JP3367433B2 - イオンビーム加速装置およびそれを用いた円形加速器 - Google Patents

イオンビーム加速装置およびそれを用いた円形加速器

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JP3367433B2
JP3367433B2 JP25783198A JP25783198A JP3367433B2 JP 3367433 B2 JP3367433 B2 JP 3367433B2 JP 25783198 A JP25783198 A JP 25783198A JP 25783198 A JP25783198 A JP 25783198A JP 3367433 B2 JP3367433 B2 JP 3367433B2
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cavity
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淳一 廣田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷電粒子にエネル
ギーを与えるイオンビーム加速装置に係り、特に医療用
又は物理実験用加速器に用いるのに好適なイオンビーム
加速装置およびそれを用いた円形加速器に関する。
【0002】
【従来の技術】最初にイオン加速に使用される加速空胴
の種類について説明する。イオンは、最も軽い陽子でも
その質量が電子質量の約2000倍と重いため相対論効
果が小さい。従って、イオン速度は一般に小さいうえ
に、加速途中でイオン速度が大幅に変化する。そこで、
これを所望のエネルギーまで加速するには、加速空胴内
に磁性体を装荷し、磁性体の透磁率により加速空胴の共
振周波数が大幅に低下する性質を利用し、イオンの周回
周波数と加速空胴の共振周波数を一致させてイオンを加
速する磁性体装荷型加速空胴が用いられる。この磁性体
装荷型加速空胴には、磁性損失の少ない磁性体を用い、
バイアス電流によるバイアス磁場を磁性体に印加するこ
とにより、磁性体の透磁率を制御して加速空胴の共振周
波数をイオンの周回周波数に同調するように変化させる
同調型加速空胴と、磁性損失の大きな磁性体を用い、空
胴電圧は低いがその磁性体損失により、イオンを加速す
るのに必要な全ての周回周波数の範囲以上に共振周波数
を広帯域化することにより、バイアス装置が不必要で制
御の容易な非同調型加速空胴との2種類がある。
【0003】加速空胴及びその給電方法に関する従来技
術の例は、高エネルギー加速器セミナーOHO'89「陽
子シンクロトロンの高周波加速装置」p.V−19〜V−
30に記載されている。
【0004】次に従来の非同調型加速空胴3を図10に
示す。
【0005】加速空胴3は、加速空胴外導体10,イオ
ンビーム60が内部を通過し加速空胴外導体10の側壁
を貫通する加速空胴内導体11A,加速空胴外導体10
の他の側壁に11Aと同様に設けられる加速空胴内導体
11B,加速空胴外導体10内で加速空胴内導体11A
の外側に配置される8個の環状磁性体20、及び、加速
空胴内導体11Aと加速空胴内導体11Bの間に形成さ
れるギャップ12で構成される。加速空胴内導体11A
及び11Bのそれぞれの端は、円形加速器の真空ダクト
に接続される。
【0006】高周波電力発生装置30から出力される高
周波電力は、同軸構造の加速空胴内導体11Aと加速空
胴外導体10の間に印加される。この給電方式は、直接
結合又は直接給電と呼ばれる。この直接給電によって、
加速空胴内導体11Aと加速空胴外導体10との間に高
周波電流41が発生する。
【0007】この高周波電流41は高周波磁界42を環
状磁性体20内に作り、ギャップ12にイオンを加速す
る加速電圧が発生する。
【0008】特開昭63−76299 号に記載されている加速
空胴は、図10の従来の加速空胴3と同じ給電構造で高
周波電力が印加されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】発明者等は、図10に
示す従来の加速空胴3及び特開昭63−76299 号の特性を
詳細に検討した。この結果、発明者等は、これらの従来
の加速空胴において、高周波電力の利用効率が低いとい
う新たな問題点を発見した。本発明は、この新たな問題
点を解消するためになされたものである。
【0010】本発明の目的は、高周波電力の利用効率が
高いイオンビーム加速装置およびそれを用いた円形加速
器を提供することにある。
