JP3338694B2 - 燃焼特性解析装置 - Google Patents

燃焼特性解析装置

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JP3338694B2 JP2000149788A JP2000149788A JP3338694B2 JP 3338694 B2 JP3338694 B2 JP 3338694B2 JP 2000149788 A JP2000149788 A JP 2000149788A JP 2000149788 A JP2000149788 A JP 2000149788A JP 3338694 B2 JP3338694 B2 JP 3338694B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料の燃焼特性を
解析し、燃焼機関の運転方法、燃焼機関の調整、燃焼機
関の設計、燃料規格、有害排気ガスの削減等に有効なデ
ータを得る燃焼特性解析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料を使用するユーザーは、船舶や自動
車等各種駆動装置等に設置されたエンジンを使用するエ
ンジン使用者,該各種のエンジンを製造し提供するエン
ジン製造業者、該エンジンの整備を行う整備業者、燃料
精製を行う精製業者やバンカリング等の燃料補給業者な
どの燃料供給業者、燃料輸送を行う流通業者等、様々な
分野に広がっている。現在、このような燃料にかかわる
分野では、燃焼特性を着火性を基にして評価しており、
この着火性を示す指標としてセタン価、セタン指数、デ
ィーゼル指数、CCAI(Calculated Carbon Aromat
icity Index)、CII(CalculatedIgnition Inde
x)等が知られている。
【0003】セタン価は、ディーゼル条件下での自己着
火性を示す指標であり、着火性の良いセタンを100と
し、着火性の悪いヘプタメチルノナンのセタン価を15
とし、セタン及びヘプタメチルノナンを混合した標準燃
料と試料の着火性を比較し、試料と同一の着火性を示す
標準燃料中のセタンとヘプタメチルノナンの各容量
(%)を、セタン価=セタンの容量(%)+ヘプタメチ
ルノナンの容量(%)×0.15の式に適用して、整数
で表している。このセタン価は、JIS−K−2280
で規定されたCFR(Cooperative Fuel Research)
セタン価測定用機関(F−5)と呼ばれるエンジンと類
似の機構で構成した測定装置によって測定される。
【0004】セタン指数は、JIS−K−2204で規
定されるように、API度と760mmHgにおける5
0%留出温度(平均沸点)とから計算式で計算してセタ
ン価を推定するものであり、ディーゼル指数は、API
比重とアニリン点から計算してセタン価を推定するもの
である。また、CCAIは燃料油中に含まれる芳香族性
を表し、着火遅れとの相関を利用するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した各評価値は、
燃料の燃焼特性を示す指標として種々の問題を含んでい
る。例えば、セタン価はJIS−K−2280で繰り返
し精度が規定されていないため測定精度に問題があり、
測定に数リットルの試料量を必要とし、操作が煩雑で、
1試料の測定に1日を要するという問題がある。また、
この装置では留出油のセタン価は測定できるが残さ油
(B,C重油)のセタン価は測定できない。CFRセタ
ン価測定用機関という特殊な測定装置を用いるため熟練
した技術者が必要である。特に、ピストンによる加圧方
法を使用しているため、使用されるエンジンオイルの性
状や試験機の整備状況などが測定結果に影響して、安定
した測定結果を得ることが難しい。このように、測定精
度の問題や測定に要する時間の問題、測定者の技術差に
よる結果の違いなどから現在はあまり使用されず、研究
所など特別な場合のみに使用されている。
【0006】また、セタン指数では、API度(比重)
と蒸留操作により50%留出温度を求める必要があり、
約500ml程度の試料量を必要とし、少量の試料油で
は求めることができないという問題がある。また、残さ
油を多く含むB重油以上では計測ができないという問題
がある。ディーゼル指数は、燃料の種類によっては計測
精度が低く着火性指標としては不適当な場合がある。ま
た、CCAIやCIIは、燃料中の混入しているかもし
れない添加剤や不純物が着火性に与える影響を知ること
ができないという問題や、粘度、比重、硫黄分から計算
で求められるため、数値自体を簡単にコントロールする
ことはできるが燃焼特性はかえって不安定なものを作り
出す可能性がある。また、従来用いられているセタン
価、セタン指数、ディーゼル指数、CCAI、CII等
の評価値は着火性を示す指標に過ぎず、燃料の燃焼特性
の一部のみしか知ることができないという問題がある。
【0007】従来においては、原油から直流分留のみを
取出すことによって石油製品を精製するのが通例であっ
た。そのため、着火遅れのみを燃料の評価基準とする従
来の評価方法であっても燃料性状の管理・評価に大きな
差異は見られず、これによる燃料管理に大きな支障は生
じていなかった。しかしながら、現在精製される石油製
品は、直流分留のみではなく、二次分解法や接触分解法
等のように重質分を軽質分に変える精製法が用いられる
ようになっている。この精製法で精製された燃料は、従
来のように着火性だけでは燃焼性を特定することが困難
となっている。また、蒸留特性により分けられた各基材
をブレンドすることにより、ガソリン、軽油、重油、そ
の他の様々な石油製品が製造されているが、燃焼特性が
分からないままブレンドされることで、より燃焼特性の
分からない燃料を生み出す結果となる。また、これに加
えて特性の違う燃料をブレンドすることは、ブレンド前
の基材として燃焼特性が仮に分かっていたとしても、ブ
レンド後の燃焼特性を予測することはよほどのデータ蓄
積及び経験が必要である。
【0008】一方、従来エンジントラブルの主たる原因
としてエンジン機関の設計やオイル性状と考えらていた
が、近年、燃料製法の変化に伴う燃料の性状や燃焼性の
低下を起因とする種々の燃料トラブルも報告されてい
る。軽質分の比率を高めるための二次分解法や接触分解
法も、燃料の燃焼性を低下させる原因となっている。例
えば、このような石油製品の需要構成の変化、軽質油の
需要増加、重質油の需要低下は、軽質油の増量をはかる
ために二次分解装置の稼動を促進し、残さ油の品質を低
下させ、この残さ油を基材とする船舶燃料の高粘度化、
高密度化、及び高アスファルテン化をもたらしている。
これら高粘度化、高密度化、及び高アスファルテン化
は、着火性・燃焼性を低下させて、燃焼室まわりの熱負
荷を増大させエンジンの信頼性を低下させ、着火遅れや
スカッフィングと呼ばれる現象を発生させることにな
る。
【0009】また、この他にも、廃油や海水の燃料油へ
の混入することによって、燃焼室まわりや排気系の汚れ
が増大したり、海水中のナトリウムによる高温腐食や排
気系への付着等によるエンジントラブルが発生する。こ
のような燃料が引き起こすエンジントラブルとしては、
例えば、燃料ストレーナの目詰まり、噴射ノズルの閉
塞、噴射ノズル先端のデポジット付着による噴射不良、
ピストンリングのデポジットによるスティッキングや圧
縮不良、シリンダイライナのラッカリング、スカッフィ
ング、黒煙の排出及び出力低下、エンジン始動性の低
下、排気温度の上昇などが挙げられる。
【0010】この燃焼に起因する問題は、延いては燃焼
機関の機関性能、機関信頼性、機関寿命に影響し、排ガ
ス問題、エネルギー資源の問題にも発展することにな
る。このような、燃料に燃焼性の変化による種々のエン
ジントラブルは、従来の成分分析やセタン指数、着火性
に基づいた燃料基準では十分な燃料管理を行うことがで
きないという問題がある。
【0011】したがって、従来の着火性試験機では安定
した試験結果を得ることが難しく、また、石油精製方法
の変化に伴う燃焼特性の変化を着火遅れだけで判断する
ことは、エンジン性能、信頼性の向上、及び排気ガス削
減等の要請に対して有効性がなく、一定の燃焼条件にお
いて燃料の燃焼における変化を測定し解析することが重
要である。そこで、本発明は従来の問題点を解決し、燃
料の燃焼における変化を測定して燃料の燃焼特性を解析
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、試料燃料の燃
焼を、所定の高温、高圧の条件に設定した一定容量の燃
焼室内で行わせることによって燃焼条件を常に一定のも
のとし、燃焼状態の時間的変化を測定することによっ
て、着火遅れ時間、主燃焼時期、燃焼時間、熱発生率曲
線等の燃焼特性を解析する。本発明の燃焼特性解析装置
は、一定の燃焼条件で試料燃料を燃焼させ、燃焼状態の
時間的変化を測定するために、一定容量の燃焼室と、燃
焼室全体を密封状態に収納する外側容器と、燃焼室内を
所定圧力に加圧する加圧手段と、燃焼室内を所定温度に
加熱する加熱手段と、燃焼室内に試料燃料を噴射する噴
射手段と、燃焼室内の少なくとも圧力を測定し、該測定
値に基づいて燃焼特性を求める解析手段とを備えた構成
とする。
【0013】燃焼室内を加圧手段で所定の圧力とし、ま
た、加熱手段で所定の温度とした後、噴射手段によって
燃焼室内に試料燃料を噴射させる。燃焼室内に噴射され
た試料燃料は自己着火する。燃焼室内に設けたセンサー
は燃焼室内の圧力変化を測定する。解析手段は、試料燃
料を噴射した時点から燃焼が終了する時点までの測定値
の時間変化から、着火遅れ時間、主燃焼時期、燃焼時
間、熱発生率曲線等の燃焼特性を求める。燃焼室内の圧
力及び温度は、例えば45bar(45×105
a)、450℃とすることができる。燃焼室内を高圧に
設定する加圧手段として、例えば、高圧空気ボンベから
の圧縮空気を用いることができ、高圧空気ボンベの圧力
としては例えば50bar(50×105Pa)のもの
を用いることができる。なお、燃焼室内の圧力を制限す
る安全弁を設けることができる。燃焼室内を高温に設定
する加熱手段として、燃焼室の外周にシース発熱体やI
H素子を設けることができる。
【0014】噴射手段は、燃料噴射ポンプ及び噴射ノズ
ルを備え、高圧,高温の燃焼室内に試料燃料を高圧(例
えば、300bar)で噴射する。測定に必要な試料燃
料の最小量は例えば50ml程度とすることができる。
本発明の燃焼室は一定容量の容器であるため、従来のC
FRセタン価測定用機関のようにピストン等の可動部分
を備えない構成とすることができ、また、所定の圧力及
び温度で燃焼させることができ、これによって、常に一
定の燃焼条件で燃焼特性の解析を行うことができる。ま
た、少ない試料燃料量で測定することができる。燃焼特
性解析装置は可動部分を含まない構成であるため、装置
を小型とすることができ、船舶等に配備して迅速な燃焼
特性解析が可能となる。
【0015】本発明の燃焼特性解析装置は、燃焼室を高
圧かつ高温の条件とするため、燃焼室全体を外側容器で
密封状態に収納する。外側容器を設けることによって、
装置表面の温度を低下させて高温による火傷の危険性を
低下させることができる。また、外側容器を設けること
によって燃焼室の加熱効率及び保温効率を高めることが
できる。
【0016】燃焼特性解析装置では、燃焼室は熱膨張に
よって高温時と低温時で伸縮する。本発明では、燃焼室
の端部(例えば、底部の端部)を外側容器側に形成した
溝内に移動可能に支持する構成とする。これによって、
燃焼室が熱膨張によって伸縮しても、燃焼室の端部は外
側容器側に形成した溝内を移動し、燃焼室の損傷や、燃
焼室内の圧力漏れを防ぐことができる。この構成は、燃
焼室を形成する素材と外側容器を形成する素材の温度差
及び熱膨張の違いによって生じる相対的な伸縮に対して
も同様に作用する。また、仮に燃焼室に圧力漏れが発生
した場合であっても、燃焼室全体を密封状態に収納する
外側容器によって、高圧ガスが外部に漏洩することを抑
制することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の燃焼特性
解析装置の構成を説明するための概略図である。図1に
おいて、燃焼特性解析装置1は、一定容量の燃焼室2と
燃焼室2全体を密封状態に収納する外側容器4とを含む
二重容器と、燃焼室2内を所定圧力に加圧する加圧手段
10と、燃焼室2内を所定温度に加熱する加熱手段20
と、燃焼室2内に試料燃料を噴射する噴射手段30と、
燃焼室2内の少なくとも圧力を測定し、測定値に基づい
て燃焼特性を求める解析手段40を備える。燃焼室2
は、例えばスチール等で形成される密封容器であり、例
えばステンレスで形成される外側容器4内に密封状態に
収納される。燃焼室2と外側容器4の間には断熱コンク
リート等の断熱材が充填される。
【0018】加圧手段10は、外部に設けた空気ボンベ
11、圧力調整手段12で構成することができ、空気ボ
ンベ11から圧力調整手段12を通して燃焼室2内に圧
縮空気を導入することによって加圧する。これによっ
て、燃焼室2内は例えば45bar(45×105
a)に加圧される。加熱手段20は、燃焼室2の外周に
設けたシース発熱体やIH素子等の加熱素子22、及び
該加熱素子22を駆動する外部に設けた電源21で構成
することができる。燃焼室2の内部は、加熱手段10に
よって例えば450℃の高温に加熱される。
【0019】噴射手段30は、燃料噴射ポンプ32と、
燃焼室2に開放した開口部を有する噴射ノズル33を備
え、試料燃料容器31内の試料燃料を高圧で燃焼室2に
噴射する。噴射圧力は例えば、300bar(300×
105Pa)とすることができる。また、噴射ノズル3
3の近傍には冷却パイプ14を設定し、冷却源13から
冷水等の冷媒を供給することによって、過熱したノズル
部分を冷却することができる。なお、燃焼室2には、燃
焼ガスを排気する排気口34が設けられる。解析手段4
0は、燃焼室2内の圧力を測定するセンサー42と、該
センサー42の検出値を測定,記録し、解析する測定・
解析手段43と、解析結果を表示する表示手段44を備
える。
【0020】高温、高圧の条件に設定した燃焼室2内に
試料燃料を高圧で噴射すると、試料燃料は自己着火す
る。センサー42は燃焼室2内の圧力(必要によっては
温度も)を検出し、測定・解析手段43は試料燃料の燃
焼による圧力変化を測定し、燃焼時間、熱発生率曲線等
の燃焼特性を求める。図2は、測定結果を模式的に示し
たものであり、着火遅れ時間、最大圧力、最大圧力到達
時間、主燃焼時期、燃焼時間等を求めることができる。
なお、図2(a)は圧力曲線を示し、図2(b)は熱発
生曲線(圧力上昇率の時間変化)を示している。なお、
制御手段41は、圧力調整手段12、電源21、燃料噴
射ポンプ32、測定・解析手段43を制御し、燃焼室2
内が所定の圧力及び温度に達した時点で燃焼室2内に試
料燃料を噴射させて、圧力変化を測定し記録する。
【0021】したがって、燃焼特性解析装置1は、一定
容量の燃焼室2内を実際の燃焼機関に近い圧力、温度に
空気を加圧、加熱し、その空気中に対象となる試料燃料
を噴射し、自己着火・燃焼させ、燃焼機関に近い燃焼状
態で燃焼試験を行い、燃焼室2内の燃焼圧力を時系列で
測定・記録し、燃焼時間、着火遅れ時間(セタン価)、
熱発生率等を測定し、燃料の燃焼特性を測定し、解析す
ることができる。燃焼特性解析装置1は、燃焼温度、燃
焼圧力を任意に設定・制御することができ、様々な燃焼
温度・燃焼圧力の条件下における燃焼の変化を、例え
ば、100mmsecの測定時間内で2000以上の測
定点で測定し、得られた測定データをコンピュータに取
り込んで情報処理を行うことができる。
【0022】この情報処理において、例えば、セタン価
を求める場合には、標準試料とされるノルマルセタン
(セタン価100)とヘプタメチルノナン(セタン価1
5)を混合して各セタン価の試験燃料を形成して標準試
験燃料とし、標準試験燃料の燃焼性から検量線を作成
し、試料燃料の試験結果を検量線と比較することによっ
て、セタン価を読み取ることができる。この定量容器燃
焼装置は、従来の試験装置のようにエンジン状の形態を
備えない構成であることから、一回毎の燃焼を他の燃焼
と区別して測定することができるため、より正確な測定
を行うことができ、燃焼性のばらつきや、燃料が燃焼に
与える変化を読み取ることができる。また、複数回の測
定値について、最大値や平均値、あるいは標準偏差等を
求めることもできる。
【0023】なお、本発明の燃焼特性解析装置では、燃
焼室において高温かつ高圧の条件を達成させるための構
成を要する。図5,6は、燃焼室2と壁部4Bの熱膨張
を一体のベース部8で支持する構成例である。図5にお
いて、燃焼室2は、底板6とベース部8との間に挟んだ
パッキング7bによって気密を保ち、外側容器4は、壁
部4Bとベース部8との間に挟んだパッキング7aによ
って気密を保持している。
【0024】この構成において、図6(a)に示すよう
に燃焼室2が伸張した場合には、燃焼室2と外側容器4
の熱膨張の差によって、パッキング7bはパッキング7
aよりも大きく圧縮される。通常、熱膨張による伸縮を
繰り返すとパッキングの復元力は低下する。この復元力
の低下は圧縮の程度が大きい程顕著となり、図6(b)
に示すように燃焼室2が収縮した場合に、燃焼室2と外
側容器4との間に隙間Aが生じ、圧力漏れが生じるおそ
れがある。そのため、本発明の燃焼特性解析装置に用い
る燃焼室は、このような熱膨張による伸縮で生じる圧力
漏れを防止するための構成を必要とする。本発明の燃焼
室は、燃焼室の端部を外側容器側に形成した溝内に移動
可能に支持することによって、燃焼室の熱膨張による伸
縮を吸収する構成としている。
【0025】本発明の燃焼室2及び外側容器4の詳細な
構成について、図3,4を用いて説明する。図3は燃焼
室及び外側容器の構成を説明するための断面図であり、
図4は燃焼室及び外側容器の熱膨張による作用を説明す
るための一部断面図である。燃焼室2の端部(ここで
は、底部側端部を示している)を外側容器4のベース部
4A側に延ばして延長部2aを形成し、ベース部4Aに
形成した溝部4c内で可動に支持させる。外側容器4の
ベース部4Aは、第1ベース4aと第2ベース4bを備
え、両ベースの間の隙間によって溝部4cを形成してい
る。なお、溝部4cにおいて、延長部2aと第2ベース
4bとの間にはOリング4dを設けている。また、第1
ベース4aはパッキング7aを挟んで外側容器4の壁部
4Bを支持し、第2ベース4bはパッキング7bを挟ん
で燃焼室2の底板6を支持している。
【0026】図4(a)は熱膨張によって燃焼室2が伸
張した場合を示し、図4(b)は燃焼室2が収縮した場
合を示している。図4(a)において燃焼室2が伸張す
ると、延長部2aは溝部4c内を図中の矢印方向に下方
に移動する。このこき、燃焼室2の底板6及び外側容器
4の壁部4Bは、圧力ないし熱膨張によってパッキング
7b、パッキング7aを圧縮して下降するが、延長部2
aは溝部4c内を下降するため、パッキング7b及びパ
ッキング7aに対する圧縮力は過度のものとはならな
い。一方、図4(b)において燃焼室2が収縮すると、
延長部2aは溝部4c内を図中の矢印方向に上方に移動
する。この延長部2aの溝部4c内の移動において、延
長部2aと外側容器4のベース部4Aとは溝部4c及び
Oリング4dで密閉が保たれる。
【0027】図5,6に示した構成と比較したとき、本
発明の構成によれば、延長部2aは溝部4c内において
外側容器4と独立して移動可能としているため、パッキ
ング7b、パッキング7aは過度に圧縮されることはな
く、パッキングの萎縮による圧力漏れを防止することが
できる。また、燃焼室2自体に対する損傷も減少させる
ことができる。
【0028】次に、本発明の燃焼特性解析装置で得られ
る解析結果の表示例について、図7〜図13を用いて説
明する。図7は燃焼曲線の表示例であり、燃焼室内の圧
力の時間変化を示している。また、図8は熱発生率曲線
の表示例であり、燃焼室内の圧力上昇率の時間変化を示
している。図7の燃焼曲線及び図8の熱発生率曲線か
ら、初期燃焼時期(着火時期)、主燃焼時期、着火遅れ
時間、最大圧力及び最大圧力発生時期を測定することが
できる。図7,8の解析結果例では、着火遅れ時間は9
mmsec、最大圧力は約10barであることを示し
ている。
【0029】図9〜図11は複数の燃料について燃焼特
性を解析した解析結果例の表示例を示している。図9は
複数の燃料(test147からtest156)の各
燃焼曲線を同一画面上に重ねて表示した表示例を示し、
図10はその拡大表示例を示している。また、複数の燃
料の解析結果の表示形態は任意とすることができ、図
9,10のように燃焼曲線で表示することも、あるい
は、図11のように数値で表示することもできる。な
お、複数の燃料について燃焼特性を表示する場合には、
各燃料毎に解析結果を記憶しておき、比較表示する解析
結果を読み出し、所定の表示形態で表示装置に表示す
る。図12は、複数の燃料の解析結果から各燃料の着火
遅れを求めて、その度数をヒストグラム表示したもので
ある。このヒストグラムによれば、複数の燃料の着火遅
れの分布(標準偏差等)を求めることができ、燃料の着
火遅れを指標としたときの特性のばらつきを知ることが
できる。
【0030】また、本発明の燃焼特性解析装置によって
燃料のセタン価を求めることができる。図13は燃料の
セタン価の決定を説明するグラフである。本発明の燃焼
特性解析装置によって、セタン価が既知の標準燃料の着
火遅れ時間をあらかじめ求めておき、この結果から検量
線(図中の折れ線)を求めておく。次に、試料燃料につ
いて、本発明の燃焼特性解析装置によって着火遅れ時間
を求め、この着火遅れ時間と検量線とが交差する点を求
めることによって、試料燃料のセタン価を求めることが
できる。
【0031】本発明の燃焼特性解析装置によれば、従来
より知られている着火遅れ時間に加えて実際の種々の燃
焼特性を求めることができ、燃料についての種々の支援
に対応することができる。また、本発明の燃焼特性解析
装置によれば、例えば、燃焼の速度や圧力の時間変化を
グラフ化して主燃焼位置を特定することができる。従来
困難であった初期燃焼と主燃焼とを区別して実際の燃焼
特性を正確に読み取ることもできる。圧力データを基に
燃焼の開始から終了までを観察して、燃焼時間、熱の発
生率を読み取って実際の燃焼変化を正確に読み取ること
ができる。また、燃焼結果の差や燃焼特性に基づいて、
燃焼が各燃焼機器や燃焼機関に与えるダメージや、排ガ
ス組成に与える影響や、燃料消費率に与える影響等を判
断することができる。
【0032】上記の測定は、同一条件で試験を複数回
(例えば、10回)繰り返すことによって、測定精度を
上げることができ、また、各回に燃焼の相違を比較する
ことによって、燃焼特性のばらつきの指標を求めること
ができる。また、本発明の燃焼特性解析装置で得られた
解析結果は、エンジン性能、信頼性の向上、有害排気ガ
ス削減に寄与することができる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の燃焼特性
解析装置によれば、燃料の燃焼における変化を測定して
燃料の燃焼特性を解析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃焼特性解析装置の構成を説明するた
めの概略図である。
【図2】測定結果を模式的に示したものである。
【図3】燃焼室及び外側容器の構成を説明するための断
面図である。
【図4】燃焼室及び外側容器の熱膨張による作用を説明
するための一部断面図である。
【図5】燃焼室と壁部の熱膨張を一体のベース部で支持
する構成例である。
【図6】燃焼室と壁部の熱膨張を一体のベース部で支持
する構成例である。
【図7】燃焼曲線の一表示例である
【図8】熱発生率曲線の一表示例である。
【図9】複数の燃料の燃焼曲線を同一画面上に表示した
例である。
【図10】複数の燃料の燃焼曲線を同一画面上に拡大し
て表示した例である。
【図11】解析結果を数値表示した例である。
【図12】着火遅れのばらつきを示す表示例である。
【図13】燃料のセタン価の決定を説明するグラフであ
る。
【符号の説明】
1 燃焼特性解析装置 2 燃焼室 2a 延長部 3 断熱材 4 外側容器 4A ベース部 4B 壁部 4a 第1ベース部 4b 第2ベース部 4c 溝部 4d Oリング 6 底板 7 パッキング 8 ベース部 10 加圧手段 11 空気ボンベ 12 圧力調整手段 13 冷却源 14 冷却パイプ 20 加熱手段 21 電源 22 加熱素子 30 燃料噴射手段 31 試料燃料容器 32 燃料噴射ポンプ 33 噴射ノズル 34 排気口 40 解析手段 41 制御手段 42 センサー 43 測定・解析手段 44 表示手段 A 隙間

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一定容量の燃焼室と、燃焼室全体を密封
    状態に収納する外側容器と、燃焼室内を所定圧力に加圧
    する加圧手段と、燃焼室内を所定温度に加熱する加熱手
    段と、燃焼室内に試料燃料を噴射する噴射手段と、燃焼
    室内の少なくとも圧力を測定し、該測定値に基づいて燃
    焼特性を求める解析手段とを備え、所定圧力及び所定温
    度に設定した燃焼室内に試料燃料を噴射させ、該噴射時
    から燃焼終了時までの測定値の時間変化から燃焼特性を
    求めることを特徴とする、燃焼特性解析装置。
  2. 【請求項2】 前記燃焼室の端部を、外側容器側に形成
    した溝内に移動可能に支持し、燃焼室の熱膨張による伸
    縮を吸収することを特徴とする、請求項1記載の燃焼特
    性解析装置。
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