JP3344259B2 - 流体物理量計測方法およびその装置 - Google Patents

流体物理量計測方法およびその装置

Info

Publication number
JP3344259B2
JP3344259B2 JP2791897A JP2791897A JP3344259B2 JP 3344259 B2 JP3344259 B2 JP 3344259B2 JP 2791897 A JP2791897 A JP 2791897A JP 2791897 A JP2791897 A JP 2791897A JP 3344259 B2 JP3344259 B2 JP 3344259B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
fluid
time
air
measuring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2791897A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10227707A (ja
Inventor
悦生 森下
博 佐藤
三樹生 別所
考司 谷本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2791897A priority Critical patent/JP3344259B2/ja
Publication of JPH10227707A publication Critical patent/JPH10227707A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3344259B2 publication Critical patent/JP3344259B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体の圧力、流量
等を計測する新規な方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、自動車などで用いられる流量セン
サの主なものは3種類あり、それぞれ質量流量方式(マ
スフロー方式)、スピードデンシティ方式、α―N方式
(スロットル開度α―エンジン回転数N)方式である。
【0003】マスフロー方式は、熱線風速計などのエア
フローセンサを用いて、質量流量を直接検出しようとす
るもので、高価ではあるが現在のところ最も検出精度が
良好なものである。また、排ガス規制等にも対応が比較
的容易であって、次第に使用が拡大している。熱線や熱
膜など各種の技術が開発されている。
【0004】スピードデンシティ方式は、エンジン回転
数Nとインテークマニホールド圧力により間接的に空気
流量を検出しようとするもので、検出精度はマスフロー
方式に劣るものの、簡単な構造のため広く用いられてい
る。
【0005】α―N方式(スロットル開度α―エンジン
回転数N)方式は、スロットル開度αとエンジン回転数
Nから間接的に質量流量を検出しようとするものである
が、検出精度はスピードデンシテイ方式より劣り、採用
されている車種は少ない。
【0006】ここでは、従来技術のうちでもっとも重要
であるマスフロー方式のエアフローセンサの概要につい
て説明する。図16はエンジンの吸気系に取付けられた
エアフローセンサを示す図である。図において、1はエ
アクリーナ、2はエアクリーナ入り口、3はフィルタ
ー、4はエンジン吸入管、5はエアフローセンサのため
の整流板、6はエアフローセンサ、7はエアフローセン
サの電気回路部、8はスロットルバルブ、9は流入空
気、10は同じくエンジンに吸入される空気、11はリ
ード線、12は車載計算機である。また、図17はエア
フローセンサの詳細な構成を示す図である。図におい
て、4はエンジン吸入管、5はエアフローセンサのため
の整流板、9は流入空気、10はエンジンに吸入される
空気、11はリード線、13は熱線や熱膜などのエアフ
ローセンサ、14はエアフローセンサ支持棒、15は温
度補償用の温度センサ、16は温度センサ支持部材、1
7はベルマウス付きの管、18は支持部材である。
【0007】次に、従来技術の動作を図16及び図17
に従って説明する。エンジンなどが回転することによっ
て、エンジンの吸入管4の入り口に取り付けられたエア
クリーナ1の入り口2から空気が流入する(流入空気
9)。エアクリーナ1の直後近傍に、空気流の整流を行
う整流板5が設けられていて、なるべく一様な流れがエ
アフローセンサ6を通過するようになっている。エアフ
ローセンサは質量流量を電気回路部7で電気信号に変換
して、車載の計算機12に伝え、計算機12はそれに応
じて燃料噴射などの命令を発する。エアフローセンサを
通過した空気は、スロットルバルブ8を経てエンジンに
