JP3419344B2 - ゴミの焼却方法 - Google Patents

ゴミの焼却方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はゴミの焼却方法に関
する。詳細には、ゴミの供給配管(1)、供給されたゴ
ミを焼却する焼却炉(2)、焼却後の焼却灰を系外に導
出する配管(3)、焼却炉(2)より導出される排ガス
を集塵装置(5)へ導入する配管(4)、配管(4)に
処理剤を導入する粉体供給配管(6)、集塵装置(5)
より補集される飛灰と処理剤との混合物を導出する配管
(7)、集塵後の排ガスを導出する配管(8)よりなる
焼却装置を用いるゴミの焼却方法において、ダイオキシ
ン等の有害物質の大気中への排出を抑制し、かつ飛灰を
埋立処分時した時に重金属イオン等の有害物質が漏洩す
るのを防止し得るゴミの焼却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】昨今、生活様式の変化、所得水準の向上
に伴い、家庭ゴミや商業ゴミの量が増加している。さら
にゴミの種類にも変化が見られ、石油関連商品の増加に
より可燃性樹脂製品のゴミが増加している。通常、これ
らのゴミは省資源化、資源のリサイクル化、環境保護の
観点から各種有価成分を回収した後、可燃性ゴミ等とし
て焼却処理された後埋立処理に付されている。
【0003】一般家庭や事業所から放出されるごみには
含塩素化合物が含まれており、これらごみを焼却処理し
た際のダイオキシンの大気中への排出が社会的な問題と
なっている。一方、ゴミには重金属が含まれることがあ
り、ゴミを焼却処理した際に発生する飛灰を埋め立て処
理した場合、重金属が雨水等に溶解しイオンとして漏洩
する可能性があること等が環境保全上の問題点として挙
げられている。
【0004】このような問題点に対処する方法として、
大気中へのダイオキシンの排出抑制に対しては、ダイオ
キシンの発生そのものを低減せしめる方法及び発生した
ダイオキシンを吸着して回収する方法がある。前者の発
生低減方法としては、ゴミを焼却炉で完全燃焼させてダ
イオキシンの前駆体生成を抑制する方法、焼却炉から出
た排ガスを約200℃まで急冷してダイオキシンの合成
反応を抑制する方法又は焼却炉から出た排ガスを約85
0℃以上に保持又は昇温してダイオキシンを分解して低
減する方法が挙げられる。即ち、ダイオキシンが塩素含
有前駆物質から合成される温度は約200℃から約85
0℃であり、その温度にある配管、集塵装置等において
ダイオキシンの発生が顕著となることが知られている。
後者の吸着回収方法としては、集塵装置のバグフィルタ
ー部に活性炭等を投入する方法、焼却炉に石炭を添加し
て焼却する方法、煙道に未燃カーボン(チャー)を含む
微粒子を吹き込む方法(例えば、特開平5−20312
7号公報)が挙げられる。
【0005】埋立処理時の重金属の漏洩防止に対して
は、飛灰に硫化物を添加して重金属を不溶化処理した
後、それをセメント等で固化させて埋立処理する方法が
挙げられる。
【0006】しかしながら、これらの方法は焼却処理時
のダイオキシンの放散防止や飛灰を埋立処理した時の重
金属イオンの漏洩防止について一方のみを解決する方法
であった。そこで、簡易な方法であって、ダイオキシン
等の放散と重金属イオン等の漏洩を同時に防止できるゴ
ミの焼却方法の開発が要望されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ダイ
オキシン等の有害物質の大気中への排出を抑制し、かつ
飛灰を埋立処理した時に重金属イオン等の有害物質が土
中に漏洩するのを防止し得る簡易なゴミの焼却方法を提
供することにある。
【0008】かかる事情下に鑑み、本発明者等は上記課
題を解決すべく鋭意検討した結果、意外にもダイオキシ
ン類が塩素含有前駆物質から合成されると考えられてい
る温度約200℃から約850℃の範囲の内、特定の排
ガス温度に保持した配管に、処理剤として特定の無機粉
