JP3424611B2 - 電気化学センサ装置及びこれを用いた測定方法 - Google Patents

電気化学センサ装置及びこれを用いた測定方法

Info

Publication number
JP3424611B2
JP3424611B2 JP24222899A JP24222899A JP3424611B2 JP 3424611 B2 JP3424611 B2 JP 3424611B2 JP 24222899 A JP24222899 A JP 24222899A JP 24222899 A JP24222899 A JP 24222899A JP 3424611 B2 JP3424611 B2 JP 3424611B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
potential
concentration
counter electrode
working electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP24222899A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001066275A (ja
Inventor
敦 齋藤
総一 齋藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP24222899A priority Critical patent/JP3424611B2/ja
Publication of JP2001066275A publication Critical patent/JP2001066275A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3424611B2 publication Critical patent/JP3424611B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、作用極、対極及び
参照極を備える電気化学センサ装置及びこれを用いた測
定方法に関し、特に、電気配線系統の断線或いは短絡な
どの、上記三電極以外の部分の故障に起因する装置の異
常を検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】電気化学センサ装置は、作用極、対極及
び参照極の3つの電極を試料溶液中に浸漬させ、作用極
と参照極との間に測定対象物質に応じて選択した適当な
電位差を与え、その電位差を一定に保つように対極に与
える電位を変化させたとき、作用極と対極との間に流れ
る電流の値から試料溶液中の測定対象物質の濃度を特定
することを測定原理とし、基本的には、作用極、対極及
び参照極の3つの電極が形成されたセンサ素子を含むセ
ンサ部と、そのセンサ部(具体的には、上記の三電極)
に対して測定に必要な電位を与え、またセンサ素子の電
極間に流れる電流を測定するなど、電源の供給や信号の
処理などを行なう電気信号処理部とからなる。
【0003】センサ素子の一例を、図4に示す。図4
(a)は平面図を表し、図4(b)は図4(a)中のX
−x切断線における断面図を示す。図4を参照して、こ
の図に示すセンサ素子1は、絶縁基板2の一表面に、紙
面左側から右側に順に並ぶ矩形の参照極3、対極4及び
作用極5と、それら電極から1本ずつ引き出されたリー
ド線6と、各リード線の先に1つずつ設けられたコンタ
クト電極7とを形成した構造となっている。3つの電極
は、例えば、対極4と作用極5とはチタン層とこれを覆
う白金層とからなり、参照極3は更にその上に銀の層と
塩化銀の層とを順に積層した構造になっている。
【0004】上記のセンサ素子1を、図5に示すように
外筒11の内部に封入して、電気信号処理部に対して交
換可能なカートリッジ構造にしたものが、センサ部(以
後、センサカートリッジ或いは、単にカートリッジと記
す)10である。図5を参照して、このセンサカートリ
ッジ10においては、外筒11の先端側(紙面左側)に
開口13が設けられていて、センサ素子1は、作用極、
対極及び参照極がその開口の下に位置し、リード線6及
