、本発明者らの
開発に係るMUSE方式(Multiple ub−
Nyquist Sampling ncoding
System)と称する広帯域カラー画像信号サブサ
ンプル伝送方式があり、広帯域カラー画像信号に対する
優れた帯域圧縮狭帯域伝送方式として日本における高精
細度カラーテレビジョンの実験放送に供されている。
【0003】このMUSE方式における帯域圧縮狭帯域
伝送の基本は、互いに隣接するライン問、フィールド間
もしくはフレーム間でサンプル点の位置を互いに異なら
せてサブサンプリングを行ない、なるべく少ない個数の
サンプル値によりなるべく多くの画像情報を伝送すると
ともに、サブサンプリングに伴って再生画像に混入する
折返し歪をエンコーダにおける前置フィルタによる適切
な帯域制限によって効率よく予め除去しておくことにあ
る。
【0004】しかして、MUSE方式におけるサブサン
プリングは、動画像および静止画像のいずれに対して
も、所定のサンプルレートでサブサンプリングを行なう
固定密度サンプリング方式の採用を原則としてライン
間、フィールド間およびフレーム間のサブサンプリング
を行なうが、実際には各種サンプルレートの組合わせに
より若干複雑なサブサンプル方式を採っている。
【0005】その結果、エンコーダから送出する伝送信
号のサンプリングパターンは、各フィールドにおけるサ
ンプル点の配置が4フィールドで一巡する五の目サンプ
ルパターンをなして、各フィールド毎のサンプル数をな
るべく低滅するようにしており、一方、デコーダにおい
ては、伝送された来た五の目パターンのサンプル値に対
し、静止画像領域については、パターンが完結する4フ
ィールド分のサンプル値全部を利用してフィールド間お
よびフレーム間でサンプル値の内挿補間を行ない、原画
像をほぼ完全に再生しているが、動画像領域について
は、画像の動きに伴い、画像内容にフィールド間で1/
60秒の時間差が生ずるので、フィールド間の内挿補間
は行ない得ず、各フィールド毎の1フィールド分のサン
プル値のみに対してフィールド内すなわちライン間の内
挿補間を行なっている。
【0006】かかるMUSE方式の詳細に関しては、本
顧人の出願に係る 特願昭58−194,115号(米国特許第4,74
5,459号対応) および 特願昭60−106,132号(米国特許第4,69
2,801号対応) の明細書、並びに、本願人の発行に係る文献:NHKラ
ボラトリーノート第348号「Concept of
the MUSE System and its P
rotocol」に記載されているが、ここでは、この
発明の要旨に関連を有するMUSE方式エンコーダの概
略を第1図に基づいて説明する。
【0007】第1図に示す概略構成のMUSE方式エン
コーダにおいては、高精細度カラーテレビジョン、すな
わち、いわゆるハイビジョンの各原色画像信号R,G,
Bを、いずれも帯域上限を21MHz乃至22MHzと
する低域通過フィルタ(LPF)1R ,1G ,1B を介
し、アナログ・ディジタル(A/D)変換器2R ,2
G ,2B に導いてクロックレート48.6MHzでディ
ジタル化し、さらに、ガンマ補正回路3を共通に介して
マトリクス回路4に導き、三原色画像信号R,G,Bを
マトリクスして輝度信号Yおよび2種類の色差信号C
1 ,C2 に変換し、輝度信号Yを直接にTCIエンコー
ダ6に供給するとともに、色差信号C1 ,C 2 を、それ
ぞれ、ともに帯域上限を8.1MHzとする低域通遇フ
ィルタ(LPF)5C1,5C2を介して同じTCIエンコ
ーダ6に供給する。
【0008】このTCIエンコーダ6は、輝度信号Yお
よび色差信号C1 ,C2 に時間軸圧縮および時分割多重
を施して単一の時系列信号に変換するものであり、色差
信号C1 ,C2 の時間軸を圧縮したうえで線順次交互に
組合わせたものを輝度信号Yの水平帰線期間に挿入して
3信号を時分割多重する。
【0009】かかるTCIエンコーダ6から取出した時
系列画像信号を静止画像系Sと動画像系Mとに分離し、
静止画像系Sの時系列画像信号は、フィールド間プリフ
ィルタ7に導いて以後のサブサンプリングに伴って折返
し歪を生ずる周波数領域の信号成分を予め除去したうえ
で、フィールド間オフセット・サブサンプラ8に導き、
24.3MHzのサンプルレートでフィールド間オフセ
ット・サブサンプリングを施し、その出力サブサンプル
列画像信号を、帯域上限を12MHzとした低域通過フ
ィルタ(LPF)9を介してサンプルレート変換器10
に導き、サンプルレートを48.6MHzから32.4
MHzに変換したうえで混合器13に供給する。
【0010】一方、動画像系Mの時系列画像信号は、フ
ィールド内プリフィルタ11に導いて以後のサブサンプ
リング操作に伴って折返し歪を生ずる周波数領域の信号
成分を予め除去したうえでサンプルレート変換器12に
導き、サンプルレートを48.6MHzから32.4M
Hzに変換したうえで同じ混合器13に供給する。
【0011】その混合器13においては、エンコーダに
別途設けた動き検出器14の動き検出結果に応じて静止
画像系Sと動画像系Mとの時系列画像信号を適切に混合
し、その混合出力時系列画像信号をライン・フレーム間
オフセット・サブサンプラ15に導き、サンプルレート
16.2MHzで五の目パターンによるフレーム間・ラ
イン間オフセットサブサンプリングを施してMUSE方
式のサンプル列画像伝送信号を形成する。
【0012】広帯域カラー画像信号サブサンプル伝送方
式の好適例と認められるMUSE方式におけるエンコー
ダは、基本的には第1図につき上述したように構成され
ており、その特徴とするところは、画像信号のサブサン
プル伝送モードを、画像の動きの有無・大小に応じて静
止画像伝送モードと動画像伝送モードとに区分し、画像
の動きの検出結果に応じ、両者を適切な比率で混合し、
あるいは、両者を適切に切換えて原画像をほぼ忠実に最
適の画質で再生し得るようにしていることにあり、静止
画像伝送モードでは4フィールド周期で一巡するサンプ
リングパターンにフィールド間・フレーム間の内挿補間
を施して原画像をほぼ完全に再生し、動画像伝送モード
では、画像内容のフィールド間時間差を避けてフィール
ド内の内挿補間により原動画像の画質を実質的に保持し
て再生している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】したがって、第1図に
示した概略構成のエンコーダにおいては、静止画像信号
および動画像信号の伝送帯域をそれぞれ制限するプリフ
ィルタ7および11の通過帯域特性を、それぞれの伝送
モードに適合するように設定しており、特に、動画像伝
送モードについては、基本的に、フィールド毎の画像サ
ンプル値のみに対する単純なフィールド内信号処理を前
提とした帯域制限を行なっているので、対応するフィー
ルド内の内挿補間による再生画像には、画像の動きによ
り視覚的に所要精細度が緩和されるとはいえ、画像情報
量の不足に基づくぼけ感など改善を要する画質劣化の問
題があった。
【0014】この発明の目的は、上述した従来の問題を
解決し、従来の基本的構成によるサブサンプル伝送系に
生じていた伝送画質の劣化、特に、主としてフィールド
内信号処理を前提とする動画像領域に生じていた伝送画
質の劣化を諸種の見地から広く検討して著しく改善し得
るようにした広帯域カラー画像信号送信装置および受信
装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述した
MUSE伝送方式の開発並びに引読く実験放送から得た
種々の知見に鑑み、広帯域カラー画像信号のサブサンプ
ル狭帯域伝送における伝送画質改善の余地を諸種の見
地、特に動画像領域における伝送画質改善の見地から種
々検討し、画質劣化の物理的要因並びに視覚的要因を究
明するとともに、諸種の要因が、いずれも、動画像領域
の画像信号に従来施していたフィールド内信号処理に主
として起因する、との新たな知見に基づき、動画像傾域
の画像信号に施す信号処理に対し、フィールド間処理、
特に、フレーム単位で完結する形のフィールド間信号処
理を導入することを根幹とし、画質劣化を生ずる諸種の
要因にそれぞれ適応した改善策をそれぞれ付加した構成
の広帯域カラー画像信号送信装置および受信装置を発明
した。
【0016】すなわち、まず、画質劣化を生ずる第1の
要因として、フレーム周波数の1/2の周波数15Hz
のフリッカがあり、動画像領域の画像信号に従来施して
いた単純なフィールド内フィルタ信号処理によっては、
サンプリング処理過程で生ずる動画像再生に寄与しない
水平・垂直空間周波数領域における特定のスペクトル分
布を、垂直周波数帯域に関しては垂直周波数軸方向に無
制限に拡がり、実際に信号処理をする従来のハードウェ
アでは完全には除去し得ず、再生動画像に折返し歪とし
て現われるために著しい画質劣化を生じていた。かかる
フリッカを顕著に生ずる空間周波数領域の特定の成分
を、フィールド間信号処理により的確に除去することに
よって、再生動画像の解像度向上も達成し得た。
【0017】つぎに、画質劣化を生ずる第2以降の各要
因に共通の問題として、動画像領域の画像信号に従来施
していたフィールド内信号処理を前提とすることによる
再生動画像情報量の不足があるが、各要因に適応した適
切な条件のもとでは、動画像領域における信号処理に導
入したフィールド間処理により、各要因によって生ずる
画質劣化をそれぞれ適切に改善し得ることを見出した。
【0018】すなわち、画質劣化を生ずる第2の要因と
して、フィールド内信号処理を施す動画像領域において
内挿補間する画像情報量の不足により動画像領域におけ
る再生カラー画像の精細度が本来的に低下していたが、
従来、動画像領域については静止画像領域に比べてベー
スバンド帯域を半減させていた色差信号に対し、フィー
ルド間オフセットサブサンプリング並びに折返し歪発生
防止のための周波数帯域制限および再生時の内挿補間を
フレーム単位で完結させることにより、色差信号の周波
数帯域を拡大してカラー動画像の再生画質改善を達成し
得た。
【0019】また、画質劣化を生ずる第3の要因とし
て、フィールド内信号処理を施す動画像領域のカラー画
像信号については、ベースバンドを半滅させて伝送する
色差信号のみならず、輝度信号についても視覚的に解像
度が不足していたが、垂直方向における画像の動きが小
さい範囲では、輝度信号に対しても奇偶両フィ−ルド間
におけるフレーム内完結の信号処理を施すことにより、
静止画像と垂直方向の動きの大きい動画像との中間の解
像度を有する再生動画像を得て、総合画質の一層の改善
を達成し得た。
【0020】すなわち、この発明の広帯域カラー画像信
号送信装置は、原始サンプリングを施した広帯域カラー
画像信号の少なくとも輝度信号成分に2フレームを周期
として一巡するライン間乃至フレーム間のオフセット・
サンプル・パターンによりオフセット・サブサンプリン
グをそれぞれ施して帯域圧縮した前記広帯域カラー画像
信号を伝送する広帯域カラー画像信号送信装置におい
て、該装置は、動画像の画像信号に対して、フィールド
間のオフセット・サブサンプリングを行うためのフィー
ルド・オフセット・サブサンプラと該フィールド・オフ
セット・サブサンプラの入力側に接続されたフィールド
間プリフィルタとを備え、前記フィールド間プリフィル
タは、縦続接続された2個のフィールドメモリと、該フ
ィールドメモリの各入出力をフィールド周期で切替えて
出力する切替器と、該切替器によって切替えられた前記
フィールドメモリの入出力信号が入力され前記フィール
ド間のオフセット・サブサンプリングに伴って再構成画
像に生ずる折り返し歪みを減少させる帯域制限フィルタ
とからなるフィールド間プリフィルタであることを特徴
とするものである。
【0021】また、この発明の広帯域カラー画像信号受
信装置は、広帯域カラー画像信号送信装置から伝送され
てきた前記帯域圧縮した広帯域カラー画像信号を受信し
て帯域圧縮される以前の広帯域カラー画像信号を再構成
する広帯域カラー画像信号受信装置において、該装置
は、動画像の画像信号に対して、フィールド間でサンプ
ル値の内挿補間を施すフィールド間ポストフィルタであ
って、縦続接続された2個のフィールドメモリと、奇偶
のフィールドよりなるフレーム単位で少なくとも輝度信
号の帯域制限およびサンプル値の内挿補間の信号処理が
完結するように前記フィールドメモリの各入出力を送受
対応させてフィールド周期で切替えて出力する切替器
と、該切替器によって切替えられた前記フィールドメモ
リの入出力信号が入力され前記フィールド間でサンプル
値の内挿補間を施す補間フィルタからなるフィールド間
ポストフィルタを備えることを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照し、発明の
実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。請求項
1,2に記載の本発明は、本明細書中、特に、段落〔0
031〕乃至段落〔0043〕に詳細に説明されてい
る。
【0023】MUSE方式などハイビジョン放送方式に
おける動画像信号の信号処理系は、従来、一般に、第2
図に示すように構成されている。すなわち、例えばMU
SE方式における送信側のエンコーダにおいては、原サ
ンプル周波数48.6MHzの入力画像信号を、伝送時
のサンプル周波数16.2MHzを通過帯域の上限とす
る水平周波数領域のローパスフィルタ21を介してサン
プルレート変換器22に供給し、高精細度伝送用の原サ
ンプル周波数48.6MHzを2/3に落として、フレ
ーム間で画像が変化する動画像の伝送に適したフレーム
間オフセットサンプリング用サンプル周波数32.4M
Hzに変換する。ついで、そのサンプル動画像信号をフ
ィールド内プリフィルタ23に供給し、サンプリングに
伴って折返し歪を発生させるサンプル点近傍の高域成分
を予め除去するための帯域制限を画像の動きを考慮して
フィールド内で施す。ついで、その帯域を制限したサン
プル動画像信号をラインオフセット・サブサンプラ24
に供給し、さらにライン間オフセット・サブサンプリン
グを施してサンプル周波数16.2MHzのサブサンプ
ル伝送用動画像信号を取出す。
【0024】一方、受信再生系のデコーダにおいては、
上述のサブサンプル伝送用動画像信号をフィールド内補
間フィルタ25に供給し、伝送動画像信号のサンプル値
にフィールド内で内挿補間を施してサンプル周波数3
2.4MHzのサンプル動画像信号を再生し、そのサン
プル動画像信号をサンプルレート変換器26に供給し、
サンプル周疲数32.4MHzを原サンプル周波数4
8.6MHzに再変換して送信側入力画像信号の形態に
復元する。
【0025】上述のような構成の信号処理系における送
信側のフィールド内プリフィルタ23からラインオフセ
ット・サブサンプラ24に供給する帯域制限サンプル動
画像信号の水平・垂直空間周波数領域におけるスペクト
ル分布は第3図に示すようになっている。すなわち、サ
ンプル動画像信号の水平周波数帯域は、水平ローパスフ
ィルタ21により伝送用サンプル周波数16.2MHz
以下に抑えられているが、垂直周波数帯域に関しては、
座標原点を頂点として水平周波数軸上のサンプル点1
6.2MHzと垂直周波数軸上の対応点1125/2T
V本とを結ぶ直角三角形状の空間周波数領域が1125
/2TV本の周期で垂直周波数軸方向に交互に反転しな
から無制限に拡がっている。
【0026】かかるスペクトル分布のサンプル動画像信
号をサブサンプラ24に供給してラインオフセット・サ
ブサンプリングを施すと、そのスペクトル分布は第4図
に示すようになる。すなわち、原画像信号に、垂直周波
数領域で1125/2TV本を超えて静止画像において
のみ表現可能の高解像度信号成分が含まれていたとする
と、第4図に示す菱形の空間周波数帯域内に、黒点で
それぞれ図示するサンプリングキャリヤおよびによ
って折返した1125/2TV本を超える垂直周波数信
号成分が形成されることになる。
【0027】第2図に示した構成の動画像信号伝送処理
系の送信側で形成されたかかる折返し信号成分は、受信
再生側の補間フィルタ25によって除去されるので、原
理的には再生動画像に信号歪としては現われず、特に問
題とはならない筈てあるが、実際に信号処理系を構成す
るハードウェアにおいては、不所望信号成分を除去する
プリフィルタ23も所望信号成分を内挿する補間フィル
タ25も完全に原理どおりの特性は実現困難なので、か
かる折返し信号成分、特に、座標原点0の水平周波数軸
上でかつ垂直周波数が1125/2TV本の奇数倍の近
傍に折返った折返し信号成分は、完全には除去されず、
再生動画像に折返し歪として現われ、フレーム周波数の
1/2の15Hzのフリッカを生じて再生画質を著しく
劣化させる。したがって、再生動画像に現われるかかる
折返し歪の除去が解決すべき従来の課題となっていた。
【0028】この発明においては、上述した従来の課題
をつぎのように解決している。この発明によりサンプル
動画像信号を伝送するようにした送信側エンコーダおよ
び受信再生側デコーダよりなる広帯域カラー画像信号送
信装置および受信装置の構成例を第2図に示した従来構
成と容易に対比し得るようにして第5図に示す。第5図
に示す構成のこの発明による送信装置および受信装置
は、第2図に示した従来構成に、鎖線で囲んで示す構成
の空間周波数フィルタAおよびBをエンコーダおよびデ
コーダにそれぞれ介挿したものである。
【0029】第5図に示すこの発明による送信装置およ
び受信装置においては、フィールド内プリフィルタ23
から得た帯域制限サンプル動画像信号を空間周波数フィ
ルタA中の水平ローパスフィルタ27に供給し、例えば
伝送用サンプル周波数16.2MHzの半分8.1MH
z以下の低域水平周波数成分を取出して減算器28に供
給するとともに、水平ローパスフィルタ27の入力信号
を直接に滅算器28に供給して等価の水平ハイパスフィ
ルタを構成し、その等価フィルタから取出した高域水平
周波数成分をフレーム内垂直フィルタ29に供給して、
第3図に示したスペクトル分布のうち、垂直周波数11
25本における折返し軸によって生ずる、垂直周波数1
125/2TV本乃至1125×3/2TV本の範囲に
存在して主たる折返し歪を発生させる高域水平周波数成
分を除去したフィルタ出力を加算器30に供給し、水平
ローパスフィルタ27からの低域水平周波数成分と加算
して得た空間周波数フィルタAのフィルタ出力を従来ど
おりのラインオフセット・サブサンプラ24に供治す
る。したがって、サブサンプラ24に入力するサンプル
動画像信号のスペクトル分布は、第3図に示した従来の
スペクトル分布において太線で示したベースバンド信号
帯域中の高域水平周波数成分が除去されて、第6図に太
線で示すようなスペクトル分布となる。その結果、サブ
サンプラ24から取出すサブサンプル伝送用動画像信号
のスペクトル分布は、第7図に示すようになり、第4図
に示した従来のスペクトル分布において黒点で示した各
サンプリングキャリヤ,,をそれぞれ中心とする
菱形の折返し信号成分発生帯域が各サンプリングキャリ
ヤの近傍の楕円形帯域に局限され、特に、従来主たる折
返し歪を発生させていた垂直周波数1125/2TV本
乃至1125×3/2TV本の垂直周波数帯域における
信号成分が垂直軸上でかつ垂直周波数が1125/2T
V本の近傍に折返らなくなるので、再生動画像に現われ
る折返し歪が実質的に除去され、従来のように15Hz
のフリッカが生ずることのない、安定した再生動画像が
得られる。なお水平ローパスフィルタ27の通過帯域の
上限は、4MHz乃至8MHz程度に選定するのが好適
である。
【0030】なお、この発明による広帯域カラー画像信
号送信装置および受信装置においては、第5図に示すよ
うに、受信再生側についても、水平ローパスフィルタ3
1、減算器32、フレーム内垂直フィルタ33および加
算器34により、送信側のフィルタAと全く同様に構成
して全く同様に作用させる空間周波数フィルタBを介挿
し、伝送中にも生ずるおそれのある折返し歪発生信号成
分を、送信側におけると同様にして、繰返し除去する。
【0031】さて、画像信号を狭帯域伝送する手法とし
て、画像信号の全画像情報は逐一伝送せず、適切な間隔
で選んだサンプル値のみを伝送し、受信再生時にはサン
プル値の相互間に適切な信号値を内挿補間して原画像信
号の全画像情報をほば復元するサンプル伝送方式が多く
用いられており、画像信号サンプリングの手法として
は、適切な時間間隔で1枚の画像、すなわち、いわゆる
フレーム乃至フィールドを伝送する時間的サンプリング
と1枚の画像すなわちフレームを構成する走査線による
空間的サンプリングの他に、各走査線上の画像情報を時
空間的にサンプリングするサブサンプルなる手法が広く
用いられていることは前述したとおりであり、そのサブ
サンプルの中でも、信号処理が簡明で容易なフィールド
オフセット・サブサンプルおよびラインオフセット・サ
ブサンプルが特に多く用いられている。すなわち、フィ
ールドオフセット・サブサンプルは、1枚の画像すなわ
ちフレームを構成する奇偶のフィールド相互間で走査線
上のサンプル点の位置を互い違いにずらし、フレーム当
りのサンプル数は変えずにフィールド当りのサンプル数
を半減させたものであり、また、ラインオフセット・サ
ブサンプルは、フレーム乃至フィールドを構成するライ
ン相互間で走査線上のサンプル点の位置を互い違いにず
らしたものである。
【0032】しかして、フィールドオフセット・サブサ
ンプルは、静止画像については、任意の隣接フィールド
間でサンプル点を相互に内挿補間し得るので、簡単な内
挿補間の信号処理により、精細度を落さずにサンプル値
伝送量を低減させることかでき、フィールドオフセット
・サブサンプルによる静止画像の再生画質はラインオフ
セット・サブサンプルに勝るが、動画像については、フ
レーム間で画像内容が相違するので、任意の隣接フィー
ルド間での内挿補間が行なえず、フィールドオフセット
・サブサンプルによる動画像の再生画質はラインオフセ
ット・サブサンプルに劣る。しかしながら、適切なフィ
ールド間信号処理を行なうことにより、動画像について
フィールドオフセット・サブサンプルを用いても一定以
上の再生画質が得られることを見出した。
【0033】まず、静止画像信号のサブサンプル伝送に
好適とされたフィールドオフセット・サブサンプルを用
いた従来のサブサンプル伝送信号処理系における要部の
概略構成を第8図に示す。図示の従来構成においては、
入力画像信号を送信側エンコーダに供給し、まず、アナ
ログ・ローパスフィルタ41により信号帯域を制限した
うえで、アナログ・ディジタル(A/D)変換器42に
導き、画像信号のサブサンプル伝送一般に適合したサン
プル周波数で量子化したディジタル画像信号を鎖線で囲
んで示すフィールド間プリフィルタ43に供給し、画像
信号のサンプリングに伴って受信再生画像に生ずる折返
し歪の発生因子となる高域信号成分を除去してその発生
を予め抑えるための帯域制限を施す。
【0034】すなわち、従来構成のフィールド間プリフ
ィルタ43においては、第8図に示すように、単一のフ
ィールドメモリ44を備えてその入出力における1フィ
ールド期間隔てた順次の隣接フィールドの画像信号を、
例えばトランスバーサルフィルタなどにより構成したデ
ィジタルフィルタ45に導き、順次の隣接フィールド間
で上述した帯域制限の濾波作用を施し、かかるフィール
ド間プリフィルタ43の濾波出力画像信号をフィールド
オフセット・サブサンプラ46に導いて奇偶のフィール
ド間でオフセットしたサブサンプルを施したうえで伝送
路に送出する。
【0035】一方、受信再生側デコーダにおいては、上
述のサブサンプル伝送画像信号を鎖線で囲んで示すフィ
ールド間ポストフィルタ47に供給し、隣接フィールド
間でサンプル値の内挿補間を施す。
【0036】すなわち、従来構成のフィールド間ポスト
フィルタ47においては、送信側のフィールド間プリフ
ィルタ43と全く同様に、単一のフィールドメモリ48
を備えてその入出力における1フィールド期間隔てた順
次の隣接フィールドの画像信号をディジタルフィルタ4
9に導き、順次の隣接フィールド間でオフセットしたサ
ンプル値を内挿補間し、かかるフィールド間ポストフィ
ルタ47の濾波出力画像信号をディジタル・アナログ
(D/A)変換器50に導いてアナログ画像信号に復元
し、アナログローパスフィルタ51により不要高域成分
を除去したうえで再生出力画像信号として取出す。
【0037】しかして、第8図に示した従来構成のサブ
サンプル伝送信号処理系においては、フィールド間プリ
フィルタ43およびフィールド間ポストフィルタ47の
双方とも、単一のフィールドメモリ44および48の入
出力からそれぞれ取出した隣接フィールドの画像信号間
で帯域制限および内挿補間のための濾波作用をそれぞれ
施しているので、フィールド間の濾波作用が、常に、現
フィールドとその直前のフィールドの間で行なわれるこ
とになる。かかる送信側の帯域制限のための濾波作用と
受信再生側の内挿補間のための濾波作用とは、同一構成
のフィルタにより、送信側と受信再生側とで相呼応して
同一状態で施すのが基本原理であり、その基本原理から
外れる程原画像の忠実な復元が困難になる。
【0038】しかるに、第8図に示した従来構成の信号
処理系においては、送信側、受信再生側ともに、上述し
たように、常に、現フィールドと直前のフィールドとの
間で濾波作用を施しているので、第9図に示すように、
送信側では、順次の入力フィールド,,,,--
- の画像信号にかかる濾波作用を施した順次の伝送フィ
ールドa,b,c,d,--- の各画像信号は、それぞ
れ、順次の2入力フィールドと,と,と,
と--- の各画像信号を組合わせたものとなり、さら
に、受信再生側では、順次の再生フィールドα,β,
γ,δ,--- の各画像信号は、それぞれ、順次の2伝送
フィールドaとb,bとc,cとd,dと---の各画像
信号を組合わせたものとなる。したがって、信号処理系
全体を通して見れば、順次の再生フィールドα,β,
γ,δ,--- の各画像信号は、それぞれ、順次の3入力
フィールドとと、とと,とと--- ,--
- の各画像信号を組合わせたものとなり、信号処理系全
体としては入出力画像信号の画像情報が互いに対応しな
くなる。特に、フレーム毎の画像情報が刻々変化する動
画像においては、かかる入出力画像情報の不一致がその
まま再生動画像の画質劣化となった。
【0039】かかる再生動画像の画質劣化を排除するよ
うにしたこの発明の広帯域カラー画像信号送信装置およ
び受信装置における信号処理系の要部の概略構成を、第
8図に示した従来構成に対応させて第10図に示す。第
10図と第8図とを対比すれば明らかなように、第10
図に示すこの発明による信号処理系の第8図に示した従
来構成との相違点乃至改良点は、送信側プリフィルタ4
3および受信再生側ポストフィルタ47に従来それぞれ
備えていた単一のフィールドメモリ44および48を、
それぞれ、縦続接続した2個のフィールドメモリ44−
1,44−2および48−1,48−2に替え、従来は
常に単一のフィールドメモリ44および48の入出力か
らそれぞれ取出していた隣接2フィールドの画像信号
を、プリフィルタ43およびポストフィルタ47の入力
における現フィールドが奇数フィールドのときには、フ
ィールドメモリ44−2および48−2の出入力におい
て1フレーム周期前に1フレームを構成する奇偶フィー
ルドの画像信号を従来の隣接フィールドとして取出し、
また、現フィールドが偶数フィールドのときには、フィ
ールドメモリ44−1および48−1の出入力において
1フレームを構成する奇偶フィールドの画像信号を従釆
の隣接フィールドとして取出し、かかるフィールド周期
毎に交替する奇偶フィールドの組合わせを切換えスイッ
チSWlおよびSW2によりそれぞれ切換えてディジタ
ルフィルタ45および49にそれぞれ供給する。
【0040】したがって、この発明による伝送方式の信
号処理系においては、送信側、受信再生側ともに、常
に、1フレームを構成する奇偶フィールド間に帯域制限
および内挿補間のための濾波作用を送受対応して単位の
フレーム周期毎に完結させているので、第11図に従来
の第9図に做って示すように、送信側では、順次の2入
力フィールドと,と,--- の各画像信号をそれ
ぞれ組合わせて濾波作用を施し、順次の2伝送フィール
ドaとb,cとd,--- の各画像信号を形成し、また、
受信再生側では、順次の2伝送フィールドaとb,cと
d,--- の各画像信号をそれぞれ組合わせて濾波作用を
施し、順次の再生フィールドαとβ,γとδ,--- の各
画像信号をそれぞれ形成している。したがって、信号処
理系全体を通して見れば、順次の再生フィールドαと
β,γとδ,--- の各画像信号は、それぞれ、送信側に
おける順次の2伝送フィールドaとb,cとd,--- に
対応して、順次の2入力フィールドと,と,--
- の各画像信号をそれぞれ組合わせたものとなるので、
再生動画像の画質を向上させることができる。
【0041】なお、フィールドオフセット・サブサンプ
ルによる静止画像の再生画質はラインオフセット・サブ
サンプルに勝るが、動画像については、フレーム間で画
像内容が相違するので、任意の隣接フィールド間での内
挿補間が行なえず、フィールドオフセット・サブサンプ
ルによる動画像の再生画質はラインオフセット・サブサ
ンプルに劣ることを先に述べたが、かかる特質を考慮し
て、静止画像乃至同一画像中の静止画領域の標本化伝送
にはフィールドオフセット・サブサンプルを用い、動画
像乃至同一画像中の動画領域の標本化伝送にはラインオ
フセット・サブサンプルを用い、当該画像について別途
検出した画像の動きを表わす動き信号の制御のもとに、
画像の動きの有無に適応して両者を切換える混成標本化
伝送方式、すなわち、いわゆるMUSET方式などが従
来開発されていた。
【0042】しかしながら、かかる混成サブサンプル伝
送方式においては、送信側と受信再生側とで、上述した
適応切換えをそれぞれ制御する動き信号を得るために、
それぞれ別個に画像の動き検出を行なうか、あるいは、
送信側で検出した画像の動きを表わす動き信号をサンプ
ル画像信号とともに受信側に伝送する必要がある。しか
も、送信側および受信再生側の双方に、静止画用と動画
用との2系統の信号処理系をそれぞれ備えて切換える必
要があり、さらに、同一画像中に静止画領域と動画領域
とが混在する場合にはその切換えを目立たぬように行な
う必要があり、それぞれの信号処理装置が大規模となる
のみならず、画像の動き検出が適切でなく、誤検出があ
ったり、信号処理系の切換えが適切でなかったりする
と、再生画像に新たな画質劣化が生ずるなど、幾多の問
題があった。
【0043】さて、第10図および第11図については
動画像の画質改善を述べたが、静止画像に対しても所定
の画質で信号処理が可能なので、この発明においては、
上述した従来の問題をつぎのようにして解決し、送信側
および受信再生側に、それぞれ、第10図に示した構成
による1系統のみの信号処理系を備えることにより、信
号処理系の切換え、したがって、その切換え制御のため
の画像の動き検出を不要とし、小規模の信号処理系では
あるが、動画像・静止画像いずれの領域についても一定
以上の画質を保持して画像伝送を可能とした。
【0044】さて、高精細度カラーテレビジョン放送方
式として開発された上述のMUSE方式においては、広
帯域の高精細度カラー画像信号を構成する帯域20MH
zの輝度信号およびそれぞれ帯域7MHzの2種類の色
差信号を衛星放送1チャネルの伝送帯域幅27MHzで
FM伝送し得るようにするために、各成分信号をディジ
タル化して適切にサブサンプルしたものを時間軸圧縮・
時分割多重し、各成分信号のベースバンド帯域を8MH
z以下に制限して狭帯域伝送するようにしている。
【0045】かかるMUSE方式におけるカラー画像信
号のサブサンプル伝送は、2フレームすなわち4フィー
ルドで一巡するサンプリングパターンによるオフセット
サンプリングを原則としており、静止画像領域について
は、順次のフィールド間で行なうフィールドオフセット
・サブサンプリングおよびその再生時における内挿補間
によって所要の高精細度カラー画像を再生し得るが、動
画像領域については、画像の動きによりフレーム間で画
像内容が異なるため、従来は、専ら同一フィールド内に
おけるラインオフセット・サブサンプリングおよびその
再生時における内挿補間を行なっていた。
【0046】したがって、動画像領域において内挿補間
する画像情報量が静止画像領域に比して著しく少ないた
めに、動画像領域における再生カラー画像の精細度が本
来的に低下するので、従来、動画像領域については、色
差信号のベースバンド帯域を4MHz程度に制限してい
た。
【0047】この発明においては、上述した従来の課題
をつぎのようにして解決し、サブサンプルした画像信号
の再生時に内挿補間する画像情報量を増大させるととも
に色差信号の周波数帯域を拡大してカラー動画像の再生
画質を改善している。
【0048】まず、MUSE方式カラー画像信号の動画
像領域における色差信号をサブサンプル伝送するための
色差信号処理系すなわちエンコーダおよびデコーダの従
来構成を第12図に示す。図示の従来構成による色差信
号処理用エンコーダにおいては、高精細度カラー画像信
号、すなわち、いわゆるハイビジョンの撮像出力三原色
RGB信号をアナログ・ディジタル(A/D)変換器6
1に供給して48.6MHzのクロック信号によりディ
ジタル化し、マトリックス回路62に導いて輝度信号
(Y)および色差信号(R−Y),(B−Y)を形成す
る。分離して別途処理する輝度信号(Y)を除くマトリ
クス出力の色差信号(R−Y)および(B−Y)は、帯
域上限8MHzの低域通過フィルタ(LPF)63を介
してサブサンプラ64に導き、16.2MHzのクロッ
ク信号の制御のもとにクロック周波数を16.2MHz
に変換して水平方向のサブサンプリングを施し、線順次
交互の2色差信号サンプル列(R−Y),(B−Y)を
TCI回路65に導いて時間軸圧縮・時分割多重を施
し、輝度信号の水平帰線期間に多重し得る時系列信号の
形態に変換する。
【0049】従来構成の色差信号エンコーダにおいて
は、かかる色差信号サンプル列をフィールドオフセット
サブサンプラ66に導いてフィールド間オフセットによ
りサンプルレートを8.1MHzに半減させたうえで、
図示してない慣用の動き検出出力の制御のもとに、静止
画像領域の色差信号サンプル列を分離して別途処理する
とともに、動画像領域におけるサンプルレート8.1M
Hzの色差信号サンプル列を低域通過フィルタ(LP
F)67に導いて周波数帯域を4MHzに制限し、さら
に、2次元フィルタ68に導いて水平・垂直の空間周波
数帯域を制限する。
【0050】第12図に示す従来構成によりかかる帯域
制限を施した動画像領域の色差信号サンプル列に対して
は、走査線数1125本のMUSE方式カラー画像信号
における色差信号の線順次交互の信号形態およびサンプ
ルレート8.1MHzに基づき、空間周波数領域におけ
るサブサンプル・キャリヤの位置は、垂直方向には11
25/2TV本間隔、水平方向には8.1MHz間隔と
なり、かかるサブサンプル・キャリヤ間隔の中点を結ぶ
線分により制限される色差信号伝送可能の空間周波数帯
域は、第13図に示すように、座標原点と垂直軸上の1
125/4TV本の点および水平軸上の4MHzの点と
を頂点とする三角形の帯域となる。なお、第13図並び
に後出の同様の図面、第15図および第17図乃至第2
0図は、いずれも、線順次化した形態の画像信号につい
て示してある。
【0051】かかる帯域制限を受けた動画像領域の色差
信号サンプル列をミクサ69に導いて別途処理した静止
画像領域の色差信号サンプル列と混合し、その混合出力
色差信号を多重回路70に導いて別途処理した輝度信号
の水平帰線期間に多重したうえで、かかるカラー画像信
号サブサンプル列をフレームオフセット・サブサンプラ
71に導き、MUSE方式のサブサンプル伝送形態であ
る2フレーム一巡のサンプルパターンに変換し、ディジ
タル・アナログ(D/A)変換器72を介してアナログ
伝送する。
【0052】一方、第12図に示す従来構成の色差信号
処理用デコーダにおいては、エンコーダにつき上述した
のとは逆の信号処理を行ってハイビジョンの三原色RG
B信号を再生する。すなわち、上述のようにアナログ伝
送したカラー画像信号の時間軸圧縮・時分割多重サブサ
ンプル列をアナログ・ディジタル(A/D)変換器73
に供給して再度ディジタル信号に変換し、その変換出力
サブサンプル列をスイッチングしてエンコーダにおける
と同様に輝度信号および静止画像領域の色差信号を分離
してそれぞれ別途処理するとともに、動画像領域の色差
信号サブサンプル列を2次元フィルタ74および帯域上
限4MHzの低域通過フィルタ(LPF)75に順次に
導き、エンコーダにおけると全く同様の帯域制限による
サブサンプル列の内挿補間を施したうえで、ミクサ76
に導いて別途処理した静止画像領域の色差信号サブサン
プル列と混合し、その混合出力色差信号サブサンプル列
を逆TCI回路77に導いて時間軸圧縮・時分割多重さ
れている色差信号サブサンプル列をもとの信号形態に復
元し、色差信号(R−Y),(B−Y)を取出して逆マ
トリックス回路78に導き、別途処理した輝度信号を加
えて三原色RGB信号の形態に復元し、ディジタル・ア
ナログ(D/A)変換器79を介し、再生出力として取
出す。
【0053】上述した従来構成の色差信号処理系に対
し、動画像領域の伝送可能空間周波数帯域を拡大するよ
うに改良したこの発明による色差信号処理系の構成例
を、第12図に示した従来構成におけると同一の各ブロ
ックには同一の符号をそれぞれ付し、同一の配列にして
第14図に示す。
【0054】第12図と第14図とを対比すれば判るよ
うに、この発明による構成と従来構成との相違点は、エ
ンコーダにおいては垂直周波数帯域制限用回路ブロック
81 R ,81B ,82R , 82B ,83R , 83B とT
CI回路65の配置とのみであり、また、デコーダにお
いては、垂直方向内挿補間用回路ブロック85R ,85
B ,86R ,86B ,87R ,87B とフレーム内内挿
回路84および内挿フィルタ88の新設と逆TCI回路
77の配置とであり、その他の各回路ブロックはこの発
明による構成においても前述した従来構成におけると全
く同一に作用するので、以下にはこの発明による構成の
従来との相違点のみについて説明する。
【0055】この発明による構成のエンコーダにおいて
は、垂直周波数帯域制限用回路ブロックとTCI回路6
5との配列順を入れ替え、サブサンプラ64からのサン
プルレート16.2MHzの色差信号サンプル列(R−
Y)と(B−Y)とを並列に取出し、静止画像領域の色
差信号を別途処理のために分離するとともに、動画像領
域の色差信号(R−Y)および(B−Y)を並列のまま
別個の垂直周波数帯域制限用回路ブロックにそれぞれ導
き、水平方向のサンプルレート16.2MHzの色差信
号サブサンプル列(R−Y),(B−Y)の垂直方向に
おける空間周波数帯域を、2フィールド毎にフレーム単
位で処理してフレーム内で完結する形で1125/8T
V本にそれぞれ制限する。
【0056】すなわち、サブサンプラ64からの色差信
号サンプル列(R−Y)および(B−Y)を、それぞ
れ、フィールドメモリ81R ,82R の直列接続および
81B,82B の直列接続にフィールド毎に順次に供給
するとともに、それぞれ、切換えスイッチSW1R およ
びSW1B の各a端子に導き、それらの切換えスイッチ
の各b端子にはフィールドメモリ82R および82B
らの2フィールド遅延した色差信号サンプル列(R−
Y)および(B−Y)を導き、各スイッチSW1Rおよ
びSW1B をフィールド周期で同時に切換え、さらに、
各スイッチの切換え出力と各フィールドメモリ直列接続
の中間点出力とを、それぞれ、通過帯域上限を1125
/8TV本にした垂直フィルタ83R および83B に導
く。
【0057】したがって、例えば、色差信号(R−Y)
を供給するフィールドメモリ81R,82R の直列接続
について説明するに、色差信号(R−Y)の順次のフィ
ールドを#1,#2,#3,#4,#5--- とし、フィ
ールドメモリ81R の入力端子を、フィールドメモリ
81R ,82R の中間端子を、フィールドメモリ82
R の出力端子をとする。しかして、まず、切換えスイ
ッチSW1R をa端子に接続したときに、各メモリ端子
,,に順次のフィールド#3,#2,#1の色差
信号(R−Y)が現われているとすると、垂直フィルタ
83R には、メモリ端子およびに現われているフィ
ールド#3および#2の色差信号(R−Y)が供給さ
れ、ついで、次のフィールド期間に切換えスイッチSW
R をb端子に接続したときには、順次に移動してその
ときメモリ端子およびに現われているフィールド#
3および#2の色差信号(R−Y)が再び垂直フィルタ
83 R に供給されることになる。したがって、フィール
ド#2と#3とが同一フレームを構成しているものとす
れば、垂直フィルタ83R には、つねに、同一フレーム
を構成する2フィールドの色差信号(R−Y)が供給さ
れることになるので、垂直フィルタ83R においては、
つねに、連続した2フィールドにおけるサンプルレート
16.2MHzの色差信号サンプル列(R−Y)に対
し、垂直空間周波数帯域の制限がフレーム単位で完結す
る形で施されることになり、かかる周波数帯域制限は、
色差信号サンプル列(B−Y)に対しても同時に全く同
様に施されることになる。
【0058】かかるフレーム単位の周波数帯域制限をそ
れぞれ施した色差信号サンプル列(R−Y)および(B
−Y)を垂直フィルタ83R および83B からTCI回
路65に並列に供給し、それぞれフレーム当りの走査線
数1125本の色差信号サンプル列(R−Y),(B−
Y)に時間軸圧縮・時分割多重を施して水平帰線期間に
挿入可能の線順次交互の信号形態に変換すると、引続く
ミクサ69には第12図に示した従来構成におけると同
一信号形態を呈する動画像領域の時系列色差信号が供給
されることになるが、その動画像領域時系列色差信号の
伝送可能空間周波数帯域は、後述するように第15図に
示すようになり、第13図に示した従来の周波数帯域に
比して倍増される。
【0059】かかる動画像領域時系列色差信号に対して
は、ミクサ69以降において第12図に示した従来構成
におけると全く同様の信号処理を施して伝送するが、フ
レームオフセットサブサンプラ71においては、フレー
ムオフセットサブサンプルを兼ねたフィールド間オフセ
ットサブンプリングがフレーム単位で施される。
【0060】一方、この発明による構成の色差信号処理
用デコーダにおいては、エンコーダからアナログ伝送し
たカラー画像信号の時間軸圧縮・時分割多重サブサンプ
ル列を、アナログ・ディジタル(A/D)変換器73を
介して再度ディジタル化したうえで、別途処理する輝度
信号を分離した後の時系列色差信号に対し、エンコーダ
においてサブサンプリングに伴う折返し歪の発生を防ぐ
周波数帯域制限のための上述した信号処理に対応した信
号処理を施して、色差信号サブサンプル列に対する内挿
補間を行なう。
【0061】すなわち、A/D変換器73からの時系列
色差信号を、まず、フレーム内内挿回路84に導き、エ
ンコーダのフレームオフセットサブサンプラ71におけ
るフィールド間すなわちフレーム内オフセットサブサン
プリングに対応したフィールド間内挿補間を、エンコー
ダに做ってフレーム単位で完結する形で行ない、かかる
フレーム内内挿補間を施した時系列色差信号を逆TCI
回路77に導き、それぞれフレーム当り1125/2本
の線順次交互の時系列の信号形態を解いて、それぞれフ
レーム当り1125本の走査線からなる2系統の色差信
号(R−Y)および(B−Y)の信号形態に復元したう
えで、エンコーダにおける垂直周波数帯域制限用回路ブ
ロックと全く同様にそれぞれ構成した垂直方向内挿補間
用回路ブロック群85R ,85B ,86R ,86B ,8
R ,87B に並列に供給する。
【0062】それらの垂直方向内挿補間用回路ブロック
群においては、エンコーダにおける垂直周波数帯域制限
と全く同様の回路動作により、フレーム単位で完結する
形で垂直方向の内挿補間を行なうが、その内挿補間に用
いる垂直フィルタ87R および87B は、エンコーダに
おける垂直フィルタ83R および83B と全く同様の帯
域上限1125/8TV本の垂直方向低域通過フィルタ
(LPF)とする。
【0063】上述のように2系統の色差信号を並列に処
理する都合上、第12図に示した従来構成とは内挿補間
用回路と逆TCI回路77との配列順を入れ替えて内挿
補間を施した2系統の色差信号(R−Y),(B−Y)
をミクサ76に並列に導き、エンコーダで検出して伝送
し、あるいは、デコーダで検出した画像の動き検出出力
の制御のもとに、別途処理した静止画像領域の色差信号
(R−Y),(B−Y)とそれぞれ混合し、かかる混合
出力の色差信号(R−Y),(B−Y)を内挿フィルタ
88に並列に導く。
【0064】第14図に示したこの発明による構成の色
差信号処理系において上述したように垂直方向の周波数
帯域制限および内挿補間を施した色差信号サブサンプル
列(R−Y),(B−Y)の水平方向におけるサンプル
レートは、エンコーダのサブサンプラ64において4
8.6MHzから16.2MHzに低減したままである
から、ミクサ76の混合出力色差信号(R−Y),(B
−Y)を内挿フィルタ88に導いて水平方向の内挿補間
を施し、それぞれのサンプルレートを16.2MHzか
ら48.6MHzに変換する。なお、この内挿補間用フ
ィルタ88は、エンコーダにおけるLPF63に対応し
て帯域上限8MHzとした低域通過フィルタにより構成
する。また、かかるサンプルレート48.6MHzの色
差信号(R−Y),(B−Y)を逆マトリックス回路7
8に導き、別途処理した輝度信号と組合わせて三原色R
GB再生出力信号の形態に復元する。以後の信号処理
は、第12図に示した従来構成におけると同様である。
【0065】第14図につき上述したこの発明による信
号処理をMUSE方式の高精細度カラー画像信号に施し
た場合における動画像領域の色差信号サンプル列に対す
る水平・垂直の2次元空間周波数領域におけるサブサン
プル・キャリヤの位置および伝送可能な空間周波数範囲
は、従来構成の場合を示した第13図と同様に、時間軸
上の周波数を零とした平面について示すと第15図に示
すようになる。すなわち、サブサンプル・キャリヤ位置
の水平方向における間隔は、水平方向のサブサンプルレ
ート16.2MHzそのままであるから、水平方向の周
波数帯域は、そのサンプル・キャリヤ間隔の半分の8.
1MHzまで拡張され、デコーダにおける内挿補間の信
号処理に用い得るサンプル数が、信号処理をフレーム単
位で行なうことによって2倍に増大している。
【0066】一方、垂直方向におけるサブサンプル・キ
ャリヤ位置の間隔は、垂直方向の信号処理が2フィール
ドずつのフレーム単位で行なわれるので、第13図に示
した従来構成の場合に比して倍増し、垂直方向周波数範
囲の上限は、逆に、1125/8TV本に半減するの
で、結局、2次元空間周波数領域における伝送可能の周
波数範囲は第15図に示すようになり、第13図に示し
た従来構成の場合に比して2倍に増大する。
【0067】なお、時間軸方向の解像度に関しては、2
フィールドずつのフレーム単位で信号処理が行われるた
めに、従来構成の場合に比して半減する。一般に、輝度
信号に対しては、フィールド周波数60Hzの画像信号
にフレーム単位の信号処理を施すと、時間軸方向の解像
度が半減し、15Hz相当の解像度となり、動きの速い
動画像においては動きの滑かさが失なわれ、ジャダーが
発生する。しかしながら、色差信号に対しては、時間軸
方向の解像度低下に対する人間の視覚特性が劣化してい
るので、色差信号にフレーム単位の信号処理を施してそ
の時間軸方向の解像度を15Hzに低下させても、視覚
的にはカラー画質の劣化は認められないことになる。
【0068】さらに、この発明においては、動きが比較
的小さい動画像領域の画像信号については、フィールド
間オフセット・サブサンプリングを施すとともに、フィ
ールド間信号処理を施して折返し歪発生防止のための帯
域制限および再生時の内挿補間を行なうことにより、静
止画像と動きの大きい動画像との中間の解像度を有する
再生動画像を得て、総合の再生画質を一層向上させるよ
うにしている。上述の場合におけるこの発明による広帯
域カラー画像信号送信装置および受信装置のエンコーダ
およびデコーダの構成例を第16図(a)および(b)
にそれぞれ示す。
【0069】第16図(a)に示すエンコーダにおいて
は、入力カラー画像信号の輝度信号成分をアナログ・デ
ィジタル(A/D)変換器91に導いてサンプル周波数
48.6MHzでディジタル化したのちに帯域上限1
6.2MHzの水平方向低域通過フィルタ(LPF)9
2を介してサンプリング周波数変換器93に導き、サン
プル周波数を48.6MHzから32.4MHzに変換
し、その変換出力輝度信号を帯域上限1125/2TV
本の垂直方向低域通過フィルタ(LPF)94を介して
サブサンプラ95に導き、サンプル周波数32.4MH
zでフィールド間オフセット・サブサンプリングを施
し、さらに、帯域上限8.1MHzの水平方向低域通過
フィルタ(LPF)96を介してサブサンプラ97に導
き、サンプル周波数16.2MHzでフレーム間および
ライン間のオフセット・サブサンプリングを施し、MU
SE方式の五の目サンプリングパターンによるサブサン
プル伝送用信号を形成し、ディジタル・アナログ(D/
A)変換器98を介してアナログ伝送する。
【0070】一方、第16図(b)に示すデコーダにお
いては、上述したサンプル周波数16.2MHzのサブ
サンプル伝送用信号をアナログ・ディジタル(A/D)
変換器99に導いて再度ディジタル化したのちにフィー
ルド間内挿回路100に導き、フィールドメモリ101
とのフィールド毎の信号授受によりフィールド間内挿補
間を施し、オフセット・サブサンプリングにより欠落し
た位置のサンプル値を内挿補間したうえで、帯域上限
8.1MHzの水平方向低域通過フィルタ(LPF)1
02を介してサブサンプラ103に導き、フィールド間
内挿補間を施したサンプル列のサンプル周波数16.2
MHzを32.4MHzに変換したのちに、帯域上限1
125/2TV本の垂直方向低域通過フィルタ(LP
F)104に導いて垂直方向の内挿補間を施し、水平・
垂直両方向の内挿補間を施したサンプル列をサンプリン
グ周波数変換器105に導いてサンプル周波数32.4
MHzを原サンプル周波数48.6MHzに戻し、ベー
スバンド上限16.2MHzの水平方向低域通過フィル
タ(LPF)106およびディジタル・アナログ(D/
A)変換器107を順次に介し、再生出力輝度信号とし
て取出す。
【0071】一般に、動画像領域の画像信号について
は、フレーム間は勿論、フィールド間においても画像の
動きにより画像内容がずれて来るので、動画像信号のサ
ンプリングおよび再生時の内挿補間は、従来フィールド
内のラインオフセットのみによって行なわれていたが、
水平方向に比して元来動きが小さい垂直方向における画
像の動きが比較的小さい場合には、上述したように、輝
度信号に対してもフレーム間信号処理を施して従来の再
生動画像よりは遥かに解像度の優れた再生動画像を得る
ことができる。
【0072】しかして、画像信号にフィールド内ライン
オフセット・サブサンプリングを施したときの水平・垂
直空間周波数領域におけるサブサンプル・キャリヤの位
置は第17図に●印で示すようになるが、フィールド間
内挿補間を施すと、第18図に×印で示す位置のサブサ
ンプル・キャリヤが消滅する。したがって、かかるサブ
サンプル・キャリヤが消滅した位置には他の情報を多重
して伝送することが可能となる。
【0073】また、フィールド内ラインオフセット・サ
ブサンプルを施した画像信号の伝送サンプル列にフィー
ルド内内挿補間を施したときの空間周波数領域において
再生可能な周波数範囲は、前述したとおりに、第19図
に示す三角形の範囲であるが、フィールド間内挿補間を
施したときに再生可能な周波数範囲は第20図に示す長
方形の範囲となり、従来のフィールド内信号処理を施し
た場合の2倍に拡大される。
【0074】さらに、従来のサブサンプル伝送において
基本とした2フレームで一巡するサンプル・パターンに
より伝送した画像信号においては、15Hzが基本周波
数となるが、フレーム毎にフィールド間信号処理を施し
た画像信号においては、30Hzが基本周波数となる。
【0075】しかして、人間の視覚特性は15Hzの周
波数成分に対して敏感であるために、従来の2フレーム
で一巡するサンプル・パターンにより伝送した再生画像
信号では15Hzのフリッカが感じられる欠点があるの
に対し、フィールド間信号処理を施した場合にはかかる
フリッカが生じない点でも優れており、したがって、エ
ンコーダにおけるサブサンプリング方式の如何に抱わり
なく、デコーダにおいてフィールド間内挿補間を行なえ
ば、15Hzのフリッカの発生を抑えることができる。
【0076】ここで、第16図(a)に示したエンコー
ダにおける各段階のサンプル・パターンを第21図
(a)〜(e)に噸次に示しておく。なお、図中○印は
奇数フィールドのサンプル・パターンを示し、●印は偶
数フィールドのサンプル・パターンを示す。第21図に
おいて、(a)は、MUSE方式の基本とするサンプル
周波数48.6MHzのアナログ・ディジタル(A/
D)変換器91における原始サンプルパターンであり、
(b)は、サンプリング周波数変換器93においてサン
プル周波数を32.4MHzに変換したサンプル・パタ
ーンであり、垂直方向に1125TV本、水平方向に3
2.4MHzの間隔で並んだ正方形格子状のサンプル・
パターンをなしている。
【0077】また、第21図(c)は、サブサンプラ9
5においてサンプル周波数32.4MHzでフィールド
間オフセット・サブサンプリングを行なったときのサン
プル・パターンであり、感覚的にはサンプル周波数1
6.2MHzのサンプル・パターンとも見られるが、サ
ンプル周波数32.4MHzで1サンプルおきにサンプ
ル値を零としたサンプル・パターンと見做したものであ
る。
【0078】さらに、第21図(d)は、サブサンプラ
97においてフレーム間およびライン間のオフセット・
サブサンプリングを行なったときのMUSE方式伝送信
号のサンプル・パターンであり、第21図(e)は、そ
の偶数フィールド分のみを示したものである。なお、2
フレームで一巡するMUSE方式伝送信号においては、
フレーム交互に第21図(d)に示したサンプル・パタ
ーンが反転する。
【0079】上述したように垂直方向の動きが小さい動
画像領域の画像信号に施すフィールド間信号処理を、静
止画領域の画像信号に施す2フレーム一巡の信号処理お
よび動きが大きいときの動画像領域の画像信号に施すフ
ィールド内信号処理と組合わせれば、サブサンプル伝送
方式における再生画質を総合的に著しく向上させること
ができる。
【0080】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この発
明によれば、サブサンプル伝送するハイビジョン放送方
式、例えばMUSE方式の動画像信号における垂直周波
数1125/2TV本乃至1125×3/2TV本の範
囲における水平高域信号成分が0MHz、1125/2
TV本の近傍には折返ることがなくなり、折返し歪のな
い安定した再生動画像を得ることが可能となるので、そ
の結果、サブサンプル動画像に対する折返し歪の除去の
ために従来用いていた送信側のプリフィルタおよび受信
再生側の補間フィルタの通過帯域を従来より拡げても折
返し歪が目立たなくなり、再生動画像の解像度を著しく
向上させ得る、という格別の効果を挙げることができ
る。
【0081】また、サブサンプリングに伴い再生画像に
生ずる折返し歪を軽減するための送信側における信号帯
域制限および受信再生側における内挿補間のフィールド
間信号処理を各組の奇偶フィールド間に施し、送受対応
してフレーム単位で完結させるので、各フィールドの再
生画像に3入力フィールドの画像情報が混入するおそれ
がなくなり、再生画質、特に、フレーム間で画像情報が
変化する動画像の再生画質が従来に比して格段に改善さ
れる。
【0082】なお、フレームを単位とする信号処理は、
前述したように、静止画像についても一定以上の画質が
得られるので、動・静止の両画像に共通に単一のフィー
ルドオフセット・サブサンプル用信号処理系のみを用い
るようにすることも可能であり、その場合には、それだ
け装置を小規模にし得るのみならず、静止画処理系と動
画処理系との切換え制御に従来要していた画像の動きの
検出なども不要となるなど、幾多の顕著な効果を挙げる
ことができる。
【0083】さらに、広帯域の高精細度カラー画像信号
をサブサンプル伝送する際に、動画像領域における色差
信号の伝送可能空間周波数帯域を従来の2倍に増大させ
て動画像領域の再生カラー画質を従来に比して著しく向
上させることができ、しかも、サブサンプル伝送におけ
るエンコーダおよびデコーダのいずれについても従来の
ものとの互換性を保持することができる。
【0084】すなわち、この発明の広帯域カラー画像信
号サブサンプル伝送方式を使用すれば、ハイビジョン放
送における動画像領域の解像度が改善され、従来のこの
種の伝送方式と併用すればよりきめ細かなハイビジョン
信号の放送が可能となり、あるいは、従来の画質を保持
した状態で伝送系の構成を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のカラー画像信号サブサンプル伝送方式
によるエンコーダの概略構成を示すブロック線図であ
る。
【図2】 従来の画像信号サブサンプル伝送系の概略構
成を示すブロック線図である。
【図3】 同じくその従来の伝送系におけるラインオフ
セット・サブサンプラの入力画像信号のスペクトル分布
を示す線図である。
【図4】 同じくそのサブサンプラの出力画像信号のス
ペクトル分布を示す線図である。
【図5】 この発明による広帯域カラー画像信号送信装
置および受信装置の構成例を示すブロック線図である。
【図6】 同じくその送信装置および受信装置における
ラインオフセット・サブサンプラの入力画像信号のスペ
クトル分布を示す線図である。
【図7】 同じくそのサブサンプラの出力画像信号のス
ペクトル分布を示す線図である。
【図8】 従来の画像信号サブサンプル伝送方式におけ
る信号処理系の構成を示すブロック線図である。
【図9】 同じくその信号処理系における信号処理の態
様を示す線図である。
【図10】 この発明による広帯域カラー画像信号送信
装置および受信装置における信号処理系の構成例を示す
ブロック線図である。
【図11】 同じくその信号処理系における信号処理の
態様を示す線図である。
【図12】 従来方式によるカラー画像信号サブサンプ
ル伝送系の構成を示すブロック線図である。
【図13】 同じくそのサブサンプル伝送系における動
画像領域色差信号の伝送可能空間周波数帯域を示す特性
曲線図である。
【図14】 この発明による広帯域カラー画像信号送信
装置および受信装置の構成例を示すブロック線図であ
る。
【図15】 同じくそのサブサンプル伝送系における動
画像領域色差信号の伝送可能空間周波数帯域の例を示す
特性曲線図である。
【図16】 この発明による広帯域カラー画像信号送信
装置および受信装置におけるエンコーダおよびデコーダ
の概略構成をそれぞれ示すブロック線図である。
【図17】 フィールド内ラインオフセット・サブサン
プル伝送画像信号の空間周波数領域におけるサンプルキ
ャリヤの位置を示す線図である。
【図18】 フィールド間オフセット・サブサンプル伝
送画像信号の空間周波数領域におけるサンプルキャリヤ
の位置を示す線図である。
【図19】 フィールド内ラインオフセット・サブサン
プル伝送画像信号の空間周波数領域における伝送可能周
波数帯域を示す線図である。
【図20】 フィールド間オフセット・サブサンプル伝
送画像信号の空間周波数領域における伝送可能周波数帯
域を示す線図である。
【図21】 図16に示したエンコーダおよびデコーダ
の各部におけるサンプリングパターンを順次に示す線図
である。
【符号の説明】
21 水平方向低域通過フィルタ(LPF) 22 サンプルレート変換器 23 フィールド内プリフィルタ 24 ラインオフセット・サブサンプラ 25 フィールド内補間フィルタ 26 サンプルレート変換器 27 水平方向低域通過フィルタ(LPF) 28 減算器 29 フレーム内垂直方向フィルタ 30 加算器 31 水平方向低域通過フィルタ(LPF) 32 減算器 33 フレーム内垂直方向フィルタ 34 加算器 41 アナログ・ローパスフィルタ 42 アナログ・ディジタル(A/D)変換器 43 プリフィルタ 44−1,44−2 フィールドメモリ 45 ディジタルフィルタ 46 フィールドオフセット・サブサンプラ 47 ポストフィルタ 48−1,48−2 フィールドメモリ 49 ディジタルフィルタ 50 ディジタル・アナログ(D/A)変換器 51 アナログ・ローパスフィルタ 61 アナログ・ディジタル(A/D)変換器 62 マトリックス回路 63 低域通過フィルタ(LPF) 64 サブサンプラ 65 TCI回路 69 ミクサ 70 多重回路 71 フレームオフセット・サブサンプラ 72 ディジタル・アナログ(D/A)変換器 73 アナログ・ディジタル(A/D)変換器 76 ミクサ 77 逆TCI回路 78 逆マトリックス回路 79 ディジタル・アナログ(D/A)変換器 81R ,81B ,82R ,82B フィールドメモリ 83R ,83B 垂直方向フィルタ 84 フレーム内内挿回路 85R ,85B ,86R ,86B フィールドメモリ 87R ,87B 垂直方向フィルタ 88 内挿補間用フィルタ 91 アナログ・ディジタル(A/D)変換器 92 水平方向低域通過フィルタ(LPF) 93 サンプリング周波数変換回路 94 垂直方向低域通過フィルタ(LPF) 95 サブサンプリング回路 96 水平方向低域通過フィルタ(LPF) 97 サブサンプリング回路 98 ディジタル・アナログ(D/A)変換器 99 アナログ・ディジタル(A/D)変換器 100 フィールド間内挿回路 101 フィールドメモリ 102 水平方向低域通過フィルタ(LPF) 103 サブサンプリング回路 104 垂直方向低域通過フィルタ 105 サンプリング周波数変換回路 106 水平方向低域通過フィルタ(LPF) 107 ディジタル・アナログ(D/A)変換器
フロントページの続き (72)発明者 山口 孝一 東京都世田谷区砧1丁目10番11号 日本 放送協会 放送技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−86994(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04N 11/00 - 11/22 H04N 7/00 - 7/68

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原始サンプリングを施した広帯域カラー
    画像信号の少なくとも輝度信号成分に2フレームを周期
    として一巡するライン間乃至フレーム間のオフセット・
    サンプル・パターンによりオフセット・サブサンプリン
    グをそれぞれ施して帯域圧縮した前記広帯域カラー画像
    信号を伝送する広帯域カラー画像信号送信装置におい
    て、該装置は、 動画像の画像信号に対して、フィールド間のオフセット
    ・サブサンプリングを行うためのフィールド・オフセッ
    ト・サブサンプラと該フィールド・オフセット・サブサ
    ンプラの入力側に接続されたフィールド間プリフィルタ
    とを備え、 前記フィールド間プリフィルタは、縦続接続された2個
    のフィールドメモリと、該フィールドメモリの各入出力
    をフィールド周期で切替えて出力する切替器と、該切替
    器によって切替えられた前記フィールドメモリの入出力
    信号が入力され前記フィールド間のオフセット・サブサ
    ンプリングに伴って再構成画像に生ずる折り返し歪みを
    減少させる帯域制限フィルタとからなるフィールド間プ
    リフィルタであることを特徴とする広帯域カラー画像信
    号送信装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の広帯域カラー画像信号送
    信装置から伝送されてきた前記帯域圧縮した広帯域カラ
    ー画像信号を受信して帯域圧縮される以前の広帯域カラ
    ー画像信号を再構成する広帯域カラー画像信号受信装置
    において、該装置は、 動画像の画像信号に対して、フィールド間でサンプル値
    の内挿補間を施すフィールド間ポストフィルタであっ
    て、縦続接続された2個のフィールドメモリと、奇偶の
    フィールドよりなるフレーム単位で少なくとも輝度信号
    の帯域制限およびサンプル値の内挿補間の信号処理が完
    結するように前記フィールドメモリの各入出力を送受対
    応させてフィールド周期で切替えて出力する切替器と、
    該切替器によって切替えられた前記フィールドメモリの
    入出力信号が入力され前記フィールド間でサンプル値の
    内挿補間を施す補間フィルタからなるフィールド間ポス
    トフィルタを備えることを特徴とする広帯域カラー画像
    信号受信装置。
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