JP3436542B2 - 乾燥粉末の放出性向上のための修正された表面を備えた吸入装置 - Google Patents

乾燥粉末の放出性向上のための修正された表面を備えた吸入装置

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JP3436542B2 JP50181298A JP50181298A JP3436542B2 JP 3436542 B2 JP3436542 B2 JP 3436542B2 JP 50181298 A JP50181298 A JP 50181298A JP 50181298 A JP50181298 A JP 50181298A JP 3436542 B2 JP3436542 B2 JP 3436542B2
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Description

【発明の詳細な説明】 関連する同時係続中の米国特許出願は、出願番号08/6
30,049号(1996年4月9日出願の「アコースティックデ
ィスペンサー(Acoustic Dispenser)」及びこれと同時
に出願されたその一部継続出願)、08/630,050号(1996
年4月9日出願の「静電的チャック(Electrostatic Ch
ucks)」)及びこれと同時に出願されたその一部継続出
願である08/630,012号(1996年4月9日出願の「基板上
に多数の対象物を位置決めするためのチャックおよび方
法(Chucks and Methods for Positioning Multiple Ob
jects on a Substrate)」)、08/471,889号(1995年6
月6日出願の「予め定められた基板の領域に薬剤粉末を
電子的に堆積させるための方法および装置(Methods an
d Apparatus for Electronically Depositing a Medica
ment Powder Upon Predefined Regions of a Substrat
e)」ならびに1996年6月6日出願のその一部継続出
願)、08/467,647号(1995年6月6日出願の「静電的に
基板上に材料を堆積して保持するための装置(Apparatu
s for Electrostatically Depositing and Retaining M
aterials Upon a Substrate)」)ならびに08/506,703
号(1995年7月25日出願の「摩擦電気帯電技術を使用す
る吸入装置(Inhaler Apparatus Using a Tribo−Elect
ric Charging Technique)」)を含み、これらは、とり
わけ、吸入器基板などの基板上に、粉末粒子などの対象
物を静電的に堆積することにつき、記述している。以上
の特許出願は、引用により、それらの全てが組み入れら
れている。
ある面では、本発明は、吸入用の薬剤と接触する内部
表面と、口金の内部及び薬物が堆積している基板を含む
内部表面を有する吸入装置を提供する。本発明によれ
ば、少なくともそのような内部表面の1つが、その中に
刻み目又は高くされた領域を有し、高くされた領域はそ
れらの間に谷を有している。このように、表面を修正す
ることにより、薬剤と吸入器の表面との接触面積を最小
化する機構を提供して、吸入器からの薬剤の放出を促進
することができる。
多くのアプローチが、乾燥粉末吸入器の設計と製造に
採用されている。例えば、国際公開番号第93/09832号
は、薬剤粉末の細長い担体を有する吸入装置を開示して
おり、その薬剤粉末はハンマーから衝撃を受けた後に放
出され、吸入装置は薬剤粉末が塊状態になることを防止
するため、回旋状のチャネルを有している。
従来技術の吸入器の不都合な点は、例えば、喘息のよ
うな呼吸障害に苦しむ患者が、全ての投薬を受け入れる
のに十分な力で吸入することができないということが挙
げられる。例えば、患者は一分間当たり約15リットルの
空気流量を発生させることしかできない場合がある。ほ
とんどの乾燥粉末吸入器では、患者の吸入により、吸入
器から薬剤を分配するのに必要なエネルギを供給され
る。患者の肺で生成される空気流速は、最終的に吸入器
を出て、肺に達する薬剤の量に大きな影響を及ぼす。
例えば、患者の空気流量により、吸入器から、多かっ
たり少なかったりする量の薬剤が分配されることがある
ので、従来技術の吸入器は、投与される薬剤の量を正確
に決定することができないという別の問題を有してい
る。
従来技術の吸入器の他の不都合な点は、薬剤粉末が凝
集するという問題である。凝集した粒子は、一般に、肺
に堆積するために空気流の中に残っているというより
も、口及びのどに衝撃を与える。この問題を取り除くた
めのアプローチの一つは、凝集を防ぐために、従来技術
の吸入器に曲がりくねったチャネルを設けることであ
る。しかしながら、このアプローチは、チャネルに沿っ
て、薬剤が堆積するなどの欠点があり、そのため、不正
確な薬剤投与という結果を招く。
従来技術の吸入器において遭遇する他の不都合な点
は、例えば、吸入器を落とすと、薬剤が排出されてしま
うなどの薬剤の意に反する移動である。
以上の理由のために、正確な単位投薬量の薬剤を、毎
分15リットルなどの少ない流量で送り出すことができ、
それにもかかわらず、吸入器を落としたりして、衝撃が
加えられた場合にも、薬剤を十分に保持することのでき
る乾燥粉末吸入器に対するニーズがある。
発明の概要 本発明は、一部において、吸入用の薬剤と接触する内
部表面と口金の内部及び薬物が堆積している基板の表面
を含む内部表面を有し、少なくともそのような内部表面
の1つがその中に刻み目又は高くされた領域を有し、前
記高くされた領域はそれらの間に谷を有する吸入装置に
向けられている。ある好ましい実施形態においては、前
記内部表面は、堆積した薬剤を有する基板上の表面であ
り、他の好ましい実施形態においては、前記内部表面
は、吸入器の口金の内部表面である。好ましくは、前記
刻み目又は高くされた領域は、前記基板の滑らかな表面
に接触可能な薬剤粒子の量を減少させるように選ばれた
寸法及び間隔を有している。好ましくは、前記基板の表
面及び前記口金の双方と、薬剤と接触する他のいかなる
表面は、その中に刻み目又は高くされた領域、或いは、
選択された薬剤と表面との間の接触面積を減少させる他
の表面構造を有している。
図面の簡単な説明 図1は、粒子を吸入器の基板に付着させる3つの力、
即ち静電気力(「Fe」)、電荷影像引力(charge imagi
ng forces)(「Fim」)及びファンデルワールス力
(「Fv」)のグラフである。
図2AないしEは、溝状の刻み目を有するポリプロレン
基板からの粉末の放出を示す顕微鏡写真である。図2Aな
いしEで示される倍率は42倍である。図2Aは放出前の粉
末を示す。図2Bは毎分15リットルの空気流を受けた後に
残っている粉末、図2Cは毎分30リットルの空気流を受け
た後に残っている粉末、図2Dは毎分45リットルの空気流
を受けた後に残っている粉末、図2Eは毎分57リットルの
空気流を受けた後に残っている粉末を、それぞれ示して
いる。
図2Fは、流速を増大させ、図2AないしEに示された基
板から粉末を放出させて得られたデータのグラフであ
る。
図3AないしCは吸入器の基板の顕微鏡写真である。図
3Aは、溝状の刻み目を備えたポリプロピレン基板の顕微
鏡写真で、図3Bはその上に粉末が堆積した同じ基板の顕
微鏡写真で、図3Cは粉末放出後の同じ基板の顕微鏡写真
である。
図4AないしCは基板などの表面に溝状の刻み目を備え
たシリコン製の吸入器の基板の顕微鏡写真である。図4A
は基板の顕微鏡写真で、図4Bはその上に粉末が堆積した
同じ基板の顕微鏡写真で、図4Cは粉末放出後の同じ基板
の顕微鏡写真である。
図5AないしCは図4AないしCの顕微鏡写真を拡大した
ものである。
図6AないしCは図5AないしCの顕微鏡写真を拡大した
ものである。
図7は本発明の吸入器の口金の一実施形態の写真で、
矢印は口金の空気入口を指している。
図8A及び8Bは本発明の吸入装置の一実施形態の断面図
である。図8Aは電子的な補助手段のない吸入器を示し、
図8Bは電子的な補助手段を備えた吸入器を示す。
図9は吸入器の基板から粉末の放出をテストするのに
使用される機構の写真である。
図10は、溝状の刻み目を備えた基板と比較した平らな
基板から放出された薬剤粉末の量のグラフである。
図11A及び11Bは、その上に薬剤が堆積した基板の一実
施形態の略断面図で、基板は、薬剤の放出を電子的に補
助するように構成されている。
図12A及び12Bは、その上に薬剤が堆積した基板の他の
実施形態の略断面図で、基板は、薬剤の放出を電子的に
補助するように構成されている。
図13は電荷影像のための上方の導電層の上に浮動電極
を備えた静電的チャックの略断面図である。
図14は図13の浮動電極の上面図である。
発明の詳細な説明 粉末を吸入器の基板に堆積させた後に、患者が吸入す
る際に、粉末が正確に放出されることが好ましい。放出
に対する障害で、取り除かれなければならないものの一
つは、粉末粒子の基板への付着である。粒子を基板に保
持する力の1つは、ファンデルワールス力である。保持
する力の他の一つは静電力である。第三の保持する力
は、電荷影像引力であり、粉末粒子が付着する基板の局
所的な領域内の粉末粒子の電荷によって生成される。こ
れらの力は、例えば、基板の導電率により、その大きさ
が変化すると信じられている。ファンデルワールス引力
は時間とともに増加し、その増加速度は、接触面積が大
きいことに起因する粒子の変形速度に関連すると信じら
れている。また、これらの力は粒子サイズが増大するに
従って増大すると信じられている。例えば、以上の力の
数学的計算のグラフである図1を参照されたい。
本発明の多くの実施形態では、薬剤は、帯電した薬剤
粒子を付着するために適用された電界を用いて、基板に
堆積される。堆積後に、この適用電界は遮断されるのが
好ましく、粒子を付着するバンデルワールス力を最小化
する努力がなされ、それによって影像引力外の付着力が
最小化される。
引きつける力の最小化 多くの中で、上述の問題に、本発明により、注意が向
けられる。ある面では、本発明は、引きつける力を変化
させる修正された基板を吸入器に提供する。薬剤のうち
の70%よりも多い量、好ましくは約80%よりも多い量
が、吸入の際に放出されることが好ましい。一投薬単位
における薬剤のうちの約80%ないし約100%を放出する
のに必要とされる空気流は、一分あたり約60リットルよ
りも少ないことが好ましく、一分あたり約30リットルよ
りも少ないことがさらに好ましく、一分あたり約15リッ
トルよりも多くないことがさらにより好ましい。例え
ば、一分あたり15リットル(B)、一分あたり30リット
ル(C)、一分あたり45リットル(D)及び一分あたり
57リットル(E)で、溝状の刻み目を有する織地の基板
からの薬剤の放出を示す図2AないしEを参照されたい。
また、得られたデータのグラフであり、空気流の増加に
従って、増加する基板からの薬剤の放出を示す図2Fも参
照されたい。実施例1は図2Fに示されたグラフを作成す
るのに使用されたデータを提供する。この実施例で使用
された堆積技術は、出願番号08/471,889号にしたがった
イオンプリンティングを含んでいた。本発明の好ましい
実施形態では、例えば、米国出願番号08/630,050号に記
載されているように、静電的チャックが静電的に帯電し
た薬剤を吸入器の基板に堆積するのに使用される。静電
的チャックを用いた好ましい堆積技術は、吸入器の基板
から高いパーセンテージの薬剤が放出されると信じられ
ている。また、他の堆積技術を、本発明の修正された吸
入器の基板に使用することもできる。
それらの粒子が選択された大きさを有するようにする
ために、粉末の粒子と基板の表面との間の接触表面積が
最小化されるように、吸入器の基板を修正するのが好ま
しい。所望の大きさを有する粒子は基板との最小限でし
か接触せず、その結果、基板から放出される可能性がよ
り高い。所望の粒子がより高い可能性で放出されるよう
にするのに加えて、望ましくない大きさを有する粒子が
捕捉されるように、修正された基板を構成することがで
きる。例えば、粒子が選択された大きさより小さい場合
のように、粒子と基板の間の接触表面積が大きいときに
は、粒子を放出するのではなく、基板上で、粒子を捕捉
するようになる。