吸入される。エアフローセンサのより詳細な構造は図1
7に示されており、吸入される空気9はエアクリーナ1
などを通過したり、曲がった管路を通過したりするため
速度分布が一様でない。この非一様性は質量流量の正確
な検出を妨げるため、例えば網目を有する整流板5によ
って一様な速度分布を実現するようにしている。整流板
5を通過した流入空気9は、支持18によってエンジン
の吸入管4に支持された、ベルマウス付きの管17に流
入すると同時に、残りの空気はその外周を通過し、ベル
マウス付きの管17の下流側で合流して(エンジンに吸
入される空気10)、さらにエンジンに流れていくこと
になる。ベルマウス付きの管の中央部には、支持部材1
4に取り付けられた熱線や熱膜形式の風速計であるエア
フローセンサ13が取り付けられていて、ベルマウス付
き管中央部を通過する質量流量に感応するようになって
いる。この質量流量信号は、エンジンの吸入管4の断面
を通過する質量流量と対応するよう較正されている。支
持16に取り付けられた、温度補償センサ15は吸入空
気の温度変化が、エアフローセンサ13の検出値に与え
る影響を補償するもので、質量流量検出値の正確さを維
持するためのものである。ベルマウス付き管17が、エ
ンジン吸入管4内に設置されている理由は、ベルマウス
付き管17内になるべく、多くの流量を導入して偏流の
影響を避けようとするものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の技術
は、以上のように構成されているので、整流板5やベル
マウス付き管17、さらにエアフローセンサ13や温度
センサ15による流体抵抗は、結果としてエンジン出力
の低下を招き、その性能を僅かながら損ねるものになっ
ている。
【0009】また、エアフローセンサ13の応答速度に
問題がある。エアフローセンサ13の構成によっては、
その熱容量が大きくなる場合があり、流体の変動とセン
サ信号の間に遅れが発生し、急速な制御を要求する場合
には問題となる。
【0010】さらに、熱線や熱膜を用いた場合エアフロ
ーセンサ13は逆流を検出することは自動的にはできな
いことに問題がある。エアフローセンサ13は質量流量
には反応するが、流れの方向が変わっても絶えず正の値
を出力し、方向には応答しないからである。
【0011】本発明は上記のような課題を解決するため
になされたもので、センサ部の流体抵抗による圧力損失
に起因するエンジン出力低下、センサの熱容量における
応答遅れ、ならびに逆流検出に伴う困難を解消できる
流体物理量計測方法およびその装置を提供することを
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の構成は
流体管路上にΔx離れた上流及び下流の少なくとも二箇
所の圧力p1及びp2を、それぞれ時間Δt毎に計測する
圧力計測手段を備え、圧力計測手段により計測した圧力
1及びp2に基づき、下記式(9−1)、(10−1)、
(11)及び(13)から、時間Δt後における流体管路内
の流速u2を求めることを特徴とする瞬時流体物理量計
測方法である。
【数5】 ただし、初期条件として、u1=0、u2=0、を与え、
ρ1=ρ2、及びT1=T2である所定値ρ1、ρ2、T1
びT2を与える。なお、 1 及びT 2 は温度、ρ 1 及びρ 2
は密度、F1は圧力損失項、γは定圧比熱比、F2はエ
ネルギー損失項、Rは空気のガス定数である。
【0013】本発明の第2の構成は、流体管路上にΔx
離れた上流及び下流の少なくとも二箇所の圧力p1及び
2を、それぞれ時間Δt毎に計測する圧力計測手段を
備え、圧力計測手段により計測した圧力p1及びp2に基
づき、下記式(9−1)、(10−1)、(11)及び(13)
から、時間Δt後における流体管路内の流速u2を求
め、かつΔtとΔxとが下記式(14)を満足するよう
に、上記圧力計測手段の位置を決めることを特徴とする
瞬時流体物理量計測装置である
【数6】 ただし、初期条件として、u1=0、u2=0、を与え、
ρ1=ρ2、及びT1=T2である所定値ρ1 ρ2、T1及び
2を与える。なお、 1 及びT 2 は温度、ρ 1 及びρ 2
密度、F1は圧力損失項、γは定圧比熱比、F2はエネ
ルギー損失項、Rは空気のガス定数、cは局所音速、
は流速u 2 である。
【0014】本発明の第3の構成は、 入口の圧力p 1
を大気圧とし、入口からΔx離れた所の圧力p 2 を時間
Δt毎に計測する圧力計測手段を備え、上記圧力p 1
圧力計測手段により計測した圧力p 2 に基づき、下記式
(9−1)、(10−1)、(11)及び(13)から、時間Δ
t後における流体管路内の流速u2を求めることを特徴
とする瞬時流体物理量計測方法である。
【数7】 ただし、初期条件として、u1=0、u2=0、を与え、
ρ1=ρ2、及びT1=T2である所定値ρ1 ρ2、T1及び