末を導入する場合には、かかる課題を解決し得ることを
見い出し本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ゴ
ミの供給配管(1)、供給されたゴミを焼却する焼却炉
(2)、焼却後の焼却灰を系外に導出する配管(3)、
焼却炉(2)より導出される排ガスを集塵装置(5)へ
導入する配管(4)、配管(4)に処理剤を導入する粉
体供給配管(6)、集塵装置(5)より補集される飛灰
と処理剤との混合物を導出する配管(7)および集塵後
の排ガスを導出する配管(8)よりなる焼却装置を用い
るゴミの焼却方法において、該処理剤が活性アルミナ粉
末であり、該配管(4)内の排ガスの温度を300℃〜
600℃に保持ることを特徴とするゴミの焼却方法で
ある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。図1は本発明に用いる焼却装置のブロック構成図で
あり、ゴミの供給配管(1)、供給されたゴミを焼却す
る焼却炉(2)、焼却後の焼却灰を系外に導出する配管
(3)、焼却炉(2)より導出される排ガスを集塵装置
(5)へ導入する配管(4)、配管(4)に処理剤を導
入する粉体供給配管(6)、集塵装置(5)より補集さ
れる飛灰と処理剤との混合物を導出する配管(7)、集
塵装置(5)から排ガスを導出する配管(8)よりな
る。本発明において、焼却装置は被焼却物の種類により
一般廃棄物焼却装置、産業廃棄物焼却装置等がある。集
塵装置(5)はバグフィルターを用いる型式の装置であ
る。
【0011】本発明は、処理剤が活性アルミナ粉末であ
ることを特徴とする。活性アルミナは一般式Al23
表される酸化アルミナの一種であり、γ、δ、κ、η、
θ、σ、χ、ι、ρ、不定形アルミナ等であって、製法
により種々の結晶形を示すが、好ましくは結晶形がθ、
γ、χ、η、ρ等である。活性アルミナ粉末の平均粒子
径は通常約5μm〜約30μm、好ましくは約8μm〜
約20μmである。平均粒子径が約30μmを超える
と、排ガスとの接触頻度が低下するためか有害ガス除去
性能が低下する場合がある。一方、平均粒子径が約5μ
m未満では処理剤(活性アルミナ粉末)が嵩高くなり、
粉体供給装置による導入や集塵装置(5)による補集が
困難になる場合がある。また、前記活性アルミナ粉末
は、通常、BET比表面積が約30m2/g以上、好ま
しくは約50m2/g〜約400m2/gであり、Al2
3含有量が約95重量%以上、好ましくは約98重量
%〜約99.9重量%である。
【0012】本発明において前記処理剤の混合量は、通
常、ゴミ量に対して約0.1重量%〜5重量%である。
【0013】配管(4)に処理剤を供給する方法として
は、粉体供給配管(6)に、圧力容器と該圧力容器内に
圧縮ガスを噴射する装置とからなる粉体供給装置、攪拌
機構を設けた容器からなる粉体供給装置またはスクリュ
ーフィーダー等の粉体供給装置を取り付け、前記混合量
の範囲になるように粉体供給装置を制御して行えばよ
い。
【0014】本発明は、該配管(4)内の排ガスの温度
を300℃〜600℃に保持することを特徴とする。排
ガスの温度が300℃より低い場合、即ち冷却装置を有
する焼却装置を用いた従来法における煙道内の排ガス温
度と同等の場合には、たとえ活性アルミナ粉末を導入し
たとしても、ダイオキシン等の有害物質の大気中への排
出を抑制するとの本発明の効果が得られない。排ガス温
度が600℃より高い場合も、300℃より低い場合と
同様にダイオキシン等の有害物質の大気中への排出を抑
制する効果が得られない。活性アルミナ粉末によるダイ
オキシンの発生を抑制する機構については詳らかではな
いが、温度が300℃より低い場合には活性アルミナ粉
末に吸着したダイオキシン又は塩素含有前駆物質を十分
に分解することができず、また温度が600℃より高い
場合には活性アルミナ粉末にダイオキシン等が吸着し難
くなるために十分に発生を抑制することができないもの
と推察される。該配管(4)内の排ガス温度を上記範囲
に保持するに際しては、例えば、ゴミの供給配管
(1)、供給されたゴミを焼却する焼却炉(2)、焼却
後の焼却灰を系外に導出する配管(3)、焼却炉(2)
より導出される排ガスを集塵装置(5)へ導入する配管
(4)、配管(4)に処理剤を導入する粉体供給配管
(6)、集塵装置(5)より補集される飛灰と処理剤と
の混合物を導出する配管(7)、集塵後の排ガスを導出
する配管(8)よりなる焼却装置において焼却炉(2)
と配管(4)との間に冷却装置(9)[図示せず]を設
け、焼却炉(2)より導出される排ガスを冷却して30
0℃〜600℃に調整すればよい。また、ゴミの供給配
管(1)、供給されたゴミを焼却する焼却炉(2)、焼
却後の焼却灰を系外に導出する配管(3)、焼却炉
(2)より導出される排ガスを集塵装置(5)へ導入す
る配管(4)、配管(4)に処理剤を導入する粉体供給
配管(6)、集塵装置(5)より補集される飛灰と処理
剤との混合物を導出する配管(7)、集塵後の排ガスを
導出する配管(8)よりなる焼却装置において、焼却炉
(2)と配管(3)との間に冷却装置(9)[図示せ
ず]を設け、かつ配管(3)と集塵装置(5)との間に
又は冷却装置(9)と配管(3)と間に加熱装置(1
0)[図示せず]を設け、焼却炉(2)より導出される
排ガスを冷却装置(9)にて200℃以下に冷却した
後、加熱装置(10)にてその冷却された排ガスを加熱
して300℃〜600℃に調整してよい。
【0015】また、配管(4)の排ガスの空間速度は、
通常、約1000/hr〜約7000/hrである。空
間速度が約7000/hrより大きい場合には活性アル
ミナ粉末によるダイオキシン発生抑制効果が十分に得ら
れない場合がある。一方、空間速度が約1000/hr
より小さい場合に、ダイオキシン等の有害物質の大気中
への排出を抑制する効果は得られるものの、配管(4)
を長くする必要があり焼却装置が大型化する。
【0016】本発明において、前記焼却装置の内、焼却
炉については特にその型式等が限定されることはなく例
えばストーカー式焼却炉、流動層式焼却炉、回転式焼成
炉等が適用できる。焼却炉の炉内温度は、通常、約50
0℃〜約1100℃、好ましくは約500℃〜約100
0℃、より好ましくは約600℃〜約900℃である。
焼却炉の炉内温度が約500℃より低いと炉内での燃焼
速度が遅くなり、焼却に要する時間が長くなる場合があ
る。炉内温度が約1100℃を越えると焼却炉を損傷す
る場合がある。
【0017】また、本発明においては、焼却炉と集塵装
置とを結ぶ配管に導入する処理剤として活性アルミナ粉
末と活性炭、石灰等の排ガス処理剤との混合品を用いて
もよく、前記活性炭等は例えば、図1において配管
(4)に導入すればよい。
【0018】本発明の焼却処理の対象としては、例えば
一般廃棄物、産業廃棄物等の各種ゴミが挙げら、そのゴ
ミを焼却した時の灰(焼却灰と飛灰とを合わせたもの)
にはCaO、Na2O、Fe23、K2O、SO3、Si
2、Al23及び重金属(Cu、Hg、Zn、Cd、
Se、Pb等)が含まれる。
【0019】
【発明の効果】以上詳述した様に本発明によれば、焼却
装置の焼却炉と集塵装置との間の設けられた配管内の排
ガスの温度を300℃〜600℃に保持するという従来
ダイオキシン類の発生を抑制する観点からは好ましくな
いと思われていた温度にした上、処理剤として活性アル
ミナ粉末を当該配管に導入するといった簡易な方法によ
り、ダイオキシン等の有害物質の大気中への排出を抑制
し、かつ飛灰を埋立処理した時に重金属イオン等の有害
物質が土中に漏洩するのを防止し得るゴミの焼却方法を
提供するものであり産業上の利用価値は大である。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。平
均粒子径、BET比表面積は以下の方法で測定した。 平均粒子径(μm): レーザー散乱式粒度分布計〔リ
ード アンド ノースラップ(LEED&NORTHR
UP)社製マイクロトラック〕により、50重量%径を
