JP3366175B2 - CdS/CdTe太陽電池の製造方法 - Google Patents

CdS/CdTe太陽電池の製造方法

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秀明 大山
嘉邦 尾村
幹夫 室園
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松下電池工業株式会社
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

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  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CdS/CdTe
太陽電池の製造方法に関するもので、特に、CdTeの
電極であるカーボン膜の形成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、炭酸ガスによる地球温暖化、オゾ
ン層の破壊等、地球環境問題がクローズアップされる
中、新エネルギー開発、とりわけ太陽電池の早期実用化
に対する期待はますます大きくなってきている。しかし
ながら、太陽電池の早期実用化のためにはまだまだ解決
しなければならない課題が多々残っている。特に、太陽
電池の変換効率の向上と低コスト化は避けては通れない
重要な課題である。
【0003】そのような中で、CdS/CdTe太陽電
池は、光吸収層として最適な禁制帯幅に近い1.4eV
のCdTeを用いており、また使用する材料も安価なこ
とから、低コスト高効率太陽電池の本命の一つとして期
待されている。
【0004】CdS/CdTe太陽電池の作製法には、
種々の方法が試みられているが、印刷・焼結法は使用す
る装置も安価であり、すでに同手法で製造された太陽電
池は電卓用などとして広く使用されている。
【0005】以下に従来のCdS/CdTe太陽電池の
製造方法の代表例として、印刷・焼結法について説明す
る。
【0006】太陽電池の構成は、例えば、バリウムホウ
珪酸ガラス等の基板にCdS膜、CdTe膜、カーボン
電極を順次形成させたものであり、各膜は以下の方法で
形成される。
【0007】CdS膜 粒径2μm〜3μmの高純度(5N)の硫化カドミウム
(CdS)の粉末に12wt%の塩化カドミウム(CdC
2)の粉末と適当量のプロピレングリコールを加え、
混練することによりCdSペーストを作製する。次に、
このペーストをガラス基板上に印刷する。これを120
℃で1時間乾燥後、アルミナ製焼成ケースに入れ、小さ
な孔が多数開いている焼成用蓋を被せて、窒素雰囲気の
ベルト炉で690℃で90分間焼成する。
【0008】CdTe膜 カドミウム(Cd)の粉末(5N)とテルル(Te)の
粉末(6N)を等モル量ずつ加え、水とともにボールミ
ルで1μm以下の粒径になるまで粉砕する。乾燥後この
微粉末に、適量のCdCl2を加え、プロピレングリコ
ールを粘結剤として混練し、ペーストを作製する。次に
ペーストをCdS膜上に印刷し、120℃で1時間乾燥
後、CdS膜と同様に所定の容器を用いて600℃〜7
00℃で1時間焼成し、テルル化カドミウム(CdT
e)の焼結膜を得る。
【0009】カーボン電極 CdTe側の電極の作製には、カーボンペーストを用い
る。このカーボンペーストは、カーボンブラックと黒鉛
質粉末に有機質粘結剤を加えて作製する。この中に微量
のCu粉末を加えたものをCdTe膜上に印刷後、12
0℃で1時間乾燥し、窒素雰囲気中で350℃で熱処理
を行いカーボン電極を形成する。微量のCuはCdTe
中へ拡散し、アクセプタとして働くとともに、カーボン
との接触面をp+−CdTe層とし、良好なオーミック
接触を可能にする。
【0010】また、カーボンペースト中にCuイオンを
添加し、アクセプタとして作用させることについては、
特公昭56−33870号公報で提案されているがCu
成分の具体的な方法に関しては記述されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、CdT
e側の電極の作製には、一般的にCuの微粉末と導電材
としての炭素粉末を添加して分散させたカーボンペース
トが用いられている。この場合には、Cuの微粉末をカ
ーボンペースト中に均一に分散させることは非常に難し
い。仮に均一に分散させたペーストを均一に塗布した膜
を形成した場合でも、膜中のCu成分は通常、粒径0.
3μm程度のCu粒として存在するため微視的にはCu
成分が偏在することを回避出来ない。このため、Cu微
粉末をアクセプタのソースとした場合は均一にCdTe
中へCuを拡散させることは不可能である。その結果、
CdTe中のアクセプターが不足な部分と、逆にアクセ
プターとして作用しない過剰のCuが存在する部分が生
じる。この過剰のCuはCdTeの結晶性を低下させ、
さらには、CdS層にまで拡散して到達しCdS層の抵
抗を増大させる結果となる。その結果、太陽電池の高効
率化の大きな妨げとなっていた。
【0012】本発明はこのような課題を解決するもの
で、Cuを均一にCdTe中へ拡散させることにより、
高効率なCdS/CdTe太陽電池が得られる製造方法
を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】これらの課題を解決する
ため、本発明は、ガラス基板上にCdS膜とCdTe膜
とを積層して形成した後、炭素粉末とCuの有機化合
物、およびこのCuの有機化合物を可溶な粘結剤とを含
むカーボンペーストをCdTe膜上に塗布し、粘結剤成
分を蒸発させて除去した後、熱処理することにより、C
uの有機化合物を熱分解し、分解して得られたCuをC
dTe膜中へアクセプタ不純物として熱拡散させ、同時
にカーボン電極膜を形成することにより、Cuイオンを
均一にCdTe中へドーピングさせることができ、高効
率なCdS/CdTe太陽電池が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】この手段によれば、Cuの有機化
合物がカーボンペースト中の粘結剤に溶解するため、C
uの有機化合物をペースト中に均一な濃度で存在させる
ことができる。そしてこのペーストをCdTe膜上に塗
布した後、粘結剤成分を蒸発させて除去して形成した塗
膜中にCuの有機化合物を均一に存在させることができ
る。次いで、熱処理を行ってこの膜中のCuの有機化合
物を熱分解することにより、均一な濃度分布でCuが生
成し、このCuがCdTe中に拡散することによって、
CdTe中にCuを均一にドーピングすることが可能と
なる。そして、適正量のアクセプターが均一にドーピン
グできることにより、前記の従来の問題点を解決でき、
太陽電池の変換効率を大幅に向上させることができる。
【0015】さらに、カーボンペースト中の炭素粉末の
重量に対するCu成分の含有量が40ppm以上、40
0ppm以下となるようにCuの有機化合物を添加して
調製したカーボンペーストを用いることにより、適正量
のCuをCdTe中にアクセプターとして均一にドーピ
ングでき、ドーピング効果が大きくなる。
【0016】また、Cuの有機化合物としてはナフテン
酸銅を用いることが好ましく、この場合には325℃以
上、450℃以下の温度範囲で熱処理することにより、
変換効率がより優れた太陽電池が得られ、カーボンペー
ストの調製に用いる粘結剤としては、ナフテン酸銅を溶
解し、ペーストとしての塗行性を確保するための適度の
粘性を有するジエチレングリコールモノブチルエーテル
或いはテルピネオールを用いることが好ましい。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。
【0018】実施例として作製した太陽電池の構造は図
1に示す様に、ガラス基板1の上にCdS膜2、CdT
e膜3、カーボン電極4を順次積層して形成したもので
あり、CdTe膜3の形成までのプロセスは(従来の技
術)の項で記載した方法と同様な方法で作製した。
【0019】カーボン電極4の形成法に関しては、ま
ず、カーボンブラックと黒鉛粉末に第1の粘結剤として
のジエチレングリコールモノブチルエーテルを加えて練
合し、これにCuの有機化合物としてのナフテン酸銅を
第2の粘結剤としてのターミネオールに溶解させたもの
を添加して混合することにより、Cuの有機化合物を均
一に分散させたカーボンペーストを調製した。このナフ
テン酸銅の分解温度は約240℃であった。カーボンペ
ースト中の炭素粉末(カーボンブラックと黒鉛粉末を
1:6の重量比で混合したもの)に対して、Cu成分の
含有量が20、40、80、200、400、800p
pmとなるようにナフテン酸銅の添加量を変えてカーボ
ンペーストを調製した。
【0020】一方、比較例として前記の従来法により、
Cu微粉末(粒径0.3μm)を用いてCuの含有量が
炭素粉末の重量に対して、200、400、800pp
mのカーボンペーストを作製した。
【0021】これらの本発明法の実施例および従来法に
よる比較例ペーストをCdTe膜3の上に印刷し、12
0℃で1時間加熱して粘結剤を蒸発させて除去した後、
ベルト式電気炉で300℃〜500℃の範囲で温度を変
化させて、30分間の熱処理を行った。その後、CdS
のオーミック電極5としてAgIn膜を形成し、太陽電
池を作製した。 次に作製した太陽電池の変換効率をソ
ーラシミュレータを用いて測定し,その結果として本実
施例を表1に、比較例を表2に示した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】表1、表2から明らかなように、Cuの有
機化合物をアクセプタ源として使用した本発明の実施例
の場合、Cu微粉末を用いた比較例の場合よりも高い変
換効率が得られた。中でもCu成分の含有量が40pp
mから400ppm、熱処理温度が325℃から450
℃の場合に変換効率が高く、とりわけ、Cu成分の含有
量が80ppmから200ppm、熱処理温度が375
℃から425℃に最適条件があり、10%以上の変換効
率が得られた。尚、熱処理温度が500℃ではカーボン
ブラックが焼失したために、CdTeとの電気的接触が
得られず、300℃ではCu成分の拡散が不十分なため
十分なドーピング効果が得られず、変換効率が低くなる
ことがわかった。
【0025】尚、Cuの有機化合物の一種であるナフテ
ン酸銅はナフテン酸の銅塩であり、ナフテン酸はシクロ
ペンタン環またはシクロヘキサン環のメチレン側鎖の末
端にカルボキシル基をもつ環状飽和脂肪酸を総称するも
のである。上記の実施例では分解温度が約240℃のも
のを用いたが、ナフテン酸の種類によりナフテン酸銅の
分解温度などの性質は若干異なるものもある。しかし、
これらも本実施例と同様の方法で本発明に適用して同様
の効果が得られる。また、本実施例では粘結剤としてジ
エチレングリコールモノブチルエーテルとテルピネオー
ルを併用して用いたが、何れにもナフテン酸銅が可溶性
なので、これらの溶剤を単独に粘結剤として用いること
もできる。
【0026】Cuの有機化合物としては、ナフテン酸銅
以外に銅アルコキサイトあるいはジケトネート類、銅カ
ルボン酸誘導体或いは有機塩類、有機銅化合物などに分
類される多くの化合物がある。これらの中から分解温度
や熱分解によるCuの生成の可能性、取扱い中の化学
的、熱的な安定性、有機性の粘結剤との相溶性などに配
慮して、本発明の実施に適用できる物質を検討して選択
すればよく、検討対象として、例えば、銅エチルアセト
アセテート(C12186Cu)、銅ベンゾイルアセト
ネート(C20184Cu)、さらに、銅 -2-エチルヘ
キサノエート(C6304Cu)などが挙げられる。
【0027】また、粘結剤としては、上記以外にCuの
有機化合物を溶解しやすいが粘性が少ないエタノールや
メタノール、キシレン等の溶剤と前記のジエチレングリ
コールモノブチルエーテル、テルピネオール、或いはプ
ロピレングリコールなどの粘性の溶剤を併用して粘結剤
として用い、カーボンペーストを調製することもでき
る。
【0028】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、CdS/
CdTe太陽電池の製造において、CdTeのアクセプ
タ源としてCuの有機化合物を用い、これを粘結剤に溶
解したカーボンペーストをCdTe上に塗布、乾燥後、
熱処理してカーボン電極を形成し、同時にCdTe中に
Cuが均一に拡散させることにより、変換効率の高い太
陽電池を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるCdS/CdTe太陽
電池の断面図
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 CdS膜 3 CdTe膜 4 カーボン電極 5 AgIn電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 室園 幹夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−347424(JP,A) 特開 昭63−213975(JP,A) 特開 昭63−213973(JP,A) 特開 昭55−117287(JP,A) 特開 昭55−102279(JP,A) 特開 平9−148596(JP,A) 特開 平9−148595(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 31/04 - 31/078

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基板上にCdS膜とCdTe膜と
    を積層して形成した後、炭素粉末と銅の有機化合物と銅
    の有機化合物を可溶な粘結剤を含有するカーボンペース
    トをCdTe膜上に塗布し、粘結剤成分を蒸発させたの
    ち、熱処理することにより、銅の有機化合物を熱分解
    し、分解して得られた銅をCdTe膜中へアクセプタ不
    純物として熱拡散させると同時に、CdTe膜上にカー
    ボン電極膜を形成することを特徴とするCdS/CdT
    e太陽電池の製造方法。
  2. 【請求項2】 銅の有機化合物中の銅成分が炭素粉末の
    重量に対し、40ppm以上、400ppm以下の含有
    量となるように調合したカーボンペーストを用いること
    を特徴とする請求項1に記載のCdS/CdTe太陽電
    池の製造方法。
  3. 【請求項3】 銅の有機化合物がナフテン酸銅であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のCdS/CdTe太陽
    電池の製造方法。
  4. 【請求項4】 熱処理温度が325℃以上、450℃以
    下であることを特徴とする請求項3に記載のCdS/C
    dTe太陽電池の製造方法。
  5. 【請求項5】 粘結剤としてジエチレングリコールモノ
    ブチルエーテル、テルピネオールから選ばれた一種また
    は二種を含むカーボンペーストを用いることを特徴とす
    る請求項3に記載のCdS/CdTe太陽電池の製造方
    法。
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CN116154033A (zh) * 2021-11-23 2023-05-23 中国建材国际工程集团有限公司 一种激活薄膜太阳能电池吸收层的方法

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