2を与える。なお、 1 及びT 2 は温度、ρ 1 及びρ 2
密度、F1は圧力損失項、γは定圧比熱比、F2はエネ
ルギー損失項、Rは空気のガス定数である。また、本発
明の第4の構成は、流体管路上にΔx離れた上流及び下
流の少なくとも二箇所の圧力p 1 及びp 2 を、それぞれ時
間Δt毎に計測する圧力計測手段と、上記二箇所のうち
圧力p 1 に対応する所の温度T 1 を計測する手段とを備
え、計測した温度T 1 と圧力計測手段により計測した圧
力p 1 及びp 2 とに基づき、下記式(9−1)、(10−
1)、(11)及び(13)から、時間Δt後における流体
管路内の流速u 2 を求めることを特徴とする瞬時流体物
理量計測方法である
【数8】 ただし、初期条件として、u 1 =0、u 2 =0、を与え、
ρ 1 =ρ 2 である所定値ρ 1 、ρ 2 を与える。なお、T 1
びT 2 は温度、ρ 1 及びρ 2 は密度、F1は圧力損失項、
γは定圧比熱比、F2はエネルギー損失項、Rは空気の
ガス定数である。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.図1は本発明の実施の形態1である質量
流量計の構成図である。図において、1はエアクリー
ナ、2はエアクリーナ入口、3はフィルター、4は直径
Dのエンジン吸入管、8はスロットル、9は流入空気、
10はエンジンに吸入される空気、11はリード線、1
2は車載計算機、19はエンジン吸入管入口からの位置
に設けられた導圧管、20は圧力センサである。
【0023】次に動作について説明する。エンジンの回
転により、エアクリーナ1の入口2より流入空気9がフ
ィルター3をへて、直径Dのエンジン吸入管に流入す
る。さらに、スロットル8を経てエンジンに吸入される
(エンジンに吸入される空気10)。エンジン吸入管4
の入口より長さの位置には導圧管19が設けられてお
り、圧力センサ20によってΔt秒ごとに刻々の圧力が
計測される。圧力センサの信号はリード線11を介して
車載計算機12に伝わり、以下に詳細を述べるようにエ
ンジン吸入管の入口と圧力測定部の間の管路に適用され
る、流体力学の支配方程式を刻々と数値的に解くことに
よって、圧力測定部を通過する各瞬間の質量流量を検出
する。要するに圧力センサ20の信号を計算機12によ
って質量流量に換算する方式である。今日の高速計算機
においては、1回のサンプリングデータに対する計算を
サンプリング間隔Δtより短い時間内で実行することが
できるので、上記の計算はオンラインで連続的に行うこ
とができる。検出された刻々の質量流量の値は、例えば
エンジンの燃料噴射量を刻々決定するのに用いられる。
【0024】(1)圧力―質量流量換算手法の詳細 支配方程式:図2はエンジン吸入管入口および圧力測定
部の拡大図である。図において、4はエンジン吸入管、
9は流入空気、19は吸入管4の入口からの位置にある
導圧管、20は圧力センサ、21は吸入管入口(開口
端)、xは吸入管入口から測った座標である。
【0025】直径Dで断面積一定のエンジン吸入管に沿
った流体力学の支配方程式は、一次元流の近似のもとで
は、下記の各方程式で表すことができる。 質量保存則: ∂ρ/∂t+∂(ρu)/∂x=0 (1) 運動量保存則: ρ∂u/∂t+ρu∂u/∂x=−∂ρ/∂x−2ρu|u|Cf/D (2) エネルギ保存則: ρ∂e/∂t+ρu∂e/∂x=−p∂u/∂x−2ρu2|u|Cf/D (3) 状態方程式: p=ρRT (4) ここで、ρは密度、pは静圧、Tは静温(絶対温度)、
eは内部エネルギ:(=CVT,CV:定積比熱)、uは
x方向の速度、Rは空気のガス定数、Cf は管摩擦係
数、Dはエンジン吸入管の直径、xはエンジン吸入管4
に沿う座標である。
【0026】エントロピsの生成についても必要に応じ
て計算することができ、次式で表すことができる。 ∂s/∂t+u∂s/∂x=2u2|u|Cf/(TD) (5) 式(1)―(4)、さらに(5)の方程式を、初期条件と境界
条件を与えて計算機12により数値的に解く。エネルギ
式(3)には各種の表現があるが、どれを用いてもよい。
亜音速流に対象を限る場合、エンジン吸入管4の管入口
21では、開口端21の境界条件として、もしエアクリ
ーナ1の影響があまり大きくない場合には、近似的に圧
力が大気側の圧力に等しいという条件を用いることがで
きる。エアクリーナ1の影響がある場合にはその影響が
小さくなるように改善するか、エアクリーナ1内の状態
を境界条件として用いる。さらに開口端21では、温
度、密度にもジャンプが無く、周囲の値に等しいと仮定
できる。実験によると、管入口での圧力には僅かの変動
があるが、簡単化して一定とみなす。測定点では、測定
した圧力を用いる。従って、圧力などの境界条件は、時
刻tと位置xの関数として、 管入口(x=0):p(t,x)=p(t,0)= e (大気圧=一定値), T(t,0)= e ,ρ(t,0)=ρ e s(t,0)=0 (6) 測定点(x=1):p(t,1)measured(圧力センサ20の出力) (7) 添え字eは大気側(envionment)の値で一定
値を表し、measuredは測定値を意味している。
計算の開始時の初期条件としては、エンジン始動に対応
するような、静止状態(あるいは計算量が既知の状態)を
用いることができる。従って、 初期条件:u(0,x)=0,p(0,x)=p e ,ρ(0,x)=ρ e T(0,x)=Te,s(0,x)=0 ただし、(0≦x≦1) (8)
【0027】(2)支配方程式の離散化と測定―計算手
法 図3に示すように、エンジン吸入管4の0≦x≦lの領
域を一計算領域22あるいは一検査領域22と考えて
(1)−(5)式を差分法によって離散化する。図3に
おいて、4はエンジン吸入管、9は流入空気、19は導
圧管、20は圧力センサ、21はエンジン吸入管入口、
22は計算領域(検査領域)である。
【0028】エンジン吸入管4の入口21での、圧力、
温度、密度が既知、速度が未知、圧力センサ20位置で
の圧力が既知、温度、密度、速度が未知で、結局4未知
数となり、(1)―(4)の方程式を用いて解くことが
できる。エントロピについては、エンジン吸入管入口2
1で既知と仮定、圧力センサ20の位置で未知として
(5)式で解けることになる。エントロピーを含める
と、各変数は以下の通りとなる。 x=0:known(p,ρ,T,s),unkown
(u) x=l:known(p),unkown(ρ,T,
u,s) 添え字なしが測定点の値、添え字eがエンジン吸入管入
口21の値を表わし、newは現在の時刻からΔt秒後
の値を表わすものとして、(1)―(5)式の差分式
は、時間及び空間についての一次精度の近似で以下のよ
うに表すことができる。
【0029】
【数1】
【0030】右辺の値は既知量である。圧力センサで計
測した圧力をpに、周囲圧力をpeに代入すればよい。
このように本手法では、刻々得られる圧力データをもと
にΔt秒後の流体物理量を(9)―(13)式から計算
しようとするものである。密度と速度も得られるので、
質量流量も算出できる。但し、(11),(13)式で
は右辺にもΔt秒後の新しい圧力と密度pnew ,ρnew
を用いている。従って、ここではt=t,t=t−Δt
の2つの時刻の変数値を用いるとなお良い。管における
摩擦効果をあらわす摩擦係数Cfは、この場合管入口で
の流入損失、助走区間における損失、ならびに通常の意
味における摩擦損失などを全て影響として含んだもので
あり、現在のところ実験的に適正な値を決めることにな
る。
【0031】(3)本発明の検証実験とCFL条件 本発明の検証をするために図4に示すような装置で実験
を行った。図4において、4は吸入管、9は流入空気、
11はリード線、12は車載計算機、19は導圧管、2
0は圧力センサ、21はエンジン吸入管入口、23は比
較校正用の熱線風速計、24はエンジンを模擬するため
の空気圧縮機である。xは吸入管4に沿う座標、(=5
1mm)は圧力センサ20の位置、D(=9mm)は吸
入管直径(内径)である。
【0032】エンジンを模擬した、50Hz4極モータ
単シリンダ20l/minクラスの往復動式空気圧縮機
23の吸入口に、ビニールパイプ製の内径9mm、約8
0mm長さのモデル吸入管4を装着し、吸入管4の開口
端21よりx=l=51mmのところに外形1mm長さ
約20mmの導圧管19を有する圧力センサ20を取り
付けた。圧力センサ20はあらかじめ較正をおこない、
圧力と電圧の関係を得た。直線性は極めてよい。吸入管
4の開口端21に、空気流速を測定するために熱線風速
計23を設置して、圧力測定から予測される開口端21
における流速と比較に用いるようにした。熱線風速計2
3は速度に対して較正して用いた。
【0033】圧力センサの取り付け位置は、圧力測定の
サンプリング時間間隔をとすると、局所音速を用いて、
計算流体力学の場合と同じように次式で示すCFL条件
(Courant-Friedrich-Levy条件)を満足するように定め
る。 (c±u)Δt≦Δx (14) ここではサンプリング周期を10kHzとしたので、Δ
t=1/10000秒であり、c=340m/s,u=
20m/s,Δx=l=51mm=0.051mである
ので(c±u)Δtは0.032〜0.036mとな
り、CFL条件を満たしている。この条件は、サンプリ
ング定理と同様な条件であって、流体中の変動量がサン
プリング時間間隔Δt中に計算対象となる検査体積中で
伝播可能で検出できるための条件となっている。サンプ
リング間隔Δtを大きくとる場合は、圧力センサ20の
位値Δxも大きな値にしなければならない。
【0034】(4)検証実験結果 図4の往復動式空気圧縮機24の、貯気タンク(図示せ
ず)の出口を全開して無負荷運転した場合のx=51m
mにおける圧力センサ20の出力と吸入管入口21のx
=0mmにおける熱線風速計の測定値を示したのが図5
であり、サンプリング周波数10kHz、1024点の
データを示している。図5の圧力履歴を用い、方程式
(9)―(13)を解けば、吸入管4の入口21(x=
0mm)と圧力センサ20位置(x=51mm)での未
知の物理量の値が得られることになる。この計算結果の
うち、吸入管入口21における流速の計算値と同位置で
測定した熱線風速計23の流速と比較すれば、本手法の
有効性を確かめることができる。
【0035】本手法の特徴の1つは、計測体系中に流量
障害が存在しないことであり、このことは計測精度を低
下させる要因を排除できると同時に、エンジンの吸入管
11等においては、エンジンの性能の低下の要因を排除
できることである。また、もう1つの特徴は、圧力計と
いう応答の速いセンサを使用できることにより、応答性
が速いことである。このことは前述のCFL条件を考慮
すると、計測体系の空間的分解能を高くすることができ
ることを意味する。
【0036】図6に圧力信号の一周期分を図5より抽出
したものを示す。この圧力データを計算式(9)式に代
入することにより、圧力センサ20の測定位置x=l=
51mmにおける速度uの履歴が求められ、(13)式
で吸入管入口21の速度ueが求まる。このようにし
て、計算からu(x=51mm)ue (x=0mm)が
得られ、実験で ue(x=0mm)が計測されているの
で、これと比較すればよい。 ue(x=0mm)の計測
値を図7に示す。圧力測定データから速度を計算する場
合、摩擦係数Cf の値は実験的に決める必要があるの
で、この値を変化させて計算することにする。Cf は本
来レイノルズ数などの関数であるが、簡単のためここで
は定数としている。
【0037】図8にCf を変化させて計算した速度 ue
(x=0mm)の計算値を図7に示された熱線風速計の
実験値と比較したものを示す。図8から適正な摩擦係数
は例えばCf =0.25であると見なすことができる。
各種の条件によってCf の正しい値あるいは関数形を用
いることがこの手法のもっとも重要な点となる。Cf
O.25の場合の、吸入管4の入口21(x=0mm)
における計算された速度ue と熱線風速計23によって
計測された速度ue との比較を図9として以下に再掲す
る。図9で注目すべきことは、熱線風速計23では逆流
現象を検出できないが、圧力センサ20の出力から流体
力学の支配方程式(1)―(5)を用いて速度を計算す
る本発明の方法では自動的に検出していると理解できる
ことである。
【0038】気柱の共振現象があると往復運動の逆流を
生じるが、従来の熱線風速計では絶対値表現しか得られ
ない。逆流が存在する時に絶対値表現による風速にもと
づいて流量を計算すると減算すべき逆流成分も加算され
て増加側の誤差を生じるが、逆流を検出できる本発明の
流量計測では、この誤差が生じない。この条件での圧力
測定点x=51mmにおける、質量流束、速度、圧力
(測定値)、密度、温度、エントロピの値も合わせて図
10〜15に示す。低速のため密度、温度の変化は殆ど
無視できる程度である。
【0039】実施の形態2.エアクリーナ1内で圧力変
動が生じる場合には、圧力センサをエアクリーナ1の位
置にも取付け、圧力センサ20の取り付け位置との差圧
を検出するように構成してもよい。この場合エアクリー
ナ内では例えば等エントロピー変化として、吸入管4の
入口21で、密度や温度の境界条件を与えることができ
る。実施の形態1においては、圧力センサを用いる例を
説明したが、圧力センサの替りに流速センサを用いて圧
力を計算出力とすることもできる。すなわち、吸入管入
口において不足している1個の流体物理量データを計算
領域22の他端で補うことができれば、そこに用いるセ
ンサは圧力センサに限らず、他のセンサでもよい。結
局、方程式(1)〜(4)を解くための流体物理量デー
タを与えることができれば、本発明の流体物理量計測が
成立するのであって、4個の未知数に対して、計算領域
の両端にまたがって合計4個の流体物理量データが与え
られればよい。
【0040】また、本手法は、入口側に動的流体機器が
接続され、出口側が解放端となった管路に対しても方程
式(1)〜(4)を対称的に用いて同様に適用すること
ができる。さらに、管路上に複数のセンサが設置され、
複数の直列計算領域を持つ管路に対しても、計算速度に
余裕があれば適用可能である。これは、例えば第1の計
算領域の出口側の物理量計算結果を、直ちに第2の計算
領域の入口側の境界条件に置き替えて、第2の計算領域
の物理量を計算し、同様にそれ以後の計算領域の物理量
を計算することによって可能となる。
【0041】(9)ー(13)式の時間積分は数値的に
