JP3437577B2 - 植物由来のatp依存フルクトース6リン酸1ホスホトランスフェラーゼをコードするdna,それを含む組換えベクター及びそれを用いる低温下で植物細胞中の糖含量を変化させる方法 - Google Patents

植物由来のatp依存フルクトース6リン酸1ホスホトランスフェラーゼをコードするdna,それを含む組換えベクター及びそれを用いる低温下で植物細胞中の糖含量を変化させる方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物由来のATP依存フルクトース6リン酸
1ホスホトランスフェラーゼ(EC 2.7.1.11)(以下、
「PFK」という)をコードするDNA、それを含む組換えベ
クター及び該組換えベクターを用いて低温下で植物細胞
中の糖含量を変化させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PFKは、解糖系の律速反応を触媒し、フルクトース6
リン酸(以下F6Pと称する)をフルクトース1,6二リン酸
にリン酸化する酵素である。
【0003】 植物組織を低温下に晒すと一般にスークロース、グル
コース、フルクトース等の糖含量が増加することが知ら
れている。例えば、バレイショ塊茎もその例外ではない
が、塊茎低温貯蔵中に生じるグルコース、フルクトース
といった還元糖のの蓄積はポテトチップ加工時の過度の
褐変の原因になり産業上好ましくない。この還元糖蓄積
が生じる原因については様々な仮説があるが、低温下で
は解糖系活性が著しく低下し、その結果、デンプン分解
物のスクロース合成系側への流入が促進され、それが原
因で還元糖が蓄積すると考えられている。解糖系はPFK
によって律速され、且つPFKは低温に弱い酵素であるこ
とが広く知られていることから、低温下における解糖系
活性の著しい低下の原因は、PFKの著しい活性低下に起
因すると考えられている。
【0004】 PFK遺伝子単離に関しては、大腸菌、好熱菌、枯草菌
及びマイコプラズマ等の原核生物由来のもの並びにヒト
筋肉、ヒト肝臓、ウサギ筋肉及びマウス肝臓等の真核生
物組織由来のものが論文で報告されている。しかしなが
ら植物PFK遺伝子の単離報告はない。また低温耐性PFKを
コードしている遺伝子を単離したという報告もない。そ
れ故、従来技術では、低温耐性PFK遺伝子導入による低
温低糖性バレイショの作出、あるいはPFKアンチセンスR
NAを発現させ植物組織内の解糖系活性を抑制することに
よって、糖含量の高い新しい味覚を有する作物を作出す
ることができない。
【0005】 植物にPFK遺伝子を導入した例として欧州特許公開第0
438 904号(特開平4−341126号公報)がある。この公
開公報に記載された発明では、大腸菌PFK遺伝子をバレ
イショ、イネで発現させ、糖代謝系の中間代謝物量に変
化が生じることを示した。特に、バレイショでは収穫直
後の塊茎中のスクロース含量が減少することを示した。
しかし、この公報記載の発明では、加工用バレイショで
産業上問題となる低温貯蔵下の塊茎中のグルコース、フ
ルクトース量の減少については述べられていない。大腸
菌PFKが低温下で不安定な酵素であること(Kruger,N.J.
(1989)Biochemical Society Transaction 629th Meet
ing,London Vol.17 760−761)を考慮すれば、大腸菌PF
K遺伝子をバレイショに導入し、塊茎で発現させる方法
では低温低糖性バレイショ品種を作出できないことは容
易に想像が付く。本目的を達成するには低温耐性PFKを
コードする遺伝子が必要である。しかし、低温耐性PFK
遺伝子を単離したという従来技術はない。
【0006】 収穫後のバレイショ塊茎を低温貯蔵することは、病
気、発芽、老化を抑制し長期保存するうえで非常に重要
である。しかし、低温貯蔵した塊茎をポテトチップやフ
レンチフライの原料として直接使用する場合、加工中に
過度の褐変を生じ製品(特にポテトチップ)の商品価値
が著しく低下する。この褐変は、塊茎中に含まれるアミ
ノ酸と還元糖が高温の油で加工する際に生じるメイラー
ド反応によって起こることが知られている(Schallenbe
rger,R.S.et al.,(1959)J.Agric.Fd Chem.,,27
4)。塊茎を低温貯蔵すると塊茎中の還元糖(グルコー
ス・フルクトース)量が増加し、塊茎中のグルコース・
フルクトース量と製品の褐変度の間に高い相関が見られ
ることが知られており、低温貯蔵中のグルコース・フル
クトース量の増加が、加工中に過度の褐変を生じる主要
因と考えられている(Gray,D and Hughes,J.C.(1978)
The Potato Crop(ed.P.M.Harris),Chapmann & Hall,
London,pp.504−544)。
【0007】 現在、ポテトチップ加工業者は発芽抑制剤を併用し8
℃前後(品種により異なる)の低温で貯蔵した塊茎を原
料として用いている。しかし、許容範囲を越える還元糖
の蓄積があり、加工前にブランチングあるいはリコンデ
ィショニングと呼ばれる処理をし、塊茎組織の還元糖量
を減らしてから使用している。これらの処理は費用や手
間が掛かり、現在使用されている貯蔵温度で還元糖を蓄
積しないバレイショ新品種が作出されれば、それは加工
業者にとってコスト低減につながるという利点がある。
さらに、2〜4℃という低温貯蔵下で還元糖を蓄積しに
くいバレイショ品種を作出できれば、ブランチングやリ
コンディショニングといった加工前処理に費やす手間や
費用を節減できるだけではなく、老化あるいは乾物重ロ
スの原因となる発芽を抑制でき、安全性に問題のある発
芽抑制剤を使用せずに塊茎の長期保存が可能になる。そ
うした意味で低温低糖性のバレイショ品種の作出に対す
る加工業者の要求は強い。
【0008】 この問題となる低温貯蔵中のグルコース・フルクトー
ス量の増加は、低温下での塊茎中の様々な生理的変化に
より生じるが、そのなかでも、解糖系の律速酵素と言わ
れるPFKの低温下での著しい活性低下が主要な原因であ
ると考えられている(Dixson,W.L.and ap Rees,T.(198
0)Phytochem.,19,1653;Dixson,W.L.et al.,(1981)Ph
ytochem.,20,969;Pollock,C.J.and ap Rees,T.(1975)
Phytochem.,14,613)。低温貯蔵中の塊茎では、還元糖
はデンプンの分解により供給されると考えられ、その代
謝過程でF6Pを経由する。F6Pを基質とする生体反応には
大きく分けて2つある。1つはF6Pを解糖系へ流すPFKに
触媒される反応、もう1つはF6Pをスクロース合成系へ
流すスクロース6リン酸合成酵素(以下SPSと称する)
(EC.2.4.1.14)に触媒される反応である。つまりこの
2酵素は基質のF6Pを巡って競合関係にある。収穫後常
温で貯蔵したバレイショ塊茎では、発芽や老化を起こさ
ない限り通常グルコースとフルクトースの蓄積量は非常
に少ない。これはPFKがSPSとの競合で勝り、F6Pの大部
分が解糖系側に流れ込むためと考えられる。しかし、低
温下ではPFKの酵素活性が著しく低下し、SPSがPFKとの
競合に勝り、F6Pは解糖系よりもスクロース合成系に優
先的に流れ込むようになる。そしてスクロースは最終的
にインベルターゼ(EC.3.2.1.26)の働きによってグル
コースとフルクトースになり蓄積すると考えられてい
る。このようにPFKの活性低下に起因する解糖系活性の
減少が、低温貯蔵中にバレイショ塊茎中のグルコースと
フルクトース量を増加させる原因と考えられている。こ
の仮説を裏付けるように、Hammond等(Planta 180,613
−616.1990)は、スコットランド作物研究所で作出され
た低温低糖性品種の塊茎には低温貯蔵中に還元糖含量が
増加する通常品種にはない低温耐性PFKが存在すること
を報告しており、塊茎中のPFKの低温耐性の強弱が低温
貯蔵中のグルコース、フルクトース量を決定する主要因
である可能性が示されている。
【0009】 もし、低温耐性PFKをコードするDNAが得られれば、そ
れをバレイショに導入し低温貯蔵中の塊茎で発現させる
ことにより解糖系活性を高めることができ、その結果、
還元糖量の少ない低温低糖性バレイショを作出できる。
これにより、加工業者は糖含量を低下させるために現在
行っているブランチングやリコンディショニング処理に
費やしているコストを節約できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、低温耐性PFKをコードするD
NAを提供することである。さらにまた、本発明の目的
は、低温耐性PFKを宿主細胞内で発現することができる
組換えベクターを提供することである。さらに、本発明
の目的は、該組換えベクターを用いて植物を形質転換す
ることにより低温下で植物細胞中の糖含量を変化させる
方法を提供することである。
【0011】 本願発明者らは、上記目的を達成するために、低温耐
性PFKを有する植物組織、具体的にはバレイショ品種Bro
dickの塊茎に由来するPFKのアイソザイムの1つをコー
ドする相補的遺伝子(cDNA、翻訳領域及び非翻訳領域を
含む)の単離並びに構造解明を試みた結果、これに成功
し、且つ本遺伝子が大腸菌およびバレイショ塊茎中で低
温耐性PFKを発現させることを確認し、且つ本遺伝子を
発現させたバレイショの低温貯蔵塊茎中のグルコース含
量の減少およびそれを材料として調製したポテトチップ
の色の改善を確認し、且つ本遺伝子をプローブとして種
々植物PFK遺伝子の単離に成功し、且つ種々植物PFKに特
異的で且つ共通に存在するアミノ酸配列を同定し本発明
を完成した。
【0012】 すなわち、本発明は、配列表の配列番号2で示される
