JP3367504B2 - 三相整流型限流装置 - Google Patents

三相整流型限流装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は三相整流型限流装置
に関し、例えば送配電系統などの三相交流系統におい
て、短絡事故などにより発生した過電流である事故電流
を抑制する三相整流型限流装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば送配電系統などの三相交流系統に
おいては、短絡事故などにより発生した過電流の事故電
流を抑制する目的から、限流装置を設置するようにして
いる。このような限流装置の一例として、図5に示すよ
うな三相整流回路1および直流リアクトルLを具備した
三相整流型限流装置がある。
【0003】この限流装置は、三相交流電源2および電
源変圧器3からなる三相交流系統4と直列に遮断器CB
13を介して三相各相に対応して設けられた変圧器T1
3に接続されている。つまり、各変圧器T13の一次
側を三相交流系統4と直列にそれぞれ接続し、また、各
変圧器T13の二次側の一方を短絡し、その二次側の他
方に正負逆極性に並列接続された一対のダイオードD1
6(A相:D12、B相:D34、C相:D56)を
各相に対応させてそれぞれ接続した三相整流回路1を備
え、三相を構成する三対のダイオードD16の変圧器T
13と接続された反対側を正側と負側に分けて接続し、
その正負間に直流リアクトルLを接続した構成を有す
る。
【0004】三相交流系統4の定常時、限流装置では、
直流リアクトルLに概ね直流電流が流れダイオードD1
6がほとんどの期間オンとなり、変圧器T13の二次
側が短絡された状態となるので、変圧器T13の一次側
から見たインピーダンスは漏れインピーダンス相当の小
さな値となる。
【0005】一方、三相交流系統4に短絡事故などが発
生して直流リアクトルLに流れる直流電流より大きな事
故電流が流れようとすると、ダイオードD16がオフし
て直流リアクトルLの電流が急増しようとして直流リア
クトルLのインダクタンスが有効となり、前記変圧器T
13の二次側短絡が解消されることにより三相交流系統
4の事故電流を抑制することができる。
【0006】前記各変圧器T13の一次側のインピーダ
ンスは時間の経過と共に小さくなるので、前記事故電流
を検出して遮断器CB13を動作させて速やかに系統を
解列する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記限流装
置では、三相交流系統4の各相変圧器T13の一次側
に、限流動作時に系統を解列するための遮断器CB13
を設けなければならず、限流装置全体が大型化すると共
にコストアップを招来するという問題があった。
【0008】そこで、本発明の目的は、三相交流系統の
各相変圧器の一次側に遮断器を設けることなく、コンパ
クトで安価な三相整流型限流装置を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の技術的手段として、請求項1に係る発明は、三相交流
系統と直列に変圧器の一次側をそれぞれ接続し、前記変
圧器の二次側の一方を短絡し、その他方に正負逆極性に
並列接続された一対の整流素子を各相に対応させてそれ
ぞれ接続した三相整流回路を備え、各相整流素子の前記
変圧器と接続された反対側を正負に分けて接続し、その
正負間に直流リアクトルを接続した三相整流型限流装置
であって、前記三相を構成する三対の整流素子のうち、
少なくとも二相を構成する二対の整流素子を整流スイッ
チング素子とし、系統故障による過電流検出時に前記整
流スイッチング素子をオフすることを特徴とする。
【0010】直流リアクトルの電流減衰時定数を系統周
波数に対応させて適宜選択することにより、三相交流系
統の定常時、系統側から見たインピーダンスを略零と
し、系統故障時には直流リアクトルの電流保存作用によ
って瞬時に高インピーダンスとなって限流効果を発揮す
る。
【0011】請求項1に係る発明では、三相交流系統に
設けられた変圧器の二次側に三相を構成する三対の整流
素子を接続した三相整流回路と、その三相整流回路の直
流端子間に接続された直流リアクトルとを備えた三相整
流型限流装置において、前記三対の整流素子のうち、少
なくとも二相を構成する二対の整流素子を整流スイッチ
ング素子として遮断機能を持たせたことにより、前記変
圧器の二次側が遮断され、その変圧器の一次側には励磁
インピーダンスが現出する。この変圧器の一次側から見
たインピーダンスが励磁インピーダンスとなることによ
り、従来のように変圧器の一次側に設けた遮断器により
遮断する場合と等価になる。
【0012】なお、整流素子を整流スイッチング素子と
する相は、三相のうち、いずれの相であってもよく、少
なくとも二相の整流素子を整流スイッチング素子とする
ことから、三相すべての整流素子を整流スイッチング素
子とすることも可能である。ただし、系統故障発生時に
オフした二相の整流スイッチング素子に対して、残り一
相の整流スイッチング素子はオン状態にして整流素子と
して機能させる必要がある。
【0013】請求項2に係る発明は、前記請求項1に記
載した変圧器の一次側にバイパスリアクトルを並列接続
することも可能である。
【0014】このように変圧器の一次側にバイパスリア
クトルを並列接続すれば、系統故障発生時、その事故電
流を直流リアクトルにより限流した上で、整流スイッチ
ング素子のオフにより遮断することになるが、その遮断
後も、前記バイパスリアクトルに事故電流を転流させる
ことにより、交流系統との連系を解列させることなく、
事故電流を抑制する限流機能を継続させることができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に係る三相整流型限流装置
の実施形態について以下に詳述する。
【0016】図1に示す実施形態の三相整流型限流装置
は、三相整流回路11および直流リアクトルLを具備
し、三相交流電源12および電源変圧器13からなる三
相交流系統14と直列に三相各相に対応して設けられた
変圧器T13に接続されている。つまり、各変圧器T1
3の一次側を三相交流系統14と直列にそれぞれ接続
し、また、各変圧器T13の二次側の一方を短絡し、そ
の二次側の他方に正負逆極性に並列接続された一対の整
流素子TH12,TH34,D56を各相に対応させて
それぞれ接続した三相整流回路11を備え、三相を構成
する三対の整流素子TH14及びD56の変圧器T13
と接続された反対側を正側と負側に分けて接続し、その
正負間に直流リアクトルLを接続した構成を有する。
【0017】この実施形態においては、三相整流回路1
1を構成する三対の整流素子TH14及びD56のう
ち、二相(A相、B相)を構成する二対の整流素子を整
流スイッチング素子であるサイリスタTH14(A相:
TH12、B相:TH34)とし、残り一相(C相)を
構成する一対の整流素子をダイオードD56とする。な
お、前記整流スイッチング素子としては、サイリスタ以
外にGTOなどが使用可能である。
【0018】なお、本発明はこの実施形態に限定される
ことなく、整流素子をダイオードとする相は、C相に限
らず、A相またはB相であってもよい。また、整流スイ
ッチング素子とするのは、少なくとも二相の整流素子で
あればよく、したがって、三相すべての整流素子をサイ
リスタとすることも可能である。すなわち、この実施形
態におけるC相のダイオードD56をサイリスタに変更
することも可能である。ただし、後述するように系統故
障発生時にオフした二相(A相、B相)のサイリスタに
対して、残り一相(C相)のサイリスタはオン状態にし
てダイオード運転させる必要がある。
【0019】三相交流系統14の定常時、限流装置で
は、直流リアクトルLに流れる電流の絶対値が変圧器T
13の二次電流の絶対値より小さくなると、電源側から
直流リアクトルLに電流が充電され、変圧器T13の一
次側にはその間若干のインピーダンスが発生する。つま
り、三相整流回路11によって決定される電流減衰時定
数と系統側から見た等価インピーダンスとの間には、電
流減衰時定数が大きくなるほど、等価インピーダンスが
小さくなるという関係があることから、直流リアクトル
Lの電流減衰時定数を例えば系統周波数周期の2.5倍
以上に選定する。
【0020】その結果、三相交流系統14の定常時、直
流リアクトルLには微量のリップルが含有されている
が、ほぼ一定の直流電流が流れ、サイリスタTH14
ダイオードD56が1サイクルのほとんどの期間オン
し、見かけ上、変圧器T13の二次短絡状態が形成され
ているので、系統側から見たインピーダンスを変圧器T
13の漏れインピーダンス程度、すなわち、ほぼ零とす
ることができる。なお、三相交流系統14の定常時に
は、A相およびB相のサイリスタTH14はダイオード
運転している。
【0021】一方、図3(a)〜(c)に示すように三
相交流系統14に短絡事故などの系統故障が発生〔同図
(a)のX(約0.1秒)時点〕して過電流の事故電流
が流れようとすると、直流リアクトルLに過渡的な変化
を有する充電電流が流れ込み〔図3(e)参照〕、直流
リアクトルLはその端子間に流れる電流を一定に保持し
ようとする電流保存作用を呈することによって、直流リ
アクトルLのインピーダンスが大きくなって、直流リア
クトルLの端子間に電圧(急峻な立上がり)が現出し
〔図3(d)参照〕、各変圧器T13の二次側の前記短
絡状態が解消され、その変圧器T13の一次側に高イン
ピーダンスが発生することにより三相交流系統14の事
故電流を抑制することができる。
【0022】この発生した高インピーダンスは時間の経
過と共に小さくなるので、所定の高インピーダンスを呈
している内に前記過電流または直流リアクトルLの端子
間電圧を検出回路(図示せず)により検出し、その検出
信号に基づいて前記サイリスタTH14のオフ信号を生
成してサイリスタTH14をオフする〔図4(a)
(b)(d)(e)参照〕。このサイリスタTH14
電流零点〔同図(a)(b)(d)(e)のY14(約
0.2秒程度)時点〕で次々にオフし、このサイリスタ
TH14のオフにより変圧器T13の二次側が遮断され
るので、その変圧器T13の一次側には励磁インピーダ
ンスが現出する。変圧器T13の一次側から見たインピ
ーダンスが励磁インピーダンスとなることにより、従来
のように変圧器T13の一次側に設けた遮断器CB13
(図5参照)により遮断する場合と等価になる。
【0023】ここで、前記サイリスタTH14のオフ
は、三相を構成する三対の整流素子のうち、C相の整流
素子をダイオードD56としたことにより可能となって
いる。すなわち、C相の整流素子をダイオードD56
することにより、直流リアクトルLの短絡回路を構成す
ることができるため、系統故障の発生により直流リアク
トルLに流れ込んだ充電電流により蓄積されたエネルギ
ーを回生してダイオードD56により還流させることに
よって〔図4(c)(f)参照〕、A相およびB相のサ
イリスタTH14を速やかにオフすることが可能となっ
ている。
【0024】なお、常時、系統連系を維持する用途で三
相限流装置を使用する場合には、図2に示すように変圧
器T13の一次側にバイパスリアクトルBL13を並列
接続すればよい。系統故障発生時、その事故電流を直流
リアクトルLにより限流した上で、サイリスタTH14
のオフにより遮断することになるが、バイパスリアクト
ルBL13を設けておけば、前記遮断後も、そのバイパ
スリアクトルBL13に事故電流を転流させることがで
き、三相交流系統14との連系を解列させることなく、
事故電流を抑制する限流機能を継続させることができ
る。この場合、短絡事故の最中でも変圧器T13の一次
側電圧がバイパスリアクトルBL13で制限されるの
で、変圧器T13の容量を小さくすることができて小型
軽量化が図れる。
【0025】この実施形態の場合も、図1に示す実施形
態と同様、C相のダイオードD56をサイリスタに変更
することも可能である。ただし、前述したように系統故
障発生時にオフした二相のサイリスタに対して、残り一
相のサイリスタはオン状態にしてダイオード運転させる
必要がある。
【0026】
【発明の効果】請求項1の発明に係る三相整流型限流装
置によれば、三相を構成する三対の整流素子のうち、少
なくとも二相を構成する二対の整流素子を整流スイッチ
ング素子とし、系統故障による過電流検出時に前記整流
スイッチング素子をオフするようにしたから、系統故障
発生時、変圧器の一次側から見たインピーダンスが励磁
インピーダンスとなることにより、従来のように変圧器
の一次側に設けた遮断器により遮断する場合と等価にな
る。そのため、遮断器を設ける必要がないので、コンパ
クトで安価な三相整流型限流装置を提供することができ
る。
【0027】また、請求項2の発明に係る三相整流型限
流装置では、請求項1に記載した変圧器の一次側にバイ
パスリアクトルを並列接続することも可能であり、この
ようにすれば、系統故障発生時、直流リアクトルにより
限流して系統を遮断した後も、前記バイパスリアクトル
に事故電流を転流させることにより、交流系統との連系
を解列させることなく、事故電流を抑制する限流機能を
継続させることができ、常時、系統連系を維持しなけれ
ばならない用途でも三相限流装置を使用できて汎用性の
向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る三相整流型限流装置の一実施形態
を示す回路図である。
【図2】本発明に係る三相整流型限流装置の他の実施形
態を示す回路図である。
【図3】三相整流型限流装置における系統故障時のシミ
ュレーション波形を示し、(a)は各相の連系電流、
(b)は各相の母線電圧、(c)は各相の事故点電圧、
(d)は直流リアクトルの端子間電圧、(e)は直流リ
アクトルに流れる電流をそれぞれ示す。
【図4】三相整流回路を構成する各相のサイリスタおよ
びダイオードに流れる電流波形を示し、(a)はA相の
サイリスタTH1、(b)はB相のサイリスタTH3
(c)はC相のダイオードD5、(d)はA相のサイリ
スタTH2、(e)はB相のサイリスタTH4、(f)は
C相のダイオードD6についてである。
【図5】三相整流型限流装置の従来例を示す回路図であ
る。
【符号の説明】
11 三相整流回路 14 三相交流系統 D56 整流素子(ダイオード) L 直流リアクトル T13 変圧器 TH14 整流スイッチング素子(サイリスタ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−127601(JP,A) 特開 平9−130966(JP,A) 特開 昭49−45349(JP,A) 特開 昭48−97042(JP,A) 特開 昭56−81039(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02H 9/02 H02H 3/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 三相交流系統と直列に変圧器の一次側を
    それぞれ接続し、前記変圧器の二次側の一方を短絡し、
    その他方に正負逆極性に並列接続された一対の整流素子
    を各相に対応させてそれぞれ接続した三相整流回路を備
    え、各相整流素子の前記変圧器と接続された反対側を正
    負に分けて接続し、その正負間に直流リアクトルを接続
    した三相整流型限流装置であって、前記三相を構成する
    三対の整流素子のうち、少なくとも二相を構成する二対
    の整流素子を整流スイッチング素子とし、系統故障によ
    る過電流検出時に前記整流スイッチング素子をオフする
    ことを特徴とする三相整流型限流装置。
  2. 【請求項2】 前記変圧器の一次側にバイパスリアクト
    ルを並列接続したことを特徴とする請求項1に記載の三
    相整流型限流装置。
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