JP3373588B2 - 品質制御装置および制御方法 - Google Patents

品質制御装置および制御方法

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JP3373588B2
JP3373588B2 JP11519893A JP11519893A JP3373588B2 JP 3373588 B2 JP3373588 B2 JP 3373588B2 JP 11519893 A JP11519893 A JP 11519893A JP 11519893 A JP11519893 A JP 11519893A JP 3373588 B2 JP3373588 B2 JP 3373588B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄鋼プロセスなどで発
生する品質欠陥等を防止する品質制御装置ならびに制御
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄鋼プロセスなどの製造プロセス
には、制御システムが装備され、品質の高度化や省エ
ネ、省力化が進められてきた。
【0003】しかし、疵等の品質欠陥などの制御は、数
式モデルの作成が困難であったため熟練技術者の経験則
を用いたAI手法が用いられてきた。しかしこの方法で
は熟練者から知識を獲得して経験にもとずいた制御則を
整理するため多くの労力が必要であること、および操業
の変化に対してその制御則の維持に多くの労力が必要で
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、プロセスの
品質制御特性の改善、維持、劣化の防止に有効な新たな
制御装置および制御方法を提案する。
【0005】
【課題を解決するための手段】(請求項1、2) 上記課題を解決するため、本発明の品質制御装置は、多
層型神経回路に疵等の品質目標値およびプロセス操業値
実績を入力して品質制御系の制御量を決定する品質制御
装置において、物性値、温度等のプロセスの操業値を第
1の多層型神経回路の入力とし、疵等の品質値を該神経
回路の出力として、該出力が品質実績値に近づくように
この神経回路の重み係数を学習させる装置と、その学習
した第1の神経回路を用いてその入力のプロセス操業値
を実データ値のまわりに変動させて該回路の出力値を発
生させる装置と、この発生させた品質値およびそのとき
の物性値、制御変数でない操業値を第2の多層型神経回
路の入力とし、制御変数値をこの神経回路の出力とし
て、該出力がこの発生させた制御変数値に近づくよう
この多層型神経回路の重み係数を学習させる装置と、こ
の学習した第2の神経回路に疵等の品質目標値、物性
値、制御変数でないプロセス操業値を入力し、この回路
の出力を品質制御系の制御量として出力する装置とを有
することを特徴とする品質制御装置である。
【0006】また、本発明の制御方法は、多層型神経回
路に疵等の品質目標値およびプロセス操業値実績を入力
して品質制御系の制御量を決定する品質制御方法におい
て、物性値、温度等のプロセスの操業値を第1の多層型
神経回路の入力とし、疵等の品質値を該神経回路の出力
として、該出力が品質実績値に近づくようにこの神経回
路の重み係数を学習させ、その学習した第1の神経回路
を用いてその入力のプロセス操業値を実データ値のまわ
りに変動させて該神経回路の出力値を発生させ、この発
生させた品質値およびそのときの物性値、制御変数でな
い操業値を第2の多層型神経回路の入力とし、制御変数
値をこの神経回路の出力として、該出力がこの発生さ
せた制御変数値に近づくようにこの多層型神経回路の
重み係数を学習させ、この学習した第2の神経回路に疵
等の品質目標値、物性値、制御変数でないプロセス操業
値を入力し、この回路の出力を品質制御系の制御量とし
て出力することを特徴とする品質制御方法である。
【0007】(請求項3、4) また、本発明の品質制御装置は、多層型神経回路に疵等
の品質目標値およびプロセス操業値実績を入力して品質
制御系の制御量を決定する品質制御装置において、物性
値等のプロセスの操業値のうち温度等の制御変数量をい
くつかの主成分変数に集約する装置と、集約した主成分
変数に相当する操業値と他の操業値を第1の多層型神経
回路の入力とし、疵等の品質値を該神経回路の出力とし
て、該出力が品質実績値に近づくようにこの神経回路の
重み係数を学習させる装置と、その学習した第1の神経
回路を用いてその入力のプロセス操業値を実データ値、
集約された制御変数値のまわりに変動させて該回路の
出力値を発生させる装置と、この発生させた品質値およ
びそのときの物性値、制御変数でない操業値を第2の多
層型神経回路の入力とし、集約した主成分変数をこの神
経回路の出力として、該出力がこの発生させた主成分変
値に近づくようこの多層型神経回路の重み係数を学
習させる装置と、この学習した第2の神経回路に疵等の
品質目標値、物性値、制御変数でないプロセス操業値を
入力し、この神経回路の出力として主成分変数値を発生
する装置と、この出力値を集約前の制御変数に変換して
品質制御系の制御量として出力する装置とを有すること
を特徴とする品質制御装置である。
【0008】また、本発明の制御方法は、多層型神経回
路に疵等の品質目標値およびプロセス操業値実績を入力
して品質制御系の制御量を決定する品質制御方法におい
て、物性値等のプロセスの操業値のうち温度等の制御変
数量をいくつかの主成分変数に集約するとともに、集約
した主成分変数に相当する操業値と他の操業値を第1の
多層型神経回路の入力とし、疵等の品質値を該神経回路
の出力として、該出力が品質実績値に近づくようにこの
神経回路の重み係数を学習させ、その学習した第1の神
経回路を用いてその入力のプロセス操業値を実データ
値、集約された制御変数値のまわりに変動させて該神
経回路の出力値を発生させ、この発生させた品質値およ
びそのときの物性値、制御変数でない操業値を第2の多
層型神経回路の入力とし、集約した主成分変数をこの回
路の出力として、該出力がこの発生させた主成分変数
値に近づくようこの多層型神経回路の重み係数を学習さ
せ、この学習した第2の神経回路に疵等の品質目標値、
物性値、制御変数でないプロセス操業値を入力しこの神
経回路の出力として主成分変数値を発生させ、そして
この出力値を集約前の制御変数に変換して品質制御系の
制御量として出力することを特徴とする品質制御方法で
ある。
【0009】
【作用】
(請求項1、2)本発明の制御装置およびその方法は、
プロセスの品質目標、操業条件に対する制御系の制御量
の決定を神経回路を用いて行うものである。そのために
プロセスの物性値、温度等の操業データから疵等の品質
を予測するプロセスモデルと、品質目標および制御でき
ない操業データから制御量を求める制御モデルをそれぞ
れ別の神経回路を用いる。それらの神経回路は、実際の
プロセス操業データ、品質データなどを使用して、神経
回路の学習則(バックプロパゲーション)を用いて行な
われる。
【0010】図2に示す3階層の神経回路において、入
力層へデータxi(i=1,n1)を入力すると、入力
層からの中間層への神経細胞(図3)の状態の変化は、
【0011】
【数1】 ここで、wij (2) は、入力層から中間層への重み係数
である。n2は、中間層の数を示す。
【0012】中間層の出力は、 yi = fi(ui) ここで、fiは、発火関数で単調増加関数を用いる。
【0013】次に中間層からの出力層への神経細胞の状
態変化は、
【0014】
【数2】 ここで、wij (3) は、中間層から出力層への重み係数
である。n3は、出力層の数を示す。
【0015】出力層の出力は、 yi = fi(ui) となる。
【0016】そのとき、wij (2) およびwij (3) の学
習は、以下のようにおこなわれる。
【0017】出力層から中間層へのwij (3) の学習
は、 δj =(dj−yj)fj′(uj) (j=1,n3) ここでdjは、教師信号と言われるもので、本発明の品
質予測では、品質実績を意味する。fj′は、fjの微
分を意味する。
【0018】 wij (3) =η・δj・yi + wij (3) (i=1,n2),(j=1,n3)(上記式は、右辺のη・δj・yi + wij (3)
値を新たなwij (3) とすることを意味する) つぎに、 中間層から入力層へのwij (2) の学習は、
【0019】
【数3】 wij (2) =η・δj・xi + wij (2) (i=1,n1),(j=1,n2)(上記式は、右辺のη・δj・xi + wij (2)
値を新たなwij (2) とすることを意味する) のように行なわれる。ηは学習係数で0から1の値をと
る。
【0020】本発明の制御装置および方法では、第1の
神経回路において多数組のプロセス操業データとそのと
きの品質結果を用いて、物性値、温度等のプロセスの操
業値をその多層型神経回路の入力とし、該回路の出力が
疵等の品質実績になるようにこの神経回路の重み係数を
学習させる。
【0021】次に、その学習した第1の神経回路を用い
てその入力のプロセス操業値を多数組の実操業データの
まわりに変動させてこの回路の出力値である品質値を発
生させこれらを第2の神経回路の学習データとする。
【0022】上記で発生させた学習データのうち品質デ
ータおよびそのときの物性値、制御できない操業値を第
2の多層型神経回路の入力とし、この回路の出力が制御
変数値になるようこの多層型神経回路の重み係数を学習
させる。
【0023】この学習した第2の神経回路に疵等の品質
目標値、制御変数でないプロセス操業値を入力し、この
回路の出力を品質制御系の制御量として用いる。
【0024】本発明では、3階層の神経回路を用いてい
るが、非線形性のない系では、2階層の神経回路、ある
いは、非線形性のある系では、もっと高次の4、5次の
階層を持つ神経回路を用いて同様な制御装置を構成して
も良い。
【0025】(請求項3、4)本発明の制御装置および
その方法は、プロセスの品質目標、操業条件に対する制
御系の制御量の決定を神経回路を用いて行うものであ
る。そのためにプロセスの制御変数を主成分分析で集約
し、そのうえでプロセスの物性値、温度等の操業データ
から疵等の品質を予測するプロセスモデルと、品質目標
および制御できない操業データから制御量を求める制御
モデルをそれぞれ別の神経回路を用いる。それらの神経
回路は、実際のプロセス操業データ、品質データなどを
使用して、神経回路の学習則(バックプロパゲーショ
ン)を用いて行なわれる。制御変数の集約により神経回
路の次元の低下、学習の高速化、品質制御の安定化がは
かれる。
【0026】図2に示す3階層の神経回路において、入
力層へデータxi(i=1,n1)を入力すると、入力
層からの中間層への神経細胞(図3)の状態の変化は、
【0027】
【数4】 ここで、wij (2) は、入力層から中間層への重み係数
である。n2は、中間層の数を示す。中間層の出力は、 yi = fi(ui) ここで、fiは、発火関数で単調増加関数を用いる。
【0028】次に中間層からの出力層への神経細胞の状
態変化は、
【0029】
【数5】 ここで、wij (3) は、中間層から出力層への重み係数
である。n3は、出力層の数を示す。出力層の出力は、 yi = fi(ui) となる。
【0030】そのとき、wij (2) wij (3) の学習
は、以下のようにおこなわれる。
【0031】出力層から中間層へのwijの学習は、 δj =(dj−yj)fj′(uj) (j=1,
n3) ここでdjは、教師信号と言われるもので、本発明の品
質予測では、品質実績を意味する。fj′は、fjの微
分を意味する。
【0032】 wij (3) =η・δj・yi + wij (3) (i=1,n2),(j=1,n3)(上記式は、右辺のη・δj・yi + wij (3)
値を新たなwij (3) とすることを意味する) 中間層から入力層へのwij (2) の学習は、
【0033】
【数6】 wij (2) =η・δj・xi + wij (2) (i=1,n1),(j=1,n2)(上記式は、右辺のη・δj・xi + wij (2)
値を新たなwij (2) とすることを意味する) のように行なわれる。ここでηは学習係数で0から1の
値をとる。
【0034】本発明の制御装置および方法では、第1の
神経回路において多数組のプロセス操業データとそのと
きの品質結果を用いて、物性値、温度等のプロセスの集
約された操業値をその多層型神経回路の入力とし、該回
路の出力が疵等の品質実績になるようにこの神経回路の
重み係数を学習させる。
【0035】次に、その学習した第1の神経回路を用い
てその入力のプロセス操業値を多数組の実操業データ、
集約制御変数の実績データ値のまわりに変動させてこの
回路の出力値である品質値を発生させこれらを第2の神
経回路の学習データとする。
【0036】上記で発生させた学習データのうち品質デ
ータおよびそのときの物性値、制御できない操業値を第
2の多層型神経回路の入力とし、この回路の出力が集約
制御変数値になるようこの多層型神経回路の重み係数を
学習させる。
【0037】この学習した第2の神経回路に疵等の品質
目標値、制御変数でないプロセス操業値を入力し、この
回路の出力を元制御量に変換して品質制御系の制御量と
して用いる。
【0038】本発明では、3階層の神経回路を用いてい
るが、非線形性のない系では、2階層の神経回路、ある
いは、非線形性のある系では、もっと高次の4、5次の
階層を持つ神経回路を用いて同様な制御装置を構成して
も良い。
【0039】
【実施例】次に本発明の実施例について連続鋳造プロセ
スの品質制御を例に図面を参照して説明する。
【0040】(請求項1、2)図1(a)に、本発明の
品質制御装置の構成と連続鋳造プロセスについて示す。
1は、対象とする連続鋳造プロセスで、2は、そのプロ
セスの品質制御装置でフィードバック系を構成してい
る。3が、連続鋳造プロセスの操業データおよび品質デ
ータである。操業データは、0から1.0の範囲に入る
ように規格化する。4が、品質予測モデルを学習する学
習器で第1の神経回路の重み係数が学習される。5が、
制御モデル用の学習データを発生する装置である。5に
は、4で学習された第1の神経回路が用いられる。6
が、制御モデルの学習器である。第2の神経回路の重み
係数が学習される。7は、品質制御量を算出する装置で
ある。6で学習された第2の神経回路が用いられる。
【0041】図2は、2の品質制御装置に使用される神
経回路の一例で、この場合3階層の神経回路である。回
路の各ノードは、図3に示されるようにその入力の重み
付け加算をおこなうとともに、単調増加の非線形関数で
出力を計算する。これらのノードは階層的に組み合わさ
れる神経回路を構成する。
【0042】図4は、4の予測モデルの学習に使用され
る神経回路の一例で、神経回路において、連鋳プロセス
での鋳片のカーボン量などの物性値データ(u1−u
6)、板幅等の連鋳操業データ(u7−u12)、そし
て制御量となる各冷却ゾーン温度(u13−u24)の
実績データを3階層神経回路の入力し、神経回路の出力
は2次元で品質データ(疵の有無または疵のレベル)
(例えば[1,0]疵有り、[0,1]疵なし)になる
ように神経回路の重み係数を学習する。学習式は、さき
に述べたバックプロパゲーションのアルゴリズムを用い
る。
【0043】本例では、入力層の数は、24次元、中間
層の数は、48次元、出力層の数は、2次元である。
【0044】f(x)として以下の関数を用いている。
【0045】 f(x)=1−0.5γ/(x−θ+γ) x ≧ θ f(x)=0.5γ/(x−θ−γ) x < θ 図4で学習された品質予測が可能な神経回路を用いて、
その入力のうち制御量となる各冷却ゾーンの温度を実績
値を中心にして正規乱数により変動させ、そのときの品
質データをもとめる。乱数は、±0.2程度を使用し
た。
【0046】図5に、制御モデルとなる神経回路を示
す。上記の発生データから神経回路の入力として品質値
(疵の有無または疵のレベル)、連鋳の操業データ(u
1−u12)を与え、出力が制御量(u13−u24)
となるように学習する。本例では、入力層の数は、14
次元、中間層は、25次元、出力層は12次元である。
【0047】図6に、制御量出力回路を示す。図5の神
経回路と中身は、全く同じである。入力層の入力データ
に品質目標値(疵目標値)、連鋳の操業値を与えると、
その出力として制御量である冷却温度の設定値が出力さ
れる。
【0048】表1は、品質予測モデルの予測精度を示
す。疵実績に対して疵の予測値が精度よく推定出来てい
ることがわかる。、表2は、品質不良鋳片を本制御装置
による制御量を設定することによる品質の改善効果を示
す。疵が解消していることがわかる。
【0049】(請求項3、4)図1(b)に、本発明の
品質制御装置の構成と連続鋳造プロセスについて示す。
1は、対象とする連続鋳造プロセスで、2は、そのプロ
セスの品質制御装置でフィードバック系を構成してい
る。3が、連続鋳造プロセスの操業データおよび品質デ
ータの集約装置である。操業データは、まず0から1.
0の範囲に入るように規格化する。次に温度等の制御変
数をその主成分分析の結果にもとづき12変数から4変
数に集約する。
【0050】
【数7】 ここで、ujは制御変数、usiは集約制御変数、ai
jは主成分iの固有ベクトルのj成分4が、品質予測モ
デルを学習する学習器で第1の神経回路の重み係数が学
習される。5が、制御モデル用の学習データを発生する
装置である。5には、4で学習された第1の神経回路が
用いられる。6が、制御モデルの学習器である。第2の
神経回路の重み係数が学習される。7は、品質制御量を
算出する装置である。6で学習された第2の神経回路が
用いられる。その出力値を元制御変数量に[aij]行
列の疑似逆行列[bji]により変換する。
【0051】
【数8】 ここで、usciは集約制御変数制御量、ucjは元の
制御変数制御量である。
【0052】図2は、2の品質制御装置に使用される神
経回路の一例で、この場合3階層の神経回路である。回
路の各ノードは、図3に示されるようにその入力の重み
付け加算をおこなうとともに、単調増加の非線形関数で
出力を計算する。これらのノードは階層的に組み合わさ
れる神経回路を構成する。
【0053】図7は、4の予測モデルの学習に使用され
る神経回路の一例で、神経回路において、連鋳プロセス
での鋳片のカーボン量などの物性値データ(u1−u
6)、板幅等の連鋳操業データ(u7−u12)、そし
て集約制御量である各冷却ゾーン温度(u13−u1
6)の実績データを3階層神経回路の入力し、神経回路
の出力は2次元で品質データ(疵の有無または疵のレベ
ル)(例えば[1,0]疵有り、[0,1]疵なし)に
なるように神経回路の重み係数を学習する。学習式は、
さきに述べたバックプロパゲーションのアルゴリズムを
用いる。
【0054】本例では、入力層の数は、16次元、中間
層の数は、8次元、出力層の数は、2次元である。
【0055】f(x)として以下の関数を用いている。
【0056】 f(x)=1−0.5γ/(x−θ+γ) x ≧ θ f(x)=0.5γ/(x−θ−γ) x < θ 図7で学習された品質予測が可能な神経回路を用いて、
その入力のうち制御量となる各冷却ゾーンの温度を実績
値を中心にして正規乱数により変動させ、そのときの品
質データをもとめる。乱数の大きさは±0.2程度を使
用した。
【0057】図8に、制御モデルとなる神経回路を示
す。上記の発生データから神経回路の入力として品質値
(疵の有無または疵のレベル)、連鋳の操業データ(u
1−u12)を与え、出力が制御量(u13−u16)
となるように学習する。本例では、入力層の数は、14
次元、中間層は、10次元、出力層は10次元である。
【0058】図9に、制御量出力回路を示す。図の神
経回路と中身は、全く同じである。入力層の入力データ
に品質目標値(疵目標値)、連鋳の操業値を与えると、
その出力として集約制御量である冷却温度の集約設定値
が出力される。元制御変数量に変換してその値が冷却温
度設定値として出力される。
【0059】表3は、品質予測モデルの予測精度を示
す。疵実績に対して疵の予測値が精度よく推定出来てい
ることがわかる。表4は、品質不良鋳片を本制御装置に
よる制御量を設定することによる品質の改善効果を示
す。疵が解消していることがわかる。図10にそのとき
の集約制御量、図11に元制御量に変換後の制御量を示
す。実線が品質制御により疵を解消した冷却温度設定
値、破線が疵発生時の冷却温度設定値を示す。安定した
制御量が出力されていることがわかる。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
品質制御システムの改善、劣化防止を実データによる神
経回路の学習により可能となる。そのことにより制御装
置の保守が容易になり最終的には無人化にすることも可
能となる。また制御性能の改善により、製品のコストダ
ウンや歩留向上につながり、大きな効果につながった。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の品質制御装置を用いた連鋳プロセス制
御システムを示す図である。
【図2】本発明に使用した神経回路の例を示す図であ
る。
【図3】図2のノードにある神経細胞を示す図である。
【図4】本発明の品質予測装置の学習時の神経回路の入
出力を示す図である。
【図5】本発明の品質制御装置ルの学習時の神経回路の
入出力を示す図である。
【図6】本発明の品質制御装置を用いて制御量を出力す
る神経回路の入出力を示す図である。
【図7】本発明の品質予測装置の学習時の神経回路の入
出力を示す図である。
【図8】本発明の品質制御装置ルの学習時の神経回路の
入出力を示す図である。
【図9】本発明の品質制御装置を用いて制御量を出力す
る神経回路の入出力を示す図である。
【図10】図8の一例での集約制御量の出力値を示す図
である。
【図11】図9の変換後の元の制御量を示す図である。
【符号の説明】
1 プロセス 2 品質制御装置 3 連続鋳造操業データ、品質データまたその集約装置 4 品質予測装置の学習器 5 品質制御量出力装置の学習データ発生装置 6 品質制御量出力装置の学習器 7 品質制御量出力装置またその元制御変数量変換装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 出石 琢夫 姫路市広畑区富士町1番地 新日本製鐵 株式会社 広畑製鐵所内 (72)発明者 辻 勇一 姫路市広畑区富士町1番地 新日本製鐵 株式会社 広畑製鐵所内 (56)参考文献 特開 平5−92245(JP,A) 特開 平4−237551(JP,A) 特開 平4−157054(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/16 G05B 13/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多層型神経回路に疵等の品質目標値およ
    びプロセス操業値実績を入力して品質制御系の制御量を
    決定する品質制御装置において、物性値、温度等のプロ
    セスの操業値を第1の多層型神経回路の入力とし、疵等
    の品質値を該神経回路の出力として、該出力が品質実績
    値に近づくようにこの神経回路の重み係数を学習させる
    装置と、その学習した第1の神経回路を用いてその入力
    のプロセス操業値を実データ値のまわりに変動させて該
    回路の出力値を発生させる装置と、この発生させた品質
    値およびそのときの物性値、制御変数でない操業値を第
    2の多層型神経回路の入力とし、制御変数値をこの神
    経回路の出力として、該出力がこの発生させた制御変数
    値に近づくようこの多層型神経回路の重み係数を学習
    させる装置と、この学習した第2の神経回路に疵等の品
    質目標値、物性値、制御変数でないプロセス操業値を入
    力し、この回路の出力を品質制御系の制御量として出力
    する装置とを有することを特徴とする品質制御装置。
  2. 【請求項2】 多層型神経回路に疵等の品質目標値およ
    びプロセス操業値実績を入力して品質制御系の制御量を
    決定する品質制御方法において、物性値、温度等のプロ
    セスの操業値を第1の多層型神経回路の入力とし、疵等
    の品質値を該神経回路の出力として、該出力が品質実績
    値に近づくようにこの神経回路の重み係数を学習させ、
    その学習した第1の神経回路を用いてその入力のプロセ
    ス操業値を実データ値のまわりに変動させて該神経回路
    の出力値を発生させ、この発生させた品質値およびその
    ときの物性値、制御変数でない操業値を第2の多層型神
    経回路の入力とし、制御変数値をこの神経回路の出力
    として、該出力がこの発生させた制御変数値に近づく
    ようにこの多層型神経回路の重み係数を学習させ、この
    学習した第2の神経回路に疵等の品質目標値、物性値、
    制御変数でないプロセス操業値を入力し、この回路の出
    力を品質制御系の制御量として出力することを特徴とす
    る品質制御方法。
  3. 【請求項3】 多層型神経回路に疵等の品質目標値およ
    びプロセス操業値実績を入力して品質制御系の制御量を
    決定する品質制御装置において、物性値等のプロセスの
    操業値のうち温度等の制御変数量をいくつかの主成分変
    数に集約する装置と、集約した主成分変数に相当する操
    業値と他の操業値を第1の多層型神経回路の入力とし、
    疵等の品質値を該神経回路の出力として、該出力が品質
    実績値に近づくようにこの神経回路の重み係数を学習さ
    せる装置と、その学習した第1の神経回路を用いてその
    入力のプロセス操業値を実データ値、集約された制御変
    値のまわりに変動させて該回路の出力値を発生させ
    る装置と、この発生させた品質値およびそのときの物性
    値、制御変数でない操業値を第2の多層型神経回路の入
    力とし、集約した主成分変数をこの神経回路の出力とし
    て、該出力がこの発生させた主成分変数値に近づくよ
    うこの多層型神経回路の重み係数を学習させる装置と、
    この学習した第2の神経回路に疵等の品質目標値、物性
    値、制御変数でないプロセス操業値を入力し、この神経
    回路の出力として主成分変数値を発生する装置と、この
    出力値を集約前の制御変数に変換して品質制御系の制御
    量として出力する装置とを有することを特徴とする品質
    制御装置。
  4. 【請求項4】 多層型神経回路に疵等の品質目標値およ
    びプロセス操業値実績を入力して品質制御系の制御量を
    決定する品質制御方法において、物性値等のプロセスの
    操業値のうち温度等の制御変数量をいくつかの主成分変
    数に集約するとともに、集約した主成分変数に相当する
    操業値と他の操業値を第1の多層型神経回路の入力と
    し、疵等の品質値を該神経回路の出力として、該出力が
    品質実績値に近づくようにこの神経回路の重み係数を学
    習させ、その学習した第1の神経回路を用いてその入力
    のプロセス操業値を実データ値、集約された制御変数
    値のまわりに変動させて該神経回路の出力値を発生さ
    せ、この発生させた品質値およびそのときの物性値、制
    御変数でない操業値を第2の多層型神経回路の入力と
    し、集約した主成分変数をこの回路の出力として、該出
    力がこの発生させた主成分変数値に近づくようこの多
    層型神経回路の重み係数を学習させ、この学習した第2
    の神経回路に疵等の品質目標値、物性値、制御変数でな
    いプロセス操業値を入力しこの神経回路の出力として主
    成分変数値を発生させ、そしてこの出力値を集約前の
    制御変数に変換して品質制御系の制御量として出力する
    ことを特徴とする品質制御方法。
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