アミノ酸配列をコードするDNAを提供する。また、本発
明は、上記本発明のDNAを含み、宿主細胞内で植物由来
のATP依存フルクトース6リン酸1ホスホトランスフェ
ラーゼを発現することができる組換えベクターを提供す
る。さらに、本発明は、上記本発明の組換えベクターで
植物を形質転換することから成る、低温下で植物細胞中
の糖含量を変化させる方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
上述のように、DNAは植物PFKをコードするものであ
り、その具体例であるバレイショ(Solanum tuberosum
L.)、フラベリア(Flaberia brownii)、イネ(Oryza
sativa)、トウモロコシ(Zea mays)、ラディッシュ
(Raphanus sativus)PFKコードDNAは、各々下記配列表
の配列番号2、4、6、8、10で示されるアミノ酸配列
をコードする。このようなDNAの具体例として、下記実
施例において実際にクローニングされ、塩基配列が決定
された、配列表の配列番号1、3、5、7、9で示され
るDNAを挙げることができるがこれに限定されるもので
はない(なお、配列番号2、4、6、8、10のアミノ酸
配列は各々配列番号1、3、5、7、9に示されている
アミノ酸配列と同じである)。特に、配列番号1、3、
5、7、9で示されるものはcDNAであるが、本発明によ
り、植物PFKのアミノ酸配列及びこれをコードするDNAの
塩基配列が明らかにされたので、これらの塩基配列の両
端部分をプライマーとして用い、ゲノミックDNAを鋳型
として用いたPCR法により、配列番号2、4、6、8、1
0で示されるアミノ酸配列をコードするゲノミックDNAを
容易に調製することができる。従って、このようなゲノ
ミックDNA(イントロン部分を含み得る)も本発明の範
囲に入るものと解釈する。
【0014】 上記した、配列番号2で示されるアミノ酸配列をコー
ドするDNAや、配列番号1で示される塩基配列を有するD
NAがコードする植物PFKは、後述の実施例で具体的に示
されるように、5℃におけるQ10値(後述)が2.4以下で
ある。5℃においてQ10値が2.4以下であるPFKは低温耐
性を有すると言える。
【0015】 本発明のDNAは、例えば次のような方法により得るこ
とができる。
【0016】 まず、植物組織よりPFKに対応するポリ(A)+RNAを
分離する際には、まず分解を受けていない全RNAを単離
することが望ましい。また、低温耐性PFKを有すること
が知られている植物組織、具体的にはバレイショ低温低
糖性品種Brodickの低温貯蔵塊茎を材料に用いるのが望
ましい。
【0017】 バレイショ塊茎より全RNAを単離する方法としては、
例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)/フェノール法
などがある。調製した全RNAからPFKポリ(A)+RNAを得
るには、ダイナビーズmRNA精製キット(DYNAL)などを
用いることができる。この処理によって直接PFKポリ
(A)+RNAを単離することは容易でないので、得られた
ポリ(A)+RNA集団を鋳型としてcDNAを作成し、これら
を有する微生物集団(cDNAライブラリー)を作成するこ
とが望ましい。具体的には、GublerとHoffmanの方法(G
ene,25:263,1983)等により2本鎖cDNAを合成し、アダ
プターDNAを介してDNAリガーゼにより適当なベクターに
結合させ、宿主となる微生物を形質転換させ、cDNAライ
ブラリーを作成する。ここで用いるベクターとしては、
大腸菌を宿主とする場合、pUC系あるいはλファージ系
のものが利用しやすい。しかし、最も効率的に当該遺伝
子をスクリーニングするには、バレイショ品種Brodick
塊茎ポリ(A)+RNAより合成された2本鎖cDNAを制限酵
素Eco R IとNot Iの認識部位を有するアダプターDNAを
介してλgt10ファージベクターのEco R I部位にDNAリガ
ーゼにより結合させた後、ファージ粒子を形成させ、cD
NAライブラリーを作成すれば良い。次いで、このcDNAラ
イブラリーからPFKポリ(A)+RNAに対応するcDNAクロ
ーンを同定する。
【0018】 PFKcDNAクローンの同定は、精製した植物PFKの部分ア
ミノ酸配列の決定に基づいて合成したオリゴヌクレオチ
ド、あるいはこれらオリゴヌクレオチドをプライマーと
し植物ゲノムDNAあるいはcDNAを鋳型としてポリメラー
ゼチェイン反応(PCR)によって増幅したPFK遺伝子の塩
基配列の一部を有するDNAをプローブに用い、プラーク
ハイブリダイゼーション法によって行うことができる。
【0019】 次に、バレイショ塊茎PFKコードDNAを有する形質転換
体をプレートライセート法等により大量培養し、常法、
例えばSambrook等の方法(Molecular Cloning:A Labora
tory Manual/Second Edition,Cold Spring Harbor Labo
ratory Press,1989)によりファージDNAを精製し、さら
に、制限酵素Not 1で消化、アガロース電気泳動等を行
うことにより、PFKをコードするcDNAを得ることができ
る。さらに、バレイショPFK遺伝子が一旦単離されたな
らば、この単離されたPFK遺伝子若しくはその一部をプ
ローブとして用いることにより、又はその一部をPCR用
のプライマーとして用いることにより種々の植物からPF
K遺伝子を容易に単離することができる。
【0020】 下記実施例に記載するように、種々の植物のPFK遺伝
子のcDNAがクローン化され、その塩基配列及び推定アミ
ノ酸配列が決定された。種々の植物のPFK遺伝子のアミ
ノ酸配列を比較することにより、植物PFKに共通な、5
個以上のアミノ酸残基を有する13種のアミノ酸配列が同
定された。従って、これらの配列若しくはその一部をコ
ードする核酸又はこれらの配列をコードする領域を含む
核酸であって、所望のPFK遺伝子とハイブリダイズする
ものをプローブ又はPCR用プライマーとして用いること
により種々の植物のPFK遺伝子を検出又は増幅すること
ができる。表7に示すアミノ酸配列をコードするDNAは
容易に化学合成できる。表7に示す配列のうち、配列
(1)、(4)、(11)及び(12)(すなわち、配列表
の配列番号11、14、21及び22)は植物のPFKに共通する
が植物以外の生物のPFKには見られないものである。従
って、これらの配列を用いることにより、他の生物由来
のPFKが混入する可能性を排除して植物PFKを検出又は増
幅することができる。プローブとしては、ヌクレオチド
数15以上、遺伝子の全長以下の長さのものが好ましい。
オリゴヌクレオチドを放射マーカー又は蛍光マーカー等
で標識する方法はこの分野において周知である。また、
PCR用のプライマーとしては、ヌクレオチド数15ないし3
0のものが好ましい。
【0021】 このようにして得られるPFKcDNAの利用方法として
は、まず第一に、これを微生物、植物および動物のベク
ター等に組み込んで微生物、植物および動物を形質転換
し組織中のPFK活性を増大できることである。さらに別
の利用法として、PFKcDNAを逆向きにベクターに挿入
し、バレイショ等の植物組織中で発現させ、本来植物が
有するPFK活性を抑制できることである。
【0022】 ここで、微生物としては大腸菌等のエスケリッチア属
等の細菌やパン酵母等のサッカロミセス属等の酵母があ
る。また、植物としては主としてアグロバクテリウム属
細菌−Ri/Tiプラスミド系による形質転換が可能な双子
葉植物、例えばバレイショ、タバコ、トマト等に代表さ
れるナス科植物、メロン、キュウリ等のウリ科植物、ダ
イコン、ナタネ等のアブラナ科植物、ブドウ、柑橘類等
の果樹類が挙げられる。その他、PEG−リン酸カルシウ
ム法、エレクトロポレーション法、パーティクルボンバ
ードメント法等による形質転換が可能な植物としては、
イネ、トウモロコシ等に代表されるイネ科植物等の単子
葉植物がある。動物では、ヒト、マウス等の各種培養細
胞(BALB/c−3T3等)が挙げられる。これらの宿主に使
用されるベクターを以下に例示する。
【0023】 文献(Molecular Cloning:A Laboratory Manual/Seco
nd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,198
9等)に記載の各種プラスミドベクター(pBR322、pUC系
プラスミド等)およびファージベクター(λgt10、λgt
11、λZAP等)などがあり、酵母、動物細胞のベクター
としては、文献(Molecular Cloning:A Laboratory Man
ual/Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory P
ress,1989等)に記載の各種ベクターが挙げられる。植
物のベクターとしては、通常クローニングに用いられる
プラスミド由来の各種ベクターやバイナリーベクター
(pGA482、pBin19等)などのTiプラスミド由来のベクタ
ー類が挙げられる(文献:An,G.et al(1986)Plant Phy
siol.81,301;Bevan,M.,(1984)Nucleic Acids Researc
h 12,8711等)。但し、Tiプラスミド由来の植物ベクタ
ーの場合は、得られた組換えDNAを一旦アグロバクテリ
ウム・ツムファシエンス等(LBA4404等)のアグロバク
テリウム属の細菌に導入し、本組換え微生物を植物組織
あるいはカルスと共存培養等により感染させることによ
って、宿主植物に該cDNAを導入することができる(文
献:Komari,T.(1989)Plant Science,60,223;Visser,R.
G.F.et al.,(1989)Plant Molecular Biology 12,329
等)。なお、植物においてこれらの組換えDNAを有する
個体を育成するには、公知の組織培養法により器官ある
いは個体を再生させればよい。
【0024】 以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明す
る。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるもので
はない。
【0025】 1:バレイショPFKの精製 バレイショ品種RecordあるいはMaris piperの塊茎5kg
からKruger等の方法(Arch.Bioichem.Biophys.267,690
−700.1988)に従ってPFKを精製した。但し、ATPアガロ
ースカラムクロマトグラフィーを行ったのちモノQカラ
ムクロマトグラフィーは行わず、4M尿素を含むドデシル
硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS
−PAGE)により分画、精製した。具体的には、PFK活性
を含む画分を限外濾過により約0.5mlに濃縮したのち、
等量の試料用緩衝液(62.5mM Tris−HCl(pH6.8),2%S
DS,5% 2−メルカプトエタノール、10%グリセロー
ル、4M尿素、0.001%ブロムフェノールブルー)を加え6
5℃で10分間加熱処理した試料を電気泳動に供試した。
ゲル組成は、Kruger等の方法(Arch.Bioichem.Biophys.
267,690−700.1988)に従った。泳動後のゲルをクマシ
ーブリリアントブルーR−250(CBB)で染色したのち分
子量約53kDaのPFKポリペプチドを含む部分をカミソリで
切り出した。ポリペプチドはバイオラッド社製電気溶出
装置(Model422 Electroeluter)を使ってゲルから溶出
し、50mM重炭酸アンモニウム、0.001%SDS溶液中で透析
後、真空乾燥した試料を最終精製標品とした。
【0026】 2:バレイショPFKのアミノ酸配列の決定 Kruger等の方法(Arch.Bioichem.Biophys.267,690−7
00.1988)に従って、V8プロテアーゼ(Staphylococcus
aureus由来)で消化した精製PFK標品は、Kruger等の方
法(Arch.Bioichem.Biophys.267,690−700.1988)に従
ってSDS−PAGEで分画したのち、電気的にPVDF膜(Milli
pore)に転写した。転写されたポリペプチドをCBBで染
色したのち染色バンドをPVDF膜と共にカミソリで切出
し、N末端アミノ酸配列決定に供試した。精製PFKのN
末端アミノ酸配列の決定には、PFK最終精製標品をその
まま供試した。解析は、固相あるいは気相シークエンシ
ング法により行った(リーズ大学生化学部あるいはケン
ブリッジ大学生化学部に委託)。いずれの試料からも精
製PFKのN末端アミノ酸配列が得られ、その結果を表1
に示した。このアミノ酸配列をデータベース検索(The
Swiss Prot data bank(Release 23))により既知のタ
ンパク質のアミノ酸配列と比較したが有意な相同性は見
られなかった。
【0027】
【表1】
【0028】 3:決定したバレイショPFKの部分的アミノ酸配列をコー
ドするDNAの合成 決定したアミノ酸配列に基づき、表2に示したDNA配
列をDNA合成機(Applied Biosystems)でマニュアルに
従って合成し、下記のポリメラーゼチェイン反応(PC
R)にプライマーとして使用した。
【0029】
【表2】
【0030】 4:ポリ(A)+RNAの調製 5℃で4ヵ月貯蔵したバレイショ品種Brodickの塊
茎、品種RecordあるいはBrodickの塊茎芽生えからSDS−
フェノール法により全RNAを単離した。RNAからポリ
(A)+RNAの精製は、ダイナビーズmRNA精製キット(DY
NAL)を用い、添付されているマニュアルに従って行な
った。
【0031】 5:cDNA合成 単離したポリ(A)+RNAを鋳型として、オリゴdT(12
−18)あるいはランダムヘキサヌクレオチドをプライマ
ーとしてRNase H−free逆転写酵素(BRL)を使い、まず
1本鎖cDNAを合成した。次に、cDNA合成キット(Amersh
am)を使い2本鎖cDNAを合成した。ここで合成した1本
鎖cDNAは下記のPCRの鋳型として、2本鎖cDNAは下記のc
DNAライブラリーの作成に使用した。cDNAの合成方法
は、試薬あるいはキットに添付されている方法に従っ
た。
【0032】 6:λgt10 cDNAライブラリーの作成 品種Brodick塊茎のポリ(A)+RNAからオリゴdT(12
−18)をプライマーとして合成した、あるいはを品種Re
cordの塊茎芽生えのポリ(A)+RNAからランダムヘキサ
ヌクレオチドをプライマーとして合成した2本鎖cDNAを
使いλgt10 cDNAライブラリーを作製した。λgt10cDNA
クローニングキット(Amersham)を使い、添付されてい
るマニュアルに従ってライブラリーを作成した。但しキ
ットに含まれるアダプターは用いず、Eco R1/Not 1アダ
プター(Pharmacia LKB)を使用した。
【0033】 7:精製したPFKのN末端部分をコードするcDNAの単離 表1に示すアミノ酸配列をもとにDNA合成機で合成し
たN10、N20RI(表2)各500pmolをプライマーとして、
品種RecordのゲノムDNAあるいはBrodick芽生えポリ
(A)+RNA由来の一本鎖cDNA各々1.0、0.1μgを鋳型と
してPCRを行った。緩衝液はTaqポリメラーゼ(Ampri Ta
q:Perkin−Elmer Cetus)に添付されているものをマニ
ュアルに従って使用した。酵素は2.5U、各ヌクレオチド
は20nmolずつ加え、総容量100μlで反応を行った。94
℃ 1分、50℃ 2分、72℃ 2分の一連の反応を35回
繰り返したのち72℃で10分反応させた。反応液の一部を
取り、4%アガロースゲル電気泳動で解析したところ、
いずれのDNAを鋳型にした場合も約60塩基対のPCR産物が
検出された。これら約60塩基対のDNAをプラスミドベク
ターpCR1000(Invitrogen)に添付されているマニュア
ルに従ってサブクローニングした。その結果、数多くの
組換えプラスミドを有する大腸菌コロニーを得た。この
うち、約60塩基対の挿入断片を持つ7クローン(Record
cDNA由来4クローン、BrodickゲノムDNA由来3クロー
ン)から常法に従ってプラスミドを回収した。これら7
クローンが有するPCR産物の塩基配列をジデオキシチェ
インターミネーション法で決定した。SEQUENASE Var2
(U.S.Biochemical Corp)を使い、添付されているマニ
ュアルに従って塩基配列を決定した。1クローンを除き
他の6クローン(Record cDNA由来4クローン、Brodick
ゲノムDNA由来2クローン)は共通のDNA塩基配列(23塩
基対)を有していた。この23塩基をDNA合成機で合成し
たものをPFK23(表3)と名付け、下記のPCRのプライマ
ーとして、あるいはcDNAライブラリーのスクリーニング
の際にプローブとして使用した。
【0034】
【表3】
【0035】 8:部分長PFKcDNAの単離 品種Record芽生えλgt10cDNAライブラリー(15万pf
u)をプレートライセート法で増幅したのち精製したλD
NA1.0μgを鋳型として、PFK23とλgt10のDNA塩基配列
を持つλ1232(表4)各100pmolをプライマーとしてPCR
を行った。アニーリング温度が60℃である点を除き、反
応条件は前出のPCRと同様である。その結果、約600塩基
対のPCR産物が得られた。このPCR産物を前出のプラスミ
ドベクターpCR1000にサブクローニングし、得られた組
換えプラスミドの1つをpPFK01と命名した。プラスミド
pPFK01に挿入されているPCR産物のDNA塩基配列を前出の
方法に従って決定した。DNA塩基配列からアミノ酸配列
を推定したところ、一部は既知のPFKのアミノ酸配列と
有意な相同性を示した。また5'末端には上記の精製PFK
から決定されたアミノ酸配列をコードするDNA塩基配列
が存在した。
【0036】 9:完全長PFKcDNAの単離 プラスミドpPFK01を制限酵素Not 1で切断して得られ
る約600塩基対のDNA断片を放射性同位元素32Pで標識
し、これをプローブとして品種Brodick塊茎λgt10cDNA
ライブラリー(約40万pfu)をプラークハイブリダイゼ
ーション法によりスクリーニングした。その結果、57個
の独立の陽性プラークを得た。このうち24プラークを無
作為に選び、上記約600塩基対のDNA断片とPFK23をプロ
ーブとして2次スクリーニングを行った。その結果、11
クローンが両標識プローブに対し陽性であった。更に三
次スクリーニングの後、これら独立の11クローンからプ
レートライセートを調製した。ライセート10μlを鋳型
として、また表4に示した合成DNAλ1232およびλ1231
各50pmolをプライマーとしてPCRを行った。アニーリン
グ温度が60℃である点を除き、前出のPCRと同様に反応
を行った。PCR産物を0.8%アガロースゲル電気泳動で解
析した結果、λDNAの部分を除いたcDNA断片のみの長さ
は約1700−2200塩基対と推定された。前出の約600塩基
対のDNA断片を放射性同位元素32Pで標識したプローブを
使い、バレイショ塊茎ポリ(A)+RNAを常法に従ってノ
ーザン解析したところ、PCRの結果とほぼ一致する約200
0−2300塩基のポリ(A)+RNAが検出された。これらの1
1個のλgt10クローンから制限酵素Not 1で切出された挿
入DNA断片部分をプラスミドベクターpBruescript SK II
(−)(Stratagene)の制限酵素Not 1認識部位にサブ
クローニングした組換えプラスミドをpPFK16、17、19、
26、28、29、31、32、33、34、35と命名した。
【0037】
【表4】
【0038】 pPFK32のcDNA挿入断片については全DNA塩基配列1978
塩基対を前出の方法に従って決定し、アミノ酸配列と共
に配列表の配列番号1に示した。決定した精製PFKのN
末端アミノ酸配列(配列表の配列番号1中の第3番目の
スレオニンから第26番目のロイシンまで(もっとも、精
製PFKの第24、25番目のアミノ酸は表1に示すように決
定できなかった))を含む485アミノ酸に翻訳される145
5塩基対からなる領域を有していた。推定アミノ酸配列
から、精製バレイショ塊茎PFKポリペプチドのN末端よ
りも2アミノ酸上流に開始コドンにコードされるメチオ
ニンがあった。推定分子量は53.8キロダルトンで、Krug
er等(Arch.Biochem.Bioiphys.267,690−700.1988)が
推定したバレイショ塊茎PFK−dポリペプチドの分子量5
3キロダルトンとほぼ一致した。133−135番目のATGがPF
Kの開始コドンである理由は、まず、このATGの前にフレ
ームの異なる終止コドン(例えばTGA:15−17番目、TAA:
26−28番目、TGA:55−57番目)が存在し、単離したcDNA
の1番目の塩基C以前にATGがたとえ存在してもそれはP
FKの開始コドンとはならないからである。また、36−38
番目にATGが存在するが、90−92番目に終止コドン(TG
A)が同じフレームで存在し、このATGはPFKの開始コド
ンにはならない。
【0039】 《単離したcDNAにコードされるPFKの特性》 10:植物PFK遺伝子の大腸菌での発現 単離した遺伝子がまちがいなく酵素活性を持つPFKを
コードする遺伝子であることを証明するためには、その
遺伝子を実際に発現させる必要がある。そこで、単離し
た遺伝子を下記のように大腸菌に導入してその発現を試
みた。
【0040】 まず、プラスミドpPFK32 250ngを鋳型として、制限
酵素Eco R1、Pst 1認識部位をそれぞれ導入したPFK32と
PFK32R(表5)各30pgをプライマーとしてPCRを行っ
た。アニーリング温度が30、35あるいは40℃であるこ
と、反応回数が5回であること、DNAポリメラーゼとし
てpfuDNAポリメラーゼ(Stratagene)を使用したことを
除き、前出の方法と同様に反応を行った。PCR産物を0.8
%アガロースゲル電気泳動で分画後、目的の約1800塩基
対のバンドを切り出し、常法に従ってDNAをゲルの中か
ら回収した。この約1800塩基対のDNAを制限酵素Eco R
1、Pst 1で切断後、制限酵素Eco R1、Pst 1で切断した
大腸菌発現プラスミドベクターpKK223−2(Pharmasia
LKB)に組込んだ。この組換えプラスミド(pKK32)を常
法に従って大腸菌XL1−Blue(Biotechniques.5,4.376−
378,1987)に導入後、抗生物質カーベニシリン(50μg/
ml)を含むLuria−Bertani(以下LBと称する)寒天培地
上、37℃で一晩培養した。出現した多数のコロニーの中
から110個を選び、プラスミドpPFK32から制限酵素Not 1
で切り出される約2000塩基対のDNA断片を放射性同位元
素32Pで標識し、これをプローブとしてコロニーハイブ
リダイゼーションを行った結果、66個の陽性コロニーを
得た。これらバレイショPFK遺伝子の導入が確認された
大腸菌は、微生物PFKとは活性制御の受け方の異なるPFK
が発現して代謝を乱すためか、イソプロピルβ−D−チ
オガラクトピラノシド(以下IPTGと称する)1mMを含むL
B寒天培地上ではほとんど生育できなかった。そこで、
以下のように大腸菌に導入したPFK遺伝子を発現させ
た。まず、カーベニシリン(50μg/ml)を含むLB液体培
地中で600nm吸光値が0.3−0.7になるまで37℃で振盪培
養した。次にIPTG(1mM)を加え、一定時間振盪培養後
菌体を回収し、Tabita等の方法(Anal.Biochem.84,462
−472,1978)に従いトルエンで溶菌後、PFK活性をKruge
r等の方法(Arch.Biochem.Bioiphys.267,690−700.198
8)に従い測定した。大腸菌No.58株は、コントロールの
大腸菌No.1株(pKK223−2を導入)に比べ約7倍高いPF
K活性を示した(図1)。
【0041】
【表5】
【0042】 次に、大腸菌No.58株の持つ高PFK活性が植物PFKに由
来するのか、それとも大腸菌XL1−BlueのPFK活性に由来
するのかを調べるため、免疫滴定実験をKruger等の方法
(Arch.Bioichem.Biophys.267,690−700.1988)に従っ
て行った。
【0043】 免疫滴定実験の結果、大腸菌No.58株の持つ高PFK活性
は抗大腸菌PFK抗体ではほとんど除去されなかったが、
抗バレイショPFK−c抗体(オックスフォード大学植物
科学部Kruger博士から譲渡)では有意に除去された(図
2)。この抗バレイショPFK−c抗体は、バレイショPFK
−cおよびPFK−dと強く反応し、大腸菌PFKとはほとん
ど反応しないことがウェスタンブロット解析、あるいは
免疫滴定実験により確認されている。
【0044】 以上の結果から、大腸菌No.58株でIPTG誘導発現した
蛋白質は間違いなくバレイショPFKであると同定され、
プラスミドpPFK32に挿入されているcDNAはバレイショPF
K遺伝子と同定された。
【0045】 11:バレイショPFKと他生物PFKのアミノ酸配列の比較 pPFK32の有するバレイショPFKをコードするcDNAの塩
基配列から推定したアミノ酸配列をデータベース(The
Swiss Prot data bank(Release 23))検索により既知
のPFKアミノ酸配列と比較した。報告のあるPFKと数十%
以下の相同性しか示さなかったが、相同部位はPFKを特
徴付ける基質、補酵素、制御物質の結合部位(Evans,P.
R and Hudson,P.J.(1979)Nature.,279,500−504)と
その周辺部に集中していた。有意な相同性を示した領域
はアミノ酸番号でおよそ98−321であり、アミノ酸番号
1−97、322−485のN末端、C末端領域では、報告のあ
る他生物PFKと有意な相同性はほとんど見い出せなかっ
た。報告のある真核生物PFKはF6Pが結合する触媒部位
と、それとアミノ酸配列が良く似ているフルクロース−
2,6−二リン酸が結合する制御部位の2つが1本のポリ
ペプチド鎖上にあるデュプリケート構造を有している。
今回単離した植物PFK遺伝子の塩基配列から決定された
アミノ酸配列はそのような構造を持たないことが明らか
になった。また、他生物PFKに共通して保存されている
アミノ酸であるにもかかわらずバレイショPFKでは保存
されていないアミノ酸がF6Pの推定結合部位のいくつか
を含めて数十個も存在した。以上のことは、植物PFKが
今まで報告のあるPFKとは異なる構造、機能を持つこと
を示唆している。
【0046】 また、植物には、プラスチド型と細胞質型の2種類の
PFKがあると言われている。本発明のバレイショPFKcDNA
にコードされるPFKは、精製タンパク質に比べ2アミノ
酸(Met、Gly)長いN末端を有しているが、この相違が
精製によって生じた切断によるものか細胞内で生じた切
断によるものか不明である。しかし、アミロプラストや
葉緑体といったプラスチドへのポリペプチドの輸送に関
与するトランジットペプチドを持たず、細胞質型PFKを
コードしていることが明らかになった。
【0047】 12:大腸菌で発現したバレイショ由来PFKの精製 バレイショPFKの発現が確認された大腸菌No.58株から
バレイショPFKを以下のように精製し、低温下での安定
性について調査した。約0.3gの菌体を抽出用緩衝液(10
0mM Tris−HCl(pH8.0),2mM MgCl2,1mM EDTA,14mM 2
−メルカプトエタノール、1mM PMSF,1μMロイペプチ
ン、1μMペプスタチン)に懸濁後、超音波破砕し、5
0,000xgで30分間遠心後、上清を回収した。次に、抽出
用緩衝液にグリセロールを10%(v/v)添加した緩衝液
Aで平衡化したシバクロンブルーアガロース(type3000
−CL、Sigma)カラム(16X55mm)に上清を掛けた。この
操作により大部分の大腸菌PFKはゲルに強く吸着し、バ
レイショPFKの大部分は、吸着せずフロースルーとして
回収された。次に、回収液を緩衝液Aで平衡化したリア
クティブレッド120−アガロース(type3000−CL、Sigm
a)カラム(16X110mm)に掛けてPFKを吸着させた。25ml
の緩衝液Aで洗浄後、0−1.0MKCl直線濃度勾配をつけ
た緩衝液A150mlを使いPFKを溶出した。PFK活性を含む画
分を集め、限外濾過(AmiconPM10膜)により3mlに濃縮
後、緩衝液Aで平衡化したバイオゲルP−6カラム(Bi
o−Rad)で脱塩した。最後に、脱塩した試料を緩衝液A
で平衡化したモノQカラム(0.5X50mm,Pharmacia LKB)
に掛けた。5mlの緩衝液Aで洗浄後、0−1.5MKCl直線濃
度勾配をつけた緩衝液A150mlを使いPFKを溶出した。PFK
活性を含む画分を集め精製標品とした。精製標品を尿素
/SDS−PAGEで分画後、ゲルをCBB染色、あるいはニトロ
セルロースフィルターにポリペプチドを転写し、抗バレ
イショPFK−c抗体を使ったウェスタンブロット解析を
行った結果、両者とも53キロダルトンのポリペプチドを
検出した(図3)。この結果、単離したPFK遺伝子はPFK
−dをコードすることが判明した。
【0048】 13:大腸菌で発現したバレイショPFKの低温耐性の確認 この精製したPFKを使用し酵素活性の低温安定性を0
〜25℃の温度範囲でHammond等の方法(Planta 180,613
−616,1988)に従って調査した。低温下での酵素の安定
性を示す指標としてQ10値を使用した。X軸に温度、Y
軸に酵素活性の対数を取ったグラフのある温度での傾き
をdy/dxとすると、dy/dx=0.1logQ10で表される。大腸
菌で発現させたバレイショ品種Brodick由来のPFKは0℃
の低温下でQ10値が2.42という低い値を示し、25℃の室
温下のQ10値1.66に比べてもさほど変化しなかった(表
6)。プラスミドpPFK32に挿入されているcDNAがコード
するPFKの5℃でのQ10値は2.24であったが、この値を他
の報告されているPFKのQ10値と比較してみると、大腸菌
PFK−1では5℃でのQ10値が2.89(Kruger,N.J.(198
9)Biochemical Society Transaction 629th Meeting,L
ondon Vol.17 760−761)、低温低糖性を有さないバレ
イショ品種Recordの塊茎PFKでは、2−6℃でのQ10値が
3.10(PFK III)および4.20(PFK IV)(Hammond,J.B.
W.et al.Planta(1990)180,613−616)であり、本発明
で単離したバレイショPFK遺伝子にコードされるPFKが、
大腸菌PFKや低温低糖性を有さないバレイショ品種のPFK
に比べ有意に低温耐性を有していることが証明された。
またPFKと基質F6Pを巡って競合関係にあるスークロース
合成系の律速酵素SPSのQ10値は、2−10℃で2.25とap R
ees等が報告しているが(Plants and Temperature(ed.
Long,S.P.and Woodward,F.I.)Society of Experimenta
l Biology Seminor Series No.42.Cambridge,UK;Cambri
dge University Press.pp.377−393)、本発明のPFKはS
PSと同レベルの低温耐性を有している(表6)。よって
本発明のPFK遺伝子を、低温貯蔵中の塊茎で強く発現す
るプロモーターの支配下で発現させることにより、低温
貯蔵塊茎中のスークロース含量の低いバレイショ品種を
開発することができ、その結果、低温低糖性(グルコー
ス、フルクトース含量の低い)バレイショ品種を作出で
きる。
【0049】
【表6】
【0050】 14:種々植物PFK遺伝子の単離 単離したバレイショPFKcDNAをプローブとして、種々
植物PFK遺伝子の単離を試みた。イネ(品種月の光)未
熟胚由来カルス、トウモロコシ胚乳由来カルス、フラベ
リア緑葉、ラディッシュ緑葉から前述のバレイショと同
様の方法でmRNAを単離し、以下の方法でcDNAライブラリ
ーを作成した。イネ、フラベリア、ラディッシュcDNAラ
イブラリーは、TimeSaver cDNA Synthesis Kit(Pharma
sia)、λZAP II Cloning kit(Stratagene)、Gigapac
k II Gold(Stratagene)を使用し、添付されているマ
ニュアルに従って作成した。トウモロコシcDNAライブラ
リーは、cDNA Synthesis kit(Amersham)、λgt10 cDN
A cloning Kit(Amersham)を用いて、キットに添付さ
れているマニュアルに従って作成した。
【0051】 作成したcDNAライブラリーから、PFKcDNAが組み込ま
れたラムダファージをプラークハイブリダイゼーション
法によって単離した。その際、前出のプラスミドpPFK32
から制限酵素Not Iを用いて切り出される約2キロ塩基
対のDNA断片を放射性同位元素32Pで標識しプローブとし
て使用した。その結果、作成した全てのcDNAライブラリ
ーから本プローブと反応する陽性プラークを得ることが
できた。トウモロコシPFKcDNAは、プレートライセート
法を使って精製したλDNAを制限酵素EcoR Iで消化し、P
FKcDNAを含むインサート部分をプラスミドpBluescript
SK II(−)(Stratagene)にサブクローニング後、前
出のバレイショPFKと同様の方法でDNA塩基配列を決定し
た。その他の植物PFKcDNAは、λZAP II Cloning kit(S
tratagene)に含まれるヘルパーファージ(ExAssist he
lper phage(M13))と大腸菌(SOLR strain)を使い、
添付されているマニュアルに従ってプラスミドpBluescr
ipt SK(−)(Stratagene)にサブクローニング後、前
出のバレイショPFKと同様の方法でDNA塩基配列を決定し
た。フラベリア、イネ、トウモロコシ、ラディッシュPF
KのDNA塩基配列を各々配列表の配列番号3、5、7、9
に示し、DNA塩基配列から推定されるアミノ酸配列を各
々配列表の配列番号4、6、8、10に示した。いずれの
植物PFKアミノ酸配列もバレイショPFK−dアミノ酸配列
(配列表の配列番号2)と非常に高い相同性を示した
が、報告されている細菌、ほ乳類、酵母等の他生物PFK
塩基配列との相同性はそれに比べ有意に低かった。今回
バレイショPFK遺伝子をプローブに使用してPFKが単離さ
れた植物は、単子葉植物(イネ、トウモロコシ)、双子
葉植物(フラベリア、ラディッシュ)の両者を含み、植
物種では、イネ科(イネ、トウモロコシ)、キク科(フ
ラベリア)、十字花科(ラディッシュ)と広範囲に渡
り、配列表の配列番号1に示したバレイショPFKcDNAは
種々植物PFK遺伝子の単離に広く利用できることが証明
された。
【0052】 また種々植物PFKのアミノ酸配列を比較した結果、種
々植物に共通して存在するアミノ酸配列(5アミノ酸以
上)が13箇所見つかった(表7)。この中には、報告の
ある他生物PFKには存在しない植物特異的なアミノ酸配
列が含まれている(配列表の配列番号11、12、13、1
4)。特に、配列表の配列番号14に示したアミノ酸配列
は、この配列がPFKポリペプチド上に存在する位置から
判断して、細菌PFKで報告されている基質F6Pの結合部位
およびその近傍のアミノ酸配列(Leu Gly His Val Gln
Arg Gly Gly付近)に相当すると考えられる(Evans,P.
R.and Hudson,P.J.(1979)Nature.,279,500−504)。
この基質結合部位およびその近傍のアミノ酸配列は、他
生物間では非常に良く保存されているが(Heinisch,J.e
t al.,(1989)Gene.,78,309−321)、植物ではこのア
ミノ酸配列は全く存在せず、そのかわり配列番号14に示
した別のアミノ酸配列が共通配列として存在することが
明らかになった。
【0053】 以上のように、配列表の配列番号1に示したバレイシ
ョPFKcDNAは、種々植物PFK遺伝子の単離にプローブとし
て利用可能であることが証明された。また、種々植物PF
Kアミノ酸配列の比較から、植物PFKに共通して存在する
と考えられるアミノ酸配列(表7)が同定され、例え
ば、PCR法を利用して植物からPFK遺伝子を単離する際に
DNAプライマー合成の参考になるアミノ酸配列が本発明
によって供給された。さらに、他生物PFKには存在する
ことが報告されていないが植物PFKには共通して存在す
ると考えられるアミノ酸配列が同定された。つまり、本
発明によって植物PFKを特徴づけるアミノ酸配列(配列
表の配列番号11、12、13、14)が初めて同定された。
【0054】
【表7】
【0055】 15:植物形質転換用プラスミドベクターの構築 バレイショ品種Brodickの低温耐性遺伝子を植物に導
入するために、図4に示したプラスミドpPFK(35S)を
作成した。以下にプラスミドpPFK(35S)の詳しい作成
方法を述べる。まず、制限酵素Hind III、Not I、Bgl I
I、BamH I、EcoR I、Sma I、Pst I、Sst I、Bcl I、Bgl
II、Not I、EcoR Iの認識配列をこの順番に含むポリリ
ンカー(Agricultural Genetics Company,Cambridge,Un
ited Kingdomより入手)を制限酵素Hind III、EcoR Iで
消化したプラスミドpUC19に連結し、これをpUC19(PL)
と命名した。次に、プラスミドpAPT9(Agricultural Ge
netics Company,Cambridge,United Kingdomより入手)
から制限酵素Sst I、BamH Iによって切り出されるノパ
リン合成酵素遺伝子のポリアデニレーションシグナル配
列(約0.3キロ塩基対)を制限酵素Sst I、Bcl Iで消化
したpUC19(PL)に連結し、これをpUC19(nos term)と
命名した。次に、パタチン(patatin)プロモーター配
列部分をプラスミドpB I240.7(Bevan et al.,Nucleic
Acid research 14:4625−4638,1986)から制限酵素Bgl
II、BamH Iを使って約2.3キロ塩基対の断片として切り
出し、制限酵素Bgl II、BamH Iで消化したpUC19(nos t
erm)に連結し、これをpUC19(pat/nos term)と命名し
た。次に、前述のプラスミドpKK32から制限酵素EcoR
I、Pst Iを使って低温耐性PFK遺伝子(約1.8キロ塩基
対)を切り出し、制限酵素EcoR I、Pst Iで消化したpUC
19(pat/nos term)に連結し、それをpPFK(pat)と命
名した。次に、プラスミドpPFK(pat)を制限酵素EcoR
Iで消化後、大腸菌DNAポリラーゼIのクレノウ断片(Kl
enow fragment)で平滑末端化した。最後に、この平滑
末端化したプラスミドを制限酵素Sst Iで消化し、切り
出された約1.8キロ塩基対の低温耐性PFK遺伝子を、制限
酵素Sma I、Sst Iで消化したプラスミドpROK2(pBin19
由来:Baulcombe,D.et al.,(1986)Nature.,321,446−4
49)に連結し、これをpPFK(35S)と命名した(図
4)。
【0056】 16:バレイショの形質転換 シェンとフォードが報告したエレクトロポレーション
法(Shen,W−J and Forde,B.G(1989)Nucleic Acid Re
search 17,8385)を利用して、Agrobacterium tumefaci
ens LBA4404に図4に示したベクタープラスミドpPFK(3
5S)を導入し、その菌株をLBA4404(35S/PFKd)と命名
した。次にLBA4404(35S/PFKd)を用いて植物の1例と
してバレイショ品種Bintjeの形質転換を試みた。以下に
形質転換法について詳しく述べる。まず、バレイショ品
種Bintjeのウィルスフリー無菌植物体はスコテッシュア
グリカルチュラルサービスエージェンシー(Scottish A
gricultural Services Agency,Edinburgh,United Kingd
om)より購入した。購入したインビトロ植物体から複数
の単節を無菌的に切り出し、各節をリンスマイアーとス
クーグの培地(以下LS培地と称する)(Linsmaier,E.an
d Skoog,F.(1965)Physiol.Plant.,18,100−127)の無
機塩、スクロース30g/L、寒天8g/Lを含む固形培地に置
床し培養することによって無菌植物体を増殖した。この
増殖した植物体の茎あるいは葉を以下の形質転換に利用
した。無菌的に切り出した茎(長さが約0.5−2.0cm)あ
るいは葉(縦が約0.6−1.0cm、横が約0.5−1.0cmの大き
さ)は、LS培地の無機塩、30g/Lのグルコースを含む液
体培地中でLBA4404(35S/PFKd)と25℃で48時間共存培
養した。共存培養開始時のLBA4404(35S/PFKd)の濃度
は約108細胞/mLに調整した。共存培養終了後、茎あるい
は葉の切片を抗生物質セフォタキシム(cefotaxim)を2
50mg/L含む滅菌水で数回洗浄した。洗浄後、笠岡らが報
告したKS1培地(特開平6−133783)に茎あるいは葉の
切片を置床した。置床後約20日で抗生物質カナマイシン
(kanamycin)抵抗性カルスが出現し、更に10−30日培
養を続けるとカルスから植物体が再分化した。このカナ
マイシン抵抗性を示す植物体を単節毎に切断し、各々を
LS培地の無機塩、スクロース30g/L、セフォタキシム250
mg/L、カナマイシン100mg/L、寒天8g/Lを含む固形培地
に置床し培養することによってカナマイシン抵抗性植物
体を増殖した。増殖した植物体は、ポットに移植後、温
室で栽培した。コントロールには、非形質転換体の品種
Bintjeを用いた。コントロール植物体は、形質転換体と
同様に試験管内で無菌的に増殖後、温室でポット栽培し
た。形質転換植物体およびコントロールの非形質転換植
物体は、ポットに移植してから約4ヶ月後、植物体が完
全に自然枯死した時点で塊茎を収穫した。収穫した塊茎
は、低温貯蔵庫(庫内温度5.5−8.5℃あるいは15℃)に
貯蔵した。この塊茎を以下の種々の解析に供試した。
【0057】 17:形質転換体バレイショにおける低温耐性PFKの発現 非形質転換体系統B40とカナマイシン抵抗性を有する
形質転換体系統B75の茎葉からCTAB法(Doyle,J.J.and D
oyle,J.L.(1987)Phytochemical Bulletin.,19,11−1
5)によりDNAを抽出し、Sambrook等の方法(Molecular
Cloning:A Laboratory Manual/Second Edition,Cold Sp
ring Harbor Laboratory Press,1989)に従ってサザン
解析を行った。具体的には、DNAを制限酵素EcoR Iで消
化後、0.8%アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分
離し、DNAをナイロン膜に転写後、放射性同位元素32Pで
標識したDNAプローブと反応させた。プローブとして、n
os terminator領域(280塩基対)あるいは前出のプラス
ミドpKK32を制限酵素Bgl IとPst Iで消化することによ
って切り出される低温耐性PFKDNAの3'非翻訳領域(235
塩基対)を用いた。いずれのDNA断片をプローブとして
用いた場合も系統B75ではテトラプロイド当たり5コピ
ーの遺伝子が導入されていることが確認された(データ
は示していない)。
【0058】 次に温室でポット栽培した系統40あるいは系統B75か
ら収穫した塊茎(15℃で2ヶ月貯蔵)からRNAを精製
し、Sambrook等の方法(Molecular Cloning:A Laborato
ry Manual/Second Edition,Cold Spring Harbor Labora
tory Press,1989)に従ってノーザン解析を行った。試
料として全RNA30μgを用いた。プローブとして、前出
のプラスミドpKK32を制限酵素Bgl IとPst Iで消化する
ことによって切り出される低温耐性PFKDNAの3'非翻訳領
域(235塩基対)を放射性同位元素32Pで標識したDNAを
用いた。その結果を図5に示した。系統B75の塊茎は非
常に強いシグナルが検出されたが、非形質転換体系統B4
0では、全くPFKポリ(A)+RNAは検出されなかった。本
発明者の経験から、バレイショ塊茎中のPFKポリ(A)+
RNAをノーザン解析によって検出する場合、全RANAでは
なく、さらに精製されたポリ(A)+RNAを試料として使
用しなければ検出が困難なことが判明している。このこ
とから判断して、系統B75の塊茎中では通常のバレイシ
ョでは考えられないほど大量のPFKポリ(A)+RNAが発
現しており、この過剰のPFKポリ(A)+RNAは導入され
た低温耐性PFK遺伝子の転写産物と考えられた。
【0059】 次に、収穫後15℃で2ヶ月貯蔵した系統B75とB40の塊
茎からKruger等の方法(Kruger,N.J.et al.,(1989)Ar
ch.Biochem.Biophys.,267,690−700)に従って粗抽出液
を調製し、ウェスタン解析を行った。抗体は、前出の抗
バレイショPFK−c抗体を用いた。その結果を図6に示
したが、使用した抗体と非持異的あるいは特異的に反応
し検出されたこのポリペプチドの中で、系統B75と系統B
40で違いが見られたのはこのPFK−dのみであった。系
統B75の塊茎ではコントロール系統B40の塊茎に比べ約3
−4倍多いPFK−dポリペプチドが発現していることが
判明した。この結果は、前出のノーザン解析の結果を裏
付けるものであるが、系統B75では、PFKポリ(A)+mRN
Aの発現量に比べPFK−dポリペプチドの発現量は低かっ
た。これは外来PFK遺伝子のポリ(A)+mRNAへの転写量
とそのタンパク質への翻訳量の比が、バレイショ塊茎が
本来有するPFK遺伝子のポリ(A)+mRNAへの転写量とそ
のタンパク質への翻訳量の比に必ずしも一致しないこと
に起因するものと考えられる。
【0060】 次に系統B75とB40の塊茎(収穫後15℃で2ヶ月貯蔵)
からKruger等の方法(Kruger,N.J.et al.,(1989)Arc
h.Biochem.Biophys.,267,690−700)に従って粗抽出液
を調製し、PFK活性を測定した。1回の測定に塊茎1個
を使用し、3回の測定値の平均値を表8に示した。その
結果、系統B75は系統B40の約1.3倍高い全PFK活性を有し
ていることが確認された。全PFK活性とは、Kruger等(K
ruger,N.J.et al.,(1989)Arch.Biochem.Biophys.,26
7,690−700)が報告したPFK−a、−b,−c,−dの4種
のポリペプチドの種々の組合せによって構成されるPFK
I、II、III、IVの活性の合計である。前出の大腸菌での
発現実験でPFK−dポリペプチドのみで活性のある酵素
を構築できることが証明されたが、系統B75の塊茎で観
察されたPFK活性上昇は、導入されたPFK−d遺伝子の過
剰発現によってのみもたらされたと考えると、全PFK活
性が約1.3倍の増加したという結果は、前出のウエスタ
ン解析の結果(PFK−dが3−4倍に増加)と矛盾しな
い。
【0061】 次に系統B75の塊茎(収穫後15℃で2ヶ月貯蔵)から
粗抽出液を調整後、レッドアガロース、モノQカラムを
用いてPFK−dを含むPFK IVを部分精製し、種々の低温
下でPFK活性を測定した。以下に具体的方法を説明す
る。まず、約20gの塊茎を約2−5mmの厚さにスライスし
液体窒素中で凍結させ、マイナス70℃の低温下で保存し
た試料を酵素精製に用いた。以下全ての精製操作は4℃
で行った。凍結試料は、40mLの抽出緩衝液(前出の緩衝
液Aに2mM benzamidine,1mM PMSF,1μM leupeptin,1μM
pepstatin,1%(W/V)insoluble polyvinylpyrrolydon
を添加したもの)を加え、乳棒と乳鉢で充分摩砕した。
摩砕液をミラクロスで濾過後、濾液を20,000gで30分間
遠心し、上清を回収した。上清をフィルター(0.45μ
m)で濾過後、緩衝液Aで平衡化したリアクティブレッ
ド120アガロース(Type 3000−CL,Sigma)カラム(16X1
10mm)に掛けてPFKを吸着させた。以後の精製操作は、
前出の大腸菌で発現させたPFKの精製操作に従った。モ
ノQカラムクロマトグラフィーによってPFKは4つのピ
ークに分離し、その中のPFK IVに相当する画分を回収し
種々の温度でPFK活性を測定しQ10値を求めた。その結果
を表9に示したが、部分精製されたPFK IVは低温下にお
いても全く安定であり、そのQ10値は0℃から25℃のい
ずれの温度においても1.9−2.0であった。表6に大腸菌
No.58株から精製したPFKのQ10値を示したが、その結果
と表9の結果を比較すると、両者には同一遺伝子が導入
されているが、系統B75のPFK IVは大腸菌No.58株で発現
したPFKに比べ低温に対しより安定であった。また、系
統B75に導入されたPFK遺伝子は元々バレイショ品種Brod
ickから単離された遺伝子であるが、Hammond等(Hammon
d,J.B.W.et al.,(1990)Planta.,180,613−616)が報
告したバレイショ品種BrodickのPFK IVよりも低温に対
し安定であった。ウエスタン解析の結果から判断して系
統B75で発現しているPFK−dポリペプチドの2/3から3/4
は導入遺伝子の発現に由来すること、またKruger等(Kr
uger,N.J.et al.,(1989)Arch.Biochem.Biophys.,267,
690−700)が報告しているようにPFK IVがPFK−dポリ
ペプチドを主要に含むことから判断して、B75のPFK IV
で確認された低温耐性は導入遺伝子の効果である。
【0062】 以上のように、図4に示したベクタープラスミドを用
いて、大腸菌で低温耐性PFKとして発現することが確認
された遺伝子のバレイショへの導入を試みた結果、系統
B75で導入遺伝子の発現が確認され、且つ系統B75のPFK
IVが低温耐性を有することが確認された。
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】
【0065】 18:低温耐性PFK遺伝子を導入したバレイショ塊茎の低温
貯蔵下での糖含量の変化およびそれを材料として調製し
たポテトチップの色の変化 低温貯蔵(5.5−8.5℃)した系統B75とB40の塊茎の糖
含量とポテトチップ色を調査した。その結果を表10に示
した。糖としてグルコース含量を市販の尿糖試験紙(商
品名:テステープ、塩野義製薬株式会社製)を用いて測
定した。具体的には、塊茎1個当たり1箇所塊茎表面に
スパチュラを強く押し当てて深さ約5mmの溝を切り込
み、そこに尿糖試験紙を差し込み、グルコース含量を測
定した。グルコース含量は、変化した試験紙の色を試験
紙の容器に添付されているカラースケールと対比させ、
以下に説明したスコアで表示した。容器のスコア0、
+、++、+++、++++は、それぞれグルコース含
量約0%、0.1%、0.25%、0.5%、2%以上に相当す
る。表10に示した値は、カラースケールのスコア0、
+、++、+++、+++を便宜上それぞれ0、1.0、
2.0、3.0、4.0とした場合の値として表示している。表1
0に示した値は、5個の塊茎の測定値の平均値である。
この値は、低いほどグルコース含量が低いことを意味し
ている。その結果、系統B75では低温貯蔵4週間後の塊
茎において、系統B40に比べグルコース含量が低いこと
が判明した。
【0066】 一般に塊茎のグルコース含量とポテトチップ色の間には
非常に高い相関関係があることが知られている(Gray,D
and Hughes,J.C.(1978)The Potato Crop(ed.P.M.Ha
rris),Capmann&Hall,London,pp.504−544)。そこ
で、実際に系統B75、B40の低温貯蔵(2週間、4週間、
12週間)塊茎を材料にしてポテトチップを調製し、褐変
度を比較した。具体的には、塊茎を市販のスライサーで
薄切りし、これを180℃に熱した市販の食用油(なたね
油と大豆油の混合油)の中で通常約3分から4分、気泡
が出なくなるまで揚げてポテトチップを調製した。ポテ
トチップは、1系統1試験当たり5個の塊茎から3枚ず
つ、合計15枚調製し、それぞれを肉眼によってポテトチ
ップ用カラーカード(The Institute for Storage and
Processing of Agricultural Produce,Wageningen,The
Netherlands作成)と対比させ、カラーカードに書かれ
ているスコアで褐変度を表示した。このスコアは、値が
高いほどポテトチップの褐変度が低いことを意味してい
る。結果を表10に示したが、各スコアはポテトチップ15
枚の平均値である。系統B75では、低温貯蔵2週間、4
週間、12週間後のいずれの塊茎を供試しても系統40に比
べ褐変度の低いポテトチップが調製された。
【0067】 以上のように、図4に示したベクタープラスミドを用
いてバレイショを形質転換し、低温耐性PFKを塊茎中で
発現させることにより、低温貯蔵塊茎中のグルコースを
減少させ、その結果ポテトチップの褐変を軽減できるこ
とが証明された。
【0068】
【表10】
【0069】
【発明の効果】
本発明により、低温耐性PFKをコードするDNAおよびそ
れを含むベクターが初めて提供された。本発明の組換え
ベクターを植物に遺伝子工学的に導入し発現させること
により、低温下に置かれた塊茎組織でグルコース含量を
非形質転換体に比べ減少させることが可能であり、特に
植物、その中でもバレイショで低温低糖性品種の開発に
利用できる。また、本発明により初めて提供された種々
植物PFK遺伝子のDNA塩基配列は、植物PFK遺伝子の単離
にプローブとして利用するのが非常に難しい他生物由来
のPFK遺伝子と異なり、植物PFK遺伝子単離に広く利用で
きる。さらに、単離された種々植物PFK遺伝子の塩基配
列を利用して、アンチセンスRNAを発現させる方法等に
より、植物細胞中のPFK活性を抑制することが可能にな
る。例えば糖代謝を改変したり、呼吸を減少させること
が可能で、より多く糖を蓄積する甘い果物や野菜を作出
できる。
【0070】
【配列表】
配列表 配列番号:1 配列の長さ:1978 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:ソラナムチュベローサム(Solanum tuberosu
m L.) 品種名:ブロディック(Brodick) 組織の種類:塊茎 直接の起源 ライブラリー名:低温貯蔵塊茎mRNA由来λgt10cDNAラ
イブラリー クローン名:pPFK32 配列
【0071】 配列番号:2 配列の長さ:485 配列の種類:アミノ酸 配列
【0072】 配列番号:3 配列の長さ:1778 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:フラベリアブロウニー(Flaberia brownii) 組織の種類:葉 直接の起源 ライブラリー名:緑葉mRNA由来λZAP II cDNAライブ
ラリー クローン名:pPFK−FB1 配列
【0073】 配列番号:4 配列の長さ:484 配列の種類:アミノ酸 配列
【0074】 配列番号:5 配列の長さ:1623 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:オリザサティバ(Oryza sativa L.) 品種名:月の光 組織の種類:未熟胚由来カルス 直接の起源 ライブラリー名:カルスmRNA由来λZAP II cDNAライ
ブラリー クローン名:pPFK−OS1 配列
【0075】 配列番号:6 配列の長さ:479 配列の種類:アミノ酸 配列
【0076】 配列番号:7 配列の長さ:2048 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:ジーメイズ(Zea mays L.) 組織の種類:胚乳由来カルス 直接の起源 ライブラリー名:カルスmRNA由来λgt10cDNAライブラ
リー クローン名:pPFK−ZM1 配列
【0077】 配列番号:8 配列の長さ:522 配列の種類:アミノ酸 配列
【0078】 配列番号:9 配列の長さ:1558 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:ラファナスサティバス(Raphanus sativus
L.) 組織の種類:葉 直接の起源 ライブラリー名:緑葉RNA由来λZAP II cDNAライブラ
リー クローン名:pPFK−RS1 配列
【0079】 配列番号:10 配列の長さ:421 配列の種類:アミノ酸 配列
【0080】 配列番号:11 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 配列
【0081】 配列番号:12 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 配列
【0082】 配列番号:13 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 配列
【0083】 配列番号:14 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列
【0084】 配列番号:15 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 配列
【0085】 配列番号:16 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 配列
【0086】 配列番号:17 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列
【0087】 配列番号:18 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列
【0088】 配列番号:19 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 配列
【0089】 配列番号:20 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 配列
【0090】 配列番号:21 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 配列
【0091】 配列番号:22 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 配列
【0092】 配列番号:23 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 配列 [図面の簡単な説明]
【図1】 本発明の組換えベクターで形質転換された大腸菌No.5
8株と、対照の大腸菌No.1株のIPTG添加後におけるPFK活
性の誘導の時間変化を示す図である。
【図2】 本発明の組換えベクターで形質転換された大腸菌No.5
8株のPFK活性の免疫滴定実験の結果を示す図である。
【図3】 本発明の組換えベクターで形質転換された大腸菌No.5
8株から精製したPFKのSDS PAGEによる解析とウェスタ
ンブロット解析の結果を示す図である。
【図4】 低温耐性PFK−d遺伝子を含む発現ベクターを示す図
である。
【図5】 系統B75及び系統B40の貯蔵塊茎からのRNAのノーザン
ブロット分析の結果を示す図である。
【図6】 系統B75及び系統B40の貯蔵塊茎からの粗抽出液のウェ
スタンブロット分析の結果を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 タイソン ヒュー ロバート イギリス国 シービー2 4エージー ケンブリッジ ベイブラハム アクシス ジェネティックス リミテッド内 (72)発明者 ペイジ マイルズ ジョン アンソニー イギリス国 シービー2 4エージー ケンブリッジ ベイブラハム アクシス ジェネティックス リミテッド内 (56)参考文献 Planta 180(4) p.613− 616 (1990) J Biol Chem,1990年, 265(30),18366−18371 Symp Soc Exp Bio l,1988年,42,377−393 Plant Physiol,1992 年,99(3),1245−1250 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12N 9/12 GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq SwissProt/PIR/GeneS eq

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配
    列をコードするDNA。
  2. 【請求項2】配列表の配列番号1で示される塩基配列を
    有する請求項1記載のDNA。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載のDNAを含み、宿主細
    胞内で植物由来のATP依存フルクトース6リン酸1ホス
    ホトランスフェラーゼを発現することができる組換えベ
    クター。
  4. 【請求項4】請求項3記載の組換えベクターで植物を形
    質転換することから成る、低温下で植物細胞中の糖含量
    を変化させる方法。
  5. 【請求項5】前記植物はバレイショである請求項4記載
    の方法。」
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