行われるために、強制外力項となる圧力変動に支配され
る変動周期は正しく再現されるが、速度などの値が遂次
積分誤差の累積によりドリフトする場合がある。このよ
うな場合には、圧力変動などからエンジン周期を検出し
て、一周期ごとに値を修正するように計算機12のプロ
グラムを構成することによってドリフトを除去すること
ができる。本発明では、流体力学の支配方程式(1)―
(5)は一次元のものを扱ったが、軸対象、二次元、三
次元でもよい。またこのような多次元の場合圧力センサ
は同一断面に複数個設けて、境界条件を正確にすること
もできる。エンジン吸入管は曲がり管であってもよい
し、断面積が変化するようなものでもよい。流体力学の
支配方程式を形状に応じて使い分ければよい。
【0042】本発明の第1の構成によれば、流体管路上
にΔx離れた上流及び下流の少なくとも二箇所の圧力
1 及び 2 を、それぞれ時間Δt毎に計測する圧力計測
段を備え、圧力計測手段により計測した圧力 1 及び 2
に基づき、上記(9−1)、(10−1)、(11)及び(1
3)式から、時間Δt後における流体管路内の流速u2
求めるように構成したので、流体管内の瞬時流速を求
めることができるという効果がある。
【0043】本発明の第2の構成によれば、流体管路上
にΔx離れた上流及び下流の少なくとも二箇所の圧力
1 及び 2 を、それぞれ時間Δt毎に計測する圧力計測
段を備え、圧力計測手段により計測した圧力 1 及び 2
に基づき、上記(9−1)、(10−1)、(11)及び(1
3)式から、時間Δt後における流体管路内の流速u2
求め、かつΔtとΔxとが上記(14)式を満足するよう
に、上記圧力センサの位置を決めたので、流体管内の
瞬時流速を求めることができるという効果がある。
【0044】本発明の第3の構成によれば、入口の圧力
1 を大気圧とし、入口からΔx離れた所の圧力p 2 を時
間Δt毎に計測する圧力計測手段を備え、上記圧力p 1
と圧力計測手段により計測した圧力p 2 基づき、下記
式(9−1)、(10−1)、(11)及び(13)から、時間
Δt後における流体管路内の流速u 2 を求めるようにし
たので、流体管内の瞬時流速を求めることができると
いう効果がある。また、本発明の第4の構成によれば、
流体管路上にΔx離れた上流及び下流の少なくとも二箇
所の圧力p 1 及びp 2 を、それぞれ時間Δt毎に計測する
圧力計測手段と、上記二箇所のうち圧力p 1 に対応する
所の温度T 1 を計測する手段とを備え、計測した温度T 1
と圧力計測手段により計測した圧力p 1 及びp 2 とに基づ
き、下記式(9−1)、(10−1)、(11)及び(13)か
ら、時間Δt後における流体管路内の流速u 2 を求める
ようにしたので、流体管路内の瞬時流速を求めることが
できるという効果がある。
【0045】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1である質量流量計の構
成図である。
【図2】 エンジン吸管入口および圧力測定部の拡大図
である。
【図3】 計算要素を説明するための図である。
【図4】 検証実験装置の構成を示す図である。
【図5】 吸入管の入口の速度と測定点の圧力との関係
を示す図である。
【図6】 圧力測定値1周期分を示す図である。
【図7】 吸入管の入口における熱線風速計による計測
速度を示す図である。
【図8】 Cf を変化させて計算した速度の計算値と図
7に示した熱線風速計の実験値との比較図である。
【図9】 Cf =0.25の場合の速度の測定値と圧力
から計算した値との比較図である。
【図10】 質量流量を示す図である。
【図11】 速度換算値を示す図である。
【図12】 圧力変化換算値を示す図である。
【図13】 密度変化換算値を示す図である。
【図14】 温度変化換算値を示す図である。
【図15】 エントロピ変化換算値を示す図である。
【図16】 従来例としてのエンジンの吸気系に取付け
られたエアロフローセンサーを示す概略図である。
【図17】 エアロフローセンサーの詳細な構成を示す
図である。
【符号の説明】
1 エアクリーナ、2 エアクリーナ入口、3 フイル
タ、4 直径Dのエンジン吸入管、8 スロットル、9
流入空気、10 エンジンに吸入される空気、11
リード線、12 計算機、19 導圧管、20 圧力セ
ンサー、21吸入管入口(開口端)、22 計算要素
(検査体積)、23 熱線風速計、24空気圧縮機。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷本 考司 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭51−46275(JP,A) 特開 平7−133899(JP,A) 特開 平7−140033(JP,A) 特開 昭51−46275(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01L 23/00 G01F 1/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体管路上にΔx離れた上流及び下流の
    少なくとも二箇所の圧力p1及びp2を、それぞれ時間Δ
    t毎に計測する圧力計測手段を備え、圧力計測手段によ
    計測した圧力p1及びp2に基づき、下記式(9−1)、
    (10−1)、(11)及び(13)から、時間Δt後におけ
    る流体管路内の流速u2を求めることを特徴とする瞬時
    流体物理量計測方法。 【数1】 ただし、初期条件として、u1=0、u2=0、を与え、
    ρ1=ρ2、及び T1=T2である所定値ρ1、ρ2、T
    1及びT2を与える。なお、 1 及びT 2 は温度、ρ 1 及び
    ρ 2 は密度、F1は圧力損失項、γは定圧比熱比、F2
    はエネルギー損失項、Rは空気のガス定数である。
  2. 【請求項2】 流体管路上にΔx離れた上流及び下流の
    少なくとも二箇所の圧力p1及びp2を、それぞれ時間Δ
    t毎に計測する圧力計測手段を備え、圧力計測手段によ
    計測した圧力p1及びp2に基づき、下記式(9−1)、
    (10−1)、(11)及び(13)から、時間Δt後におけ
    る流体管路内の流速u2を求め、かつΔtとΔxとが下
    記式(14)を満足するように、上記圧力計測手段の位置
    を決めることを特徴とする瞬時流体物理量計測装置。 【数2】 ただし、初期条件として、u1=0、u2=0、を与え、
    ρ1=ρ2、及びT1=T2である所定値ρ1 ρ2、T1及び
    2を与える。なお、 1 及びT 2 は温度、ρ 1 及びρ 2
    密度、F1は圧力損失項、γは定圧比熱比、F2はエネ
    ルギー損失項、Rは空気のガス定数、cは局所音速、
    は流速u 2 である。
  3. 【請求項3】 入口の圧力p 1 を大気圧とし、入口から
    Δx離れた所の圧力p 2 を時間Δt毎に計測する圧力計
    測手段を備え、上記圧力p 1 と圧力計測手段により計測
    した圧力p 2 に基づき、下記式(9−1)、(10−1)、
    (11)及び(13)から、時間Δt後における流体管路内
    の流速u2を求めることを特徴とする瞬時流体物理量計
    測方法。 【数3】 ただし、初期条件として、u1=0、u2=0、を与え、
    ρ1=ρ2、及びT1=T2である所定値ρ1 ρ2、T1及び
    2を与える。なお、 1 及びT 2 は温度、ρ 1 及びρ 2
    密度、F1は圧力損失項、γは定圧比熱比、F2はエネ
    ルギー損失項、Rは空気のガス定数である。
  4. 【請求項4】 流体管路上にΔx離れた上流及び下流の
    少なくとも二箇所の圧力p 1 及びp 2 を、それぞれ時間Δ
    t毎に計測する圧力計測手段と、上記二箇所のうち圧力
    1 に対応する所の温度T 1 を計測する手段とを備え、計
    測した温度T 1 と圧力計測手段により計測した圧力p 1
    びp 2 とに基づき、下記式(9−1)、(10−1)、(1
    1)及び(13)から、時間Δt後における流体管路内の
    流速u 2 を求めることを特徴とする瞬時流体物理量計測
    方法。 【数4】 ただし、初期条件として、u1=0、u2=0、を与え、
    ρ1=ρ2である所定値ρ1、ρ2を与える。なお、 1
    びT 2 は温度、ρ 1 及びρ 2 は密度、F1は圧力損失項、
    γは定圧比熱比、F2はエネルギー損失項、Rは空気の
    ガス定数である。
JP2791897A 1997-02-12 1997-02-12 流体物理量計測方法およびその装置 Expired - Fee Related JP3344259B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2791897A JP3344259B2 (ja) 1997-02-12 1997-02-12 流体物理量計測方法およびその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2791897A JP3344259B2 (ja) 1997-02-12 1997-02-12 流体物理量計測方法およびその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10227707A JPH10227707A (ja) 1998-08-25
JP3344259B2 true JP3344259B2 (ja) 2002-11-11

Family

ID=12234275

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2791897A Expired - Fee Related JP3344259B2 (ja) 1997-02-12 1997-02-12 流体物理量計測方法およびその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3344259B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10227707A (ja) 1998-08-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3234894B2 (ja) 非定常流速の測定方法および装置
EP0255056B1 (en) Method for measuring the speed of a gas flow
JP3918144B2 (ja) ガス流量測定装置および方法
KR100695982B1 (ko) 발열저항체식공기유량측정장치및역류판정방법및오차보정방법
US6185998B1 (en) Heat sensitive flow amount sensor and inlet system of internal combustion engine
CN1137313A (zh) 流过的介质量的测量装置
US7775104B2 (en) Thermal flowmeter in which relationship among length of heat resistor, heating temperature for the heat resistor, and power supplied to the heat resistor is prescribed
CN105091956A (zh) 发动机进气流量测量装置及发动机系统
US6101869A (en) Air flow rate measuring device for an internal combustion engine
Laurantzon et al. A flow facility for the characterization of pulsatile flows
JP2006162417A (ja) 全圧・静圧測定ベンチュリ方式流量測定装置
JP3240782B2 (ja) 熱線式空気流量測定装置
JPH0421809B2 (ja)
JP3344259B2 (ja) 流体物理量計測方法およびその装置
JP2010085136A (ja) 発熱抵抗体式空気流量測定装置
JPS5829853B2 (ja) 質量流量計測装置
JPH0250406B2 (ja)
JPS5861411A (ja) 気体流量測定装置
JPH06265385A (ja) 空気流量測定装置
Sonone et al. Influence of Clean Side Duct Topology on Mass Air Flow for Gasoline Engine on Passenger Vehicle
JPH08278179A (ja) 発熱抵抗式空気流量測定装置
JP2010066107A (ja) 流体流量計及びmaf測定方法
JPH07190821A (ja) 流量計
JPH0953966A (ja) 発熱抵抗体式空気流量測定装置
CN101718627A (zh) 一种结尾激波探测方法及装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070830

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080830

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080830

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090830

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090830

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100830

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110830

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110830

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120830

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120830

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130830

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees