JP3404236B2 - 拡声通話装置 - Google Patents

拡声通話装置

Info

Publication number
JP3404236B2
JP3404236B2 JP34822896A JP34822896A JP3404236B2 JP 3404236 B2 JP3404236 B2 JP 3404236B2 JP 34822896 A JP34822896 A JP 34822896A JP 34822896 A JP34822896 A JP 34822896A JP 3404236 B2 JP3404236 B2 JP 3404236B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
echo
transmission
line
state
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP34822896A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10190533A (ja
Inventor
裕志 橋本
善郎 西元
哲也 高橋
晃 中住
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP34822896A priority Critical patent/JP3404236B2/ja
Priority to US08/993,412 priority patent/US6377679B1/en
Publication of JPH10190533A publication Critical patent/JPH10190533A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3404236B2 publication Critical patent/JP3404236B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,拡声通話装置に係
り,例えばスピーカフォンやテレビ会議等のスピーカー
及びマイクを用いた双方向通信を行うシステムにおい
て,エコーキャンセラのエコー除去性能を簡易な処理に
よって見積もり,ボイススイッチの送受話切換え性能を
向上させることのできる拡声通話装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】受話器を有さず,スピーカ及びマイクを
用いて通話を行う拡声通話装置は,例えば複数地点を結
ぶテレビ会議システムや,安全のために手をステアリン
グから離せない自動車用電話等の幅広い分野に応用され
ている。この拡声通話装置において問題となるのは,ス
ピーカから出力された音が反響してマイクに回り込んで
生じる音響エコーや,回線結合部でのインピーダンスの
不整合により自身の発した音声が反射されて発生する回
線エコーと呼ばれる現象である。ここで,図6は上記音
響エコー及び回線エコーを簡単に説明するための図であ
る。この問題が深刻なのは,例えば図6に示すように,
音響エコー経路と回線エコー経路とが同時に成立して,
回線を介し閉ループ(マイク61,回線SP,及びスピ
ーカ62から構成される閉ループ)が形成された場合で
ある。即ち,上記閉ループの利得が1を越える場合に
は,上記閉ループ内で発振(ハウリング)を起こしてし
まい,最悪の場合通話不能に陥ってしまう。また,発振
を生じない場合でも,例えば回線エコーの場合には,自
身の発した音声がスピーカ62から遅れて出力されるた
め非常に喋りづらいことになる。
【0003】このエコーの影響を回避する装置は大きく
2つに大別される。一つは,近端話者が喋っている時に
は該話者の受信路に電気的な損失を挿入し(送話状
態),上記話者が話を聞いている時には上記話者の送信
路に損失を挿入する(受話状態),半2重のボイススイ
ッチ方式である。この方式では,送話状態と受話状態と
の切換えは,近端若しくは遠端の話者の発した音声に基
づいて行われる。もう一方は,上記エコーの特性を推定
する適応フィルタを用いて,上記エコーに近似する信号
を作成し,該信号を伝送路から差し引くことにより,上
記閉ループからエコー信号を除去するエコーキャンセラ
方式である。エコーキャンセラ方式では,エコーが実時
間で除去され,送信路・受信路が共に閉鎖されないので
全2重方式の通信を行うことができる。
【0004】ところで,上記のようなボイススイッチを
用いた拡声装置に関する技術は,例えば特公平5−44
221号公報に開示されている。ここで,図7は上記文
献に記載の拡声通話装置の概略構成を示す図である。図
7に示すように,上記ボイススイッチを用いた拡声通話
装置100は,送信部200に,マイク111から入力
される音声信号等,複数の入力を一時的に格納するマル
チプレクサ210と,後記するコンピュータ110から
の制御信号に応じて送信路を閉鎖するミュート制御21
1と,上記音声信号に含まれる背景雑音を除去するため
の高域通過フィルタ212と,高域フィルタ212を通
過した上記音声信号に,コンピュータ110からの制御
信号に応じて減衰を与えるプログラマブル減衰器213
(受話状態設定手段に相当)と,高域フィルタ212か
ら出力された音声信号の包絡線を検出する包絡線検出器
214と,プログラマブル減衰器213で発生したスイ
ッチングノイズを減衰させると共に,線路101への出
力波形を整形する低域通過フィルタ215と,包絡線検
出器214からの出力を対数増幅する対数増幅検出器2
16とを具備する。
【0005】また,上記拡声通話装置100の受信部3
00は,機能的に送信部200と同じ回路が含まれ,線
路102を通じて受信された音声信号等,複数の入力を
一時的に格納するためのマルチプレクサ310と,コン
ピュータ110からの制御信号に応じて受信路を閉鎖す
るミュート制御311と,上記音声信号に含まれる背景
雑音を除去するための高域通過フィルタ312と,高域
フィルタ312を通過した上記音声信号に,コンピュー
タ110からの制御信号に応じて減衰を与えるプログラ
マブル減衰器313(送話状態設定手段に相当)と,高
域フィルタ312から出力された音声信号の包絡線を検
出する包絡線検出器314と,プログラマブル減衰器3
13で発生したスイッチングノイズを減衰させると共
に,スピーカ112への出力波形を整形する低域通過フ
ィルタ315と,包絡線検出器314からの出力を対数
増幅する対数増幅検出器216とを具備する。また,上
記コンピュータ110(状態切換手段に相当)は,各対
数増幅器216,316からの信号をマルチプレクサ1
17,A/D変換器115を介して受け取り,ミュート
制御211,311,及びプログマラブル減衰器21
3,313を制御する手段である。また,上記コンピュ
ータ110は,較正回路113にも接続されている。較
正回路113は,マルチプレクサ210及び310に所
定の較正音を入力して,システムの特性を推定するのに
用いられる。
【0006】以下,上記拡声通話装置の動作について,
受話状態から送話状態に切り換わる送話割り込みを例に
説明する。ここで,図8は送話割り込み動作を説明する
フローチャートである。図8に示すように,上記拡声通
話装置が受話状態にある場合(S1001),先ず,マ
イク111から入力された送話信号TX-Sが,予測送話信
号TX-Eを所定のしきい値Th倍上回るか否かの判定が行わ
れる(S1002)。ここで言う予測送話信号TX-Eと
は,受話信号RX-Sがスピーカ112からマイク111に
結合することで生じる送話信号を予測した信号である。
即ち,この工程S1002が設けられるのは,音響エコ
ーの影響により,近端話者が喋ってもいないのに,スピ
ーカ112から出力された受話信号RX-Sによって,装置
が自己切換えを起こさないようにするためである。工程
S1002において,送話信号TX-Sが予測送話信号TX-E
を上回ると,工程S1003に移行し,送話信号TX-Sが
送話雑音TX-Nを所定のしきい値Th倍上回るか否かの判定
が行われる。ここでの判定は,送話信号TX-Sが音声信号
であるか雑音信号であるかを判別するために設けられて
いる。工程S1003において,送話信号TX-Sが音声信
号であることが確認されて,はじめて送話信号TX-Sが受
話信号RX-Sを所定のしきい値Th倍だけ上回るか否かの比
較が行われる(S1004)。そして,工程1004に
おいて,送話信号TX-Sが受話信号RX-Sを上回ると,留保
タイマーを初期化した後(S1005),送話状態に移
行する(S1006)。このように上記拡声通話装置で
は,送話信号TX-Sを予測送話信号TX-Eと比較することに
より,音響エコーによる誤切換えを防止している。尚,
回線エコーによる誤切換え防止は,上記音響エコーの場
合と裏表の関係にあり,実質的に等価であるのでその説
明を省略する。
【0007】ところで,上記予測送話信号TX-Eや工程S
1004の判定に用いられるしきい値は,較正回路11
3が実際に発する較正音を用いて決定されるものであ
る。より具体的には,較正回路113が,例えば300
〜3.4kHz程度の範囲にある可聴周波数の信号を規
則的にスピーカーから周辺環境へ発して,その時に測定
された音響応答を基に音響エコー信号の最大振幅や残響
の持続時間等を求め,これによって上記予測送話信号TX
-Eやしきい値が決定される。この較正音は,送信路及び
受信路に音声信号が検出されない時に送出され,環境の
変化にある対応して上記予測送話信号TX-Eやしきい値を
変更することができる。このため,周辺環境での反響が
少なく音響状態が良好な場合,若しくは回線状態が良好
な場合には,音響エコーや回線エコーに応じて設定され
る割り込みしきい値を下げて,全2重に近い通信を行う
ことができる。
【0008】一方,エコーキャンセラに関する技術は,
例えば特開昭61−258554号公報に開示されてい
る。ここで,図9は上記文献に開示されたエコーキャン
セラの概略構成を示す図である。図9に示すように,上
記エコーキャンセラは,回線から受信された受話信号X
Rを時系列に記憶するXRメモリ906と,スピーカ9
02からマイク901に回り込んだ音響エコー特性の推
定値Aを記憶するAメモリ907と,受話信号XRと上
記推定値Aとの畳込み演算を行う演算回路908と,音
響エコー信号から上記演算回路908の出力を差し引く
ことにより音響エコー信号を抑圧する減算回路909
と,送話信号XTを時系列に記憶するXTメモリ910
と,回線エコー特性の推定値Hを記憶するHメモリ91
1と,送話信号XTと上記推定値Hとの畳込み演算を行
う演算回路912と,回線エコー信号から上記演算回路
912の出力を差し引くことにより回線エコー信号を抑
圧する減算回路913と,XRメモリ906若しくはX
Tメモリ910に記憶された受話信号XR若しくは送話
信号XTと減算回路909若しくは913の出力とに基
づいて,Aメモリ907若しくはHメモリ911内に記
憶された推定値A若しくはHを逐次修正するための修正
係数を求める適応制御回路914と,適応制御回路91
4で求められた修正係数を加算して推定値Aを逐次修正
する加算回路915と,適応制御回路914で求められ
た修正係数を加算して推定値Aを逐次修正する加算回路
916と,適応制御回路914の入出力信号を選択する
ためのスイッチ917,918,919と,送話信号及
び受話信号の音声信号を検出し,スイッチ917,91
8,919を制御する信号検出回路920(音声信号検
出手段に相当)とを具備する。
【0009】上記エコーキャンセラは,通常,音響エコ
ー除去用適応制御回路と回線エコー除去用適応制御回路
との2つの回路で分けられる処理を,信号検出回路92
0及びスイッチ917,918,919によりその入出
力が制御される単一の適応制御回路914により行い,
ハードウェア構成の簡略化を図ったものであるが,音響
エコー除去と回線エコー除去とは基本的に同じ処理であ
るので,以下では,音響エコー除去についてのみ言及
し,回線エコー除去については必要がない限り省略す
る。
【0010】上記エコーキャンセラにおいて,信号検出
回路920により受話信号XRのみに音声信号が検出さ
れると,上記エコーキャンセラの適応学習が行われる。
即ち,適応制御回路914で求められた修正係数Δan
によりAメモリ7に記憶されたインパルス応答の推定値
列an が逐次修正される。この修正には,例えば学習同
定法が用いられる。下記(1)式は,学習同定法による
修正を具体的に示したものである。
【数1】 尚,上記適応学習が,受話信号のみ音声信号が検出され
た時に行われるのは,近端話者が発声する音声信号が本
来音響エコー特性とは無関係なものであるので,音響エ
コー信号と共に上記近端話者の発した音声信号が,エコ
ーキャンセラに入力されると,上記近端話者の発した音
声信号が外乱となって,エコーキャンセラの学習を妨げ
るためである。このように,上記エコーキャンセラを有
する拡声通話装置では,学習同定法を用いて適応フィル
タのインパルス応答を逐次修正することにより,時間の
経過にしたがってエコーをより精度よく除去することが
できる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで,上記ボイス
スイッチ方式及びエコーキャンセラ方式の2方式を併用
すれば,ボイススイッチの減衰器によりエコーが減衰さ
れると共に,エコーキャンセラの適応フィルタにより,
ある程度エコーが除去されるため,全2重に近く,より
エコーの影響を受けないシステムを提供できる可能性が
ある。問題は上記ボイススイッチ方式における,送受話
切換えのためのしきい値の設定である。上記ボイススイ
ッチ方式では,上述したように,較正回路113から発
せられる較正音によりシステムの特性を直接的に測定
し,上記しきい値をエコーに合わせて調整することがで
きるが,上記エコーキャンセラ方式と併用した場合,適
応フィルタの学習度合いに応じてシステムに残るエコー
の量が時々刻々と変化するため,特定の期間でしか較正
されないしきい値では,調整が無駄になり,ひいては誤
切換えの原因となる。本発明は,このような従来の技術
における課題を解決するために,拡声通話装置を改良
し,適応フィルタが学習するに際し,過去に参照した信
号に基づいて上記適応フィルタの性能変化を推定して,
ボイススイッチ方式とエコーキャンセラ方式とを併用し
た全2重に近い通信を安定して行うことのできる拡声通
話装置を提供すること目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に,第1の発明は,マイクから入力された送話信号を回
線へ送信する途中で減衰させる受話状態を設定する受話
状態設定手段と,回線から受信される受話信号をスピー
カから出力する途中で減衰させる送話状態を設定する送
話状態設定手段と,上記受話信号がスピーカからマイク
に回り込んで生じる音響エコーに対して設定された所定
の音響エコー閾値に基づいて上記送話信号と受話信号と
の大小関係を判定し,上記送話状態と受話状態とを切り
換える状態切換手段と,上記送話信号及び受話信号から
音声信号を検出する音声信号検出手段と,上記音声信号
検出手段により上記受話信号のみに音声信号が検出され
た時の音響エコーに基づいてその応答を変化させ,上記
音響エコーの特性を逐次推定する適応フィルタを有し,
上記適応フィルタに上記受話信号を入力して得た擬似音
響エコー信号を上記送話信号から差し引く音響エコー除
去手段とを具備してなる拡声通話装置において,過去に
スピーカから出力された受話信号の履歴に基づいて上記
音響エコー除去手段により除去されずに残った残存音響
エコー信号を見積もる残存音響エコー見積手段と,上記
残存音響エコー見積手段により見積もられた上記残存音
響エコー信号に応じて上記状態切換手段の音響エコー閾
値を変化させる音響エコー閾値変更手段とを具備してな
ることを特徴とする拡声通話装置として構成されてい
る。上記第1の発明に係る拡声通話装置では,過去にス
ピーカから出力された受話信号に基づいて上記残存音響
エコー信号を見積もり,送話状態と受話状態とを切り換
えるための上記音響エコー閾値を,見積もった残存音響
エコー信号に応じて変化させることができるので,音響
エコー除去手段と送受話状態設定手段とを協調させて,
従来より送受話切換え性能の向上した快適な双方向通信
システムを実現することができる。
【0013】上記拡声通話装置において,上記残存音響
エコー信号は,例えば上記音声信号検出手段により上記
受話信号のみに音声信号が検出された時の受話信号のパ
ワーを積算して得た受話信号パワー積算値に基づいて見
積もることができる。また,上記音声信号検出手段によ
り上記受話信号のみに音声信号が検出された時の受話信
号の検出時間を積算して得た受話信号検出積算値に基づ
いて上記残存音響エコー信号を見積もることもできる。
上記受話信号のパワーや受話信号の検出された時間の積
算値に基づくという簡易な処理により,上記音響エコー
閾値を変化させるための演算量が軽減され,従来と較べ
て安価で消費電力の少ないシステムを提供することがで
きる。
【0014】また,第2の発明は,マイクから入力され
た送話信号を回線へ送信する途中で減衰させる受話状態
を設定する受話状態設定手段と,回線から受信される受
話信号をスピーカから出力する途中で減衰させる送話状
態を設定する送話状態設定手段と,上記送話信号が上記
回線送信側から回線受信側へ回り込んで生じる回線エコ
ーに対して設定された所定の回線エコー閾値に基づいて
上記送話信号と受話信号との大小関係を判定し,上記送
話状態と受話状態とを切り換える状態切換手段と,上記
送話信号及び受話信号から音声信号を検出する音声信号
検出手段と,上記音声信号検出手段により上記送話信号
のみに音声信号が検出された時の回線エコーに基づいて
その応答を変化させ,上記回線エコーの特性を逐次推定
する適応フィルタを有し,上記適応フィルタに上記送話
信号を入力して得た擬似回線エコー信号を上記受話信号
から差し引く回線エコー除去手段とを具備してなる拡声
通話装置において,過去にマイクから回線に出力された
送話信号の履歴に基づいて上記回線エコー除去手段によ
り除去されずに残った残存回線エコー信号を見積もる残
存回線エコー見積手段と,上記残存回線エコー見積手段
により見積もられた上記残存回線エコー信号に応じて上
記状態切換手段の回線エコー閾値を変化させる回線エコ
ー閾値変更手段とを具備してなることを特徴とする拡声
通話装置として構成されている。上記第2の発明に係る
拡声通話装置では,過去にマイクから回線に出力された
送話信号に基づいて上記残存回線エコー信号を見積も
り,送話状態と受話状態とを切り換えるための上記回線
エコー閾値を,見積もった残存回線エコー信号に応じて
変化させることができるので,回線エコー除去手段と送
受話状態設定手段とを協調させて,従来より送受話切換
え性能の向上した快適な双方向通信システムを実現する
ことができる。
【0015】上記拡声通話装置において,上記残存回線
エコー信号は,例えば上記音声信号検出手段により上記
送話信号のみに音声信号が検出された時の送話信号のパ
ワーを積算して得た送話信号パワー積算値に基づいて見
積もることができる。また,上記音声信号検出手段によ
り上記送話信号のみに音声信号が検出された時の送話信
号の検出時間を積算して得た送話信号検出積算値に基づ
いて上記残存回線エコー信号を見積もることもできる。
上記送話信号のパワーや送話信号の検出された時間の積
算値に基づくという簡易な処理により,上記回線エコー
閾値を変化させるための演算量が軽減され,従来と較べ
て安価で消費電力の少ないシステムを提供することがで
きる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下,添付図面を参照して本発明
の実施の形態につき説明し,本発明の理解に供する。
尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であ
って,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではな
い。ここで,図1は本発明の一実施の形態に係る拡声通
話装置の概略構成を示す図,図2は上記拡声通話装置の
動作を説明するためのフローチャート,図3は上記拡声
装置に係るエコーキャンセラの時間的な性能変化を示す
図,図4は信号パワーを用いたしきい値調整の様子を時
系列に示した図である。
【0017】図1に示すように,本実施の形態に係る拡
声通話装置は,ボイススイッチ部VSに,マイク1から
入力された送話信号TSを例えば2線4線変換器に接続
された一般回線SPへ送信する途中で減衰させる受話状
態を設定する受話状態設定手段2と,回線SPから受信
される受話信号RSをスピーカ3に出力する途中で減衰
させる送話状態を設定する送話状態設定手段4と,送話
信号TS及び受話信号RSの信号レベルを検出する信号
レベル検出器5と,送話信号TSが回線送信側20から
回線受信側21へ回り込んで生じる回線エコーに対して
設定された所定の回線エコー閾GRSに基づいて受話信
号RSと送話信号TSとの大小関係を判定する回線エコ
ー送受話判定手段6と,受話信号RSがスピーカ3から
マイク1に回り込んで生じる音響エコーに対して設定さ
れた所定の音響エコー閾値GTSに基づいて,送話信号
TSと受話信号RSとの大小関係を判定する音響エコー
送受話判定手段7と,送話信号TS及び受話信号RSか
ら音声信号を検出する音声信号検出手段8と,送話優先
モード時には回線エコー送受話判定手段6により送話信
号TSが受話信号RSより大きい又は小さいと判定され
た場合に送話状態設定手段4又は受話状態設定手段2に
より送信状態又は受話状態を設定し,さらに音声信号検
出手段8により送話信号TS又は受話信号RSから音声
信号が検出された場合には送話状態又は受話状態を維持
し,雑音信号であると判定された場合には,受話状態設
定手段2及び送話状態設定手段4における減衰量を中間
状態に移行させる第1の送受話状態切換手段9(状態切
換手段に相当)と,受話優先モード時には音響エコー送
受話判定手段7により受話信号RSが送話信号TSより
大きい又は小さいと判定された場合に受話状態設定手段
2又は送信状態設定手段4により受信状態又は送話状態
を設定し,さらに音声信号検出手段8により受話信号R
S又は送話信号TSから音声信号が検出された場合には
上記受話状態又は送話状態を維持し,雑音信号であると
判定された場合には,受話状態設定手段2及び送話状態
設定手段4における減衰量を中間状態に移行させる第2
の送受話状態切換手段10(状態切換手段に相当)とを
具備し,上記第1の送受話状態切換手段9で,回線エコ
ー送受話判定手段6により送話信号TSが受話信号RS
より小さいと判定されて上記受話状態若しくは中間状態
に設定された場合には,次の処理を上記第2の送受話状
態切換手段11に移行させ,第2の送受話状態切換手段
11で,音響エコー送受話判定手段7により受話信号R
Sが送話信号TSより小さいと判定されて上記送話状態
若しくは中間状態に設定された場合には,次の処理を第
1の送受話状態切換手段9に移行させる処理移行手段1
1とを具備し,回線エコー閾値GRS及び音響エコー閾
値GTSを,後記する回線エコー閾値変更手段17及び
音響エコー閾値変更手段15により変更可能である。さ
らに,上記拡声通話装置は,ボイススイッチ部VSに,
予め設定された送話側利得Gt及びGrに基づきシステ
ムの利得の影響を取り除いた上で送話信号TS若しくは
受話信号RSの有無を調べる送受話判定手段18を具備
する。
【0018】また,上記拡声通話装置は,音声信号検出
手段8により受話信号RS又は送話信号TSのみに音声
信号が検出された時の音響エコー又は回線エコーに基づ
いてその応答を変化させ,音響エコー又は回線エコーの
特性を逐次推定する適応フィルタ12(12a,12
b)を有し,適応フィルタ12(12a,12b)に受
話信号RS又は送話信号TSを入力して得た擬似音響又
は回線エコー信号を送話信号TS又は受話信号RSから
差し引く音響又は回線エコーキャンセラ部13a又は1
3b(音響又は回線エコー除去手段に相当)を具備す
る。そして,上記拡声通話装置は,ボイススイッチ部V
Sと,音響エコーキャンセラ部13a及び回線エコーキ
ャンセラ部13bとを協調させるために,過去にスピー
カから出力された受話信号RSの履歴に基づいて音響エ
コーキャンセラ部13aにより除去されずに残った残存
音響エコー信号を見積もる残存音響エコー見積手段14
と,残存音響エコー見積手段14により見積もられた上
記残存音響エコー信号に応じて音響エコー送受話判定手
段7の音響エコー閾値GTSを変化させる音響エコー閾
値変更手段15と,過去にマイクから回線に出力された
送話信号TSの履歴に基づいて回線エコーキャンセラ部
13bにより除去されずに残った残存回線エコー信号を
見積もる残存回線エコー見積手段16と,残存回線エコ
ー見積手段16により見積もられた上記残存回線エコー
信号に応じて回線エコー送受話判定手段6の回線エコー
閾値GRSを変化させる回線エコー閾値変更手段17と
を具備してなることを特徴とする。
【0019】以下,図2を参照して,上記拡声通話装置
の送受話切換え動作及び閾値の変更について説明する。
尚,以下では,受話状態設定手段2の減衰量が0で送話
状態設定手段4の減衰量が最大の場合を送話状態,受話
状態設定手段2の減衰量が上記最大値の半値で送話状態
設定手段4の減衰量が上記最大値の半値の場合を送話待
ち状態,受話状態設定手段2の減衰量が最大で送話状態
設定手段4の減衰量が0の場合を受話状態,受話状態設
定手段2の減衰量が上記最大値の半値で送話状態設定手
段4の減衰量が上記最大値の半値の場合を受話待ち状態
と称する。さらに,上記送話状態及び送話待ち状態を合
わせて送話優先,上記受話状態及び受話待ち状態を合わ
せて受話優先と称する。
【0020】装置の電源がオンされ,一般回線に上記拡
声通話装置が接続された場合,上記拡声通話装置は,通
常受話優先に設定されるが,ここでは,送話優先状態で
の切換え動作,即ち第1の送受話状態切換手段9の動作
について最初に説明する。先ず,第1の送受話状態切換
手段9において,モードの設定の確認が行われる(S1
01)。次に,回線エコー閾値GRSに基づいて,回線
エコー送受話判定手段6により送話信号TSと受話信号
RSとの信号レベルの比較判定が行われ(S102),
送話信号TSが受話信号RSよりも大きければ工程S1
03に,小さければ工程S104に移行する。ところ
で,工程S102では,遠端話者の音声がハッキリと回
線エコーを上回らない限り,送話優先処理が続行される
ことを示している。このため,ボイススイッチ部VSで
は,送話優先で近端話者が暫く黙り込むような状況があ
っても,送話優先処理が維持される。
【0021】工程S103において送話優先のフラグが
あらためて設定され,次に音声信号検出手段8により送
話信号TSの音声信号の検出が行われる(S105)。
音声信号検出手段8による検出は,例えば送話信号TS
が雑音信号閾値よりも大きい場合は音声信号,小さい場
合は雑音信号として行われる。工程S105において,
送話信号TSが音声信号であると判定された場合,受話
状態設定手段2及び送話状態設定手段4は送話状態に設
定される(S106)。また,工程S102及び工程S
105の判定により,送話信号TSのみに音声信号の検
出が確認されている状態では,残存回線エコー見積手段
16により回線エコーキャンセラ13bにより除去され
ずに残った残存回線エコー信号が見積もられる(S10
7)。
【0022】ここで,図3及び図4を基に,エコーキャ
ンセラで用いられる適応フィルタ12の性能が,適応フ
ィルタ12の適応学習に参照された入力信号の特性によ
ってほぼ推定できることを示す。図3には,時間が経過
するにしたがって残存回線エコー信号は低下していく様
子が示されている。一方,図4(a)には,適応学習の
際に適応フィルタ12が参照した入力信号の信号パワー
が,図4(b)には該送信信号TSの信号パワーの時間
積分値が示されている。また,図3及び図4(b)か
ら,参照した入力信号のパワーの積算値が多くなるほ
ど,適応フィルタ12の学習の度合いが上昇しているの
が理解できる。この入力信号は,例えば送話信号TSの
みに音声信号が検出されている時の送話信号を用いれば
よいから,特別な測定手段を必要としない。そこで,残
存回線エコー見積手段16により入力信号(ここでは,
送話信号TS)のパワーの積算値が大きくなるにつれ
て,その出力が小さくなるような演算を施す。この結果
を時系列に示したのが図4(c)である。図3に示され
た実際の残存回線エコー量と,図4(c)に示された残
存回線エコーの見積もりとは,その傾向において一致お
り,回線エコー閾値を修正するのに用いるには十分な程
度である。そして,残存回線エコー見積手段16により
見積もられた残存回線エコー信号に応じて,回線エコー
閾値変更手段17により回線エコー閾値GRSが図4
(d)に示されるように変更される(S108)。この
ように,適応フィルタ12が学習時に参照した過去の入
力信号を基に簡単にエコーキャンセラの性能変化を推定
することができる。また,推定に際し,較正を行うため
の特別な測定手段を必要としない。
【0023】また,工程S104において,送話信号T
Sが雑音信号であると判定された場合,受話状態設定手
段2及び送話状態設定手段4は中間状態に設定される
(S109)。工程S106及び工程S109の終了後
判定処理を続行する場合,上記工程S101に戻る。
【0024】一方,工程S102において送話信号TS
が受話信号RSよりも小さいと判定された場合,送受話
判定手段18により送話信号TSと受話信号RSとの比
較が送話側利得Gtと受話側利得Grとに基づいて行わ
れる(S104)この工程S104では,システムの利
得を取り除いて,受話の可能性を調べている。ここで,
送話側の方が大きければ,工程S103に戻って送話音
声の有無が,受話側の方が大きければ,工程S110に
おいて受話優先にフラグが設定され,次の工程S111
において受話音声の有無が調べられる。工程S111で
は,音声信号検出手段8により受話信号RSの音声信号
の検出が行われる。この音声信号検出手段8の判定は,
送話信号TSの場合と同様,受話信号RSが雑音信号閾
値よりも大きいか小さいかによって判定される。工程S
111において,受話信号RSが音声信号であると判定
された場合,受話状態設定手段2及び送話状態設定手段
4は受話状態に設定される(S112)。また,回線エ
コー閾値の変更の場合と同様,工程S113及びS11
4により音響エコー閾値の変更が行われる。また,送話
信号TSが雑音信号であると判定された場合,受話状態
設定手段2及び送話状態設定手段4は中間状態に設定さ
れる(S115)。そして,工程S112及び工程S1
15終了後判定処理を続行する場合,工程S101に戻
る。ここで,工程S101に戻るに際し,音響エコー閾
値若しくは回線エコー閾値がエコーキャンセラの性能向
上に伴って,低く設定されるので,上記拡声通話装置で
は,ボイススイッチ部VSにより全2重に近い通信を行
うことも可能となる。
【0025】上記第1の送受話状態切換手段9における
判定処理において,受話優先にフラグが設定された場
合,処理移行手段11により第1の送受話状態切換手段
9から第2の送受話状態切換手段10に判定処理が移行
される。尚,第1の送受話状態切換手段9と第2の送受
話状態切換手段10とが行う判定処理は裏表の関係にあ
り,実質的に等価である。遠端話者が発声する等して送
話優先から受話優先にモードが移行すると,先ず音響エ
コー送受話判定手段7により,音響エコー閾値GTSに
基づいて受話信号RSと送話信号TSとの大小関係の判
定が行われる(S202)。そして工程S202におい
て受話信号RSが送話信号TSよりも大きいと判定され
た場合には工程S203に,小さいと判定された場合に
はS204に移行する。ところで,工程S202では,
近端話者の音声がハッキリと音響エコーを上回らない限
り,受話優先処理が続行されることを示している。この
ため,上記音声切換装置では,受話優先で遠端話者が暫
く黙り込むような状況があっても,受話優先処理が維持
される。工程S203ではあらためて受話優先のフラグ
が設定される。この工程では,処理続行の場合,第2の
送受話状態切換手段10により判定処理が行われること
が規定される。
【0026】次に,音声信号検出手段8により受話信号
RSに音声信号があるかないかの判定が行われる(S2
05)。そして工程S205において,受話信号RSが
音声信号であると判定された場合には,受話状態設定手
段2及び送話状態設定手段4は受話状態に設定される
(S206)。また,上記の場合と同様,工程S207
及び工程S208により音響エコー閾値の変更が行われ
る。また,受話信号RSが雑音信号であると判定された
場合には,受話状態設定手段2及び送話状態4は中間状
態に設定される(S209)。工程S206若しくは工
程S209における状態設定終了後,処理の続行が行わ
れる場合には,工程S101に戻る。一方,工程S20
2において受話信号RSが送話信号TSよりも小さいと
判定された場合,送受話判定手段18により送話信号T
Sと受話信号RSとの比較が送話側利得Gtと受話側利
得Grとに基づいて行われる(S204)。この工程S
204では,システムの利得を取り除いて,送話の可能
性を調べている。ここで,受話側の方が大きければ,工
程S203に戻って受話音声の有無が,送話側の方が大
きければ,工程S210においてフラグが受話優先から
送話優先に切り換えられ,次の工程S211において送
話音声の有無が調べられる。尚,工程S210では,次
の処理判定が第1の送受話状態切換手段9に移行するこ
とが規定される。
【0027】工程S211では,音声信号検出手段8に
より送話信号TSに音声信号があるか雑音信号があるか
の判定が行われる。工程S211における判定が音声信
号である場合,受話状態設定手段2及び送話状態設定手
段4は送話状態に設定される(S212)。また,上記
の場合と同様,工程S213及びS214により回線エ
コー閾値が変更される。また,送話信号TSが雑音信号
である場合,受話状態設定手段2及び送話状態設定手段
4は中間状態に設定される(S215)。工程S212
若しくは工程S215における状態設定終了後,処理の
続行が行われる場合には,工程S101に戻る。ここ
で,工程S101に戻るに際し,音響エコー閾値若しく
は回線エコー閾値がエコーキャンセラの性能向上に伴っ
て,低く設定されるので,上記拡声通話装置では,ボイ
ススイッチ部VSにより全2重に近い通信を行うことも
可能となる。このように,上記拡声通話装置では,適応
フィルタ12が学習時に参照した入力信号のパワーの積
算値からエコーキャンセラの性能変化を推定することが
できるから,エコーキャンセラとボイススイッチとを協
調させて,従来より送受話切換え性能の向上した快適な
双方向通信システムを実現することができる。また,上
記エコーキャセンラの性能変化の推定は簡単な演算処理
により行われるので,安価で消費電力の少ない装置を実
現することができる。また,しきい値の変更は,通話中
に時間と共に変わるエコーキャンセラの性能に対応して
行われるので,不快な較正音を用いる必要がない。
【0028】
【実施例】上記実施の形態に係る拡声通話装置では,音
響エコー閾値を変更することのできる拡声通話装置(第
1の発明に相当)と,回線エコー閾値を変更することの
できる拡声通話装置(第2の発明に相当)とが一体とな
って作動していたが,例えばマイク1とスピーカ3との
距離が離れていて音響エコーが無視できる場合や,近距
離通話でしかも2線式回線で直接接続されたような回線
エコーが無視できる場合には,音響エコー閾値を変更す
ることのできる拡声通話装置と,回線エコー閾値を変更
することのできる拡声通話装置とを独立して使用するこ
と可能である。この場合,音響エコー若しくは回線エコ
ーのどちらかについて,閾値修正処理を行えばよいの
で,さらに低コスト化をさらに進めることができる。こ
のような拡声通話装置も本発明における拡声通話装置の
一例である。また,上記実施の形態では,適応フィルタ
12の性能変化を,過去の入力信号のパワーの積算値を
用いて推定したが,図5に示すように,音声信号が検出
された時間の積算値を基に上記推定を行ってもよい。
尚,信号のパワーが一定であると想定した時が,時間の
積算値による推定に相当する。時間の積算値により推定
を行う場合さらに演算量が軽減される。このような拡声
通話装置も本発明における拡声通話装置の一例である。
【0029】
【発明の効果】上記のように,第1の発明は,マイクか
ら入力された送話信号を回線へ送信する途中で減衰させ
る受話状態を設定する受話状態設定手段と,回線から受
信される受話信号をスピーカから出力する途中で減衰さ
せる送話状態を設定する送話状態設定手段と,上記受話
信号がスピーカからマイクに回り込んで生じる音響エコ
ーに対して設定された所定の音響エコー閾値に基づいて
上記送話信号と受話信号との大小関係を判定し,上記送
話状態と受話状態とを切り換える状態切換手段と,上記
送話信号及び受話信号から音声信号を検出する音声信号
検出手段と,上記音声信号検出手段により上記受話信号
のみに音声信号が検出された時の音響エコーに基づいて
その応答を変化させ,上記音響エコーの特性を逐次推定
する適応フィルタを有し,上記適応フィルタに上記受話
信号を入力して得た擬似音響エコー信号を上記送話信号
から差し引く音響エコー除去手段とを具備してなる拡声
通話装置において,過去にスピーカから出力された受話
信号の履歴に基づいて上記音響エコー除去手段により除
去されずに残った残存音響エコー信号を見積もる残存音
響エコー見積手段と,上記残存音響エコー見積手段によ
り見積もられた上記残存音響エコー信号に応じて上記状
態切換手段の音響エコー閾値を変化させる音響エコー閾
値変更手段とを具備してなることを特徴とする拡声通話
装置として構成されている。上記第1の発明に係る拡声
通話装置では,過去にスピーカから出力された受話信号
に基づいて上記残存音響エコー信号を見積もり,送話状
態と受話状態とを切り換えるための上記音響エコー閾値
を,見積もった残存音響エコー信号に応じて変化させる
ことができるので,音響エコー除去手段と送受話状態設
定手段とを協調させて,従来より送受話切換え性能の向
上した快適な双方向通信システムを実現することができ
る。
【0030】上記拡声通話装置において,上記残存音響
エコー信号は,例えば上記音声信号検出手段により上記
受話信号のみに音声信号が検出された時の受話信号のパ
ワーを積算して得た受話信号パワー積算値に基づいて見
積もることができる。また,上記音声信号検出手段によ
り上記受話信号のみに音声信号が検出された時の受話信
号の検出時間を積算して得た受話信号検出積算値に基づ
いて上記残存音響エコー信号を見積もることもできる。
上記受話信号のパワーや受話信号の検出された時間の積
算値に基づくという簡易な処理により,上記音響エコー
閾値を変化させるための演算量が軽減され,従来と較べ
て安価で消費電力の少ないシステムを提供することがで
きる。
【0031】また,第2の発明は,マイクから入力され
た送話信号を回線へ送信する途中で減衰させる受話状態
を設定する受話状態設定手段と,回線から受信される受
話信号をスピーカから出力する途中で減衰させる送話状
態を設定する送話状態設定手段と,上記送話信号が上記
回線送信側から回線受信側へ回り込んで生じる回線エコ
ーに対して設定された所定の回線エコー閾値に基づいて
上記送話信号と受話信号との大小関係を判定し,上記送
話状態と受話状態とを切り換える状態切換手段と,上記
送話信号及び受話信号から音声信号を検出する音声信号
検出手段と,上記音声信号検出手段により上記送話信号
のみに音声信号が検出された時の回線エコーに基づいて
その応答を変化させ,上記回線エコーの特性を逐次推定
する適応フィルタを有し,上記適応フィルタに上記送話
信号を入力して得た擬似回線エコー信号を上記受話信号
から差し引く回線エコー除去手段とを具備してなる拡声
通話装置において,過去にマイクから回線に出力された
送話信号の履歴に基づいて上記回線エコー除去手段によ
り除去されずに残った残存回線エコー信号を見積もる残
存回線エコー見積手段と,上記残存回線エコー見積手段
により見積もられた上記残存回線エコー信号に応じて上
記状態切換手段の回線エコー閾値を変化させる回線エコ
ー閾値変更手段とを具備してなることを特徴とする拡声
通話装置として構成されている。上記第2の発明に係る
拡声通話装置では,過去にマイクから回線に出力された
送話信号に基づいて上記残存回線エコー信号を見積も
り,送話状態と受話状態とを切り換えるための上記回線
エコー閾値を,見積もった残存回線エコー信号に応じて
変化させることができるので,回線エコー除去手段と送
受話状態設定手段とを協調させて,従来より送受話切換
え性能の向上した快適な双方向通信システムを実現する
ことができる。
【0032】上記拡声通話装置において,上記残存回線
エコー信号は,例えば上記音声信号検出手段により上記
送話信号のみに音声信号が検出された時の送話信号のパ
ワーを積算して得た送話信号パワー積算値に基づいて見
積もることができる。また,上記音声信号検出手段によ
り上記送話信号のみに音声信号が検出された時の送話信
号の検出時間を積算して得た送話信号検出積算値に基づ
いて上記残存回線エコー信号を見積もることもできる。
上記送話信号のパワーや送話信号の検出された時間の積
算値に基づくという簡易な処理により,上記回線エコー
閾値を変化させるための演算量が軽減され,従来と較べ
て安価で消費電力の少ないシステムを提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る拡声通話装置の
概略構成を示す図。
【図2】 上記拡声通話装置の動作を説明するフローチ
ャート。
【図3】 エコーキャンセラの性能変化を時系列に示す
図。
【図4】 入力信号のパワーの積算値による上記性能変
化の推定を説明するための図。
【図5】 音声信号検出時間の積算値による上記性能変
化の推定を説明するための図。
【図6】 エコー現象を簡単に説明する図。
【図7】 ボイススイッチ方式の従来の拡声通話装置の
概略構成を示す図。
【図8】 上記従来の拡声通話装置の動作を説明するフ
ローチャート。
【図9】 従来のエコーキャンセラを具備する拡声通話
装置の概略構成を示す図。
【符号の説明】
1…マイク 2…受話状態設定手段 3…スピーカ 4…送話状態設定手段 6…回線エコー送受話判定手段(回線エコー閾値) 7…音響エコー送受話判定手段(音響エコー閾値) 8…音声信号検出手段 9,10…送受話状態設定手段(状態切換手段) 12…適応フィルタ 13a,13b…エコー除去手段 14…残存音響エコー見積手段 15…音響エコー閾値変更手段 16…残存回線エコー見積手段 17…回線エコー閾値変更手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 哲也 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 中住 晃 大阪府大阪市中央区備後町4丁目1番3 号 株式会社神戸製鋼所 大阪支社内 (56)参考文献 特開 昭63−253760(JP,A) 特開 平4−273642(JP,A) 特開 昭62−299120(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 3/00 - 3/44

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マイクから入力された送話信号を回線へ送
    信する途中で減衰させる受話状態を設定する受話状態設
    定手段と,回線から受信される受話信号をスピーカから
    出力する途中で減衰させる送話状態を設定する送話状態
    設定手段と,上記受話信号がスピーカからマイクに回り
    込んで生じる音響エコーに対して設定された所定の音響
    エコー閾値に基づいて上記送話信号と受話信号との大小
    関係を判定し,上記送話状態と受話状態とを切り換える
    状態切換手段と,上記送話信号及び受話信号から音声信
    号を検出する音声信号検出手段と,上記音声信号検出手
    段により上記受話信号のみに音声信号が検出された時の
    音響エコーに基づいてその応答を変化させ,上記音響エ
    コーの特性を逐次推定する適応フィルタを有し,上記適
    応フィルタに上記受話信号を入力して得た擬似音響エコ
    ー信号を上記送話信号から差し引く音響エコー除去手段
    とを具備してなる拡声通話装置において,過去にスピー
    カから出力された受話信号の履歴に基づいて上記音響エ
    コー除去手段により除去されずに残った残存音響エコー
    信号を見積もる残存音響エコー見積手段と,上記残存音
    響エコー見積手段により見積もられた上記残存音響エコ
    ー信号に応じて上記状態切換手段の音響エコー閾値を変
    化させる音響エコー閾値変更手段とを具備してなること
    を特徴とする拡声通話装置。
  2. 【請求項2】上記残存音響エコー見積手段が,上記音声
    信号検出手段により上記受話信号のみに音声信号が検出
    された時の受話信号のパワーを積算して得た受話信号パ
    ワー積算値に基づいて上記残存音響エコー信号を見積も
    る請求項1記載の拡声通話装置。
  3. 【請求項3】上記残存音響エコー見積手段が,上記音声
    信号検出手段により上記受話信号のみに音声信号が検出
    された時の受話信号の検出時間を積算して得た受話信号
    検出積算値に基づいて上記残存音響エコー信号を見積も
    る請求項1記載の拡声通話装置。
  4. 【請求項4】マイクから入力された送話信号を回線へ送
    信する途中で減衰させる受話状態を設定する受話状態設
    定手段と,回線から受信される受話信号をスピーカから
    出力する途中で減衰させる送話状態を設定する送話状態
    設定手段と,上記送話信号が上記回線送信側から回線受
    信側へ回り込んで生じる回線エコーに対して設定された
    所定の回線エコー閾値に基づいて上記送話信号と受話信
    号との大小関係を判定し,上記送話状態と受話状態とを
    切り換える状態切換手段と,上記送話信号及び受話信号
    から音声信号を検出する音声信号検出手段と,上記音声
    信号検出手段により上記送話信号のみに音声信号が検出
    された時の回線エコーに基づいてその応答を変化させ,
    上記回線エコーの特性を逐次推定する適応フィルタを有
    し,上記適応フィルタに上記送話信号を入力して得た擬
    似回線エコー信号を上記受話信号から差し引く回線エコ
    ー除去手段とを具備してなる拡声通話装置において,過
    去にマイクから回線に出力された送話信号の履歴に基づ
    いて上記回線エコー除去手段により除去されずに残った
    残存回線エコー信号を見積もる残存回線エコー見積手段
    と,上記残存回線エコー見積手段により見積もられた上
    記残存回線エコー信号に応じて上記状態切換手段の回線
    エコー閾値を変化させる回線エコー閾値変更手段とを具
    備してなることを特徴とする拡声通話装置。
  5. 【請求項5】上記残存回線エコー見積手段が,上記音声
    信号検出手段により上記送話信号のみに音声信号が検出
    された時の送話信号のパワーを積算して得た送話信号パ
    ワー積算値に基づいて上記残存回線エコー信号を見積も
    る請求項4記載の拡声通話装置。
  6. 【請求項6】上記残存回線エコー見積手段が,上記音声
    信号検出手段により上記送話信号のみに音声信号が検出
    された時の送話信号の検出時間を積算して得た送話信号
    検出積算値に基づいて上記残存回線エコー信号を見積も
    る請求項4記載の拡声通話装置。
JP34822896A 1996-12-26 1996-12-26 拡声通話装置 Expired - Fee Related JP3404236B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34822896A JP3404236B2 (ja) 1996-12-26 1996-12-26 拡声通話装置
US08/993,412 US6377679B1 (en) 1996-12-26 1997-12-18 Speakerphone

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34822896A JP3404236B2 (ja) 1996-12-26 1996-12-26 拡声通話装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10190533A JPH10190533A (ja) 1998-07-21
JP3404236B2 true JP3404236B2 (ja) 2003-05-06

Family

ID=18395612

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34822896A Expired - Fee Related JP3404236B2 (ja) 1996-12-26 1996-12-26 拡声通話装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3404236B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010035308A1 (ja) 2008-09-24 2010-04-01 三菱電機株式会社 エコー消去装置
JP5391118B2 (ja) * 2010-03-23 2014-01-15 アイホン株式会社 インターホンシステム

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10190533A (ja) 1998-07-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2538176B2 (ja) エコ―制御装置
US7203308B2 (en) Echo canceller ensuring further reduction in residual echo
EP0542882B1 (en) Residual echo elimination
JP4036542B2 (ja) エコーキャンセラ
US5390244A (en) Method and apparatus for periodic signal detection
US8116448B2 (en) Acoustic echo canceler
US5764753A (en) Half-duplex controller
JP2002501336A (ja) 通信システムにおけるエコー抑圧制御方法および装置
WO1999014868A1 (fr) Procede de suppression d'echo, annuleur d'echo et commutateur vocal
JP2008263336A (ja) エコーキャンセラおよびその残留エコー抑制方法
JP3597671B2 (ja) ハンズフリー電話機
JP4410819B2 (ja) エコーキャンセラ
EP1164712A1 (en) Sound communication device and echo processor
US6377679B1 (en) Speakerphone
US7319748B2 (en) Device and method for suppressing echo in telephones
JP3404236B2 (ja) 拡声通話装置
JP3408254B2 (ja) エコーキャンセラーにおける非線形信号処理方法
JP3220979B2 (ja) 音声スイッチ
JP2009218849A (ja) 音響エコー・キャンセル制御方法と装置。
JPH08256089A (ja) エコー打消装置
JP4900185B2 (ja) 拡声通話装置
JP4380688B2 (ja) 通話装置
JPH07121027B2 (ja) 拡声電話機
JP3392498B2 (ja) 通話障害防止装置
JP4292374B2 (ja) エコーキャンセラ装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090228

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100228

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees