JP3415878B2 - 焼結体の製造方法 - Google Patents

焼結体の製造方法

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JP3415878B2 JP09307793A JP9307793A JP3415878B2 JP 3415878 B2 JP3415878 B2 JP 3415878B2 JP 09307793 A JP09307793 A JP 09307793A JP 9307793 A JP9307793 A JP 9307793A JP 3415878 B2 JP3415878 B2 JP 3415878B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焼結体の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、マイクロマシーンの研究が盛んで
あり、特に、3次元部品加工技術のニーズは大きく、多
種の微細加工技術が研究されている。これらの微細加工
技術の一つに、金属射出成形法 (Metal Injection Mold
ing ;MIM)があり、盛んに研究開発されている。例
えば、岡村裕幸著「金属粉末射出成形プロセス」(プレ
ス スクール、第291号、1992、P.1〜14)
や、三浦 立著「金属粉末射出成形法」(工業材料、第
39号、No.12、1991,9月号、P.18〜2
3)に詳しく記載されている。
【0003】このようなMIMの各工程を図5および図
6を参照して説明する。まず、原料の一つの粉末51
は、一般に金属の粉末であり、例えば、粒径1μm〜1
0μm,平均粒径5μmの鉄(Fe)やニッケル(N
i)等の水アトマイズやガスアトマイズ等による微粉末
製造技術により製造された金属粉末である。もう一方の
バインダー52は、例えば、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体
(EVA)である。
【0004】次の加熱混練工程53では、上述の粉末5
1およびバインダー52を一定の比率で混合し、熱を加
えて混練して粘土状の軟らかい混合物61を得る。造粒
工程54では、得られた混合物を、射出成形機に供給す
るためにダイスから押出しカッティングしてペレットに
加工する。
【0005】射出成形工程55では、得られたペレット
を、射出成形機で溶融した後に金型の内部に充填し、冷
却して固体化し、所望の形状を有する成形体62を得
る。脱脂工程56では、成形体を高温に加熱して、成形
体中のバインダーを分解除去して脱脂体63を得る。一
般に脱脂時間は、15〜100時間が必要である。ま
た、最高加熱温度は、バインダーの成分にもよるが30
0〜500℃の範囲内である。
【0006】焼結工程57では、脱脂体63を高温で加
熱して焼結して、本来の密度を有する金属体からなる焼
結体64を得る。例えば、上記粉末がFe、Niである
場合には、脱脂体を水素雰囲気中で1100〜1200
℃で加熱して焼結を行う。上述のようなMIMにより、
切削工程無しにある程度の3次元微細構造体を製造する
ことができる。
【0007】しかしながら、上記MIMによる3次元微
細構造体の製造方法では、原料混合物を溶融して粘度が
高い流体材料として射出成型する。このため、次のよう
な問題が生じる。
【0008】(1)微小な金型のキャビティに、ボイド
を生じることなく完全に流体材料を充填するのは困難で
あるため、高精度の成形体を得るのが難しい。 (2)金属粉末を含む流体材料を用いるので金型の摩耗
が大きく、その寿命が短くなる。
【0009】(3)流体材料を射出して金型のキャビテ
ィに充填するので粉体密度が均一になり難く、脱脂工程
58において不均一な寸法収縮が起こる。 (4)金型を、上述の不均一な寸法収縮を考慮して設計
しなければならないので金型の製作コストが高くなる。
特に、微小な構成体を製造する場合に、それに必要な金
型を加工することは極めて困難である。
【0010】また、この他に切削工程を必要としない3
次元微細構造物の製造技術としては、光造形技術が近年
注目を集めている[「CADデータから立体モデルを製
作するポイント」(省力と自動化、1992年9月号、
P.38〜63)]。さらに、ミリオーダーの構成体や
直径数十μmの糸状形状の構造体の作製例が発表されて
いる[高木太郎、中島尚生著「光造形法による微細加
工」(第3回光造形システムシンポジウム、1992、
P.37〜41),永森 茂著「紫外線硬化樹脂を用い
た加工法によるマイクロマシンの設計・製作」(機械設
計、1992、P.50〜55)]。
【0011】光造形法による3次元構造体の造形を、図
7に示すフロチャートを参照して説明する。 (1)まず、3次元CADに3次元構造物の図面を入力
する(71) 。 (2)この3次元構造物から一定の積層の厚みごとに水
平方向のスライス図形データ群を作成する(72) 。 (3)光硬化性流動樹脂内に、上下方向に移動するステ
ージを有するエレベータを設置し、このステージをその
上に一定の積層厚みで光硬化性流動樹脂が流入するよう
に位置させる(73) 。 (4)レーザビームを、目的形状の3次元構造物の水平
断面に沿って走査させ、光硬化性流動樹脂を硬化させる
(74) 。 (5)エレベータを、上述の一定の積層厚みに対応して
ステージを降下させて、硬化された光硬化性流動樹脂層
の上に未硬化の光硬化性流動樹脂を流入させる(7
5)。 (6)目的形状の3次元構造物が完成するまで、工程
(4),(5)を繰り返す。 (7)得られた3次元構造物を取り出し(76)、表面
に付着している未硬化の光硬化性流動樹脂を洗浄する
(77)。 (8)3次元構造物の後露光を行って製品が得られる
(78)。
【0012】上述の光造形法を用いた3次元構造体の造
形方法によれば、形状が複雑な3次元構造体を連続した
工程で一挙に作ることができる。しかし、材料が光硬化
性流動樹脂に限られいるので、得られた3次元構造体
は、機械的強度、弾性特性及び耐熱特性等の面でマイク
ロマシーンの部品として使用できるレベルに達していな
い。
【0013】これに対して、上述の光成形法を応用した
金属またはセラミックスからなる構造体の製造方法が提
案されている(特開平4−99203号公報)。この方
法は、まず、液状の光硬化性流動樹脂中に無機粉状材料
を添加して混練して混合物を得る。次に、得られた混合
物に光を照射して光硬化性流動樹脂を硬化させて、上述
の光造形を行う。この後、得られた成形体中の樹脂成分
を燃焼除去する。さらに、樹脂成分を燃焼除去した成形
体を高温焼結して、金属またはセラミックス或いは両者
の混合材料からなる製品が得られる。
【0014】さらに上記公開公報には、金属とセラミッ
クスの成分配合比を塗布層ごとに変化させた粉末混合樹
脂層の積層体よりなる所定形状の成形体を形成し、この
成形体を高温の雰囲気で加熱して樹脂成分を燃焼除去す
ると共に、粉末を焼結して所望形状の機能傾斜材料から
なる焼結体を製造することが記載されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
光造形法を応用した金属またはセラミックスからなる構
造物の製造方法は次のような問題を有する。 (i) 光硬化性流動樹脂と無機粉状材料の比重が異なるた
め、これらを混合した後に無機粉状材料が沈澱しやす
い。このため、光造形工程で混合物の下方から光を照射
する場合に沈殿した粉末が光を遮断又は反射して、光が
内部に伝播するのが妨げられ、光硬化性流動樹脂が均一
に硬化せず、所望の成形体が得られないことがある。 (ii)無機粉末材料の個々の形状が粒子状であり、成形体
がこの無機粉末材料のとなりあった粒子どうしの接触抵
抗だけで保形性を維持しているため、脱脂工程や焼結工
程での成形体の保形性が極めて低い。このため、成形体
が崩れ易く、所望する3次元構造の焼結体が得られない
ことがある。 (iii)従来、光硬化性流動樹脂には非溶融性の樹脂が使
用されているが、脱脂工程で樹脂を燃焼除去するため
に、所要時間が10〜100時間にも及び、多量なエネ
ルギーを要する。 (iv)混合物中の光硬化性流動樹脂の割合が低い場合に
は、混合物の粘度が高くなる。このため、上述の光造形
工程において、混合物が光照射位置まで流れ込み難くな
り、この工程の所要時間が長くなる。最悪の場合には、
混合物が光照射位置まで流れ込まなくなることがある。 (V) 上述の混練工程において、光硬化性流動樹脂と数種
類の無機粉末材料とを混合するときに、各無機粉末材料
の粒径が略同一である場合、これらの各無機粉末材料が
樹脂に均一に混合され難い。このため、最終的に得られ
る焼結体中で各無機粉末材料が均一に分布していない。
【0016】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、高精度かつ高品質の3次元微細構造を有する焼
結体を容易に得ることができる焼結体の製造方法を提供
する。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、光硬化性流動
樹脂、無機粉末材料および光透過性材料を混合して混合
物を得る工程、前記混合物に光を照射して前記光硬化性
流動樹脂を硬化させて所望の形状を有する成形体を得る
工程、前記成形体から樹脂成分を除去する工程、およ
び、前記樹脂成分が除去された成形体を所定温度に加熱
して焼結体を得る工程を具備することを特徴とする焼結
体の製造方法を提供する。
【0018】また、本発明は、光硬化性流動樹脂、無機
粉末材料および保形性付与材料を混合して混合物を得る
工程、前記混合物に光を照射して前記光硬化性流動樹脂
を硬化させて所望の形状を有する成形体を得る工程、前
記成形体から樹脂成分を除去する工程、および、前記樹
脂成分が除去された成形体を所定温度に加熱して焼結体
を得る工程を具備することを特徴とする焼結体の製造方
法を提供する。
【0019】
【作用】本発明の焼結体の第1の製造方法では、焼結体
の原料の一つに、光透過性材料を使用することにより、
混合物に光を照射して光硬化性流動樹脂を硬化させる際
に光透過性材料が光の透過する導光路として機能し、光
が混合物の内部にまで伝わるので、光硬化性流動樹脂が
均一に硬化する。
【0020】また、本発明の焼結体の第2の製造方法で
は、焼結体の原料の一つに、保形性材料を使用すること
により、成形体の保形性を向上させて、脱脂工程および
焼結工程で成形体が崩れるのを防止する。
【0021】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し図面を用いてさ
らに詳細に説明する。図1に、本発明の焼結体の製造方
法の一例の各工程を示すフロチャートである。
【0022】まず、光硬化性流動樹脂11、無機粉末材
質12および機能性材料13を夫々準備する。第1の原
料である光硬化性流動樹脂11は、光、例えば、X線、
紫外線または可視光によって硬化する樹脂である。光硬
化性流動樹脂11は、例えば、オリゴマー(エポキシア
クリレート、ウレタンアクリレート等)、反応性希釈剤
(モノマー)および光重合開始剤(ベンゾイン系、アセ
トフェノン系等)の三成分からなる。
【0023】また、第2の原料である無機粉末材料12
は、例えば、SUS316L、SUS304、Fe−C
o−V系(Fe49%,Co49%,V2%)、Cu−
Sn合金、Cu−Ni合金、SiO2 、TiO2 、Zr
2 、Al23 またはBaTiO3 のような材質が使
用できる。これらの無機粉末材料は、例えば、水アトマ
イズ法、ガスアトマイズ法、または、例えば、高橋孝
二、辻 一郎、永田三郎著「耐熱合金粉末射出成形によ
る高温構造部材への適用」(工業材料、第39号、NO
12、1991 9月号、P.43〜45)に詳細に記
載されている微細粉末の加工方法によって粉末化され
る。また、金属アルコキシドを常温で加水分解してゾル
を作り、この反応を進めてゲル化した後、低温で焼成し
て繊維や粉体を得るゾル−ゲル法[作花済夫著「ゾル−
ゲル法の科学」(株式会社アグネ承風社、1988)]
に従って繊維状に加工しても良い。
【0024】また、第3の原料である機能性材料13と
しては、目的に応じて光透過性材料または保形性付与材
料が用いられる。第1に、光透過性材料の材質は、例え
ば、ソーダガラス、鉛ガラス、パイレックスガラスのよ
うなガラス材料、例えば、ナイロン、エポキシ系、ポリ
エチレン系、ポリプロピレン系のような樹脂、または、
アクリル系、エポキシ系のような光透過性を有する光硬
化性樹脂である。これらの材料は、例えば粒体または繊
維に加工して用いられる。光透過性材料は、単独で使用
しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良
い。
【0025】第2に、保形性付与材料としては、無機物
質または有機物質からなる粒体、粉体、繊維またはウィ
スカー等が使用される。保形性付与材料の材質は、特に
限定されないが、例えば、アルミナ(Al23 )、チ
タン酸カリウム(K2 O・nTiO2 )、グラファイ
ト、ポリオキシメチレン、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、またはポリイミドを粒体等に加工して使用できる。
これらの保形性付与材料は、単独で使用しても良いし、
2種以上の材質を組み合わせて使用しても良い。
【0026】これらの光透過性材料および保形性付与材
料としては、同一の材料で両方の機能を発揮するもので
あっても良い。また、光透過性流動樹脂11として用い
る光透過性流動樹脂を、光で硬化させた後に粉体等に加
工したものを機能性材料13として使用することができ
る。この粉体は、後述する混合物中で光透過性流動樹脂
11と同一の材質であるため、熱膨張係数または融点が
同一であるために成形体の保形性が向上する。
【0027】上述の光透過性材料および保形性付与材料
は、各々単独で使用しても両者を併用しても良い。ま
た、機能性材料13の粒子平均径の無機粉末材料12の
平均粒子径に対する比(以下、平均粒子径比という)が
60%以下であることが好ましい。平均粒子径比が60
%を越える場合には、機能性材料13と無機粉末材料1
2とを均一に混入しようとすると粒子径がほぼ同一であ
るために混練に時間がかかり、混練が不十分であると最
終的に得られる焼結体での粒子間の空洞が大きく充填密
度が低くなってしまうことがある。
【0028】次に、光透過性流動樹脂11に無機粉末材
料12および機能性材料13を加圧ニーダー等により混
練して混合物を得る(S1)。得られた混合物は、液状
の光透過性流動樹脂11中に、無機粉末材料12および
機能性材料13が分散された状態になっている。その
後、この混合物に真空ポンプ等により脱泡処理を施す。
【0029】次いで、得られた混合物を用いて、所望の
形状の3次元構造を有する成形体を光造形により成形す
る(S2)。図2(A)に示すように、タンク21に
は、混合物22が収容され、タンク21の底面部の略中
央には、光を透過するガラス板23で塞がれた開口部2
4が形成されている。開口部14の下方には、紫外線レ
−ザビーム源(図示せず)が配置されている。また、混
合物22には、昇降自在な昇降アーム25の先端部に取
り付けられたテーブル26が浸漬されている。
【0030】次に、ガラス板23およびテーブル26の
間が所定の間隔d1 になるようにテーブル25を上昇さ
せる。この状態で、ガラス板23およびテーブル26の
間に存在する混合物22に、紫外線レーザビーム(図中
矢印で示す)の照射を開始する。紫外線レーザビームが
照射された混合物22中の光硬化性流動樹脂11が硬化
して、硬化物27が形成されて行く。紫外線レーザビー
ムの走査が終了すると、図2(B)に示すように、1層
目の硬化樹脂層28が得られる。 この後、図2(C)
に示すように、1層目の硬化樹脂層28およびガラス板
23の間が所定の間隔d1 になるようにテーブル26を
上昇させる。この状態で、1層目と同様に、紫外線レー
ザビームをガラス板23および1層目の硬化樹脂層28
との間に流入した混合物22に照射し、図2(D)に示
すように、紫外線レーザビームを走査させて2層目の硬
化樹脂層29を形成して行く。
【0031】上述の操作を繰り返し、複数層の硬化樹脂
層を積層させて所望形状の成形体を造形する。ここで、
紫外線レーザビームの走査は、予め3次元CADに入力
された所望の形状を有する3次元構造物のデ−タから、
この3次元構造物の厚みd1ごとの水平方向のスライス
図形データ群を作成し、これらのデータ群に従って行わ
れる。
【0032】また、照射する光は、使用する光硬化性流
動樹脂11の種類に応じて決定されるが、例えば、紫外
線波長領域を持つエキシマレーザ(308nm)、He
−Cdレーザ(325nm)、Arレーザ(351〜3
46nm)である。
【0033】上述の光造形工程(S2)において、混合
物22に機能性材料13として光透過性材料が混合され
ている場合、硬化樹脂層中に光透過性材料により光導路
が形成される。例えば、図3に示すように、粒子状の光
透過性材料31を用いた場合、隣接する光透過性材料3
1で、光硬化性流動樹脂32および無機粉末材料33の
中に適当な間隔で紫外線が伝播する導光路が形成され
る。このため、比重の大きい無機粉末材料32が沈澱し
ても、下方から照射した紫外線が無機粉末材料の反射に
影響されず、設定した層の厚さd1 まで光硬化性流動樹
脂32を硬化させることが可能である。この結果、均一
に硬化した硬化樹脂層34を作製でき、成形体の造形性
が改善される。
【0034】また、光硬化性流動樹脂11の混合物全体
に対する体積比率を40%〜95%の範囲内に設定する
ことが好ましい。この場合、混合物の粘度が十分に低い
ため、上述の光造形工程(S2)に要する時間を短縮す
ることができる。すなわち、図2(B)に示すように、
1層目の硬化樹脂層28の光造形を終了した後、図2
(C)に示すように、2層目の硬化樹脂層29を光造形
するため、テーブル26を上昇させて、1層目の硬化樹
脂層28とガラス板23の間に間隔d1 の間隙を設けた
ときに、この間隙に混合物22を充填させる際に、光硬
化性流動樹脂11の体積比率が40%未満であると混合
物22の粘性が高いため、混合物22が上記間隙に流れ
込むのが遅く、完全に充填されるまでに長時間がかる。
最悪の場合には、混合物22がほとんど間隙に流れ込ま
ないことがある。また。テーブル26の上昇速度を速く
するためにテーブル26の駆動力を高めると、既に造形
された硬化樹脂層が高粘度の混合物の圧力で変形してし
まうことがある。一方、光硬化性流動樹脂11の体積比
率が95%を越える場合には、脱脂工程および焼結工程
における保形性が著しく低下してしまう。
【0035】上述の光造形工程(S2)が終了した後、
得られた成形体をタンク21から取り出し、この成形体
に付着残留した未硬化の混合物を、例えば、超音波洗浄
器で取り除く(S3)。
【0036】この後、成形体に含まれる樹脂成分を除去
する(S4)。この脱脂処理は、成形体に含まれる光硬
化性流動樹脂を加熱して燃焼させることにより行うこと
ができる。この際の加熱温度は、使用した光硬化性流動
樹脂11の材質により多少異なるが、例えば、昇温速度
4℃/分で最高温度300〜400℃にて燃焼除去を行
うことができる。
【0037】また、光硬化性流動樹脂11として、水ま
たは有機溶媒に溶解可能な樹脂を用いた場合には、対応
する溶媒で光硬化性流動樹脂11を溶解除去することが
できる。例えば、スリーボンド3000シリーズ光硬化
性樹脂3046、3046Bのような水溶性タイプの光
硬化性流動樹脂を使用した場合には、成形体を水溶液ま
たは高湿度雰囲気中に放置することにより、成形体中の
樹脂成分を溶解除去することができる。この方法は、上
述の加熱除去による脱脂工程のように加熱に多大なエネ
ルギーを必要としない点で優れている。しかし、材質に
よっては、上述の溶解除去による脱脂処理と、樹脂成分
の除去量をコントロールしやすい燃焼除去による脱脂処
理とを組み合わせる方が、保形性を向上させる上で有効
な場合がある。
【0038】次いで、脱脂処理が施された成形体を所定
温度に加熱して、成形体中の無機粉末材料を焼結させて
目的の焼結体を得る(S5)。ここで、加熱温度は使用
する無機粉末材料によって異なる。例えば、SUS31
6Lの水アトマイズ粉末の場合、大気中または窒素雰囲
気中、1300℃、3時間の加熱処理で良好な焼結体が
得られた。また、Fe−Co−V系(Fe49%,Co
49%,V2%)である場合には、加熱温度1440℃
で所望する焼結体を製造することができた。
【0039】このような脱脂工程(S4)及び焼結工程
(S5)では、混練工程(S1)で混合物に機能性材料
13として光透過性材料を混合しておくことにより、成
形体の保形性を改善することができる。例えば、図4に
示すように、成形体41中に、例えば、繊維状またはウ
ィスカー状の保形性付与材料42を混入することによ
り、保形性付与材料42どうし、または、保形性付与材
料42と無機粉末材料43との間に大きな接触抵抗が生
じ、成形体41の保形性が向上する。このため、脱脂工
程で、光硬化性流動樹脂44が除去された後も成形体4
1が崩れるのを防止できる。保形性付与材料42の表面
積が大きくなるほど比例的に保形性が改善されるが、保
形性付与材料42の繊維またはウィスカーの長さは、無
機粉末材料42の粒子径の2倍以上20倍以下が好まし
い。なぜならば、無機粉末材料42の粒子径の2倍未満
である場合には成形体41の保形性の改善効果が十分で
なく、無機粉末材料42の粒子径の20倍を越えると、
最終的に得られる焼結体の表面に繊維またはウィスカー
による凹凸が著しく大きくなり、焼結体の寸法精度が低
下することがあるからである。
【0040】また、保形性付与材料42として焼結工程
(S5)で燃焼除去される材質、例えばポリイミド等を
使用した場合には、無機粉末材料43のみからなる焼結
体ができる。また、保形性付与材料42として焼結工程
(S5)で焼結される材質、例えばアルミナ等を使用し
た場合には、無機粉末材料43の焼結物中に、繊維状や
ウィスカー状の焼結物が混入した焼結体ができる。この
ように、焼結体の用途に応じて保形性付与材料42の材
質または形状を適宜選択することができる。
【0041】以下、本発明の焼結体の製造方法に従っ
て、形状が角柱状であって一辺が約1cmである3次元
構造物である焼結体を試作し、評価した試験結果につい
て説明する。
【0042】表1に示す各種材料を、上述の混練工程
(S1)に従って混練して混合物を得た。次に、得られ
た混合物を用いて、上述の光造形工程(S2)に従って
成形体を造形した。この成形体を洗浄した後(S3)、
脱脂処理(S4)を施して、成形体中の樹脂成分を除去
する。この後、樹脂成分が除去された成形体を加熱して
無機粉末材料を焼結させて、実施例1〜5の焼結体を得
た。また、これらの実施例のうち、実施例1〜4では、
非溶解性の光硬化性流動樹脂を使用したため、脱脂処理
は、成形体を400℃で80時間加熱して、樹脂成分を
燃焼除去した。これに対して、実施例5では、水溶解性
の光硬化性流動樹脂を使用したため、脱脂処理は、成形
体を水に浸漬して樹脂成分を溶解除去した。
【0043】
【表1】 このようにして得た実施例1〜5の焼結体を評価した結
果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】以上詳細に説明したごとく、本発明の焼
結体の製造方法によれば、光造形法に従って成形体を作
製する際に、光硬化性流動樹脂および無機粉末材料に、
第3の機能性材料として、光透過性材料または保形性付
与材料を加えることにより、光造形工程で成形体の光透
過性を改善したり、脱脂工程および焼結工程における成
形体の保形性を改善することができる。この結果、高品
質かつ高精度の焼結体を容易に製造できる。特に、金型
による成型工程や切削工程を含まないので、3次元微細
構造体の他種類少数生産に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の焼結体の製造方法の一例を示すフロチ
ャート。
【図2】(A)〜(D)は、本発明の焼結体の製造方法
の光造形工程の各手順を示す工程図。
【図3】本発明の焼結体の製造方法に従って光透過性材
料が混入された成形体を示す断面図。
【図4】本発明の焼結体の製造方法に従って保形性付与
材料が混入された成形体を示す断面図。
【図5】従来の金属射出成形法の各工程を示す説明図。
【図6】従来の金属射出成形法の各工程における被処理
体の状態を示す概念図。
【図7】従来の光造形法を示すフロチャート。
【符号の説明】
11,32,44…光硬化性流動樹脂、12,33,4
3…無機粉末材料、13…機能性材料、31…光透過性
材料、42…保形性付与材料。
フロントページの続き (72)発明者 今橋 拓也 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オ リンパス光学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−290903(JP,A) 特開 平4−99203(JP,A) 特開 平5−86401(JP,A) 特開 平5−98306(JP,A) 特開 平3−290469(JP,A) 西独国特許4007345(DE,B) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 3/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光硬化性流動樹脂、無機粉末材料および
    光透過性材料を混合して混合物を得る工程、 前記混合物に光を照射して前記光硬化性流動樹脂を硬化
    させて所望の形状を有する成形体を得る工程、 前記成形体から樹脂成分を除去する工程、および、 前記樹脂成分が除去された成形体を所定温度に加熱して
    焼結体を得る工程を具備することを特徴とする焼結体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記光透過性材料は、前記光硬化性流動
    樹脂を硬化させたものから成ることを特徴とする請求項
    1に記載の焼結体の製造方法。
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