びコンタクト電極7が後端側(紙面右側)に位置するよ
うに収納されている。外筒内のセンサ素子の更に後端側
には、外部の電気信号処理部と接続するためのコンタク
トピン14が設けられている。外筒11の開口部の内側
の周囲とセンサ素子1との間はシール材12で封止され
ている。先に述べたセンサ素子のコンタクト電極7とコ
ンタクトピン14とは接触により電気的に導通してい
て、これにより、作用極、対極、参照極の各電極から電
気信号処理部までの間に、リード線6、コンタクト電極
7及びコンタクトピン14からなる電流経路(電気配線
系統)が構成されている。
【0005】測定の際には、上述のセンサカートリッジ
の開口部を試料溶液中に浸漬するのであるが、開口13
からカートリッジ内に入った試料溶液は、センサ素子の
作用極、対極及び参照極の三電極には接触するものの、
それ以外の部分への浸入はシール材12によって阻止さ
れる。従って、シール材12から先のリード線6、コン
タクト電極7、コンタクトピン14、電気信号処理部の
入力点までの間で、電気配線系統どうしが試料溶液によ
って短絡することはない。
【0006】以下に、電気化学センサを用いた濃度の測
定方法について、試料溶液中の過酸化水素水の濃度を測
定する場合を例にして、説明する。図6は、電気信号処
理部の一例にセンサカートリッジ10を接続したときの
回路図を示す図である。図6を参照して、この図に示す
電気信号処理部20は、直流電圧源21と、作用極に流
れる電流を検出するための電流検出回路22と、電流検
出回路が検出したアナログの電流値をディジタルデータ
に変換するA/Dコンバータ23と、CPU24と、R
OM25及びRAM26と、LCD27と、演算増幅器
28を用いた電位制御回路28Bとで構成される。演算
増幅器28は、非反転入力点が電圧源21に、出力点が
対極に接続されており、反転入力点は参照極に接続され
ている。
【0007】濃度測定を行うときは、先ず、上述のセン
サカートリッジの開口部側を、例えば電解質とpH緩衝
物質とを主成分とするような保存液に浸漬させ、センサ
装置の図示しない電源スイッチをオンにして、装置を稼
動状態にする。次に、センサカートリッジを試料溶液中
に浸漬する。そして、電圧源21の出力電圧を−700
mVにし、電位制御回路28Bによって、作用極と参照
極との間の電位差が700mV(作用極電位=0V、参
照極電位=−700mV)になるように対極に電位を加
える。この作用極と参照極との間の電位差としては、測
定対象物質に応じて適当な値を選択する。上記の操作に
より、作用極が試料溶液に対してプラスの一定電位を保
つことになり、作用極上で下記の反応式で表される陽極
酸化反応が起るので、試料溶液中の過酸化水素水の濃度
に相当する酸化電流が作用極から対極に向かって流れ
る。 H22 →2H+ +O2 +2e- 上記の酸化電流を電流検出回路22で検出する。電流は
作用極と対極との間を流れるので、電流検出回路22は
作用極側または対極側のどちら側に設けても良い。CP
U24は、ROM25に保存されたファームウエアに従
い、検出した電流値をA/Dコンバータ23でディジタ
ルデータに変換して取り込み、RAM26に保存する。
CPU24は更に、ROM25に保存されている電流値
と過酸化水素水の濃度との関係式に基づいて過酸化水素
水の濃度を算出し、LCD27に表示する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】電気化学センサ装置に
おいて精度のよい測定結果を得るには、センサ素子の感
度の管理が重要であることは良く知られていて、従来、
以下に述べるような感度管理のためのいくつかの技術が
開発されている。
【0009】すなわち、特公平7−119727号公報
(公報1)は、電気化学センサ素子の一種であるバイオ
センサにおける電極のリフレッシュ方法を開示してい
る。上記公報1記載のバイオセンサに用いられる酵素電
極は、Ptからなる作用極及び対極とAgからなる参照
極とで構成され、各電極上には所定の生理活性物質が固
定されている。上記公報1記載のバイオセンサにおいて
は、そのようなセンサ素子を用い、対極を基準として作
用極に順バイアス電圧を与えた状態で測定対象物質の濃
度測定を行うのであるが、測定を継続するに従って作用
極表面に酸化膜等の通電妨害膜が形成され、作用極の活
性が低下する。そこで、ある程度の回数の測定を行った
後、測定を行わない期間に、逆バイアスを与えることに
より上述の通電妨害膜を除去して、作用極の活性を回復
(リフレッシュ)させる。この公報1に開示されたリフ
レッシュ方法においては、その作用極のリフレッシュの
ときに、従来の方法に従って所定の逆バイアス電圧を所
定の時間印加した後、測定時の順バイアス電圧よりも高
い順バイアス電圧を供給することにより、リフレッシュ
後に測定を再開できるまでの時間を短縮する。
【0010】一方、特開平4−230843号公報(公
報2)は、電気化学式ガスセンサにおけるセンサ素子の
寿命の予知技術を開示している。上記公報2記載のガス
センサにおいては、同じ一つの絶縁基板上に、検知対象
ガスを検知するための対象ガス検知部と、使用環境に一
定の濃度で存在する基準ガスを検知するための基準ガス
検知部とを設ける。それら対象ガス検知部と基準ガス検
知部とは、それぞれ、作用極、対極及び参照極の組を1
組ずつ備えている。このようにすることによって、対象
ガス検知部の感度の経時変化特性と基準ガス検知部の感
度の経時特性とが同等になるようにする。そして、上記
基準ガス検知部の検知電流(作用極と対極との間に流れ
る電流)が予め定めた電流以下になって、基準ガス検知
部のセンサの寿命が来たと判断されたときをもって、対
象ガス検知部のセンサにも寿命が来たと判断するように
している。
【0011】このように、電気化学センサ装置における
センサ素子の経時変化を管理する技術はいくつか考えら
れている。しかしながら、それらの技術は、飽くまで
も、センサ素子の作用極、対極及び参照極の各電極から
電気信号処理部までの電気配線系統に断線或いは短絡な
どの故障がないことを前提とするものであって、従来の
電気化学センサ装置はいずれも、そのような故障を検出
する手段を何ら備えていない。その結果、装置に上述の
ような電気信号系統の故障が発生したときにもそのまま
測定を実行してしまい、誤った測定結果を出力する可能
性がある。
【0012】従って、本発明は、作用極、対極及び参照
極の三電極を有するセンサ素子と、センサ素子の作用極
と参照極との間に所定の電位差を与え、その電位差を一
定に保持するように対極に与える電位を変化させ、その
とき作用極と対極との間に流れる電流から測定対象物質
の濃度を特定する電気信号処理部とを備える電気化学セ
ンサ装置において、各作用極、対極及び参照極から電気
信号処理部に至る電気配線系統に断線や短絡などの故障
があったとき、その故障に基づく装置の異常を確実に検
出できるようにすることを目的とするものである。
【0013】本発明の濃度の測定方法は、作用極、対極
及び参照極の三電極を有するセンサ素子を用い、前記セ
ンサ素子の作用極と参照極との間に所定の電位差を与
え、その電位差を一定に保持するように対極に与える電
位を変化させ、そのとき作用極と対極との間に流れる電
流から測定対象物質の濃度を特定する濃度の測定方法
おいて、前記測定対象物質の濃度を特定するに先立って
参照極の電位を検出する過程を設け、検出された電位が
不定であるときは参照極が断線し又は、参照極と対極と
の間が短絡しているものと判定して、前記濃度の特定を
中止するようにしたことを特徴とする。また、前記測定
対象物質の濃度を特定するに先立って作用極と対極との
間に流れる電流が予め定めた値より大であるか否かを検
出する過程を設け、その検出結果が前記予め定めた値よ
り大であるときは、参照極と作用極とが短絡しているも
のと判定し、前記濃度の特定を中止するようにしたこと
を特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1
の実施の形態に係る電気化学センサ装置の構成を示すブ
ロック図である。図1を参照して、本実施の形態に係る
装置は、参照極の電位を検出するための参照極電位検出
回路29Aを設け、その回路で検出したアナログの参照
極電位をA/Dコンバータ23でディジタルデータに変
換している点が、図6に示す従来の電気化学センサ装置
と異なっている。尚、本実施の形態においては、従来の
装置における直流電圧源21をD/Aコンバータ21A
で構成し、CPU24からのディジタル信号を取り込み
アナログ直流電圧に変換するようにして、出力の有無や
電圧値を制御しやすくしている。
【0015】参照極電位検出回路29Aは、非反転入力
点が参照極に接続され、出力点と反転入力点とが直結さ
れた演算増幅器29で構成され、その演算増幅器29の
出力点がA/Dコンバータ23の入力点に接続されてい
る。演算増幅器29の出力点はまた、対極の演算増幅器
28の反転入力点に接続されている。従って、参照極
は、演算増幅器29における出力点から反転入力点への
全帰還により、等価的に演算増幅器28の反転入力点と
直結していることになる。
【0016】本実施の形態においては、図1に示す電気
化学センサ装置を過酸化水素水の濃度測定に適用して、
発明の効果を確認した。センサ素子には、下記のように
して作製したものを用いた。図4及び図5を参照して、
先ず、60×70mmのガラス基板に、下から順に、チ
タン層(0.02〜0.2μm)、白金層(0.1〜
1.0μm)、銀層(0.1〜1.0μm)をスパッタ
法により形成する。
【0017】次いで、フォトリソグラフィによって、参
照極3、対極4、作用極5、リード線6及びコンタクト
電極7のパターンを形成する。このとき、参照極3だけ
は最上層の銀層が残るようにしておき、他の電極及びリ
ード線については銀層を取り除き、白金層が露出するよ
うにする。尚、各電極及びリード線の形状は、参照極3
は0.4×2.0mm、対極4は0.4×2.0mm、
作用極5は1.2×2.0mm、リード線6は1本当り
1.2×2.8mm、コンタクト電極7は1電極当り
1.6×0.8mmである。
【0018】次に、塩化鉄(3)水溶液で処理し、参照
極3上の銀層の表面に塩化銀層を形成する。その後、絶
縁基板2を個々のセンサ素子(6×9mm)に分割し、
更にこのセンサ素子を外筒に収納して、図5に示すカー
トリッジ構造にする。
【0019】尚、絶縁基板2は、ガラスに限らず、シリ
コン基板上に酸化シリコン膜を形成したものや石英、或
いはポリイミド、ポリカーボネートやガラスエポキシ基
板でも良い。電極3,4,5,7やリード線6には、白
金の他に、カーボン、金、イリジウム等の導電性材料を
使用できる。それら導電性材料の堆積方法には、スパッ
タ法の他に、蒸着法、スクリーン印刷或いはめっき法な
どが採用できる。参照極上の塩化銀層の形成には、塩化
鉄(3)水溶液で処理する方法の他に、塩化クロム
(3)水溶液で処理する方法も利用できる。或いは、塩
化物水溶液中で電解する方法により形成することもでき
る。
【0020】過酸化水素水の濃度測定に当っては、上記
のセンサカートリッジを過酸化水素水を含む試料溶液中
に浸漬させる。そして、CPU24よりD/Aコンバー
タ21Aに−700mVの電圧を出力させ、電位制御回
路28A(演算増幅器28と参照極電位検出回路29A
とからなる)により、作用極と参照極との間の電位差が
700mVとなるように対極に電位を加える。その後、
実際の作用極電流を測定する前に、参照極電位検出回路
29Aにより、参照極の電位を検出する。CPU24
は、ROM25に保存されているファームウエアに従っ
て、検出した参照極電位をA/Dコンバータ23でディ
ジタルデータに変換して取り込み,RAM26に保存す
る。CPU24は、更に、ROM25に保存されている
条件を参照して、参照極電位が予め定めておいた範囲内
の電位であるか否かを判定し、範囲内のときは「正
常」、範囲外の場合は「異常あり」とする。「異常あ
り」の場合、CPU24は電圧源であるD/Aコンバー
タ21Aの出力を停止させ、電位制御回路28Aを停止
して参照極及び対極への電位印加を中断すると共に、L
CD27に「センサ交換」などを表示させる。
【0021】本実施の形態においては、センサ素子が正
常で且つ作用極、対極及び参照極の各電極から電気信号
処理部までの電気配線系統に異常がなければ、参照極電
位は−700±10mVであることが確認された。これ
により、作用極電流の測定に先立つ参照極電位の測定結
果が−710〜−690mVであれば、CPU24は装
置が「正常」であると判断して、作用極電流の測定、過
酸化水素水の濃度算出に移る。
【0022】これに対し、参照極からの電気配線系統
(図4,5において、センサ素子のリード線6、コンタ
クト電極7とコンタクトピン14との接触及びコンタク
トピン14と電気信号処理部の入力点との接触)が断線
している場合は、参照極電位は本来あるべき−700m
Vから徐々にプラス側或いはマイナス側にドリフトし、
例えば0mVに近付いていくような不安定な挙動を示
す。これは、上述の参照極からの電気配線系統が断線し
た場合、センサ素子の絶縁基板2や参照極の漏れ電位の
ような不定の電位が演算増幅器29へ入力されるためで
あると考えられる。一方、センサカートリッジ内部のシ
ール材12のシール性が悪く、参照極の電気配線系統と
作用極の電気配線系統とが短絡状態になった場合にも、
参照極電位が不安定になることが観測された。
【0023】以上のことから、本実施の形態において、
参照極電位が設定値−700±10mVの範囲外の値で
あるときは、少なくとも、参照極からの電気配線系統の
断線又は、センサカートリッジ内でのシール不全などに
よる電気配線系統どうしの短絡があると判断して差し支
えない。
【0024】次に、本発明の第2の実施の形態につい
て、説明する。図2は、本発明の第2の実施の形態に係
る電気化学センサ装置の構成を示すブロック図である。
図2を参照して、本実施の形態に係る電気化学センサ装
置は、参照極電位検出回路に換えて、対極の電位を検出
するための対極電位検出回路30Aを備えている点が、
第1の実施の形態に係る電気化学センサ装置と異なって
いる。対極電位検出回路30Aは、非反転入力点が対極
に接続され、出力点と反転入力点とが直結された演算増
幅器30で構成され、演算増幅器30の出力点がA/D
コンバータ23の入力点に接続されている。
【0025】本実施の形態においても、第1の実施の形
態におけると同じ構造のセンサカートリッジを用い、過
酸化水素水の濃度測定に適用した。すなわち、上記のセ
ンサカートリッジを過酸化水素水を含む試料溶液中に浸
漬し、CPU24よりD/Aコンバータ21Aに−70
0mVの電圧を出力させ、電位制御回路28A(対極の
演算増幅器28と参照極の演算増幅器29とからなる)
により、作用極と参照極との間の電位差が700mVと
なるように、対極に電位を与える。その後、実際の作用
極電流を測定する前に、対極電位検出回路30Aによ
り、対極の電位を検出した。その場合、センサ素子及び
電気配線系統が正常であれば、対極電位は0〜800m
Vの範囲内の値になることが確かめられた。
【0026】これに対し、参照極からの電気配線系統が
断線している場合、対極電位は1.0V又は−1.0V
に飽和する。これは、センサ素子が正常で且つ電気配線
系統に異常がなければ、対極には電位制御回路28Aに
よって参照極の電位−700mVに対応した電位が与え
られるのであるが、既に述べたように、参照極の電気配
線系統が断線していると、参照極の演算増幅器29の入
力電位が不定になるので、電位制御回路28Aはこの不
定の電位に対応した電位を対極に与え、最終的には演算
増幅器28の電源電圧である±1.0Vのどちらかの電
圧に飽和するのであろうと考えられる。
【0027】一方、対極からの電気配線系統が断線して
いる場合も、対極電位は、1.0V或いは−1.0Vの
電位に飽和する。これは、電位制御回路28Aは作用極
と参照極との間の電位差を700mVにするように対極
に電位を与えようとするが、対極への電気配線系統が断
線しているために作用極と参照極との間を700mVに
保つことができず、最終的に、演算増幅器28の電源電
圧である±1.0Vのどちらかの電圧に飽和するのであ
ろうと推測される。
【0028】以上のことから、本実施の形態において、
対極電位0〜800mVの範囲を外れたときは装置が故
障している可能性があり、特に、対極電位が演算増幅器
の電源電圧に等しいような大きな電圧を示すときは、参
照極の電気配線系統又は対極の電気配線系統の少なくと
もどちらかに断線が生じているといえる。
【0029】次に、本発明の第3の実施の形態につい
て、説明する。図3は、本発明の第3の実施の形態に係
る電気化学センサ装置の構成を示すブロック図である。
図3を参照して、本実施の形態においては、作用極と対
極との間に流れる電流、つまり電流検出回路22で検出
される電流値に対して、電気信号処理部までの電気配線
系統の故障の有無を判定するための上限値を設ける。例
えば、図5に示すセンサーカートリッジにおいて、シー
ル材12のシール性が不完全で、コンタクトピン14の
部分まで試料溶液が浸入したとすると、各コンタクトピ
ンどうしの間が短絡される。その場合、作用極のコンタ
クトピンと参照極のコンタクトピンとの間が短絡すれ
ば、電位制御回路28Aは作用極と参照極との間の電位
差を700mVにすることができず、対極には演算増幅
器28の電源電圧のようなプラス又はマイナスの大きな
電位が加えられる。その結果、作用極又は対極上で水の
電気分解が起り、作用極と対極との間に、センサ素子及
び電気配線系統が正常であれば例えば1000nA程度
以内であるべきところ、5000nAというような測定
系の誤差の範囲を大きく越える大電流が流れる。本実施
の形態によれば、このような、主にセンサカートリッジ
内での電気配線系統の短絡による装置の異常を検出する
ことができる。
【0030】なお、これまでは、参照極電位検出回路、
対極電位検出回路を個々に備えるセンサ装置の例につい
て述べたが、もちろん、一つの装置内に両方の検出回路
を設けることも可能である。更には、第3の実施の形態
におけるような、作用極電流の上限を越えているかどう
かの判定機能を付加してもよい。
【0031】なお又、カートリッジ構造にしたセンサ素
子を例にして説明したが、特にカートリッジ構造でなく
ても本発明の作用効果が損なわれないことは、明らかで
あろう。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、作用
極、対極及び参照極の三電極を有するセンサ素子と、セ
ンサ素子の作用極と参照極との間に所定の電位差を与
え、その電位差を一定に保持するように対極に与える電
位を変化させ、そのとき作用極と対極との間に流れる電
流から測定対象物質の濃度を特定する電気信号処理部と
を備える電気化学センサ装置に対し、参照極の電位、対
極の電位の少なくとも一つを検出し、その検出値が予め
定めた所定の範囲外であるか否かを判定する手段を設け
ている。或いは、作用極と対極との間に流れる電流が予
め定めた値より大であることを検出する手段を設けてい
る。
【0033】これにより、本発明によれば、電気化学セ
ンサ装置において、作用極、対極及び参照極の各電極か
ら電気信号処理部に至る電気配線系統に断線や短絡など
の故障があっても、その故障に基づく装置の異常を確実
に検出できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電気化学セン
サ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る電気化学セン
サ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る電気化学セン
サ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】センサ素子の一例の構造を示す平面図及び断面
図である。
【図5】センサカートリッジの一例の構造を示す平面
図、側面図及び断面図である。
【図6】電気化学センサ装置の測定方法を説明するため
の回路のブロック図である。
【符号の説明】
1 センサ素子 2 絶縁基板 3 参照極 4 対極 5 作用極 10 センサカートリッジ 11 外筒 12 シール材 13 開口 14 コンタクトピン 20 電気信号処理部 21 電圧源 21A D/Aコンバータ 22 電流検出回路 23 A/Dコンバータ 24 CPU 25 ROM 26 RAM 27 LCD 28,29,30 演算増幅器 28A,28B 電位制御回路 29A 参照極電位検出回路 30A 対極電位検出回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/26 G01N 27/416

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作用極、対極及び参照極の三電極を有す
    るセンサ素子を用い、前記センサ素子の作用極と参照極
    との間に所定の電位差を与え、その電位差を一定に保持
    するように対極に与える電位を変化させ、そのとき作用
    極と対極との間に流れる電流から測定対象物質の濃度を
    特定する濃度の測定方法において、前記測定対象物質の濃度を特定するに先立って参照極の
    電位を検出する過程を設け、検出された電位が不定であ
    るときは参照極が断線し又は、参照極と対極との間が短
    絡しているものと判定して、前記濃度の特定を中止する
    ようにしたことを特徴とする濃度の測定方法
  2. 【請求項2】 作用極、対極及び参照極の三電極を有す
    るセンサ素子を用い、前記センサ素子の作用極と参照極
    との間に所定の電位差を与え、その電位差を一定に保持
    するように対極に与える電位を変化させ、そのとき作用
    極と対極との間に流れる電流から測定対象物質の濃度を
    特定する濃度の測定方法において、前記測定対象物質の濃度を特定するに先立って作用極と
    対極との間に流れる電流が予め定めた値より大であるか
    否かを検出する過程を設け、その検出結果が前記予め定
    めた値より大であるときは、参照極と作用極とが短絡し
    ているものと判定し、前記濃度の特定を中止するように
    したことを特徴とする濃度の測定方法
  3. 【請求項3】 作用極、対極及び参照極の三電極を有す
    るセンサ素子と、前記センサ素子の作用極と参照極との
    間に所定の電位差を与え、その電位差を一定に保持する
    ように対極に与える電位を変化させ、そのとき作用極と
    対極との間に流れる電流から測定対象物質の濃度を特定
    する電気信号処理部とを備え、前記電気信号処理部が、 直流電圧供給手段と、 対極の電位を、作用極と参照極との間の電位差が前記直
    流電圧供給手段の出力電圧に等しくなるように制御する
    電位制御手段と、 参照極の電位の値を検出する参照極電位検出手段と、 作用極と対極との間に流れる電流の値を検出する電流検
    出手段と、 前記電流検出手段の出力値及び前記参照極電位検出手段
    の出力値をアナログ値からディジタル値に変換するアナ
    ログ・ディジタル変換手段と、 前記アナログ・ディジタル変換手段の出力値に基いて前
    記参照極の電位が予め定めた所定の範囲外であるか否か
    を判定し、その判定結果が前記予め定めた所定の範囲内
    であるときは前記測定対象物質の濃度を特定し、範囲外
    であるときは濃度の特定を中止する手段とを含んでなる
    ことを特徴とする電気化学センサ装置。
  4. 【請求項4】 作用極、対極及び参照極の三電極を備え
    るセンサ素子と、前記センサ素子の作用極と参照極との
    間に所定の電位差を与え、その電位差を一定に保持する
    ように対極に与える電位を変化させ、そのとき作用極と
    対極との間に流れる電流から測定対象物質の濃度を特定
    する電気信号処理部とからなり、前記電気信号処理部
    が、 直流電圧供給手段と、 対極の電位を、作用極と参照極との間の電位差が前記直
    流電圧供給手段の出力電圧に等しくなるように制御する
    電位制御手段と、 作用極と対極との間に流れる電流の値を検出する電流検
    出手段と、 前記電流検出手段の出力値をアナログ値からディジタル
    値に変換するアナログ・ディジタル変換手段と、 前記アナログ・ディジタル変換手段の出力値に基いて前
    記作用極と対極との間に流れる電流が予め定めた値以上
    であるか否かを判定し、その判定結果が前記予め定めた
    値より小なるときは前記測定対象物質の濃度を特定し、
    大なるときは濃度の特定を中止する手段とを含んでなる
    ことを特徴とする電気化学センサ装置。
JP24222899A 1999-08-27 1999-08-27 電気化学センサ装置及びこれを用いた測定方法 Expired - Fee Related JP3424611B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24222899A JP3424611B2 (ja) 1999-08-27 1999-08-27 電気化学センサ装置及びこれを用いた測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24222899A JP3424611B2 (ja) 1999-08-27 1999-08-27 電気化学センサ装置及びこれを用いた測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001066275A JP2001066275A (ja) 2001-03-16
JP3424611B2 true JP3424611B2 (ja) 2003-07-07

Family

ID=17086150

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24222899A Expired - Fee Related JP3424611B2 (ja) 1999-08-27 1999-08-27 電気化学センサ装置及びこれを用いた測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3424611B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108918969A (zh) * 2017-05-04 2018-11-30 亚德诺半导体集团 确定气体传感器条件的系统和方法

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020079170A (ko) * 2001-04-13 2002-10-19 박종욱 가스센서의 신뢰성 진단 방법
US7569126B2 (en) 2004-06-18 2009-08-04 Roche Diagnostics Operations, Inc. System and method for quality assurance of a biosensor test strip
JP4545515B2 (ja) * 2004-08-05 2010-09-15 株式会社タニタ 液中濃度検出ユニット及びこれを用いた液中濃度測定装置並びに液中濃度測定装置
JP4898550B2 (ja) * 2007-05-21 2012-03-14 ホーチキ株式会社 ガス警報器
EP2030561B1 (de) * 2007-09-01 2011-10-26 Roche Diagnostics GmbH Messsystem zur Überwachung einer Analytkonzentration in vivo und Verfahren zur Erkennung einer Fehlfunktion eines derartigen Messsystems
US10288674B2 (en) * 2017-05-04 2019-05-14 Analog Devices Global Impedance characteristic circuit for electrochemical sensor
JP6882213B2 (ja) * 2018-01-26 2021-06-02 株式会社エイアンドティー 電解質測定装置及び電解質測定装置の電極部の接続状態の判定方法
JP6805321B1 (ja) * 2019-11-21 2020-12-23 新コスモス電機株式会社 検知器
JPWO2023145300A1 (ja) * 2022-01-27 2023-08-03

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108918969A (zh) * 2017-05-04 2018-11-30 亚德诺半导体集团 确定气体传感器条件的系统和方法
US10782263B2 (en) 2017-05-04 2020-09-22 Analog Devices Global Systems and methods for determining the condition of a gas sensor
CN108918969B (zh) * 2017-05-04 2021-06-29 亚德诺半导体集团 确定气体传感器条件的系统和方法
US11714063B2 (en) 2017-05-04 2023-08-01 Analog Devices International Unlimited Company Systems and methods for determining the condition of a gas sensor

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001066275A (ja) 2001-03-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6428684B1 (en) Method and apparatus for diagnosing the condition of a gas sensor
US7323091B1 (en) Multimode electrochemical sensing array
US5611909A (en) Method for detecting source of error in an amperometric measuring cell
US6096186A (en) Method for determining exhaustion of an electrochemical gas sensor
JP3424611B2 (ja) 電気化学センサ装置及びこれを用いた測定方法
US11119067B2 (en) Glass electrode
US20170248544A1 (en) Auxiliary micro-electrodes for diagnostics of electrochemical gas sensors
EP1593962B1 (en) Eletrochemical oxygen sensor
KR20080003419A (ko) 전기화학적 분석대상물 검출 동안에 비정상적인 경로의검출을 위한 방법 및 장치
US9279781B2 (en) Measuring arrangement and method for registering an analyte concentration in a measured medium
JPWO2008013224A1 (ja) バイオセンサ測定システム、および測定方法
CN108918636A (zh) 测量装置
US5046028A (en) System for calibrating, monitoring and reporting the status of a pH sensor
JP2002257782A (ja) 電気化学センサ測定装置
JP2004233294A (ja) 電気化学センサ測定装置及びその測定方法
US4952300A (en) Multiparameter analytical electrode structure and method of measurement
US4230554A (en) Apparatus for measuring ions in solution
JP2001174436A (ja) イオン濃度測定方法及び装置
JP2000206088A (ja) 化学センサ
CN219830933U (zh) 一种电化学复合传感器
Wang et al. Microfabricated needle-type sensors for pO/sub 2/, pCO/sub 2/, and pH
JP2001108652A (ja) 残留塩素濃度測定装置
US9052282B2 (en) Water analysis measurement arrangement
JPH08201336A (ja) 電気化学式ガスセンサ及びその駆動方法
JP2004125668A (ja) 酸化還元電位測定装置

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030401

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090502

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100502

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110502

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110502

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120502

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120502

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130502

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140502

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees