JP3375997B2 - 血管内皮細胞増殖促進剤 - Google Patents
血管内皮細胞増殖促進剤Info
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Description
らなる血管内皮細胞増殖促進剤および血管新生剤に関す
る。
管内皮細胞、中膜の平滑筋細胞、および外膜に存在する
繊維芽細胞である。また、末梢に存在する毛細血管は、
血管内皮細胞のみによって構成されていると考えられて
いる。血管新生の機序の詳細については不明な点が多い
が、まず血管壁マトリックスが溶解し、次に血管内皮細
胞の増殖、遊走が起って、血管新生が始まると考えられ
ている。
胎生期、成体における子宮内膜の周期的発達、卵巣にお
ける黄体形成のような生理的現象や、慢性炎症、創傷治
癒などの病理的状態などで認められる。また、腫瘍細胞
の増殖の際にも血管新生が認められる。血管内壁を覆う
内皮細胞は、抗血栓性の維持、物質透過の調節、血圧調
節などの多くの生理的機能を有している。動脈硬化や心
筋梗塞などの血管が関与する疾患では、血管を構成する
これら諸細胞の異常が認められている。
トリ漿尿膜を用いた実験では、血管を新生する因子が数
多く知られている。タンパク質性因子で一般に知られて
いる血管新生因子としては、塩基性繊維芽細胞増殖因子
(bFGF;basic Fibroblast Growth Factor)、上皮
細胞成長因子(EGF;Epidermal Growth Factor)、
血小板由来成長因子(PDGF;Platelet-derived Gro
wth Factor)、トランスフォーミング成長因子(TG
F:Transforming Growth Factor)等がある。
上記した従来の血管新生因子は、血管内皮細胞の増殖活
性を有するものの、その他の細胞に対しても強い増殖作
用を有することが知られており、例えばbFGFは繊維
芽細胞、平滑筋細胞、上皮細胞など種々の細胞の増殖を
刺激する。このように種々の細胞に対して幅広い増殖作
用を有する従来の因子は、血管の新生を促進するが、同
時に他の細胞をも増殖させ、血管の新生のみを選択的に
行うことができず、該因子を用いることにより副作用を
生ずる恐れがあるという問題がある。
来技術の問題点を解決し、血管内皮細胞の増殖は促進す
るが、平滑筋細胞、繊維芽細胞、肝細胞などの他の細胞
の増殖活性を全くもたないかまたはほとんどもたない、
純化された血管新生作用を有する因子を得ることであ
り、更にそのような純化された血管新生因子に基づく、
副作用の少ない医薬品や医療器を開発することである。
に研究を行った結果、本発明者らはヒト卵巣腫瘍細胞お
よびヒト卵巣腫瘍樹立細胞であるHUOCA−IIおよび
HUOCA−IIIの産生物が、血管内皮細胞に対して選
択的な増殖活性作用を有することを見いだして先に出願
した(特開平2−261375号公報、特開平2−26
2523号公報、特開平3−84000号公報)。
IIおよびHUOCA−IIIの無血清培養上清を用いて特
定の精製処理を行ったところ、血管内皮細胞の増殖は強
く促進するが、平滑筋細胞、繊維芽細胞、肝細胞などの
他の細胞の増殖活性を示さないという上記した望ましい
特性を有する高純度の特定のタンパク質を得ることがで
きた。
よびHUOCA−IIIの細胞からRNAを単離し、その
遺伝子をクローニングした。そして、その遺伝子(DN
A)における塩基配列を決定したところ、配列番号2で
表される塩基配列を有することが明らかになり、その塩
基配列から上記のタンパク質が配列番号1で表されるア
ミノ酸配列であることが推定された。
れるアミノ酸配列を有する一本鎖タンパク質からなるこ
とを特徴とする血管内皮細胞増殖促進剤である。
るアミノ酸配列を有する一本鎖タンパク質からなること
を特徴とする血管新生剤である。
の上流側にシグナル配列等を含んでおり、該シグナル配
列は他の適当なシグナル配列等により適宜置き換えるこ
とができ、更に必要に応じてシグナル配列の直下にはリ
ンカー配列を加えることができる。配列番号2で表され
るDNA塩基配列からは、配列番号1で表されるアミノ
酸配列を有するタンパク質がコードされ、したがって本
発明のタンパク質はシグナル塩基配列等によりコードさ
れる他のアミノ酸配列に置換可能なアミノ酸配列部分を
も含めて、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する
ものと推定される。
血管新生剤に用いる配列番号1で表されるアミノ酸配列
を有するタンパク質(以下このタンパク質を「本発明の
タンパク質」ということがある)は、ヒト卵巣腫瘍細胞
またはヒト卵巣腫瘍樹立細胞であるHUOCA−IIおよ
び/またはHUOCA−IIIの無血清培養上清を、順
に、(a)陽イオン交換クロマトグラフィー、(b)ヘ
パリンアフィニティークロマトグラフィー、(c)ヘパ
リンアフィニティー高速液体クロマトグラフィーおよび
(d)逆相高速液体クロマトグラフィーによって精製処
理することにより製造することができる。
有効な生理活性を有しているので、この本発明のタンパ
ク質から該〜の生理活性を有する生理活性因子製剤
を製造することができ、したがってかかる生理活性因子
製剤も本発明にとって重要であり、本発明の範囲に包含
し得る。そしてその場合に、配列番号2で表される塩基
配列を有する上記のDNAをベクター(プラスミドな
ど)に挿入し、これを宿主細胞中に挿入して増殖させる
と、配列番号1で表される有用なタンパク質を大量に得
ることができ、したがって本発明では、配列番号2で表
される塩基配列をベクターに挿入したDNA組み換ベク
ターも有用である。また、かかるベクターを導入した組
み換え体も有用である。
IIIは、本発明者らによって通商産業省工業技術研究所
に、平成元年3月1日に、受託番号微工研条寄第231
0号および第2311号(FERM BP−2311)
として寄託されている。該HUOCA−IIおよびHUO
CA−IIIの培養、それらの無血清培養上清の取得は、
通常の方法により行うことができるが、本発明者らによ
る上記した特開平2−261375号公報、特開平2−
262523号公報および特開平3−84000号公報
に詳しい。
に配列番号3で表されるペプチド鎖(配列番号1におけ
る36番〜42番のアミノ酸配列)、配列番号4で表さ
れるペプチド鎖(配列番号1における111番〜120
番のアミノ酸配列)および配列番号5で表されるペプチ
ド鎖(配列番号1における526番〜541番のアミノ
酸配列)を結合含有しており、後記するように、これら
の配列番号3〜配列番号5で表されるペプチド鎖を手掛
かりにして、本発明のタンパク質のアミノ酸配列をコー
ドするDNAの塩基配列が決定され、本発明のタンパク
質のアミノ酸配列の概要が決められる。
またはヒト卵巣腫瘍樹立細胞であるHUOCA−IIおよ
び/またはHUOCA−IIIの無血清培養上清を、順
に、上記した工程(a)〜(d)によって処理すること
により調製することができ、具体的には下記の工程
(i)〜(iv)により好ましくは得ることができる。
IIIの無血清培養上清を陽イオン交換カラム中のイオ
ン交換樹脂に吸着させる。その場合の陽イオン交換樹脂
としては、強イオン性または弱イオン性の陽イオン交換
樹脂のいずれでもよく、S−セファロースを使用するの
が好ましい。陽イオン交換カラムに吸着された画分を緩
衝液で洗浄し、次に150mM NaClと2M NaC
lとをそれぞれ含む緩衝液でのリニアグラジエントによ
り血管内皮細胞増殖促進活性画分を溶出させる[工程
(a)]; (ii) 上記の(i)で溶出した活性画分を150mM
NaClを含む上記と同様の緩衝液で2〜3倍程度に
希釈したものを、ヘパリンセファロースカラムに吸着さ
せ、0.5M NaClを含む同様の緩衝液で洗浄し、次
いで0.5M NaClと2M NaClとをそれぞれ含
む緩衝液とのリニアグラジエントで血管内皮細胞増殖促
進活性画分を溶出させる[工程(b)]; (iii) 上記(ii)で溶出した活性画分を上記と同様に
して希釈して、高速液体クロマトグラフィー用ヘパリン
カラムに吸着させ、上記と同様にして血管内皮細胞増殖
促進活性画分を溶出させる[工程(c)];そして、 (iv) 上記(iii)で溶出した活性画分を逆相高速液体
クロマトグラフィー用のカラムにかけて、血管内皮細胞
増殖促進活性作用を有するタンパク質である純化された
生成物を得る[工程(d)]。
衝液としては、リン酸緩衝液等の通常使用される緩衝液
のいずれでもよく、またヘパリンの担体としてはセファ
ロースやその他の汎用の担体のいずれもが使用できる。
に関して、タンパク質のSDSポリアクリルアミドゲル
電気泳動による分子量測定法を採用して、その分子量を
測定した。すなわち、10%のポリアクリルアミドゲル
を用いて、Lammeliらの方法[Lammeli et al.,Nature,
277, 680-685(1970)]に従って行った。泳動後、ゲルを
50%エタノール、40%酢酸で30分間固化し、10
%エタノール、5%酢酸で洗浄後、銀染色を行った。本
発明のタンパク質は単一のバンドとして染色され、その
分子量マーカーとの相対移動度より、分子量約72,0
00〜80,000ダルトンと推定された。また、還元
条件下では、試料に5%となるように2−メルカプトエ
タノールを加えて、95℃で10分間熱処理した後、非
還元条件下と同様の方法で実施した。還元条件下では、
タンパク質の分子量は約79,000〜85,000ダ
ルトンと推定された。
がタンパク質に糖鎖が結合している糖タンパク質である
ことが、(イ)該純化された生成物を糖鎖分解酵素であ
るN−グリカナーゼと反応させて得た生成物を0.1%
SDSを含む10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で
分析したところ、該生成物に処理前に比べて糖鎖の切断
によると考えられる分子量低下があったことが泳動パタ
ーンに示されたこと、(ロ)該純化された生成物がコン
カナバリンAに親和性を示すこと、から確認され、した
がって上記の電気泳動法により測定されたタンパク質の
分子量は、結合した糖部分を含む糖タンパク質としての
分子量であると推定される。
ク質部分が一本鎖タンパク質からなっていることは、該
純化された生成物の0.1%SDSを含む10%ポリア
クリルアミドゲル電気泳動による分析によって、還元条
件下で単一のバンドを示したことから確認された。
配列の決定は、タンパク質のアミノ酸配列の決定に際し
て通常使用されているいずれの方法を採用して行っても
よいが、ここでは該タンパク質をコードするDNAの塩
基配列をまず決定し、それに基づいてタンパク質のアミ
ノ酸配列を決定する下記の方法を採用して行った。
ミノ酸配列の決定》 (1)還元カルボキシメチル化;上記した工程(iv)に
おける逆相高速液体クロマトグラフィーで精製分離され
たサンプルをコンセントレーターで濃縮し、8M 尿素
/0.5M Tris/1mMEDTAで溶出し、終濃度20
mMとなるようにジチオスレイトールを加え、窒素置換
して室温暗所で2時間還元反応を行った。次に、終濃度
20mMとなるようにモノヨード酢酸を加え室温暗所で
30分間アルキル化反応を行った;
断;上記(1)で得られた還元アルキル化物に2−メル
カプトエタノールを加え、次いで0.1N NaOHを加
えてpHを8.5に調製した。リシルエンドペプチター
ゼ(和光純薬社製)を基質の1/10量加えて37℃で
4時間酵素分解反応を行った;
の決定;上記(2)で得た還元アルキル化ペプチド断片
をRP300カラム(アプライドバイオシステムズ社
製)を用いた逆相高速クロマトグラフィーで分離した。
溶出は、0.1%TFA存在下、アセトニトリル濃度を
0%から60%まで直線的に上昇させて溶出させること
により行った。該溶出処理により得られたペプチド断片
を、気相式シーケンサー(アプライドバイオシステムズ
社製;477A型)でEdman分解を行い、得られたPT
H−アミノ酸をPTH−アミノ酸同定用高速液体クロマ
トグラフィー(アプライドバイオシステムズ社製;12
0A型)で同定した。その結果、本発明のタンパク質に
は、配列番号3、配列番号4および配列番号5で表され
るペプチド鎖の3者が含まれていることが確認された。
るこれらのアミノ酸配列は、ヒト肝細胞増殖因子(hH
GF)[中村,Nature 342,440−443(1989)]における
ものとよく一致している。そのため本発明の因子はhH
GFの類似タンパクであると考えられるので、hHGF
のDNAの塩基配列を基にして、本発明のタンパク質の
アミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を決定し、
それに基づいて本発明のタンパク質のアミノ酸配列を次
の(5)のようにして決定した。
(PCR)用のプライマーの合成;hHGFファミリー
に関しては、数種類のcDNAの塩基配列が報告されて
おり[Nature 342,440−443(1989);宮沢,Biological
and Biophysical ResearchCommunication 163,967−97
3(1989)]、そこでこれらの5',3'非翻訳領域の共通塩
基配列を基にしてPCR用のプライマーを合成した。す
なわち、翻訳領域の5’末端(翻訳開始点)から47〜
82番目の上流の塩基を含む領域(5’プライマー)
と、3’末端側の終止コドンから下流に1〜37番目の
塩基を含む領域(3’プライマー)を基に、それぞれの
プライマーを合成した。
胞HUOCA−IIIからSDS・フェノール法によりR
NAを調製し、このRNAを鋳型としてM−MLV 逆転写
酵素を用いてcDNAを合成した。
(i)で合成したPCR用のプライマーを用いて、上記
(ii)で合成したcDNAの増幅を行って、PCR産物
を得た。
れたPCR産物をアガロースゲル電気泳動より解析した
結果、約2.3KbのDNA断片が1本だけ確認され
た。現在知られているhHGFファミリーの転写解読枠
は、約2.3Kbであるから、このDNA断片が本発明
のタンパク質に対するcDNAであると考えられる。
列の決定;そこで、上記で得られたDNA断片をゲルか
ら精製し、pUC18プラスミドベクターに組み込んだ
後、大腸菌JM109の形質転換を行ってクローン化
し、ジデオキシ法で塩基配列を決定した。数クローンの
塩基配列を決定することによりPCR時の読み間違いを
補正し、本発明のタンパク質のアミノ酸配列をコードす
るするDNAの塩基配列を決定したところ、配列番号2
で表される塩基配列を有していた。
記(v)で決定されたDNAの塩基配列は、配列番号6
に示すようなアミノ酸をコードしていると推定される。
したがって、本発明のタンパク質のアミノ酸配列は、シ
グナル塩基配列等によってコードされる他のアミノ酸配
列に置換可能なアミノ酸配列部分をも含めて、配列番号
1で表されるアミノ酸配列を有するものと考えられる。
ための一例およびそのアミノ酸配列の決定方法について
説明したが、本発明のタンパク質の調製法は特に限定さ
れず、配列番号2で表されるDNA塩基配列によりコー
ドされ且つ上記した〜の特性を有するタンパク質で
あれば、勿論その他の方法で製造したものであってもよ
い。
動物の血管内皮細胞に対して増殖促進活性を有する一方
で、ヒトおよび種々の動物の繊維芽細胞、血管平滑筋細
胞および肝細胞に対しては増殖促進活性を示さず、更に
HeLa細胞に対しては増殖促進活性および増殖抑制作
用を示さないので、血管内皮細胞の増殖を選択的に促進
することができ、その結果、副作用を起こすことなく血
管新生を円滑に進行させることができる。ここで、本発
明でいう「繊維芽細胞、血管平滑筋細胞および肝細胞に
対して増殖促進活性を示さず、更にHeLa細胞に対し
ては増殖促進活性および増殖抑制作用を示さない」と
は、繊維芽細胞、血管平滑筋細胞および肝細胞に対する
増殖促進活性並びにHeLa細胞に対する増殖促進活性
および増殖抑制作用を全く示さない場合、更には多少は
示すがその活性が血管内皮細胞に対する増殖促進活性に
比べて著しく低い場合を包含する。
維芽細胞、血管平滑筋細胞、肝細胞およびHeLa細胞
に対する増殖促進活性の有無、並びにHeLa細胞に対
する増殖抑制作用の有無の測定は、具体的には後述の実
施例に記載した方法により行った。
リンAに親和性を示す。本発明では、コンカナバリンA
に対する親和性は、具体的には次のようにして調べた。
ト装置(Bio−Rad社製「バイオドット」)を用いて、あ
らかじめ10mM トリス塩酸緩衝液/0.15M Na
Cl(pH7.5)に浸したニトロセルロース膜(Bio-
Rad社製)に吸着させた。風乾後、10mM トリス緩衝
液/0.15M NaCl/0.05%Tween(pH7.
5)で10分間4回液を交換して洗浄した後、1%BS
A(ウシ血清アルブミン)を含む同緩衝液に4℃で1時
間浸し、再び洗浄した。その後、西洋ワサビペルオキシ
ダーゼ(HRP)標識化コンカナバリンA溶液(10μ
g/ml)に4℃で1時間浸し、再び洗浄後、3,3’
−ジアミノベンジジンを基質として、H2O2を加えてH
RPを発色させ、コンカナバリンAとの結合能を判定し
た。その結果、コントールでは無色であったのに対し
て、該生成物では茶褐色に発色し、染色が見られたとこ
ろから、該生成物はコンカナバリンAに対して親和性を
もつことが確認された。
内皮細胞増殖促進活性、ひいてはその血管新生作用によ
り、該タンパク質を含む生理活性因子製剤は、創傷、火
傷、褥瘡、術後組織の治癒促進剤や心血管障害の治療薬
として、人工血管や人工皮膚等の人工臓器への応用面
で、さらには本発明のタンパク質に対する抗体および阻
害剤は、悪性腫瘍、網膜症、慢性関節リウマチの診断薬
や治療薬として有用である。
塩基配列部分を含む、本発明のタンパク質のアミノ酸配
列をコードする配列番号2の塩基配列を有するDNA、
および該DNAを挿入したベクター(プラスミドなど)
やこのDNA挿入プラスミドを導入した組換体は、上記
した優れた特性を有する本発明のタンパク質の製造(大
量生産など)に極めて有効である。
の調製法、分子量の測定、アミノ酸配列の決定、各種細
胞に対する活性の有無および糖鎖の有無、本発明のタン
パク質のアミノ酸配列をコードするDNAの調製、その
塩基配列の決定などについて具体的に説明するが、本発
明はそれらの例により限定されない。
の測定およびアミノ酸配列の決定] (1) HUOCA−III無血清培養上清10リット
ルに最終濃度0.03%となるようにCHAPS(3−
[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−
プロパンスルホネート;(株)同人化学研究所)(販売
元:和光純薬)を加えた。ベット体積40mlのS−セ
ファロース Fast Flow(ファルマシア社製)を
10mM リン酸緩衝液/0.15M NaCl/0.03
%CHAPS(pH7.2)からなる緩衝液で平衡化
し、無血清培養上清を4℃、流速200ml/時で吸着
させた。上記の0.15M NaCl緩衝液で洗浄した
後、0.15M NaCl緩衝液および2.0M NaCl
緩衝液の各々でリニアグラジエントにより、流速200
ml/時、温度4℃で溶出させて、波長280nmにお
ける吸光度を測定すると共に6.7ml/画分になるよ
うに分画して採液した。波長280nmにおける吸光度
は図1に示すとおりであった。上記で得た各画分のウシ
大動脈血管内皮細胞に対する増殖促進作用を下記により
測定したところ、図2に示すとおりであり、画分No.
12〜24の画分が高い血管内皮細胞増殖促進活性を有
していた。
作用の測定法 ウシ大動脈血管内皮細胞を、10%ウシ胎児血清を含む
DME培地(Flow Laboratory社製)に懸濁して、5×
103細胞個/ウエルの細胞密度で24穴(ウエル)マ
ルチプレート(コーニング社製)にまいた。翌日、5%
ウシ胎児血清を含むDME培地で培地交換すると共に試
料を加えて5日間培養して細胞数を計測した。
殖促進活性の高い画分を緩衝液で3倍に希釈した後、
0.5M NaClを含む緩衝液で平衡化したベッド体積
4mlのヘパリンセファロースCL−6B(ファルマシ
ア社製)に温度4℃、流速0.2〜0.4ml/分で吸
着させた。同塩濃度の緩衝液で洗浄した後、0.5M N
aCl緩衝液および2.0M NaCl緩衝液の各々でリ
ニアグラジエントにより、流速0.2ml/分、温度4
℃で溶出させて、その波長280nmにおける吸光度を
測定すると共に3ml/画分になるように分画して採液
した。波長280nmでの吸光度は図3に示すとおりで
あった。上記で得た各画分のウシ大動脈血管内皮細胞に
対する増殖促進作用を上記と同様にして測定したとこ
ろ、図4に示すとおりであり、画分No.23〜30の
画分が高い血管内皮細胞増殖促進活性を有していた。
殖促進活性の高い画分を緩衝液で3倍に希釈した後、
0.5M NaCl緩衝液で平衡化したTSK−ヘパリン
5PW(内径7.5mm、長さ7.5cm;東ソー社製)
に吸着させた。同塩濃度の緩衝液で洗浄した後、0.5
M NaCl緩衝液および2.0M NaCl緩衝液の各
々でリニアグラジエントにより、流速0.5ml/分、
室温で溶出させて、その波長215nmにおける吸光度
を測定すると共に、0.5ml/画分になるように分画
して採液したところ、画分ごとの215nmにおける吸
光度は図5に示すとおりであった。上記で得た各画分の
ウシ大動脈血管内皮細胞に対する増殖促進作用を上記と
同様にして測定したところ、図6に示すとおりであり、
画分No.30〜32の画分が高い血管内皮細胞増殖促
進活性を有していた。
殖促進活性の高い画分をVP−318カラム(内径4.
6mm、長さ30mm;センシュー科学社製)を用いた
逆相クロマトグラフィーで、0.1%トリフルオロ酢酸
(TFA)の存在下に、アセトニトリル濃度を10%か
ら60%まで直線的に上昇させ、流速1.0ml/分で
溶出して、その波長215nmにおける吸光度を測定す
ると共に、10ml/画分になるように分画して採液し
たところ、画分ごとの215nmにおける吸光度は図7
に示すとおりであった。上記で得た各画分のウシ大動脈
血管内皮細胞に対する増殖促進作用を上記と同様にして
測定したところ、図8に示すとおりであった。そのピー
ク画分を分取して高い血管内皮細胞増殖促進活性を有す
る高純度の精製物を得た。
分子量をSDSポリアクリルアミド電気泳動により測定
した。分子量マーカーとして、分子量既知の下記の物質
6種を用いて、前記と同様にして電気泳動を行った。 [分子量マーカー] ○ ウサギ筋肉由来ホスホリラーゼ (分子量97,4
00ダルトン) ○ ウシ血清アルブミン (分子量66,2
00ダルトン) ○ オボアルブミン (分子量45,0
00ダルトン) ○ カルボニックアンヒドラーゼ (分子量31,0
00ダルトン) ○ ダイズトリプシンインヒビター (分子量21,5
00ダルトン) ○ ライソザイム (分子量14,4
00ダルトン)
た。図9の結果から、上記(4)で得た高純度精製物の
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量
が、非還元条件下で72,000〜80,000ダルト
ンであり、還元条件下で79,000〜85,000ダ
ルトンであり、一本鎖タンパク質であることが確認され
た。
各ゲル部分を試験管内に各々入れて粉砕し、これに緩衝
液500μlを加えて4℃で16時間振盪した。遠心し
て上清を回収し、緩衝液に対して透析した。これを凍結
乾燥した後、100μlの緩衝液に溶解し、ウシ大動脈
内皮細胞に対する増殖促進活性を上記と同様にして測定
したところ、図10に示すように、非還元条件下での分
子量72,000〜80,000ダルトンの画分に内皮
細胞に対する増殖促進活性が認められた。
法によりそのアミノ酸配列の決定を行ったところ、配列
番号3で表されるペプチド鎖、配列番号4で表されるペ
プチド鎖および配列番号5で表されるペプチド鎖を有す
ることが確認された。
l、N-グリカナーゼ(genzyme社製;250units/m
l)3.2μlを、30μlの50mM トリス塩酸緩衝
液(pH8.0)に加えて18時間反応させた後、0.
1%SDSを含む10%ポリアクリルアミドゲル電気泳
動し、その後銀染色したところ、図11に示す泳動パタ
ーンとなり、N-グリカナーゼ処理された該高純度精製
物では糖鎖の分離によると考えられる分子量低下が確認
され、このことから該高純度精製物は糖鎖の付加した糖
タンパク質であることが確認され、したがって、SDS
ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により測定した上記
の分子量は、糖が付加した糖タンパク質としての分子量
であると判断される。
親和性試験] 前記したと同じ方法によって、実施例1の工程(4)で
得た高純度精製物のコンカナバリンAに対する親和性を
調べたところ、該精製物がコンカナバリンAに対して親
和性であることが確認された。そして、上記実施例1の
結果およびこの実施例2の結果から、該工程(4)で得
た高純度精製物が糖タンパク質であることが確認され
た。
ンパク質における配列番号3〜配列番号5で表される各
ペプチド鎖におけるアミノ酸配列は、hHGFにおける
ものとよく一致しし、したがって実施例1で得られタン
パク質はhHGFのファミリーに属すると考えられるの
で、hHGFファミリーのDNAを基にして、実施例1
で得られたタンパク質のアミノ酸配列をコードするDN
Aの塩基配列および該アミノ酸配列を下記のようにして
決定した。
イマーはDNA/RNAシンセサイザーモデル392
(アプライドバイオシステムズ社製)により40nMカ
ラムを用いてプライマーサイクルで合成を行った。すな
わち、翻訳領域の5’末端(翻訳開始点)から47〜8
2番目の上流の塩基を含む領域(R’プライマー)と、
3’末端(終止コドン)から下流に1〜37番目の塩基
を含む領域(3’プライマー)をもとに、それぞれプラ
イマーを合成した。なお、3’プライマーは、その塩基
の一部を置換することによりBamHl認識部位をつく
った。 5’プライマー;5’TCTTTTAGGCACTGACTCCGAACAGGATTC
TTTCAC3’ 3’プライマー;5’GTTGTATTGGTGGATCCTTCAGACACACTT
ACTTCAG3’
細胞HUOCA−IIIからSDS・フェノール法[Mania
tisetal, Molecular Clooning,vol.1(1989)]により
調製したRNA試料(10μg/μl)の5μlを70
℃で5分間加熱した後、氷中で急冷した。そのままで5
分間冷やした後、10μlの5x逆転写反応用緩衝液
(250mM トリス緩衝液/pH8.3、375mM
KCl、15mM MgCl2)、15μlの2.5mM d
NTP(dATP・dCTP・dGTP・dTTP混合
物;宝酒造社製)、0.5μlの1M ジチオスレイト
ール、1μlのオリゴ(dT)12-18(アマシャム社
製)、2.5μlのリボヌクレアーゼインヒビター(2
00units/μl;宝酒造社製)、13μlの蒸留水お
よび3μlのM−MLV逆転写酵素(200units/μ
l;GIBCOBRL社製)を加え、37℃で1時間反応させて
cDNAを合成した。反応終了後、フェノール処理して
除蛋白質を行い、エタノール沈殿によりcDNAを回収
し、50μlの蒸留水に溶解し、−80℃で保存した。
(b)で調製したcDNA水溶液の5μlに、70μl
の蒸留水と、10μlの10xPCR反応用緩衝液[5
00mM KCl、15mM MgCl2、100mM トリ
ス緩衝液/pH8.3、0.01%(W/V)ゼラチ
ン]、8μlのdNTP(宝酒造社製)、上記(a)で
合成した5’プライマー(1μg/μl)の3μlおよ
び3’プライマー(1μg/μl)の3μlを加え、9
5℃で7分間加熱後、急冷した。これに1μlのAmp
l:Taq DNAポリメラーゼ(5units/μl;PERK
IN ELMER CETUS社製)を加え、反応液の液面をミネラル
オイル(ヌジョールミネラルオイル;PERKIN ELMER CET
US社製)で覆った後、PCR反応(94℃で1分、60
℃で2分、72℃で3分の3段階の反応を30回繰り返
した)を行った。反応終了後、クロロホルム処理により
ミネラルオイルを除去し、次いでフェノール処理して除
蛋白質を行い、エタノール沈殿によりPCR産物を回収
した。
85μlのPCR産物に、10μlの10xBamHl
反応用緩衝液(1.5M NaCl、60mM トリス緩衝
液/pH7.9、60mM MgCl2)と5μlのBam
Hl(15units/μl;ニッポンジーン社製)を加え
て37℃で1時間保温してPCR産物の消化を行った。
産物の精製;BamHlによって消化されたPCR産物
を定電圧(100V)で、0.7%アガロースゲル電気
泳動を行った。電気泳動終了後、エチジウムブロマイド
で染色し、UVトランスイルミネーター上でDNAを観
察したところ、約2.3KbのDNAバンドが確認され
た。この2.3KbのDNAバンド部分を切り出し、ゲ
ル中のPCR産物をSephaglas Band Prep Kit(ファル
マシア社製)を用いて精製した。
mHlによる消化;2μlのpUC18(1μg/μ
l、宝酒造社製)に6.6μlの蒸留水と3μlの10
xBamHl反応用緩衝液および1.4μlのBamH
l(15units/μl;ニッポンジーン社製)を加えて
37℃で1時間反応させて、プラスミドの消化を行っ
た。反応終了後、フェノール処理して除蛋白質を行った
後、エタノール沈殿によるプラスミドを回収した。得ら
れたプラスミドを33μlの蒸留水に溶解した後、4μ
lのCIP緩衝液(50mM トリス緩衝液/pH8.
0、1mM MgCl2)と3μlのアルカリホスファター
ゼ(「Calf Intestin」;2,500units/ml;東洋
紡社製)を加え、37℃で40分間、更に50℃で20
分間反応させた。反応終了後、フェノール処理およびエ
タノール沈殿を行ってプラスミドを回収した。
換;上記(e)で得られたBamHlで消化されたPCR
産物の精製物の6μl(30μg)に、上記(f)で調製
したBamHlで消化されたpUC18プラスミドの2
μl、および2μlの10xライゲーション緩衝液(1
0mM ATP、200mM DTT、100mM MgC
l2、500mM トリス緩衝液/pH7.9)、9μlの
蒸留水および1μlのT4 DNAリガーゼ(500uni
ts/μl;ニッポンジーン社製)を加え、16℃で一晩
反応させた。反応終了後、その一部を100μlのE.co
li JM 109 compitent cell(ニッポンジーン社製)に加
え、氷中で20分間静置した後、42℃で45秒間熱処
理し、再び氷中に移して2分間以上静置した。これを4
00μlのHi-compitence Broth(ニッポンジーン社
製)に加え、37℃で60分間振とうさせた後、40μ
lの2%X−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−イ
ンドリル−β−D−ガラクトピラノシド)/ジエチルホ
ルムアミド溶液と40μlの100mM IPTG(イ
ソプロピル−β−D−チオ−ガラクトピラノシド)を加
え、LBプレート(0.5%イースト抽出物、1%バク
トトリプトン、1.5%寒天、1%NaCl、50μg/
mlアンピシリン/pH7.5)に撒き、37℃で一晩
培養した。プレート上に白色のコロニー(組換え体)と青
色コロニー(非組換え体)が形成されたが、白色のコロニ
ーを拾うことによるcDNAの挿入したプラスミドをも
つJM109を選択した。
てプラスミドを導入したJM109を100mlのLB
培地(1%バクトトリプトン、0.5%イースト抽出
物、1%NaCl/pH7.5)で37℃にて一晩培養し
た。菌が対数増殖期に達したら、遠心(5000rp
m,0℃で5分間)して集菌し、4mlのP1緩衝液
(100μg/ml リボヌクレアーゼ A、50mM
トリス緩衝液/pH8.0、10mM EDTA/pH
8.0)に懸濁した後、4mlのP2緩衝液(200m
M NaOH、1%ドデシル硫酸ナトリウム)を加え、室
温にて5分間アルカリ変性処理した。アルカリ変性後、
4mlのP3緩衝液(2.55mM 酢酸カリウム/p
H4.8)を加えて中和し、遠心した(15000rp
m、4℃で30分間)。得られた上清液を、予め2ml
のQB緩衝液(750mM NaCl、50mM 3−
[N−モルフォリノ]プロパンスルフォン酸/pH7.
0、15%エタノール)で平衡化しておいたQIAGEN-MID
I column-pack 100(DIAGEN社製)にアプライした。カ
ラムを4mlのQC緩衝液(1M NaCl、50mM
3−[N−モルフォリノ]プロパンスルフォン酸/pH
7.0、15%エタノール)で2回洗浄した後、2ml
のQF緩衝液(1.2M NaCl、15%エタノール5
0mM 3−[N−モルフォリノ]プロパンスルフォン
酸/pH8.0)でプラスミドを溶出させた。溶出液に
500μlのイソプロパノールを加え、室温で30分間
遠心し、得られた沈殿を70%エタノールで洗浄し、1
00μlの蒸留水に溶解した。
の決定;上記(h)で調製した3μgのプラスミド水溶
液16μlに、2μlの2NNaOHと2μlの2mM
EDTAを加え、37℃で25分間プラスミドをアルカ
リ変性させた。変性後、2μlの3M 酢酸ナトリウム
と100μlの冷エタノールを加え、−80℃で10分
間エタノール沈殿を行った。沈殿してきたプラスミドを
遠心して回収し、70%エタノールで洗浄した後、7μ
lの蒸留水に溶解した。これに、1μlのシークエンス
用プライマー(0.5pmole)と、2μlの5x緩
衝液A(250mM NaCl、200mM トリス緩衝液
/pH7.5、100mM MgCl2)を加え、65℃で
2分間保温した後、30℃まで徐冷し、プラスミドとプ
ライマーをアニールさせた。アニール後、1μlの0.
1M ジチオトレイトールと2μlのラベル混液(1.
5μM 7−デアザ−dGTP、1.5μM dATP、
1.5μM dTTP)、0.5μlの[α−35S]d
CTP(1000 Ci/ミリモル;アマシャム社
製)、2μlのSeuenaseVer. 2.0(1.5U/μl;Un
ited States Biochemical Corp.製)を加え、37℃で
5分間反応させた。
め保温しておいた2.5μlのG溶液(50mM NaC
l、80μM 7−デアザ−dGTP、80μM dAT
P、80μM dCTP、80μM dTTP、8μM
ddGTP)、A溶液(80μM 7−デアザ−dGT
P、80μM dATP、80μM dCTP、80μM
dTTP、8μM ddATP、50mM NaCl)、
C溶液(80μM 7−デアザ−dGTP、80μM d
ATP、80μM dCTP、80μM dTTP、8μ
M ddCTP、50mM NaCl)、T溶液(80μM
7−デアザ−dGTP、80μM dATP、80μM
dCTP、80μM dTTP、8μM ddTTP、
50mM NaCl)にそれぞれ加えた。37℃で5分間
反応させた後、4μlの反応停止液(95%ホルムアミ
ド、0.05%ブロモフェノールブルー、20mM E
DTA、0.05%キシレンシアノールFF)を加えて
反応を終了させた。
後、試料の2.5μlを電気泳動した。使用したゲルの
組成は、7M 尿素/10% HydroLinkTM LONGRANGER
(ATBiochem社製)/100mM トリス緩衝液/100mM
ホウ酸/2mM EDTAであり、0.05%過硫酸ア
ンモニウムと0.0005%N,N,N',N'−テトラメ
チレンジアミン(TEMED)を用いてゲルを重合させ
た。また、電気泳動は緩衝液としてTEB緩衝液(50
mM トリス緩衝液、50mM ホウ酸、1mMEDT
A)を用いて、60Wの定電力で行った。電力泳動終了
後、ゲルを濾紙上で乾燥させ、オートラジオグラフィー
を行ってDNAの塩基配列を決定したところ、配列番号
2で表される塩基配列を有していた。
コドンは、配列番号6で表されるようにしてタンパク質
における各アミノ酸をコードし、したがって配列番号2
で表されるDNAの塩基配列(すなわち配列番号6で表
される配列表)から、実施例1で得られたタンパク質が
配列番号1で表されるアミノ酸配列を有することが明ら
かになった。そして、配列番号1で表されるタンパク質
のアミノ酸配列において、上記の実施例1でそのアミノ
酸配列が確認された配列番号3で表されるペプチド鎖は
36番目〜42番目のアミノ酸配列に相当し、配列番号
4で表されるペプチド鎖は111番目〜120番目のア
ミノ酸配列に相当し、配列番号5で表されるペプチド鎖
は526番目〜541番目のアミノ酸配列に相当する。
漿尿膜上に、実施例1の工程(4)で得た高純度精製物
(本発明のタンパク質)を担持量を変えて含浸させたフ
ィルター(直径6mm)を静置して、37℃、加湿状態
で3日間培養した。3日後に血管新生状態を実体顕微鏡
下で観察した。判定は、陽性(+)(フィルター周囲に
血管の新生を認める)、陰性(−)(血管の新生が認め
られない)として、10個の受精卵に対する陽性の個数
を数えた。また、比較のために、生理食塩水を含浸させ
たフィルターを使用して同様の試験を行った。その結果
を下記の表1に示す。
が血管新生作用を有することがわかる。
対する増殖促進作用の試験] ヒトサイ帯血管内皮細胞を常法に従ってヒトサイ帯より
分離し、コラーゲンコーティングした24穴マルチプレ
ート(コーニング社製)に、20%ウシ胎児血清を含む
MCDB107培地(極東製薬社製)を用いて1×10
4個細胞/ウエルの細胞密度でまいた。翌日より2日お
きに実施例1の工程(4)で得た本発明のタンパク質を
各々下記の表2に示す濃度で含む5%ウシ胎児血清入り
培地で交換して、8日目に細胞数を計測したところ、下
記の表2に示す結果を得た。
がヒトサイ帯血管内皮細胞の増殖を促進する作用を有す
ることがわかる。
進作用の有無の試験] ヒト真皮由来繊維芽細胞をヒト皮膚より初代培養し継代
8代目を使用した。10%ウシ胎児血清を含むDME培
地(Flow Laboratory社製)で24穴マルチプレートに
より5×103個細胞/ウエルの細胞密度でまいた。翌
日より2日おきに実施例1の工程(4)で得た本発明の
タンパク質を100ng/mlの濃度で含む0.5%ウ
シ胎児血清入りDME培地で交換して、8日目に細胞数
を計測した。また比較のため、タンパク質を含まない培
地および塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)を1n
g/mlの濃度で含む培地を使用して各々同様にして試
験を行って、8日目に細胞数を計測した。その結果を下
記の表3に示す。
胞増殖を強く促進するのに対して、実施例1で得た本発
明のタンパク質は、無添加の場合と8日目の繊維芽細胞
の数があまり変わらず、繊維芽細胞増殖促進作用をほと
んどもたないことがわかる。
殖促進作用の有無の試験] ヒト平滑筋細胞をサイ帯より初代培養し継代6代目を使
用した。10%ウシ胎児血清を含むDME培地で24穴
マルチプレートにより5×103個細胞/ウエルの細胞
密度でまいた。翌日より2日おきに実施例1の工程
(4)で得た本発明のタンパク質を100ng/mlの
濃度で含む培地で交換して、8日目に細胞数を計測し
た。また比較のため、タンパク質を含まない培地および
塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)を1ng/ml
の濃度で含む培地を使用して各々同様にして試験を行っ
て、8日目に細胞数を計測した。その結果を下記の表4
に示す。
明のタンパク質は、無添加の場合と8日目の繊維芽細胞
の数があまり変わらず、ヒト平滑筋細胞に対する増殖促
進活性がないことがわかる。
性の有無の試験] 肝実質細胞(以下「肝細胞」と称する)を高橋らの方法
[組織培養 12(8),308−312(1986)]に
従って分離した。この肝細胞をWE基礎培地に5%ウシ
胎児血清と10-8Mデキサメタゾンを含む播種用培地に
懸濁して5.0×104個細胞/0.2mlに調製し
た。この肝細胞浮遊液をコラーゲンコートした24穴マ
ルチプレートに播いて培養した。培養開始4時間後と2
0時間後にWE基礎培地に交換し、この際に実施例1で
得た本発明のタンパク質を下記の表4に示す割合で添加
して培養を継続した。培養開始40時間後に新しいWE
基礎培地に交換して3H−チミジンを添加し、2時間の
パルスラベリングを行った。パルスラベリング後に、培
地上清を除き、冷リン酸緩衝液(PBS)、2%過塩素
酸塩、95%冷エタノールの順に各3回洗浄した後、室
温で乾燥させた。1%SDS/0.1N NaOHを0.
8mlづつ添加し、37℃で1時間以上静置した。細胞
溶解後、ピペッティングして各ウエル当たり0.5ml
をシンチレーションバイアルにとり、シンチレーター
(オプティフロー;パッカード社製)を7ml加えて混
和し、シンチレーションカウンターで放射能を測定し
て、3H−チミジンの取り込みを調べた。
M)と上皮細胞成長因子(EGF)(50ng/ml)
を使用して、上記と同様にして試験を行った。その結果
を、下記の表5に示す。
を添加しても3H−チミジンの取り込みがなく、肝細胞
の増殖促進作用をもたないことがわかる。
抑制促進および作用の有無の試験] HeLa−S3細胞を5%ウシ血清を含むMEM培地に
懸濁して1×105個細胞/mlの懸濁液を調製した。
このHeLa−S3細胞懸濁液を96穴マルチプレート
に100μlづつ分注して24時間培養した。培養後、
培地を実施例1で得たタンパク質を含む5%ウシ血清入
りMEM培地で交換して48時間培養した。
色法で測定した。すなわち、培養後に、リン酸緩衝液で
各穴を洗浄した後、10%ホルマリン溶液に30分浸し
て細胞を固定した。次いで、ホルマリンを流水で洗浄し
た後乾燥して、2%エタノールを含む0.2%クリスタ
ルバイオレット溶液を加えて15分間染色した。未結合
色素を流水中で洗浄して除去した後乾燥させ、次いで1
%SDS溶液を分注して結合色素を溶解させた。溶出し
たクリスタルバイオレットの吸光度を波長540nmで
測定した。
に上記と同様にして培養およびクリスタルバイオレット
による染色を行って、その540nmにおける吸光度を
測定した。対照の540nmでの吸光度を1.00とし
てその比率を算出したところ、下記の表6に示すとおり
の結果を得た。
を添加しても無添加(対照)の場合と比べて540nm
での吸光度にほとんど差がなく、本発明のタンパク質は
HeLa細胞に対する増殖促進作用および増殖抑制作用
の両方ともないことがわかる。
筋細胞に対する遊走刺激作用] 常法によりウサギ角膜毛細血管より血管内皮細胞を分離
して初代培養した。遊走能はボイデンチャンバー法によ
り測定した。すなわち、下段に実施例1で得たタンパク
質を含む10%ウシ胎児血清入りDME培地、上段に血
管内皮細胞を2×104個/ml含む10%ウシ胎児血
清入りDME培地を加えて37℃で4時間培養した。ま
た、平滑筋細胞は、ラット肺大動脈より分離し初代培養
した細胞を用いて同様に試験を行った。培養後に、ディ
フクイック液で染色して顕微鏡下で一視野当たりの遊走
細胞数を計測した。その結果を下記の表7に示す。
は血管内皮細胞に対しては遊走活性を示すが、平滑筋細
胞に対しては全く遊走活性を示さないことがわかる。
有するタンパク質からなる本発明の血管内皮細胞増殖促
進剤、ひいては血管新生剤は、血管内皮細胞の増殖は促
進するが、平滑筋細胞、繊維芽細胞および肝細胞に対す
る増殖促進活性をもたず、更にHeLa細胞に対する増
殖促進作用および増殖抑制作用を示さないので、血管内
皮細胞の増殖を選択的に促進することができ、副作用を
起こすことなく血管新生を円滑に進行させることが期待
できる。そのため、本発明の血管内皮細胞増殖促進剤、
ひいては血管新生剤は、上記した優れた血管新生作用に
より、創傷、火傷、褥瘡、術後組織の治癒促進剤や心血
管障害の治療薬として、また人工血管や人工皮膚等の人
工臓器への応用面で、更に悪性腫瘍、網膜症、慢性関節
リウマチの診断薬や治療薬として有用である。更に、本
発明の血管内皮細胞増殖促進剤および血管新生剤に用い
る配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するタンパク
質は、従来の生理活性因子に比べて生産性が高く、しか
も高純度で得ることができる。
交換クロマトグラフィーにより処理した溶出液の各画分
の波長280nmにおける吸光度を測定したグラフであ
る。
対する増殖促進作用を測定したグラフである。
た溶出液のうちの血管内皮細胞増殖促進活性画分を更に
ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーにより処理
した溶出液の各画分の波長280nmにおける吸光度を
測定したグラフである。
対する増殖促進作用を測定したグラフである。
より処理した溶出液のうちの血管内皮細胞増殖促進活性
画分を更にヘパリンアフィニティー高速液体クロマトグ
ラフィーにより処理した溶出液の各画分の波長215n
mにおける吸光度を測定したグラフである。
対する増殖促進作用を測定したグラフである。
フィーにより処理した溶出液のうちの血管内皮細胞増殖
促進活性画分を更に逆相高速液体クロマトグラフィーに
より処理した溶出液の各画分の波長215nmにおける
吸光度を測定したグラフである。
対する増殖促進作用を測定したグラフである。
ンパク質)のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に
よる泳動パターンを示す図である。
て、その各区分中の高純度精製物をゲルから溶出させ、
その血管内皮細胞に対する増殖促進作用を調べたときの
グラフである。
(タンパク質)をN−グリカナーゼで処理した生成物の
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による泳動パタ
ーンを示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 配列番号1で表されるアミノ酸配列を有
する一本鎖タンパク質からなることを特徴とする血管内
皮細胞増殖促進剤。 - 【請求項2】 配列番号1で表されるアミノ酸配列を有
する一本鎖タンパク質からなることを特徴とする血管新
生剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33790092A JP3375997B2 (ja) | 1991-11-28 | 1992-11-26 | 血管内皮細胞増殖促進剤 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3-337999 | 1991-11-28 | ||
JP33799991 | 1991-11-28 | ||
JP33790092A JP3375997B2 (ja) | 1991-11-28 | 1992-11-26 | 血管内皮細胞増殖促進剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH069691A JPH069691A (ja) | 1994-01-18 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP33790092A Expired - Lifetime JP3375997B2 (ja) | 1991-11-28 | 1992-11-26 | 血管内皮細胞増殖促進剤 |
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JP (1) | JP3375997B2 (ja) |
-
1992
- 1992-11-26 JP JP33790092A patent/JP3375997B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
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Proc.Natl.Acad.Sci.USA(Aug.1991),88,p.7001−7005 |
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Publication number | Publication date |
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