JP3349099B2 - 車両用ガラス窓 - Google Patents
車両用ガラス窓Info
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Description
用いられるガラス窓に関し、さらに詳しくは強化ガラス
板を用いた車両用ガラス窓に関するものである。
の低減、風切音の解消、美観の向上等のために、車体の
フラッシュサーフェス化が図られている。車両のガラス
窓においてフラッシュサーフェス化の障害となるのは、
図12に示したように、ガラス板61と車体63とを取
り付けるためのモール62の突出である。そこで、図1
1に示したように、押し出し成形によるモール52を用
いることにより、ガラス板51を車体53と面一化した
自動車用ガラス窓が提案されている。このモール52
は、遠隔操作により、ガラス板の端部に樹脂を直接射出
することにより成形される。
および図12に示したように、ガラス板の周縁部にセラ
ミックプリント55、65が施されることが多い。セラ
ミックプリント55、65は、窓枠周辺の取り付け部
材、電装品等を覆って車体の美観を整えるように形成さ
れる。通常、セラミックプリント55、65は、ガラス
板の表面の所定範囲に、顔料、ガラスフリット等を含む
ペーストをシルクスクリーンにより印刷し、ガラス板を
加熱して上記ペーストを上記範囲に焼きつけることによ
り形成される。
に、モール52をガラス板51の端面にのみ接するよう
に配置してフラッシュサーフェス化を実現した車両用ガ
ラス窓では、セラミックプリント55をガラス板の周縁
領域の端部(以下、「周端部」という)56にまで形成
する必要が生じる。モール52によりガラス板51の周
端部近辺を覆い隠すことができないからである。しかし
ながら、セラミックプリントを形成する領域の端部がガ
ラス板の周端部と一致するように位置合わせしながらペ
ーストを印刷する(いわゆるジャストエッジプリントを
実施する)のは容易ではない。塗布したペーストがガラ
スの端面から垂れて不良品となる場合もある。しかも、
印刷の際にはシルクスクリーンがガラスの隅角部にかか
るために、スクリーンの寿命も短くなる。これらの事情
から、上記従来の方法では、フラッシュサーフェス化し
た車両用ガラス窓を効率良く製造することが困難である
という課題があった。
外の方法により、フラッシュサーフェス化を実現するた
めの提案が行われている(例えば、特開昭63−828
14号公報、実開平3−98115号公報、特開平7−
137535号公報)。しかし、樹脂板は、脆性材料で
あるガラス板とは本質的に異なる材料である。樹脂板
は、ガラス板とは異なり、加工に伴う強度上の問題より
も、表面が傷つきやすいという表面硬度上の問題を抱え
ている。また、樹脂窓においては、上記のようなセラミ
ックプリントの形成に伴う課題は発生しない。従って、
上記公報に記載されているような樹脂窓の構造は、上記
課題を解決するための参考にはならない。
のであって、ガラス板が面一的に配置され、セラミック
プリントを用いた美観の確保も容易である車両用ガラス
窓を提供することを目的とする。
に、本発明の車両用ガラス窓は、ガラス板と、上記ガラ
ス板と車体との間に介在する支持部材とを備え、上記ガ
ラス板が周縁領域の少なくとも一部に段差部を有し、上
記支持部材が上記段差部に嵌め込まれて上記ガラス板と
略面一に配置され、上記ガラス板が、上記段差部におい
て、薄肉部と厚肉部との厚さの差が0.5mm以上あ
り、上記薄肉部の厚さが上記厚肉部の厚さの半分よりも
大きい強化ガラス板であることを特徴とする。
ることにより、フラッシュサーフェス化され、しかもセ
ラミックプリントによる美観の向上が容易である車両用
ガラス窓とすることができる。すなわち、段差部に嵌め
込まれた支持部材がガラス板の周端部を覆うために、セ
ラミックプリントを形成する場合にも、端部がガラス板
の周端部と一致するようにペーストを印刷する必要がな
い。また、強度が向上した窓材を備えたガラス窓を提供
することができる。特に、薄肉部と厚肉部との厚さを上
記のように調整すれば、フラッシュサーフェス化を実現
しながら十分な強度を有するガラス窓とすることができ
る。
おいては、ガラス板の表面の周縁領域に、セラミックプ
リントが形成されていることが好ましい。
を参照しながら説明する。図1は、本発明の車両用ガラ
ス窓の一形態を示す部分断面図である。この車両用ガラ
ス窓のガラス板1の車外側表面には段差が設けられ、ガ
ラス板の周端部近辺が薄肉化されている。この薄肉部9
にはモール2が嵌め込まれており、このモール2により
ガラス板が支持されている。図1に示したように、車外
側表面においてガラス板1とモール2とは面一となるよ
うに配置されており、さらにこれらの部材が車体3とも
面一となるように車体3に取り付けられている。
ラミックプリント5が形成されている。セラミックプリ
ント5は、ガラス板1の周縁領域が外部から透視できな
いように、黒色等不透明の層として形成されている。ま
た、このような不透視化の作用は、ガラス板の周端部近
辺においてはモール2によっても得られている。セラミ
ックプリント5が形成されている領域のガラス板周端部
に近い端部5bは、モール2により覆われて不透視とさ
れている領域内にある。一方、セラミックプリント5が
形成されている領域のガラス板中心に近い端部5aは、
モール2のガラス板中心側端部よりもさらにガラス板中
心に近い位置にある。
態を示す部分断面図である。この車両用ガラス窓は、モ
ール2の車外側表面にLED4が組み込まれている点に
おいて、図1に示した車両用ガラス窓と相違する。この
LED4は、例えばハイマウントストップランプとして
使用することができる。モール2に埋め込む部材はLE
Dに限ることなく、ELその他の発光部材を用いること
ができる。また、装飾等の目的のために、適度な光線反
射率を有する反射部材を使用してもよい。このように、
本発明の車両用ガラス窓においては、車外側に露出する
モール2が幅広となったことを利用して、モール2の車
外側への露出面に、発光部材、光反射部材等を配置する
ことにしてもよい。これらの部材も、図2に示したよう
に、モール2と面一的に配置することが好ましい。
別の形態を示す部分断面図である。この車両用ガラス窓
においては、モール6が、射出成形法により予めガラス
の周端部を覆うように形成されている。モール6の材料
としては、特に限定されないが、例えばPVC(ポリ塩
化ビニル)を用いることができる。このように射出成形
法を利用すれば、ガラス板とモールとが面一的に配置さ
れた車両用窓をさらに効率良く製造することができる。
6の形状が図1および図2に示したモール2とは異なる
こともあり、ガラス板3の支持に接着剤7が肉厚に充填
され、これをせき止めるためのダム部材8も用意されて
いる。また、このような形状の相違により、このモール
6は、図1および図2に示したモール2よりもやや車外
側に突出するように配置されている。しかし、モール6
は、図12に示したような従来のモール62と同様、ガ
ラス板1を支持するために十分な肉厚を備えているにも
拘わらず、従来のモール62よりも車外側に突出してい
ない。このように、本発明は、モール等の支持部材が、
使用上必要な強度をもってガラス板を支持しながらガラ
ス板の段差部を利用してガラス板とほぼ面一に配置され
ている車両用ガラス窓をすべて包含する。
ガラス板1の一形態の平面図である。このガラス板1に
は、全周にわたって板厚を薄肉とした薄肉部9が形成さ
れている。薄肉部9は、ガラス板周端部からほぼ一定の
幅を有する領域に形成されている。また、セラミックプ
リント5も、ガラス板の全周にわたって薄肉部9を覆
い、薄肉部9よりも広い領域にわたって形成されてい
る。もっとも、セラミックプリント5は、美観を整える
ためには形成することが好ましいが本発明の車両用ガラ
ス窓には必須ではない。セラミックプリント5は、ガラ
ス板の周縁領域に部分的に形成しても構わない。
全周に形成してよいが、ガラス板の外周に部分的に形成
しても構わない。このようにガラス板の外周に部分的に
段差を設ける場合には、段差により形成される薄肉部の
面積を増加させるために、段差が形成される部分に、エ
グリ加工、切り欠き加工等を施してもよい。このように
ガラス板の周端部を部分的に加工すれば、ガラス板を部
分的に支持する場合にもガラス板の取り付け強度を確保
することができる。
部の数カ所に略半円状のエグリ加工が施され、エグリ加
工された半円状の端部14の内側のガラス板に段差加工
が施されて薄肉部19が形成されている。
に示したように、ボルト12を用いて車体13に取り付
けることができる。図6に示した車両用窓ガラスにおい
ては、支持部材としてのボルト12がナット17および
緩衝材18とともにガラス板11の薄肉部19を車体1
3に固定している。また、ボルト12の表面はガラス板
11と面一となるように配置されており、さらにボルト
12は車体13とも面一的に配置されている。
ガラス板11において、エグリ加工された周端部14の
形状は半円に限らず、矩形その他の形状であってもよ
い。ただし、ガラス板の強度を確保するためには、加工
された周端部14とその周端部に隣接するガラス周端部
とがなす角度16を90°以上とすることが好ましい。
ス板の全周に形成してもよいが(図5参照)、例えばエ
グリ部分の周辺部のみを覆うように部分的に形成しても
構わない。
り支持して車体に取り付けたガラス窓を説明したが、本
発明の車両用ガラス窓の支持部材は、これらに限るもの
ではない。例えば図7に示したように、ガラス板21の
端部に嵌め込んだコの字型金具22を支持部材として用
いてもよい。
る衝撃が緩和されるように、コの字型金具22の内部に
樹脂層23が設けられている。このような金具付きガラ
ス板は、図7に示したように、例えば金具22の側面に
取り付けられたボルト25によって図示を省略する車体
に取り付けられる。
ス窓においては、ガラス板とモールとが車両用ガラス窓
の車外側窓面において面一的に配置され、さらに好まし
くは、この窓面において、ガラス板、モールおよび車体
が面一的に配置される。
ス窓として好適に使用されるが、これに限ることなく、
各種車両のガラス窓に適用することができる。また、ガ
ラス板が面一化された窓面を必ずしも車外側に配置する
必要はない。例えば、鉄道車両のドアガラス窓に、フラ
ッシュサーフェス化した窓面を車内側として本発明の車
両用ガラス窓を使用すれば、ドアに触れていた乗客の指
がドアの収納部に巻き込まれる危険を低減することがで
きる。
る各種支持部材には、従来から使用されてきた材料を適
用することができる。例えばモールには、各種軟質合成
樹脂材料を用いることができる。セラミックプリントに
ついても、車両用ガラス板に適用されてきた顔料等を含
むペーストをシルクスクリーンにより印刷し、ガラス板
を加熱して焼き付けることにより形成することができ
る。ガラス板の周縁部の加工も、円筒ホイール、カップ
リングホイール等を用いた機械的な研削により実施する
ことができる。ガラス板としては、通常、必要に応じて
着色されたソーダライムガラス板が用いられる。
とが好ましい。強化ガラス板は、周縁部に所定の加工を
施したガラス板を、いわゆる風冷強化することにより得
ることができる。この工程では、ガラス板は、成形可能
な温度にまで加熱され、所定の形状を有する型に沿うよ
うに曲げ成形されることが多い。車両用ガラス板には、
デザイン上、空力特性上の理由から曲げガラスが採用さ
れることが多いからである。ガラス板は、通常、用いる
ガラスの軟化点付近の温度、例えばガラスの歪み点以上
軟化点以下の温度にまで加熱される。加熱され、必要に
応じて曲げ成形されたガラス板には、冷却気体が吹きつ
けられる。このように加熱後に急冷すれば、ガラス板の
表層には圧縮応力層が形成され、結果としてガラスの強
度が向上する。
応力層が存在している。一方、強化ガラス板の内部に
は、この圧縮応力層と均衡する引っ張り応力層が存在し
ている。従って、上記のように、ガラス板の表面を部分
的に研削して薄肉部を形成する場合には、ガラス板の厚
さの局所的な変化が与える応力層への影響に配慮する必
要がある。
用ガラス窓に用いられる強化ガラス板の厚さの好ましい
範囲について説明する。図8は、本発明の車両用ガラス
窓に用いるために端部を薄肉化したガラス板の部分断面
図である。図8に示したように、ガラス板1の一方の主
表面33は部分的に研削され、ガラス板の端部に段差3
5が生じ、薄肉部31が形成されている。この薄肉部に
おいて、厚さTのガラス板は厚さτだけ研削されて厚さ
tへと薄肉化されている。
の形態の端部近辺の断面図である。このガラス板21
は、両方の主表面に段差35、36が設けられている点
で、ガラス板1と相違する。この端部においても、厚さ
Tのガラス板は厚さτおよびτ’だけ研削されて厚さt
の薄肉部31が形成されている。
T、薄肉部の厚さt、研削厚さτおよびτ’は、それぞ
れ以下の条件を満たすように定められることが好まし
い。 3.5mm≦T≦6.0mm (1) t/T>1/2 (2) τ≧0.5mm (3) τ’≧0 (4)
度を保つために重要である。t/T≦1/2とすると薄
肉部における強化ガラス板の強度が低下する。一方、上
記式(3)の条件は、段差部の高さを規定する。式
(3)に示されているように、本発明の車両用強化ガラ
スにおいては、0.5mm以上の段差が形成されている
ことが好ましく、この段差が、車両用ガラス窓のフラッ
シュサーフェス化のために利用される。また、上記式
(1)に示したように、車両用ガラス窓に用いられる強
化ガラス板は、必要な強度を提供しながら過度に重くな
らない範囲の厚さを有することが好ましい。
験を実施した。図8に示したような端部を有し、板厚比
t/Tが異なる値となるように研削して強化したガラス
板を、上記に説明したような方法により作製した。な
お、ガラス板としては、緑色透明のソーダライムガラス
板を用い、板厚は、3.5mm、5mmまたは6mmと
した。このガラス板の薄肉化した端部について曲げ試験
を実施し、板厚比t/Tとガラス板の曲げ強度との関係
を調査した。各板厚のガラス板の端部を研削していない
場合(板厚比t/T=1)の割れ荷重に対する各ガラス
板の割れ荷重の比率を図10に示す。
いてもt/T≦1/2の範囲で大きくガラス板の曲げ強
度が低下することがわかった。一方、t/T>1/2の
範囲では、端部を薄肉化しても端部を加工していない強
化ガラス板と実質的には遜色のない曲げ強度が得られる
ことが確認された(具体的にはt/T=1の場合の平均
強度の80%以上の強度が確保された)。
板よりも破片が細かくしかも鋭利な形状とはならない。
このような破壊の形態は、事故時における人体の安全確
保の観点からは、重要な強化ガラス板の特性である。そ
こで、上記と同様に作製した各ガラス板について破砕試
験を実施した。破砕試験は、JIS R 3212に記
載の方法により実施した。結果を表1にまとめて示す。
とおりとした。 面内(段差が形成されていない主表面内): ○:上記JISに定められている基準を満たす。 ×:上記JISに定められている基準を満たさない。 段差部:○:長辺30mm以上の細長破片がない。 △:長辺30mm以上の細長破片が10個未満存在す
る。 ×:長辺30mm以上の細長破片が10個以上存在す
る。
囲では、段差部から生じた破片が大きくなったが、t/
T>1/2の範囲では、段差部から生じた破片は十分に
小さくなった。このように、t/T>1/2とすること
により、破壊しても人体に危険が及ぶ可能性が少ない破
片となる強化ガラス板となることが確認された。
周縁部の少なくとも一部に段差部を有し、支持部材が上
記段差部に嵌め込まれ、ガラス板と略面一に配置するこ
とにより、フラッシュサーフェス化されているにも拘わ
らず、セラミックプリントを形成して美観を整える場合
にも、端部がガラス板の周端部に一致するようにペース
トを印刷する必要がないために効率良く製造できる車両
用ガラス窓を提供することができる。
図である。
面図である。
部分断面図である。
用ガラス窓の一形態を示す部分断面図である。
す部分断面図である。
る。
/Tとガラス板の曲げ強度との関係を示す図である。
用ガラス窓を示す部分断面図である。
ある。
Claims (3)
- 【請求項1】 ガラス板と、前記ガラス板と車体との間
に介在する支持部材とを備え、前記ガラス板が周縁領域
の少なくとも一部に段差部を有し、前記支持部材が前記
段差部に嵌め込まれて前記ガラス板と略面一に配置さ
れ、前記ガラス板が、前記段差部において、薄肉部と厚
肉部との厚さの差が0.5mm以上あり、前記薄肉部の
厚さが前記厚肉部の厚さの半分よりも大きい強化ガラス
板であることを特徴とする車両用ガラス窓。 - 【請求項2】 前記ガラス板の周縁領域に、セラミック
プリントが形成された請求項1に記載の車両用ガラス
窓。 - 【請求項3】 前記支持部材の車外側の露出面に、発光
部材または光反射部材を配置した請求項1または2に記
載の車両用ガラス窓。
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- 1998-10-05 JP JP28215698A patent/JP3349099B2/ja not_active Expired - Fee Related
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