【0011】
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の特徴は、複数の磁性体毎に設けられた複数の高周波
電力発生装置と、複数の磁性体毎に設けられ、かつ複数
の高周波電力発生装置から出力される高周波電力を対応
する各磁性体に伝送する複数の電力伝送路とを備えたこ
とにある。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】上記本発明の特徴によれば、磁性体毎に高
周波電力発生装置と電力伝送路とを設けたことにより、
電力伝送路と加速空胴とのインピーダンス不整合が改善
されるので、反射電力が減少し、高周波電力の利用効率
が高くなる。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【発明の実施の形態】図10に示す従来の加速空胴3に
おいて、ギャップ12に発生する加速電圧Vは、
【0031】
【数1】
【0032】で与えられる。ここで、Pは空胴内電力、
Zは空胴のインピーダンスである。
【0033】加速空胴3のインピーダンスZが、磁性体
のインピーダンスZd とほぼ等しいとき、ギャップ12
に発生する加速電圧Vd は、Zd を用いて、
【0034】
【数2】
【0035】で与えられる。
【0036】また、Pは
【0037】
【数3】
【0038】(ただし、Zはほぼ純抵抗であるとして、 Z>Z0 のとき、Γ=(Z−Z0)/(Z+Z0) Z<Z0 のとき、Γ=(Z0−Z)/(Z0+Z)) で与えられる。ここで、Γは電圧反射係数、Z0 は伝送
路の特性インピーダンス(=50Ω)、Pg は高周波源
の出力電力である。
【0039】加速空胴3内に装荷される磁性体のインピ
ーダンスZd は、一般に大きく、加速空胴3のインピー
ダンスZは、ほぼこれで決定される。従って、電力を伝
送する伝送路のインピーダンスZ0 と加速空胴3のイン
ピーダンスZとは、Z=Zd≫Z0 となり、インピーダ
ンス不整合が発生する。空胴内電力Pは、例えば、Z=
1kΩとすると、高周波電力発生装置30の出力電力P
g の20%以下となる。残りの電力は高周波電力発生装
置30に反射され、そこで消費される。従って、高周波
電力の利用効率が低い。
【0040】特開昭63−76299 号に示された加速空胴
も、図10の従来の加速空胴3と同様なことが言える。
【0041】発明者等は、加速空胴内に装荷された磁性
体ごとに、または、磁性体のグループごとに高周波電力
を供給することによって、高周波電力の利用効率を高く
することに成功した。
【0042】この具体例を以下に説明する。
【0043】(実施例1)本発明の第1の実施例である
イオンビーム加速装置について、図1を用いて説明す
る。
【0044】本実施例のイオンビーム加速装置は、n個
の環状磁性体20を装荷している加速空胴2と、n個の
高周波電力供給装置35をもつ。
【0045】加速空胴2は、非同調型加速空胴で、加速
空胴外導体10,イオンビーム60が内部を通過する加
速空胴内導体11C及び11D,加速空胴外導体10内
で加速空胴内導体11C及び11Dをそれぞれ取り囲ん
で配置される環状磁性体20を有する。各環状磁性体2
0は、すべて同じ透磁率をもつ。1個の環状磁性体20
のインピーダンスはZd/n である。
【0046】加速空胴内導体11C及び11Dは、加速
空胴外導体10の異なる側壁を通過して互いに対向し、
ギャップ12が加速空胴内導体11Cと加速空胴内導体
11Dとの間に形成される。このギャップ12は、イオン
ビーム60の進行方向で加速空胴外導体10の中央部に
配置される。
【0047】加速空胴外導体10の側壁25及び26は
加速空胴内導体11C及び11Dに接続されている。
【0048】高周波電力供給装置35は、環状磁性体2
0ごとに設けられたn個の電力伝送路34と、電力伝送
路34に接続されて環状磁性体20に高周波磁界を発生
させる巻線部33とを備える。電力伝送路34は、高周
波電力を発生する高周波電力発生装置30A,高周波電
力発生装置30Aの出力側に接続した増幅器32、およ
び、増幅器32の出力にそれぞれ接続された同軸ケーブ
ル14から構成される。
【0049】同軸ケーブル14の内部導体15は、1対
1で、環状磁性体20に巻きつけられて巻線部33を形
成する。内部導体15の先端は加速空胴外導体10の内
壁に接続される。内部導体15が加速空胴外導体10を
貫通する部分では、電気絶縁体27が内部導体15と加
速空胴外導体10との間に設けられる。外部導体16
