JP3418380B2 - ショックアブソーバ - Google Patents

ショックアブソーバ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車に利用する
ためのショックアブソーバに関し、特に、MR流体と所
定の作動流体を同時に利用するショックアブソーバに関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車は路面との接地性を向上
させ、搭乗者の乗心地を良くするために懸架装置を備え
ている。懸架装置は、バネと、ショックアブソーバとを
含む。ショックアブソーバは、バネの振動を減衰するた
めにバネと並列に配置されている。
【0003】ショックアブソーバは粘度が一定な作動流
体或いは、例えば、MR流体(magnetorheological (M
R) fluid)のような粘度が変化する流体を含む流体流動
システムを利用する。MR流体を使用すると、運行状態
に応じてバネにかかる減衰力を調節するために磁場を印
加して粘度を調節することができるという長所がある。
【0004】特に、MR流体は一定の粘度を持ち、易流
動性である。磁場にさらされると、瞬間的に液体から固
体に近い状態になり、磁場がなくなると、流体は速やか
に液体状態に戻る。MR流体の粘度変化は、形成された
磁場の大きさに比例する。
【0005】図1及び図2はそれぞれ、「MAGNETORHEOLOGI
CAL FLUID DEVICE」という名称で米国特許第5,284,330号
公報に開示されているMR流体を用いた従来のショック
アブソーバの断面図及びピストンアセンブリを示す拡大
断面図である。
【0006】ショックアブソーバ10は、ハウジング20及
びピストン30の2つの主な構成部材からなる。ハウジン
グ20は、一定量のMR流体を含む。この流体はシリコン
油に懸濁されている鉄カルボニル粒子から構成される。
【0007】一般にハウジング20は、第1の閉じた端部2
2を有するシリンダー状のチューブである。シリンダー
状のスリーブ25は、ハウジング20の断面積を増加するた
めに、従来の任意のプレス接合、溶接、接着などの手段
により内部シリンダーに固定することができる。シリン
ダーは第2の端部で端部部材26によって閉じている。第1
の気密手段27は、ハウジング20と端部部材26との間に流
体が漏れることを防止するために端部部材26の外周部に
設けられる。第2の環状気密手段28は、端部部材26の内
周部に形成された溝に収容され、ピストンロッド32との
気密を保つ。第2の気密部材28を通ってMR流体が流出
するのを最小にするために、スクレーパ29を用いてピス
トンロッド32の表面のMR流体を拭い取ることができ
る。
【0008】ハウジング20には、圧力がかかったアキュ
ムレータ23とMR流体とを分離するように浮動ピストン
21が設けらている。このアキュムレータ23は、ピストン
ロッド32によって移動する流体を受け止め、流体の熱に
よる膨張を可能にするために必要である。
【0009】ピストンアセンブリ30は、図2でさらに詳
細に示している。ピストンヘッド34は、外側に延びた上
部フランジ36及び外側に延びた下部フランジ38を備えた
スプール型である。上部フランジ36と下部フランジ38と
の間のスプール型のピストンヘッド34にコイル40が巻か
れている。ピストンヘッド34は、低炭素鋼のような磁気
透過性材料(magnetically permeable material)で作
られている。各ガイドレール42は、ピストンヘッド34の
外面に一定間隔で装着される。図1及び図2に示すよう
に、4つのガイドレール42がピストンヘッド34の外周部
に一定間隔で配置されている。
【0010】コイル40は、ピストンロッド32の内部を通
るリード線45と47によってに電気的に接続されている。
第1のリード線45は、ピストンロッド32を通ってフォノ
ジャックコネクタ46まで延びている導電性ロッド48の第
1の端部に接続されている。フォノジャック46の中央の
コネクタは、コイル40の第1の端部39に接続されてい
る。巻かれているコイル40の第2の端部41は、フォノジ
ャック46の外側の接地コネクタに接続されている。従っ
て、電気的なリターン経路には、ピストンロッド32と接
地リード線47が含まれる。
【0011】しかしながら、このようなショックアブソ
ーバには固有の欠点がある。まず、ショックアブソーバ
に含まれているMR流体は、磁場が印加されていない状
態でも、従来の作動流体に比べて粘度が高いため、ショ
ックアブソーバは、該ショックアブソーバに外部の力が
働くと硬い減衰力を与える傾向にあり、結果的にある環
境条件で乗心地が悪くなる。さらに、MR流体は高価で
あり、ショックアブソーバの製造費用の増加につなが
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような課
題に着目してなされたものであり、その目的とすること
は、MR流体及び通常の作動流体を同時に利用できるシ
ョックアブソーバを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明によって、流体を収容する内部空間を備え
るハウジングと、MR流体で充填される上部作動室と、
作動流体を収容している下部作動室とを備えるシリンダ
ーと、前記シリンダーの上部作動室に摺動自在に挿入さ
れたピストンロッドと、前記シリンダーの下部作動室に
摺動自在に挿入され、前記ピストンロッドに固定され、
磁場発生装置を形成する構造のピストンと、ピストンロ
ッドに取着されているチャンバーとを含み、前記ピスト
ンロッドは、さらに前記MR流体が流動する通路となる
少なくとも1つ以上の第1の開口を含み、前記ピストン
は、さらに前記流体が流動する通路となる少なくとも1
つ以上の第2開口を含むことを特徴とするショックアブ
ソーバを提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照しながら
本発明の好適な実施例について説明する。
【0015】自動車などの運送手段に利用する本発明の
ショックアブソーバ100は、図3に示すように、ハウジン
グ110、シリンダー120、ピストンロッド130、ピストン1
40、及びチャンバー150を含む。
【0016】ハウジング110は、粘度が一定な作動流体1
60を収容する内部空間112を含む。
【0017】第1の端部部材121及び反対側の第2の端
部部材122を備えるシリンダー120は、上部作動室123及
び下部作動室124を備え、上部作動室123の容積は下部作
動室124の容積より小さく、上部作動室123は粘度が変化
し得るMR流体165で満たされ、下部作動室124は作動流
体160で満たされている。シリンダー120の第1の端部部
材121は、ハウジング110に固定され、互いが共有する開
口部125を有している。シリンダー120の第2の端部部材
122は、ハウジング110から離間し、1つまたは1つ以上の
弁129を有しているため、ハウジング110の内部空間112
とシリンダー120の下部作動室124との間の作動流体160
が流動できる。
【0018】さらに、シリンダー120はテフロン(登録
商標)のような材料からなる第の1気密部材126、第2の
気密部材127、及び第3の気密部材128を含み、第1の気密
部材126は上部作動室123内のMR流体165が外部に流出
するのを防ぎ、第2の気密部材127はMR流体165と作動
流体160とが混合することを防ぎ、第3の気密部材128は
下部作動室124内の作動流体160がシリンダー120に沿っ
て流れることを防ぐ。
【0019】ピストンロッド130は、第1の部分131、第2
の部分132、及び第3の部分133を有し、第1の部分131は
シリンダー120の開口部125に隣接し、第2の部分132はシ
リンダー120の上部作動室123に隣接するように、前記ピ
ストンロッド130がシリンダー120に摺動自在に挿入され
る。第1の部分131の寸法は、第2の部分132の寸法より小
さく形成される。2つの部分の直径差により、第1の部
分131と第2の部分132との間に円板状の垂直な平面134が
形成され、ピストンロッド130が往復運動をする際にシ
リンダー120の上部作動室123内でMR流体165の変化が
起こる。第3の部分133は、ピストンロッド130をチャン
バー150に機械的に結合させる、例えば、ネジ、リベッ
ト、接続部などの固定部材136を含む。
【0020】図3及び図4に示すように、さらに、ピスト
ンロッド130は、内部開口136及び1つまたは1つ以上の第
1の開口135を含む。内部開口136は、ピストン140に電流
を印加する電気的接続部(図示せず)を設けるために、第
1の部分131から第3の部分133まで延びている。第1の開
口135は、シリンダー120の上部作動室123のMR流体165
に流動経路となるように、前記垂直平面134からピスト
ン140を介してチャンバー150まで延びている。
【0021】ピストン140は、外周部141及び内周部142
を含み、外周部141はシリンダー120の下部作動室124に
摺動自在に挿入され、内周部142はピストンロッド130の
第3の部分133に固定される。ピストン140は、コイル143
及び1つまたは1つ以上に第2の開口144を含み、コイル14
3は、ピストンロッド130の内部開口136内の電気的接続
部に電気的に連結されており、第2の開口144は、シリン
ダー120の下部作動室124内の作動流体160に流動経路と
なるように、ピストン140の上部から下部まで延びてい
る。
【0022】ピストン140は、フェライト、低炭素鋼な
どの磁気透過性材料からなり、コイル143が巻きつけら
れ、例えば、ソレノイドのような磁場発生装置を形成す
る構造になっている。従って、電気的接続部を介して、
電流がコイル143に印加されると、磁場がピストン140の
周囲に形成され、第1の開口135を通過するMR流体165
の粘度が調節される。
【0023】本発明では電気的接続部に関する詳細な説
明は省略したが、本発明では多様な装置及び方法によっ
て電気的接続部を形成できるということは当業者には明
白なことである。
【0024】図3を参照すると、チャンバー150は、固定
手段136を利用して、ピストンロッド130の第3の部分133
に機械的に固定されている。チャンバー150は、摺動自
在に挿入された浮動ピストン152と、窒素のようなガス
で充填されているアキュムレータ154とを含み、アキュ
ムレータ154は、ピストンロッド130によるMR流体165
の流動を受け、MR流体165の熱による膨張を可能とす
るために必要である。
【0025】図5及び図6を用いて、以下にショックア
ブソーバ100の作動を説明する。
【0026】図5に示すように、加えられた衝撃によ
り、ハウジング110及びシリンダー120が瞬間的に上方に
移動すると、ピストンロッド130とピストン140は元の位
置を維持するため、シリンダー120の上部作動室123の容
積は増加することになり、これと反対に、下部作動室12
4の容積は減少する。同時に、ショックアブソーバ100と
並列に設けられているバネ(図示せず)は圧縮される。従
って、圧力差を解消するために、チャンバー150内のM
R流体165は、浮動ピストン152を上方に引張りながら第
1の開口135を介して上部作動室123に流入することにな
り、下部作動室124内の作動流体160は、第2開口を介し
て上方に移動し、同時に弁129を介してハウジング110の
内部空間112に流動することになる。
【0027】その後、図6に示すように、ピストンロッ
ド130及びピストン140は、ショックアブソーバ100と並
列に設けられた圧縮されたバネ(図示せず)の復元力によ
り上方に移動するため、シリンダー120の上部作動室123
の容積は減少し、これと反対に、シリンダー120の下部
作動室124の容積は増加することになる。従って、圧力
差を解消するために、上部作動室123のMR流体165は第
1開口135を介してチャンバー150に流入するため、浮動
ピストン152が下方に押され、また下部作動室124内の作
動流体160が第2の開口144を介して下方に流動するだけ
でなく、ハウジング110の内部空間112の作動流体160も
弁129を介して下部作動室124に流入する。この作動の
間、ショックアブソーバ100は、バネ(図示せず)の振
動を和らげる衝撃吸収器として作動する。
【0028】上記において、本発明の好適な実施の形態
について説明したが、本発明の請求の範囲を逸脱するこ
となく、当業者は種々の改変をなし得るであろう。
【0029】
【発明の効果】従って、本発明によれば、ショックアブ
ソーバ100は、作動流体160及びMR流体165を同時に利
用する。従って、ショックアブソーバ100は、相対的に
低い粘度を有する作動流体160を利用して外部からの衝
撃に敏感な応答でき、また、同時に走行状態や運転者の
操作などのようないろいろな要素を考慮して、調節可能
な粘度を有するMR流体165を利用して減衰力を調節す
ることができる。さらに、高価のMR流体165は、シリ
ンダー120の上部作動室123及びチャンバー150のみで使
用することにより、ショックアブソーバ100で使用され
るMR流体165の量を減らして、製造コストを削減する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のMR流体を用いるショックアブソーバを
例示する模式的な断面図である。
【図2】図1に示すピストンアセンブリを例示する拡大
断面図である。
【図3】本発明によるMR流体と作動流体を同時に利用
するショックアブソーバを例示する模式的な断面図であ
る。
【図4】図3の線A−Aに沿った断面図である。
【図5】図6と共に図3に示すショックアブソーバの連
続動作を例示する断面図である。
【図6】図5と共に図3に示すショックアブソーバの連
続動作を例示する断面図である。
【符号の説明】
100 ショックアブソーバ 110 ハウジング 120 シリンダー 123 上部作動室 124 下部作動室 130 ピストンロッド 135 第1の開口 140 ピストン 143 コイル 144 第2の開口 150 チャンバー 152 浮動ピストン 160 作動流体 165 MR流体
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F16F 9/52 F16J 15/16 A F16J 15/16 F16F 9/32 H L N

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作動流体を収容する内部空間を備える
    ハウジングと、MR流体で満たされる上部作動室と、作
    動流体で満たされる下部作動室とを備えるシリンダー
    と、 前記シリンダーの上部作動室に摺動自在に挿入されたピ
    ストンロッドと、 前記シリンダーの下部作動室に摺動自在に挿入され、前
    記ピストンロッドに固定され、磁場発生装置を形成する
    構造になっているピストンと、 ピストンロッドに固着されているチャンバーとを含み、 前記ピストンロッドは、さらに前記MR流体の流動経路
    となる少なくとも1つ以上の第1の開口を含み、前記ピス
    トンは、さらに前記作動流体に流動経路となる少なくと
    も1つ以上の第2の開口を含むことを特徴とするショック
    アブソーバ。
  2. 【請求項2】 前記シリンダーは、前記ハウジングに
    取着される第1の端部部材と、前記ハウジングから離れ
    ている反対側の第2の端部部材とを含むことを特徴とす
    る請求項1に記載のショックアブソーバ。
  3. 【請求項3】 前記シリンダーの第1の端部部材は、
    前記ハウジングと共有する開口部を含むことを特徴とす
    る請求項2に記載のショックアブソーバ。
  4. 【請求項4】 前記シリンダーの第2の端部部材は、
    前記ハウジングの内部空間とシリンダーの下部作動室と
    の間の作動流体の流動経路となる少なくとも1つ以上の
    弁を含むことを特徴とする請求項2に記載のショックア
    ブソーバ。
  5. 【請求項5】 前記シリンダーの上部作動室の容積
    は、下部作動室の容積より小さく形成されることを特徴
    とする請求項1に記載のショックアブソーバ。
  6. 【請求項6】 前記ピストンロッドは、第1の部分、
    第2の部分、及び第3の部分を備え、前記第1の部分は前
    記シリンダーの開口部に隣接し、前記第2の部分は前記
    シリンダーの前記上部作動室に隣接することを特徴とす
    る請求項3に記載のショックアブソーバ。
  7. 【請求項7】 前記第1の開口は、前記上部作動室か
    らピストンを経てチャンバーまで延び、前記第2開口
    は、ピストンの上部から下部まで延びていることを特徴
    とする請求項1に記載のショックアブソーバ。
  8. 【請求項8】 前記ピストンは磁気透過性材料からな
    り、コイルが巻きつけられてソレノイドを形成すること
    を特徴とする請求項1に記載のショックアブソーバ。
  9. 【請求項9】 前記チャンバーは、摺動自在に該チャ
    ンバーに挿入された浮動ピストンと、ピストンロッドに
    よって移動されたMR流体を受け、MR流体の熱膨張を
    可能にするアキュムレータとを含むことを特徴とする請
    求項1に記載のショックアブソーバ。
  10. 【請求項10】 前記ショックアブソーバは、さらに第
    1の気密部材、第2の気密部材、及び第3の気密部材を含
    み、前記第1の気密部材は上部作動室のMR流体の外部
    流出を防ぎ、前記第2の気密部材はMR流体と作動流体
    の混合を防ぎ、前記第3の気密部材は前記シリンダーの
    下部作動室に沿った前記作動流体の流動を遮断すること
    を特徴とする請求項1に記載のショックアブソーバ。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至請求項10の何れかに記載
    の前記ショックアブソーバを利用する自動車。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至請求項10の何れかに記載
    の前記ショックアブソーバを利用する懸架装置。
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