JP3329101B2 - 車両の衝突判定方法及び衝突判定装置 - Google Patents

車両の衝突判定方法及び衝突判定装置

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JP3329101B2 JP28667694A JP28667694A JP3329101B2 JP 3329101 B2 JP3329101 B2 JP 3329101B2 JP 28667694 A JP28667694 A JP 28667694A JP 28667694 A JP28667694 A JP 28667694A JP 3329101 B2 JP3329101 B2 JP 3329101B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、短期と長期の速度変化
量或いは衝撃力等に基づいて車両の衝突を高速かつ高精
度に判定するようにした車両の衝突判定方法及び衝突判
定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図4に示す車両の衝突判定装置1は、車
両衝突時にエアバッグを展開させるべき衝突であるか否
かを判定するための装置であり、加速度センサ2により
得られる加速度信号Gを折り返し歪み排除用の低域濾波
回路3にて濾波し、離散値データとしてディジタル信号
処理部1a内に取り込み、衝撃力判定と短区間積分判定
と長区間積分判定とにかけて衝突判定を行うものであ
る。
【0003】衝突判定装置1は、車両が衝突したときに
乗員に危害が及ぶ塑性衝突について、車両の前部を無数
のばね体が複合された塑性ばねと見なすことを前提とし
ており、衝突により車両が停止に至る過程で加速度信号
の基本1/4正弦波に重畳する各種の振動波形のなかか
ら、衝突時に顕著な特定の帯域成分を抽出することによ
り、速度変化量を追跡しただけでは分からない衝撃力を
検出し、悪路走行や縁石乗り上げ等に伴う衝撃等と区別
して、安全装置の作動を必要とする衝突を判定するよう
工夫してある。様々な実験の結果、加速度データに含ま
れる20Hzから200Hzの帯域成分が衝撃の大きさ
に応じて大きな変化を示すことが判っており、このため
衝撃力演算では、まず帯域濾波回路4において上記の特
定帯域成分を抽出し、抽出した帯域成分を二乗演算器5
において二乗演算し、ここで得られる衝撃力を表す数値
ΔE(k)を続く比較器6においてしきい値判別する。
なお、二乗演算の根拠は、近似的に余弦曲線に従って減
衰する速度の場合、余弦曲線上の位相0度と90度の間
できわめて隣接する2点間の衝撃力が、これら2点間で
の速度変化分の二乗に比例すると見なせる点にある。
【0004】比較器6においてしきい値判別された衝撃
力を表す数値ΔE(k)は、続く波形整形器7において
波形整形される。この波形整形器7は、しきい値を越え
る衝撃力が比較器6の出力として得られたときに、比較
器6の出力を一定期間だけ時間軸方向に伸長し、少なく
とも一定時間は持続する波形に整形するものである。波
形整形器7は、具体的には、比較器6の出力の立ち上が
りでトリガされて例えば20ms程度持続するワンショ
ットパルスを生成するワンショット回路7aと、このワ
ンショット回路7aの出力ワンショットパルスと比較器
6の原出力との論理和をとるオアゲート回路7bとから
構成される。このため、二乗演算器5の出力が危険値を
越える急激な衝撃力の変化を示すときは、波形整形器7
の出力が衝突認定の可能性が大であることをワンショッ
トパルスの持続期間に亙って明示し続ける。
【0005】速度変化量に関する区間積分は、短区間と
長区間の各区間積分器8,9により行われ、離散値化さ
れた加速度データG(k)を、実施例では短区間積分器
8は18msの積分区間Tで、また長区間積分器9は9
0msの積分区間mTでそれぞれ逐次加算して積分演算
する。各区間積分器8,9の出力は続く比較器10,1
1においてしきい値判別され、それぞれ一定のしきい値
Vrs,Vrlを越える区間積分値が得られた場合に、
判定回路12に対してハイレベルの信号を出力する。判
定回路12には、衝撃力のしきい値判別出力と長区間積
