JP3419340B2 - 樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物の製造方法

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JP3419340B2
JP3419340B2 JP07350599A JP7350599A JP3419340B2 JP 3419340 B2 JP3419340 B2 JP 3419340B2 JP 07350599 A JP07350599 A JP 07350599A JP 7350599 A JP7350599 A JP 7350599A JP 3419340 B2 JP3419340 B2 JP 3419340B2
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dispersion
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直樹 長谷川
浩孝 岡本
有光 臼杵
紀夫 佐藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,分散材を含む樹脂組成物の製造
方法に関する。
【0002】
【従来技術】樹脂を母材とし,該母材に対し適当な分散
材を分散させることで,各種樹脂に対し新たな機能を付
与し,樹脂の特性や性能の改善を図ることがしばしば行
われている。例えば,母材となる樹脂に対しクレイ(粘
土鉱物)を分散させることで該樹脂の機械的強度を改善
することが従来行われていた。また,例えば母材となる
樹脂に対し天然高分子化合物を分散させることで生分解
性を有する樹脂組成物を得ることが従来行われていた。
【0003】
【解決しようとする課題】しかしながら,上述したごと
き樹脂組成物を作製する際に,分散材の分散状態が不均
一である場合には,期待する性能が得難くなるため,母
材となる樹脂に対し分散材の均一分散が確実に行えるよ
うな製造方法が要望されていた。
【0004】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,分散材が母材に対し微細かつ均一に分散
した状態にある樹脂組成物の製造方法を提供しようとす
るものである。
【0005】
【課題の解決手段】請求項1に記載の発明は,母材と該
母材に分散した分散材とよりなる樹脂組成物を作製する
に当たり,上記分散材は天然高分子化合物よりなり,
融状態にある母材原料に対し,上記分散材と溶媒とより
なる分散材液を投入し,これらに剪断力を加え,溶媒を
除去することを特徴とする樹脂組成物の製造方法にあ
る。
【0006】本発明の作用効果につき説明する。本発明
の製造方法において,母材原料は溶融状態にあり,また
分散材は溶媒中に存在するため,母材原料や分散材を構
成する分子等は移動容易な状態にある。このような状態
にある母材原料や分散材に対し剪断力が加えられるた
め,両者を構成する各分子は高い自由度で移動し,充分
両者が混じり合った混合状態が形成されることとなる。
本発明の製造方法により得られた樹脂組成物はこのよう
に充分に混じり合った母材原料と分散材から生成される
ため,分散材が優れて均一に母材に対し分散した物質と
なる。
【0007】仮に分散材をそのまま溶融状態にある母材
原料に投入したとしても,投入後に分散材の凝集が発生
し,結果,均一な分散状態を得ることは非常に困難であ
る。更に,溶媒なしでは分散材が凝集するため,微細分
散も困難である。本発明によれば,分散材は溶媒によっ
て凝集し難い状態におかれるため,分散材は母材原料に
対し微細に分散してゆく。更に,剪断力が加えられた状
態で分散材の分散が行われるため,分散材の凝集を大い
に防止できる。
【0008】以上,本発明によれば,分散材が母材に対
し微細かつ均一に分散した状態にある樹脂組成物の製造
方法を提供することができる。
【0009】このようにして作製された樹脂組成物は分
散材が微細かつ均一に分散した状態にあるため,分散材
による母材となる樹脂の特性改善効果が最大限発揮され
る。なお,樹脂の特性改善であるが,これは選択する分
散材や樹脂の種類によって様々であるが,一例として
は,各種熱可塑性樹脂に天然高分子化合物を分散させる
ことで,該天然高分子化合物が樹脂を構成する分子鎖内
に入り込み,微生物による分解作用を受けて自然界で容
易に崩壊可能な(生分解性を有する)樹脂組成物を得る
ことができる。
【0010】また,各種熱可塑性樹脂に対し,適当な高
分子化合物を延伸配向させた状態で分散させることで,
引張強度や弾性率等の機械的強度に優れた樹脂組成物を
得ることができる。その他,さまざまな母材にさまざま
な分散材が分散した樹脂組成物を作製することができる
(詳細は後述の実施形態例等を参照)。
【0011】次に本発明で使用される溶媒について説明
する。この溶媒としては,−100〜500℃のいずれ
かの温度においても流動性を示し,分散材と共存できる
(請求項2または3の発明参照)物質であればいかなる
物質でも使用することができる。ただし,経済性の観点
より,水,またはメタノール,エタノール等のプロトン
性有機溶媒,またはアセトン,クロロホルム,ヘキサ
ン,エチルエーテル,テトラヒドロフラン,ピリジン,
ジメチルアセトアミド等の非プロトン性有機溶媒が好ま
しい。
【0012】また,上記溶媒に対する分散材の濃度は
0.01〜90wt%であることが好ましい。これによ
り,母材中に分散材が均一分散した樹脂組成物が得られ
ると共に,経済的な製造方法を提供することができる。
0.01wt%未満である場合には,分散材の量が少な
すぎるため,分散材の注入に多量の溶媒が必要となり,
製造コストが高くなるおそれがある。一方,90wt%
より多い場合には,溶媒中で分散材が凝縮してしまうた
め,均一かつ微細に分散材が分散できなくなるおそれが
ある。さらに分散材の量は0.1〜70wt%とするこ
とがもっと好ましい。また,0.1〜50wt%とする
ことがより一層好ましい。
【0013】本発明にかかる分散材としては,後述する
ごとき天然高分子化合物で母材の性能を改善可能な物質
であればいかなる物質をも使用することができる。
【0014】また,本発明にかかる母材としては熱可塑
性樹脂を使用することができ,具体的には,ポリプロピ
レン,ポリカーボネート,ナイロン6,ナイロン66,
ポリエチレン,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,
ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレ
ート,ポリスチレン,ABS樹脂(アクリロニトリル−
ブタジエン−スチレン共重合樹脂),AS樹脂(アクリ
ロニトリル−スチレン共重合樹脂),ポリメチルメタク
リレート,ポリアミド,ポリアセタール,ポリフェニレ
ンスルフィド,ポリフェニレンエーテル,ポリエーテル
エーテルケトン,ポリサルフォン,ポリエーテルサルフ
ォン,ポリアミドイミド,ポリエーテルイミド,熱可塑
性ポリイミド,天然ゴム,イソプレンゴム,クロロプレ
ンゴム,スチレンゴム,ニトリルゴム,エチレンープロ
ピレンゴム,ブタジエンゴム,スチレンーブタジエンゴ
ム,ブチルゴム,エピクロルヒドリンゴム,アクリルゴ
ム,ウレタンゴム,フッ素ゴム,シリコーンゴムなどを
用いることが好ましい。
【0015】また,母材原料としては,得ようとする熱
可塑性樹脂の母材そのものをペレット化等したものを用
いることができる。また,得ようとする母材を生成可能
な前駆体を利用することができる。
【0016】また,本発明の製造方法では,図1に示す
ごとき押出機2を用い,該押出機2のシリンダ21内で
母材原料11を溶融させ,押出機2の注入口210より
分散材121と溶媒120とからなる分散材液12を注
入し,両者を接触させ,剪断力を加え,ベント23より
溶媒120を除去することが好ましい。本発明はこのよ
うな一般的な押出機を用いることができ,実行容易であ
る。
【0017】また上記剪断力は押出機2におけるスクリ
ュー26の回転速度や形状を適当に選ぶことにより制御
することができ,この剪断力を制御することで,樹脂組
成物中での分散材の大きさや形状を制御することが可能
である。その他,本発明にかかる製造方法では,単軸押
出機,二軸押出機等の連続式のもの,バンバリーミキサ
ー,ミル等のバッチ式のもの等を用いて実行することが
できる。
【0018】また,本発明の製造方法において,上記剪
断力は1×102〜1×109Paであることが好まし
い。これにより,分散材を均一に分散させることができ
る。剪断力の大きさが1×102Pa未満である場合に
は,均一分散ができなくなるおそれがある。一方,剪断
力が1×109Paより大である場合には,母材の熱可
塑性樹脂等が劣化するおそれがある。また,押出機を用
いて本発明の製造方法を実行する場合には,押出機にお
ける軸の回転数は5〜3000rpmとすることが好ま
しい。これにより,分散材を均一に分散させることがで
きる。回転数が5rpm未満である場合には,充分な大
きさの剪断力を加えることができないおそれがある。一
方,回転数が3000rpmを越えた場合には,母材原
料の劣化が生じるおそれがある。
【0019】また,溶媒を除去する方法としては,例え
ば本発明の製造方法を押出機を用いて実行する場合に
は,押出機の途中にベント等を設け,ここより外部へ除
去することが好ましい。また,ベントより吸引すること
で,より効率的な除去が可能となる。更に,バッチ式の
場合においても,装置にベント等を設け,吸引等により
除去することが好ましい。また,本発明の製造方法にお
いて,剪断力を加え,溶媒を除去する温度は母材の融
点,軟化点以上とする。
【0020】次に(1)上記分散材液は上記溶媒に対
し上記分散材が分散した状態にある,または(2)上記
分散材液は上記溶媒に対し上記分散材が溶解した状態に
ある,または(3)上記分散材液は上記溶媒に対し上記
分散材が膨潤状態となって分散した状態にあることが好
ましい。これら3要件について個別に説明する。
【0021】まず(1)分散材液は上記溶媒に対し上記
分散材が分散した状態にある,についてであるが,分散
材として例えば天然高分子化合物等の熱に弱く,容易に
熱分解するおそれがある物質を用いる場合には,溶融し
た母材原料と接触し,強い剪断力を受けて分散材が分解
してしまい,樹脂組成物が得難かった。
【0022】しかしながら,溶媒と一緒に添加した場
合,分散材は溶媒に分散することで凝集状態をとらな
い,もしくは溶媒により凝集が弱められているため,溶
融した母材原料と接触した場合に熱分解し難い。また,
溶媒が溶融した母材原料と接触し揮発等する際に,局所
的に母材原料の温度が低下するため,分散材の熱分解が
生じ難くなる。このように分散材として天然高分子化
合物等の熱に弱い物質を用いることができる。
【0023】なお,この場合の分散材としては,天然高
分子化合物であるセルロース,リグニン,キチン,キト
サン,タンパク質,コラーゲン,デオキシリボ核酸,リ
ボ核酸等が挙げられる。そして,このような分散材を用
いることで,機械的特性,熱的特性,生分解性に優れた
樹脂組成物を得ることができる。
【0024】次に,請求項2の発明は,母材と該母材に
分散した分散材とよりなる樹脂組成物を作製するに当た
り,上記分散材は天然高分子化合物からなり,溶融状態
にある母材原料に対し,上記分散材と溶媒とよりなる分
散材液を投入し,これらに剪断力を加え,溶媒を除去す
る樹脂組成物の製造方法において, (2)上記分散材液は上記溶媒に対し上記分散材が溶解
した状態にあり,上記分散材の融点または軟化点が上記
母材原料の融点または軟化点よりも高い温度であること
を特徴とする樹脂組成物の製造方法にある。上記分散材
液は上記溶媒に対し上記分散材が溶解した状態にあるこ
とにより,樹脂組成物製造の際に分散材は溶媒に溶解し
た状態,すなわち分子状態から溶融状態にある母材原料
に対し析出しつつ分散できるため,より一層の均一かつ
微細な分散を実現することができる。
【0025】また,分散材として天然高分子化合物等の
融点,軟化点を持たない物質を用いる場合,また分散材
の融点,軟化点が母材原料の融点,軟化点よりも高い場
合においても,分散材の母材原料に対する均一で微細な
分散を可能とすることができる。つまり,分散材の選択
の幅を広げることができる。
【0026】なお,この場合の分散材としては,天然高
分子化合物である,セルロース誘導体,リグニン誘導
体,キチン誘導体,キトサン誘導体,コラーゲン誘導体
等が挙げられる。特に誘導体化により水またはアルコー
ルに溶解性を示すものが好ましい。
【0027】また,他に合成高分子化合物である,ポリ
エチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリ
ビニルアルコール,ポリアミド,ポリエステル,ポリア
セタール,ポリカーボネート,ポリスチレン,アクリロ
ニトリル−スチレン共重合体,スチレン−ブタジエン共
重合体,ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プ
ロピレンラバー,エチレン−ブチレンラバー,ポリブタ
ジエン,ポリイソプレン,ポリノルボルネン,アクリロ
ニトリル−ブタジエン共重合体,ポリシロキサン,フェ
ノール樹脂等が挙げられる。このような分散材を用いる
ことで,強度,衝撃性,流動性等の物性バランスのとれ
た優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0028】次に,請求項3の発明は,母材と該母材に
分散した分散材とよりなる樹脂組成物を作製するに当た
り,上記分散材は天然高分子化合物からなり,溶融状態
にある母材原料に対し,上記分散材と溶媒とよりなる分
散材液を投入し,これらに剪断力を加え,溶媒を除去す
る樹脂組成物の製造方法において, (3)上記分散材液は上記溶媒に対し上記分散材が膨潤
状態となって分散した状態にあり,上記分散材は物理的
架橋構造,化学的架橋構造の少なくとも一つを持つ物質
であり,更に上記溶融状態にある母材原料に添加した上
記分散材のアスペクト比よりも,上記樹脂組成物中に分
散した上記分散材のアスペクト比が高いことを特徴とす
る樹脂組成物の製造方法にある。ここで膨潤とは,分散
材中に溶媒が進入し,分散材の体積が元の体積より大き
くなり,かつ溶解にまでは至らない状態を言う。つま
り,分散材が凝集していないため,分散材が母材原料に
対し析出しつつ分散でき,均一かつ微細な分散が実現さ
れる。
【0029】更に,この析出の際に,溶融した母材原料
と分散材液とには剪断力が加えられているため,分散材
が剪断力の方向に応じて延伸され,分散材の延伸配向が
実現される。これにより,分散材の高分子鎖が一方向に
揃い,密にパッキングされ,分散材の強度,弾性率が増
すことから,引張強度が大きい,弾性率が大きい等の機
械的強度に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0030】また(3)によれば,上述したごとく分散
材が延伸されるため,アスペクト比が高い分散材が分散
した樹脂組成物を得ることができる。このような樹脂組
成物は,分散材と母材との界面量がより多くなり,母材
の拘束が大きくなることから,引張強度が大きい,弾性
率が大きい等の機械的強度に優れた材料を得ることがで
きる。また,溶融した母材原料に添加した分散材のアス
ペクト比よりも,樹脂組成物中に分散した分散材のアス
ペクト比が高い(実施形態例3参照)。
【0031】なお,この場合の分散材としては,天然高
分子化合物であるセルロース誘導体,リグニン誘導体,
キチン誘導体,キトサン誘導体,コラーゲン誘導体が挙
げられる。特に誘導体化により水またはアルコールに膨
潤性を示すものが好ましい。
【0032】また,合成高分子化合物である,ポリエチ
レングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリビニ
ルアルコール,ポリアミド,ポリエステル,ポリアセタ
ール,ポリカーボネート,ポリスチレン,アクリロニト
リル−スチレン共重合体,スチレン−ブタジエン共重合
体,ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プロビ
レンラバー,エチレン−ブチレンラバー,ポリブタジエ
ン,ポリイソプレン,ポリノルボルネン,アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体,ポリシロキサン,フェノー
ル樹脂等が挙げられる。
【0033】次に,請求項記載の発明は,母材と該母
材に分散した分散材とよりなる樹脂組成物を作製するに
当たり,上記分散材は天然高分子化合物からなり,溶融
状態にある母材原料に対し,分散材前駆体と溶媒とより
なる前駆体液を投入し,これらに剪断力を加え,上記前
駆体液から分散材を反応析出させつつ溶媒を除去するこ
とを特徴とする樹脂組成物の製造方法にある。
【0034】本発明の製造方法では,溶融した母材原料
と前駆体液に剪断力が加えられ,充分両者が混じり合っ
た混合状態が形成されることとなる。この状態より前駆
体液から分散材が反応析出するため,分散材は前駆体液
の混合状態を反映し,分散材は均一かつ微細に母材に対
して分散する。また,剪断力が加えられていることか
ら,析出の際の分散材の凝集等が防止され,微細な分散
が可能となる。これにより,不溶,不融であるため母材
原料への均一分散が困難である物質を分散材として利用
して樹脂組成物を製造することができる。
【0035】以上,本発明によれば,分散材が母材原料
