JP3400646B2 - 抗菌性フィルター - Google Patents
抗菌性フィルターInfo
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- JP3400646B2 JP3400646B2 JP16474896A JP16474896A JP3400646B2 JP 3400646 B2 JP3400646 B2 JP 3400646B2 JP 16474896 A JP16474896 A JP 16474896A JP 16474896 A JP16474896 A JP 16474896A JP 3400646 B2 JP3400646 B2 JP 3400646B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗菌性を有するフィ
ルターに関し、さらに詳しくは、長期間にわたり安定し
て抗菌効果を発揮することができる抗菌性フィルターに
関する。
ルターに関し、さらに詳しくは、長期間にわたり安定し
て抗菌効果を発揮することができる抗菌性フィルターに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エアコン、空気清浄機、換気扇、
掃除機等には空気を清浄するための各種フィルターが設
けられている。このようなフィルターとして、例えば、
特公平7-14447号公報には、紙、不織布等に特定のリン
酸カルシウムを含ませたリン酸カルシウム系フィルター
が記載され、このフィルターによれば細菌、ウイルス等
を有効に捕捉できるとされている。
掃除機等には空気を清浄するための各種フィルターが設
けられている。このようなフィルターとして、例えば、
特公平7-14447号公報には、紙、不織布等に特定のリン
酸カルシウムを含ませたリン酸カルシウム系フィルター
が記載され、このフィルターによれば細菌、ウイルス等
を有効に捕捉できるとされている。
【0003】上記リン酸カルシウム系の抗菌性組成物と
しては、ハイドロキシアパタイト〔化学式:Ca10(P
O4)6(OH)2 〕に抗菌性金属又はその金属イオンを
担持させたものが最も多く使用されている。そのような
抗菌性組成物は、特開平2-180270号公報、特開平2-2731
65号公報、特開平3-47118号公報、特開平3-137298号公
報、特開平3-218765号公報、特開平4-13605号公報及び
特開平5-154号公報に開示されている。
しては、ハイドロキシアパタイト〔化学式:Ca10(P
O4)6(OH)2 〕に抗菌性金属又はその金属イオンを
担持させたものが最も多く使用されている。そのような
抗菌性組成物は、特開平2-180270号公報、特開平2-2731
65号公報、特開平3-47118号公報、特開平3-137298号公
報、特開平3-218765号公報、特開平4-13605号公報及び
特開平5-154号公報に開示されている。
【0004】これら公報記載の発明では、ハイドロキシ
アパタイトに抗菌性金属又はその金属イオンを吸着担持
させた後、 800℃以上で焼成することにより抗菌性金属
又はその金属イオンをハイドロキシアパタイトに結合さ
せ、アパタイト複合粒子としている。また、特開平3-90
007号公報及び特開平3-271209号公報記載の発明では、
ハイドロキシアパタイトスラリー中で抗菌性金属イオン
を吸着させてアパタイト複合粒子を作製している。
アパタイトに抗菌性金属又はその金属イオンを吸着担持
させた後、 800℃以上で焼成することにより抗菌性金属
又はその金属イオンをハイドロキシアパタイトに結合さ
せ、アパタイト複合粒子としている。また、特開平3-90
007号公報及び特開平3-271209号公報記載の発明では、
ハイドロキシアパタイトスラリー中で抗菌性金属イオン
を吸着させてアパタイト複合粒子を作製している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公平
7-14447号公報記載のフィルターでは、特定のリン酸カ
ルシウムを使用して細菌、ウイルス等を吸着して捕捉す
ることはできても、殺菌・抗菌することはできないの
で、フィルター上で菌が繁殖するおそれがある。したが
って、高い衛生管理を要求される医療現場や食品製品等
の製造現場で求められている「抗菌効果」は、上記フィ
ルターでは得られない。
7-14447号公報記載のフィルターでは、特定のリン酸カ
ルシウムを使用して細菌、ウイルス等を吸着して捕捉す
ることはできても、殺菌・抗菌することはできないの
で、フィルター上で菌が繁殖するおそれがある。したが
って、高い衛生管理を要求される医療現場や食品製品等
の製造現場で求められている「抗菌効果」は、上記フィ
ルターでは得られない。
【0006】加えて、特公平7-14447号における実施例
では、特定のリン酸カルシウムを紙、不織布等に含ませ
るために、水溶性であるポリビニルアルコールを接着剤
として使用するか、パルプスラリーと混合して抄紙して
いる。このような含有方法で紙、不織布等に含有せしめ
られた上記リン酸カルシウムは、空気中の水分、湿気に
よって容易に脱離し易いというという欠点があった。
では、特定のリン酸カルシウムを紙、不織布等に含ませ
るために、水溶性であるポリビニルアルコールを接着剤
として使用するか、パルプスラリーと混合して抄紙して
いる。このような含有方法で紙、不織布等に含有せしめ
られた上記リン酸カルシウムは、空気中の水分、湿気に
よって容易に脱離し易いというという欠点があった。
【0007】また、抗菌性金属又は金属イオンを吸着担
持したハイドロキシアパタイトの中でも特にスラリー中
に添加して得られたものは、水中で使用したり湿度の高
い環境で使用すると、抗菌性金属が溶出して抗菌性が劣
化するとともに、太陽光や蛍光灯の光が当たると黄色や
茶色等に変色するという問題を有している。
持したハイドロキシアパタイトの中でも特にスラリー中
に添加して得られたものは、水中で使用したり湿度の高
い環境で使用すると、抗菌性金属が溶出して抗菌性が劣
化するとともに、太陽光や蛍光灯の光が当たると黄色や
茶色等に変色するという問題を有している。
【0008】さらには、高温で処理したアパタイト複合
粒子は、抗菌性金属の溶出が防止されるものの抗菌力が
低下し、特に、抗菌性金属として安全性は高いが黄色ブ
ドウ球菌等に対する抗菌力の低い銀を用いた場合には、
抗菌効果に欠けるという問題を生ずる。従って、本発明
の課題は、抗菌性に優れるとともに変色のないフィルタ
ー、さらには、その抗菌性を有する物質が脱離し難いフ
ィルターを提供することである。
粒子は、抗菌性金属の溶出が防止されるものの抗菌力が
低下し、特に、抗菌性金属として安全性は高いが黄色ブ
ドウ球菌等に対する抗菌力の低い銀を用いた場合には、
抗菌効果に欠けるという問題を生ずる。従って、本発明
の課題は、抗菌性に優れるとともに変色のないフィルタ
ー、さらには、その抗菌性を有する物質が脱離し難いフ
ィルターを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明らは、塩素を含有する非晶質リン酸カル
シウムに抗菌性金属イオンを担持させた抗菌性粒子を基
材シートに含ませることにより、優れた抗菌性を有し、
なおかつ変色のないフィルターが得られること、及び水
溶性でない接着剤を用いて上記非晶質リン酸カルシウム
を基材シートに接着することにより、水中で使用した
り、湿度の高い環境で使用しても上記抗菌性粒子が基材
から脱離し難くなることを見出し、本発明を完成した。
の結果、本発明らは、塩素を含有する非晶質リン酸カル
シウムに抗菌性金属イオンを担持させた抗菌性粒子を基
材シートに含ませることにより、優れた抗菌性を有し、
なおかつ変色のないフィルターが得られること、及び水
溶性でない接着剤を用いて上記非晶質リン酸カルシウム
を基材シートに接着することにより、水中で使用した
り、湿度の高い環境で使用しても上記抗菌性粒子が基材
から脱離し難くなることを見出し、本発明を完成した。
【0010】即ち、本発明は、シート状に成形された基
材中に、抗菌性金属イオンを担持するとともに塩素を含
有する非晶質リン酸カルシウムを分散して含むことを特
徴とする抗菌性フィルターである。
材中に、抗菌性金属イオンを担持するとともに塩素を含
有する非晶質リン酸カルシウムを分散して含むことを特
徴とする抗菌性フィルターである。
【0011】また、本発明は、シート状に成形された基
材に、抗菌性金属イオンを担持するとともに塩素を含有
する非晶質リン酸カルシウムが接着剤を介して接着され
てなることを特徴とする抗菌性フィルターである。さら
には、上記接着剤が、硬化型樹脂及び/又は有機溶剤可
溶の天然系樹脂を含む接着剤であることを特徴とする上
記抗菌性フィルターである。
材に、抗菌性金属イオンを担持するとともに塩素を含有
する非晶質リン酸カルシウムが接着剤を介して接着され
てなることを特徴とする抗菌性フィルターである。さら
には、上記接着剤が、硬化型樹脂及び/又は有機溶剤可
溶の天然系樹脂を含む接着剤であることを特徴とする上
記抗菌性フィルターである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書で使用する「抗菌性粒子」とは、抗菌性
金属イオンを担持するとともに塩素を含有する非晶質リ
ン酸カルシウムを造粒したものを意味するものとする。
なお、本明細書で使用する「抗菌性粒子」とは、抗菌性
金属イオンを担持するとともに塩素を含有する非晶質リ
ン酸カルシウムを造粒したものを意味するものとする。
【0013】本発明で使用するシート状に成形された基
材は、一般的にフィルターとして使用できるもの、即
ち、空気や液体は通過させるが所望の粒子状物質は捕捉
し得るものであれば、いかなるものであってもよい。特
に好ましいものとしては、例えば、和紙、ワッテイング
紙等の紙、天然繊維、合成繊維等からなる織布や不織
布、連続気泡を有するポリウレタン発泡体等のプラスチ
ックフォーム等を挙げることができる。
材は、一般的にフィルターとして使用できるもの、即
ち、空気や液体は通過させるが所望の粒子状物質は捕捉
し得るものであれば、いかなるものであってもよい。特
に好ましいものとしては、例えば、和紙、ワッテイング
紙等の紙、天然繊維、合成繊維等からなる織布や不織
布、連続気泡を有するポリウレタン発泡体等のプラスチ
ックフォーム等を挙げることができる。
【0014】また、本発明で使用する非晶質リン酸カル
シウム(Amorphous Calcium Phosphate :以下、ACP
と略すことがある。)は、ACP粒子を含むスラリーか
ら調製される。そのようなスラリーは、撹拌下の水酸化
カルシウム懸濁液にリン酸水溶液を滴下し、pHを11〜
5に調整することにより得られる。このスラリーではA
CP粒子はほぼ均一に分散されているが、抗菌性粒子の
比表面積を大きくするには、ACP粒子の一次粒子の平
均粒径は0.1 μm以下であるのが好ましい。
シウム(Amorphous Calcium Phosphate :以下、ACP
と略すことがある。)は、ACP粒子を含むスラリーか
ら調製される。そのようなスラリーは、撹拌下の水酸化
カルシウム懸濁液にリン酸水溶液を滴下し、pHを11〜
5に調整することにより得られる。このスラリーではA
CP粒子はほぼ均一に分散されているが、抗菌性粒子の
比表面積を大きくするには、ACP粒子の一次粒子の平
均粒径は0.1 μm以下であるのが好ましい。
【0015】上記スラリーから得られる物質は、粉末X
線解析法による回析パターンからリン酸カルシウム
〔式:Ca3(PO4)2・nH2O〕であることが分かり、
また、そのパターンがブロードであることから、非晶質
なリン酸カルシウムであることが確認される。さらに、
上記ACP粒子は結晶水を含むことから、静電気的に活
性な物質であると思われ、種々の菌体やウイルスを吸着
し易くなっているものと想定される。
線解析法による回析パターンからリン酸カルシウム
〔式:Ca3(PO4)2・nH2O〕であることが分かり、
また、そのパターンがブロードであることから、非晶質
なリン酸カルシウムであることが確認される。さらに、
上記ACP粒子は結晶水を含むことから、静電気的に活
性な物質であると思われ、種々の菌体やウイルスを吸着
し易くなっているものと想定される。
【0016】本発明では、上記ACP粒子は塩素を含有
する。塩素を含有させることにより、抗菌性金属イオン
の変色を抑制することができる。ACP粒子に塩素を含
有させるには、上記スラリーに対して、無機塩化物、例
えば塩化アンモニウムを、水酸化カルシウム量に対して
1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、さらに好まし
くは1〜30重量%となるように添加し、塩素含有スラリ
ーとすればよい。このように無機塩化物を上記スラリー
に添加することにより、所定量の塩素をイオン交換によ
ってACP粒子に保持させることができる。
する。塩素を含有させることにより、抗菌性金属イオン
の変色を抑制することができる。ACP粒子に塩素を含
有させるには、上記スラリーに対して、無機塩化物、例
えば塩化アンモニウムを、水酸化カルシウム量に対して
1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、さらに好まし
くは1〜30重量%となるように添加し、塩素含有スラリ
ーとすればよい。このように無機塩化物を上記スラリー
に添加することにより、所定量の塩素をイオン交換によ
ってACP粒子に保持させることができる。
【0017】なお、この塩素含有スラリーにおけるAC
P粒子の含量は、1〜90重量%であるのが好ましく、そ
の範囲でACP粒子含量を変化させることにより、所望
の平均粒径を有する抗菌性粒子を得ることができる。A
CP粒子の含量が90重量%を超えると、塩素含有スラリ
ーの粘度が高くなり、造粒に不適となる。
P粒子の含量は、1〜90重量%であるのが好ましく、そ
の範囲でACP粒子含量を変化させることにより、所望
の平均粒径を有する抗菌性粒子を得ることができる。A
CP粒子の含量が90重量%を超えると、塩素含有スラリ
ーの粘度が高くなり、造粒に不適となる。
【0018】また、本発明では、上記ACP粒子は抗菌
性金属イオンを担持してなる。ACP粒子に抗菌性金属
イオンを担持させるには、上記塩素含有スラリー中に、
塩素含有のACP粒子に対して50重量%以下となるよう
に抗菌性金属、抗菌性金属化合物、あるいはそれらの水
溶液を混合すればよい。この混合は、室温下、アルカリ
性の下で行うのが好ましい。80℃以上になると、ACP
からリン酸が溶出し易くなるからである。また、酸性で
はACPが分解し、リン酸銀のような二次生成物ができ
易くなるからである。
性金属イオンを担持してなる。ACP粒子に抗菌性金属
イオンを担持させるには、上記塩素含有スラリー中に、
塩素含有のACP粒子に対して50重量%以下となるよう
に抗菌性金属、抗菌性金属化合物、あるいはそれらの水
溶液を混合すればよい。この混合は、室温下、アルカリ
性の下で行うのが好ましい。80℃以上になると、ACP
からリン酸が溶出し易くなるからである。また、酸性で
はACPが分解し、リン酸銀のような二次生成物ができ
易くなるからである。
【0019】抗菌性金属としては、金、銀、亜鉛、銅、
錫、鉛、砒素、白金、鉄、アンチモン、ニッケル、アル
ミニウム、バリウム、カドミウム及びマンガンからなる
群から選ばれる少なくとも一種の金属を使用することが
できる。また、それら金属の混合物、それらの金属化合
物、あるいはそれらの水溶液を用いることもできる。混
合する抗菌性金属又は抗菌性金属化合物が粉体である場
合、抗菌性粒子の比表面積を大きくするためにも、その
粉体の粒径は20μm以下であるの好ましい。
錫、鉛、砒素、白金、鉄、アンチモン、ニッケル、アル
ミニウム、バリウム、カドミウム及びマンガンからなる
群から選ばれる少なくとも一種の金属を使用することが
できる。また、それら金属の混合物、それらの金属化合
物、あるいはそれらの水溶液を用いることもできる。混
合する抗菌性金属又は抗菌性金属化合物が粉体である場
合、抗菌性粒子の比表面積を大きくするためにも、その
粉体の粒径は20μm以下であるの好ましい。
【0020】以上のようにして抗菌性金属等を混合した
塩素含有スラリーを造粒することにより、抗菌性粒子を
製造することができる。造粒法としては、得られる抗菌
性粒子を多孔質にでき、かつその粒径を 200μm以下に
できるような方法であれば、特に限定されない。粒径が
200 μmを超えると、抗菌性粒子の比表面積が小さくな
るおそれがある。そのような造粒法としては、例えば噴
霧乾燥造粒法を用いることができ、他にフリーズドライ
後に粉砕してなる造粒法、あるいは高速攪拌型造粒法を
用いてもよい。
塩素含有スラリーを造粒することにより、抗菌性粒子を
製造することができる。造粒法としては、得られる抗菌
性粒子を多孔質にでき、かつその粒径を 200μm以下に
できるような方法であれば、特に限定されない。粒径が
200 μmを超えると、抗菌性粒子の比表面積が小さくな
るおそれがある。そのような造粒法としては、例えば噴
霧乾燥造粒法を用いることができ、他にフリーズドライ
後に粉砕してなる造粒法、あるいは高速攪拌型造粒法を
用いてもよい。
【0021】本発明における抗菌性粒子は、焼成してい
ないことを特徴とする。このように焼成しないことによ
り、非常に微細な粒子が得られ、かつ粒子の比表面積を
大きく保つことができ、優れた吸着・抗菌効果を発揮す
ることができる。
ないことを特徴とする。このように焼成しないことによ
り、非常に微細な粒子が得られ、かつ粒子の比表面積を
大きく保つことができ、優れた吸着・抗菌効果を発揮す
ることができる。
【0022】本発明の抗菌性フィルターは、シート状に
成形された基材中に、上記抗菌性粒子を分散して含む。
この抗菌性フィルターの製造方法は、抗菌効果が発揮で
きるように上記抗菌性粒子を基材に含ませられれば、特
に限定されない。例えば、紙、織布、不織布、プラスチ
ックフォーム等の基材の製造時に上記抗菌性粒子を加え
てもよいし、接着剤を介して基材に接着してもよい。ま
た、あらかじめ上記抗菌性粒子と接着剤とを混合したも
のをスプレー等で基材に吹き付けたり、スクリーン印刷
法やロールコーターにより印刷することもできる。特
に、抗菌性粒子が基材の表面に露出するような方法で接
着・印刷するのが好ましい。
成形された基材中に、上記抗菌性粒子を分散して含む。
この抗菌性フィルターの製造方法は、抗菌効果が発揮で
きるように上記抗菌性粒子を基材に含ませられれば、特
に限定されない。例えば、紙、織布、不織布、プラスチ
ックフォーム等の基材の製造時に上記抗菌性粒子を加え
てもよいし、接着剤を介して基材に接着してもよい。ま
た、あらかじめ上記抗菌性粒子と接着剤とを混合したも
のをスプレー等で基材に吹き付けたり、スクリーン印刷
法やロールコーターにより印刷することもできる。特
に、抗菌性粒子が基材の表面に露出するような方法で接
着・印刷するのが好ましい。
【0023】接着剤を介して接着する場合には、水溶性
接着剤、有機溶剤可溶性接着剤、硬化型樹脂、特に架橋
剤を併用した接着剤、水性エマルジョン等の接着剤を使
用するのが好ましい。また、これらの接着剤の中でも、
抗菌性粒子の脱離を抑制するためには、特に、エポキシ
樹脂、メラミン樹脂等の硬化型樹脂や、これらにイソチ
アネート系架橋剤、アジリン系架橋剤などの架橋剤を併
用した接着剤、もしくは有機溶剤可溶の接着剤、特に、
天然系樹脂、例えば、セラック樹脂、コーパルゴム、ダ
ンマルゴム等を使用するのが好ましく、硬化型樹脂及び
有機溶剤可溶の天然系樹脂の両者を含む接着剤を使用し
てもよい。これらの接着剤を使用して抗菌性粒子を基材
に接着した場合には、フィルターを湿度の高い環境で使
用した場合にでも、抗菌性粒子が基材から脱離すること
を効果的に防止することができる。さらに、硬化型樹脂
もしくはこれに架橋剤を併用したものは、使用したフィ
ルターを洗浄して再度使用することも可能である。
接着剤、有機溶剤可溶性接着剤、硬化型樹脂、特に架橋
剤を併用した接着剤、水性エマルジョン等の接着剤を使
用するのが好ましい。また、これらの接着剤の中でも、
抗菌性粒子の脱離を抑制するためには、特に、エポキシ
樹脂、メラミン樹脂等の硬化型樹脂や、これらにイソチ
アネート系架橋剤、アジリン系架橋剤などの架橋剤を併
用した接着剤、もしくは有機溶剤可溶の接着剤、特に、
天然系樹脂、例えば、セラック樹脂、コーパルゴム、ダ
ンマルゴム等を使用するのが好ましく、硬化型樹脂及び
有機溶剤可溶の天然系樹脂の両者を含む接着剤を使用し
てもよい。これらの接着剤を使用して抗菌性粒子を基材
に接着した場合には、フィルターを湿度の高い環境で使
用した場合にでも、抗菌性粒子が基材から脱離すること
を効果的に防止することができる。さらに、硬化型樹脂
もしくはこれに架橋剤を併用したものは、使用したフィ
ルターを洗浄して再度使用することも可能である。
【0024】基材における抗菌性粒子の含有量は、1〜
300 g/m2、特に1〜100 g/m2であるのが好ましい。1g/
m2未満では、抗菌効果を発揮するのが困難であり、300
g/m2を超えると基材への均一な添着が困難になり、通気
性が損なわれ易くなる。以上説明した本発明の抗菌性フ
ィルターは、例えば、空気清浄機、エアコン、掃除機、
ファンヒーター等のエアフィルターに使用することがで
き、効果的に抗菌性を発揮することができる。
300 g/m2、特に1〜100 g/m2であるのが好ましい。1g/
m2未満では、抗菌効果を発揮するのが困難であり、300
g/m2を超えると基材への均一な添着が困難になり、通気
性が損なわれ易くなる。以上説明した本発明の抗菌性フ
ィルターは、例えば、空気清浄機、エアコン、掃除機、
ファンヒーター等のエアフィルターに使用することがで
き、効果的に抗菌性を発揮することができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】〔製造例1〕本発明の抗菌性粒子を次によ
うにして製造した。なお、この抗菌性粒子の製造に用い
た装置を図1に概略的に示す。図1において、9はエア
フィルター、10は電気ヒータであり、エアフィルター9
を通り電気ヒータ10によって加温された熱空気は、熱ガ
ス室11からスプレードライヤー5内に入り、スプレード
ライヤー5のアトマイザー6により噴霧されるスラリー
3を乾燥造粒しつつ、排出孔12からサイクロン8に向け
て流出するようになっている。
うにして製造した。なお、この抗菌性粒子の製造に用い
た装置を図1に概略的に示す。図1において、9はエア
フィルター、10は電気ヒータであり、エアフィルター9
を通り電気ヒータ10によって加温された熱空気は、熱ガ
ス室11からスプレードライヤー5内に入り、スプレード
ライヤー5のアトマイザー6により噴霧されるスラリー
3を乾燥造粒しつつ、排出孔12からサイクロン8に向け
て流出するようになっている。
【0027】撹拌下の水酸化カルシウム懸濁液に対し、
リン酸水溶液を滴下してpHを10に調整し、粒径約0.1
μm以下のACP粒子を含むスラリーを得た。このスラ
リーに、水酸化カルシウム量に対して10重量%となるよ
うに塩化アンモニウムを添加して、塩素含有スラリーを
調製した。この塩素含有スラリーでは、添加された塩素
イオンはイオン交換によってACP粒子に担持されてい
るものと想定された。上記塩素含有スラリーは、ACP
の濃度が10〜15重量%となるようにイオン交換水により
希釈した。
リン酸水溶液を滴下してpHを10に調整し、粒径約0.1
μm以下のACP粒子を含むスラリーを得た。このスラ
リーに、水酸化カルシウム量に対して10重量%となるよ
うに塩化アンモニウムを添加して、塩素含有スラリーを
調製した。この塩素含有スラリーでは、添加された塩素
イオンはイオン交換によってACP粒子に担持されてい
るものと想定された。上記塩素含有スラリーは、ACP
の濃度が10〜15重量%となるようにイオン交換水により
希釈した。
【0028】次に、ACP粒子に対して2重量%となる
ように秤量した無水硝酸銀粉末をイオン交換水に溶解
し、上記塩素含有スラリーに混合した。これを攪拌モー
タで1時間攪拌し、塩素を含有するとともに銀イオンを
担持したACP粒子1を含む混合物スラリー3を得た。
ように秤量した無水硝酸銀粉末をイオン交換水に溶解
し、上記塩素含有スラリーに混合した。これを攪拌モー
タで1時間攪拌し、塩素を含有するとともに銀イオンを
担持したACP粒子1を含む混合物スラリー3を得た。
【0029】得られた混合物スラリー3を、定量ポンプ
4によりスプレードライヤー(大川原化工機械社製L−
8)5のアトマイザー6に供給した。そのアトマイザー
6を高速回転させて、スプレードライヤー5内の乾燥用
の熱空気流中に上記混合物スラリー3を噴霧し、噴霧造
粒乾燥法により造粒乾燥した。この造粒乾燥によって、
塩素を含有するとともに銀イオンを担持したACPから
なる略球状の抗菌性粒子7が得られた。
4によりスプレードライヤー(大川原化工機械社製L−
8)5のアトマイザー6に供給した。そのアトマイザー
6を高速回転させて、スプレードライヤー5内の乾燥用
の熱空気流中に上記混合物スラリー3を噴霧し、噴霧造
粒乾燥法により造粒乾燥した。この造粒乾燥によって、
塩素を含有するとともに銀イオンを担持したACPから
なる略球状の抗菌性粒子7が得られた。
【0030】得られた上記抗菌性粒子7は、サイクロン
8によって採取された。このとき、サイクロン8により
採取しきれない超微粉体はバグフィルター(図示せず)
により別に採取された。
8によって採取された。このとき、サイクロン8により
採取しきれない超微粉体はバグフィルター(図示せず)
により別に採取された。
【0031】なお、上記造粒における操作条件は次の通
りであった。定量ポンプ4による混合物スラリー3の供
給量は1〜3kg/hであり、エアフィルター9を介して電
気ヒーター10によって加温された熱空気の温度は、熱ガ
ス室11の入口温度が 200〜 250℃に、サイクロン8に繁
がる排出孔12における出口温度が 100℃を常に超えるよ
うに制御され、また、アトマイザー6の回転数は 10000
〜37000rpmの範囲内に設定された。
りであった。定量ポンプ4による混合物スラリー3の供
給量は1〜3kg/hであり、エアフィルター9を介して電
気ヒーター10によって加温された熱空気の温度は、熱ガ
ス室11の入口温度が 200〜 250℃に、サイクロン8に繁
がる排出孔12における出口温度が 100℃を常に超えるよ
うに制御され、また、アトマイザー6の回転数は 10000
〜37000rpmの範囲内に設定された。
【0032】さらに、上記スプレードライヤー5をより
スケールアップした2種のスプレードライヤー(大川原
化工機械社製 FOC-20,ODB-25G 、FOC-25,OC-25) を用い
て、スラリー供給量を100kg/hrとし、他の条件は上記と
同様にして抗菌性粒子を調製したところ、上記スプレー
ドライヤー5による抗菌性粒子7と同様の抗菌性粒子が
得られた。このようにして得られた抗菌性粒子は略真球
状であった。
スケールアップした2種のスプレードライヤー(大川原
化工機械社製 FOC-20,ODB-25G 、FOC-25,OC-25) を用い
て、スラリー供給量を100kg/hrとし、他の条件は上記と
同様にして抗菌性粒子を調製したところ、上記スプレー
ドライヤー5による抗菌性粒子7と同様の抗菌性粒子が
得られた。このようにして得られた抗菌性粒子は略真球
状であった。
【0033】〔製造例2〕製造例1におけるスラリーに
対する塩化アンモニウムの混合率10重量%に代えて、ス
ラリーに対する塩化アンモニウムの混合率を20重量%と
し、他は製造例1と同様の条件で操作し、球状の抗菌性
粒子7を得た。
対する塩化アンモニウムの混合率10重量%に代えて、ス
ラリーに対する塩化アンモニウムの混合率を20重量%と
し、他は製造例1と同様の条件で操作し、球状の抗菌性
粒子7を得た。
【0034】〔製造例3〕製造例1におけるスラリー
(ACPの濃度20重量%)に、塩化銀粉末をACP含量
に対して2重量%となるように製造例1と同様にして混
合し、撹拌モータで1時間撹拌して混合物スラリーを得
た。その後、混合物スラリーを濾過して固形分を分取
し、その固形分を 120℃にて乾燥し、粉砕して抗菌性粒
子を得た。
(ACPの濃度20重量%)に、塩化銀粉末をACP含量
に対して2重量%となるように製造例1と同様にして混
合し、撹拌モータで1時間撹拌して混合物スラリーを得
た。その後、混合物スラリーを濾過して固形分を分取
し、その固形分を 120℃にて乾燥し、粉砕して抗菌性粒
子を得た。
【0035】〔製造例4〕製造例1におけるスラリー
(ACPの濃度20重量%)に、塩化銀粉末をACP含量
に対して2重量%となるように製造例1と同様にして混
合し、撹拌モータで1時間撹拌して混合物スラリーを得
た。その後、混合物スラリーを凍結乾燥し、その乾燥物
を粉砕して抗菌性粒子を得た。
(ACPの濃度20重量%)に、塩化銀粉末をACP含量
に対して2重量%となるように製造例1と同様にして混
合し、撹拌モータで1時間撹拌して混合物スラリーを得
た。その後、混合物スラリーを凍結乾燥し、その乾燥物
を粉砕して抗菌性粒子を得た。
【0036】〔試験例1〕製造例1〜4で得られた抗菌
性粒子について、粉末X線回折法によりACP粒子の生
成相を調べた。結果をそれぞれ図2〜図5のX線解析図
に示す。これらX線解析図より、得られた抗菌性粒子は
リン酸カルシウム〔式:Ca3(PO4)2・nH2O〕と銀
との固溶体であると同定され、また、X線回折パターン
がブロードであることから、リン酸カルシウム部分が非
晶質であることが判った。
性粒子について、粉末X線回折法によりACP粒子の生
成相を調べた。結果をそれぞれ図2〜図5のX線解析図
に示す。これらX線解析図より、得られた抗菌性粒子は
リン酸カルシウム〔式:Ca3(PO4)2・nH2O〕と銀
との固溶体であると同定され、また、X線回折パターン
がブロードであることから、リン酸カルシウム部分が非
晶質であることが判った。
【0037】なお、図2〜図5における横軸は、ブラッ
グ角θの2倍である散乱角を示し、縦軸は、回折線の強
度(CSK)を、その縦軸の最大値が4kとなるように
示したものである。
グ角θの2倍である散乱角を示し、縦軸は、回折線の強
度(CSK)を、その縦軸の最大値が4kとなるように
示したものである。
【0038】また、上記抗菌性粒子は、銀イオンを塩化
銀の状態で非晶質リン酸カルシウムに取り込んでいるも
のと想定された。このことは、上記抗菌性粒子をアンモ
ニア水にて抽出すると、添加量とほぼ同量の銀イオンが
抽出液から検出される一方、上記抗菌性粒子を蒸留水に
て抽出すると、その抽出液から銀イオンが微量しか検出
されないことから裏付けらる。なお、抗菌性粒子の蒸留
水による溶出試験は、以下のようにして行った。
銀の状態で非晶質リン酸カルシウムに取り込んでいるも
のと想定された。このことは、上記抗菌性粒子をアンモ
ニア水にて抽出すると、添加量とほぼ同量の銀イオンが
抽出液から検出される一方、上記抗菌性粒子を蒸留水に
て抽出すると、その抽出液から銀イオンが微量しか検出
されないことから裏付けらる。なお、抗菌性粒子の蒸留
水による溶出試験は、以下のようにして行った。
【0039】製造例1及び2で得られた抗菌性粒子を試
料とし、銀を担持させた市販品のアパタイト複合粒子
(銀イオン担持量2重量%)を比較試料として用いた。
各試料及び比較試料をそれぞれ1g秤量し、蒸留水 100
ml中で30分間撹拌した後、No.7濾紙にて濾過し、その濾
液をさらにNo.5B 濾紙で濾過した。得られたそれぞれの
濾液を、ICP-AES (高温発光分析法)より測定した。結
果を表1に示す。
料とし、銀を担持させた市販品のアパタイト複合粒子
(銀イオン担持量2重量%)を比較試料として用いた。
各試料及び比較試料をそれぞれ1g秤量し、蒸留水 100
ml中で30分間撹拌した後、No.7濾紙にて濾過し、その濾
液をさらにNo.5B 濾紙で濾過した。得られたそれぞれの
濾液を、ICP-AES (高温発光分析法)より測定した。結
果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】表1から明らかなように、本発明における
抗菌性粒子は、銀イオンの溶出が従来より抑制されてお
り、銀イオンによる抗菌性を長期間にわたって維持でき
るものであることが判った。
抗菌性粒子は、銀イオンの溶出が従来より抑制されてお
り、銀イオンによる抗菌性を長期間にわたって維持でき
るものであることが判った。
【0042】〔試験例2〕製造例1、2及び4で得られ
た各抗菌性粒子の抗菌力を測定した。比較として、銀を
担持させた市販品のアパタイト複合粒子(銀イオン担持
量2重量%)を用いた。
た各抗菌性粒子の抗菌力を測定した。比較として、銀を
担持させた市販品のアパタイト複合粒子(銀イオン担持
量2重量%)を用いた。
【0043】試験方法
1.菌液の調製
寒天培地で37℃、18時間培養した試験菌体をリン酸緩衝
液(1/15M、pH 7.2)に浮遊させ、108 cells/mlの懸
濁液である原液を調製し、その原液を適宜希釈して試験
に用いた。
液(1/15M、pH 7.2)に浮遊させ、108 cells/mlの懸
濁液である原液を調製し、その原液を適宜希釈して試験
に用いた。
【0044】2.抗菌性試験(シェークフラスコ法)
試料として各抗菌性粒子及びアパタイト複合粒子を各々
0.1g秤量し、上記リン酸緩衝液 100mlの入った 200ml
三角フラスコにそれぞれ入れ、これらに、試験菌懸濁液
を約105 cells/mlとなるように加えた。次いで、これら
三角フラスコを25±5℃に保ちながら振とうし、三角フ
ラスコ内の菌数をそれぞれ経時的に測定した。なお、使
用した菌株は次の通りである。
0.1g秤量し、上記リン酸緩衝液 100mlの入った 200ml
三角フラスコにそれぞれ入れ、これらに、試験菌懸濁液
を約105 cells/mlとなるように加えた。次いで、これら
三角フラスコを25±5℃に保ちながら振とうし、三角フ
ラスコ内の菌数をそれぞれ経時的に測定した。なお、使
用した菌株は次の通りである。
【0045】
使用菌株
Escherichia coli(大腸菌) IFO-12734
Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌) IFO-12732
Psedomonas aeruginosa (緑膿菌) IFO-12689
Candida albicans(カンジダ) IFO-1060
使用培地
細菌:Mueller Hinton 2 (BBL)
真菌:ポテトデキストロース寒天培地(栄研)
測定結果を表2〜5に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】表2〜5より、各製造例で得られた抗菌性
粒子は、市販のアパタイト複合粒子(従来の抗菌性粒
子)よりも抗菌作用が大きいことが示された。
粒子は、市販のアパタイト複合粒子(従来の抗菌性粒
子)よりも抗菌作用が大きいことが示された。
【0051】〔試験例3〕製造例1〜4で得られた抗菌
性粒子について、2週間、自然光に曝された状態におけ
る色差測定をJIS−K7105に基づいて行った。製造例
1〜4で得られた各抗菌性粒子を試料とし、比較のため
に銀イオンを担持していないACP粒子を標準として用
いた。上記各試料及び標準について、積分球方式の色差
計(ND-100P,日本電色工業製)を用いて色差を測定し
た。結果を表6に示す。なお、黄色度については、標準
黄色面を用い、黄変度についてはその標準黄色面に対す
る相違点にて評価した。
性粒子について、2週間、自然光に曝された状態におけ
る色差測定をJIS−K7105に基づいて行った。製造例
1〜4で得られた各抗菌性粒子を試料とし、比較のため
に銀イオンを担持していないACP粒子を標準として用
いた。上記各試料及び標準について、積分球方式の色差
計(ND-100P,日本電色工業製)を用いて色差を測定し
た。結果を表6に示す。なお、黄色度については、標準
黄色面を用い、黄変度についてはその標準黄色面に対す
る相違点にて評価した。
【0052】
【表6】
【0053】さらに、製造例1及び2で得られた抗菌性
粒子、並びに市販品のアパタイト粒子(銀イオン担持量
2重量%)を試料とし、各試料の熱による変色について
それぞれ測定した。測定方法は、以下の通りであった。
溶融したポリスチレン樹脂に対して1重量%となるよう
に各試料をそれぞれ混練し(200 ℃,5分間)、その混
練物をプレス成形法によってシート状に成形した。得ら
れた成形物の黄色度を、JIS−K7105に基づいて透過
法によって測定した。結果を表7に示す。
粒子、並びに市販品のアパタイト粒子(銀イオン担持量
2重量%)を試料とし、各試料の熱による変色について
それぞれ測定した。測定方法は、以下の通りであった。
溶融したポリスチレン樹脂に対して1重量%となるよう
に各試料をそれぞれ混練し(200 ℃,5分間)、その混
練物をプレス成形法によってシート状に成形した。得ら
れた成形物の黄色度を、JIS−K7105に基づいて透過
法によって測定した。結果を表7に示す。
【0054】
【表7】
【0055】表6及び表7から明らかなように、本発明
における抗菌性粒子は、標準板より白色度が若干低下す
るものの、実用上では白色であること、および黄変度が
小さいことから、熱や光等による黄変等の変色が抑制さ
れたものであることが判った。
における抗菌性粒子は、標準板より白色度が若干低下す
るものの、実用上では白色であること、および黄変度が
小さいことから、熱や光等による黄変等の変色が抑制さ
れたものであることが判った。
【0056】〔実施例1〕製造例1で得られた抗菌性粒
子を使用して、抗菌性粒子フィルターを作製した。具体
的には、目付30g/m2の不織布(30cm×30cm)に対し
て、下記の処理液をスクリーン印刷法により塗布し、次
いで130℃で5分間乾燥した。
子を使用して、抗菌性粒子フィルターを作製した。具体
的には、目付30g/m2の不織布(30cm×30cm)に対し
て、下記の処理液をスクリーン印刷法により塗布し、次
いで130℃で5分間乾燥した。
【0057】
処理液
製造例1で得られた抗菌性粒子 10g
アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン 100g
イソシアネート系架橋剤 3g
計 113g
〔試験例4〕実施例1で作製したフィルター(検体1)
について、ウイルス不活性試験を行った。対照として、
防カビ剤として多用されているTBZ(チアベンダゾー
ル)に含浸・乾燥した市販のフィルター(検体2)を使
用した。試験は以下のようにして行った。
について、ウイルス不活性試験を行った。対照として、
防カビ剤として多用されているTBZ(チアベンダゾー
ル)に含浸・乾燥した市販のフィルター(検体2)を使
用した。試験は以下のようにして行った。
【0058】試験概要
約3cm×3cmの大きさに切断した試験片に、インフルエ
ンザウイルス浮遊液0.2mlを滴下し、蛍光灯照射下で25
℃に保存した。保存6時間後に試験片上のウイルスを洗
い出し、洗い出し液中のウイルス感染価を測定した。
ンザウイルス浮遊液0.2mlを滴下し、蛍光灯照射下で25
℃に保存した。保存6時間後に試験片上のウイルスを洗
い出し、洗い出し液中のウイルス感染価を測定した。
【0059】試験方法
1) 試験ウイルス
インフルエンザウイルス A型(H1N1)
2) 使用細胞
MDCK(NBL-2) 細胞 ATCC CCL-34株〔大日本製薬(株)〕
【0060】3) 使用培地
細胞増殖培地
Eagle MEM〔日本製薬(株),0.06mg/mlカナマイシン含
有〕に新生仔牛血清(ICN)を10%加えたものを使用し
た。
有〕に新生仔牛血清(ICN)を10%加えたものを使用し
た。
【0061】細胞維持培地
以下の組成の培地を使用した。
Eagle MEM 1,000ml
7.0% NaHCO3 32ml
L−グルタミン(29.2g/L) 10ml
100×MEM用ビタミン液 30ml
10%アルブミン 20ml
トリプシン(5mg/ml) 2ml
【0062】4) ウイルス浮遊液の調製
細胞の培養
細胞増殖培地を用い、MDCK細胞を組織培養用フラスコ内
に単層培養した。 ウイルスの接種 単層培養後にフラスコ内から細胞増殖培地を除き、ウイ
ルスを接種した。次に、細胞維持培地を加えて34℃の炭
酸ガスインキュベーター(CO2 濃度:5%)内で3〜5
日間培養した。
に単層培養した。 ウイルスの接種 単層培養後にフラスコ内から細胞増殖培地を除き、ウイ
ルスを接種した。次に、細胞維持培地を加えて34℃の炭
酸ガスインキュベーター(CO2 濃度:5%)内で3〜5
日間培養した。
【0063】ウイルス浮遊液の調製
培養後、倒立位相差顕微鏡を用いて細胞の形態を観察
し、80%以上の細胞に形態変化(細胞変性効果)が起こ
っていることを確認した。次に、凍結融解を1回行った
後、培養液を遠心分離(3,000rpm,10分間)し、得られ
た上澄み液をウイルス浮遊液とした。
し、80%以上の細胞に形態変化(細胞変性効果)が起こ
っていることを確認した。次に、凍結融解を1回行った
後、培養液を遠心分離(3,000rpm,10分間)し、得られ
た上澄み液をウイルス浮遊液とした。
【0064】5) 試験片の調製
検体を約3cm×3cmの大きさに切断した後、115℃で15
分間湿熱滅菌を行い、試験片とした。
分間湿熱滅菌を行い、試験片とした。
【0065】6) ウイルスの接種及び保存
試験片をプラスチックシャーレに入れ、ウイルス浮遊液
0.2mlを滴下した後、蓋をして暗所にて25℃で保存し
た。また、プラスチックシャーレ(試験片入れず)を対
照として、同様に試験を行った。 7) ウイルスの洗い出し 保存6時間後、試験片上のウイルス浮遊液を細胞維持培
地2mlで洗い出した。
0.2mlを滴下した後、蓋をして暗所にて25℃で保存し
た。また、プラスチックシャーレ(試験片入れず)を対
照として、同様に試験を行った。 7) ウイルスの洗い出し 保存6時間後、試験片上のウイルス浮遊液を細胞維持培
地2mlで洗い出した。
【0066】8) ウイルス感染価の測定
細胞増殖用培地を用い、MDCK細胞を組織培養用マイクロ
プレート(96穴)内で単層培養した後、細胞増殖培地を
除き、ウイルス分離培地を0.1mlずつ加えた。次に、洗
い出し液及びその希釈液0.1mlを4穴ずつに接種し、34
℃の炭酸ガスインキュベーター(CO2 濃度:5%)内で
5日間培養した。培養後、倒立位相差顕微鏡を用いて各
細胞の形態変化(細胞変性効果)の有無を観察し、Reed
-Muench法により50%組織培養感染量(TCID50)を算出
して洗い出し液1ml当たりのウイルス感染価に換算し
た。
プレート(96穴)内で単層培養した後、細胞増殖培地を
除き、ウイルス分離培地を0.1mlずつ加えた。次に、洗
い出し液及びその希釈液0.1mlを4穴ずつに接種し、34
℃の炭酸ガスインキュベーター(CO2 濃度:5%)内で
5日間培養した。培養後、倒立位相差顕微鏡を用いて各
細胞の形態変化(細胞変性効果)の有無を観察し、Reed
-Muench法により50%組織培養感染量(TCID50)を算出
して洗い出し液1ml当たりのウイルス感染価に換算し
た。
【0067】試験結果
試験結果を表8に示す。
【0068】
【表8】
【0069】考察
インフルエンザウイルスは6時間で2桁の自然減少があ
ったが、本発明のフィルター(検体1)によれば、5桁
以上の減少効果が見られた。一方、TBZ含浸フィルタ
ー(検体2)には、抗ウイルス効果はなかった。
ったが、本発明のフィルター(検体1)によれば、5桁
以上の減少効果が見られた。一方、TBZ含浸フィルタ
ー(検体2)には、抗ウイルス効果はなかった。
【0070】〔試験例5〕λファージ(大腸菌に感染し
菌を死滅させるウイルス)のタイターは極めて正確に測
定できるため、本試験例では、そのλファージを用いて
抗菌(抗ウイルス)フィルターの有効性について検討し
た。試験は以下のようにして行った。
菌を死滅させるウイルス)のタイターは極めて正確に測
定できるため、本試験例では、そのλファージを用いて
抗菌(抗ウイルス)フィルターの有効性について検討し
た。試験は以下のようにして行った。
【0071】まず、λファージを培養し、CsCl法にて超
遠心機により密度勾配をつくり、精製した(約2×1012
/ml)。これをSMバッファーで希釈し、約2×107 /
mlとした。ガラス試験管の中に試験例4と同様の検体
1,2をそれぞれ無菌的に入れ、次いで上記λファージ
液(約2×107 /ml)を各々1.5ml入れ、蓋をしめた。
対照として、試験片を入れずにλファージ液(約2×10
7/ml)のみを1.5ml入れたものを使用した。これらガラ
ス試験管を遮光し、室温下、24時間経過した後に、λフ
ァージ液のタイターを以下のようにして計測した。
遠心機により密度勾配をつくり、精製した(約2×1012
/ml)。これをSMバッファーで希釈し、約2×107 /
mlとした。ガラス試験管の中に試験例4と同様の検体
1,2をそれぞれ無菌的に入れ、次いで上記λファージ
液(約2×107 /ml)を各々1.5ml入れ、蓋をしめた。
対照として、試験片を入れずにλファージ液(約2×10
7/ml)のみを1.5ml入れたものを使用した。これらガラ
ス試験管を遮光し、室温下、24時間経過した後に、λフ
ァージ液のタイターを以下のようにして計測した。
【0072】大腸菌BNN45を一晩、λブロース液
(10gのバクトトリプトン(DIFFCO社製)及び2gのNa
Cl(和光純薬社製)を1リットルの水に溶かしたもの)
で培養し、SMバッファーで5倍希釈した。得られた大
腸菌希釈液0.2mlと、上記サンプル内の液と、SMバッ
ファー(主にNaCl,MgCl2,ゼラチン(各々和光純薬社
製)を水に溶かして滅菌したもの)10μlとをガラス管
内で37℃で10分間インキュベーションし、λプレートの
上に撒いた。形成されるプラーク数により、ウイルスタ
イターを計測した。結果を表9に示す。なお、3倍以上
差があれば有意とする。
(10gのバクトトリプトン(DIFFCO社製)及び2gのNa
Cl(和光純薬社製)を1リットルの水に溶かしたもの)
で培養し、SMバッファーで5倍希釈した。得られた大
腸菌希釈液0.2mlと、上記サンプル内の液と、SMバッ
ファー(主にNaCl,MgCl2,ゼラチン(各々和光純薬社
製)を水に溶かして滅菌したもの)10μlとをガラス管
内で37℃で10分間インキュベーションし、λプレートの
上に撒いた。形成されるプラーク数により、ウイルスタ
イターを計測した。結果を表9に示す。なお、3倍以上
差があれば有意とする。
【0073】
【表9】
【0074】表9から明らかなように、本発明のフィル
ター(検体1)によれば、対照と比べてウイルスが2桁
減少するが、TBZ含浸フィルター(検体2)ではほと
んど効果が見られない。
ター(検体1)によれば、対照と比べてウイルスが2桁
減少するが、TBZ含浸フィルター(検体2)ではほと
んど効果が見られない。
【0075】
【発明の効果】本発明の抗菌性フィルターによれば、優
れた抗菌性を発揮することができる。また、本発明の抗
菌性フィルターは、光、熱等による変色がないため製品
として優れたものである。
れた抗菌性を発揮することができる。また、本発明の抗
菌性フィルターは、光、熱等による変色がないため製品
として優れたものである。
【図1】抗菌性粒子の製造に用いた装置の概略構成図で
ある。
ある。
【図2】製造例1における抗菌性粒子の組成を示すX線
回折図である。
回折図である。
【図3】製造例2における抗菌性粒子の組成を示すX線
回折図である。
回折図である。
【図4】製造例3における抗菌性粒子の組成を示すX線
回折図である。
回折図である。
【図5】製造例4における抗菌性粒子の組成を示すX線
回折図である。
回折図である。
1…塩素を含有するとともに銀イオンを担持したACP
粒子 3…スラリー 4…定量ポンプ 5…スプレードライヤー 6…アトマイザー 7…抗菌性粒子 8…サイクロン 9…エアフィルター 10…電気ヒータ 11…熱ガス室 12…排出孔
粒子 3…スラリー 4…定量ポンプ 5…スプレードライヤー 6…アトマイザー 7…抗菌性粒子 8…サイクロン 9…エアフィルター 10…電気ヒータ 11…熱ガス室 12…排出孔
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B01D 39/00 - 39/20
Claims (4)
- 【請求項1】 シート状に成形された基材中に、抗菌性
金属イオンを担持するとともに塩素を含有する非晶質リ
ン酸カルシウムを分散して含むことを特徴とする抗菌性
フィルター。 - 【請求項2】 シート状に成形された基材に、抗菌性金
属イオンを担持するとともに塩素を含有する非晶質リン
酸カルシウムが接着剤を介して接着されてなることを特
徴とする抗菌性フィルター。 - 【請求項3】 前記シート状に成形された基材が、紙、
織布、不織布又はプラスチックフォームであることを特
徴とする請求項1又は2項記載の抗菌性フィルター。 - 【請求項4】 前記接着剤が、硬化型樹脂及び/又は有
機溶剤可溶の天然系樹脂を含む接着剤であることを特徴
とする請求項2項記載の抗菌性フィルター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16474896A JP3400646B2 (ja) | 1996-06-25 | 1996-06-25 | 抗菌性フィルター |
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---|---|---|---|
JP16474896A JP3400646B2 (ja) | 1996-06-25 | 1996-06-25 | 抗菌性フィルター |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH105514A JPH105514A (ja) | 1998-01-13 |
JP3400646B2 true JP3400646B2 (ja) | 2003-04-28 |
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ID=15799176
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JP4165050B2 (ja) * | 2001-10-15 | 2008-10-15 | 松下電器産業株式会社 | 空気清浄機 |
-
1996
- 1996-06-25 JP JP16474896A patent/JP3400646B2/ja not_active Expired - Fee Related
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