JP3435146B2 - 弾性表面波装置 - Google Patents

弾性表面波装置

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は弾性表面波装置に関
し、特にGHz 帯域を含む高周波帯域において優れた通
過帯域特性を有する弾性表面波装置に関する。 【0002】 【従来の技術】弾性表面波装置は、携帯電話等の小型・
軽量かつ非常に高い周波数帯域で動作する無線通信装置
の高周波回路において、フィルタあるいは共振器として
広く使われている。 【0003】かかる弾性表面波装置は一般に圧電単結晶
あるいは多結晶基板上に形成されるが、電気機械結合係
数k2 が大きく、従って表面波の励振効率が高く、また
高周波帯域において表面波の伝搬損失が小さい基板材料
として、特にLiNbO3 単結晶の64°回転Yカット
板において表面波の伝搬方向をX方向とした64°Y-X
LiNbO3 基板(K. Yamanouti and K. Shibayama,
J. Appl. Phys. vol.43, no.3, March 1972, pp.856)
あるいはLiTaO3 単結晶の36°回転Yカット板に
おいて表面波の伝搬方向をX方向として36°Y-X Li
TaO3 基板が広く使われている。 【0004】しかし、これらのカット角は、圧電結晶基
板上に形成された電極の付加質量効果が無視できる場合
に最適となるものであり、数百MHz 以下の低周波帯域
では励起される弾性表面波の波長が長いため有効であっ
ても、最近の携帯電話等で必要とされているGHz 帯域
近傍での動作においては、電極の厚さが励起される弾性
波波長に対して無視できなくなり、必ずしも最適とはな
らない。このような高周波帯域での動作では、電極の付
加質量の効果が顕著に現れる。 【0005】このような非常に短波長域の動作において
は、圧電基板上の電極の厚さを増加させ、見かけ上の電
気機械結合係数を増大させることにより、弾性表面波フ
ィルタの通過帯域幅あるいは弾性表面波共振器の容量比
γを小さくすることが可能であるが、このような構成で
は電極から基板内部に向かって放射されるバルク波が増
大し、表面波の伝搬損失が増大してしまう問題が生じ
る。かかるバルク波をSSBW(surface skimming bul
k wave) と称し、またかかるSSBWに対し表面波をL
SAW(Leaky surface acoustic wave)と称する。厚い
電極膜を使った弾性表面波フィルタにおけるLSAWの
伝搬損失については、36°Y-X LiTaO3 および6
4°Y-X LiNbO3 基板について、 Plessky他、ある
いは Edmonson 他により解析がなされている(V. S. Pl
essky and C. S. Hartmann, Proc.1993 IEEE Ultrasoni
cs Symp., pp.1239 - 1242; P. J. Edmonson and C. K.
Campbell, Proc. 1994 IEEE Ultrosonic Symp., pp75
- 79)。 【0006】ところで、このような従来の36°Y-X L
iTaO3 あるいは64°Y-X LiNbO3 等の、LS
AWを使う従来の弾性表面波フィルタでは、電極膜厚が
薄い場合、表面波の音速値とバルク波の音速値とが接近
し、その結果フィルタの通過帯域内にバルク波によるス
プリアスピークが出現してしまう(M. Ueda et al.,Pro
c. 1994 IEEE Ultrasonic Symp., pp.143 - 146) 。 【0007】図20は、上記 Ueda 他の文献による表面
波フィルタにおいて、フィルタ通過帯域近傍に出現した
バルク波によるスプリアスピークA,Bを示す。フィル
タは36°Y-X LiTaO3 基板上に構成され、励振波
長の3%に相当する0.49μmの厚さのAl−Cu合
金よりなる櫛形電極を形成されている。 【0008】図20を参照するに、スプリアスピークB
は330MHz 近傍に形成された通過帯域外に生じてい
るが、スプリアスピークAは通過帯域内に生じており、
その結果通過帯域特性にリップルが生じているのがわか
る。 【0009】弾性表面波フィルタでは、表面波の音速は
電極の付加質量、すなわち膜厚に依存するのに対し、S
SBWの音速は電極の膜厚に依存しないため、GHz 帯
域のような高周波帯域での動作では、電極の膜厚が励振
表面波波長に対して増加し、表面波の音速がバルク波に
対して相対的に低下する。その結果、フィルタの通過帯
域がスプリアスピークに対してシフトし、通過帯域特性
が平坦化する。 【0010】しかし、このように電極の膜厚が表面波波
長に対して増大すると先にも説明したようにSSBWに
よるLSAWの損失が増大し、また通過帯域の角形比が
劣化してしまう。角形比は、後ほど説明するように、フ
ィルタ特性の急峻性を表し、通過帯域の角形比が劣化す
ると、フィルタ特性がブロードになってしまう。 【0011】また、特にGHz 帯のような非常に高周波
帯域で動作する弾性表面波フィルタにおいては、櫛形電
極の抵抗を減少させるためにも電極にある程度の膜厚を
確保する必要があるが、そうなると先に説明した損失の
増大および角形比の劣化の問題が避けられない。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は上
記の問題点を解決した弾性表面波装置として、先に特願
平7−265466号を提案した。同出願に係る弾性表
面波装置は、本発明者が、GHz 帯域のような短波長領
域では電極の厚さが励起される表面波の波長に対して無
視できなくなり、電極の付加質量の効果が顕著に現れ、
この付加質量の効果により最小の伝搬損失を与える単結
晶基板の回転角θが高角度側にずれることを見出したこ
とに起因する。 【0013】そして同出願では、LiTaO3 単結晶基
板の回転角θを従来の36°よりも高角度に設定するこ
とにより、具体的にはLiTaO3 単結晶基板の回転角
θをX軸を中心に,Y軸からX軸方向に38〜46°の
範囲の角度で回転させることにより、GHz 帯域におい
て表面波の減衰が少なく、Qが高い弾性表面波装置を提
