JP3361626B2 - 一次元写像回路およびカオス発生装置 - Google Patents

一次元写像回路およびカオス発生装置

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JP3361626B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一次元写像回路お
よびカオス発生装置に係り、特に、コンピュータやエレ
クトロニクス機器における連想記憶や複雑な組み合わせ
問題に関する最適解を求めることを可能にするカオス発
生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、コンピュータやエレクトロニクス
機器への神経回路網の応用という面から、ニューラルネ
ットワークの研究が盛んに行われている。特に、ニュー
ロンのカオス応答特性に着目し、カオスと情報処理とを
関連させるカオスニューラルネットワークの電子回路モ
デルの研究も盛んである。
【0003】カオスニューラルネットワークの電子回路
モデルでは、ニューロンの周期応答やカオスの応答特性
を離散時間モデルで数式化して数学的差分方程式または
微分方程式に変換し、この方程式をカオスニューロンモ
デルとして電子回路化を図る。そして、複数の演算増幅
器を組み合わせた一次元写像回路と、それに連なる二つ
のサンプルホールド回路によってカオスニューラルネッ
トワークの電子回路モデルを構成し、サンプルホールド
と一次元写像を順次繰り返すことによって、上記方程式
の各項に対応させるカオス発生装置の例が従来から知ら
れている(清水和彦:”カオスヌーラルネットワークの
電子回路モデル”、電子情報通信学会論文誌A、J73
−A、3、495頁)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の電子回路モデルによるカオス発生装置では、複数
の演算増幅器を組み合わせて一次元写像回路を構成し、
その入出力特性を調整し方程式の各項に適合させるの
で、次のような種々の課題を有していた。
【0005】第一に、一次元写像回路だけでなくカオス
発生装置全体の回路構成が複雑で大型化し、また、入出
力特性が周囲温度の変化に影響され、その調整が煩わし
い。このため、従来の一次元写像回路によればカオス発
生装置を集積回路化するには不向きであった。
【0006】第二に、演算増幅器での演算や信号伝達に
相応の時間がかかるので、サンプリングレートを高速化
できず、変化が急速な外部入力には対応できない。カオ
ス発生装置では、一次元写像とサンプリングを繰り返
し、内部状態を遷移させながら写像を繰り返す。従っ
て、一次元写像に時間がかかると、サンプリングレート
を高速にできず、サンプリングレートを高速にした場合
には、カオスを発生できない。従来のカオス発生装置に
よれば、内部での信号伝達や処理速度が遅く、内部状態
の決定に時間がかかるので、カオスを発生できるのは、
サンプリングレートを遅くした場合や、外部入力の変化
が十分に遅い場合に限られていた。
【0007】以上の他、演算や信号伝達に相応の時間が
かかる結果として、サンプリングしてフィードバックす
るまでの間にノイズの影響を受けやすく、誘導も誘いや
すい。しかも、これにより一次元写像での内部状態の遷
移の軌跡が変動しやすく、正確なカオスを安定に発生で
きないなどの未解決な課題を多く有していた。
【0008】この発明は、上記の従来技術が有していた
課題に鑑みてなされたものであり、CMOS電子回路で
構成でき、集積回路化にも適し、内部状態を高速に決定
でき、又は、高速なサンプリングでも正確なカオスを安
定に発生できる一次元写像回路およびカオス発生装置を
提供することを目的としている。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【課題を解決するための手段】 請求項に係るカオス発
生装置は、入力電圧の増大に対して出力電圧が増大する
入出力特性をもつCMOSソースホロア回路からなる第
一のCMOS演算回路と、入力電圧の増大に対して出力
電圧が減少する入出力特性をもち前記第一のCMOS演
算回路の演算出力を反転して出力するCMOSインバー
タ回路からなる第二のCMOS演算回路と、第一の外部
入力が与えられ且つ入力電圧の増大に対して出力電圧が
減少する入出力特性をもつCMOSインバータ回路から
なる第三のCMOS演算回路と、を有し、前記第一のC
MOS演算回路の演算出力を前記第二のCMOS演算回
路で反転した反転出力と、前記第三のCMOS演算回路
の出力とを合成して出力する一次元写像回路と、前記一
次元写像回路の出力を記憶保持するサンプルホールド手
段と、前記サンプルホールド手段経由で前記一次元写像
回路の出力を前記第一のCMOS演算回路の入力に帰還
する帰還ループと、を備えて構成されることを特徴とす
る。
【0038】請求項に係るカオス発生装置では、まず
一次元写像回路において、第一のCMOS演算回路の演
算出力を第二のCMOS演算回路で反転した反転出力
と、第三のCMOS演算回路の出力とを合成することで
得られた非線形入出力特性の一次元写像が行われる。す
ると、一次元写像回路からの出力はサンプルホールド手
段に入力されて記憶保持される。さらに、一次元写像回
路の出力は、サンプルホールド手段経由で第一のCMO
S演算回路の入力に帰還ループを介して帰還させられ
る。つまり、サンプルホールド手段から帰還ループ経由
で第一のCMOS演算回路に帰還される信号は、第一乃
至第三の各CMOS演算回路を構成する例えばMOSト
ランジスタのチャンネル導伝度によって設定される入出