分値及び短区間積分値のしきい値判別出力とが供給さ
れ、ここで衝突認定に至るか否かの衝突判定が行われ
る。すなわち、判定回路12は、衝撃力判別出力と短区
間積分値のしきい値判別出力との論理積をとるアンドゲ
ート回路12aと、このアンドゲート回路12aの出力
と長区間積分値のしきい値判別出力との論理和をとるオ
アゲート回路12bとから構成されており、オアゲート
回路12bのハイレベル出力がエアバッグ展開トリガ信
号となる。
【0006】図5に示す衝撃力ΔE(k)と速度変化量
ΔV(k)を2軸とする平面上で見た場合、判定回路1
2による判定は、衝突域と非衝突域を区画する3本の直
線からなる判定曲線を境界に行われる。すなわち、この
判定曲線が区画する衝突域とは、 (i)ΔE(k)>Erで、かつΔV(k)>Vrs か、又は (ii)ΔV(k)>Vrl の2条件を少なくとも満たす領域である。なお、同図に
は、中速での正面衝突と高速での正面衝突の外に、緩衝
機能をもった缶状体からなるクッションドラムとの衝突
や、電柱や支柱といったポールへの衝突といった事例ご
とに、衝撃力ΔE(k)と速度変化量ΔV(k)の相関
が最も深い領域を、それぞれ点線で囲って示してある。
また、判定曲線の内側の領域には、通常走行や車体のシ
ャーシ部分だけの危険を伴わない衝突を示す縁石乗り上
げ或は悪路走行のごとく、判定回路12が非衝突である
と判定する事例についても、衝撃力ΔE(k)と速度変
化量ΔV(k)の相関が最も深い領域をそれぞれ点線で
囲って示してある。これらの分類パターンは、実際に車
両を使って衝突実験をしたさいに得られたデータに基づ
いて作成され、衝撃力ΔE(k)と速度変化量ΔV
(k)が判れば、3本の直線が区画する衝突域の内外に
衝突と非衝突が区別できることが判る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の車両の衝突判定
装置1は、ディジタル信号処理部1aが16ビットのC
PUを構成主体としており、このため加速度センサ2の
出力例えば0−5ボルトの加速度信号を16ビットでA
D変換した場合の符号化最小ビット(LSB)の1ビッ
ト当たりの分解能は5/1024ボルトであり、8ビッ
トAD変換を施した場合等に比べ、量子化誤差は1/4
と少ない。しかしながら、16ビットCPUは8ビット
CPUに比べ製造単価が高く、製造コストを切り下げる
ため、ディジタル信号処理部1a内での演算内容を工夫
すれば、8ビットCPUでも十分に衝突判定の用を果た
し得ることが数々の試行を通じて明らかになっている。
ただし、16ビットCPUをただ単純に8ビットCPU
に置き換えた場合、例えば長区間積分器9の積分出力中
にそれまでの4倍の量子化誤差が堆積するため、加速度
自体が正負に振れながら速度変化量が緩慢な推移を示す
ポール衝突が発生したような場合に、正負に振れる加速
度データの量子化誤差が相殺される場合もあれば、逆に
速度変化量を減量させる方向に作用する場合もあり、特
に長区間積分器9後段のしきい比較器11におけるしき
い値判別に予測し難い影響が及ぶために、ポール衝突が
発生してもエアバッグが展開しないなどの不発事故を招
くことがあった。
【0008】また、16ビットCPUを用いた従来のデ
ィジタル信号処理部1aは、帯域濾波回路4に用いられ
るディジタルフィルタが、現在値の加速度データの外に
4サンプル前までの加速度データを用いて演算する構成
であり、しかも二乗演算器5における二乗演算にも相当
の演算量が要求されるため、8ビットCPUを導入して
コスト削減を図る場合には、これらの点に関しても何ら
かの対策が必要であった。さらにまた、短区間積分器8
から得られる速度変化量ΔV(k)は、衝突の前後で著
しい変化を示す高速の正面衝突のようなケースでは衝突
判定に役立つが、衝突域と非衝突域を分ける判定曲線に
近い中速の正面衝突のような場合、すなわち加速度デー
タがじわっと変化するようなときに、エアバッグを展開
すべき展開トリガ信号が遅れることがある等の課題があ
った。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決したものであり、車両に加わる加速度を検出し、該加
速度を現在値まで比較的短い区間だけ積分する一方、前
記加速度の絶対値を現在値まで比較的長い区間に亙って
積分し、前記短区間積分出力が所定の短区間積分しきい
値を越え、かつ前記長区間積分出力が所定の長区間積分
しきい値を越えるときに衝突判定を下すことを特徴とす
るものである。
【0010】また、本発明は、車両に加わる加速度を検
出する加速度センサと、該加速度センサの出力を現在値
まで比較的短い区間だけ積分する短区間積分器と、前記
加速度センサの出力の絶対値をとる絶対値回路と、該絶
対値回路の出力を現在値まで比較的長い区間に亙って積
分する長区間積分器と、前記短区間積分器の出力が所定
の短区間積分しきい値を越え、かつ前記長区間積分出力
が所定の長区間積分しきい値を越えるときに長区間絶対
値積分判定に基づく衝突判定を下す判定回路とを具備す
ることを特徴とするものである。
【0011】さらにまた、本発明は、加速度センサの出
力から車両の衝突時に顕著に現れる特定の帯域成分を抽
出し、該抽出された帯域成分の絶対値をとって衝撃力を
演算する衝撃力演算手段をさらに具備し、前記判定回路
が、前記衝撃力演算手段の出力が所定の衝撃力しきい値
を越え、かつ前記短区間積分器の出力が所定の短区間積
分しきい値を越えるときに衝撃力判定に基づく衝突判定
を下すこと、或いは短区間積分器の出力を時間微分する
微分器をさらに具備し、前記判定回路が、前記微分器の
出力が所定の短区間積分値微分しきい値を越え、かつ前
記短区間積分器の出力が所定の短区間積分しきい値を越
えるときに短区間積分値微分判定に基づく衝突判定を下
すこと等を、他の特徴とするものである。
【0012】
【作用】本発明は、車両に加わる加速度を現在値まで比
較的短い区間だけ積分する一方、加速度の絶対値を現在
値まで比較的長い区間に亙って積分し、短区間積分出力
が所定の短区間積分しきい値を越え、かつ長区間積分出
力が所定の長区間積分しきい値を越えるときに衝突判定
を下すことにより、車両が衝突したときに乗員に危害が
及ぶ塑性衝突について、短期と長期の速度変化量に基づ
いて総合的に衝突判定し、高速かつ高精度の衝突判定を
行う。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図1ないし
図3を参照して説明する。図1は、本発明の車両の衝突
判定装置の一実施例を示す回路構成図、図2は、追突発
生時の加速度センサの出力の時間変化を示す図、図3
は、本発明の車両の衝突判定装置の他の実施例を示す回
路構成図である。
【0014】図1に示す車両の衝突判定装置21は、加
速度センサ22により得られる加速度信号Gを、アナロ
グ回路構成の低域濾波回路23aと高域濾波回路23b
を縦列接続した帯域濾波器23により帯域濾波し、ディ
ジタル信号処理部21a内で衝撃力判定と短区間積分値
微分判定と長区間絶対値積分判定の3種類の判定を総合
して衝突判定を行う構成としたものであり、ディジタル
信号処理部21aの構成主体であるCPU(図示せず)
を16ビットCPUではなく安価な8ビットCPUとし
ながらも、従来の衝突判定装置1と同等もしくはそれ以
上の正確かつ確実な衝突判定を可能にした点に特徴があ
る。
【0015】加速度センサ22としては、ピエゾ抵抗変
化を利用する応力歪みゲージを車両の進行方向に受圧面
を向けて半導体基板上に組み込んだものが用いられる
が、ピエゾ抵抗変化を検出する半導体加速度センサに限
らず、圧電素子を用いたもの或いは純粋機械式に弾性ば
ねを用いるもの等も使用できる。加速度センサ22が出
力する加速度信号Gは、離散値データに変換する前に低
域濾波回路23aにおいて折り返し歪みの影響を排除す
べく80ないし260Hzを越える高周波成分例えば8
0Hzを越える高周波成分を除去され、続く高域濾波回
路23bに送り出される一方で、ディジタル信号処理部
21a内の短区間積分器24と長区間積分用絶対値回路
25に対し、それぞれAD変換入力ポート経由で送り込
まれる。
【0016】高域濾波回路23bは、低域濾波回路23
aの出力に含まれる20ないし160Hz以下の低周波
成分例えば20Hz以下の低周波成分を除去し、濾波出
力をAD変換入力ポート経由でディジタル信号処理部2
1a内の衝撃力演算用絶対値回路26に送り込む。絶対
値回路26は、従来の二乗演算器5に代わって衝撃力演
算を行う回路であるが、8ビットCPUを構成主体とす
るディジタル信号処理部21aにとっては、帯域濾波演
算を部外に移行させ、なおかつ二乗演算から絶対値演算
に変更したことで、処理能力負担が大いに軽減されたの
は言うまでもない。なお、近似的に余弦曲線に従って減
衰する速度に関し、前述のごとく、余弦曲線上の位相0
度と90度の間できわめて隣接する2点間での衝撃力
は、これら2点間での速度変化分の二乗に比例すると見
なしたときに、加速度データの二乗演算値をもって表す
のが妥当であるが、実施例のごとく、二乗演算値を絶対
値で置換する一方で、後続のしきい値判別での判定基準
を与えるErをErの平方根で置換して対処したこと
で、衝撃力判定の中身は従来と殆ど変わらない。ただ
し、車種ごとに衝突時に顕著な特定の帯域成分をしかる
べく抽出して衝撃力判定を行うことで、速度変化量を追
跡しただけでは分からない衝撃力から、悪路走行や縁石
乗り上げ等に伴う衝撃等と区別して、エアバッグの作動
を必要とする衝突であることを確実に判定することがで
きる。
【0017】こうして、絶対値回路26から加速度デー
タG(k)の正負に関係なく得られた衝撃力の大きさに
関係する絶対値|G(k)|は、続く比較器27におい
て一定の基準値すなわちErの平方根を基準にしきい値
判別され、波形整形器28に送り込まれる。波形整形器
28は、しきい値を越える衝撃力が比較器27の出力と
して得られたときに、比較器27の出力を一定期間だけ
時間軸方向に伸長し、少なくとも一定時間は持続する波
形に整形するものであり、実施例の場合、比較器27の
出力の立ち上がりでトリガされて30ms持続するワン
ショットパルスを生成するワンショット回路28aと、
このワンショット回路28aの出力ワンショットパルス
と比較器27の原出力との論理和をとるオアゲート回路
28bとで構成してある。このため、絶対値回路26の
出力が危険値を越える急激な衝撃力の変化を示したとき
は、波形整形器28の出力が衝突認定の可能性が大であ
ることを、30msの期間に亙って明示し続けることに
なる。
【0018】短区間積分器24により行われる短区間積
分は、離散値化された加速度データG(k)を、正負の
符号を付したまま10ないし14ms例えば14msの
積分区間Tで逐次加算して積分演算することにより行わ
れる。短区間積分器24の出力は、3個の比較器31,
32,33と微分器34とに供給される。比較器31,
32,33は、短区間積分出力をそれぞれ一定の基準値
すなわち短区間積分しきい値Vrs1,Vrs2,Vr
s3を基準にしきい値判別し、それぞれのしきい値判別
出力を衝撃力判定用と短区間積分値微分判定用と長区間
絶対値積分判定用として判定回路41内での判定に供す
る。ただし、比較器31,33と判定回路41との間に
は、前述の波形整形器28と同じ構成の波形整形器3
5,36が接続してある。波形整形器35,36は、ワ
ンショット回路35a,36aとオアゲート回路35
b,36bからなり、短区間積分器24の出力が衝突認
定の可能性が大であることを、ともに30ms程度の期
間に亙るパルスを出力して明示する。波形整形器35,
36の出力は、判定回路41内のアンドゲート回路4
2,44にそれぞれ供給され、アンドゲート回路42
が、波形整形器35と波形整形器28の出力とを論理積
演算して衝撃力判定を下し、また、アンドゲート回路4
4が、波形整形器36の出力と後述する比較器38の出
力とを論理積演算して長区間絶対値積分判定を下す。
【0019】微分器34は、短区間積分出力を後述する
アルゴリズムに則って時間微分し、得られた時間微分値
を比較器39に供給する。比較器39は、短区間積分出
力の時間微分値を一定の基準値αrを基準にしきい値判
別し、しきい値判別出力を判定回路41内のアンドゲー
ト回路43に供給する。アンドゲート回路43は、比較
器39の出力と比較器32の出力とを論理積演算し、短
区間積分値微分判定を下す。実施例の場合、微分器34
による時間微分は、短区間積分出力をシンプソンの微分
公式に従って時間微分することにより行う方法を採用し
ており、該微分公式によれば、短区間積分出力の現在値
V(k)とその3サンプル前までのデータV(k−
1),V(k−2),V(k−3)とを用い、 {V(k)+3V(k−1)−3V(k−2)−V(k
−3)}/6 なる演算により時間微分値が導出される。
【0020】この場合、区間Tの短区間積分値は1サン
プルごとにG(k)−G(k−T)だけ変化するため、
G(k)−G(k−T)の時間変化率が、短区間積分値
の時間微分値に相当する。従って、現在の加速度データ
G(k)と時間区間Tだけ前に観測された過去の加速度
データG(k−T)との差分の大きさが、比較器39に
てしきい値判別されることになる。このため、隣接する
加速度データのサンプル間に顕著な変化が見られなくと
も、時間区間Tを隔てた2点間で加速度データが顕著な
変化を示す中速の正面衝突が発生したような場合に、微
分器34の出力に顕著な変化が現れ、じわっと増大する
ような加速度に対して有効に衝突判定を下すことができ
る。また、短区間積分出力の時間微分値は、判定回路4
1内のアンドゲート回路43に供給され、短区間積分出
力のしきい値判別出力との論理積として短区間積分値微
分判定が下されるため、例えば縁石乗り上げとともに短
区間積分出力の時間微分値だけが突出しても、短区間積
分出力がしきい値Vrs2以下である場合には、衝突判
定が下されることはない。
【0021】加速度データの絶対値を積分する長区間積
分器37は、絶対値回路25と比較器38の間に接続さ
れている。この長区間積分器37は、離散値化された加
速度データG(k)でかつ絶対値回路25にて負号を取
り除き全て正の値としたものを、90msの積分区間n
Tでそれぞれ逐次加算して積分演算するものである。短
区間積分器24が加速度データG(k)を正負の符号を
付したまま積分するのに対し、長区間積分器37では加
速度データG(k)の絶対値|G(k)|を積分させる
ようにしたのは、ディジタル信号処理部21aの構成主
体を16ビットCPUから8ビットCPUに変更したこ
とに関係する。すなわち、例えば0−5ボルトの加速度
信号を16ビットでAD変換した場合と8ビットでAD
変換した場合とでは、最小ビット(LSB)の1ビット
当たりの分解能に5/1024ボルトから5/256ボ
ルトまで4倍の開きが存在するため、当然のことなが
ら、8ビットAD変換に伴う量子化誤差は16ビットA
D変換に伴う量子化誤差に比べ4倍に増えることにな
る。しかし、加速度の絶対値を長区間積分するため、加
速度データの正負に応じて発生する正負の量子化誤差
は、長区間積分値を増大させる方向にのみ作用する。こ
のため、加速度が正負に振れながら速度変化量が緩慢な
推移を示すポール衝突が発生した場合でも、正負に振れ
る加速度データの量子化誤差が、長区間積分値のしきい
値判別に対しエアバッグを展開させない側に堆積するこ
とはなく、確実にエアバッグを展開させることができ
る。
【0022】実施例の場合、長区間積分器37の長区間
積分出力は、続く比較器38において一定の基準値すな
わち長区間積分しきい値Vrlを基準にしきい値判別さ
れ、一定の基準値Vrlを越える長区間積分値が得られ
る場合にハイレベルの信号を出力するが、前述のごと
く、このハイレベルの出力は判定回路41内のアンドゲ
ート回路44において、波形整形器36の出力との論理
積演算に供される。この論理積演算は、追突事故が発生
したときにエアバッグを展開させないための配慮として
重要であり、乗員を鞭打ち的にシートに押し付ける追突
事故に対して乗員保護の用を殆どなさないエアバッグを
展開させないための処置として不可欠である。すなわ
ち、追突事故が発生したときは、車両に対し後方から前
方に押す衝撃力が加わるが、このときの衝撃力は元来が
減速度を検出するよう設けられた加速度センサ22にと
っては、図2に示したように、追突当初は負の加速度と
して検出される。しかし、長区間積分器37の前段に絶
対値回路25を配置したことで、この負の加速度が恰も
前方衝突が発生したかのごとく、換言すれば図2に点線
で示したように正の加速度として長区間積分器37に送
り込まれることになる。従って、正負の符号を付したま
まの加速度データを長区間積分に供していた従来の衝突
判定装置1では問題とならなかった後方からの追突事故
に対し、長区間積分器37のしきい値判別出力を短区間
積分器24の出力で制限することで、誤ってエアバッグ
を展開させる不都合が回避され、長区間絶対値積分判定
方式を採用した利点も生きることになる。
【0023】なお、実施例では、衝撃力判定を下すアン
ドゲート回路42と、短区間積分値微分判定を下すアン
ドゲート回路43と、長区間絶対値積分判定を下すアン
ドゲート回路44の各出力を、判定回路41内に設けた
オアゲート回路45にて論理和をとることで一括し、エ
アバッグ展開信号としてエアバッグのトリガに供するよ
うにしてある。
【0024】また、上記実施例では、衝撃力判定と短区
間積分値微分判定と長区間絶対値積分判定のいずれかを
下すことでエアバッグが展開する構成としたが、図3に
示す車両の衝突判定装置51のごとく、長区間絶対値積
分判定出力だけでエアバッグを展開させる構成とするこ
ともできる。この実施例は、長区間絶対値積分判定に必
要な最小限の回路で構成されるため、ディジタル信号処
理部51aの構成は非常に簡単であり、前記実施例の判
定回路41もアンドゲート回路44そのもので構成され
る。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、車両に
加わる加速度を検出し、該加速度を現在値まで比較的短
い区間だけ積分する一方、前記加速度の絶対値を現在値
まで比較的長い区間に亙って積分し、前記短区間積分出
力が所定の短区間積分しきい値を越え、かつ前記長区間
積分出力が所定の長区間積分しきい値を越えるときに衝
突判定を下すようにしたから、例えば16ビットCPU
に比べ製造単価の安い8ビットCPUを用いたときに、
加速度のAD変換に伴う量子化誤差が長区間積分値にそ
れまでの4倍となって堆積することがあっても、量子化
誤差の堆積はすべて長区間積分値を増大させる方向にの
み作用するため、例えば加速度が正負に振れながら速度
変化量が緩慢な推移を示すポール衝突が発生したような
場合でも、正負に振れる加速度データの量子化誤差が長
区間積分値のしきい値判別に対しエアバッグを展開させ
ない側に作用することはなく、これにより長区間積分値
が衝突判定に最も寄与するポール衝突に対しても確実に
エアバッグを展開させることができ、さらにまた車両が
追突事故を受けて負の加速度が検出され、これが絶対値
とをとるときに極性反転される結果、恰も正面衝突が発
生したかのごとく長区間積分値を増大させるに至ったに
しても、正負に振れる加速度をそのまま積分することで
得られる短区間積分値が所定の短区間積分しきい値に満
たないため、結局は衝突判定を下すまでには至らず、こ
れにより加速度の絶対値を長区間積分にかけたことで追
突時にエアバッグを誤って展開させてしまう不都合を排
除することができる等の優れた効果を奏する。
【0026】また、本発明は、加速度センサの出力から
車両の衝突時に顕著に現れる特定の帯域成分を抽出し、
該抽出された帯域成分の絶対値をとって衝撃力を演算す
る衝撃力演算手段を設けるとともに、判定回路が、衝撃
力演算手段の出力が所定の衝撃力しきい値を越え、かつ
前記短区間積分器の出力が所定の短区間積分しきい値を
越えるときにも衝突判定を下す構成としたから、速度変
化量について短期と長期の速度変化量の両面から総合的
に衝突判定するだけでなく、車両が衝突したときに乗員
に危害が及ぶ塑性衝突について、車両の前部を無数のば
ね体が複合された塑性ばねと見なすことで、衝突により
車両が停止に至る過程で加速度信号の基本1/4正弦波
に重畳する各種の振動波形のなかから、衝突時に顕著な
特定の帯域成分を抽出することにより、速度変化量を追
跡しただけでは分からない衝撃力を検出し、悪路走行や
縁石乗り上げ等に伴う衝撃等と区別して、安全装置の作
動を必要とする衝突であることを判定することができる
等の効果を奏する。
【0027】さらにまた、本発明は、短区間積分器の出
力を時間微分する微分器を設けるとともに、判定回路
が、微分器の出力が所定の短区間積分値微分しきい値を
越え、かつ前記短区間積分器の出力が所定の短区間積分
しきい値を越えるときにも衝突判定を下す構成としたか
ら、特に短区間積分を行う区間の両端で比較した加速度
データに顕著な変化が見られる中速の正面衝突時等に、
エアバッグの展開を必要とする衝突が発生したことを、
正確かつ確実に判定することができる等の優れた効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両の衝突判定装置の一実施例を示す
回路構成図である。
【図2】追突発生時の加速度センサの出力の時間変化を
示す図である。
【図3】本発明の車両の衝突判定装置の他の実施例を示
す回路構成図である。
【図4】従来の車両の衝突判定装置の一例を示す回路構
成図である。
【図5】図4に示した車両の衝突判定装置の衝突判定条
件を示す図である。
【符号の説明】
21 車両の衝突判定装置 21a ディジタル信号処理部 22 加速度センサ 24 短区間積分器 25 絶対値回路 31,33 比較器 41 判定回路 37 長区間積分器 44 アンドゲート回路

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に加わる加速度を検出し、該加速度
    を現在値まで比較的短い区間だけ積分する一方、前記加
    速度の絶対値を現在値まで比較的長い区間に亙って積分
    し、前記短区間積分出力が所定の短区間積分しきい値を
    越え、かつ前記長区間積分出力が所定の長区間積分しき
    い値を越えるときに衝突判定を下すことを特徴とする車
    両の衝突判定方法。
  2. 【請求項2】 車両に加わる加速度を検出する加速度セ
    ンサと、該加速度センサの出力を現在値まで比較的短い
    区間だけ積分する短区間積分器と、前記加速度センサの
    出力の絶対値をとる絶対値回路と、該絶対値回路の出力
    を現在値まで比較的長い区間に亙って積分する長区間積
    分器と、前記短区間積分器の出力が所定の短区間積分し
    きい値を越え、かつ前記長区間積分出力が所定の長区間
    積分しきい値を越えるときに長区間絶対値積分判定に基
    づく衝突判定を下す判定回路とを具備することを特徴と
    する車両の衝突判定装置。
  3. 【請求項3】 車両に加わる加速度を検出する加速度セ
    ンサと、該加速度センサの出力を現在値まで比較的短い
    区間だけ積分する短区間積分器と、前記加速度センサの
    出力の絶対値をとる絶対値回路と、該絶対値回路の出力
    を現在値まで比較的長い区間に亙って積分する長区間積
    分器と、前記加速度センサの出力から車両の衝突時に顕
    著に現れる特定の帯域成分を抽出し、該抽出された帯域
    成分の絶対値をとって衝撃力を演算する衝撃力演算手段
    と、前記短区間積分器の出力が所定の短区間積分しきい
    値を越え且つ前記長区間積分出力が所定の長区間積分し
    きい値を越えるとき、又は、前記衝撃力演算手段の出力
    が所定の衝撃力しきい値を越えつ前記短区間積分器の
    出力が所定の短区間積分しきい値を越えるときに衝突判
    定を下す判定回路とを具備することを特徴とする車両の
    衝突判定装置。
  4. 【請求項4】 車両に加わる加速度を検出する加速度セ
    ンサと、該加速度センサの出力を現在値まで比較的短い
    区間だけ積分する短区間積分器と、前記加速度センサの
    出力の絶対値をとる絶対値回路と、該絶対値回路の出力
    を現在値まで比較的長い区間に亙って積分する長区間積
    分器と、前記短区間積分器の出力を時間微分する微分器
    と、前記短区間積分器の出力が所定の短区間積分しきい
    値を越え且つ前記長区間積分出力が所定の長区間積分し
    きい値を越えるとき、又は、前記微分器の出力が所定の
    短区間積分値微分しきい値を越えつ前記短区間積分器
    の出力が所定の短区間積分しきい値を越えるときに衝
    判定を下す判定回路とを具備することを特徴とする車
    の衝突判定装置。
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