JP3419303B2 - パルス荷電電気集塵装置 - Google Patents

パルス荷電電気集塵装置

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JP3419303B2 JP08295798A JP8295798A JP3419303B2 JP 3419303 B2 JP3419303 B2 JP 3419303B2 JP 08295798 A JP08295798 A JP 08295798A JP 8295798 A JP8295798 A JP 8295798A JP 3419303 B2 JP3419303 B2 JP 3419303B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はパルス荷電電気集塵
装置に係り、特に、パルス電圧と直流ベース電圧を重畳
して印加するパルス電源を備えたパルス荷電電気集塵装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】電気集塵器内の放電極と集塵極間にパル
ス状の電圧を荷電すると、高い電気抵抗率のダストでも
高い集塵率で捕集できることが知られ、高抵抗ダスト用
の電気集塵装置として使われている。荷電電圧は直流の
ベース電圧の上に幅が100マイクロ秒程度で、1秒間
当たりの繰返し数が数十から数百回のパルス電圧を重畳
した波形になっている。直流ベース電圧は、高抵抗ダス
トの場合、直流電圧を荷電した場合のコロナ開始電圧
か、これよりわずか高い値が最適であるとして、パルス
電圧の出力を短時間休止し、その間に直流ベース電圧を
上記の値に設定し、定電圧制御する方法が提案されいる
(特公平5−79383号)。また、直流ベース電圧の
上に重畳するパルス電圧の値やその繰返し数はスパーク
が生じない範囲で最大にする制御方法が提案されている
(特公平5−77465号)。また他の方法として、直
流電源の出力電流を定電流制御したとき、集塵率が最大
になる最適の直流ベース電圧がダストの性状によらずほ
ぼ一定の値となることを実験で見出し、直流ベース電圧
がこの最適値になるようにパルス電圧の波高値やパルス
幅、繰返し数を制御する方法が提案されている(特開平
8−168701号)。このときの最適直流ベース電圧
は、ほぼコロナ開始電圧となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のパルス
荷電電気集塵装置は、電気抵抗率が1013オーム・セン
チメートル程度以上の非常に高いダストに対しては、コ
ロナ開始付近の直流ベース電圧によるわずかなコロナ放
電電流によっても集塵作用を阻害する逆電離現象が集塵
極に堆積したダスト層で発生し、スポット状の正コロナ
が直流ベース電圧によって集塵空間に向かってフレア状
に伸びるようになる。そこでパルス電圧が重畳されると
直ちにスパークに移行してしまう欠点があった。このと
きのパルス電圧は非常に低く、通常運転の1/10の数キ
ロボルトでも発生することがある。スパークが発生しな
いようにパルス電圧を低くすると、ダストの帯電量が減
る障害が起こるだけでなく、パルス荷電の特長である放
電極表面のコロナ放電の均一性が損なわれ逆電離現象が
一層抑えられなくなり、著しく集塵率の低下を引き起こ
す。また、パルス電圧の荷電可能範囲が狭まり、パルス
電圧の制御により最適の直流ベース電圧を保とうとして
もスパークが多発して正常な荷電が継続できなくなる。
本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消し、スパー
クの問題を軽減し、集塵率の著しい低下がないパルス荷
電電気集塵装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1の発明は直流ベース電源からの直流ベース
電圧とパルス電源からのパルス電圧を重畳して得られる
パルス荷電電圧を電気集塵器内に設けられた放電極と集
塵極の間に印加し、ダストを捕集するパルス荷電電気集
塵装置において、直流ベース電源からの出力される直流
出力にパルス電源から出力されるパルス電圧重畳時のス
パーク発生検出装置を備え、スパークが予め設定したパ
ルス電圧下限値においても頻繁に発生することが検出さ
れるとき、パルス電源の出力電圧をパルス電圧下限値に
設定すると共に、直流ベース電圧をコロナ開始電圧以下
に設定し、直流ベース電源の出力電圧を調整してスパー
クの発生を抑えるようにした構成にある。また請求項2
の発明は、請求項1の発明において、直流ベース電源の
出力電圧の調整はスパーク頻度が許容される状態になる
まで一定値で徐々に変える構成である。また請求項3の
発明は、請求項1の発明において、直流ベース電源の出
力電圧の調整はスパークを発生させない、又はスパーク
頻度が許容範囲内になる値に切り替える構成である。
【0005】
【発明の作用・効果】上記の構成により、スパークが頻
発する場合、パルス電圧の波高値を最低でもコロナ放電
が均一に生ずる値以上に設定し、直流ベース電圧を調整
してスパークを抑えるように制御する。本発明によれ
ば、パルス荷電ではスパークを起こしやすい高電気抵抗
率ダストに対しても、放電極表面で均一なコロナ放電を
確保し、かつスパークの発生を抑制して著しい集塵率の
低下を防止する
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面を参照し
ながら説明する。図1は本発明に係わるパルス荷電電気
集塵装置の一実施例を示す構成図である。パルス荷電電
気集塵装置の主要部は電気集塵器10と、直流ベース電
源12,パルス電源14及び制御器16からなる電源2
0とから構成されている。パルス電源14には、パルス
電圧出力時のスパーク発生検出装置18が付帯してい
る。
【0007】先ず、パルス荷電電気集塵装置の集塵動作
について説明すると、図示しないボイラから発生したダ
ストを含むガスは電気集塵器10の入気口10Eから集
塵室10Aに送気される。集塵室10A内では、内部に
設けられた放電極10Bと集塵極10C間に電源20が
接続されて直流ベース電圧にパルス電圧が重畳された電
圧が印加されており、集塵室10Aに送気されたガス中
のダストは放電極10Bからの放電によって帯電し、集
塵極10Cに捕集される。
【0008】集塵極10Cに捕集させたダストは、槌打
ち操作により集塵極10Cから剥離されてホッパー部1
0Dに落下堆積する。ホッパー部10Dに堆積したダス
トは一定時間毎に電気集塵器10の外に図示しない排出
装置で排出される。一方、ダストを除去された清浄ガス
は電気集塵器10の排気口10Fから排出される。
【0009】次に放電極10Bと集塵極10C間に印加
する電圧を出力する電源20の動作について、特開平8
−168701号公報に開示されている制御の記述を基
に、その概略を説明する。図2は電源20から出力され
る電圧波形の一例を示したものである。VBは直流ベー
ス電源12から出力される直流ベース電圧で、この上に
パルス電源14から出力されるパルス電圧VPが重畳さ
れている。図中のTはパルスの周期を表しており、単位
時間当たりのパルス数(パルス頻度)は1/Tで表され
る。またWは1つのパルスの幅を表している。
【0010】電圧波形はダストの集塵率が最大となるよ
うな最適値に決められる。最適値はダストの電気抵抗率
により変わるが、集塵実験の結果では1011オーム・セ
ンチメートル以上の種々の高電気抵抗率ダストに対し
て、直流ベース電圧VBの最適値に関してはほぼ同じ値
であった。またコロナ放電電流の最適値もダストの電気
抵抗率が増加するに従ってやや減少する傾向にあるが、
ほぼ一定とみなすことができる。従って、集塵率を最大
で運転するには集塵するダストの電気抵抗率の値に関わ
らず、直流ベース電源12から出力する直流ベース電圧
とコロナ放電電流を一定値に保持するように制御する。
即ち、コロナ放電電流を強制的に最適値に設定し、直流
ベース電圧をパルス電源14から出力するパルス電圧V
P、パルス頻度1/T、パルス幅Wを制御して最適な値
になるように設定する。
【0011】しかし、電気抵抗率が1013オーム・セン
チメートル以上の高い値になると、上記最適直流ベース
電圧、コロナ放電電流に設定した状態にパルス電圧を重
畳すると、直ちにスパークの発生を起こすダストが存在
する。このようなスパーク発生状態では、前述の最適電
圧波形の印加を維持することができない。またスパーク
が発生しなくなるまでパルス電圧を下げたとき、パルス
電圧VPは数キロボルトとなってしまい、パルス荷電の
長所が失われる。つまり、パルス荷電が集塵作用を阻害
する逆電離現象を抑制できるのは、急峻で高電圧のパル
ス電圧を放電極に印加することにより、コロナ放電が放
電極上で均等に生じ、放電電流が均等に集塵極に流れ込
むためと言われている。直流荷電では、放電極上のコロ
ナ発生場所がスポット状であり、その為、集塵極に流れ
込む電流密度に高い所ができてしまう。この場所が起点
となってフレア状正コロナの逆電離現象が発生し、パル
ス電圧が重畳されるとフレアが伸びてスパークに至る。
フレア状正コロナがスパークに発展しないようにパルス
電圧VPを低くしすぎると、放電極上のコロナ放電が不
均一になり、上述の逆電離抑制効果がなくなり、その結
果集塵率が大きく低下する。
【0012】スパーク発生が少ないダストに対しては直
流ベース電圧VBは、従来通りコロナ開始電圧付近が最
適であるが、スパークの発生しやすいダストに対しては
集塵率が大幅に低下する。本発明はスパークの発生しや
すいダストに対して直流ベース電圧VBをコロナ開始電
圧以下にしてパルス電圧VPを重畳し、同じピーク電圧
B+VPでもフレア状正コロナの発生を止めてスパーク
を抑制し、高いパルス電圧VPによる均一なコロナ放電
を確保し、集塵率の低下を防ぐものである。
【0013】図3と図4の制御フローを用いて、スパー
クが発生しやすいダストに対する本発明の荷電方法を説
明する。図3で主制御とは従来技術、例えば特開平8−
168701号公報に開示されている既知の電圧波形の
制御である。一定時間当たりのスパーク頻度が集塵率に
影響しない程度のときは放電極への印加電圧は主制御に
よって最適直流ベース電圧VBOに制御される。VBOはダ
ストの電気抵抗率に依存しないでほぼ一定でコロナ開始
電圧付近の値であるが、最適パルス電圧VPOはダストに
よって変化する。
【0014】さて、直流ベース電圧にパルス電圧が重畳
されたときスパークが発生すると、スパーク発生検出装
置18がスパークが起きたことを検出し、スパーク発生
後にパルス電源14が出力するパルス電圧を下限設定値
で荷電を再開する。このパルス電圧下限設定値は、パル
ス電圧が加えられたとき放電極表面で均一にコロナ放電
が発生する電圧の最小値である。図5は放電極に対向し
た集塵極面上の電流分布をパルス電圧を変えて測定した
例である。
【0015】コロナ放電の均一性が確保できる最小パル
ス電圧は、放電極の太さや形状により変わるが、直流ベ
ース電圧がコロナ開始電圧付近に設定されている場合、
10〜20キロボルト程度であり、放電極の種類毎に設
定される。パルス電圧下限設定値で荷電を再開し、スパ
ークが発生しない、若しくは発生してもそのスパーク頻
度を計数し、その頻度が許容される設定値未満であれ
ば、主制御で荷電を維持する。スパーク頻度が許容され
る設定値以上のとき、スパーク頻発時制御に切替り、荷
電が行われる。
【0016】図4は、上記スパーク頻発時制御の制御フ
ローを詳しく示したものである。スパーク頻発時制御が
起動すると、直流ベース電源はそのベース電圧出力が定
電圧制御に切替えられ、パルス電源の出力するパルス電
圧VPは前記パルス電圧下限値に設定される。一方直流
ベース電圧はコロナ放電が起こらない電圧下限値に設定
される。
【0017】この状態で荷電が再開され、スパーク発生
検出装置18でスパークの発生の有無を検出する。スパ
ークが発生する場合は、スパーク頻度が設定値以上、或
いは設定値未満であるかを判定する。その結果、設定値
以上の場合は直流ベース電圧を低下させ、スパーク発生
の有無を検出する。この制御はスパーク発生が無くなる
か、又はスパーク頻度が設定値未満になるまで行われ
る。スパーク発生が無くなると直流ベース電圧を上昇さ
せ、スパーク発生の有無を検出する。スパーク発生が有
る場合において、そのスパーク頻度が設定値未満にある
ことが判定されると、当該直流ベース電圧を下限設定値
に保持される。スパークの発生が無い場合は、直流ベー
ス電圧を上昇させ、スパーク頻度が許容される設定値未
満で、最大の値に保持される。
【0018】上述の制御により放電極にはコロナ放電が
均一になるパルス電圧とスパークが発生しても集塵率に
影響しにくい高い直流ベース電圧が重畳して印加され
る。その結果、スパークを起こしやすいダストに対して
も著しい集塵率低下を防止することができる。なお、ボ
イラの運転状態や燃料の変更などで、ダストの性質も変
化する。その為、ダスト毎に最も高い集塵率でパルス荷
電電気集塵装置を運転するには制御方法も随時切り替え
る必要がある。
【0019】その方法として、図3に示すように、主制
御からスパーク頻発時制御に移った後は、発塵源の状態
変化、例えば燃料の変更や燃焼量の変更などを復帰指令
信号として制御復帰指令を出し、主制御に戻る。主制御
に戻った後、再びスパークの発生状態を検出して、図3
の制御フローにより、主制御を継続するか、スパーク頻
発時制御に再度切替えるかの制御方法を選択する。
【0020】外部から復帰指令信号を取り入れることが
できない場合は、タイマーを設け、スパーク頻発時制御
に移ってからタイマー設定時間経過後に復帰指令信号を
出すようにしても良い。上記のスパーク頻発時制御にお
いて、パルス電源の出力電圧をパルス電圧下限値に設定
した後の直流ベース電源の出力電圧調整はスパーク頻度
が許容される状態になるまで一定値で徐々に変えるか、
或いはスパークを発生させない、又はスパーク頻度が許
容範囲内になる値に切り替えて行うようにしても良い。
【0021】本実施例では直流ベース電圧とそれに重畳
するパルス電圧についてだけ説明したが、この方法では
ベース電圧とパルス電圧の両方がスパークを起こさない
ダストに対するときよりも低めになりがちである。その
結果、コロナ放電電流も少なめになる。そこで図6のよ
うに直流ベース電圧保持の後、主制御時よりパルス頻度
1/Tを増加してそのスパーク頻度が設定値以上である
か、設定値未満であるかを判定する。スパーク頻度が設
定値以上の場合にはパルス頻度を下げ、一方設定値未満
の場合には当該パルス頻度を保持する。このようにスパ
ーク頻度を制御することによりコロナ放電電流の減少分
を補っても良い。パルス頻度を増加すると、スパークが
発生しやすくなるが、スパーク頻度の許容範囲内で多く
する。このようにパルス頻度も制御して、コロナ放電電
流の不足を補い、集塵率の低下を更に小さくすることが
できる。
【0022】また別の実施例として、直流ベース電圧を
コロナ開始電圧より低くした場合ピーク電圧VB+V
Pは、直流ベース電圧をコロナ開始電圧付近に設定した
場合より高くしてもスパークの発生が少なくなる。この
ことに注目し、図7のように図4のフローの中で直流ベ
ース電圧をスパークが頻発しなくなる値に保持した後、
パルス電圧を上昇させてスパーク頻度を判定する。スパ
ーク頻度が設定値以上であれば、パルス電圧を下げ、一
方設定値未満であれば当該パルス電圧を保持する。この
ようにパルス電圧下限設定値より高い値で運転するよう
にしても良い。本例によれば直流ベース電圧VBとパル
ス電圧VPを制御しても、スパーク頻発を防止しコロナ
放電電流の不足を補い集塵率の低下を小さくすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わるパルス荷電電気集塵装置の実
施例を示す構成図である。
【図2】 図1に於ける電源から出力される電圧波形を
示す図である。
【図3】 スパーク発生状態を検出して電源の制御方法
を切り替える手順を示すフローチャートである。
【図4】 スパークを起こしやすいダストに対する電源
の出力電圧を制御する手順を示すフローチャートであ
る。
【図5】 パルス電圧と集塵極に流れる電流分布を示す
図である。
【図6】 他の実施例に於ける制御手順を示すフローチ
ャートである。
【図7】 他の実施例に於ける制御手順を示すフローチ
ャートである。
【符号の説明】
10…電気集塵器、12…直流ベース電源、14…パル
ス電源、16…制御器、18…スパーク発生検出装置、
20…電源
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−323049(JP,A) 特開 昭57−127461(JP,A) 特開 平7−39785(JP,A) 特開 平6−71196(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B03C 3/00 - 3/88

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流ベース電源からの直流ベース電圧と
    パルス電源からのパルス電圧を重畳して得られるパルス
    荷電電圧を電気集塵器内に設けられた放電極と集塵極の
    間に印加し、ダストを捕集するパルス荷電電気集塵装置
    において、 前記直流ベース電源からの出力される直流出力に前記パ
    ルス電源から出力されるパルス電圧重畳時のスパーク発
    生検出装置を備え、スパークが予め設定したパルス電圧
    下限値においても頻繁に発生することが検出されると
    き、パルス電源の出力電圧を前記パルス電圧下限値に設
    すると共に、直流ベース電圧をコロナ開始電圧以下に
    設定し、直流ベース電源の出力電圧を調整してスパーク
    の発生を抑えることを特徴とするパルス荷電電気集塵装
    置。
  2. 【請求項2】 前記直流ベース電源の出力電圧の調整は
    スパーク頻度が許容される状態になるまで一定値で徐々
    に変える構成であることを特徴とする請求項1記載のパ
    ルス荷電電気集塵装置。
  3. 【請求項3】 前記直流ベース電源の出力電圧の調整は
    スパークを発生させない、又はスパーク頻度が許容範囲
    内になる値に切り替える構成であることを特徴とする請
    求項1記載のパルス電荷電気集塵装置。
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