力特性に応じて信号変換されて一次元写像される。そし
て、以下同様に一次元写像・サンプルホールド・帰還の
各動作がカオス発生装置において順次繰り返し行われ
。また、第一のCMOS演算回路をCMOSソースホ
ロア回路とし、第二のCMOS演算回路及び第三のCM
OS演算回路をCMOSインバータ回路とすることによ
り、カオス発生装置の回路構成が単純になり、CMOS
半導体集積回路プロセスを適用することによって、カオ
ス発生装置の集積回路化を実現可能とする。
【0039】また、請求項に係るカオス発生装置は、
請求項に記載のカオス発生装置において、前記サンプ
ルホールド手段は、第二の外部入力を取り込んで状態設
定される状態設定回路を有することを特徴とする。
【0040】請求項に係るカオス発生装置では、第二
の外部入力y(0)は、状態設定回路を経てサンプルホ
ールド手段に入力され、サンプルホールド手段の状態を
y(0)に対応して設定するので、第二の外部入力y
(0)を初期設定値とすれば、サンプルホールド手段の
初期状態をy(0)に対応して設定する作用をなす。
【0041】請求項に係るカオス発生装置によれば、
サンプルホールド手段経由で任意の初期設定値を与える
ことができるので、カオスがもつ初期値敏感性と相まっ
て、多数のカオス系列を正確かつ安定して発生させるこ
とができる。
【0042】さらに、請求項に係るカオス発生装置
は、請求項又はに記載のカオス発生装置において、
前記サンプルホールド手段の出力を取り込む観察系の少
なくとも一部にビットマップ演算手段を有することを特
徴とする。
【0043】請求項に係るカオス発生装置では、ビッ
トマップ演算手段は、サンプルホールド手段の出力を入
力してビットマップ上にカオスの軌跡を描かせる働きを
する。
【0044】請求項に係るカオス発生装置によれば、
ビットマップ上に描かせたカオスの軌跡を例えばディス
プレイなどに表示させれば、カオスの内部状態を視覚を
通じて観察することができる。
【0045】請求項に係るカオス発生装置は、請求項
乃至のうちいずれか一項に記載のカオス発生装置に
おいて、前記第三のCMOS演算回路には、デジタル信
号としての前記第一の外部入力をアナログ信号に変換す
るデジタル・アナログ変換手段が布設されていることを
特徴とする。
【0046】請求項に係るカオス発生装置では、デジ
タル・アナログ変換手段は、コンピュータで設定した外
部調整電圧としてのデジタル信号である第一の外部入力
aをDA変換して第三のCMOS演算回路に与える。
【0047】請求項に係るカオス発生装置によれば、
ステート信号や直流信号、または、デジタル信号として
供給される第一の外部入力aは、デジタル・アナログ変
換手段経由でアナログ信号に変換されて第三のCMOS
演算回路に入力されて、正確かつ安定したカオスの発生
に適した所要の非線形入出力特性に従う一次元写像を実
現することができる。
【0048】請求項に係るカオス発生装置は、請求項
乃至のうちいずれか一項に記載のカオス発生装置に
おいて、前記第一のCMOS演算回路と、前記第二のC
MOS演算回路と、前記第三のCMOS演算回路と、の
うち少なくとも1のCMOS演算回路を構成するMOS
トランジスタのチャンネル導伝度と、その他のCMOS
演算回路を構成するMOSトランジスタのチャンネル導
伝度と、は相互に異なることを特徴とする。
【0049】請求項に係るカオス発生装置によれば、
第一乃至第三のCMOS演算回路のうち少なくとも1の
CMOS演算回路を構成するMOSトランジスタのチャ
ンネル導伝度と、その他のCMOS演算回路を構成する
MOSトランジスタのチャンネル導伝度と、を相互に異
なるものに設定することにより、これらのCMOS演算
回路の入出力特性を自由に設定することができ、ひいて
は正確かつ安定したカオスの発生に資することができ
る。
【0050】
【0051】
【0052】
【発明の実施の形態】この発明に係る一次元写像回路お
よびカオス発生装置の実施形態を図面を参照して以下に
説明する。
【0053】図1は、カオス発生のための連続した非線
形関数を入出力伝達特性として与える一次元写像回路の
構成を示している。詳述すれば、同図に示すように、
次元写像回路は第1乃至第3のブロック1、2、3の相
互相続により構成される。第1のブロック1は、図2
(a)符号8のような入力電圧の増大に対し出力電圧も
増大する入出力伝達特性をもつ。たとえばCMOSソー
スホロアである。CMOSソースホロアは、NMOSト
ランジスタをプルアップとし、PMOSトランジスタを
プルダウンとして電源とグラウンド間に直列接続され、
共通したゲートに入力を与え、出力を共通に取り出す。
第2乃至第3のブロック2、3は、PMOSトランジス
タをプルアップとし、NMOSトランジスタをプルダウ
ンとしたCMOSインバータである。その入出力伝達特
性は図2(b)符号9のように、入力電圧の増大に対し
出力電圧は減少する。第1乃至第2のブロック1、2は
共通の入力5と共通の出力6をもち、互いに相反する入
出力伝達特性、図2(a)および(b)が合成され、入
力5と出力6の間の入出力伝達特性は図2(c)の非線
形関数10を合成する。外部調整電圧7を入力される
3のブロック3が出力6に接続されると、図2(c)の
特性は変化する。外部調整電圧7はカオス発生装置の分
岐パラメータである。各ブロックを構成するPMOSト
ランジスタとNMOSトランジスタのしきい値電圧とチ
ャネル導伝度を変化させることにより、入力5出力6間
の伝達特性、すなわち一次元写像の非線形関数を変化さ
せることができる。
【0054】図3は一次元写像回路11(図1)の出力
、二つのスイッチ12、13及びフィードバックルー
プ15を介して一次元写像回路11の入力接続し、ス
イッチ12と13の間に内部状態を一時記憶する保持コ
ンデンサ14を接続してなるカオス発生装置である。ス
イッチ12、13は外部クロックにより交互に開閉さ
れ、離散時系列を作り出す。クロックの間隔は保持コン
デンサ14を充分に充放電するに必要な時間とする。
お、スイッチ12を第一のスイッチと呼ぶ一方、スイッ
チ13を第二のスイッチと呼ぶ場合がある。図4は二個
の一次元写像回路(図1)16、18の出力にスイッチ
17、19をそれぞれ接続し、各スイッチ17、19の
出力のそれぞれに、フィードバックループ20、21を
各々介して各回路16、18の入力をたすきがけ状に接
続してなるカオス発生装置である。スイッチ17、19
はCMOS伝送ゲートでよい。図3のカオス発生装置は
内部状態の記憶保持手段として受動素子によるコンデン
サを用いているのに対し、図4のフリップフロップ形カ
オス発生装置は受動素子を必要とせず、PMOSトラン
ジスタとNMOSトランジスタを相補的に用いたCMO
S構成で、すべての素子は能動素子である。したがっ
て、集積回路としてシリコンウエハ上に実現するうえで
は、図4のフリップフロップ形カオス発生装置がのぞま
しい。さらに、PMOSとNMOSは常に釣り合いを保
ち、周囲温度の変化の影響を受けにくい。なお、スイッ
チ17を第一のスイッチと呼ぶ一方、スイッチ19を第
二のスイッチと呼ぶ場合がある。図5は一次元写像回路
(図1)22の出力にAD変換器23とDA変換器24
直列接続し、DA変換器24の出力フィードバック
ループ25を介して一次元写像回路22の入力接続し
てなるカオス発生装置である。カオスの内部状態は実数
(アナログ値)で表現される無限個の軌跡を生成する
が、AD変換器23とDA変換器24の変換精度を、た
とえば12ビットと選ぶことにより、実用上十分な数の
内部状態を利用することができる。さらに、図5のカオ
ス発生装置ではAD変換器23とDA変換器24の変換
精度を10ビットや8ビットにおとすと、カオスの中か
ら4周期、6周期、8周期、12周期などの多周期の量
子化された内部状態を取り出すことができる。これによ
り、多値フリップフロップによる多値演算を実行でき
る。
【0055】カオス発生装置の第一の実施例(図3)お
よび第二の実施例(図4)において、スイッチ13また
はスイッチ17および19の出力、すなわち帰還ループ
15あるいは20、21にAD変換器を接続して、カオ
スの内部状態をデジタル値に変換してコンピュータのメ
モリに取り込むことができる。離散時系列の関数として
取り込まれたデジタルデータはコンピュータの表示装置
上にタイムシリーズとして表示される。指定された外部
調整電圧における内部状態のタイムシリーズから、簡単
なデジタルデータ処理により、内部状態を2周期点から
の距離に直して対数表示することによりリヤプノフ指数
をもとめる。また、タイムシリーズに関し信号解析をほ
どこすことにより予測可能性の推定を行い相関次元をも
とめる。これらの過程でタイムシリーズの中にリヤプノ
フ指数や相関次元で特徴づけられる、特徴的なパターン
が繰り返されていることに気付く。このことは、連想記
憶への手がかりを与えている。
【0056】カオス発生装置の第三の実施例(図5)は
ループの内部にAD変換器23とDA変換器24をもっ
ている。AD変換器23の出力であるデジタルコード2
6はDA変換器24に送られるだけでなくコンピュータ
のメモリにも送られる。前記第一および第二の実施例の
帰還ループにあらわれた内部状態をAD変換してデジタ
ル値としてコンピュータに取りみ、タイムシリーズの
信号解析をコンピュータのデジタル演算で実行したのと
同様のデータ処理を、第三の実施例に関しても行うこと
ができる。変換精度が12ビット以上のAD変換器を採
用した場合、同一の一次元写像回路を用いたときには、
三者の間にほとんど差異はみられない。
【0057】一次元写像回路(図1)において、入力電
圧の増大に対し出力電圧が増大する第1のブロック1と
してCMOSソースホロアを用い、入力電圧の増大に対
して出力電圧が減少する第2乃至第3のブロック2,3
としてCMOSインバータを用いた場合、電源電圧+5
Vに対し外部調整電圧を+0.95Vから+1.52V
の範囲で与え、図3又は図4に示した第一のスイッチ1
2または17と第二のスイッチ13または19のおのお
のにクロック周期が0.25マイクロ秒の互いに重なら
ないクロックを与えたところ、カオスを安定に発生させ
ることができた。ちなみに、図3に示す保持コンデンサ
14の容量は3000ピコファラッドであった。また、
そのときに採用されたPMOSトランジスタのしきい値
電圧は−1.30Vであり、NMOSトランジスタのし
きい値電圧は+1.53Vであった。また、PMOSト
ランジスタのチャネル導伝度とNMOSトランジスタの
それとの比は1:0.88であり、第一のCMOSソー
スホロアと第二および第三のCMOSインバータ間のチ
ャネル導伝度の比は5:2:1であった。これらの数字
は一例にすぎない。たとえば、電源電圧+5Vに対しト
ランジスタのしきい値電圧は、汎用CMOSデジタル回
路ではそれらの絶対値ができるだけ小さくなるように設
計するが、カオス発生装置の本発明の実施例では、より
大きな値とし、しかもPMOSトランジスタのしきい値
電圧とNMOSトランジスタのしきい値電圧に、その絶
対値に違いをもうけて、伝達特性で表現される連続した
非線形性を強調している。チャネルコンダクタンスに関
しても同様の議論が成り立ち、汎用デジタルLSIの設
計思想と異なっている。
【0058】CMOSソースホロアとCMOSインバー
タ2段からなる一次元写像回路(図1)の状態の決定
は、等価的にはCMOSインバータ3段のリングオシレ
ータの伝播遅延時間に等しく、集積回路化においてデザ
インルールを微細にすればするほど効果をあげる。この
ことから、集積回路化に適しているということができ
る。すなわち、一次元写像回路を信号が一回通過するに
要する時間は数10ピコ秒と早い。一方、本発明のカオ
ス発生装置では、第一および第二の実施例では帰還ルー
プの外にAD変換器をもうけカオスの内部状態を観察
し、第三の実施例ではループの中にAD変換器とDA変
換器を挿入して内部状態の観察を行う。本発明のカオス
発生装置の実用にあっても、カオスの内部状態をAD変
換し、コンピュータを介在させてリアルタイムでデジタ
ルデータ処理をしながら仕事をする。AD変換器の変換
精度と変換速度が可能な仕事の量を決定する。変換精度
が12ビットの場合、変換速度は25マイクロ秒程度で
ある。この精度と速度が向上すればカオスの仕事量も飛
躍的に増大する。AD変換器の変換速度25マイクロ秒
に対し、一次元写像回路の信号伝播遅延は数10ピコ秒
と十分早く、一次元写像回路の内部状態が十分安定した
ところでAD変換器はサンプリングしている。本発明の
カオス発生器に再現性が保証されていることの理由であ
る。
【0059】本発明のカオス発生装置では、コンピュー
タ内であらかじめ設定した初期値をDA変換して、これ
を繰り返し与え、内部状態の時間経過に伴う変位をコン
ピュータのメモリに取り込み、そのデータを取りだして
表示することができる。カオスの内部状態は初期値にき
わめて敏感で、リヤプノフ指数に従う発散と収束を繰り
返している。初期値に直接アナログ電圧を印加すること
もでき、アナログ電圧にセンサ信号をのせておくと、セ
ンサ信号の増幅した信号をカオスの内部状態のタイムシ
リーズのパターン上で観察することができる。この場
合、カオス発生装置はセンサ、たとえば温度、湿度、
力、加速度などの各種の物理量の増幅検出器ともなる。
【0060】本発明のカオス発生装置に対するセンサ信
号の取りみは、外部調整電圧からも行うことができ
る。外部調整電圧は、一次元写像回路の非線形性の程度
を調整する。外部調整電圧は、コンピュータの内部でデ
ジタル値としてあらかじめ設定し、DA変換器を通して
アナログ電圧として与えることもできる。直接、直流電
源よりアナログ電圧を与えてもよい。このアナログ電圧
にセンサ信号をのせることにより、内部状態のタイムシ
リーズのパターンの変化としてセンサ信号を増幅検出す
ることができる。
【0061】本発明の一次元写像回路の非線形の度合い
を示すリヤプノフ指数は、0.2から0.8の範囲にあ
る。この値は、採用するMOSトランジスタのデバイス
としてのパラメータ、第一、第二、第三のブロック(図
1の符号1、2、3)相互間のチャネル導伝度の比、外
部調整電圧により決定される。リヤプノフ指数が、たと
えば0.2と小さい時には、内部状態のタイムシリーズ
は周期性が高まり、たとえば0.8と大きくなると内部
状態のタイムシリーズは複雑なランダムな振る舞いをす
る。前者は内部状態の予測可能性が高いのに対し、後者
は内部状態の時間経過に伴う変位を予測することが大変
むづかしくなる。
【0062】本発明のカオス発生装置の内部状態間の相
関関係は、相関次元より与えられる。実施例に関しもと
められた相関次元は0.23から0.28の範囲にあっ
た。リヤプノフ指数との関係は明白ではないが、周期性
が高いときに相関次元は大きく、ランダムな振る舞いの
場合に相関次元は小さい。
【0063】この発明のさらなる具体例を以下に説明す
る。図6において、カオス発生装置は、一次元写像回路
101と、一次元写像回路101の出力側に直列に接続
するサンプルホールド手段102として機能する第一の
サンプルホールド回路121と第二のサンプルホールド
回路122により構成されており、第二のサンプルホー
ルド回路122の出力部は、ループ104経由で一次元
写像回路101の入力側に帰還接続されている。一次元
写像回路101の構成を詳述すれば、一次元写像回路1
01は、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタ
が電源とグランド間に直列接続された3段のCMOS演
算回路111,112,113により構成されており、
各段毎にそれぞれのPMOSトランジスタとNMOSト
ランジスタのゲートが共通接続されている。第1段のC
MOS演算回路としてのCMOSソースホロワ回路11
1はソースが共通接続されており、第2段のCMOS演
算回路としてのCMOSインバータ回路112はドレイ
ンが共通接続されており、第3段のCMOS演算回路と
してのCMOSインバータ回路113はドレインが共通
接続されている。そして、CMOSソースホロワ回路1
11のゲートには第二のサンプルホールド回路122の
出力部がループ104を介して帰還接続され、CMOS
ソースホロワ回路111のソースはCMOSインバータ
回路112のゲートに接続されている。また、CMOS
インバータ回路113のゲートには外部入力aが共通接
続され、これらのCMOSインバータ112のドレイン
とCMOSインバータ回路113のドレインは、サンプ
ルホールド手段102の一部を構成して第一のクロック
φ1が供給される第一のサンプルホールド回路121の
入力部に共通接続されている。さらに、第二のクロック
φ2が供給される第二のサンプルホールド回路122の
ループ104に連なる出力側には、観察系105が接続
されている。
【0064】上記の図6に示した構成によれば、一次元
写像回路101の入出力伝達特性が一次元写像に適する
ように3段のCMOS演算回路111,112,113
のそれぞれのMOSトランジスタの導伝度の比が設定さ
れ、これらのCMOS演算回路111,112,113
の演算機能と外部入力aによって、一次元写像回路10
1に入力する入力信号は重みづけ演算されてサンプルホ
ールド手段102に供給される。
【0065】すなわち、いま、時間t=0における信号
y(0)がサンプルホールド手段102からループ10
4経由で一次元写像回路101に帰還供給されると、こ
の信号y(0)はCMOSソースホロワ回路111に入
力し、CMOSソースホロワ回路111のMOSトラン
ジスタに設定されたチャンネル導伝度に応じて係数乗算
されたのち、CMOSインバータ回路112に供給され
て反転され、反転出力に変換される。一方、CMOSイ
ンバータ回路113には外部入力aが入力され、このC
MOSインバータ回路113の出力は、前記CMOSイ
ンバータ回路112の反転出力と加算され、一次元写像
信号y(1)に変換され、サンプルホールド手段102
に供給されてサンプルホールドされる。その後、サンプ
ルホールド手段102のクロックが進むことによって、
y(1)は、再び、ループ104経由で一次元写像回路
101に帰還供給され、一次元写像信号y(2)に変換
され、サンプルホールド手段102によってサンプルホ
ールドされる。以下、順次にこのサンプルホールドと帰
還、一次元写像演算動作を繰り返すことにより写像が実
現される。
【0066】すなわち、上記具体例では、3段のCMO
S回路111,112,113による一次元写像回路1
01と二つのサンプルホールド回路121,122によ
ってカオスニューラルネットワークの電子回路モデルが
構成され、サンプルホールドと写像を順次繰り返すこと
によって、カオスニューロンモデルの方程式の各項に対
応した写像を行うものである。
【0067】そして、上記の具体例では、電源電圧を+
5Vとし、グランドを接地した。そして、CMOSソー
スホロワ回路111を形成するPMOSトランジスタと
NMOSトランジスタの両方のチャンネル導伝度をとも
に10に設定し、CMOSインバータ回路112を形成
するPMOSトランジスタとNMOSトランジスタの両
方のチャンネル導伝度をともに2に設定し、CMOSイ
ンバータ回路113を形成するPMOSトランジスタと
NMOSトランジスタの両方のチャンネル導伝度をとも
に2に設定した。すなわち、第一段のCMOSソースホ
ロワ回路のMOSトランジスタのチャンネル導伝度を1
0とし、第二段と第三段のCMOSインバータ回路のM
OSトランジスタのチャンネル導伝度をともに2とする
ことで、これらの3段のCMOS演算回路間でのチャン
ネル導伝度の比率を10:2に設定した。
【0068】上記の具体例によれば、電源電圧+5Vに
対して外部入力aを+0.95V乃至+1.52Vの範
囲で与え、第一のサンプルホールド回路121と第二の
サンプルホールド回路122にクロック周期が0.25
マイクロ秒の互いに重ならないクロックφ1とφ2を与
えたところ、カオスを安定に発生させることができた。
【0069】図7は、この発明のさらに他の具体例を説
明するブロック図である。この具体例の構成が図6に示
した具体例の構成と異なる点は、サンプルホールド手段
202に第二の外部入力y(0)を取り込む状態設定回
路としての第三のサンプルホールド回路203を設ける
とともに、この第三のサンプルホールド回路203に第
三のクロックφ3を供給するようにし、第三のサンプル
ホールド回路203の出力を第一のサンプルホールド回
路221の出力に加えて第二のサンプルホールド回路2
22に入力する点である。
【0070】図7に示す具体例によれば、第三のクロッ
クφ3に同期してサンプルホールドする第三のサンプル
ホールド回路203によって、第1のクロックφ1でサ
ンプルホールドする第一のサンプルホールド回路221
第2のクロックφ2でサンプルホールドする第二のサ
ンプルホールド回路222の間に割り込んで、サンプル
ホールド手段202に対して第二の外部入力y(0)を
供給し、サンプルホールド手段202の状態設定ができ
るので、例えば、y(0)を初期値に設定すれば、サン
プルホールド手段202に初期値y(0)に応じた初期
状態を設定させることができる。
【0071】図8は、この発明のさらに他の具体例を説
明するブロック図である。この具体例の構成が図6、図
7に示した具体例の構成と異なる点は、以下の通りであ
る。
【0072】すなわち、サンプルホールド手段302の
出力部に連ねて、観察系305の一部を構成するビット
マップ演算手段352を付設するとともに、サンプルホ
ールド手段302の出力部とビットマップ演算手段35
2の間にアナログ・デジタル変換手段351を設けた点
である。
【0073】また、図6、図7に示す具体例のさらなる
変形として、一次元写像回路301の一構成要素である
CMOSインバータ回路313の共通接続したゲートの
前段にデジタル・アナログ変換手段314を設けてあ
り、デジタル・アナログ変換手段314経由でデジタル
信号の外部入力aをアナログ信号に変換してCMOSイ
ンバータ回路313のゲートに供給可能にした点であ
る。
【0074】さらに、第三のサンプルホールド回路30
3の入力部の前段にデジタル・アナログ変換手段331
を設けてあり、デジタル・アナログ変換手段331経由
でデジタル信号の第二の外部入力y(0)をアナログ信
号に変換して第三のサンプルホールド回路303の入力
部に供給可能にした点である。
【0075】この図8に示す具体例の構成によれば、カ
オス発生装置の観察系305にはビットマップ演算手段
352が付設されているので、カオスの内部状態の観察
を高速かつ正確に行うことができる。例えば、12ビッ
トのアナログ・デジタル変換手段351を介して0V乃
至5Vに対応するアナログ信号を10ビットのデジタル
信号に変換し、1024×1024のビットマップ上の
ロジスティックマップに、初期値y(0)を指定してカ
オス応答の軌跡を描かせることができた。その結果、デ
ジタル化した観察用データを用いてリアプノフ指数も計
算でき、その値が正になる外部入力aの領域でカオスの
無限軌跡を観察することができる。
【0076】また、デジタル・アナログ変換手段314
をCMOSインバータ回路313のゲートの前段に付設
したので、直流のバイアス信号や状態(ステート)信号
を外部入力aとして、一次元写像回路301の外部刺激
とすることができる。
【0077】以上の具体例の説明は、この発明を限定す
るものではなく、PMOSトランジスタとNMOSトラ
ンジスタを相補正的に用いるCMOSソースホロワ回路
とCMOSインバータ回路によってカオス発生装置の一
次元写像回路を構成する点や、カオスの内部状態をAD
変換してデジタル値として外部コンピュータのメモリに
供給してコンピュータにデータを取り込む点などを基本
的な思想とするものであり、上記具体例に基づく各種の
変形もこの発明に含まれる。
【0078】PMOSトランジスタとNMOSトランジ
スタのしきい値電圧やチャンネル導伝度の比やCMOS
ソースホロアとCMOSインバータ間のチャンネル導伝
度の比も、上記の具体例やその説明に限られず、広範囲
に変化させてもカオスの発生は観察することができる。
例えば、チャンネル導伝度の比を10:2以外の他の比
率に設定することも可能である。事実、2段のCMOS
演算回路におけるMOSトランジスタのチャンネル導伝
度の比を2:1に設定してもカオスは観察することがで
きた。これにより、カオスの発生する外部調整電圧の範
囲やカオスの性質を代表するリヤプノフ指数や相関次元
が変わることになる。
【0079】また、上記一次元写像回路2個以上複数個
をスイッチを介して組み合わせることにより、多次元の
写像を行わせることができる。フィードバックループを
一次元写像回路の入力にだけでなく、外部調整電圧にも
フィードバックできる。カオテックニューロンのニュー
ラルネットワークへの発展は必然である。
【0080】たとえば、図9に示すように、上記具体例
の要部である一次元写像回路401を、第一のCMOS
演算回路としてのCMOSソースホロア411と、第二
のCMOS演算回路としてのCMOSインバータ412
と、外部入力が与えられる第三のCMOS演算回路と
してのCMOSインバータ413と、を含んで構成し、
CMOSソースホロア411とCMOSインバータ41
2に入力を共通接続するとともに、CMOSソースホロ
ア411とCMOSインバータ412とCMOSインバ
ータ413のそれぞれの出力を共通接続して構成するこ
とも可能であり、さらに、図9に示すこうした構成の一
次元写像回路401を、前記各種のカオス発生装置の具
体例に置き換えて適用することもできる。
【0081】いずれにせよ、安定して再現性に優れたカ
オスを発生させるためには、一次元写像を実行する非線
形関数電子回路における内部状態の遷移が急峻に行える
必要がある。そして、この発明では、カオス発生装置の
要部である一次元写像回路をCMOSソースホロワ回路
とCMOSインバータ回路によって構成し、離散時系列
を作り出すスイッチをCMOS伝送ゲートで構成してい
る。この発明による一次元写像回路では、信号の伝達速
度が数10ピコ秒と短く、極めて高速な伝達特性を有し
ている。その結果、サンプルホールドのためのスイッチ
を演算増幅器で構成する必要はなく、PMOSトランジ
スタとNMOSトランジスタのソース・ドレインを共通
に接続したCMOS伝送ゲートで置き換えることがで
き、クロック周期を0.25マイクロ秒にまで高めて
も、カオスを安定に発生させることができる。
【0082】従来の手法では、複数の演算増幅器を組み
合わせて一次元写像回路を構成していた。すなわち、線
形回路のための演算増幅器で非線形関数を発生させると
いう思想であった。本発明は、MOSトランジスタのド
レイン特性がもともと非線形であること、PMOSトラ
ンジスタとNMOSトランジスタを相補的に組み合わせ
たCMOSソースホロアやCMOSインバータの入出力
伝達特性ももともと非線形であること、といった既成事
実に着目して、こうした非線形の特性を合成して非線形
関数を発生させ得るという根本的に新規思想に基づく
発明である。
【0083】既存の演算増幅器もMOSトランジスタで
構成した集積回路である。非線形特性をもつMOSトラ
ンジスタで線形特性を持つ演算増幅器を構成し、いろい
ろな非線形の係数をかけて非線形の一次元写像回路を実
現している従来技術は大変な回り道をしているため、集
積回路化したとき膨大なトランジスタ数を必要とし、ニ
ューラルネットワーク化への展望を断念せざるをえな
い。これに対し、本発明はもともと非線形特性を持つC
MOSソースホロアとCMOSインバータを組み合わせ
て非線形一次元写像回路を実現するという新規な思想に
基づくため、一次元写像回路を実現するのに、例えばわ
ずか6個のMOSトランジスタしか必要としない。ま
た、離散時系列を生成するのにも演算増幅器をスイッチ
として利用することをせず、CMOS伝送ゲートでよい
ことを実証した。
【0084】従来の一次元写像回路では、複数の演算増
幅器を組み合わせて構成していたので、使用するトラン
ジスタの数も増えて信号伝達に遅れが生じてしまい、離
散した時系列でのサンプリングレートを高速に設定でき
ず、オシロスコープ上で観察する程度であった。しか
も、低速処理にともない、初期値の変動やノイズ、誘導
の影響を受けやすく、とりわけリヤプノフ指数の大きい
カオスでは、その固有な軌跡を再現性よく観察すること
はできなかった。この様に、従来技術によれば、正確な
カオスを測定にかけることができず、また集積回路化に
はトランジスタの数が多すぎて、ニューロコンピューテ
ィング研究を発展させる上で大きな障害になっていた。
この発明によって、カオスニューラルネットワークの集
積回路化が可能になり、連想記憶や複雑な組み合わせ問
題の最適解を求めることの実用化に道を拓くものである
ことは特記に値する。
【0085】なお、上述した実施の形態は、本発明の理
解を容易にするために例示的に記載したものであって、
本発明の技術的範囲を限定するものではない。したがっ
て、本発明は、その技術的範囲に属する全ての実施の形
態を含むことは当然として、そのいかなる均等物をも含
む趣旨である。
【0086】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように、カオ
ス発生装置の要部をなす一次元写像回路を、入力電圧の
増大に対し出力電圧が増大する第一の回路たとえばCM
OSソースホロアとし、入力電圧の増大に対し出力電圧
が減少する第二と第三の回路たとえばCMOSインバー
タとして構成したことにより、以下に述べる効果を奏す
る。
【0087】カオス発生装置を、例えばPMOSトラン
ジスタとNMOSトランジスタとを相補的に組み合わせ
たCMOS回路で構成できるので、カオスニューラルネ
ットワークを汎用CMOSデザインとウエハプロセスを
用いて小型に集積回路化することができる。
【0088】しかも、使用するMOSトランジスタの数
が少なくてすむので、信号の伝播遅延が小さく、極めて
高速に信号伝達ができ、内部状態の遷移が十分に早く、
汎用AD変換器で内部状態をAD変換してコンピュータ
のメモリにデジタルデータとして蓄積し、コンピュータ
の助けをかりてデジタルデータ処理をリアルタイムで行
いカオスの信号解析を行うことができる。
【0089】離散時系列のサンプリングレートをCMO
S伝送ゲートで設定でき、カオスを再現性よく正確に発
生でき、しかもAD変換して正確に測定できる。その結
果、初期値の変動やノイズ電磁的誘導の影響を受け難
く、初期値に敏感なリヤプノフ指数の大きいカオスで
も、その固有の軌跡を正しく観察することができる。
【0090】また、カオス発生装置をCMOSトランジ
スタ回路で構成できるので、カオスニューラルネットワ
ークを小型化し、集積回路化することができる。
【0091】しかも、使用すべきMOSトランジスタの
数が少なくて済むので、信号の伝達遅れが少なく、極め
て高速に信号伝達ができ、内部状態の遷移が十分に早
く、高速に変化する信号にも追従できる。
【0092】サンプリングレートを高速に設定でき、カ
オスを正確に観察でき、しかも、カオスを安定に発生で
きる。
【0093】その結果、高速にサンプリングできるの
で、初期値の変動やノイズ、誘導の影響を受け難く、と
りわけ初期値に敏感なカオスでも、その固有な軌跡を正
しく観察系に送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】非線形関数発生のための一次元写像回路のブロ
ック図である。
【図2】(a)はブロック1の入出力伝達特性図
(b)はブロック2の入出力伝達特性図、(c)はブロ
ック1、2の合成した入出力伝達特性図である。
【図3】第一の実施例を説明するカオス発生装置のブロ
ック図である。
【図4】第二の実施例を説明するカオス発生装置のブロ
ック図である。
【図5】第三の実施例を説明するカオス発生装置のブロ
ック図である。
【図6】第一の具体例を説明するカオス発生装置のブロ
ック図である。
【図7】第二の具体例を説明するカオス発生装置のブロ
ック図である。
【図8】第三の具体例を説明するカオス発生装置のブロ
ック図である。
【図9】さらに他の具体例を説明する一次元写像回路の
ブロック図である。
【符号の説明】
1 第一のブロック(たとえばCMOSソースホロ
ア) 2 第二のブロック(たとえばCMOSインバータ) 3 第三のブロック(たとえばCMOSインバータ) 5 入力端子 6 出力端子 7 外部調整電圧 8 入力電圧Vinに対し出力電圧Voが増大する特
性 9 入力電圧Vinに対し出力電圧Voが減少する特
性 10 合成した入出力伝達特性 11 一次元写像回路 12 スイッチ(たとえばCMOS伝送ゲート) 13 スイッチ(たとえばCMOS伝送ゲート) 14 記憶保持コンデンサ 15 帰還ループ 16 一次元写像回路 17 スイッチ(たとえばCMOS伝送ゲート) 18 一次元写像回路 19 スイッチ(たとえばCMOS伝送ゲート) 20 帰還ループ 21 帰還ループ 22 一次元写像回路 23 AD変換器 24 DA変換器 25 帰還ループ 26 デジタルコード
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−282167(JP,A) 特開 平1−147657(JP,A) 実開 平6−59885(JP,U) K.Shono,H.Takakub o,K.Takakubo,”Obse rvation and Comput ation of Chaos Int ernal states”,Pro c.of the 3rd IEEE Conference on Fuzz y Systems:IEEE Wor ld Congress on Com putational Intelli gence,1994年 6月29日,vo l.2,pp.1289−1292,ISBN: 0−7803−1896−X 嶋田幸子・他,「カオスの発生と観察 [▲I▼],電子情報通信学会1994年春 季大会講演論文集,日本,社団法人電子 情報通信学会・発行,1994年 3月10 日,第1分冊,pp.70 高窪統・他,「カオスの発生と観察 [▲II▼],電子情報通信学会1994年 春季大会講演論文集,日本,社団法人電 子情報通信学会・1994年 3月10日,第 1分冊,pp.71 朱俊騏、庄野克房,「非線形伝達特性 を利用したアナログ記憶」,電子情報通 信学会1994年春季大会講演論文集,日 本,社団法人電子情報通信学会,1994年 3月10日,第1分冊,pp.465 H.Tkakubo,K.Takak ubo,Ramon A.Mangas er and K.Shono,”A Simple Structured CMOS Merged Logic Circuit for Chaos Generation”,Procee ding of Internatio nal Symposium on N onlinear Theory an d Its Application s,1993年12月,pp.1315−1318 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06N 1/00 - 7/08 G06G 7/60 G06F 19/00 H03K 3/00 H03K 5/00 H03K 19/00 JSTファイル(JOIS) CSDB(日本国特許庁) INSPEC(DIALOG) WPI/L(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力電圧の増大に対して出力電圧が増大
    する入出力特性をもつCMOSソースホロア回路からな
    る第一のCMOS演算回路と、入力電圧の増大に対して
    出力電圧が減少する入出力特性をもち前記第一のCMO
    S演算回路の演算出力を反転して出力するCMOSイン
    バータ回路からなる第二のCMOS演算回路と、第一の
    外部入力が与えられ且つ入力電圧の増大に対して出力電
    圧が減少する入出力特性をもつCMOSインバータ回路
    からなる第三のCMOS演算回路と、を有し、前記第一
    のCMOS演算回路の演算出力を前記第二のCMOS演
    算回路で反転した反転出力と、前記第三のCMOS演算
    回路の出力とを合成して出力する一次元写像回路と、 前記一次元写像回路の出力を記憶保持するサンプルホー
    ルド手段と、 前記サンプルホールド手段経由で前記一次元写像回路の
    出力を前記第一のCMOS演算回路の入力に帰還する帰
    還ループと、 を備えて構成されることを特徴とするカオス発生装置。
  2. 【請求項2】 請求項に記載のカオス発生装置におい
    て、 前記サンプルホールド手段は、第二の外部入力を取り込
    んで状態設定される状態設定回路を有することを特徴と
    するカオス発生装置。
  3. 【請求項3】 請求項又はに記載のカオス発生装置
    において、 前記サンプルホールド手段の出力を取り込む観察系の少
    なくとも一部にビットマップ演算手段を有することを特
    徴とするカオス発生装置。
  4. 【請求項4】 請求項乃至のうちいずれか一項に記
    載のカオス発生装置において、 前記第三のCMOS演算回路には、デジタル信号として
    の前記第一の外部入力をアナログ信号に変換するデジタ
    ル・アナログ変換手段が布設されていることを特徴とす
    るカオス発生装置。
  5. 【請求項5】 請求項乃至のうちいずれか一項に記
    載のカオス発生装置において、 前記第一のCMOS演算回路と、前記第二のCMOS演
    算回路と、前記第三のCMOS演算回路と、のうち少な
    くとも1のCMOS演算回路を構成するMOSトランジ
    スタのチャンネル導伝度と、 その他のCMOS演算回路を構成するMOSトランジス
    タのチャンネル導伝度と、は相互に異なることを特徴と
    するカオス発生装置。
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K.Shono,H.Takakubo,K.Takakubo,"Observation and Computation of Chaos Internal states",Proc.of the 3rd IEEE Conference on Fuzzy Systems:IEEE World Congress on Computational Intelligence,1994年 6月29日,vol.2,pp.1289−1292,ISBN:0−7803−1896−X
嶋田幸子・他,「カオスの発生と観察[▲I▼],電子情報通信学会1994年春季大会講演論文集,日本,社団法人電子情報通信学会・発行,1994年 3月10日,第1分冊,pp.70
朱俊騏、庄野克房,「非線形伝達特性を利用したアナログ記憶」,電子情報通信学会1994年春季大会講演論文集,日本,社団法人電子情報通信学会,1994年 3月10日,第1分冊,pp.465
高窪統・他,「カオスの発生と観察[▲II▼],電子情報通信学会1994年春季大会講演論文集,日本,社団法人電子情報通信学会・1994年 3月10日,第1分冊,pp.71

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