JP2016077509A - 気管チューブ - Google Patents
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Abstract
【課題】先端部と基端部との間に湾曲部を有する曲がった形状であっても内面に付着した痰等の異物を容易に除去することができる気管チューブを提供する。
【解決手段】人体の気管に挿入される気管チューブであって、湾曲部を介して先端部と基端部とが繋がっている断面略円形に形成されたチューブ本体と、前記チューブ本体の外面と内面との間に設けられ、前記チューブ本体の内面の少なくとも一部を縮径させる縮径部とを有することを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】人体の気管に挿入される気管チューブであって、湾曲部を介して先端部と基端部とが繋がっている断面略円形に形成されたチューブ本体と、前記チューブ本体の外面と内面との間に設けられ、前記チューブ本体の内面の少なくとも一部を縮径させる縮径部とを有することを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、人体の気管に挿入される気管チューブに関する。
従来から、自発呼吸が困難な患者や自力での痰の排出が困難な患者等に対し、切開等により気管に開けた孔から気管チューブとしての気管切開チューブを気管内に挿入し、体外と気管内とを気管切開チューブで直接つなぐことで、呼吸や痰等の異物の吸引を行い易くするようにすることが行われている。このような気管切開チューブは、例えば特許文献1に記載されている。
通常、気管切開チューブはポリ塩化ビニル製またはシリコーン製とされ、1本あたり最大30日間、患者に留置されて切開した孔を維持する。留置期間が30日に達すると、気管切開チューブは新たな気管切開チューブに交換される。
医療従事者は、このような気管切開チューブに人工呼吸器を接続して患者の呼吸を維持したり、気管切開チューブ内に吸引カテーテルを挿入して貯留した痰等の異物を吸引除去したりしている。
気管切開チューブは体外の乾燥した空気を直接気管内に導入するため、気管切開チューブを装着すると気管が乾燥して痰の粘度が高くなることが知られている。痰の粘度が高くなると、気管切開チューブの内面に痰が付着し易くなるので、痰が堆積して気管切開チューブが閉塞されることがないように、吸引カテーテルを用いて痰を随時、吸引除去する必要がある。
しかしながら、従来の気管切開チューブでは、気管に沿って配置される先端部と体外に突出する基端部との間に湾曲部を有する形状に形成されているので、吸引カテーテルを用いて痰を吸引する際、当該カテーテルは気管切開チューブの湾曲部に沿って患者の背中側を通り易くなる。そのため、気管切開チューブの内面の左右両側に付着した痰を除去することができず、当該左右両側部分に痰が堆積してしまうという問題があった。
本発明の目的は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、先端部と基端部との間に湾曲部を有する曲がった形状であっても内面に付着した痰等の異物を容易に除去することができる気管チューブを提供することにある。
本発明の気管チューブは、人体の気管に挿入される気管チューブであって、湾曲部を介して先端部と基端部とが繋がっている断面略円形に形成されたチューブ本体と、前記チューブ本体の外面と内面との間に設けられ、前記チューブ本体の内面の少なくとも一部を縮径させる縮径部とを有することを特徴とする。
本発明は、上記構成において、前記縮径部は、前記チューブ本体の外面と内面との間に配置される円環状のパンタグラフであり、前記チューブ本体の外部に設けられた操作部によって前記パンタグラフを縮径操作することにより前記チューブ本体の内面を縮径可能であるのが好ましい。
本発明は、上記構成において、前記縮径部は、前記チューブ本体の外面と内面との間に設けられたバルーン部であり、前記バルーン部に流体を供給することにより前記チューブ本体の内面を縮径可能であるのが好ましい。
本発明は、上記構成において、前記チューブ本体は、前記縮径部に対して内面側の部分の剛性よりも前記縮径部に対して外面側の部分の剛性の方が高くされているのが好ましい。
本発明は、上記構成において、前記チューブ本体は、該チューブ本体の外面を構成する外管と該チューブ本体の内面を構成する内管とを有し、前記外管と前記内管との間に前記縮径部が配置されているのが好ましい。