測定した。 BET比表面積(m2/g): 窒素吸着法により測定
した。尚、本実施例においては有機塩素系化合物として
モノクロロベンゼンを用いた。モノクロロベンゼン(以
下、MCBという。)の分解率(%)は次式で算出し
た。 MCB分解率(%)=(入口のMCB濃度−出口のMC
B濃度)÷(入口のMCB濃度)×100
【0021】実施例1 バイヤー法により得られた活性アルミナ粉末(平均粒子
径15μm、BET比表面積150m2/g)3gと#
14のシリコンカーバイド(商品名:シナノランダム、
信濃電気製錬株式亜会社製)18gとを混合し、内径1
5mmのパイレックスガラス製反応管に充填した。この
反応管にMCB/CO2/O2/N2/の割合(体積比)
が100ppm/260ppm/15%/残部である原
料ガスを供給してガス処理試験を行った。反応管は、反
応器壁温度(反応管内ガス温度に同じ。)が500℃で
あり、圧力が常圧であり、空間速度が5000/hrで
あった。入口、出口それぞれのMCBを液体クロマトグ
ラフィーを用いて分析し、絶対検量線法を用いて入口、
出口のMCB濃度を求めた。その結果、この時のMCB
分解率は67.1%であった。
【0022】実施例2 実施例1において、反応器壁温度500℃を400℃に
変えた以外は同様にしてガス処理試験を行った。その結
果、この時のMCB分解率は13.9%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 焼却装置のブロック構成図。
【符号の説明】
1 ゴミの供給配管 2 焼却炉 3 焼却後の焼却灰を系外に導出する配管 4 焼却炉より導出される排ガスを集塵装置へ導入する
配管 5 集塵装置 6 処理剤を導入する粉体供給配管 7 集塵装置より補集される飛灰と処理剤との混合物を
導出する配管 8 集塵装置から排ガスを導出する配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/34 - 53/96 B01J 20/00 - 20/34 F23G 5/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴミの供給配管(1)、供給されたゴミを
    焼却する焼却炉(2)、焼却後の焼却灰を系外に導出す
    る配管(3)、焼却炉(2)より導出される排ガスを集
    塵装置(5)へ導入する配管(4)、配管(4)に処理
    剤を導入する粉体供給配管(6)、集塵装置(5)より
    補集される飛灰と処理剤との混合物を導出する配管
    (7)および集塵後の排ガスを導出する配管(8)より
    なる焼却装置を用いるゴミの焼却方法において、該処理
    剤が活性アルミナ粉末であり、該配管(4)内の排ガス
    の温度を300℃〜600℃に保持ることを特徴とす
    るゴミの焼却方法。
  2. 【請求項2】配管(4)の排ガスの空間速度が1000
    /hr〜7000/hrであることを特徴とする請求項
    1記載のゴミの焼却方法。
  3. 【請求項3】処理剤の平均粒子径が5μm〜30μmで
    あることを特徴とする請求項1又は2記載のゴミの焼却
    方法。
  4. 【請求項4】 ゴミの供給配管(1)、供給されたゴミを
    焼却する焼却炉(2)、焼却後の焼却灰を系外に導出す
    る配管(3)、焼却炉(2)より導出される排ガスを集
    塵装置(5)へ導入する配管(4)、配管(4)に処理
    剤を導入する粉体供給配管(6)、集塵装置(5)より
    補集される飛灰と処理剤との混合物を導出する配管
    (7)および集塵後の排ガスを導出する配管(8)より
    なり、該処理剤が活性アルミナ粉末であり、該配管
    (4)内の排ガスの温度を300℃〜600℃に保持す
    るように構成されていることを特徴とするゴミの焼却装
    置。
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