接触面積の最小化は、好ましくは、以下の方法で行わ
れる。接触表面積は、例えば、刻み目を表面の面に提供
することによって、又は高くされた領域を表面の面に提
供することによって、最小化することができる。本発明
の好ましい実施形態では、少なくとも一つの内部表面
が、刻み目もしくはそれらの間に谷を有する高くされた
領域、または、選択された薬剤粒子と薬剤に接触してい
る吸入器の内部表面との間の接触面積を減少させるため
のその他の表面の修正を含んでいる。表面との薬剤の接
触は、例えば、吸入前の堆積中における基板との接触又
は吸入中における口金の内部表面との接触などのよう
に、吸入前又は吸入中のいずれでも起こる。好ましく
は、その上に薬剤が堆積する基板の表面と口金の双方及
び薬剤と接触している他のいかなる表面は、その中に刻
み目もしくは高くされた領域、または、選択された薬剤
と表面との間の接触面積を減少させるためのあらゆる他
の表面構造を有している。
刻み目又は高くされた領域は、例えば、線形、曲がり
くねり、湾曲し、円形又は他のいかなる所望の構成とす
ることができる。ある好ましい実施形態では、刻み目は
線形の溝状で、例えば、製造を容易にする。例えば、溝
状の刻み目を有するポリプロピレンの基板からの放出を
示す図3AないしCを参照されたい。
詳細には、図3Aはその中に溝状の刻み目を有する堆積
前の基板の顕微鏡写真である。図3Bは、その上に薬剤粉
末を堆積した後の図3Aの基板の顕微鏡写真である。図3C
は、基板から薬剤を放出した後の図3Bの基板の顕微鏡写
真である。図4Aないし4Cは、溝状のシリコン基板につい
ての対応する一連の顕微鏡写真を示している。図5Aない
し5C及び図6Aないし6Cは、高倍率である以外は、同じ一
連の顕微鏡写真を示している。サイズを指示するため、
100ミクロンのバーが図4Aないし4C及び図5Aないし5Cに
設けられ、10ミクロンのバーが図6Aないし6Cに設けられ
ている。
刻み目の深さまたは高くされた領域の高さは、選択さ
れた最小の粒子よりも、約5%ないし約50%、より好ま
しくは約5%ないし約20%小さいなどのように、吸入器
から放出されるのに望ましい最小の粒子の大きさより
も、わずかに小さいのが好ましい。
刻み目又は二つの高くされた領域の間の谷の幅は、放
出されるべく選択された最小粒子の直径よりも、たとえ
ば、約5%ないし約20%、好ましくは約10%ないし約20
%など、わずかに小さいことが好ましい。例えば、もし
吸入器から放出される粒子が約2ないし約6ミクロンの
選択されたサイズを有するのであれば、刻み目又は谷の
幅は約1.8ミクロンであるのが好ましいであろう。好ま
しくは、刻み目又は谷の直径は、呼吸に適する最小サイ
ズの薬物粒子の直径より小さい。例えば、谷の中心から
高くされた領域の中心に計測された基板のピッチは、約
2ミクロンから約6ミクロンの範囲の粒子を投与するた
めには、約1ミクロンないし約2.5ミクロンであること
が好ましい。粒子サイズは、例えば、走査電子顕微鏡を
使用して決定することができる。
刻み目及び高くされた領域に加えて、薬剤と基板との
間の接触表面積は、例えば、穴の空いた基板を用いて、
減少させてもよい。さらに、かかる二以上の修正を単一
の基板に対して行ってもよい。粉体粒子に接触している
表面の全表面領域は、薬物粉末と最小の接触を有するよ
うに修正されるのが好ましい。
本発明は、他の面において、粉体粒子に接触している
基板の表面を形成するために材料を選択して使用するも
のである。好ましくは、材料は、ある面では、低い表面
エネルギに基づいて選択される。例えば、引用により、
それらの全てが組み入れられている、カエルブル(Kael
ble)著:付着の物理化学(Physical Chemistry of Adh
esion)149頁から164頁(ジョンウィリー・アンド・サ
ンズ(John Wiley & Sons)1971年)を参照されたい。
好ましくは、粉体粒子に接触している表面の表面エネル
ギは、約10ないし約25dyn/cmの間である。表面が帯電し
ていない場合には、表面が実質的に薬剤とファンデルワ
ールス又は静電気との相互作用を有しないのがより好ま
しい。さらに、材料は薬剤に対して化学的に実質的に不
活性であるのが好ましい。かかる表面に使用することが
できる材料の例としては、ポリテトラフルオロエチレン
(「テフロン」)などのペルフルオロ化されたポリマ
ー、シリコン、シリコンアルミナセラミック、ポリマー
性の光伝導体、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリプ
ロピレンおよびポリエチレンが挙げられる。あるいは、
ペルフルオロ化されたポリマーフィルムを適用するよう
に表面を処理してもよい。例えば、引用により、それら
の全てが組み入れられている、米国特許第4,252,848号
を参照されたい。また、引用により、それらの全てが組
み入れられている第4回プラズマ化学国際シンポジウム
(Vol.1 1979)152頁ないし163頁のS.ペプレックとJ.ヘ
ルツ(S.Peprek and J.Hertz)編の「1.3−ペルフルオ
ロジメチルシクロヘキサンのプラズマ重合法により調製
されたフルオロカーボンフィルムの特性」と題される章
を参照されたい。
また、粉体粒子に接触している表面を形成する材料
は、粉体粒子に対する低化学反応性に基づいて選択され
るのが好ましい。例えば、もし、基板に堆積される粉末
が、帯電又はイオン化した粒子であるときは、基板の表
面は帯電又はイオン化していないのが好ましい。薬剤に
接触している表面を形成するのに使用される材料は、化
学反応性を最小化するだけでなく、ファンデルワールス
と薬剤の静電気の付着性を最小化するように選択される
のが好ましい。
さらに、薬剤に接触している表面を形成するのに使用
される材料は、特に柔軟性が接触面積を増加させる傾向
があるので、固く、曲げやすくないことが好ましい。例
えば、引用により、それらの全てが組み入れられている
ニールセン著 ポリマー及び複合物の機械的性質(マー
セル・デッカー株式会社 ニューヨーク 1974年)の37
6頁から369頁を参照されたい。材料は、ポリスチレン、
ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアセ
タール、ポリエチレンテレフタレートおよびフェノール
樹脂などの10kp/mm2より大きいビッカース硬度を有する
ことが好ましい。
好ましくは、薬剤に接触している表面を作るのに使用
される材料はポリマーである。かかる表面に使用するの
に好ましい材料は、ポリテトラフルオロエチレン、シリ
コン、アルミナセラミック、アルミナ化された有機光伝
導体、ポリビニルカルバゾール、ポリカーボネート、ポ
リイミドおよびポリエチレンである。ある実施形態で
は、刻み目はアルミナセラミックプリント板に設けられ
た溝である。例えば、図4ないし6を参照されたい。標
準的な写真平版技術を使用して、そのようなプリント板
を作ることができる。ある実施形態では、2ミクロン間
隔の溝を有するダイスタンプが基板をエンボス加工する
ように使用され、それによって、所望の刻み目を有する
基板を作る。例えば、図3を参照されたい。
ある好ましい実施形態では、表面はフルオロシラン又
はアミノシランなどのシランによって処理される。ある
実施形態では、ある場合、ポリイミドは化学的又は静電
的相互作用により粉末を付着するので、ポリイミドは好
ましくないことがある。使用される材料、及び、表面処
理をする場合には、表面処理は、薬剤的に許容可能で、
かつ、実質的に毒性を生じないことが好ましい。
基板の大きさと形は、応用例に基いて選択することが
できる。ある場合には、例えば、基板は、ディスク状又
はテープのように細長いであろう。好ましくは、多数の
投薬単位が基板上に堆積され、各投薬単位が、堆積した
粉末を有しない基板の領域によって分離された別々の領
域にあるのが好ましい。好ましい実施形態では、基板は
無菌化と、湿気を含む環境に対する保護のためにシール
される。
本発明の吸入装置の利点の一つは、操作上、ハンマー
などの機械力を使用することなく、粉末を放出すること
ができる点にある。粉末を放出するために、機械的な力
を必要とすることは、例えば、吸入器を落とした際に、
粉末が意に反して放出されるということを意味する。
本発明の吸入器は、吸入時に、薬剤粉末が放出される
ように設計されているが、吸入前には、吸入器が薬剤を
放出することがないことが好ましい。例えば、吸入装置
が、摂氏約65度の温度及び約65%の相対湿度の下で、約
48インチの高さから、管内に落下させるような落下テス
トを受けた後にも、薬剤が基板上に残っていることが好
ましい。
本発明の好ましい態様では、吸入装置は、さらに、薬
剤粉末の付着を防止する構成を備えた口金を含んでい
る。例えば、口金は、粉末粒子の付着に抗するように選
択された内部表面を有するのが好ましい。例えば、前記
内部表面は、粉末の放出を促進するために、その上に、
上述した修正などの刻み目又は高くされた領域を有する
のが好ましい。口金の内部表面の表面積が、口金内の空
気流の方向と平行で、好ましくは、実質的に層流の空気
流を生じさせる溝状の刻み目を使って、増大させられる
のが好ましい。
本発明のさらに他の好ましい態様では、口金は、薬剤
粉末の放出を促進させるために、多数の空気入口を有
し、空気入口は各入口に接続されたチャネルを備えてい
る。例えば、矢印が入口を指している図7を参照された
い。チャネルは、口金の内部を、「空気入口穴」と称さ
れる開口を通して、周囲の大気に連通させる。空気入口
穴はある角度、好ましくは約20度ないし約70度、より好
ましくは約45度の角度で、穴を空けるなどして、形成さ
れるのが好ましい。好ましくは、各チャネルは、対応す
る空気入口から約20度ないし約70度の角度で延びてい
る。より好ましくは、チャネルは、水平線と約45度の角
度をなしている。好ましい実施形態では、チャネルは円
筒状で、約0.1mmないし約5mmなど、約5mmより小さい直
径を有し、あるいは、ある実施形態では、約0.1mmより
も小さい直径を有している。口金は、粉末と基板との間
の気流を最大化して、吸入時に、粉末が基板から容易に
放出されるように構成されることが好ましい。ある好ま
しい実施形態では、約2個ないし約20個の空気入口と対
応するチャネルがあり、他の好ましい実施形態では、約
4個ないし約8個の空気入口がある。
空気穴は、患者の意に従って、或いは、シャッター機
構を介して、自動的に開閉され、空気流にかかわらず、
圧力降下を一定に維持できることが好ましい。
各入口に連結されたチャネルを備えた多数の空気入口
を有する本発明の吸入装置の実施形態の例が、図8A及び
8Bにおいて、提供されている。図8Aはチャネル83が取り
付けられた空気入口82を備えた口金94を示している。シ
ャッター機構84が、空気入口のいくつかに設けられる。
口金94は、堆積した薬剤87(図示せず)を有する基板86
と空気流で連通している。基板86は細長いテープの状を
なし、リール92によって提供され、リール90によって巻
き取られる。基板は、リール88によって巻き取られるシ
ール(図示せず)を有する。図8Bは、バッテリー96によ
って駆動される電子式の放出機構(図示せず)をさらに
含む図8Aの吸入器を図示している。
ある実施形態では、各空気入口は、チャネルを介し
て、個々の投与薬剤の一部に接続されている。例えば、
100マイクログラムの投与薬剤は、4つの25マイクログ
ラム投与薬剤を4つの空気穴に各々に整列させることに
よって、投与することができる。
呼吸に適する部分などの所望の大きさの粒子だけが吸
入器の基板上に堆積されるのが好ましい。装置は所望の
粒子範囲で堆積した薬剤と共に使用されるのが好まし
く、しかも、好ましい実施形態では、望ましくない粒の
大きさの範囲のかなりの量が基板に捕らえられるので、
非凝集化を促進するために、別の装置を必要としない。
従って、本発明によれば、薬剤を捕捉可能なねじれたチ
ャネルなどの非凝集化させる装置を必要とする吸入器を
優る利点が得られる。ある薬剤の適用では、吸入器によ
って投与される粒子の大きさは、好ましくは、約15ミク
ロン以下で、さらに好ましくは、約10ミクロン以下であ
る。
好ましい実施形態では、これと同時に出願された「乾
燥粉末の放出性向上のための電子手段を有する吸入装置
(Inhaler Apparatus with an Electronic Means for E
nhanced Release of Dry Powders)」と称する同時係続
中の出願で記述されているように、吸入器の基板は、粉
末の放出を電子的に補助する導電性の層を備えている。
吸入器はまた、基板上に粉末を保持する電荷を中和す
るために、ダイヤモンドチップエミッタ又は他の電子エ
ミッタなどの電子エミッタを含む放出を促進する他の機
構を備えてもよい。これに代えて、例えば、その上に薬
剤が堆積される基板は、光が照射されたときに、薬剤を
放出する光伝導性の基板であってもよい。
電場の使用による放出性の向上 本発明はまた、導電層とその上の誘電層を含み、その
上に堆積された薬剤を備えた基板を含む吸入装置に、一
部、向けられている。ある実施形態では、導電性の層は
基板に埋め込まれた少なくとも1つのワイヤを含み、他
の実施形態では、基板の導電層はメッシュなどの開口部
を有している。導電層は電圧源に接続されるのが好まし
い。ある好ましい実施形態では、導電層は少なくとも1
つの浮動電極を含み、浮動電極によって決定されたパタ
ーンで、薬剤を基板上に堆積するのが好ましい。
好ましい実施形態では、吸入器は、基板と接触するこ
となく、基板の上方に位置決めされた第2の導電層をさ
らに含んでいる。好ましくは、第2の導電層は開口部を
有しており、さらに好ましくは、第2の導電層の開口部
は薬剤の粒子の平均直径の約1.5倍の直径を有してい
る。ある好ましい実施形態では、電圧源が、基板中の導
電層及び基板の上方の第2の導電層に接続される。基板
中の導電層の開口部が存在する場合には、開口部は、基
板の上方の第2の導電層の開口部の直径にほぼ等しい直
径を有するのが好ましい。好ましくは、第2の導電層の
開口部は、薬剤の粒子の平均直径の約1.5倍の直径を有
している。
他の好ましい実施形態では、吸入装置は基板の下方に
位置決めされた第3の導電層をさらに有し、電圧源が、
好ましくは、基板の上方の第2の導電層及び基板の下方
の第3の導電層に接続される。
別の面においては、本発明は、吸入器から薬剤を放出
する方法であって、(a)その上に堆積された薬剤を有
し、導電層及び誘電層を有する基板を備えた吸入器と、
前記導電層に接続された電圧源を準備し、(b)前記電
圧源を作動させる方法を提供する。
好ましくは、電圧源は空気流と実質的に同時に作動さ
れ、約300マイクロ秒から約1ミリ秒の持続時間を有す
るパルスにより作動されるのが好ましい。使用される電
圧は、好ましくは、約500ボルトから約2000ボルトの範
囲である。
従って、別の面においては、本発明は、乾燥粉末の放
出を向上させる電子的手段を備えた吸入器を提供する。
放出を向上させるための電子的手段は、本発明の好まし
い実施形態においては、導電層及び誘電層を有する吸入
器の基板により提供され、誘電層はその上に堆積した粉
末と接触している。導電層は、ある面では、堆積した薬
剤の電荷に応じて、影像電荷を提供し、それによって、
薬剤が誘電層に付着するのを補助する力を提供するのに
役立つ。誘電層は、十分に影像引力を遮蔽して、基板が
粉末に強固に付着するのを防止するのに十分厚いが、ま
た、吸入器が落下した際の衝撃力などに起因して、十分
な影像引力により、早く粉末が放出されすぎないように
するのに十分に薄いのが好ましい。
例えば、粉末粒子が、厚さd及びの500x重力の力に耐
える誘電率erを有する誘電層上で、q/mの電荷質量比を
有するために、e0を空きスペースの誘電率とし、ファン
デルワールス引力を無視すれば、以下の方程式が適用さ
れる。
500x g≦(q/m)2m 4pe0erd2 例えば、q/m=30mC/g、m=7pgかつer=2と仮定すれ
ば、dは少なくとも76mmと同じくらいの大きさになる。
実際には、多くの場合、保持力はファンデルワールス引
力のため、500xgより強いであろう。上記の方程式は、
基板の誘電性の層の好ましい厚さを決定する際の一般的
な指針として使用することができる。
吸入器の基板は、その上に、吸入の際に放出される堆
積した粉末を有している。粉末堆積の一手段は、出願番
号08/471,889号に記述された技術などのイオンプリンテ
ィングである。しかしながら、粉末を基板に引き付ける
ために、薬剤粉末の堆積前に、基板は予め帯電されてい
ないのが好ましい。これに代えて、静電的チャックが、
堆積のために帯電した粉末を静電的に引き付けるのに、
好ましく使用される。例えば、ある好ましい実施形態で
は、基板自体が静電的チャックを形成する。詳細には、
基板の導電層は、ここにその全てが組み入れられている
(「静電的チャック」と題され、1996年4月9日に出願
された)同時係続中の特許出願番号08/630,050号に記述
された電荷影像のための浮動電極を備えた静電的チャッ
クの構成を有している。粉末は、ここにその全てが組み
入れられている(「音響ディスペンサー(Acoustic Dis
penser)」と題され、1996年4月9日に出願された)同
時係続中の特許出願番号08/630,049号に記述された音響
ディスペンサーを使って基板に堆積することができる。
手短に言えば、電荷影像のための静電的チャックは、
3つの層、好ましくは、第4の任意の層を備えている。
底部の層は低導電性の層で、それはまた、バッキング電
極として知られている。低導電性の層の上の第2の層は
誘電体層である。第3の層は誘電体層の上部の上方導電
層で、この上方導電層は、浮動電極及び遮蔽電極の2つ
のタイプの電極を有している。好ましい実施形態では、
浮動電極は他の導体から電気的に絶縁され、浮動電極と
遮蔽電極の間にはギャップがある。上方の導電層の上の
第4の層は誘電体層で、それは好ましくは薬剤粉末と接
触しており、この層の厚さは上記の数式の対象である。
好ましくは、この層はポリイミド又は高い絶縁耐力を有
する他の材料で作られる。特定の理論に制限されないの
であれば、電位が遮蔽電極及びバッキング電極を横切っ
て適用されるときは、電荷の再分布が浮動電極上で生じ
ると信じられている。電荷の再分布により、静電帯電さ
れた対象物が浮動電極に対応するチャックの領域に引き
寄せられ、その結果、これらの領域内に堆積が生ずる。
好ましくは、浮動電極と遮蔽電極の間のギャップ内に、
高いフリンジング電界が存在するが、この電界は好まし
くは電気的な放出を引き起こすほど大きくはない。
例えば、電荷影像のための上方の導電層を備えた静電
的チャックの断面概略図である図13、図13の浮動電極の
上面図である図14を参照されたい。また、その一部継続
出願が同時に出願されている1996年4月9日出願の同時
係続の米国出願番号08/630,050号(「静電的チャック
(Electrostatic Chucks)」)も参照されたい。例え
ば、図13を参照すると、チャック1110は、その上に誘電
体層1130を備える下方の導電層1120を有している。誘電
体層はその上に上方導電層1140を有している。上方導電
層1140は電気的に接続されているが、遮蔽電極1160と浮
動電極1170の間にギャップ1150を備えている。上方導電
層1140の上面図は図14に示され、浮動電極1170が中央
に、浮動電極とそれを取囲んでいる遮蔽電極1160との間
にギャップ1150が設けられている。
電荷影像チャックの浮動電極は基板上の薬剤粉末の堆
積のパターンを決定し、粉末を基板上に保持する。粉末
の堆積中に、電荷影像チャックは、電源に電気的に接続
され、堆積後に、電源との接続が断たれる。例えば、浮
動電極は、吸入器基板の個々の投与薬剤を空間的に決定
するように構成することができる。例えば、図11A及び
図11Bに図示された基板101の導電層100を、電荷影像チ
ャックにすることもできる。このチャックの導電層は、
本発明による粉末の放出を電子的に補助するために使用
することもできる。
詳細には、図11A及び11Bはその上に堆積した薬剤を有
する基板101の概略断面図で、基板は、導電層100と誘電
体層105を有している。薬物107に接触している基板101
の表面103は、これとともに同時に出願され、「乾燥粉
末の向上した放出のために修正された表面を備える吸入
装置」と題され同時係属中の出願にしたがって、修正さ
れるのが好ましい。放出が補助されている間に、メッシ
ュとして図示された導電層109が、基板の上方に位置さ
せられ、電圧が、図11Bで示されるように、これら2つ
の導電層を横切って適用される。
従って、本発明の一面によれば、患者による吸入の
際、吸入器からの放出を促進するための電子的機構を使
って、粉末は放出される。好ましくは、基板中の導電材
料には電気的パルスが印加される。
ある好ましい実施形態では、基板が固いときなどは、
吸入器の基板から薬剤を放出するために、電位がチャッ
ク中の導電層に印加される。好ましくは、メッシュなど
の導電材料が、放出中に、基板と接触することなく、基
板の上方に置かれ、電位が基板とメッシュとの間に印加
される。例えば、図11Bを参照されたい。
高電圧パルスが、メッシュと基板中の導電層とを横切
って、印加され、放出を開始させる。パルスは、吸入に
よって生じる空気流と同期し、かつ、これにより、印加
が開始されることが好ましい。例えば、吸入器は、吸入
によって生じた空気流に基いて、パルスを発生させるス
イッチを有するのが好ましい。発生されるパルスは、約
300マイクロ秒ないし約1ミリ秒の持続時間を有するこ
とが好ましい。使用される電圧は、好ましくは、約500
から約2000ボルトである。
基板は、あるいは、電荷影像チャックでない導電層を
含むこともできる。例えば、基板は、メッシュを形成す
る多数の穴を備えた導電層を有していてもよい。放出の
ために、穴を有する第2の導電層は、基板に接触するこ
となく、基板の上方及び下方に置かれる。基板の上方及
び下方の2つの導電層の間を電気的に接続することによ
り、基板からの粉末の放出を電子的に補助することがで
きる。例えば、図12A及び12Bを参照されたい。好ましく
は、基板の上方又は下方に置かれる導電層は、基板から
約1mmないし約2mmの位置に配置される。放出中に、高電
圧パルスが二つの導電メッシュを横切って印加される。
パルスは、吸入によって生じた空気流と同期し、かつ、
これにより、印加が開始されることが好ましい。
図12A及び12Bは、その上に堆積した薬剤を有する基板
200の図の断面図で、基板200はメッシュである。放出が
補助されている間、メッシュとして図示され、その中に
穴を備えた2つの導電層202及び204は、基板の上方及び
下方に位置し、図12Bに示されるように、電圧はこれら
の2つの導電層を横切って印加される。基板がその中に
穴を有するときは、一方が基板の上方にあり、他方が基
板の下方にある2つの導電層が、基板から薬剤を放出す
るのに使用されるのが好ましい。特定の理論に制限され
なければ、それらを横切って、電位が印加された2つの
導電層を用いると、その中に穴を備えた基板から、上方
に、口金に向かう粉末の放出を向上させることができる
と信じられている。好ましくは、基板の厚さは約1ミル
ないし30ミルである。
基板の導電材料がメッシュなどの穴を有する場合に
は、穴は、粉末のかなりの量が放出されるように、空気
流が最大となるように構成されるのが好ましく、好まし
い実施形態では、約600ミクロンから約2ミリメートル
の直径を有している。メッシュはステンレスなどの金属
で作られるのが好ましく、メッシュは、ポリテトラフル
オロエチレン(「テフロン(TEFLON)」)などの誘電体
で被覆されるのが好ましい。例えば、メッシュは口金の
一部とすることができ、吸入に先立って、一回の投薬と
整列させられるのが好ましい。
あるいは、例えば、その上に、薬剤が位置している吸
入器の基板は、その中に埋め込まれた固い導電材料を有
することもできる。例えば、基板はその中に埋め込まれ
た1つ又は多数のワイヤを有していてもよい。好ましく
は、導電体は金属である。
電子的な補助のための電源が、好適な吸入器の例との
関係において、図8Bに示されており、図8Bは、バッテリ
ー96によって駆動される電子放出機構(図示せず)を有
する本発明の吸入装置の実施形態の概略図である。この
実施形態では、多数の空気入口82が、口金94からの粉末
の放出を増大させるように、各入口に連結されたチャネ
ル83を有している。シャッター機構84が、空気入口82の
数個に設けられている。口金94は、その上に堆積した薬
剤(図示せず)を有する基板86と空気流で連通してい
る。基板86は細長いテープの形をなし、それはリール92
によって供給され、リール90に巻き取られる。基板はリ
ール88によって巻き取られるシール(図示せず)を有し
ている。
放出の電子的な補助は、粉末粒子に接触している基板
の表面積の大きさを減少させるための溝付きの刻み目を
有する基板を使用することを含む放出を促進する他の機
構と組み合わせることができるが、放出を促進する他の
機構は、このような基板を使用する場合に限られない。
本発明の吸入器が、多くの形態の薬剤とともに使用す
ることができ、経口投薬に加えて、本発明の吸入器が、
鼻への投薬とともに使用することができるということ
は、当業者は理解するであろう。薬剤に該当する生物学
的薬剤は、一般に、細胞、ウイルス、器官または生物体
の機能に変化を生じさせる薬(すなわち、医薬品)を含
む細胞、ウイルス、組織、器官または生物体に作用を及
ぼすことのできる化学薬品などの物質であるが、かかる
薬に限定されるものではない。好ましくは、生物体は哺
乳類であり、さらに好ましくは、人間である。
上述のように、本願は、1996年6月10日出願の米国出
願番号08/661,212号(Attorney Docket DSRC12212)及
び1996年6月10日出願の米国出願番号08/661,212号の一
部継続出願(Attorney Docket DSRC11894)の優先権を
主張するものである。これら優先権出願は、引用によ
り、その全てがこの開示の中に組み入れられている。
本発明を以下の限定的でない実施例によってさらに説
明する。
実施例1 修正された基板からの粉末基材の放出 修正されたポリプロピレン基板を、図3に示すよう
に、フロン酸モメタゾンの粉末薬剤の放出についてテス
トした。2cm2の正方形基板は最初に、微量天秤上で数ミ
リグラムの重さがあった(「sub(mg)」)。次に、米
国特許出願番号08/471,889号に記載されたイオンプリン
ティング技術を用いて、粉末薬剤を基板上に堆積した。
粉末雲を放出するために数回の空気のバーストを用い
て、薬剤を4つの網点に堆積させた。次いで、基板はそ
の上の薬剤とともに重さが量られた(mgで与えられた
「sub+drug」)。薬剤の重さ(「drug(mg)」)は、
堆積後の基板の重さ(「sub+drug」)から堆積前の基
板の重さ(「sub(mg)」)を減ずることにより決定し
た。各データポイントごとに、2つの重さ測定値を取
り、2つの重さ測定値を平均した(「average」)。
粉末を放出させるために、図9に示されるように、基
板を装置内に置き、吸入器の口金をシリンダ98に取り付
けた。吸入器の口金は8つの空気入口を含み、その各々
は薬剤粉末の上昇を促進するために、口金と45度の角度
をなしたチャネル(毛管)を有していた。基板からの粉
末の放出は、口金を通して、基板に適用された15,30,45
および57リットル/分の4つの異なる空気の流量でテス
トした。「流量」とは、吸入器からの薬剤の放出に使用
された空気流量を指す。薬剤の放出後に、基板の重さを
量った(mgで示された「sub−drug」)。基板から放出
された薬剤のパーセンテージ(「%drug」)を、放出後
に残った薬剤の重さと放出前の薬剤の重さを使って決定
した。「湿度/温度」はテスト時の湿度のパーセンテー
ジ及び周囲の温度(華氏)を指す。結果は以下の表1〜
2で示されている。表3は、3つの流量の各々に対する
薬剤放出の平均パーセンテージ及び標準偏差をによっ
て、表1〜2のデータをまとめたものである。表3のデ
ータは、図2Fにおいて、グラフで表わされる。
実施例2 修正されていない基板に対する修正された基
板の比較 吸入薬剤の約50mgのドットを2cm2のポリプロピレン基
板に、出願番号08/471,889号(1995年6月6日出願の
「薬剤粉末を基板の予め決められた領域に静電気的に堆
積させるための方法と装置」(Methods and Apparatus
for Electrostatically Depositing a Medicament Powd
er Upon Predefined Regions of a Substrate))に記
載したイオンプリンティング法を使って堆積させた。薬
剤の重さは、微量天秤を使用して確かめた。
その上に堆積した薬剤を有する吸入器の基板からの薬
剤の放出を、図9に示す装置を使ってテストした。図9
を参照すると、配管97に取り付けられた真空源(図示せ
ず)を使用して、空気流を発生させた。配管97は、吸入
器の口金(図示しない)に取り付けるため、シリンダ98
に取り付けられた。口金は8つの空気入口を含み、その
各々は口金に対して45度の角度をなしたチャネル(毛
管)を有していた。空気流量を測定するため、流量計99
を使用した。2つの異なる基板の各々の3つのサンプル
をテストした。第1の基板は、図3に示されるように、
溝付きの表面を有し、第2の基板は修正されていない平
らな表面を有していた。両基板はポリプロピレンで作っ
た。テストの結果は以下の表4に示される。
上記データは、図10において、グラフにより表わさ
れ、それは溝状の刻み目を備えた基板からの薬剤の放出
が、修正されていない基板からの放出よりもはるかに大
きいことを示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 リーヴェンバーグ ハワード クリスト ファー アメリカ合衆国 ニュージャージー州 08540 プリンストン フォンテイン コート 16 (72)発明者 デザイ ニーティン アメリカ合衆国 ニュージャージー州 08550 プリンストン ジャンクション アムヘレスト ウェイ 7 (56)参考文献 特開 平7−24032(JP,A) 特表 平4−504671(JP,A) 特表 平7−500996(JP,A) 特表 平5−501505(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 15/00 A61M 13/00

Claims (31)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】選択した範囲の大きさの吸入する薬剤粒子
    と接触する内部表面を有し、該内部表面は口金の内部表
    面と、その上に薬剤粒子が堆積する基板の内部表面とを
    含み、かかる内部表面の少なくとも1つは選択された寸
    法及び間隔の谷を構成するくぼみ又は隆起領域を有する
    凹凸を付けられ(textured)、選択した範囲の大きさの
    薬剤粒子と凹凸のある表面との間の接触面積を減少させ
    て、凹凸のある表面への薬剤粒子の付着力を減じる、吸
    入装置。
  2. 【請求項2】凹凸のある表面が表面上に堆積した薬剤粒
    子を有する、請求項1に記載の吸入装置。
  3. 【請求項3】凹凸のある表面が口金の内部表面である、
    請求項1に記載の吸入装置。
  4. 【請求項4】谷が、吸入装置によって投与すべき選択し
    た粒子の最小の大きさよりも薬5%乃至約20%小さい幅
    を有する、請求項1に記載の吸入装置。
  5. 【請求項5】谷が約1ミクロン乃至2.5ミクロンの幅を
    有する、請求項1に記載の吸入装置。
  6. 【請求項6】谷が、吸入装置によって投与すべき選択し
    た粒子の最小の大きさよりも約5%乃至約50%小さい深
    さを有する、請求項1に記載の吸入装置。
  7. 【請求項7】谷が、その上に薬剤粒子を有する基板の領
    域、又は吸入装置の口金の全体にわたって実質的に一定
    の間隔を隔てられている、請求項1に記載の吸入装置。
  8. 【請求項8】谷が実質的に直線状である、請求項1に記
    載の吸入装置。
  9. 【請求項9】凹凸のある表面が低い表面エネルギーを有
    する材料で作られる、請求項1に記載の吸入装置。
  10. 【請求項10】凹凸のある表面が、ポリテトラフルオロ
    エチレン、シリコン、アルミナ、セラミック、アルミナ
    化有機光伝導体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ
    プロピレン及びポリエチレンからなるグループから選択
    された材料で作られる、請求項1に記載の吸入装置。
  11. 【請求項11】凹凸のある表面が表面上にシランの層を
    有する、請求項1に記載の吸入装置。
  12. 【請求項12】シランがフルオロシラン又はアミノシラ
    ンである請求項11に記載の吸入装置。
  13. 【請求項13】口金が外部から内部に延びる多数の空気
    入口を有し、入口各々はチャネルに連通し、各チャネル
    が口金の内部表面から外部表面に延び、各チャネルは口
    金の壁から約20度乃至約70度の角度で位置決めされる、
    請求項1に記載の吸入装置。
  14. 【請求項14】チャネルが口金の壁から約45度の角度で
    位置決めされる、請求項13に記載の吸入装置。
  15. 【請求項15】チャネルが実質的に円筒状である、請求
    項13に記載の吸入装置。
  16. 【請求項16】チャネルの直径が約5mmよりも小さい、
    請求項13に記載の吸入装置。
  17. 【請求項17】谷が吸入中の口金内の空気流の方向に実
    質的に平行である、請求項13に記載の吸入装置。
  18. 【請求項18】吸入装置の外部と内部との間の圧力差を
    制御するために、少なくとも1つの空気入口を選択的に
    閉鎖するシャッター機構を更に有する、請求項17に記載
    の吸入装置。
  19. 【請求項19】(a)薬剤を堆積する表面を有する基板
    を用意し、凹凸を付けた基板の表面が、選択した範囲の
    大きさの粒子と凹凸のある表面との間の接触面積を減少
    させるために選択した寸法及び間隔の谷を構成するくぼ
    み又は隆起領域を有し、 (b)基板上に薬剤を堆積させ、 (c)ハウジング内に前記基板を組み入れ、該ハウジン
    グは吸入用の口金を有する、 吸入装置を製造する方法。
  20. 【請求項20】堆積が静電気的に行われる請求項19に記
    載の方法。
  21. 【請求項21】基板上に堆積した薬剤粒子が約1乃至15
    ミクロンの粒子サイズを有する請求項19に記載の方法。
  22. 【請求項22】堆積した薬剤粒子を有する、或いは使用
    中に薬剤粒子と接触する、実質的に全ての吸入装置の表
    面が凹凸のある表面を有する、請求項1に記載の吸入装
    置。
  23. 【請求項23】凹凸のある表面の谷の寸法及び間隔が、
    選択された大きさの粒子の凹凸のある表面に接触する面
    積を減じるために選択された、請求項1に記載の吸入装
    置。
  24. 【請求項24】谷のピッチが約1ミクロン乃至2.5ミク
    ロンである、請求項5に記載の吸入装置。
  25. 【請求項25】口金を含む処理主体に薬剤粉末を搬送す
    るための吸入装置において、該口金は外部表面及び内部
    表面を有する壁を有し、該口金は外部から内部に延びる
    多数の空気入口を更に有し、該入口は各々チャネルと連
    通し、各チャネルは口金の内部から外部に延び、各チャ
    ネルは口金の壁から約20度乃至約70度の角度で位置決め
    される、吸入装置。
  26. 【請求項26】チャネルが口金の壁から約45度の角度で
    位置決めされた、請求項25に記載の吸入装置。
  27. 【請求項27】チャネルが実質的に円筒状である、請求
    項25に記載の吸入装置。
  28. 【請求項28】チャネルの直径が約5mmよりも小さい、
    請求項25に記載の吸入装置。
  29. 【請求項29】少なくとも1つの空気入口を選択的に閉
    鎖するためのシャッター機構を更に有する、請求項25に
    記載の吸入装置。
  30. 【請求項30】選択した範囲の大きさの吸入する薬剤粒
    子と接触する基板を有し、該基板は、薬剤粒子が上にあ
    る凹凸のある表面を有し、該凹凸のある表面は、選択し
    た範囲の大きさの薬剤粒子と凹凸のある表面との間の接
    触面積を減少させ、それにより、凹凸のある表面への薬
    剤粒子の付着力を減じるために選択された寸法及び間隔
    の谷を構成するくぼみ又は隆起領域を有する、吸入装
    置。
  31. 【請求項31】前記凹凸のある表面を含む内部表面を有
    する口金を更に有する、請求項30に記載の吸入装置。
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