は、加速空胴外導体10の外壁に接続される。
【0050】高周波電力発生装置30Aで発生した高周
波電力は、増幅器32によって増幅される。増幅された
高周波電力は、同軸ケーブル14で環状磁性体20に伝
送される。
【0051】内部導体15が環状磁性体20に巻きつけ
られているので、内部導体15に流れる高周波電流によ
って、環状磁性体20の内部に高周波磁界42が発生す
る。これらの高周波磁界42によって、加速空胴2に高
周波電力が供給され、ギャップ12に加速電圧が発生す
る。イオンビーム60はこのギャップ12を通るとき、
加速電圧によって加速される。
【0052】高周波電力供給装置35から見た場合の加
速空胴の等価回路を図2(a)に示す。
【0053】本実施例においては、n個の環状磁性体2
0を介して高周波電力を加速空胴2に供給しているの
で、高周波電力発生装置30と加速空胴2とは環状磁性
体20のインダクタンスを利用したインダクティブ結合
であるといえる。
【0054】さらに、図2(a)の等価回路をn個の環
状磁性体20のサブ回路で表すと、図2(b)のように
なる。
【0055】1個の電力伝送路34に接続された加速空
胴2のインピーダンスZn は、1個の環状磁性体20の
インピーダンスZd/n と等価である。従って、本実施
例のn個の環状磁性体20を備えた加速空胴2は、イン
ピーダンスZd/n である加速空胴をn個直列に結合し
たものであるといえる。
【0056】1つの同軸ケーブル14が伝送する高周波
電力をPg/n とすると、ギャップ12に発生する加速
電圧Vn は、
【0057】
【数4】
【0058】で与えられる。
【0059】従って、本実施例の加速空胴2は、直接結
合の加速空胴に比べて√n倍の電圧を発生することがで
きる。
【0060】ところで、直接結合によって高周波電力が
供給される加速空胴では、電力伝送路は1つで、加速空
胴のインピーダンスZは、n個の磁性体のインピーダン
スZd である。
【0061】これに対して本実施例では、n個のうちの
1個の電力伝送路34における負荷のインピーダンスZ
n は、1個の環状磁性体20のインピーダンスZd/n
である。
【0062】すなわち、本実施例では、電力伝送路34
における負荷のインピーダンスZnは減少し、電力伝送
路34の特性インピーダンスZ0 に近づく。
【0063】従って、電力伝送路34と負荷とのインピ
ーダンス不整合が改善されるので、反射電力が減少す
る。高周波電力供給装置35において、加速空胴2の内
部へ供給される高周波電力が増加し、むだな電力である
反射電力が減少する。よって、高周波電力発生装置30
における反射電力の消費が減り、高周波電力の利用効率
が高くなる。
【0064】また、内部導体15を磁性体に巻線するこ
とによって、磁性体の内部に効率良く高周波磁界42を
作ることができる。そして、磁性体が環状であるので、
大きな高周波磁界42が得られる。この高周波磁界42
を介して、加速空胴2に供給される高周波電力が増加す
るため、ギャップ12に高い加速電圧が得られる。ここ
で、内部導体15の巻き線方向は、高周波電力発生装置
30Aの出力電力の位相によらず、全ての環状磁性体2
0内に発生する高周波磁界42の方向が一致するように
選ぶ。以下示す実施例でも同様に選ぶものとする。
【0065】これは、図2(b)のn個直列に接続され
たサブ回路において、それぞれのサブ回路で発生する電
圧は小さいが、これらを直列に結合することで結果的に
は、回路全体では大きな電圧が得られることを示してい
る。
【0066】また、本実施例では、内部導体15の先端
を加速空胴外導体10の内壁に接続したが、接続せずに
環状磁性体20に巻きつけるのみでも、本実施例と同様
の作用効果を得ることができる。
【0067】また、本実施例は加速空胴として非同調型
を例にとり説明したが、同調型加速空胴でも同様の効果
を得ることができる。以降に述べる実施例でも同様であ
る。 (実施例2)図3および図4を用いて本発明による加速
空胴の第2の実施例を説明する。これは、環状磁性体2
0ごとに給電回路(高周波電力供給装置35)を構成し
た場合を示している。加速空胴は、非同調型加速空胴で
ある。加速空胴システムは、加速空胴内導体11,加速
空胴外導体10,環状磁性体20,加速ギャップ12,
給電線40,高周波電力発生装置30Cより構成され
る。空胴に装荷する環状磁性体20の数は8個である。
【0068】高周波電力発生装置30Cにおいては、加
速空胴に装荷した環状磁性体20の数分に、即ち、どの
環状磁性体へも同一の高周波電力が供給されるように、
高周波電力が分岐されている。
【0069】各給電線40の内部導体及び外部導体の配
置及び接続状態は、実施例1の同軸ケーブルと同じであ
る。
【0070】給電線40の内部導体が環状磁性体20に
巻きつけられているので、内部導体に流れる高周波電流
41によって、環状磁性体の内部に高周波磁界42が発
生する。
【0071】これらの高周波磁界42によって、加速空
胴に高周波電力が供給される。そして、加速電圧がギャ
ップ12に発生する。イオンビーム60はこのギャップ
12を通るとき、加速電圧によって加速される。
【0072】本実施例の等価回路は、図2(b)の等価
回路において、n=8とした場合である。従って、ギャ
ップ12で発生する加速電圧V8 は、数4でn=8とし
て、
【0073】
【数5】
【0074】で与えられる。ここで、Vd は直接結合の
加速空胴が発生する加速電圧である。本実施例の加速空
胴2は、Vd のほぼ3倍の加速電圧を発生することがで
きる。従来例では、空胴への給電は、空胴の内外導体間
への直接結合であったが、本発明は、磁性体のインダク
タンスを利用したインダクティブ結合であることを示し
ている。
【0075】従来の空胴のインピーダンスをZd とする
と、本発明での各給電回路当たりのインピーダンスはZ
d/8 と磁性体数分の1になっている。
【0076】従って、本発明では、各給電回路当たりの
インピーダンスが低下し、Z0 に近づくことによりイン
ピーダンス不整合がなくなり高周波電力の反射が減る。
従って、電力の利用効率が上がる。
【0077】(実施例3)本発明の第3の実施例である
イオンビーム加速装置13が適用された医療用の円形加
速器1を、図5を用いて説明する。
【0078】円形加速器1においては、前段加速器50
で加速されたイオンビーム60を入射する入射器51,
入射器51から入射されたイオンビーム60の軌道を曲
げる偏向磁石52,イオンビーム60を発散又は収束さ
せる4極磁石53,イオンビーム60を実験室又は放射
線治療室70に出射する出射器54、および、イオンビ
ーム加速装置13が、内部をイオンビーム60が通過す
る環状の真空ダクト55に沿って配置されている。
【0079】前段加速器50で加速されたイオンビーム
60は、入射器51によって円形加速器1に入射され
る。イオンビーム加速装置13により所定のエネルギー
になるまで加速された後、出射器54により円形加速器
1の外に取り出される。取り出されたイオンビームは、
実験室又は放射線治療室70において利用される。
【0080】図6および図7を用いて、イオンビーム加
速装置13を説明する。
【0081】本実施例のイオンビーム加速装置13は、
8個の環状磁性体20を装荷している加速空胴2と、高
周波電力供給装置35Aにより構成される。
【0082】加速空胴2は、第1の実施例と同じ構造の
非同調型加速空胴である。
【0083】加速空胴内導体11C及び11Dの両端
は、円形加速器1の真空ダクト55に接続される。
【0084】高周波電力供給装置35Aは、実施例1の
高周波電力発生装置30Aの替わりに、高周波電力を発
生する1つの高周波電力発生装置30B,高周波電力発
生装置30Bの出力に接続した1入力8出力の分岐器3
1を設けたものである。
【0085】8個の電力伝送路34と巻線部33は、実
施例1と同様に環状磁性体20ごとに設けられる。電力
伝送路34は、同軸ケーブル14及び増幅器32からな
る。各増幅器32は、分岐器31の8つの出力にそれぞ
れ接続される。
【0086】各同軸ケーブル14の内部導体15及び外
部導体16の配置及び接続状態は、実施例1と同じであ
る。
【0087】高周波電力発生装置30Bで発生した高周
波電力は、分岐器31によって8つの高周波電力に分岐
される。分岐された高周波電力はそれぞれ、増幅器32
によって増幅される。8つの増幅された高周波電力の大
きさと位相はすべて同じである。増幅された高周波電力
は、同軸ケーブル14で環状磁性体20に伝送される。
内部導体15が環状磁性体20に巻きつけられているの
で、内部導体15に流れる高周波電流によって、環状磁
性体20の内部に高周波磁界42が発生する。これらの
高周波磁界42によって、加速空胴2に高周波電力が供
給される。そして、加速電圧がギャップ12に発生す
る。イオンビーム60はこのギャップ12を通るとき、
発生した加速電圧によって加速される。
【0088】本実施例の等価回路は、実施例2と同様
に、図2(b)の等価回路において、n=8とした場合
である。従って、ギャップ12で発生する加速電圧V8
は、数4でn=8として、数5で与えられる。本実施例
の加速空胴2は、Vd のほぼ3倍の加速電圧を発生する
ことができる。
【0089】そして、1個の電力伝送路34には、1個
の環状磁性体20のインピーダンスZd/8 が接続され
ていることになる。すなわち、本実施例では、第1の実
施例と同様に、電力伝送路34における負荷のインピー
ダンスZ8 が減少して、電力伝送路の特性インピーダン
スZ0 に近づく。
【0090】従って、本実施例も、実施例1と同様に、
高周波電力の利用効率が高くなる。また、各電力伝送路
34において、同軸ケーブル14により伝送される高周
波電力の大きさと位相、および、内部導体15の巻線の
方向は、それぞれ同じであるので、8個の環状磁性体2
0内に発生する高周波磁界42の大きさと位相はすべて
同じである。また、内部導体15を環状磁性体20に巻
線することによって、磁性体の内部により大きな高周波
磁界を作ることができる。この高周波磁界42を介し
て、加速空胴2に供給される高周波電力が増加し、より
高い加速電圧が得られる。
【0091】また、各電力伝送路34それぞれに増幅器
32を設けたので、高周波電力発生装置30Bの出力は
小さいものでよい。従って、電力容量の小さい分岐器3
1および増幅器32を用いることができる。これによ
り、高周波電力供給装置35Aを小型化でき、イオンビ
ーム加速装置13を小型化できる。
【0092】更に、分岐器31に1つの高周波電力発生
装置30Bを接続しているので、各増幅器32から出力
される各高周波電力の同期を取る必要がない。実施例1
は別々の高周波電力発生装置30を設けているので、各
増幅器32から出力される各高周波電力の同期を取る装
置が別途必要になる。本実施例は、このような同期を取
る装置が不要であり、実施例1よりも装置構成が簡単に
なる。
【0093】上述したようなイオンビーム加速装置13
を円形加速器1に用いることにより、イオンビーム加速
装置13において反射電力が減少し、高周波電力の利用
効率が高くなるので、円形加速器1の電力効率をよくす
ることができる。また、イオンビーム加速装置13を小
型化できるので、円形加速器1も小型化することができ
る。
【0094】(実施例4)本発明の第4の実施例である
イオンビーム加速装置13Aについて、図8を用いて説
明する。本実施例は、第3の実施例と同様に、環状磁性
体20ごとに電力伝送路34を設けた。本実施例は、第
3の実施例と同様の作用によって、電力の利用効率が高
く、高い加速電圧が得られる。
【0095】(実施例5)本発明の第5の実施例である
イオンビーム加速装置13Bについて、図9を用いて説
明する。
【0096】本実施例の加速空胴2は、第3の実施例と
同じ構造の非同調型加速空胴である。
【0097】本実施例においては、8個の環状磁性体2
0を2本ずつの4グループとし、そのグループごとに電
力伝送路34を設ける。
【0098】高周波電力供給装置35Bは、高周波電力
を発生する高周波電力発生装置30B,高周波電力発生装置
30Bの出力に接続した1入力4出力の分岐器31B,
分岐器31Bの4つの出力にそれぞれ接続した電力伝送
路34と電力伝送路34に接続された巻線部33とから
なる。
【0099】同軸ケーブル14は、第3の実施例と同様
に接続されており、1本の同軸ケーブル14の内部導体
15は、2個の環状磁性体20に巻きつけられている。
【0100】本実施例の等価回路は、第1の実施例の図
2の等価回路において、n=4とした場合である。従っ
て、ギャップ12で発生する加速電圧V4 は、数4でn
=4として、
【0101】
【数6】
【0102】で与えられる。ここで、Vd は直接結合の
加速空胴が発生する加速電圧である。本実施例の加速空
胴2は、Vd の約2倍の加速電圧を発生することができ
る。
【0103】そして、1個の電力伝送路34には、2個
の環状磁性体20のインピーダンスZd/4 が接続され
ていることになる。すなわち、本実施例では、第1の実
施例と同様に、電力伝送路34における負荷のインピー
ダンスZ4 が減少して、電力伝送路の特性インピーダン
スZ0 に近づく。
【0104】従って、本実施例も、実施例1と同様に、
高周波電力の利用効率が高くなる。このように、1つの
グループに含まれる環状磁性体の数が同じであれば、グ
ループごとに電力伝送路34を設けることにより、本実
施例と同様の作用によって、電力の利用効率が高く、高
い加速電圧が得られる。
【0105】また、本実施例のように、磁性体をグルー
プに分けるとき、グループ数は何個あってもよい。ただ
し、全ての磁性体を1グループとして、1つの電力伝送
路34と高周波電力発生装置30Bを設けた場合は、本
実施例は直接結合の場合と同一の性能を有する。
【0106】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電力伝送路と加速空胴とのインピーダンス不整合が改善
されるので、反射電力が減少し、高周波電力の利用効率
が高くなる。
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例であるイオンビーム加速
装置の構造図である。
【図2】本発明の第1の実施例であるイオンビーム加速
装置の等価回路を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施例であるイオンビーム加速
装置の構造図である。
【図4】図3のIII−III断面図である。
【図5】本発明の第3の実施例であるイオンビーム加速
装置を用いた円形加速器の構造図である。
【図6】図5のイオンビーム加速装置の詳細図である。
【図7】図6のVI−VI断面図である。
【図8】本発明の第4の実施例であるイオンビーム加速
装置の構造図である。
【図9】本発明の第5の実施例であるイオンビーム加速
装置の構造図である。
【図10】従来の非同調型加速空胴を示す図である。
【符号の説明】
1…円形加速器、2,3…加速空胴、10…加速空胴外
導体、11…加速空胴内導体、12…ギャップ、13…
イオンビーム加速装置、14…同軸ケーブル、15…内
部導体、16…外部導体、20…環状磁性体、27…電
気絶縁体、30…高周波電力発生装置、31…分岐器、
32…増幅器、33…巻線部、34…電力伝送路、35
…高周波電力供給装置、41…高周波電流、42…高周
波磁界、50…前段加速器、51…入射器、52…偏向
磁石、53…4極磁石、54…出射器、55…真空ダク
ト、60…イオンビーム、70…実験室又は放射線治療
室。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−6900(JP,A) 特開 昭63−48800(JP,A) 特開 昭63−76299(JP,A) 特開 平8−213198(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05H 13/04 H05H 7/02 H05H 7/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に空間を有する加速空胴外導体と、前
    記加速空胴外導体の1つの側壁を貫通するとともに内部
    をイオンビームが通過する加速空胴内導体と、前記加速
    空胴外導体内に前記加速空胴内導体を取り囲むように配
    置された複数の磁性体とを備えたイオンビーム加速装置
    において、 前記複数の磁性体毎に設けられた複数の高周波電力発生
    装置と、前記複数の磁性体毎に設けられ、かつ前記複数
    の高周波電力発生装置から出力される高周波電力を対応
    する各磁性体に伝送する複数の電力伝送路とを備えたこ
    とを特徴とする イオンビーム加速装置。
  2. 【請求項2】前記電力伝送路は、前記高周波電力発生装
    置から出力される高周波電力を増幅する増幅器を有する
    ことを特徴とする請求項1記載のイオンビーム加速装
    置。
  3. 【請求項3】内部をイオンビームが通過する真空ダクト
    と、前段加速器で加速されたイオンビームを前記真空ダ
    クトに入射する入射器と、前記真空ダクトに沿って設け
    られた偏向磁石及び4極磁石と、イオンビームを加速す
    るイオンビーム加速装置と、イオンビームを出射する出
    射器とを備えた円形加速器において、 前記イオンビーム加速装置は、内部に空間を有する加速
    空胴外導体と、前記加速空胴外導体の1つの側壁を貫通
    するとともに内部をイオンビームが通過する加速空胴内
    導体と、前記加速空胴外導体内に前記加速空胴内導体を
    取り囲むように配置された複数の磁性体と、前記複数の
    磁性体毎に設けられた複数の高周波電力発生装置と、前
    記複数の磁性体毎に設けられ、かつ前記複数の高周波電
    力発生装置から出力される高周波電力を対応する各磁性
    体に伝送する複数の電力伝送路とを有することを特徴と
    する円形加速器。
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