本発明は、上記構成において、前記チューブ本体は、前記外管と前記内管との間に中間管をさらに有し、前記縮径部は、自己縮径するステントとして構成されて前記外管と前記中間管との間に配置され、前記外管と前記内管との間から前記中間管を基端側へ向けて移動させると前記縮径部が自己縮径して前記チューブ本体の内面が縮径するのが好ましい。
本発明は、上記構成において、前記内管の剛性よりも前記中間管の剛性の方が高くされているのが好ましい。
本発明によれば、先端部と基端部との間に湾曲部を有する曲がった形状であっても内面に付着した痰等の異物を容易に除去することができる気管チューブを提供することができる。
以下、本発明に係る気管チューブの実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態である気管チューブ1は、例えば切開等により人体の喉元部分において気管に開けられた孔から挿入され、気道を確保するために用いられる。この気管チューブ1はチューブ本体2を備え、このチューブ本体2の外周面には収縮及び拡張可能なカフ3が取り付けられている。また、チューブ本体2の一方の端部にはフランジ部材4が装着されている。
図2、図3に示すように、チューブ本体2はチューブ本体2の外面を構成する外管2aとチューブ本体2の内面を構成する内管2bとを備えた二重管構造となっている。チューブ本体2は断面略円形であって、先端5から基端6まで貫通する断面円形の中空部7を内管2bの内側に備えたチューブ状に形成されている。気管チューブ1は、気管内に留置された状態において、中空部7により患者の気道を確保することができる。なお、チューブ本体2の先端5とは、チューブ本体2の遠位端であって気管チューブ1が気管内に留置されている状態において気管分岐部側に位置する一端である。また、チューブ本体2の基端6とは、チューブ本体2の近位端であって気管チューブ1が気管内に留置されている状態において体の外部に突出する顎側の他端である。
より具体的には、図3に示すように、チューブ本体2は、先端5を含む真っ直ぐな円筒状の先端部8と、基端6を含む円筒状の真っ直ぐな基端部9と、先端部8と基端部9とをつなぐ湾曲した湾曲部10とを有し、全体としてL字ないしJ字に曲げられた形状となっている。なお、フランジ部材4はチューブ本体2の基端部9に装着されている。
図2に示すように、外管2aの外周面と内周面との間の壁内には、カフ用ルーメン11と吸引用ルーメン12とが設けられている。
図3に示すように、カフ用ルーメン11は、外管2aの基端面に開口するとともに外管2aのカフ3が取り付けられる部分にまで延びており、カフ3の内側に開口する2つの連通孔13においてカフ3の内部に連通している。図1に示すように、フランジ部材4にはカフ用ルーメン11に連通するカフ用チューブ14が接続されており、例えばシリンジ等を用いてカフ用チューブ14に加圧した空気等の流体を供給することにより、当該流体をカフ用ルーメン11を通してカフ3に供給してカフ3を径方向外側に向けて拡張させることができる。チューブ本体2を気管に挿入した後、カフ3を径方向外側に拡張させることで、カフ3によりチューブ本体2の外周面と気管の内面との間の空間を閉塞するとともに、この状態でチューブ本体2を所定位置に留置させることができる。なお、気管チューブ1を気管から取り外す際には、拡張した状態のカフ3に対し、シリンジ等を用いてカフ用ルーメン11およびカフ用チューブ14を通してカフ3内の流体を吸引することでカフ3を径方向に収縮させることができる。
吸引用ルーメン12は、外管2aの基端面に開口するとともに外管2aのカフ3が取り付けられる部分よりも基端側の所定位置にまで延びた形状とされている。外管2aの外周面のカフ3よりも基端側には吸引口(図1参照)15が開口しており、吸引用ルーメン12はこの吸引口15に連通している。フランジ部材4には吸引用ルーメン12に連通する吸引用チューブ16が接続されており、この吸引用チューブ16に接続された図示しない吸引器により、気管内に留置されている状態のカフ3によって当該カフ3の気管上流側(顎側)に貯留される痰や唾液、血液などの異物Xを吸引口15から吸引用ルーメン12および吸引用チューブ16を通して吸引除去することができる。
図1に示すように、フランジ部材4はチューブ本体2の基端部9に装着され、チューブ本体2を体外から気管内に挿入して気管チューブ1を留置した際に皮膚の表面に当接し、基端部9が気管内に入り込むことを防止する。
図2、図3に示すように、外管2aと内管2bはそれぞれ同等の長さを有する円筒状に形成され、外管2aの内側に内管2bが重ねて収容されている。内管2bは外管2aの内面全体を覆っており、チューブ本体2の内部に入り込んだ痰等の異物は全て内管2bの内面に付着する。
外管2aは、例えば、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂製とすることができる。その中でも、成形が容易であるという点で、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)のような樹脂を用いることが好ましい。
これに対して、内管2bは、例えば軟質な樹脂材料などの可撓性を有する材料により形成され、その剛性は外管2よりも低くなっている。
チューブ本体2の先端部8における外面と内面との間、つまり外管2aと内管2bとの間には縮径部20が配置され、この縮径部20によりチューブ本体2の先端部8の部分における内面を縮径させることができる。
図3に示すように、縮径部20は例えば円環状のパンタグラフ(ステント)により構成することができる。この場合、パンタグラフとして構成された縮径部20は、金属製の線材を菱形に編んだものを円環状に丸めた構成とすることができる。縮径部20の外周には、複数個所(図示する場合は2か所)において操作紐21の巻き付け部21aが巻き付けられ、操作紐21を引くことによってその巻き付け部21aを絞り、縮径部20をその外径を縮小させるように縮径変形させることができる。操作紐21は外管2aと内管2bとの間を通してチューブ本体2の基端6から外部に引き出され、その先端には操作部22が固定されている。操作部22はチューブ本体2の基端側の外部に配置されており、これを指等で摘まんで操作紐21を引き操作することができるようになっている。操作部22により操作紐21を引き操作することにより、チューブ本体2の先端部8の内部に配置された縮径部20を遠隔操作により縮径させることができる。なお、操作部22の引き操作を解除すると、縮径部20は自己復元力により元の径にまで復元する。
上記のように、チューブ本体2の縮径部20に対して内面側の部分である内管2bの剛性は、チューブ本体2の縮径部20に対して外面側の部分である外管2aの剛性よりも低くされているので、図4に示すように、操作部22の引き操作により縮径部20を縮径させることによって、外管2aを元の形状に維持したまま内管2bを縮径部20とともに縮径させることができる。操作部22の引き操作により縮径部20を縮径させると、チューブ本体2の先端部8における内面が縮径し、チューブ本体2の先端部8の部分における中空部7の断面積が狭められる。
図1に示すように、気管に留置された状態の気管チューブ1の基端から中空部7に吸引カテーテル17を挿入し、チューブ本体2の中空部7の内面に付着した痰等の異物を吸引カテーテル17で吸引することができる。このとき、チューブ本体2は、気管に沿って配置される先端部8と体外に突出する基端部9との間に湾曲部10を有する曲がった形状に形成されているので、吸引カテーテル17を用いて痰等の異物を吸引する際、当該カテーテル17は湾曲部10に沿って中空部7の患者の背中側の内面に沿って移動し、中空部7の内面の左右両側に付着した痰等の異物を吸引することができない。そのため、当該部分に痰等の異物が堆積する虞がある。そして、このように堆積した痰等の異物が硬化するとその除去は困難である。
これに対して、本発明の気管チューブ1では、図4に示すように、吸引カテーテル17を用いてチューブ本体2の内面に付着した痰等の異物を吸引除去するに際して、操作部22の引き操作により縮径部20を縮径させてチューブ本体2の先端部8の部分における内面を縮径させることで、中空部7に挿入された吸引カテーテル17と当該内面に付着している痰等の異物との距離を近づけることができる。
例えば、本実施の形態では、内面が縮径されない通常状態におけるチューブ本体2の先端部8の部分における外径(外管2aの外径)が11.0mm、内径(内管2bの内径)が6.5mmであり、吸引カテーテル17の外径が4.0mmであるのに対して、縮径部20を縮径させることにより、チューブ本体2の先端部8の部分における内面を、内径が6.5mm未満、4.0mm以上、より望ましくは5.0mm未満、4.0mm以上となるまで縮径させることができるように構成している。なお、チューブ本体2の外径、内径および内面の縮径量は、上記に限らず、種々変更可能である。
これにより、チューブ本体2が先端部8と基端部9との間に湾曲部10を有する曲がった形状とされていても、当該チューブ本体2の中空部7の患者の背中側の内面に付着している痰等の異物だけでなく、中空部7の内面の左右両側に付着した痰等の異物をも吸引カテーテル17により吸引除去することができる。
このように、本発明の気管チューブ1では、チューブ本体2が先端部8と基端部9との間に湾曲部10を有する曲がった形状とされた場合であっても、吸引カテーテル17を用いてチューブ本体2の内面に付着した痰等の異物を吸引除去する際に、縮径部20により当該チューブ本体2の内面を縮径させ、中空部7に挿入された吸引カテーテル17とチューブ本体2の内面に付着している痰等の異物との距離を近づけることで、その内面に付着している痰等の異物を吸引カテーテル17により吸引除去することができる。したがって、気管チューブ1を気管から取り外すことなく気管内に留置したまま、吸引カテーテル17により気管チューブ1の内部から痰等の異物を除去することを可能として、より長期に亘って気管チューブ1を気管に留置させておくことができる。
なお、上記実施の形態においては、縮径部20によりチューブ本体2の先端部8における内面の少なくとも一部を縮径させるようにしているが、チューブ本体2の内面の少なくとも一部が縮径すれば、例えば、チューブ本体2の先端部8と湾曲部10とにおける内面を縮径させ、またはチューブ本体2の内面の全体を縮径させるなど、その縮径させる範囲は任意に設定することができる。
図5は図3に示す気管チューブ1の変形例であって、チューブ本体2の内部に縮径部20を埋設して設けた場合の部分断面図である。なお、図5においては、前述した部材に対応する部材に同一の符号を付し、再度の説明は省略する。
図1に示す気管チューブ1では、図3に示すように、チューブ本体2を外管2aと内管2bとの二重管構造とし、外管2aと内管2bとの間に縮径部20を配置するようにしているが、例えば図5に示すように、縮径部20をチューブ本体2の内部に埋設して設けた構成とすることもできる。つまり、チューブ本体2をその内面と外面とを構成する単一の管で構成し、その内部に、例えばインサート成形やその他の手段により縮径部20を埋設して設けた構成とすることができる。
この場合、チューブ本体2の縮径部20に対して外面側の部分の径方向厚みを、チューブ本体2の縮径部20に対して内面側の部分の径方向厚みを薄くすることにより、チューブ本体2の縮径部20に対して外面側の部分の剛性よりもチューブ本体2の縮径部20に対して内面側の部分の剛性を低くするのが好ましい。これにより、縮径部20の縮径により、チューブ本体2の外面を変形させることなく内面のみを効率よく縮径させることができる。
なお、チューブ本体2の縮径部20に対して外面側の部分の材質としてチューブ本体2の縮径部20に対して内面側の部分の材質よりも硬質のものを用い、これらを2色成形等により一体成形してチューブ本体2を形成することにより、チューブ本体2の縮径部20に対して外面側の部分の剛性よりもチューブ本体2の縮径部20に対して内面側の部分の剛性を低くすることもできる。また、上記した径方向厚みの相違と材質の相違とを組み合わせることで、チューブ本体2の縮径部20に対して外面側の部分の剛性よりもチューブ本体2の縮径部20に対して内面側の部分の剛性を低くすることもできる。
このように、縮径部20をチューブ本体2の内部に埋設して設けた構成とすることにより、チューブ本体2の構成を簡素化して、この気管チューブ1のコストを低減することができる。
図6(a)は図3に示す気管チューブ1の変形例であって、チューブ本体2の外管2aと内管2bとの間に縮径部20としてバルーン部を配置した場合の部分断面図であり、図6(b)は図6(a)に示すチューブ本体2の内面の一部が縮径した状態の部分断面図である。また、図7(a)は図6に示すバルーン部とされた縮径部20の変形例であって、チューブ本体2の壁内にバルーン部とされた縮径部20を一体に設けた場合の部分断面図であり、図7(b)は図7(a)に示すチューブ本体2の内面の一部が縮径した状態の部分断面図である。なお、図6、図7においては、前述した部材に対応する部材に同一の符号を付し、再度の説明は省略する。
図1に示す気管チューブ1では、図3に示すように、縮径部20として円環状のパンタグラフを用いているが、これに限らず、図6、図7に示すように、縮径部20としてバルーン部を用いることもできる。
図6には、チューブ本体2を外管2aと内管2bとの二重管構造とし、外管2aと内管2bとの間にバルーン部として構成せれた縮径部20を配置した場合を示す。この場合、図6(a)に示すように、縮径部20は、例えば樹脂材料等により薄い円環状の袋体に形成され、外管2aと内管2bとの間に挟み込まれて配置される。縮径部20には通気チューブ23が接続されている。通気チューブ23は外管2aと内管2bとの間を通してチューブ本体2の基端6から外部に引き出されており、例えばシリンジ等を用いて通気チューブ23に加圧した空気等の流体を供給することにより、当該流体を縮径部20に供給して縮径部20を径方向に膨張させることができる。このとき、上記のように、チューブ本体2の縮径部20に対して内面側の部分である内管2bの剛性を、チューブ本体2の縮径部20に対して外面側の部分である外管2aの剛性よりも低くしておくことにより、図6(b)に示すように、縮径部20を主に径方向内側に向けて膨張させて、チューブ本体2の外面を変形させることなく内面のみを効率よく縮径させることができる。
また、縮径部20をバルーン部として構成した場合であっても、例えば図7(a)に示すように、縮径部20をチューブ本体2の内部に一体に埋設して設けた構成とすることもできる。つまり、チューブ本体2をその内面と外面とを構成する単一の管で構成し、その内部に中子等を用いた成形法により環状の空間を区画形成し、この環状の空間をバルーン部としての縮径部20とすることができる。この場合、環状の空間として形成された縮径部20には、チューブ本体2の内部を基端6にまで延びる通気ルーメン24が設けられ、例えばシリンジ等を用いて通気ルーメン24に加圧した空気等の流体を供給することにより、当該流体を縮径部20に供給して縮径部20を径方向に膨張させることができる。このとき、上記と同様に、チューブ本体2の縮径部20に対して内面側の部分の剛性を、チューブ本体2の縮径部20に対して外面側の部分の剛性よりも低くしておくことにより、図7(b)に示すように、縮径部20を主に径方向内側に向けて膨張させて、チューブ本体2の外面を変形させることなく内面のみを効率よく縮径させることができる。
このように、縮径部20をバルーン部として構成することにより、空気等の流体を供給するだけの簡単な操作で、縮径部20を容易かつ確実に縮径させることができる。
なお、吸引カテーテル17による痰等の異物の吸引除去が終了した後には、通気チューブ23や通気ルーメン24に接続したシリンジ等を用いて縮径部20から流体を排出させることにより、チューブ本体2の内面を元の径に復元させることができる。
図8(a)は図3に示す気管チューブ1のさらに他の変形例であって、チューブ本体2を外管2a、内管2bおよび中間管を有する三重管構造とし、縮径部20として自己縮径するステントを用いた場合の部分断面図であり、図8(b)は図7(a)に示すチューブ本体2の内面の一部が縮径した状態の部分断面図である。なお、図8においては、前述した部材に対応する部材に同一の符号を付し、再度の説明は省略する。
図8(a)に示すように、縮径部20として自己縮径する円環状のステントを用いることもできる。この場合、チューブ本体2は外管2aと内管2bとの間に中間管2cをさらに有する三重管構造とされ、縮径部20は外管2aと中間管2cとの間に配置される。自己縮径可能なステントとして構成された縮径部20は、その径寸法を拡大する方向つまり拡径方向に弾性変形自在であり、拡径方向に弾性変形された状態つまり縮径方向の弾性力を生じた状態で外管2aと中間管2cとの間に配置される。
中間管2cは、その外側に配置される縮径部20を拡径方向に弾性変形した状態に維持可能な剛性を有するように所定の厚みないし材質で形成される。一方、内管2bの剛性は中間管2の剛性よりも低くされており、拡径方向に弾性変形された縮径部20が生じる縮径方向の弾性力により径方向に弾性変形可能となっている。なお、外管2aは上記と同様に、内管2bよりも剛性が高く形成されている。
中間管2cは、内外管2bの外周面および縮径部20の内面に対して摺動可能となっており、例えばチューブ本体2の基端6から突出して設けられる引き手部分を引くことにより、中間管2cを内管2bと縮径部20との間から基端6の側に向けて移動させ、内管2bと縮径部20との間から引き抜くことができる。
図8(b)に示すように、中間管2cを内管2bと縮径部20との間から基端6の側に向けて移動させて内管2bと縮径部20との間から引き抜くと、縮径部20が元の径に復元するように縮径変形し、これにより内管2bつまりチューブ本体2の内面が縮径する。
このように、チューブ本体2を三重管構造とし、縮径部20を自己縮径するステントとした構成とすることにより、中間管2cを引き抜くだけの簡単な操作で縮径部20を容易かつ確実に縮径させることができる。
なお、吸引カテーテル17による痰等の異物の吸引除去が終了した後には、中間管2cを先端5の側に向けて移動させ、縮径部20を径方向外側に向けて弾性変形させながら内管2bと縮径部20との間に配置させることにより、チューブ本体2の内面を元の径に復元させることができる。
上記変形例においても、チューブ本体2の内面の少なくとも一部が縮径すれば、例えば、チューブ本体2の先端部8と湾曲部10とにおける内面を縮径させ、またはチューブ本体2の内面の全体を縮径させるなど、その縮径させる範囲は任意に設定することができる。
また、上記変形例においても、例えば、内面が縮径されない通常状態におけるチューブ本体2の先端部8の部分における外径を12.0mm、内径を9.5mmとし、吸引カテーテル17の外径が4.0mmであるのに対して、チューブ本体2の先端部8の部分における内面を内径が9.5mm未満、4.0mm以上、より望ましくは、5.0mm未満、4.0mm以上となるまで縮径させる構成とするなど、チューブ本体2の外径、内径および内面の縮径量を種々の値に設定することができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、本実施の形態おいては、チューブ本体2の先端部8と基端部9とを湾曲しない直線状の円筒に形成するようにしているが、先端部8と基端部9とが湾曲部10によりつながった形状であれば、全体として湾曲した形状にチューブ本体2を形成することもできる。
また、縮径部20としてカバードステントを用い、このカバードステントとされた縮径部20をチューブ本体2の内面に直接取り付けた構成とすることもできる。この場合、カバードステントは、ステント本体を覆うカバーを有しているので、チューブ本体が外管2aに相当し、ステント本体が縮径部20に相当し、カバードステントのカバーが内管2bに相当する。
さらに、前記実施の形態においては、外管2にカフ3や吸引用ルーメン12が設けられるが、これらは必須の構成ではなく、また、これらの構成として他の形状ないし構造を用いることもできる。
本発明は、内面に付着した痰等の異物を容易に除去することができる気管チューブを製造する際に用いることができる。
1 気管チューブ
2 チューブ本体
2a 外管
2b 内管
2c 中間管
3 カフ
4 フランジ部材
5 先端
6 基端
7 中空部
8 先端部
9 基端部
10 湾曲部
11 カフ用ルーメン
12 吸引用ルーメン
13 連通孔
14 カフ用チューブ
15 吸引口
16 吸引用チューブ
17 吸引カテーテル
20 縮径部
21 操作紐
21a 巻き付け部
22 操作部
23 通気チューブ
24 通気ルーメン
X 痰等の異物
2 チューブ本体
2a 外管
2b 内管
2c 中間管
3 カフ
4 フランジ部材
5 先端
6 基端
7 中空部
8 先端部
9 基端部
10 湾曲部
11 カフ用ルーメン
12 吸引用ルーメン
13 連通孔
14 カフ用チューブ
15 吸引口
16 吸引用チューブ
17 吸引カテーテル
20 縮径部
21 操作紐
21a 巻き付け部
22 操作部
23 通気チューブ
24 通気ルーメン
X 痰等の異物
Claims (7)
- 人体の気管に挿入される気管チューブであって、
湾曲部を介して先端部と基端部とが繋がっている断面略円形に形成されたチューブ本体と、
前記チューブ本体の外面と内面との間に設けられ、前記チューブ本体の内面の少なくとも一部を縮径させる縮径部とを有することを特徴とする気管チューブ。 - 前記縮径部は、前記チューブ本体の外面と内面との間に配置される円環状のパンタグラフであり、
前記チューブ本体の外部に設けられた操作部によって前記パンタグラフを縮径操作することにより前記チューブ本体の内面を縮径可能であることを特徴とする、請求項1に記載の気管チューブ。 - 前記縮径部は、前記チューブ本体の外面と内面との間に設けられたバルーン部であり、
前記バルーン部に流体を供給することにより前記チューブ本体の内面を縮径可能であることを特徴とする、請求項1に記載の気管チューブ。 - 前記チューブ本体は、前記縮径部に対して内面側の部分の剛性よりも前記縮径部に対して外面側の部分の剛性の方が高くされていることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の気管チューブ。
- 前記チューブ本体は、該チューブ本体の外面を構成する外管と該チューブ本体の内面を構成する内管とを有し、
前記外管と前記内管との間に前記縮径部が配置されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の気管チューブ。 - 前記チューブ本体は、前記外管と前記内管との間に中間管をさらに有し、
前記縮径部は、自己縮径するステントとして構成されて前記外管と前記中間管との間に配置され、
前記外管と前記内管との間から前記中間管を基端側へ向けて移動させると前記縮径部が自己縮径して前記チューブ本体の内面が縮径することを特徴とする、請求項5に記載の気管チューブ。 - 前記内管の剛性よりも前記中間管の剛性の方が高くされていることを特徴とする、請求項6に記載の気管チューブ。
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