JP3424006B2 - 圃場地下水位の制御法 - Google Patents
圃場地下水位の制御法Info
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Description
圃場の地下水位を、予め設定した水位に、かつ圃場全体
にわたって水平になるように制御する圃場地下水位制御
法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】圃場に暗渠排水管を一定間隔・一定深度
に埋設し、暗渠管の先端部位に設けた水甲(止水栓)の
開閉によって排水及び湛水(水田の場合)の切り替えを
行っていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来の暗渠排水では、
図7に示す地下水位の経時変化のグラフから明らかなよ
うに、実際には排水路近傍の地下水位だけが下がり、排
水路から離れるにつれて地下水位が下がりにくくなると
いう問題があった。なお、水田における暗渠の基準排水
量は日量20〜50mmである。 【0004】この影響は、泥炭圃場においては特に深刻
である。すなわち、排水路側では地下水位の低下に伴っ
て地下部へ空気が進入し、泥炭の分解が進む。その結
果、排水路側の土地が沈下し、田面に傾斜を生ずる。傾
斜を補正するため、排水路側に対辺側から土を移動して
均平すれば、泥炭の上に一様に客土してある鉱質土の厚
さにムラが生ずる。事実、転作を繰り返した泥炭圃場の
対辺側では、必要な客土厚さが不足するというゆゆしい
結果が出始めている(「圃場内地下水位水平制御のため
の基礎試験」中山煕之・太田義博,第48回農業土木学
会北海道支部研究発表会講演集,p.60〜63,19
99年10月13日に記載)。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は上記の問題点を
解決することを目的になされたものであり、この目的を
達成するために、圃場1の境界部の地下に、畦畔3に沿
って地面に垂直に軟質合成樹脂製の遮水幕3を巡らせ、
排水路6近傍の暗渠管4の先端部位に、上下に複数個の
溢水口7を配置し、地上に突出する排水円筒操作棒8a
により上下調節可能で、かつ下端が暗渠管4の横栓を兼
ねている排水円筒8と、この排水円筒8に沿って地上に
突出する被覆円筒操作棒9aにより上下調節可能の溢水
口被覆円筒9とで構成された排出水位調節水甲5を設け
て、圃場1の地下水位を制御するようにしたことを特徴
としている。 【0006】 【作用】遮水幕と地下水位制御装置(排出水位調節水
甲)を組み合わせることで、圃場内の地下水位が被覆円
筒で設定した水位に水平に維持される。そして、排水円
筒を下げて横栓を閉じ上部溢水口から排水する場合、空
気が排水口から暗渠を通って泥炭へ供給されるのが回避
される。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態につ
いて、添付の図面及びグラフを参照して具体的に説明す
る。 【0008】本発明に当たって、以下の知見を得た。ま
ず、圃場内地下水位に傾斜が生じる原因を土槽実験で確
かめた(図1及び図2参照)。 (1)排水路の近傍では圃場内の地下水が排水路の壁面
から浸透流出するので、地下水位が低下する。 (2)圃場の外部に地下水位の高い部分があり、そこか
ら水が浸透流入してくるとその近傍の地下水位が高くな
る。例えば、排水路の対辺側畦畔の、さらに外側の土地
に降った雨水が当該圃場に浸透流入する場合は、一時的
に地下水位が高くなる。また、その土地が水田や溜め池
で常時湛水している場合には、地下水位が常に高い。 【0009】(3)上記(1)(2)に起因する圃場地
下水の水面傾斜は通常の暗渠排水では解消できない(図
1参照)。 (4)しかし、排水路側と対辺側の浸透を防ぐと地下水
位が圃場全体に水平になる(図2参照)。 (5)その状態で暗渠排水口の高さを上下させると、そ
れに応じて地下水面が昇降する。 【0010】上記の実験及び調査による知見に基づき、
圃場境界部の地下に、地面に垂直に軟質合成樹脂製の遮
水幕を巡らせ、暗渠の先端に排出水位調節水甲を設ける
ことによって、上記従来の問題点(課題)を解決した。 【0011】 【実施例】1.圃場1内に、幅85cm ・厚さ0.2
mmのポリエチレン製(軟質フィルム)遮水幕2を、図
3及び図5に示すように畦畔3に沿って地面に垂直に埋
設した。 2.図5に示す暗渠排水管4の末端位置で排水路6の近
傍に、排出水位を調節できる水甲5を設置した。水位調
節水甲5は、図4に示すように、上下に複数個の溢水口
7を配置した排水円筒8と、この円筒8に沿って上下す
る溢水口被覆円筒9で構成されており、排水円筒8の下
端は暗渠管4の横栓を兼ねている。排水円筒8及び溢水
口被覆円筒9には、それぞれ地上に突出する排水円筒操
作棒8a及び被覆円筒操作棒9aが設けられ、排水円筒
8及び溢水口被覆円筒9を上下調節可能にしている。図
5において符号10は農道である。 【0012】排水円筒操作棒8aにより排水円筒8を上
げて暗渠管4を開放すると、暗渠から来た水は排水口1
1に直接流出し排水路6に排出される。また、排水円筒
操作棒8aにより排水円筒8を下げて横方向の流れを止
め、被覆円筒9を被覆円筒操作棒9aにより上下して複
数個ある溢水口7のどれかを露出させると、水は溢水口
7から排水円筒8に流入し、排水口11に流れる。この
ように、被覆円筒9を上下することにより地下水位を制
御できる。さらに、排水円筒8を下げて横方向の流れを
止めたまま被覆円筒9を上端まで上げると、排水口11
に水が行かなくなる。 【0013】そして、図5に示すような、遮水幕2と地
下水位制御装置(水位調節水甲5)を組み合わせた地下
水位制御可能の圃場1においては、圃場1内の地下水位
が被覆円筒9で設定した水位(ここでは30cm)に水
平に維持される(図4及び図6(a)参照)。また、排
水円筒8を下げて横栓を閉じ、上部溢水口7から排水す
る場合、空気が排水口11から暗渠を通って泥炭へ供給
されるのが回避される。排水路6側の地下水位が低下し
ないので上からの空気進入もなく、また暗渠を通じての
空気供給もないので、排水路6側の泥炭の分解が相対的
に特に進むことはない。したがって、排水路6側の土地
が沈下して田面に傾斜を生ずるようなこともない。 【0014】以上説明したように本発明の圃場地下水位
制御法によれば、圃場1の境界部の地下に、畦畔3に沿
って地面に垂直に軟質合成樹脂製の遮水幕3を巡らせ、
排水路6近傍の暗渠管4の先端部位に、上下に複数個の
溢水口7を配置し、地上に突出する排水円筒操作棒8a
により上下調節可能で、かつ下端が暗渠管4の横栓を兼
ねている排水円筒8と、この排水円筒8に沿って地上に
突出する被覆円筒操作棒9aにより上下調節可能の溢水
口被覆円筒9とで構成された排出水位調節水甲5を設け
て、圃場1の地下水位を制御するようにしたので、以下
のような効果を奏することができる。 【0015】 【発明の効果】遮水幕と水位調節水甲を組み合わせるこ
とにより、圃場内の地下水位を水位調節水甲の被覆円筒
で設定した水位に維持することができる。しかも、圃場
全体の水位を水平に維持することができる。また、水位
調節水甲の排水円筒を下げて横栓を閉じ、上部溢水口か
ら排水する場合には、空気が排水口から暗渠を通って泥
炭へ供給されるのが回避される。排水路側の地下水位が
局所的に低下することに伴う上からの空気供給も、暗渠
を経由した地下からの空気供給もないので、排水路側の
泥炭の分解が進んでその上部の土地が沈下し、田面に傾
斜を生ずる事態を防止することができる。
面形を示すグラフである。 【図2】実験土槽における浸入浸出防止時の地下水面形
を示すグラフである。 【図3】圃場に遮水幕を埋設し地下水の横浸透防止状態
を示す縦断面図である。 【図4】暗渠の先端部位に排出水位調節水甲を設けた縦
断面図である。 【図5】圃場における地下水位の横浸透を防止するため
の遮水幕の配置と水位調節水甲の設置位置を示す平面図
である。 【図6】本発明による遮水幕と水位調節水甲による転作
田地下水位の変化を示すグラフ(a)、(b)は対照区
を示すグラフである。 【図7】従来の圃場における地下水位の経時変化のグラ
フである。 【符号の説明】 1 圃場 2 遮水幕(ポリエチレンフィルム) 3 畦畔 4 暗渠排水管 5 水位調節水甲 6 排水路 7 複数個の溢水口 8 排水円筒 8a 排水円筒操作棒 9 溢水口被覆円筒 9a 被覆円筒操作棒 10 農道 11 排水口
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 圃場(1)の境界部の地下に、畦畔
(3)に沿って地面に垂直に軟質合成樹脂製の遮水幕
(3)を巡らせ、排水路(6)近傍の暗渠管(4)の先
端部位に、上下に複数個の溢水口(7)を配置し、地上
に突出する排水円筒操作棒(8a)により上下調節可能
で、かつ下端が暗渠管(4)の横栓を兼ねている排水円
筒(8)と、この排水円筒(8)に沿って地上に突出す
る被覆円筒操作棒(9a)により上下調節可能の溢水口
被覆円筒(9)とで構成された排出水位調節水甲(5)
を設けて、圃場(1)の地下水位を制御するようにした
ことを特徴とする圃場地下水位制御法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000109324A JP3424006B2 (ja) | 2000-04-11 | 2000-04-11 | 圃場地下水位の制御法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000109324A JP3424006B2 (ja) | 2000-04-11 | 2000-04-11 | 圃場地下水位の制御法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001295252A JP2001295252A (ja) | 2001-10-26 |
JP3424006B2 true JP3424006B2 (ja) | 2003-07-07 |
Family
ID=18622029
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000109324A Expired - Lifetime JP3424006B2 (ja) | 2000-04-11 | 2000-04-11 | 圃場地下水位の制御法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3424006B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
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CN103953007A (zh) * | 2014-05-21 | 2014-07-30 | 河海大学 | 农田退水持留净化时间自动调控装置 |
CN104294806B (zh) * | 2014-09-18 | 2017-01-11 | 中铁十二局集团有限公司 | 一种深基坑隔水层上方桩间水开挖引排方法 |
-
2000
- 2000-04-11 JP JP2000109324A patent/JP3424006B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JP2001295252A (ja) | 2001-10-26 |
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