JP3415229B2 - オイルリング諸元の設計方法 - Google Patents

オイルリング諸元の設計方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、例えばレシプロエンジ
ンに用いるサイドレールとスペーサを有するオイルリン
グの諸元の設計方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、レシプロエンジンのオイルリ
ングによるオイル消費量(LOC)のコントロール方法
として、a)シリンダライナ面油膜厚のコントロール、
b)シリンダライナ面のライナ変形に伴うオイルリング
の追従性のコントロール、c)オイルリング溝への密着
性のコントロールという3つの要素によってオイル消費
量をコントロールしていた。 a)第1の要素であるシ
リンダライナ面油膜厚のコントロールは、シリンダライ
ナ面圧を約8〜9kgf/cm2に設定することによって油膜
厚を保持しようとするものである。 b)また、第2の
要素であるシリンダライナ面のライナ変形に伴うオイル
リングの追従性のコントロールは、追従性係数(オイル
リングの追従し易さを表す値)を”0.4”よりも大き
い値に設定することによって、ライナ変形によって発生
するオイルリングとライナとの隙間を小さくしようとす
るものである。 【0003】c)更に、第3の要素であるオイルリング
溝への密着性のコントロールとは、ピストンの往復動に
よって発生するオイルリングのサイドレールのうねりを
抑えるため、レール剛性をできるだけ大きくすることに
よってオイル漏れ量をコントロールするものである。本
来、上述したa)、b)、c)の3つの要素について
は、夫々に経験的な基準値を用い、その基準値内におい
て、ライナ面圧や追従性係数やレール剛性を設定し、様
々な組み合わせを設定しながら実験することによって、
謂わば、試行錯誤を繰り返しながらオイル消費量(LO
C)が最小となるようなオイルリング諸元の設計を行な
っていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような従来技術において、オイルリングの摩擦損失の低
減を狙ってオイルリングの低張力化を図ろうとすると、
低張力でかつ高面圧又は追従性係数を大きくする必要が
ある。しかしながらいずれもサイドレールの剛性が低下
して結果的にオイルの消費量が大きくなってしまうとい
う問題が生じていた。 【0005】また、実験等による経験に頼るところが大
きく設計にバラツキが生じてしまうという問題が生じて
いた。従って、本発明のオイルリングは、上記の事情に
鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、、ピストンスピード(エンジン回転数)とライナ真
円度(ライナ変形形態)及びオイルリング諸元とオイル
消費量の関係をオイル漏れの要因となる隙間面積を表す
パラメータを利用して関連づけることによりオイル消費
量及び張力が最小となるようなオイルリングの諸元の設
計方法を提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】上述の課題を解決し、目
的を達成するために、本発明のオイルリング諸元の設計
方法は、ピストンの周方向に形成されたオイルリング溝
内に環装すると共に、サイドレールとスペーサを有する
オイルリング諸元の設計方法において、前記オイルリン
グ諸元であるオイルリングの外周方向に作用する張力
(W)と、前記スペーサの中心幅(b 3 )と、該スペー
サの全周のピッチ数(n)と、該スペーサのピッチ寸
(P s )と、該スペーサの板厚(b s )と、該スペーサの
厚さ(t s )と、該スペーサのヤング率(E s )とに基づ
いてα={W・b 3 2 ・n・(b 3 /3+P s /2)}/(E s ・b s 3
・t s )で表される前記オイルリングの周方向の伸縮量
(α)と、前記オイルリング諸元である前記サイドレー
ルの幅(b r )と、前記サイドレールの厚さ(t r )と、前
記サイドレールのヤング率(E s )とに基づいてβ=E r
・b r 3 ・t r で表される前記オイルリングのピストン軸方
向の剛性(β)との比から前記サイドレールのうねり変
形量(K 3 )を求めるためのK 3 =α/βで表される関係
式を有し、前記オイルリング諸元に関する所定のスタン
ダード値を、前記関係式に夫々代入することにより当該
サイドレールうねり変形量(K 3 )のスタンダード値
(Z 3 )を算出すると共に、当該サイドレールうねり変
形量(K 3 )についてオイル消費量が許容範囲内となる実
験値(k 3 )を実験により求める第1ステップと、前記
第1ステップにおいて求めた前記サイドレールうねり変
形量(K 3 )のスタンダード値(Z 3 )と前記実験値
(k 3 )との比であるスタンダード比(S 3 )を求めて、
前記スタンダード比(S 3 )の許容範囲を設定する第2
ステップと、前記第2ステップにおいて設定された前記
スタンダード比(S 3 )の許容範囲内になるように前記
オイルリングの諸元を設定する第3ステップとを備える
ことを特徴としている。 【0007】 【0008】 【0009】 【0010】 【0011】 【作用】以上のように、この発明に関わるオイルリング
諸元の設計方法は構成されているので、オイル漏れの要
因となる隙間面積を表すパラメータを利用し、それらを
オイルリングの諸元に関連づけることによりオイル消費
量及び張力が最小となるようなオイルリング諸元を設計
することができる。 【0012】また、サイドレール幅を小さくできるた
め、オイルリングを小型化することが可能となる。ま
た、オイルリングの設計手順を定式化できるため、設計
者による設計のバラツキ等をなくすことができる。 【0013】 【実施例】以下に本発明の実施例につき、添付の図面を
参照して詳細に説明する。図1は、本実施例を示すレシ
プロエンジンに用いられる3ピースオイルリングの構成
図である。また、図2は、図1のB−B矢視断面部分を
拡大しかつ簡略化した図である。図1に示すように、ピ
ストン1は、上部オイルリング受部6aと下部オイルリ
ング受部6bとの間にオイルリング溝7を形成してい
る。また、オイルリング溝7は、3ピースオイルリング
を嵌装するように構成されている。3ピースオイルリン
グ12は、挟持部(不図示)を有する上部サイドレール
9と下部サイドレール10と両サイドレールに挟持され
る略矩形波状に折曲形成されたエキスパンダ状のスペー
サ11とによって構成されている。 【0014】<オイル消費(LOC)発生要因の分析>
周知のように、オイルリングとは、シリンダライナとピ
ストンとが往復運動するのに必要な潤滑油(エンジンオ
イル)の油膜厚を適正に保持するために用いられてい
る。したがって、オイルリングの特性等に起因して燃焼
室内に流入するエンジンオイル量が増加してしまうと、
本来不要なオイル消費量(LOC)はそれに伴って増加
していく。ここで、上述した3ピース構造のオイルリン
グ12を有するレシプロエンジンのオイル消費量(LO
C)に注目すると、燃焼室内へのエンジンオイルの漏れ
量は、オイルリングシール部にできる隙間面積、即ち、
シリンダライナ面油膜厚K1、シリンダライナ面変形部
隙間K2、後に詳しく説明するピストンリングのうねり
変形量K3というの3つの要素に起因すると考えられ
る。これら3つの要素は、いずれもオイルリングとシリ
ンダライナとの間を通過して燃焼室内に流入するオイル
のオイル通路としての断面積(隙間面積)を表してい
る。図3は、エンジンオイル通路とシリンダライナ面油
膜厚とシリンダライナ面変形部面積との関係を示すライ
ナ部分の断面図である。図3において、シリンダライナ
面油膜厚K1とは、ライナの変形がないとした場合の油
膜の厚さを示す値である。シリンダライナ面変形部面積
2とは、ライナ部固定ボルトを締めることによって生
じるライナ変形部に形成される隙間面積を示す値であ
る。ここで、シリンダライナ面油膜厚K1は、下記に示
す関係式1によって算出される。 【0015】K1=br・D・(U・D/W)1/2・・・(1) 但し、 br:サイドレール幅 D:ボア径 U:ピストンスピード W:張力 上記関係式1に示すサイドレール幅brとは、上部又は
下部サイドレールのいずれか一方のサイドレールの厚さ
であって、ピストンスピードUは、エンジン回転数から
算出される値である。また、張力Wとは、オイルリング
の外周方向(広がろうとする方向)に作用するものであ
る。更に、シリンダライナ面変形部面積K2は、下記に
示す関係式2によって算出される。 【0016】 K2={br・tr 3・Er・Umax・(i2−1)2}/(W・D3)・・・(2) 但し、tr:サイドレール厚 Er:サイドレールのヤング率 i:ライナ変形次数 Umax:i次のライナ変形量 関係式2に示されるライナ変形次数iとは、図4aから
図4cに示すように、ライナ部固定ボルトVの個数によ
って決定される値である。例えば、ライナ部固定ボルト
が4本のときは、iは4次(i=4)の値となる。ま
た、ライナ変形次数iと、そのときのi次のライナ変形
量Umaxとは、夫々所定基準値に対して最も厳しい次数
で算出される値となる。 【0017】厳密には、シリンダライナ面変形部面積K
2は、ライナ変形面積から変形にともなってオイルリン
グが追従する面積を引いた値となるが、夫々の絶対値予
測が非常に困難であるため、ライナ変形量を変形次数の
影響で乗じた値をオイルリング追従量で割った値で近似
することによって代用している。この場合のオイルリン
グ追従量は、サイドレールを梁と仮定して算出するので
あるが、このような手法は周知の文献等によって開示さ
れているので、説明を省略することとする(参考文献;
SAE Technical Paper Series 841222;Piston Ring Desi
gns for Reduced Friction 著者;Stephen H.Hill and
Brian A.Newman)。 【0018】次に、オイルリング溝に環装されたサイド
レールのうねり変形量K3について説明する。図5は本
実施例に基づくオイルリングのオイルリング溝内でのう
ねりの状態を示す図である。また、図6は、本実施例に
基づくスペーサのオイルリング溝内でのうねりの状態を
示す図である。更に、図7は、本実施例に基づくスペー
サのたわみの状態を示す図である。図5、図6におい
て、ピストンが往復動することによってオイルリング溝
内のオイルリングはサイドレール自身の弾性によってう
ねりを発生する。うねり量を算出するに当たって、実際
のうねり量の解析が困難であるため、このうねり量に対
するレールの追従しやすさを表すためにスペーサのたわ
み量をうねり量として近似している。即ち、スペーサの
うねり量は、スペーサのたわみ量をサイドレールの側面
方向の剛性で割った値として算出される。下記に示す関
係式3によってサイドレールのうねり変形量K3を算出
する。 【0019】K3=α/β・・・(3) α={W・b3 2・n・(b3/3+Ps/2)}/(Es・bs 3・ts) β=Er・br 3・tr b3=B−2・br−bs−0.1 n=π(D−T)/Ps 但し、ts:スペーサの厚さ Er:サイドレールのヤング率 Es:スペーサのヤング率 Ps:スペーサのピッチ B:オイルリング組立厚 T:オイルリング組立幅 以上説明したように、オイル消費量の増大は、LOC発
生要因K1、K2、K3をオイルリングに付加される張力
Wの関数として算出できるのである。尚、改めて、各発
生要因K1、K2、K3を、オイルリングとシリンダライ
ナを真円とみなした場合のシリンダライナ面の油膜厚を
表す係数K1、ライナの変形形態を表すデータとその変
形量に対するサイドレールの追従性を表す係数K2、ス
ペーサのうねり変形に対するサイドレールの耐追従性を
表す係数K3と定義し、オイルリング諸元の設計を行な
うのである。 【0020】尚、図8は、本実施例に基づくオイルリン
グの各設計諸元を示す断面図である。同様に、図9は、
本実施例に基づくスペーサの諸元を示す図である。 <各LOC発生要因K1、K2、K3のLOCへの寄与形
態>次に、各LOC発生要因のLOCへの寄与形態につ
いて説明する。図10は、実験により得た値に基づく各
LOC発生要因K1、K2、K3とLOCとの関係を示す
図である。図10において、縦軸はLOC量であり、横
軸は各LOC発生要因K1、K2、K3のスタンダード値
(標準値)と実験値との比を表すスタンダード比S1
3を示している。ここで、所定のLOC基準値を設定
し、その基準値に対する各発生要因K1、K2、K3のス
タンダード値を算出し、実験値とスタンダード値との
比、即ちスタンダード比を夫々算出するのである。スタ
ンダード値の算出には下記に示すオイルリング諸元の値
を代入して算出する。 【0021】[オイルリング諸元のスタンダード値] br=0.5mm D=78 mm U=18.949 m/sec W=3.1kgf b3=1.5mm n=59.3個 Ps=4mm Er=21000kgf/mm2r=2mm Es=18000kgf/mm2s=0.4mm ts=2.2mm 上記のオイルリング諸元のスタンダード値を前述した式
1及び式3に代入することによって、各K1、K3のスタ
ンダード値は、下記のように算出される。 【0022】Z1=851.6 Z3=6.90*10-5 また、各各K1、K3の実験値は、下記に示す条件に設定
される。 k1≦1100 k3≦7.00*10-5 なぜ上記の条件に設定されるかというと、図10からわ
かるように各発生要因K1、K3によるLOCは、S1
3の値を境に急激に増加している。特に、S3はサイド
レールの座屈が生じる限界となっている。そのため、各
発生要因K1、K3は、図10におけるS1、S3の値以下
に設定する必要があるのである。従って、標準型レシプ
ロエンジンに用いられるオイルリングに関するスタンダ
ード比S1、S3の条件は、図10より、 S1=k1/Z1≦1.30 S3=k3/Z3≦0.90 となる。即ち、スタンダード比S1、S3が上記の値以下
であればLOCを効果的に押さえることができるのであ
る。 【0023】<オイルリング諸元とLOCとの関係>次
に、オイルリング諸元とLOCとの関係について説明す
る。図11は、各LOC要因によるLOCのトータル量
と張力Wとの関係を示す図である。図11において、W
1、W3を境界として、LOCトータルが急増している。
即ち、W1、W2は、前述のスタンダード比S1、S3にそ
れぞれ対応する値なのである。各LOC要因K1、K
3は、LOCへの寄与率が特に高く、それゆえ、各LO
C要因がLOCに寄与する領域(S1≧1.30、S3
0.90となる領域)では、トータルLOCをコントロ
ールすることが困難となってしまう。従って、S1
1.3以下、S3が0.9以下となるような領域におい
て、オイルリング諸元を設計することがLOCトータル
をコントロールする上で有効な手段となるのである。更
に、トータルLOCの算出式を下記関係式4に示す。 【0024】 LOCトータル=(S1−1.3)*a1+S2*a2+(S3−0.9)*a3・・・(4) 但し、S1≦1.30のとき S1−1.3=0 S3≦0.9のとき S3−0.9=0 a1=300 a2=10 a3=70 即ち、上記の領域を満足することによって、トータルL
OCについては発生要因K2のみをコントロールするだ
けで良いことになる。 【0025】<オイルリング諸元の設計>次に、オイル
リング諸元の設計について説明する。図12は、サイド
レール幅と張力との関係を示す図である。図12におい
て、領域J内を満足するようオイルリング諸元を求め
る。領域Jを示す関係式を下記に示す。 【0026】領域J 1 ; br≦[(1.3*851.6)/{D・(U
・D)1/2}]・W1/2・・・(5) 領域J 3 ; br≧[{b3 2・n・(b3/3+Ps/2)/(Er・tr
・Es・bs 3・ts)}1/3/0.9/6.90*10-5]・W1/3・・・
(6) 領域J 2 ; br≦(LOC基準/10)・[D3/{tr・Er・U
max・(i2−1)2}]・W・・・(7) ここで、領域Jは、上記の関係式によって表される領域
内J1、J2、J3の全てを満足する領域とする。前述したよ
うに、LOC要因K2のみがLOC増大に寄与している
領域J2内において、所定のLOC基準値を満足するよう
にK2を設定し、オイルリングの摩擦損失防止のため、
張力が最も小さいポイントをサイドレール幅として設定
するのである。 【0027】具体的に説明すると、初めにサイドレール
幅を除いたオイルリング諸元を設定し、コンピュータ等
の電子計算機を使用して領域J内にあるかどうか選別す
る。その後、領域J内に存在するものだけについて表示
し、その中で最も張力が小さくなるようなサイドレール
幅を設定するのである。次にオイルリング諸元の設計の
ための手順を説明する。 【0028】図13は、オイルリング諸元の設計手順を
示すフローチャートである。図13において、ステップ
S1では、LOC要因を3つの要因K1、K2、K3に夫
々分析する。ステップ2では、ステップ1において分解
した要因K1、K2、K3を夫々数式化する。その後ステ
ップ3において、各LOC要因のスタンダード値(標準
値)と実験値との比に基づき、LOC発生要因K1
2、K3の各限界値を設定する。その後ステップ4に進
む。ステップ4においては、LOCの基準値を設定す
る。その後ステップ5へ進む。ステップ5において、ス
テップS3とステップS4において設定した限界値と基
準値を用いて最適な領域の設定を行なう。ステップS6
においては、サイドレール幅を除くオイルリング諸元を
設定する。その後ステップS7において、ステップS6
で設定されたオイルリング諸元がステップS5において
決定された領域を満足するか否かを判断し、満足するも
のだけを表示する。ステップS8では、ステップS7で
表示された結果に基づいて張力の最も小さくなるところ
のサイドレール幅を決定する。ステップS9では、ステ
ップS8において決定されたサイドレール幅に基づい
て、オイルリング諸元の全てが決定される。以上説明し
たような設計手順によりオイルリングの諸元が決定され
るのである。 【0029】図14から図16は、本実施例のおいて説
明したオイルリング諸元の設計によって得られるオイル
リングのボア径毎の最適範囲を示す図である。図14か
ら図16において、いずれのボア径においても斜線で囲
まれた部分がオイルリング諸元の設定に関する最適領域
である。即ち、設定された最適領域内を満足するオイル
リング諸元の組み合わせだけを表示した後、張力Wが最
小となるようにサイドレール幅brの設定を行なうこと
によって、謂わば狙う目標が定められたことになり、図
14から図16に示すような従来の実績値よりも定式化
された方法によるオイルリング諸元の設定を行なうこと
ができる。 【0030】以上のように、LOC発生要因を3つの要
素に分解し、各発生要因の限界値を決定する事により、
オイルリングに付加される張力を小さくでき、摩擦係数
の小さい最適なサイドレール幅を有するオイルリングを
容易に設計することができる効果がある。また、サイド
レール幅を小さくできるため、オイルリングを小型化す
ることができる効果がある。 【0031】以上説明したように、本実施例のオイルリ
ング諸元の設計方法によれば、オイル消費量増大の要因
となる隙間面積を表すパラメータを利用して関連づける
ことによりオイル消費量及び張力が最小となるようなオ
イルリングを設計できるのである。尚、本発明は、その
趣旨を逸脱しない範囲で上記実施例を修正又は変形した
ものに適用可能である。 【0032】例えば、本実施例ではK1、K2、K3とい
う3つの要因を利用してオイルリングのサイドレール幅
の設計を行なったが、少なくとも2つの要因の組み合わ
せによってオイルリングのサイドレール厚を設計しても
よいのである。また、同様の手順によってサイドレール
幅以外のオイルリング諸元を目的として設定してもよい
のである。 【0033】更に、図17は、オイルリング諸元の設計
手順の変形例を示すフローチャートである。また、図1
8は、本実施例に基づく変形例を示すブロック図であ
る。変形例として図17に示すように、図13において
ステップS7からステップS10へ進み、ステップS1
0において操作者からのオイルリング諸元のデータの入
力があるか否か判断する。ステップS10においてデー
タの入力があった場合(判定がYESのとき)、ステッ
プS11に進む。ステップS11では、ステップS5に
おいて設定された領域内において、サイドレール幅と張
力とを具体的な値として表示する。その後ステップS1
2へ進む。ステップS12では、ステップS11で表示
された具体的な値が適切か否かを操作者が判断する。ス
テップS12での判断が適切だった場合(判定がYES
のとき)、ステップS9へ進む。また、ステップS10
で入力がなかった場合(判定がNOのとき)とステップ
S12での判定が不適切の場合(判定がNOのとき)、
いずれもステップS7へリターンする。 【0034】また、図18において、データ入力手段と
してのキーボード又はマウスによって入力されたオイル
リング諸元データは、CPUによって演算処理され、サ
イドレール幅と張力の具体的な値を表示手段であるCR
Tによって表示する。評価手段としてのROM及びRA
Mに格納されたオイルリングの適正情報に基づいてCR
Tにより表示された値が適正か否か判断し、その結果を
CRTにより表示する。フロッピーディスク及びハード
ディスクは、オイルリング諸元のデータを保存するのに
使用される。 【0035】以上説明したように、領域を表示し、操作
者が指定する位置に入力し、入力された位置が適正か否
か評価する設計装置によって、オイルリングの設計手順
を定式化できるため、設計者による設計のバラツキ等を
なくすことができる。 【0036】 【発明の効果】以上説明のように、本発明のオイルリン
グ諸元の設計方法によれば、オイル漏れの要因となる隙
間面積を表すパラメータを利用し、それらをオイルリン
グの諸元に関連づけることによりオイル消費量及び張力
が最小となるようなオイルリング諸元を設計することが
できる効果がある。 【0037】また、サイドレール幅を小さくできるた
め、オイルリングを小型化することが可能となる効果が
ある。また、オイルリングの設計手順を定式化できるた
め、設計者による設計のバラツキ等をなくすことができ
る効果がある。
【図面の簡単な説明】 【図1】本実施例に基づくレシプロエンジンに用いる3
ピースオイルリングの構成図である。 【図2】図1のB−B矢視断面部分を拡大かつ簡略化し
た図である。 【図3】図3は、エンジンオイル通路とシリンダライナ
面油膜厚とシリンダライナ面変形部面積との関係を示す
ライナ部分の断面図である。 【図4a】本実施例に基づくライナ固定ボルトの個数が
2本のときのライナ変形状態を示す模式図である。 【図4b】本実施例に基づくライナ固定ボルトの個数が
3本のときのライナ変形状態を示す模式図である。 【図4c】本実施例に基づくライナ固定ボルトの個数が
4本のときのライナ変形状態を示す模式図である。 【図5】本実施例に基づくオイルリングのオイルリング
溝内でのうねりの状態を示す図である。 【図6】本実施例に基づくスペーサのうねりの状態を示
す図である。 【図7】本実施例に基づくスペーサのたわみの状態を示
す図である。 【図8】本実施例に基づくオイルリングの各諸元を示す
断面図である。 【図9】本実施例に基づくオイルリングの各諸元を示す
断面図である。 【図10】各LOC発生要因K1、K2、K3とLOCと
の関係を示す図である。 【図11】LOCトータルと張力Wとの関係を示す図で
ある。 【図12】サイドレール幅と張力との関係を示す図であ
る。 【図13】本実施例に基づくオイルリング諸元の設計手
順を示すフローチャートである。 【図14】本実施例に基づくオイルリングのボア径φ7
0のときの最適範囲と、従来のオイルリングの実績値を
示す図である。 【図15】本実施例に基づくオイルリングのボア径φ8
0のときの最適範囲と、従来のオイルリングの実績値を
示す図である。 【図16】本実施例に基づくオイルリングのボア径φ9
0のときの最適範囲と、従来のオイルリングの実績値を
示す図である。 【図17】本実施例に基づくオイルリング諸元の設計手
順の変形例を示すフローチャートである。 【図18】本実施例に基づく変形例を示すブロック図で
ある。 【符号の説明】 1 ピストン 6a 上部オイルリング受け部 6b 下部オイルリング受け部 7 オイルリング溝 9 上部サイドレール 10 下部サイドレール 11 エキスパンダ状のスペーサ 13 拡大部 K1 シリンダライナ面の油膜厚を表す係数 K2 ライナの変形量に対するサイドレールの追
従性を表す係数 K3 スペーサのうねりに対するサイドレールの
耐追従性を表す係数 k1 実験値 k3 実験値 S1 スタンダード比 S3 スタンダード比 D ボア径 W オイルリングの外周方向の張力 U ピストンスピード Z1 実験により算出される値 Z3 実験により算出される値 tr サイドレール厚 ts スペーサ厚 Umax(i2−1)2 ライナ変形を代表する値 b3 スペーサの中心幅 bs スペーサの板厚 ps スペーサのピッチ寸 n スペーサの全周のピッチ数 Es スペーサのヤング率 Er サイドレールのヤング率 V ライナ固定ボルト
フロントページの続き (72)発明者 三次 克也 広島県安芸群府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 広瀬 一郎 広島県安芸群府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 実開 平4−133064(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16J 9/06 F02F 5/00 301

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ピストンの周方向に形成されたオイルリ
    ング溝内に環装すると共に、サイドレールとスペーサを
    有するオイルリング諸元の設計方法において、前記オイルリング諸元であるオイルリングの外周方向に
    作用する張力(W)と、前記スペーサの中心幅(b 3
    と、該スペーサの全周のピッチ数(n)と、該スペーサ
    のピッチ寸(P s )と、該スペーサの板厚(b s )と、該
    スペーサの厚さ(t s )と、該スペーサのヤング率
    (E s )とに基づいてα={W・b 3 2 ・n・(b 3 /3+P s
    2)}/(E s ・b s 3 ・t s )で表される前記オイルリングの
    周方向の伸縮量(α)と、前記オイルリング諸元である
    前記サイドレールの幅(b r )と、前記サイドレールの厚さ
    (t r )と、前記サイドレールのヤング率(E s )とに基
    づいてβ=E r ・b r 3 ・t r で表される前記オイルリングの
    ピストン軸方向の剛性(β)との比から前記サイドレー
    ルのうねり変形量(K 3 )を求めるためのK 3 =α/βで
    表される関係式を有し、前記オイルリング諸元に関する
    所定のスタンダード値を、前記関係式に夫々代入するこ
    とにより当該サイドレールうねり変形量(K 3 )のスタン
    ダード値(Z 3 )を算出すると共に、当該サイドレール
    うねり変形量(K 3 )についてオイル消費量が許容範囲内
    となる実験値(k 3 )を実験により求める第1ステップ
    と、 前記第1ステップにおいて求めた前記サイドレールうね
    り変形量(K 3 )のスタンダード値(Z 3 )と前記実験値
    (k 3 )との比であるスタンダード比(S 3 )を求めて、
    前記スタンダード比(S 3 )の許容範囲を設定する第2
    ステップと、 前記第2ステップにおいて設定された前記スタンダード
    比(S 3 )の許容範囲内になるように前記オイルリング
    の諸元を設定する第3ステップとを備える ことを特徴と
    するオイルリング諸元の設計方法。
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