に対し微細かつ均一に分散した状態にある樹脂組成物の
製造方法を提供することができる。
【0036】なお,本請求項にかかる分散材としては,
後述するポリイミド,無機酸化物の他,無機塩,有機塩
等を挙げることができる。
【0037】
【0038】次に,上記ポリイミドが分散材である場合
には,分散材前駆体としてポリアミド酸を利用すること
が好ましい。これにより本発明の効果を確実に得ること
ができる。また,この場合のポリアミド酸としては,通
常の作製方法により得られるものを使用することができ
るが,特に分子内に2つもしくは2つ以上のアミノ基を
有する化合物と,分子内に2つもしくは2つ以上の酸無
水物を有する化合物を縮合させて作製する方法を採用す
ることが好ましい。これにより,効率的にポリアミド酸
が得られ,経済的である。
【0039】また,上記2つのアミノ基を持つ化合物,
つまりアミンとしては,次のようなものを用いることが
できる。例えば,パラフェニレンジアミン,メタフェニ
レンジアミン,メチルパラフェニレンジアミン,メチル
メタフェニレンジアミン,ジメチルパラフェニレンジア
ミン,ジメチルメタフェニレンジアミン,トリメチルパ
ラフェニレンジアミン,トリメチルメタフェニレンジア
ミン,テトラメチルパラフェニレンジアミン,テトラメ
チルメタフェニレンジアミン,トリフルオロメチルパラ
フェニレンジアミン,トリフルオロメチルメタフェニレ
ンジアミン,ビス(トリフルオロ)メチルパラフェニレ
ンジアミン,ビス(トリフルオロ)メチルメタフェニレ
ンジアミン,メトキシパラフェニレンジアミン,メトキ
シメタフェニレンジアミン,トリフルオロメトキシパラ
フェニレンジアミン,トリフルオロメトキシメタフェニ
レンジアミン,フルオロパラフェニレンジアミン,フル
オロメタフェニレンジアミン,クロロパラフェニレンジ
アミン,クロロメタフェニレンジアミン,ブロモパラフ
ェニレンジアミン,ブロモメタフェニレンジアミン,カ
ルボキシパラフェニレンジアミン,カルボキシメタフェ
ニレンジアミン,メトキシカルボニルパラフェニレンジ
アミン,メトキシカルボニルメタフェニレンジアミン,
ジアミノジフェニルメタン,ビス(アミノメチルフェニ
ル)メタン,ビス(アミノトリフルオロメチルフェニ
ル)メタン,ビス(アミノエチルフェニル)メタン,ビ
ス(アミノクロロフェニル)メタン,ビス(アミノジメ
チルフェニル)メタン,ビス(アミノジエチルフェニ
ル)メタン,ジアミノジフェニルプロパン,ビス(アミ
ノメチルフェニル)プロパン,ビス(アミノトリフルオ
ロメチルフェニル)プロパン,ビス(アミノエチルフェ
ニル)プロパン,ビス(アミノクロロフェニル)プロパ
ン,ビス(アミノジメチルフェニル)プロパン,ビス
(アミノジエチルフェニル)プロパン,ジアミノジフェ
ニルヘキサフルオロプロパン,ビス(アミノメチルフェ
ニル)ヘキサフルオロプロパン,ビス(アミノトリフル
オロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン,ビス
(アミノエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン,ビ
ス(アミノクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン,
ビス(アミノジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパ
ン,ビス(アミノジエチルフェニル)ヘキサフルオロプ
ロパン,ジアミノジフェニルスルホン,ビス(アミノメ
チルフェニル)スルホン,ビス(アミノエチルフェニ
ル)スルホン,ビス(アミノトリフルオロメチルフェニ
ル)スルホン,ビス(アミノジメチルフェニル)スルホ
ン,ビス(アミノジエチルフェニル)スルホン,ジアミ
ノジフェニルエーテル,ビス(アミノメチルフェニル)
エーテル,ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)
エーテル,ビス(アミノエチルフェニル)エーテル,ビ
ス(アミノジメチルフェニル)エーテル,ビス(アミノ
ジエチルフェニル)エーテル,ジメチルベンジジン,ビ
ス(トリフルオロメチル)ベンジジン,ジクロロベンジ
ジン,ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン,ビス(アミ
ノフェノキシフェニル)プロパン,ビス(アミノフェノ
キシフェニル)ヘキサフルオロプロパン,ビス(アミノ
フェノキシフェニル)エーテル,ビス(アミノフェノキ
シフェニル)メタン,ビス(アミノフェノキシフェニ
ル)スルホン等を用いることができる。
【0040】また,トリフルオロメチルパラフェニレン
ジアミン,トリフルオロメチルメタフェニレンジアミ
ン,ビス(トリフルオロ)メチルパラフェニレンジアミ
ン,ビス(トリフルオロ)メチルメタフェニレンジアミ
ン,トリフルオロメトキシパラフェニレンジアミン,ト
リフルオロメトキシメタフェニレンジアミン,フルオロ
パラフェニレンジアミン,フルオロメタフェニレンジア
ミン,ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン,ビ
ス(アミノメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン,
ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)ヘキサフル
オロプロパン,ビス(アミノエチルフェニル)ヘキサフ
ルオロプロパン,ビス(アミノクロロフェニル)ヘキサ
フルオロプロパン,ビス(アミノジメチルフェニル)ヘ
キサフルオロプロパン,ビス(アミノジエチルフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン,ビス(アミノトリフルオ
ロメチルフェノキシ)-3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-
スピロビインダン,6,6'-ビス(3-アミノフェノキシ)-
3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビインダン等を用
いることができる。
【0041】また,上記酸無水物としては,ピロメリッ
ト酸二無水物,3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸二無水物,2,2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸二無水物,3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物,2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物,2,2'-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパ
ン二無水物,ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパ
ン二無水物,ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテ
ル二無水物,ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホ
ン二無水物,1,1'-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)
エタン二無水物,ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メ
タン二無水物,ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタ
ン二無水物,2,2'-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物,1,4-ジ
フルオロピロメリット酸,1,4-ビス(トリフルオロメチ
ル)ピロメリット酸,1,4-ビス(3,4−ジカルボキシト
リフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水
物,2,2'-ビス〔4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベ
ンゼン〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水
物,2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物,1,
4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物,1,2,5,6-
ナフタレンテトラカルボン酸二無水物,1,2,3,4-ベンゼ
ンテトラカルボン酸二無水物,3,4,9,10-ペリレンテト
ラカルボン酸二無水物,2,3,6,7-アントラセンテトラカ
ルボン酸二無水物,1,2,7,8-フェナントレンテトラカル
ボン酸二無水物等を用いることができる。
【0042】また,更に,無水フタル酸,2,3-ベンゾフ
ェノンジカルボン酸無水物,3,4-ベンゾフェノンジカル
ボン酸無水物,2,3-ジカルボキシフェニルフェニルエー
テル無水物,3,4-ジカルボキシフェニルフェニルエーテ
ル無水物,2,3-ビフェニルジカルボン酸無水物,3,4-ビ
フェニルジカルボン酸無水物,2,3-ジカルボキシフェニ
ルフェニルスルホン無水物,3,4-ジカルボキシフェニル
フェニルスルホン無水物,2,3-ジカルボキシフェニルフ
ェニルスルフィド無水物,3,4-ジカルボキシフェニルフ
ェニルスルフィド無水物,1,2-ナフタレンジカルボン酸
無水物,2,3-ナフタレンカルボン酸無水物,1,8-ナフタ
レンジカルボン酸無水物,1,2-アントラセンジカルボン
酸無水物,2,3-アントラセンジカルボン7,-アントラセ
ンテトラカルボン酸二無水物,1,2,7,8-フェナントレン
テトラカルボン酸二無水物等を使用することができる。
【0043】また,この作製方法においては予め溶媒を
用いた作製方法を利用することが好ましい。これによ
り,効率的にポリアミド酸が得られる。この場合,利用
できる溶媒としては,モノマであるアミン,酸無水物を
溶解し,生成するポリアミド酸を溶解,分散する溶媒で
あればよい。例えば,ジメチルアセトアミド,N−メチ
ルピロリドン等のアミド系溶媒,ジエチルエーテル,テ
トラヒドロフラン等のエーテル系溶媒,メタノール,エ
タノール,水等のプロトン性溶媒,ピリジン等が挙げら
れる。またこれらの混合溶媒であっても構わない。
【0044】次に,前駆体液の溶媒であるが,前駆体で
あるポリアミド酸を溶解,分散できる物質であればどの
溶媒でもよい。上述するごとくポリアミド酸の作製に用
いた溶媒をそのまま用いることもできる。さらに,同一
の溶媒を,または異なる溶媒を添加することもできる。
【0045】また,本発明の製造方法では,押出機を用
い,該押出機のシリンダ内で母材原料を溶融させ,押出
機の注入口より分散材前駆体と溶媒とからなる前駆体液
を注入し,両者を接触させ,剪断力を加え,ベントより
溶媒を除去することが好ましい。また上記剪断力は押出
機におけるスクリューの回転速度や形状を適当に選ぶこ
とにより制御することができ,この剪断力を制御するこ
とで,樹脂組成物中での分散材の大きさや形状を制御す
ることが可能である。
【0046】次に,上記分散材が無機酸化物である場
合,このものとしては,例えば珪素酸化物,アルミニウ
ム酸化物,チタン酸化物,バリウム酸化物,硼素酸化物
等が挙げられる。そして,分散材前駆体として,分散材
が珪素化合物である場合には,テトラメトキシシラン,
テトラエトキシシラン,テトラプロボキシシラン,トリ
メトキシメチルシラン,トリエトキエチルシシラン,ジ
メトキシジメチルシラン,ジエトキシメチルシラン等が
挙げられる。
【0047】また,分散材前駆体として,分散材がアル
ミニウム化合物である場合には,トリメトキシアルミニ
ウム,トリエトキシアルミニウム,トリプロポキシアル
ミニウム,ジメトキシメチルアルミニウム,ジエトキシ
メチルアルミニウム,ジプロポキシメチルアルミニウム
等が挙げられる。
【0048】また,分散材前駆体として,分散材がチタ
ン化合物である場合には,テトラメトキシチタン,テト
ラエトキシチタン,テトライソプロホシキシチタン,ト
リメトキシメチルチタン,トリエトキエチルシチタン,
トリイソプロポキシメチルシチタン,ジメトキシジメチ
ルチタン,ジエトキジメチルチタン,ジメイソプロポキ
シジメチルチタン等が挙げられる。
【0049】また,前駆体液における溶媒としては,−
100〜500℃のいずれかの温度において流動性を示
す物質で,上記分散材前駆体を分散かつ/または溶解か
つ/または膨潤させうる物質であればいかなるものも使
用できる。経済性の観点より,水,もしくは,メタノー
ル,エタノール等のプロトン性有機溶媒,アセトン,ク
ロロホルム,ヘキサン,エチルエーテル,テトラヒドロ
フラン,ピリジン,ジメチルアセトアミド等の非プロト
ン性有機溶媒を用いることが好ましい。
【0050】また,本発明の製造方法では,押出機を用
い,該押出機のシリンダ内で母材原料を溶融させ,押出
機の注入口より分散材前駆体と溶媒とからなる前駆体液
を注入し,両者を接触させ,剪断力を加え,ベントより
溶媒を除去することが好ましい。また上記剪断力は押出
機におけるスクリューの回転速度や形状を適当に選ぶこ
とにより制御することができる。また剪断力を制御する
ことで,樹脂組成物中での分散材の大きさや形状を制御
することが可能である。
【0051】また,無機酸化物の場合には,上記前駆体
液の注入の際に共に水を注入することができる。これに
より,前駆体の加水分解を起こし,酸化物を生成させる
ことができる。また,アルミニウム酸化物,チタン酸化
物のように分散材と水との反応性が高い場合は,水を別
の注入口より注入したほうが好ましい。この際,水,前
駆体液の注入の順は問わない。また水に関しては,溶融
した母材原料に直接注入するのではなく,母材原料に対
し含浸させておくこともできる。または母材原料と共に
添加することもできる。またこの際,反応をより速く進
行させるために,水の中に酸,塩基を共存させてもよ
い。
【0052】次に,請求項3及び5記載の発明のよう
に,上記分散材は物理的架橋構造,化学的架橋構造の少
なくとも一つを持つ物質であることが好ましい。ここに
物理的な架橋構造としては,例えば,結晶によるもの,
ファンデアワース力,静電気的な凝集によるものが挙げ
られる。化学的な架橋構造としては,多官能性の架橋剤
を添加する方法によるものが挙げられる。
【0053】分散材液中から溶融母材原料に対し分散材
が析出する際,剪断により分散材は延伸される。分散材
が架橋構造を有する場合,該分散材は延伸されることで
高弾性の状態となり,この高弾性の状態を保持したまま
母材に対し分散することができる。これにより,引張強
度が大きい,弾性率が大きい等の機械的強度に優れた樹
脂組成物を得ることができる。
【0054】以上のような本発明にかかる製造方法によ
り得られた樹脂組成物は自動車用途,家電用途等の各種
射出成形材料,押出成形材料,フィルム成形材料,プレ
ス成形材料,ブロー成形材料等として幅広く活用するこ
とができる。
【0055】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる樹脂組成物の製造方法につ
き,図1を用いて説明する。本例では,図1に示すごと
く,溶融状態にある母材原料11に対し,分散材121
と溶媒120とよりなる分散材液12を投入し,これら
に剪断力を加え,溶媒を除去して樹脂組成物1を作製す
る。なお,上記分散材液12は,溶媒120に対し分散
材121が分散した状態にある。
【0056】本例においては図1に示すごとき押出機2
を用いて樹脂組成物を製造する。この押出機2はスクリ
ュー25が内蔵されたシリンダ21と,該シリンダ21
に対し母材原料11を注入する注入口210と,分散材
121と溶媒120よりなる分散材液12を注入する注
入口22と,シリンダより揮発した溶媒129を除去す
るベント23と,押出口24とからなる。また,図示を
略した加熱器によりシリンダ21は加熱されている。
【0057】この押出機2を用いた製造方法について説
明する。まず注入口210より乾燥ペレット状態にある
母材原料11を投入する。シリンダ21の内部は適当な
温度に加熱されており,母材原料11は溶融状態とな
る。そして,注入口210から分散材液12が投入され
る。両者はシリンダ21内に設けられたスクリュー25
にて混練,撹拌されつつ,剪断力が付与される。これに
より,母材原料11に対し分散材液12中の分散材12
1が充分に分散する。その後,ベント23よりガス化し
た溶媒129が除去され,シリンダ21内で生成された
樹脂組成物1は押出口24より押し出される。
【0058】次に,本例の製造方法にて製造された各種
樹脂組成物の特性を比較試料と共に説明する。また,各
試料において使用した溶媒は水である。 <試料1> 母材原料...ポリプロピレン(日本ポリケム ノバテ
ックMA2) 分散材...セルロース(日本製紙 KCフロックw4
00) 分散材液...セルロース1000gを水9000gに
分散させた。 製造方法...200℃に加熱した押出機2のシリンダ
21にポリプロピレン(4.5kg/時間)を投入し
た。溶融したポリプロピレンに対しセルロース分散材液
(5kg/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水は
ベント23より除去した。
【0059】<試料2> 母材原料...ポリカーボネート(GEプラスチック
レキサン104) 分散材...セルロース(日本製紙 KCフロックw1
00) 分散材液...セルロース1500gを水8500gに
分散させた。 製造方法...200℃に加熱した押出機2のシリンダ
21にポリカーボネート(4.25kg/時間)を投入
した。溶融したポリカーボネートに対しセルロース分散
材液(5kg/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の
水はベント23より除去した。
【0060】<試料3> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...セルロース(日本製紙 KCフロックw4
00) 分散材液...セルロース500gを水9500gに分
散させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機2のシリンダ
21にナイロン6(4.75kg/時間)を投入した。
溶融したナイロン6に対しセルロース分散材液(5kg
/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベント2
3より除去した。
【0061】<試料4> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...セルロース(日本製紙 KCフロックw4
00) 分散材液...セルロース1000gを水9000gに
分散させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機2のシリンダ
21にナイロン6(45kg/時間)を投入した。溶融
したナイロン6に対しセルロース分散材液(5kg/時
間)を投入し,溶融混練した。溶媒の水はベント23よ
り除去した。
【0062】<比較試料C1> 母材原料...ポリプロピレン(日本ポリケム ノバテ
ックMA2) 分散材...セルロース(日本製紙 KCフロックw4
00) 製造方法...200℃に加熱した押出機2のシリンダ
21にポリプロピレン(4.5kg/時間)とセルロー
ス(0.5kg/時間)を投入し,溶融混練した。つま
り,本例の製造方法と異なり,分散材と母材原料を直接
混ぜ合わせて作製した。
【0063】<比較試料C2> 母材原料...ポリカーボネート(GEプラスチック
レキサン104) 分散材...セルロース(日本製紙 KCフロックw1
00) 製造方法...230℃に加熱した押出機2のシリンダ
21にポリカーボネート(4.25kg/時間)とセル
ロース(0.75kg/時間)を投入し,溶融混練し
た。つまり,本例の製造方法と異なり,分散材と母材原
料を直接混ぜ合わせて作製した。
【0064】<比較試料C3> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...セルロース(日本製紙 KCフロックw4
00) 製造方法...240℃に加熱した押出機2のシリンダ
21にナイロン6(45kg/時間)とセルロース
(0.5kg/時間)を投入し,溶融混練した。つま
り,本例の製造方法と異なり,分散材と母材原料を直接
混ぜ合わせて作製した。
【0065】<評価>試料1〜4,比較試料C1〜C3
を光学顕微鏡観察により観察し,樹脂組成物中(1mm
×1mm)の凝集粒子の数を樹脂組成物中任意の10箇
所について調べ,その平均をとって評価した。その結
果,試料1〜4はいずれも3個以下であった。比較試料
C2は4〜10個,比較試料C1,C3は10個以上で
あった。これにより,溶媒に分散させた分散材の分散材
液を用いることで,樹脂組成物中での分散材の凝集が防
止できることが分かった。
【0066】次に,本例の作用効果について説明する。
本例にかかる樹脂組成物は,分散材を溶媒に分散させた
分散材液を溶融状態にある母材原料に添加して,剪断力
を加え,溶媒を除去して樹脂組成物を作製した。 溶媒
の存在により分散材の母材原料中での凝集が防止でき,
更に,剪断力が加えられた状態で分散材の分散が行われ
るため,分散材の凝集を大いに防止でき,結果として分
散材が微細かつ均一に分散した樹脂組成物を得ることが
できる。
【0067】実施形態例2 本発明にかかる試料5〜17の樹脂組成物を作製し,そ
の特性を比較試料C4〜C7と共に評価した。本例の試
料5〜17における溶媒としては水を使用し,使用した
押出機等は実施形態例1と同様である。
【0068】<試料5> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...セルロース誘導体(信越化学 メトロース
60SH) 分散材液...セルロース1000gを水9000gに
分散させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりセルロース誘導体溶液(5k
g/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベント
より除去した。
【0069】<試料6> 母材原料...ポリカーボネート(GEプラスチック
レキサン104) 分散材...セルロース誘導体(信越化学 メトロース
60SH) 分散材液...セルロース1500gを水8500gに
分散させた。 製造方法...230℃に加熱した押出機のシリンダー
にポリカーボネート(4.25kg/時間)を投入し
た。溶融したポリカーボネートに注入口よりセルロース
誘導体溶液(5kg/時間)を注入し,溶融混練した。
溶媒の水はベントより除去した。
【0070】<試料7> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...セルロース誘導体(日本製紙 サンローズ
F10MC) 分散材液...セルロース1000gを水9000gに
分散させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりセルロース誘導体溶液(5k
g/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベント
より除去した。
【0071】<試料8> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...セルロース誘導体(日本曹達 HPC−
L) 分散材液...セルロース1000gを水9000gに
溶解させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりセルロース誘導体溶液(5k
g/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベント
より除去した。
【0072】<試料9> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...リグニン誘導体(日本製紙 サンエキスP
252) 分散材液...リグニン誘導体1000gを水9000
gに溶解させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりリグニン誘導体溶液(5kg
/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベントよ
り除去した。
【0073】<試料10> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...リグニン誘導体(日本製紙 バニレックス
HW) 分散材液...リグニン誘導体1000gを水9000
gに溶解させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりリグニン誘導体溶液(5kg
/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベントよ
り除去した。
【0074】<試料11> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...リグニン誘導体(パールレックスNP) 分散材液...リグニン誘導体1000gを水9000
gに溶解させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりリグニン誘導体溶液(5kg
/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベントよ
り除去した。
【0075】<試料12> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...キトサン誘導体(共和テクノス フローナ
ック#250) 分散材液...キトサン誘導体1000gを水9000
gに溶解させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりキトサン誘導体溶液(5kg
/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベントよ
り除去した。
【0076】<試料13> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...キトサン誘導体(一丸ファルコス キトフ
ィルマー) 分散材液...キトサン誘導体1000gを水9000
gに溶解させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりキトサン誘導体溶液(5kg
/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベントよ
り除去した。
【0077】<試料14> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...キトサン誘導体(一丸ファルコス キチン
リキッド) 分散材液...キトサン誘導体1000gを水9000
gに溶解させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりキトサン誘導体溶液(5kg
/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベントよ
り除去した。
【0078】<試料15> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...キチン誘導体(味の素 マリンデュウ) 分散材液...キチン誘導体1000gを水9000g
に溶解させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりキチン誘導体溶液(5kg/
時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベントより
除去した。
【0079】<試料16> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...ポリビニルアルコール(クラレ PVA−
HC) 分散材液...ポリビニルアルコール1000gを水9
000gに溶解させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりポリビニルアルコール溶液
(5kg/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水は
ベントより除去した。
【0080】<試料17> 母材原料...ポリカーボネート(GEプラスチック
レキサン104) 分散材...ポリビニルアルコール(クラレ PVA−
105) 分散材液...ポリビニルアルコール1000gを水9
000gに溶解させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にポリカーボネート(4.5kg/時間)を投入した。
溶融したポリカーボネートに注入口よりポリビニルアル
コール溶液(5kg/時間)を注入し,溶融混練した。
溶媒の水はベントより除去した。
【0081】<比較試料C4(試料7に対して)> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...セルロース誘導体(日本製紙 サンローズ
F10MC) 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)とサンローズF10
MC(0.5kg/時間)を投入し,溶融混練した。
【0082】<比較試料C5(試料10に対して)> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...リグニン誘導体(日本製紙 バニレックス
HW) 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)とバニレックスHW
(0.5kg/時間)を投入し,溶融混練した。
【0083】<比較試料C6(試料11に対して)> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...リグニン誘導体(パールレックスNP) 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)とパールレックスN
P(0.5kg/時間)を投入し,溶融混練した。
【0084】<比較試料C7(試料12に対して)> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...キトサン誘導体(共和テクノス フローナ
ック#250) 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)とフローナック#2
50(0.5kg/時間)を投入し,溶融混練した。
【0085】<評価>次に,試料5〜17,比較試料C
4〜C7を走査電子顕微鏡,光学顕微鏡観察を用いて観
察し,樹脂組成物中の分散材の粒子の大きさを調べた。
この結果,粒子の大きさ(粒子の直径)が0.05μm
以下である場合を◎,0.1〜10μmである場合を
○,10〜100μmである場合を△,100μm以上
である場合を×とすると,試料5,8,9,10,1
1,13,14,15は◎,試料6,7,12,16,
17は○であった。また比較試料C4〜C7はいずれも
×であった。
【0086】また,試料7及び比較試料C4にかかる樹
脂組成物の光学顕微鏡により撮影した組織構造を図2,
図3に記載した。同図から,試料7は分散材が微細かつ
均一に分散していることが分かったが,比較試料C4の
組織は分散材の粒子が大きく,また分散の状態も不均一
であることが分かった。
【0087】これにより,本発明にかかる製造方法であ
る,分散材を溶媒に溶解した分散材液を準備し,これを
溶融した母材原料に加えて樹脂組成物を作製すること
で,分散材の微細分散が実現できることが分かった。ま
た,直接分散材と母材原料とを混合して作製した比較試
料では分散材の凝集が発生し,分散材の粒径が大きくな
り,微細分散した樹脂組成物が得られなかったことが分
かった。
【0088】実施形態例3 本発明にかかる試料18,19にかかる樹脂組成物を作
製し,その特性を比較試料C8〜C10と共に評価し
た。なお,各試料における溶媒としては水を使用し,使
用した押出機等は実施形態例1と同様である。
【0089】<試料18> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...膨潤性セルロース誘導体(信越化学 L−
HPC LH−30) 分散材液...セルロース誘導体1000gを水900
0gに分散させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりセルロース分散材液(5kg
/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベントよ
り除去した。
【0090】<試料19> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...膨潤性セルロース誘導体(信越化学 L−
HPC LH−32) 分散材液...セルロース誘導体1000gを水900
0gに分散させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりセルロース分散材液(5kg
/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベントよ
り除去した。
【0091】<比較試料C8> 母材原料...ナイロン6(字部興産 1015B) 分散材...膨潤性セルロース誘導体(信越化学 L−
HPC LH−30) 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)と膨潤性セルロース
誘導体(0.5kg/時間)を投入し,溶融混練した。
【0092】<比較試料C9> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...膨潤性セルロース誘導体(信越化学 L−
HPC LH−30) 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)と膨潤性セルロース
誘導体(0.5kg/時間)を投入し,溶融混練した。
【0093】<比較試料C10> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B)こ
れはナイロン6そのものである。
【0094】<評価>次に,試料18,19,比較試料
C8〜C9を走査電子顕微鏡,光学顕微鏡観察を用いて
観察し,分散材のアスペクト比を測定した。また,押出
機に投入する前の分散材の中の任意の100個の粒子の
アスペクト比を測定した。そして,A=(樹脂組成物中
でのアスペクト比)/(投入前のアスペクト比)を算出
した。また,JIS規格のK7113(測定温度25
℃,引張速度5mm/分)により各試料,比較試料の引
張弾性率と強度とを求めた。
【0095】その結果,試料18はA=1.8,引張弾
性率1530MPa,強度74MPaであった。試料1
9はA=2.1,引張弾性率1560MPa,強度75
MPaであった。比較試料C8はA=0.85,引張弾
性率1360MPa,強度72MPaであった。比較試
料C9はA=0.81,引張弾性率1380MPa,強
度71MPaであった。比較試料C10は引張弾性率1
180MPa,強度68MPaであった。(比較試料1
0は分散材を含んでいない。)
【0096】このように,溶媒で膨潤した分散材を添加
した試料18,19では,アスペクト比の増大が認めら
れたのに対して,膨潤していない分散材を添加して作製
した比較試料では分散材のアスペクト比の低下が観察さ
れた。また,補強効果に関しても,アスペクト比の増大
した本発明にかかる試料18,19の方が大きかった。
このように,溶媒で膨潤した分散材を用いることで,分
散材が剪断力により延伸され,アスペクト比が高まり,
樹脂組成物の機械的特性を高めることができる。
【0097】実施形態例4 本発明にかかる試料20〜22の樹脂組成物を作製し,
その特性を比較試料C11,C12と共に評価した。本
例の試料20〜22における溶媒としては水を使用し,
使用した押出機等は実施形態例1と同様である。また,
試料20〜22はポリイミドが母材に分散した樹脂組成
物である。
【0098】<試料20> 母材原料...ポリカーボネート 分散材前駆体...ポリアミド酸 このポリアミド酸は,窒素下,ピリジン733gを入れ
たフラスコに,ジアミノジフェニルエーテル47.9
g,無水ピロメリット酸52.1gを添加し,4時間撹
枠し重合を行って作製した。 前駆体液...合成したポリアミド酸に水を加え,5w
t%の濃度に調製した。 製造方法...200℃に加熱した押出機のシリンダー
にポリカーボネート(4.75kg/時間)を投入し
た。溶融したポリカーボネートに注入口よりポリアミド
液(5kg/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水
はベントより除去した。これにより分散材のポリイミド
がポリアミド酸から反応析出し,母材にポリイミドが分
散した樹脂組成物を得た。
【0099】<試料21> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材前駆体...ポリアミド酸(試料20と同様にし
て作製した) 前駆体液...合成したポリアミド酸にピリジンを加
え,5wt%の濃度に調製した。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.75kg/時間)を投入した。溶融
したナイロン6に注入口よりポリアミド液(5kg/時
間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水,ピリジンはベ
ントより除去した。これにより分散材のポリイミドがポ
リアミド酸から反応析出し,母材にポリイミドが分散し
た樹脂組成物を得た。
【0100】<試料22> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材前駆体...ポリアミド酸 このポリアミド酸は,窒素下,N,N−ジメチルアセト
アミド733gを入れたフラスコに,ジアミノジフェニ
ルエーテル47.9g,無水ピロメリット酸52.1g
を添加し,4時間撹枠し重合を行った。 前駆体液...合成したポリアミド酸にピリジンを加
え,5wt%の濃度に調製した。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.75kg/時間)を投入した。溶融
したナイロン6に注入口よりポリアミド液(5kg/時
間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水,ピリジンはベ
ントより除去した。これにより分散材のポリイミドがポ
リアミド酸から反応析出し,母材にポリイミドが分散し
た樹脂組成物を得た。
【0101】<比較試料C11> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...ポリイミド粉末 このポリイミド粉末の合成は,窒素下,ピリジン733
gを入れたフラスコに,ジアミノジフェニルエーテル4
7.9g,無水ピロメリット酸52.1gを添加し,4
時間撹枠し重合を行った。重合終了後,無水酢酸50g
を添加し,化学閉環させた。析出物を濾過,洗浄後,乾
燥させることによりポリイミドの粉末を得た。このポリ
イミド粉末は,10〜100μmの不定形粒子であっ
た。
【0102】製造方法...240℃に加熱した押出機
のシリンダーにナイロン6(4.75kg/時間)とポ
リイミド粉末(0.25kg/時間)を投入し,溶融混
練した。
【0103】<比較試料C12> 母材原料...ポリカーボネート(GEプラスチック製
レキサン104) 分散材...ポリイミド粉末(比較試料C11と同様に
作製した。) 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.75kg/時間)とポリイミド粉末
(0.25kg/時間)を投入し,溶融混練した。
【0104】<評価>次に,試料20〜22,比較試料
C11,C12を走査電子顕微鏡,光学顕微鏡観察を用
いて観察し,分散材の粒子サイズを測定した。また機械
的物性の引張弾性率,強度を実施形態例3と同様にして
求めた。この時の測定温度は25℃,引張速度5mm/
分とした。
【0105】その結果,試料20は粒子サイズ0.05
〜0.1μm,引張弾性率1450MPa,強度78M
Paであった。試料21は粒子サイズ0.05〜0.1
μm,引張弾性率1560MPa,強度84MPaであ
った。試料21は粒子サイズ0.05〜0.1μm引張
弾性率1400MPa,強度81MPaであった。
【0106】比較試料C11は粒子サイズが10〜10
0μm,引張弾性率1230MPa,強度69MPaで
あった。比較試料C12は粒子サイズが10〜100μ
m,引張弾性率1120MPa,強度72MPaであっ
た。このようにポリアミド酸溶液を用いた試料20,2
1,22では,ポリイミドが微細に分散していた。ポリ
イミド粉末を単に混練しただけの比較試料C20,21
に比べて,高い補強効果を有することが分かった。
【0107】つまり,溶融状態にある母材原料に対し,
分散材前駆体と溶媒とよりなる前駆体液を投入して樹脂
組成物を作製することで,分散材が微細に分散した樹脂
組成物が得られることが分かった。更に,ポリアミドを
分散材として用いることで機械的強度に優れた樹脂組成
物が得られることが分かった。
【0108】また,試料20にかかる樹脂組成物の走査
電子顕微鏡により撮影した組織構造を図4(a),
(b)に記載した。図4(a)より,ポリイミド樹脂が
ナイロン6中に微細に分散していることが分かる。ま
た,図4(b)より,粒子の形状は棒状もしくは板状で
あることも分かる。
【0109】実施形態例5 本例は,本発明にかかる試料23〜27の樹脂組成物を
作製し,その特性を比較試料C13と共に評価した。本
例の試料23〜27における溶媒としては水を使用し,
使用した押出機等は実施形態例1と同様である。また,
試料23〜26はシリカが母材に分散した樹脂組成物で
ある。試料27はチタンが母材に分散している。
【0110】<試料23> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材前駆体...テトラエトキシシラン 前駆体液...テトラエトキシシラン500gを水95
00gに分散させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.75kg/時間)を投入した。溶融
したナイロン6に注入口よりテトラエトキシシラン分散
材液(5kg/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の
水はベントより除去した。
【0111】<試料24> 母材原料...ナイロン6(字部興産製 1015B) 分散材前駆体...テトラメトキシシラン 前駆体液...テトラメトキシシシラン1000gを水
9000gに分散させた。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりテトラメトキシシシラン分散
材液(5kg/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の
水はベントより除去した。
【0112】<試料25> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材前駆体...テトラメトキシシラン 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりテトラメトキシシシラン
(0.5kg/時間)を,別の注入口より水(0.5k
g/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベント
より除去した。
【0113】<試料26> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材前駆体...テトラメトキシシラン 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.7kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口より水(0.3kg/時間)を,
他の注入口よりテトラメトキシシシラン(0.3kg/
時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベントより
除去した。
【0114】<試料27> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...テトライソプロポキシチタン 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)を投入した。溶融し
たナイロン6に注入口よりテトライソプロポキシチタン
(0.5kg/時間)を,他の注入口より水(0.5k
g/時間)を注入し,溶融混練した。溶媒の水はベント
より除去した。
【0115】<比較試料C13> 母材原料...ナイロン6(宇部興産 1015B) 分散材...シリカ粒子 このシリカ粒子は次のようにして作製した。エタノール
500g,水300gにテトラメトキシシラン100g
を溶解し,室温で0.1Nの希塩酸をゆっくり添加し
た。60℃に加熱後,1時間撹絆した後,析出物を濾過
した。得られた濾過物を乾燥することでシリカ粒子を得
た。このものは粒子径が30〜300μmであった。 製造方法...240℃に加熱した押出機のシリンダー
にナイロン6(4.5kg/時間)とシリカ粒子(0.
5kg/時間)を投入し,溶融混練した。
【0116】<評価>次に,試料23〜27,比較試料
C13を走査電子顕微鏡,光学顕微鏡観察を用いて観察
し,分散材の粒子サイズを測定した。また,実施形態例
3と同様にして引張試験により機械的物性を調べた。こ
の時の測定温度は25℃,引張速度5mm/分とした。
【0117】試料23は,粒子サイズが0.05〜0.
1μm,引張弾性率1350MPa,強度75MPaで
あった。試料24は,粒子サイズが0.05〜0.1μ
m,引張弾性率1470MPa,強度80MPaであっ
た。試料25は,粒子サイズ0.05〜0.1μm,引
張弾性率1500MPa,強度81MPaであった。試
料26は,粒子サイズ0.05〜0.1μm,引張弾性
率1080MPa,強度79MPaであった。試料27
は粒子サイズ0.05〜0.1μm,引張弾性率145
0MPa,強度81MPaであった。
【0118】また,比較試料C13は粒子サイズ30〜
300μm,引張弾性率1250MPa,強度71MP
aであった。各試料においてシリカやチタンはナノレベ
ルで分散していた。また,シリカ粒子を単に混練した比
較試料C13に比べ高い補強効果を示した。つまり,溶
融状態にある母材原料に対し,分散材前駆体であるテト
ラエトキシシランと溶媒とよりなる前駆体液を投入して
樹脂組成物を作製することで,分散材が微細に分散した
樹脂組成物が得られることが分かった。更に,シリカや
チタンを分散材として用いることで機械的強度に優れた
樹脂組成物が得られることが分かった。
【0119】また,試料25,26,27より,分散材
前駆体と溶媒とを別々に溶融状態にある母材原料に投入
しても,双方をまとめて前駆体液として母材原料に投入
し作製した場合と同様の効果を得ることが分かった。
【0120】
【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,分散材
が母材に対し微細かつ均一に分散した状態にある樹脂組
成物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,押出機を用いた樹脂組
成物の製造方法を示す説明図。
【図2】実施形態例2における,試料7にかかる樹脂組
成物の組織構造を示す図面代用写真(倍率175倍)。
【図3】実施形態例2における,比較試料C4にかかる
樹脂組成物の組織構造を示す図面代用写真(倍率175
倍)。
【図4】実施形態例4における,試料20にかかる樹脂
組成物の組織構造を示す図面代用写真((a)倍率25
000倍,(b)倍率50000倍)。
【符号の説明】
1...樹脂組成物, 11...母材原料, 12...分散材液, 120...溶媒, 121...分散材,
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 紀夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 平11−21356(JP,A) 特開 平5−169515(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/00 - 3/28 C08L 1/00 - 101/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材と該母材に分散した分散材とよりな
    る樹脂組成物を作製するに当たり,上記分散材は天然高
    分子化合物からなり,溶融状態にある母材原料に対し,
    上記分散材と溶媒とよりなる分散材液を投入し,これら
    に剪断力を加え,溶媒を除去することを特徴とする樹脂
    組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 母材と該母材に分散した分散材とよりな
    る樹脂組成物を作製するに当たり,上記分散材は天然高
    分子化合物からなり,溶融状態にある母材原料に対し,
    上記分散材と溶媒とよりなる分散材液を投入し,これら
    に剪断力を加え,溶媒を除去する樹脂組成物の製造方法
    において, 上記分散材液は上記溶媒に対し上記分散材が溶解した状
    態にあり,上記分散材の融点または軟化点が上記母材原
    料の融点または軟化点よりも高い温度であることを特徴
    とする樹脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 母材と該母材に分散した分散材とよりな
    る樹脂組成物を作製するに当たり,上記分散材は天然高
    分子化合物からなり,溶融状態にある母材原料に対し,
    上記分散材と溶媒とよりなる分散材液を投入し,これら
    に剪断力を加え,溶媒を除去する樹脂組成物の製造方法
    において, 上記分散材液は上記溶媒に対し上記分散材が膨潤状態と
    なって分散した状態にあり,上記分散材は物理的架橋構
    造,化学的架橋構造の少なくとも一つを持つ物質であ
    り,更に上記溶融状態にある母材原料に添加した上記分
    散材のアスペクト比よりも,上記樹脂組成物中に分散し
    た上記分散材のアスペクト比が高いことを特徴とする樹
    脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 母材と該母材に分散した分散材とよりな
    る樹脂組成物を作製するに当たり,上記分散材は天然高
    分子化合物からなり,溶融状態にある母材原料に対し,
    分散材前駆体と溶媒とよりなる前駆体液を投入し,これ
    らに剪断力を加え,上記前駆体液から分散材を反応析出
    させつつ溶媒を除去することを特徴とする樹脂組成物の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1,2,4のいずれか1項におい
    て,上記分散材は物理的架橋構造,化学的架橋構造の少
    なくとも一つを持つ物質であることを特徴とする樹脂組
    成物の製造方法。
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