JP3366936B2 - 聴診器用カバーの製造方法 - Google Patents

聴診器用カバーの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、診察用に用いられ
る聴診器のダイヤフラム面を覆うカバーの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】病院には種々な院内感染症がありこの感
染症対策には苦慮しているのが現状である。この院内感
染で現在特に問題になっているものとしてMRSA(メ
チシリン耐性黄色ブドウ球菌)による感染症がある。こ
の感染症は医療が高度化するに伴って抗生剤が乱用され
たことにより発生したものであるといわれている。従っ
てこのような感染症には抗生剤が効かないために治りに
くく、特に高齢者や小児などの重症者は死亡に至る例も
ある。また今日では骨髄移植などの臓器移植技術が発達
しているが、この臓器の移植を施した場合には免疫力が
極度に低下して、考えられない程病原菌が感染しやすい
状態になることから憂慮され、感染の予防対策のニーズ
が益々高まっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、院内で
は外来患者も含めて多くの患者を診察する際に聴診器が
日常的に用いられていて、この聴診器の使用により患者
の皮膚皮膚を介して多くの人々に感染症が蔓延するとい
う問題がある。よって本発明は前記問題点に鑑みてなさ
れたものであり、患者を診察する際に聴診器の面を覆っ
て聴診器が患者の皮膚に直接に触れないようにすること
により感染症を防止することができる聴診器用カバーの
製造方法の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の聴診器用カバーに係る請求項1は、診察用
に用いられる聴診器のダイヤフラム面を覆う袋体を軟質
樹脂の薄膜にて形成するとともに、前記袋体の入り口部
周縁にゴム輪を設けて入口部内径を拡縮自在に構成した
聴診器用カバーの製造方法において、前記袋体を形成す
るに必要な円形の軟質樹脂材からなる薄膜の上面に円周
上に間欠的に接着剤を塗布するとともに成形型に前記ゴ
ム輪を前記聴診器に嵌着しうる径に拡径した状態にて装
着した後成形型を前記薄膜の接着剤塗布面に下降し、次
いで、当該成形型のスリーブを下降しつつ前記ゴム輪を
接着剤の塗布面に押圧して固着するとともに前記スリー
ブを上昇しつつ成形型より前記薄膜を抜き取ることによ
り製造することを特徴とする。
【0005】請求項2は、診察用に用いられる聴診器の
ダイヤフラム面を覆う袋体を軟質樹脂の薄膜にて形成す
るとともに、前記袋体の入り口部周縁にゴム輪を設けて
入口部内径を拡縮自在に構成した聴診器用カバーの製造
方法において、前記袋体を形成するに必要な円形の軟質
樹脂材からなる薄膜の上面に、前記ゴム輪を落ち込ませ
る溝を有する成形型を配置するとともに前記薄膜の下面
に前記ゴム輪を前記聴診器に嵌着しうる径に広げた状態
にして配置した後、前記ゴム輪を薄膜の裏面側から押し
上げつつ当該薄膜とともに前記成形型の溝内に落とし込
み、さらに、前記薄膜の前記溝からはみ出した余分な周
縁を下方に折り曲げ、その端部を薄膜側に固定するとと
もに前記薄膜を成形型より抜き取ることにより製造する
ことを特徴とする。
【0006】請求項1によれば、聴診器用カバーは、例
えば家庭で食品等を包む際に用いるラップのような樹脂
材から成る薄膜にて形成されていることにより、この薄
膜は聴診器のダイヤフラムの面に密着することにより雑
音を発生することがなく、音波を減衰させることもない
ので聴診音を効果的に伝達することができる。更にこの
軟質の樹脂材から成る薄膜は廉価な素材であり、しかも
袋体の形成及び袋体の入り口部周縁にゴム輪を取り付け
ることも容易である。これにより廉価に製造することが
でき、使い捨てが可能となる。
【0007】請求項1によれば、軟質の樹脂材から成る
薄膜は、ゴム輪の貼着が容易であり廉価に製造すること
が可能となる。
【0008】請求項2によれば、軟質の樹脂材から成る
薄膜は、ゴム輪の挿通孔を貼着又は加熱による形成が容
易であり廉価に製造することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1から図17は本発明の実施の
形態に係り、図1は聴診器にカバーを取り付けた状態を
示す図、図2及び図3は聴診器用カバーを示す斜視図、
図4及び図5は聴診器用カバーの一部断面図、図6及び
図7は聴診器の斜視図、図8から図17は聴診器用カバ
ーの製造工程を示す図である。
【0010】図6及び図7に示すように、聴診器1は略
鼓状に形成したチェストピース2にチューブ3を接続し
たもので、チェストピース2にはダイヤフラム4が張設
されており、このダイヤフラム4を皮膚に当て、皮膚か
ら伝わる音をチューブ3を通して聴音するように構成さ
れている。従って、このダイヤフラム4は人々の皮膚に
接触することにより、皮膚を介して院内感染する原因に
なることから、本発明ではこのダイヤフラム4を聴診器
用カバーにて被覆して使用することができるカバーを製
造するものである。
【0011】本発明により製造する聴診器用カバー5
は、軟質樹脂材から成る薄膜、例えば家庭で使用するラ
ップ状の薄膜を図2及び図3に示すように袋体6に形成
してその入口部に聴診器に装着するための締着手段9が
設けられている。
【0012】図2における聴診器用カバー5は図4に示
すように、袋体6の入口部外面にゴム輪8を伸縮自在に
貼着したものである。また図3に示す聴診器用カバー1
0は、図5に示すように袋体6の入口部周縁を中空リン
グ7に形成し、この中空部にゴム輪8を伸縮自在に挿通
したものである。
【0013】この構成の聴診器用カバー5又は6の聴診
器1に対する装着は、聴診器1のチェストピース2が略
鼓状に形成しているので、袋体6入口に設けられた締着
手段9を広げてダイヤフラム4側に被せることにより図
1に示すように締着手段9が縮径してチェストピース2
の裏面側、即ち頸部17に固定され、袋体6のダイヤフ
ラム4側が緊張状態になる。
【0014】(実施の形態1) 図8〜図13は本発明の実施の形態1を示すものであ
る。聴診器用カバー5の成形に際しては、先ず図8に示
すように、袋体6を形成するに必要な円形の軟質樹脂材
料から成る薄膜12の上面に複数の噴出口16を有する
ノズル15用いて接着剤17を図9に示すように円周上
にて間欠的に塗布する。
【0015】次に、図10に示すように、成形型18に
ゴム輪8を聴診器に嵌着しうる径に拡径した状態にして
装着する。次に、図11に示すように、成形型18を薄
膜面まで下降させると同時にスリーブ19を下降させて
ゴム輪8を薄膜12の面に押し当てる。これによりゴム
輪8は接着剤17により薄膜12の面に固定される。次
に、図12に示すように成形型18及びスリーブ19を
上昇させ、袋体6を成形型18から抜き取ることにより
図13に示すようにゴム輪8が縮径して聴診器の頸部1
7の径より小さい径dとなり、袋体6が完成する。
【0016】(実施の形態2) 図14〜図17は本発明の実施の形態2を示すものであ
る。聴診器用カバー10の成形に際しては、先ず図14
に示すようにゴム輪8を落ち込ませる溝13を有する成
形型13を薄膜12の上面に配置し、薄膜12の下面に
ゴム輪8を聴診器に嵌着しうる径に広げた状態にして配
置する。次に、図15に示すようにゴム輪8を薄膜12
の裏面側から押し上げて、薄膜12とともに溝13内に
落とし込む。これにより薄膜12の余分な周縁が溝13
からはみ出した状態になる。次に、図16に示すように
溝13からはみ出した薄膜12の周縁を下方に折り曲げ
てその端部を袋体6側に接着剤または加熱により固定す
る。次に、袋体6を成形型14から抜き取ることにより
図17に示すようにゴム輪8が縮径して聴診器の頸部1
7の径より小さい径dとなり、袋体6が完成する。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、袋体からなる聴診器用
カバーは入口部に設けられた締着手段を拡縮することに
より聴診器に容易に着脱することが可能であり、また薄
膜にて形成した聴診器用カバーを廉価に製造することが
できるので使い捨てが可能である。
【0018】また聴診器用カバーを構成する軟質樹脂材
から成る薄膜は聴診器のダイヤフラムに密着するので雑
音を発生することなく、音波を減衰させることもないの
で聴診器の聴音に支承が生じることがない。これにより
効果的に聴音することが可能となる。更にこの聴診器用
カバーを聴診器に被着して診療を行えば免疫力が低下し
た患者に対する感染症から守ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る聴診器にカバーを取
り付けた状態を示す図である。
【図2】聴診器用カバーを示す斜視図である。
【図3】聴診器用カバーの他の例を示す斜視図である。
【図4】聴診器用カバーの一部断面図である。
【図5】聴診器用カバーの一部断面図である。
【図6】聴診器の斜視図である。
【図7】聴診器の斜視図である。
【図8】聴診器用カバーの製造工程を示す図である。
【図9】聴診器用カバーの製造工程を示す図である。
【図10】聴診器用カバーの製造工程を示す図である。
【図11】聴診器用カバーの製造工程を示す図である。
【図12】聴診器用カバーの製造工程を示す図である。
【図13】聴診器用カバーの製造工程を示す図である。
【図14】聴診器用カバーの製造工程を示す図である。
【図15】聴診器用カバーの製造工程を示す図である。
【図16】聴診器用カバーの製造工程を示す図である。
【図17】聴診器用カバーの製造工程を示す図である。
【符号の説明】
1 聴診器用 2 チェストピース 3 チューブ 4 ダイヤフラム 5,10 聴診器用カバー 6 袋体 7 中空リング 8 ゴム輪 9 締着手段 11 開放端 12 薄膜 13 溝 14,18 成形型 15 ノズル 16 噴射口 17 接着剤 19 スリーブ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 診察用に用いられる聴診器のダイヤフラ
    ム面を覆う袋体を軟質樹脂の薄膜にて形成するととも
    に、前記袋体の入り口部周縁にゴム輪を設けて入口部内
    径を拡縮自在に構成した聴診器用カバーの製造方法にお
    いて、 前記袋体を形成するに必要な円形の軟質樹脂材からなる
    薄膜の上面に円周上に間欠的に接着剤を塗布するととも
    に成形型に前記ゴム輪を前記聴診器に嵌着しうる径に拡
    径した状態にて装着した後成形型を前記薄膜の接着剤塗
    布面に下降し、次いで、当該成形型のスリーブを下降し
    つつ前記ゴム輪を接着剤の塗布面に押圧して固着すると
    ともに前記スリーブを上昇しつつ成形型より前記薄膜を
    抜き取ることにより製造することを特徴とする聴診器用
    カバーの製造方法。
  2. 【請求項2】 診察用に用いられる聴診器のダイヤフラ
    ム面を覆う袋体を軟質樹脂の薄膜にて形成するととも
    に、前記袋体の入り口部周縁にゴム輪を設けて入口部内
    径を拡縮自在に構成した聴診器用カバーの製造方法にお
    いて、 前記袋体を形成するに必要な円形の軟質樹脂材からなる
    薄膜の上面に、前記ゴム輪を落ち込ませる溝を有する成
    形型を配置するとともに前記薄膜の下面に前記ゴム輪を
    前記聴診器に嵌着しうる径に広げた状態にして配置した
    後、前記ゴム輪を薄膜の裏面側から押し上げつつ当該薄
    膜とともに前記成形型の溝内に落とし込み、さらに、前
    記薄膜の前記溝からはみ出した余分な周縁を下方に折り
    曲げ、その端部を薄膜側に固定するとともに前記薄膜を
    成形型より抜き取ることにより製造することを特徴とす
    る聴診器用カバーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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