供している。 【0014】また、このような高い周波数における電極
の付加質量効果に伴い、フィルタの通過帯域の位置がス
プリアスピークに対して低周波側にシフトするため、こ
のような回転角の大きいLiTaO3 基板上に形成した
弾性表面波装置では、スプリアスピークをフィルタの通
過帯域から外すことが可能である。 【0015】ところで、上記のようにLiTaO3 単結
晶基板の回転角θを変化させると、これに伴い結合係
数,反射係数等の各種係数も変化する。これに伴い弾性
表面波装置としての最も適正な特性を実現するための各
種パラメータ(例えば、櫛歯電極指の対数,反射器の電
極周期等)の値も、LiTaO3 単結晶基板の回転角θ
が36°であった従来のパラメータ値と比べて変化す
る。従って、弾性表面波装置の特性を最良のものとする
ために、LiTaO3 単結晶基板の回転角θを従来より
大きくした場合における上記各種パラメータの最適化を
図る必要がある。 【0016】本発明は上記の課題を解決した弾性表面波
装置を提供することを目的とする。 【0017】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明では、電基板上に、各々櫛形状とされた第1
の電極指郡と第2の電極指郡とが組み合わされた状態で
構成されると共に前記圧電基板上に弾性表面波の伝搬方
向に向け少なくとも3個列設された櫛形電極と、前記複
数の櫛形電極を挟んで配設さたれ一対の反射電極とによ
り構成される第1の弾性表面波装置要素と第2の弾性表
面波装置要素とがカスケード接続してなる構成の弾性表
面波チップと、対向配置された入力端子と出力端子とを
有し、該入力端子及び出力端子の夫々が、信号パッドと
該信号パッドを挟んで形成された一対のグランドパッド
とにより構成される構造を有したセラミックパッケージ
と、前記弾性表面波チップを前記入力端子及び出力端子
に接続するワイヤとを有し、前記第1及び第2の弾性表
面波装置要素の内の略中央に配置されており、入力側と
なる弾性表面波装置要素の信号パッドと入力端子の信号
パッドとを入力側信号ワイヤにより接続すると共に、
入力側となる弾性表面波装置要素の両側に配置された
弾性表面波装置要素のグランドパッドをそれぞれ、入力
側グランドワイヤによって、別々のグランドパッドに
続し、かつ、出力側となる弾性表面波装置要素の信号パ
ッドと出力端子の信号パッドとを出力側信号ワイヤによ
り接続すると共に、出力側となる弾性表面波装置要素の
両側に配置された弾性表面波装置要素のグランドパッド
をそれぞれ、出力側グランドワイヤによって、別々のグ
ランドパッドに接続したことを特徴とするものである。 【0018】 【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
図面と共に説明する。 【0019】図1(A),(B)は、第1実施例である
弾性表面波装置を示している。図1(A)を参照する
に、本実施例に係る弾性表面波装置は、いわゆる二重モ
ード型のSAWフィルタであり、圧電基板(図示せず)
上に形成された一対の反射器10A,10Bの間に三つ
の櫛形電極11A,11B,11Cを備えている。 【0020】本実施例は、基板としてLiTaO3 単結
晶をX軸を中心にY軸からZ軸方向に40°〜42°の
範囲の角度で回転させた方位を有する圧電基板を用いて
いる。これにより、前述したようにGHz 帯域において
表面波の減衰が少なく、Qが高い弾性表面波装置を実現
することができる。 【0021】また、反射器10A,10Bは基板のX軸
方向に配列され、X軸方向に伝搬する弾性表面波の経路
を規定する。一方、各々の電極11A,11B,11C
は、複数の一次側電極指を形成された1次側電極(11
A)1 ,(11B)1 ,(11C)1 と、前記1次側電
極指と対向する2次側電極指を形成された2次側電極
(11A)2 ,(11B)2 ,(11C)2 とよりな
り、通常の櫛形電極と同様に、前記1次側電極指と2次
側電極指とは、前記X軸方向に交互に配列され、前記弾
性表面波の経路と交差する。 【0022】図1(A)の構成では、電極11Aおよび
11Cの1次側電極(11A)1 ,(11C)1 は入力
端子に接続され、また2次側電極(11A)2 ,(11
C)2 は接地される。一方、電極11Bの1次側電極
(11B)1 は接地され、2次側電極(11B)2 は出
力端子に接続される。すなわち、図1(A)のSAWフ
ィルタは、いわゆる2入力1出力型のSAWフィルタを
構成する。 【0023】かかる二重モード型SAWフィルタでは、
図1(B)に示すように、前記反射器10A,10Bの
間に形成された周波数がf1 の1次のモードと周波数が
f3の3次のモードとを使い、周波数f1 とf3 との間
に通過帯域を有する通過帯域特性を実現する。ただし、
図1(B)は、図1(A)の構造中における弾性表面波
のエネルギ分布を示す。 【0024】図2は、図1(A)に示す弾性表面波装置
のインピーダンス−対数比特性を示している。ここで、
対数比とは櫛形電極11A〜11Cの内中央部に位置す
る櫛形電極11Bの電極対数(N1)と、この櫛形電極
11Bに隣接する櫛形電極の電極対数(N2)との比率
(N2/N1)をいう。また図3は、図1(A)に示す
弾性表面波装置の帯域幅−対数比特性を示している。 【0025】先ず、図2を参照すると、同図において実
線で示すのは対数比を変化させた場合における入力側イ
ンピーダンスの変化であり、また破線で示すのは対数比
を変化させた場合における出力側インピーダンスの変化
である。高周波デバイスである弾性表面波素子では、入
力側インピーダンス及び出力側インピーダンスは共に5
0Ωであることが望ましく、少なくとも59Ω以下とす
る必要がある。 【0026】そこで、入力側インピーダンスに注目する
と、入力側インピーダンスは対数比が増大するに従い略
増大する傾向を示し、対数比が略80%以下の場合にイ
ンピーダンスが59Ω以下となる。また、出力側インピ
ーダンスに注目すると、出力側インピーダンスは対数比
が増大するに従い略減少する傾向を示し、対数比が略5
5%以上の場合にインピーダンスが59Ω以下となる。 【0027】一方、図3に示される帯域幅と対数比との
関係に注目すると、対数比が略70%である時を最大帯
域幅として、これより対数比が増大してもまた減少して
も帯域幅は減少する特性となっている。弾性表面波装置
として必要とされる帯域幅は少なくとも33MHz以上
である。よって、弾性表面波装置として必要とされる帯
域幅を満足させるためには、対数比を55%以上80%
以下に設定する必要がある。 【0028】そこで、本実施例に係る弾性表面波装置で
は、前記した図2及び図3の結果より、対数比を55〜
80%に設定したことを特徴としている。このように、
中央部に位置する櫛形電極11Bの電極対数(N1)
と、この櫛形電極11Bに隣接する櫛形電極の電極対数
(N2)との比率である対数比(N2/N1)を55〜
80%に設定することにより、帯域幅を広くすることが
できると共に、高周波デバイスである弾性表面波装置の
終端抵抗を最も特性の良好な50Ωに近づけることがで
きる。 【0029】特に、図3に示される特性より、対数比
(N2/N1)を65〜75%に設定することにより、
帯域幅を略34MHz以上の広い範囲に設定することが
可能となり、特に帯域幅特性の良好なSAWフィルタを
実現することが可能となる。 【0030】続いて、図4及び図5に注目する。図4は
図1(A)に示す弾性表面波装置における帯域幅−電極
間距離(HD)特性をシミュレーションにより求めた結
果を示している。ここで、電極間距離(HD)とは、櫛
形電極11A〜11Cの内、中央部に位置する櫛形電極
11Bの両端の電極指の中央部から、この中央部に位置
する櫛形電極11Bに隣接する他の櫛形電極11A,1
1Cの電極指の中央部までの距離をいう。 【0031】また、各電極指の幅寸法が異なる場合であ
っても、この電極間距離(HD)の計測起点は、各電極
指のX方向に対する中心位置とする。また、各図におい
て、横軸である電極間距離(HD)は、基板表面を伝搬
する弾性表面波の波長(λ)の倍数表示としている。 【0032】図4を参照すると、前記したように弾性表
面波素子は少なくとも33MHz以上の帯域幅を有する
必要がある。よって、これを満足させる電極間距離(H
D)は、図4より0.75λ〜0,90λ以上である。
従って、電極間距離(HD)を0.75λ〜0,90λ
に設定することにより、弾性表面波素子の帯域幅を実用
に足る帯域幅に増大することができる。よって、本実施
例に係る弾性表面波装置では、フィルタの帯域特性を向
上させる面より、電極間距離(HD)を0.75λ〜
0,90λに設定している。 【0033】尚、図4はシミュレーションの結果である
ため、電極間距離(HD)が0.5λ以下の領域におい
いても帯域幅が33MHz以上となる範囲が存在する
が、電極間距離(HD)が0.5λ以下となった場合に
は、実際には隣接する電極指が干渉する状態となり、実
際上は電極間距離(HD)を0.5λ以下とすることは
できない。一方、図5は図19(A)に示す弾性表面波
装置における帯域内リップル−電極間距離特性を示して
いる。ここで、帯域内リップルとはフィルタ帯域に含ま
れる脈動成分をいい、この帯域内リップルは発生しない
ことが望ましい(即ち、0dBであることが望まし
い)。 【0034】しかるに、この帯域内リップルを完全に除
去するのは困難であり、実用に足る弾性表面波装置とし
ては、少なくとも帯域内リップルを2.0dB以下とす
る必要がある。尚、同図においても、横軸である電極間
距離(HD)は、基板表面を伝搬する弾性表面波の波長
(λ)の倍数表示としている。 【0035】そこで、図5を参照すると、帯域内リップ
ルは電極間距離が0.8λ付近の時が最低値となってお
り、この最低電極間距離より電極間距離が長くなって
も、或いは短くなっても帯域内リップルの値は増加する
特性を示す。また、帯域内リップルを実用に足る2.0
dB以下とするためには、電極間距離を0.78λ〜
0.85λの間に設定する必要がある。このため、本実
施例に係る弾性表面波装置では、帯域内リップルのフィ
ルタ特性への影響を防止する面から電極間距離を0.7
8λ〜0.85λに設定している。 【0036】図6は、図19(A)に示す弾性表面波装
置の帯域幅−電極周期比特性を示している。ここで、電
極周期比とは、表面弾性は装置を構成する櫛形電極11
A〜11Cの電極周期をλIDT とし、反射器10A,1
0Bの電極周期をλref とした場合、この櫛形電極11
A〜11Cの電極周期λIDT と反射器10A,10Bの
電極周期λref との比率(λIDT /λref )をいう。 【0037】そこで図6を参照すると、帯域幅は電極周
期比(λIDT /λref )が0.982の時に最大値とな
り、電極周期比がこの最大電極周期比より増大してもま
た低減しても帯域幅は減少する特性を示す。前記したよ
うに、弾性表面波装置の帯域幅は少なくとも33MHz
以上であることが望ましい。 【0038】よって、帯域幅を33MHz以上とするた
めには電極周期比(λIDT /λref)の値を0.977
〜0.992とする必要がある。このため、本実施例に
係る弾性表面波装置では、電極周期比(λIDT /λ
ref )の値を0.977〜0.992に設定しており、
これにより、帯域幅を所望する値とすることができる。 【0039】続いて、図7及び図8に注目する。図7
は、図1に示した弾性表面波装置のインピーダンス−電
極交叉幅特性を示しており、また図8は図1に示した弾
性表面波装置の帯域幅−電極交叉幅特性を示している。 【0040】ここで、電極交叉幅(W)とは、各櫛形電
極11A〜11Cの一次側電極(11A)1 〜(11
C)1 の電極指と二次側電極(11A)2 〜(11C)
2 の電極指が、X方向にみて重なり合う幅寸法をいう
(図1(A)参照)。また、各図において、横軸である
電極交叉幅(W)は、基板表面を伝搬する弾性表面波の
波長(λ)の倍数表示としている。 【0041】先ず図7を参照すると、インピーダンス
は、電極交叉幅(W)が増大するに従い漸次減少する傾
向を示している。前記したように、高周波デバイスであ
る弾性表面波装置は、フィルタの入出力インピーダンス
が終端抵抗と一致した場合に最も良好なフィルタ特性を
示す。また、許容インピーダンスは最適値に対して±1
0%であり、具体的には終端抵抗が50Ωの場合、フィ
ルタの入出力インピーダンスの値が40Ωから60Ωの
範囲であれば良好な特性を実現することができる。従っ
て、図7より電極交叉幅(W)を40λから80λに設
定することにより、所望するインピーダンス特性をえる
ことができる。 一方、図8を参照すると、帯域幅は電
極交叉幅(W)が60λである時に最大帯域幅となり、
電極交叉幅がこの最大電極交叉幅より増大してもまた減
少しても帯域幅は減少する特性を示す。前記したよう
に、弾性表面波装置として実用に足る帯域波幅は、少な
くとも33MHz以上である。よって、電極交叉幅を4
0λ〜70λに設定した場合に良好な帯域幅をえること
ができる。 【0042】即ち、図7及び図8の特性より、電極交叉
幅(W)を40λ〜70λに設定することにより、イン
ピーダンス特性及び帯域幅を弾性表面波装置として適正
な値とすることができる。そこで、本実施例に係る弾性
表面波装置では、電極交叉幅(W)を40λ〜70λに
設定している。 【0043】次に、第2実施例を図9を参照しながら説
明する。但し、図9において、先に説明した部分に対応
する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。 【0044】図9を参照するに、本実施例による弾性表
面波装置(SAWフィルタ)は、前記第1実施例と同様
なLiTaO3 単結晶をX軸を中心にY軸からZ軸方向
に40°〜42°の範囲の角度で回転させた方位を有す
る圧電基板(図示せず)上に構成されている。 【0045】そして、この圧電基板上には、前記図1に
示したのと同様な、X軸方向に整列した反射器10A,
10B、および反射器10A,10B間に順次配列され
た櫛形電極11A,11B,11Cよりなる第1の弾性
表面波素子要素(以下、SAWフィルタ11という)
と、同じ圧電基板上に構成され、X軸方向に整列した反
射器20A,20B、および反射器20A,20B間に
順次配列された櫛形電極21A,21B,21Cよりな
る第2の弾性表面波装置要素(以下、SAWフィルタ2
1という)とを含み、SAWフィルタ11とSAWフィ
ルタ21とは、櫛形電極11Bを構成する2次側電極
(11B)2 を櫛形電極21Bを構成する1次側電極
(21B)1 に接続することにより、カスケード接続さ
れた構成とされている。 【0046】図9の実施例では、櫛形電極11A,11
Cの1次側電極(11A)1 ,(11C)1 が共通に接
地され、また櫛型電極11A,11Cの2次側電極(1
1A)2 ,(11C)2 は櫛型電極21A,21Cの1
次側電極(11A)1 ,(11C)1 に接続されてい
る。また、櫛型電極21A,21Cの2次側電極(11
A)2 ,(11C)2 は共通に接地された構成とされて
いる。更に、櫛形電極11Bの1次側電極(11B)1
は入力電極パッドに接続されると共に、櫛形電極21B
の2次側電極(21B)2 は出力電極パッドに接続され
た構成とされている。 【0047】図9の実施例では、SAWフィルタ11の
電極交差幅がW1 であるのに対し、SAWフィルタ21
の電極交差幅がW2 (≠W1 )とされ、その結果、弾性
表面波装置(SAWフィルタ)全体の入力インピーダン
スと出力インピーダンスとが異なった値に設定されてい
る。即ち、弾性表面波装置全体の入力インピーダンス
は、電極交差幅がW1 のSAWフィルタ11の入力イン
ピーダンスで決定されるのに対し、全体の出力インピー
ダンスは、電極交差幅がW2 のSAWフィルタ21の出
力インピーダンスで決定される。 【0048】また、SAWフィルタの入出力インピーダ
ンスは電極対数と電極交差幅に反比例することが知られ
ているが、電極対数はフィルタの通過帯域特性を決定す
るため、自在に選択することはできない。これに対し、
電極交差幅は、フィルタの通過帯域特性とは比較的無関
係に設定できるため、図9の実施例では、電極交差幅W
1 と電極交差幅W2 とを独立に設定することにより、S
AWフィルタ1の入力インピーダンスとSAWフィルタ
2の出力インピーダンスとを、独立かつ自在に変化させ
て終端インピーダンスと合わせることができる。本手法
は、入力側の終端インピーダンスと出力側の終端インピ
ーダンスが異なる場合に効果がある。 【0049】具体的には、本実施例では入力側となるS
AWフィルタ11の電極交叉幅(W1)を弾性表面波の
波長λに対して40λ〜60λに設定し、また出力側と
なるSAWフィルタ21の電極交叉幅(W2)を弾性表
面波の波長λに対して20λ〜60λ(但し、W1,W
2が共に60λとなる場合を除く)に設定している。ま
た、図9に示す弾性表面波装置の特性を決定する他のパ
ラメータは、SAWフィルタ11及びSAWフィルタ2
1共に図1(A)に示した弾性表面波装置と同じ値に設
定している。即ち、SAWフィルタ11及びSAWフィ
ルタ21共に、電極対比(N2/N1)は55〜80%
となるよう設定されており、電極間距離(HD)ハ弾性
表面波の波長λに対して0.75λ〜0.90λに設定
されており、電極周期比(λIDT /λref )は0.97
7〜0.992に設定されている。特に、上記した各パ
ラメータの内、電極対比(N2/N1)を65〜75%
に設定することにより、更に帯域幅の広い弾性表面波装
置を実現することができる。 【0050】図19に上記した図9に示した弾性表面波
装置(SAWフィルタ)の出力側終端インピーダンスと
バンド幅との関係の一実施例を示す。同図においては、
SAWフィルタの入力側手段インピーダンスは50Ωで
固定しており、出力側終端インピーダンス(RL)を変
化させた場合におけるバンド幅の変化を示している。図
19を参照すると、W2/W1=1の場合においては、
出力側終端インピーダンス(RL)が100Ω以上でバ
ンド幅が減少する特性を有している。これに対し、W2
/W1=0.6,及びW2/W1=0.4の場合(即
ち、電極交叉幅W1,W2を異ならせた場合)において
は、出力側終端インピーダンス(RL)が75Ω〜20
0Ωの範囲において良好な結果を得ることができる。 【0051】一方、終端インピーダンスが50Ωである
場合、SAWフィルタの電極交叉幅は40λから60λ
で良好な特性が得られるが、終端インピーダンス(R
L)が75Ωから200Ωでは、電極交叉幅は20λ〜
60λで良好な特性が得られる。よって、入出力で異な
る終端インピーダンスを有する弾性表面波装置(SAW
フィルタ)の場合には、上記の組み合わせが必要とな
る。 【0052】続いて、第3実施例である弾性表面波装置
について説明する。図12は第3実施例である弾性表面
波装置を示しており、図10及び図11は第3実施例の
比較例である弾性表面波装置を示している。先ず、図1
0及び図11を用いて第3実施例の比較例である弾性表
面波装置について説明する。 図10乃至図12は、第
2実施例による弾性表面波装置のパッケージを含む構成
を示している。但し、先に説明した部分には同一の参照
符号を付し、説明を省略する。 【0053】先ず、図10に示される弾性表面波装置に
ついて説明する。同図に示す弾性表面波装置は、図9に
示した構成の弾性表面波装置を担持する圧電基板1がセ
ラミックパッケージ基板100上に担持され、前記パッ
ケージ基板100上には入力端子と出力端子が対向する
よう配設されている。 【0054】入力端子は一対の接地電極101,103
が、入力電極102を両側から挟持するように形成され
ている。また、出力端子は接地電極104および106
が、出力電極105を両側から挟持するように形成され
ている。 【0055】図10の構成では、圧電基板1上のSAW
フィルタ11のうち、櫛形電極11Aの接地電極(図9
の電極(11A)1 )はパッケージ100上の入力側接
地電極103にAlワイヤ107で接続され、櫛形電極
11Cの接地電極(図9の電極(11C)1 )は、パッ
ケージ100上の出力側接地電極106にAlワイヤ1
08で接続される。 【0056】また、櫛形電極11Bの入力電極(図9の
電極(11B)1 )は、前記入力電極102にAlワイ
ヤ109により接続され、櫛形電極11Bの接地電極
(図9の電極(11B)2 )は、入力側接地電極101
にAlワイヤ110により接続されている。 【0057】これに対し、圧電基板1上のSAWフィル
タ21のうち、櫛形電極21Aの接地電極(図9の電極
(21A)2 )はパッケージ100上の入力側接地電極
101にAlワイヤ111で接続され、櫛形電極21C
の接地電極(図9の電極(21C)2 )は、パッケージ
100上の出力側接地電極104にAlワイヤ112で
接続されている。 【0058】また、櫛形電極21Bの接地電極(図9の
電極(21B)1 )は、出力側接地電極106にAlワ
イヤ113により接続される。更に、櫛形電極21Bの
出力電極(図9の電極(21B)2 )は、出力電極10
5にAlワイヤ114により接続されている。また、S
AWフィルタ11とSAWフィルタ21とは、櫛形電極
11A,11Cの2次側電極(11A)2 ,(11C)
2 を櫛形電極21A,21Cの1次側電極(21A)1
,(21C)1 に接続することにより、カスケード接
続された構成とされている。 【0059】次に、図11に示される弾性表面波装置に
ついて説明する。尚、図10に示した構成と同一構成部
分については同一符号を付してその説明を省略する。 【0060】図11に示す弾性表面波装置は、前記した
図10に示した弾性表面波装置の構成に加えAlワイヤ
114,115を追加した構成とされている。具体的に
は、櫛形電極11Cの接地電極(図9の電極(11C)
1 )は、パッケージ100上の入力側接地電極101に
もAlワイヤ114で接続されており、更に櫛形電極2
1Aの接地電極(図9の電極(21A)2 )は、パッケ
ージ100上の出力側接地電極106にもAlワイヤ1
15により接続された構成とされている。 【0061】続いて、第3実施例である弾性表面波装置
について図12を参照して説明する。尚、図12におい
ても図10及び図11に示した構成と同一構成部分につ
いては同一符号を付してその説明を省略する。 【0062】図12の構成では、圧電基板1上のSAW
フィルタ11のうち、櫛形電極11Aの接地電極(図9
の電極(11A)1 )はパッケージ100上の入力側接
地電極103にAlワイヤ107で接続され、櫛形電極
11Cの接地電極(図9の電極(11C)1 )は、パッ
ケージ100上の入力側接地電極101(グランドパッ
ド)にAlワイヤ114(入力側グランドワイヤ)で接
続される。 【0063】また、櫛形電極11Bの入力電極(図9の
電極(11B)1 )は、前記入力電極102(信号パッ
ド)にAlワイヤ109(入力側信号ワイヤ)により接
続され、櫛形電極11Bの接地電極(図9の電極(11
B)2 )は、入力側接地電極101(グランドパッド)
にAlワイヤ110(入力側グランドワイヤ)により接
続されている。 【0064】これに対し、圧電基板1上のSAWフィル
タ21のうち、櫛形電極21Aの接地電極(図9の電極
(21A)2 )はパッケージ100上の出力側接地電極
106(グランドパッド)にAlワイヤ115(出力側
グランドワイヤ)で接続され、櫛形電極21Cの接地電
極(図9の電極(21C)2 )は、パッケージ100上
の出力側接地電極104(グランドパッド)にAlワイ
ヤ112(出力側グランドワイヤ)で接続されている。 【0065】また、櫛形電極21Bの接地電極(図9の
電極(21B)1 )は、出力側接地電極106(グラン
ドパッド)にAlワイヤ113(出力側グランドワイ
ヤ)により接続される。更に、櫛形電極21Bの出力電
極(図9の電極(21B)2 )は、出力電極105(信
号パッド)にAlワイヤ114(出力側信号ワイヤ)に
より接続されている。 【0066】即ち、図12に示される構成の弾性表面波
装置は、図11に示した構成に対し櫛形電極11Cの接
地電極(図9の電極(11C)1 )と出力側接地電極1
06とを接続するAlワイヤ108と、櫛形電極21A
の接地電極(図9の電極(21A)2 )と入力側接地電
極101とを接続するAlワイヤ111とを取り除いた
構成とされている。 【0067】この構成とすることにより、入力側のSA
Wフィルタ11に接続される各Alワイヤ107,10
9,110,114は全て入力側の電極101〜103
に接続された構成となり、かつ出力側のSAWフィルタ
21に接続される各Alワイヤ112〜115は全て出
力側の電極104〜106に接続された構成となる。
尚、SAWフィルタ11とSAWフィルタ21とは、櫛
形電極11A,11Cの2次側電極(11A)2 ,(1
1C)2 を櫛形電極21A,21Cの1次側電極(21
A)1 ,(21C)1 に接続することによりカスケード
接続された構成とされていることは、図10及び図11
に示した弾性表面波装置と同じである。図13は、図1
0乃至図12に示した弾性表面波装置の減衰量−周波数
特性を示している。同図において、矢印Aで示すのは図
10に示した比較例である弾性表面波装置の特性であ
り、矢印Bで示すのは図11に示した比較例である弾性
表面波装置の特性であり、更に矢印Cで示すのは図12
に示した第3実施例である弾性表面波装置の特性であ
る。 【0068】図13を参照すると、矢印A,Bで示す比
較例に係る弾性表面波装置の減衰量が比較的低い特性を
示すのに対し、本実施例である矢印Cで示す弾性表面波
装置の減衰量は減衰度が大きく良好な特性となっている
ことが判る。従って、ワイヤ接続を図12に示す接続方
法とすることにより、SAWフィルタとして良好な特性
を得ることができる。 【0069】このような特性を示す理由は明確ではない
が、入力側と出力側でのバランスが均衡している点、及
び入力側と出力側が配線的に完全に分離されているため
干渉が発生しない点等が上記特性を示す理由の一つとな
っているものと思われる。 【0070】次に、第4実施例である弾性表面波装置に
ついて説明する。図14は第4実施例に係る弾性表面波
装置を示している。但し、同図において、先に説明した
部分には同一の参照符号を付して説明を省略する。 【0071】図14に示す弾性表面波装置は、図9に示
した構成の弾性表面波装置を担持する圧電基板1がセラ
ミックパッケージ基板100上に担持された構成とされ
ており、また不平衡型SAWフィルタ11と平衡型SA
Wフィルタ21とを具備した構成とされている。前記パ
ッケージ基板100上には不平衡側端子と平衡側端子が
対向するよう配設されている。 【0072】不平衡側端子は一対の接地電極201,2
03が、信号電極202を両側から挟持するように形成
されている。また、平衡側端子は一対の信号電極20
4,206が、接地電極205を両側から挟持するよう
に形成されている。 【0073】図14の構成では、圧電基板1上の不平衡
型SAWフィルタ11のうち、櫛形電極11Aの接地電
極(図9の電極(11A)1 )はパッケージ100上の
不平衡側接地電極203(グランドパッド)にAlワイ
ヤ207で接続され、櫛形電極11Cの接地電極(図9
の電極(11C)1 )は、パッケージ100上の平衡側
接地電極206(グランドパッド)にAlワイヤ208
で接続される。 【0074】また、櫛形電極11Bの入力電極(図9の
電極(11B)1 )は、不平衡側信号電極202(信号
パッド)にAlワイヤ208により接続され、櫛形電極
11Bの接地電極(図9の電極(11B)2 )は、平衡
側接地電極205(グランドパッド)にAlワイヤ20
9により接続されている。 【0075】これに対し、圧電基板1上の平衡型SAW
フィルタ21のうち、櫛形電極21Aの接地電極(図9
の電極(21A)2 )はパッケージ100上の不平衡側
接地電極201(グランドパッド)にAlワイヤ210
で接続され、櫛形電極21Cの接地電極(図9の電極
(21C)2 )は、パッケージ100上の平衡側接地電
極205(グランドパッド)にAlワイヤ211で接続
されている。 【0076】また、櫛形電極21Bの一方の信号電極
(図9の電極(21B)1 )は、平衡側信号電極206
(信号パッド)にAlワイヤ222により接続され、更
に櫛形電極21Bの他方の信号電極(図9の電極(21
B)2 )は、平衡側信号電極204(信号パッド)にA
lワイヤ223により接続されている。 【0077】また、不平衡型SAWフィルタ11と平衡
型SAWフィルタ21とは、櫛形電極11A,11Cの
2次側電極(11A)2 ,(11C)2 を櫛形電極21
A,21Cの1次側電極(21A)1 ,(21C)1 に
接続することにより、カスケード接続された構成とされ
ている。 【0078】本実施例では、櫛形電極21Cの接地電極
(図9の電極(21C)2 )と平衡側接地電極205と
の間にAlワイヤ211を配設したことを特徴とするも
のである。ここで図15に、櫛形電極21Cの接地電極
と平衡側接地電極205との間にAlワイヤ211を配
設した構成の弾性表面波装置の減衰量−周波数特性(図
中、矢印Dで示す)と、櫛形電極21Cの接地電極と平
衡側接地電極205との間にAlワイヤ211を設けな
い構成の弾性表面波装置の減衰量−周波数特性(図中、
矢印E示す)とを合わせて示す。 【0079】同図に示されるように、矢印Eで示す櫛形
電極21Cの接地電極と平衡側接地電極205との間に
Alワイヤ211を設けない構成では、減衰量は比較的
低い値となっておりSAWフィルタとしての特性は良好
ではない。これに対し、同図に矢印Dで示される櫛形電
極21Cの接地電極と平衡側接地電極205との間にA
lワイヤ211を配設した構成では、減衰度が大きくな
っておりSAWフィルタとして良好な特性となっている
ことが判る。従って、櫛形電極21Cの接地電極と平衡
側接地電極205との間にAlワイヤ211を配設する
ことにより、SAWフィルタとして良好な特性を得るこ
とができる。 【0080】続いて、第5実施例について説明する。図
16は第5実施例である弾性表面波装置を示している。
本実施例に係る弾性表面波装置は、基板としてLiTa
3単結晶をX軸を中心にY軸からZ軸方向に40°〜
42°の範囲の角度で回転させた方位を有する圧電基板
上に、異なる帯域周波数特性を有する二つの弾性表面波
装置要素を形成した、いわゆるデュアルタイプの弾性表
面波装置(以下、デュアル弾性表面波装置という)であ
る。 【0081】上記の二つの弾性表面波装置要素の内、帯
域周波数が低い弾性表面波装置要素は、弾性表面波の伝
搬方向に沿って複数の櫛形電極が配設された構成を有し
ており、具体的には図1或いは図9に示した多重モード
フィルタ構造の弾性表面波装置と同一構成とされてい
る。尚、図16に示す例では、図9に示した多重モード
フィルタ構造の弾性表面波装置(以下、多重モード形弾
性表面波装置要素という)を適用した例を示している。 【0082】これに対し、帯域周波数が高い弾性表面波
装置要素は、弾性表面波型共振器をラダー接続したラダ
ー形弾性表面波装置要素とされている。尚、図16にお
いても、前記した各実施例と同一構成部分については同
一符号を付してその説明を省略する。 【0083】ラダー型弾性表面波装置要素は、前記した
圧電基板1上に櫛形電極31A〜31E及び反射器32
A〜36A,32B〜36Bを含む構成とされている。
入力端子は櫛形電極31A,31Bの一次側電極(31
A)1 , (31B)1 に接続されている。また櫛形電極
31Aの二次側電極(31A)2 は接地させると共に、
櫛形電極31Bの二次側電極(31B)2 は櫛形電極3
1C,31Dの一次側電極(31C)1 , (31D)1
に接続されている。 【0084】また、櫛形電極31Cの二次側電極(31
C)2 は接地させると共に、櫛形電極31Dの二次側電
極(31D)2 は櫛形電極31Eの一次側電極(31
E)1及び出力端子に接続されている。更に、櫛形電極
31Eの二次側電極(31E)2 は接地された構成とさ
れている。 【0085】一方、反射器32A,32Bは櫛形電極3
1Aを挟むように配設されており、同様に反射器33
A,33Bは櫛形電極31Bを、反射器34A,34B
は櫛形電極31Cを、反射器35A,35Bは櫛形電極
31Dを、反射器36A,36Bは櫛形電極31Eを挟
むように夫々配設されている。 【0086】ここで、上記構成とされたデュアル弾性表
面波装置において、多重モード形弾性表面波装置要素を
構成する電極の膜厚と、ラダー型弾性表面波装置要素を
構成する電極の膜厚に注目して説明する。多重モード形
弾性表面波装置要素の場合には、通過帯域にリップルが
入り込まないため、電極の膜厚を薄くすることが可能で
ある。これに対し、ラダー型弾性表面波装置要素の場
合、電極の膜厚を薄くすると通過帯域にリップルが入り
込みフィルタ特性が劣化するため、電極の膜厚を薄くす
ることは困難である。 【0087】一方、弾性表面波装置が配設される携帯電
話等の電子機器では、高い周波数帯域(例えば1.7〜
1.9GHz帯)のフィルタと低い周波数帯域(例えば
800〜900MHz)のフィルタが共に要求される場
合がある。これを夫々独立した弾性表面波装置により実
現すると、部品点数が増大すると共に電子機器に要求さ
れている小型化に相反する結果となる。よって、上記の
要求を満たすためには、同一のデバイス内に高周波数帯
域フィルタと低周波数帯域フィルタとを共に形成するこ
とが考えられる。 【0088】そこで、先ず2個の多重モード形弾性表面
波装置要素を同一の基板上に形成することを想定する。
前記したように、多重モード形弾性表面波装置要素の場
合には、通過帯域にリップルが入り込まないためラタン
型フィルタより電極の膜厚を薄くすることが可能であ
る。ところが、一般に弾性表面波装置の電極の膜厚は、
設定される帯域周波数の値に反比例することが知られて
おり、従って高周波数帯域フィルタを多重モード形弾性
表面波装置要素により実現しようとした場合には電極の
膜厚は薄くなり、逆に低周波数帯域フィルタを多重モー
ド形弾性表面波装置要素により実現しようとした場合に
は電極の膜厚は厚くなる。 【0089】即ち、同一基板に共に多重モード形弾性表
面波装置要素よりなる高周波数帯域フィルタと低周波数
帯域フィルタとを形成しようとした場合には、各フィル
タの膜厚が異なることとなる。従って、高周波数帯域フ
ィルタと低周波数帯域フィルタを共に多重モード形弾性
表面波装置要素により構成したデュアル弾性表面波装置
を製造するには、電極膜厚の相違により高周波数帯域フ
ィルタの電極形成と低周波数帯域フィルタの電極形成と
を異なるプロセスで形成する必要が生じ、デュアル弾性
表面波装置の製造効率が極めて悪くなる。 【0090】一方、2個のラダー型弾性表面波装置要素
を同一の基板上に形成することを想定すると、前記した
ようにラダー型弾性表面波装置要素の場合には、通過帯
域にリップルが入り込む可能性があるため電極の膜厚を
薄くすることができない。具体的には、弾性表面波λの
10%程度の膜厚が必要となる。 【0091】従って、高周波数帯域フィルタをラダー型
弾性表面波装置要素により実現しようとした場合には、
弾性表面波λは短くなりこれに伴い膜厚も薄くなる。ま
た、前記したようにラダー型弾性表面波装置要素では膜
厚を0.1λ以下とするとリップルが入り込むおそれも
ある。逆に、低周波数帯域フィルタをラダー型弾性表面
波装置要素により実現しようとした場合には、弾性表面
波λは長くなりこれに伴い膜厚も厚くなる。 【0092】よって、高周波数帯域フィルタと低周波数
帯域フィルタとを共にラダー型弾性表面波装置要素によ
り構成するデュアル弾性表面波装置を製造する場合にお
いても、電極膜厚の相違により高周波数帯域フィルタの
電極形成と低周波数帯域フィルタの電極形成とを異なる
プロセスで形成する必要が生じ、デュアル弾性表面波装
置の製造効率が極めて悪くなってしまう。 【0093】しかるに、本実施例のように多重モード形
弾性表面波装置要素とラダー型弾性表面波装置要素とを
同一の基板上に形成することにより、上記の問題点を解
決したデュアル弾性表面波装置を実現することができ
る。以下、これについて説明する。 【0094】図18は、1.9GHZを中心周波数とす
る高周波SAWフィルタをラダー型弾性表面波装置によ
り実現した場合における損失−周波数特性を示してい
る。同図に示されるように、ラダー型弾性表面波装置は
良好な周波数特性を示し、またリップルの混入も見られ
ない。この時のラダー型弾性表面波装置の電極(Al電
極)の膜厚は200nmであった。 【0095】一方、図17は低周波SAWフィルタを多
重モード形弾性表面波装置により実現した場合における
損失−周波数特性を示している。特に、図17では、多
重モード形弾性表面波装置を構成する電極(Al電極)
の膜厚を200nm,240nm,280nmに設定し
た場合における特性を同一の図面に合わせて示してい
る。同図に示されるように、電極の膜厚を変化させた場
合にはフィルタ特性は変化するが、膜厚を先に図18に
示したラダー型弾性表面波装置の膜厚と等しい200n
mとした場合にも、良好なフィルタ特性を示している。 【0096】従って、図17及び図18より、多重モー
ド形弾性表面波装置要素とラダー型弾性表面波装置要素
とを同一の基板上に形成し、多重モード形弾性表面波装
置要素を帯域周波数が略800〜900MHz帯の低周
波数帯域フィルタとして用い、またラダー型弾性表面波
装置要素を帯域周波数が略1.7〜2.0GHz帯の高
周波数帯域フィルタとして用いる構成とすることによ
り、多重モード形弾性表面波装置要素及びラダー型弾性
表面波装置要素の各電極の膜厚を約200nmと等しく
することができ、よって同一の製造プロセスで成膜する
ことができる。 【0097】これにより、市場において要求されている
高い周波数帯域(例えば1.7〜1.9GHz帯)のフ
ィルタと低い周波数帯域(例えば800〜900MHz
帯)のフィルタを同一デバイス(基板)内に形成するこ
とが可能となり、かつその製造プロセスは各弾性表面波
装置要素の電極膜厚が等しいため極めて効率的となり、
安価に上記のデュアル弾性表面波装置を提供することが
可能となる。 【0098】 【発明の効果】本発明によれば、減衰度を大きくするこ
とができるため、良好な特性を有した弾性表面波装置を
実現することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】第1実施例である弾性表面波装置の構成図であ
る。 【図2】第1実施例に係る弾性表面波装置のインピーダ
ンス−対数比特性を示す図である。 【図3】第1実施例に係る弾性表面波装置の帯域幅−対
数比特性を示す図である。 【図4】第1実施例に係る弾性表面波装置の帯域幅−駆
動電極間距離特性を示す図である。 【図5】第1実施例に係る弾性表面波装置の帯域幅−駆
動電極間距離特性を示す図である。 【図6】第1実施例に係る弾性表面波装置の帯域幅−電
極周期特性を示す図である。 【図7】第1実施例に係る弾性表面波装置のインピーダ
ンス−開口長特性を示す図である。 【図8】第1実施例に係る弾性表面波装置の帯域幅−開
口長特性を示す図である。 【図9】第2実施例である弾性表面波装置の構成図であ
る。 【図10】第3実施例である弾性表面波装置の比較例を
示す構成図である。 【図11】第3実施例である弾性表面波装置の比較例を
示す構成図である。 【図12】第3実施例である弾性表面波装置の構成図で
ある。 【図13】第3実施例である弾性表面波装置の損失−周
波数特性を比較例と共に示す図である。 【図14】第4実施例である弾性表面波装置の構成図で
ある。 【図15】第4実施例である弾性表面波装置の損失−周
波数特性を比較例と共に示す図である。 【図16】デュアル弾性表面波装置の構成図である。 【図17】デュアル弾性表面波装置の一実施例の内、多
重モード形弾性表面波装置要素の損失−周波数特性を比
較例と共に示す図である。 【図18】デュアル弾性表面波装置の一実施例の内、ラ
ダー形弾性表面波装置要素の損失−周波数特性を比較例
と共に示す図である。 【図19】図9に示す弾性表面波装置のバンド幅−イン
ピーダンス特性を示す図である。 【図20】従来の一例である弾性表面波装置の通過帯域
特性を示す図である。 【符号の説明】 10A,10B,20A,20B,32A〜36A,3
2B〜36B 反射器 11A〜11C,21A〜21C 31A〜31E 櫛
形電極 (11A)1 〜(11C)1,(21A)1 〜(21C)
1 一次側電極 (11A)2 〜(11C)2,(21A)2 〜(21C)
2 二次側電極 101〜104,106 接地電極 102 入力電極 105 出力電極 107〜115,207〜223 Alワイヤ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 嘉朗 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1 番1号 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−93381(JP,A) 特開 平3−19415(JP,A) 特開 平6−152313(JP,A) 特開 平4−263509(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 9/25 H03H 9/64 H03H 9/145

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 電基板上に、各々櫛形状とされた第1
    の電極指郡と第2の電極指郡とが組み合わされた状態で
    構成されると共に前記圧電基板上に弾性表面波の伝搬方
    向に向け少なくとも3個列設された櫛形電極と、前記複
    数の櫛形電極を挟んで配設さたれ一対の反射電極とによ
    り構成される第1の弾性表面波装置要素と第2の弾性表
    面波装置要素とがカスケード接続してなる構成の弾性表
    面波チップと、 対向配置された入力端子と出力端子とを有し、該入力端
    子及び出力端子の夫々が、信号パッドと該信号パッドを
    挟んで形成された一対のグランドパッドとにより構成さ
    れる構造を有したセラミックパッケージと、 前記弾性表面波チップを前記入力端子及び出力端子に接
    続するワイヤとを有し、 前記第1及び第2の弾性表面波装置要素の内の略中央に
    配置されており、入力側となる弾性表面波装置要素の信
    号パッドと入力端子の信号パッドとを入力側信号ワイヤ
    により接続すると共に、前記入力側となる弾性表面波装
    置要素の両側に配置された弾性表面波装置要素のグラン
    ドパッドをそれぞれ、入力側グランドワイヤによって、
    別々のグランドパッドに接続し、 かつ、出力側となる弾性表面波装置要素の信号パッドと
    出力端子の信号パッドとを出力側信号ワイヤにより接続
    すると共に、出力側となる弾性表面波装置要素の両側に
    配置された弾性表面波装置要素のグランドパッドをそれ
    ぞれ、出力側グランドワイヤによって、別々のグランド
    パッドに接続したことを特徴とする弾性表面波装置。
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