JP3314651B2 - 車両の側面衝突判定方法及び側面衝突判定装置 - Google Patents

車両の側面衝突判定方法及び側面衝突判定装置

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JP3314651B2 JP03675297A JP3675297A JP3314651B2 JP 3314651 B2 JP3314651 B2 JP 3314651B2 JP 03675297 A JP03675297 A JP 03675297A JP 3675297 A JP3675297 A JP 3675297A JP 3314651 B2 JP3314651 B2 JP 3314651B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の側面衝突時に乗
員を保護する保護装置を作動させるための車両の側面衝
突判定方法及び側面衝突判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エアバッグ装置やプリテンショナ装置と
いった乗員保護装置は、車両の衝突により乗員に及ぶ傷
害を減らすのに役立っており、想定される種々の衝突局
面に対応できるよう、様々な新機能の付加努力がなされ
ており、追加した機能を統合的に作動させるためのシス
テムの導入が急がれている。例えばエアバッグの場合、
従来から行われてきた前面衝突時の衝撃から乗員を保護
するフロンタルエアバッグに加え、側面衝突時の衝撃か
ら乗員を保護するサイドエアバッグの導入が急がれてい
る。
【0003】サイドエアバッグ・システムは、先行実施
されてきたフロンタルエアバッグ・システムとシステム
構成上の若干の違いはあるが、その基本動作は殆ど同じ
である。サイドエアバッグ・システムの場合、ドアパネ
ルやシート側面などにサイドエアバッグが埋め込んであ
り、側面衝突により車両が一定限度を越える側面方向の
衝撃を受けた時に接点を閉じる衝撃センサが展開信号を
発し、スクイブと呼ばれる起爆素子に動作電流を通電し
て、エアバッグを展開させる構成とされており、展開し
たエアバッグがドアパネルと乗員との間に介在して緩衝
機能を果たすようになっている。
【0004】しかしながら、エアバッグの展開が必要と
される展開時間を支配する要因は、サイドエアバッグと
フロンタルエアバッグとでは異なる点も多く、乗員正面
方向に比べ、側面方向は車内空間が狭く、また前面衝突
の場合、衝突時に乗員と車内構造物との空間を狭める要
因が、主に慣性力による乗員の移動であるのに対し、側
面衝突の場合は、慣性力による乗員の移動とともに車両
側面構造物の車内への侵入が加わるといった理由から、
フロンタルエアバッグに比べてサイドエアバッグの方は
衝突後短時間での展開が必要とされ、高速衝突時には数
msという極短時間での衝突判定が必要とされる。そこ
で、こうした要求に応え、側面衝突の判定を高速に行う
ため、例えば車両側面構造物内に機械的に接点を閉じる
圧縮スイッチを設置し、側面衝突の判定を行うなどの試
みが従来からなされてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】側面衝突判定を高速化
するため車両側面構造物内に機械的に接点を閉じる圧縮
スイッチを配設して衝突判定を行う試みは、圧縮スイッ
チ位置以外の箇所への衝突時に、乗員に傷害が及ぶ場合
でも衝突判定がなされないことがあり、また圧縮スイッ
チ位置への衝突の場合、乗員に傷害が及ばない軽衝突で
も誤作動してしまうおそれがあった。このため、前面衝
突判定と同様に側面衝突判定にも、加速度センサにより
検出された加速度信号に基づく衝突判定法が試された。
しかし、衝突判定に有効な演算値である前記加速度信号
を一定区間積分して得られる速度変化量は、加速度セン
サを車両の中央部に設置した場合、加速度信号は車両の
並進運動に起因するため、衝突場所に比較的依存しない
安定した演算値として得られるものの、車両の並進運動
が衝突から遅れて起こるため、車両中央部での加速度信
号の検出が遅れ、その結果必要とされる判定時間内に得
られる情報量が不足しがちであり、判定が遅れるという
課題があった。一方また、車両側面部に加速度センサを
設置した場合、衝突後瞬時に起こる車両変形に起因する
加速度信号が検出できるため、判定時間内に得られる情
報量は増えるものの、加速度センサの設置箇所の変形の
大小に速度変化量の大きさが左右されるため、加速度セ
ンサから離れた場所への衝突には、乗員に傷害が及ぶ場
合であっても必要とされる判定時間内の判定が難しくな
る等の課題があった。
【0006】また、例えば特開平7−2049号「対物
車両側面衝突時の乗員拘束装置及び乗員拘束方法」に
は、乗員拘束装置として図4に示したエアバッグ装置1
が開示されている。このエアバッグ装置1は、乗員に隣
接させて車両ドア2内にエアバッグ3を配設するととも
に、車両ドア2の内側パネル2aに加速度センサ4を取
り付け、その加速度信号出力から側方速度を測定するコ
ントローラ5が、側方速度が予め設定したしきい値を越
える場合に、エアバッグ3に対し展開指令を発する構成
とされている。
【0007】しかしながら、上記エアバッグ装置1は、
加速度と関数関係にある値すなわち加速度及び加速度積
分値が所定時間内に所定値を越える場合にエアバッグ3
を展開するといった単純な衝突判定方法を採用するもの
であり、例えば加速度しきい値が120Gを越えた時点
から15msが経過した時点での加速度積分値がしきい
値304.8cm/sを越える場合に衝突判定を下すと
いった単純な衝突判定アルゴリズムに頼るものであっ
た。このため、エアバッグの展開を必要とする多様な衝
突形態に対し、判定性能を維持するのが容易でない等の
課題があった。
【0008】本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされ
たものであり、乗員に傷害が及ぶ側面衝突時に衝突場所
に依存せずに検出される比較的高周波の加速度振動に着
目し、車両側面部に設置した加速度センサにより側面衝
突に伴って発生する加速度を検出し、この加速度の衝突
振動を定常状態(0G)から衝突により励起された波と
してとらえ、波の振動エネルギをパラメータとして衝突
の激しさを判定することにより、車両の側面衝突時に乗
員に傷害の及ぶ衝突について、高速かつ高精度の衝突判
定を行うことを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の車両の側面衝突判定装置は、加速度センサ
により側面衝突に伴って発生する加速度を検出し、該加
速度の時間微分値の絶対値を、該加速度の区間積分値か
ら求めた速度変化量が所定のしきい値を越える場合のみ
区間積分し、衝突による速度変化を伴う条件下での車両
側面に加わる振動エネルギを求め、該振動エネルギをし
きい値判別して衝突判定を下すことを特徴とするもので
ある。 また、本発明の車両の側面衝突判定装置は、車両
側面に加わる加速度を検出する加速度センサと、該加速
度センサの出力の時間差分をとる差分器と、該差分器の
出力の絶対値をとる絶対値演算器と、該差分絶対値を区
間積分し、車両側面への振動エネルギを算出する振動エ
ネルギ算出用区間積分器と、該振動エネルギ算出用区間
積分器から出力される振動エネルギをしきい値判別して
衝突判定を下す判定手段とを具備することを特徴とする
ものである。
【0010】また、本発明の車両の側面衝突判定装置
は、車両側面に加わる加速度を検出する加速度センサ
と、該加速度センサ出力の時間差分をとる差分器と、該
差分器の出力の絶対値をとる絶対値演算器と、前記加速
度センサの出力を区間積分して速度変化量を算出する速
度変化量算出用区間積分器と、該速度変化量算出用区間
積分器の出力が所定のしきい値を越える場合にアクティ
ブ信号を出力する比較器と、該比較器がアクティブ信号
が出力していることを条件に前記絶対値演算器の出力を
通過させるゲート手段と、該ゲート手段の出力を区間積
分し、車両側面への振動エネルギを算出する振動エネル
ギ算出用区間積分器と、該振動エネルギ算出用区間積分
器から出力される振動エネルギをしきい値判別して衝突
判定を下す判定手段とを具備することを特徴とするもの
である。
【0011】さらにまた、本発明の車両の側面衝突判定
装置は、車両側面に加わる加速度を検出する加速度セン
サと、該加速度センサ出力の時間差分をとる差分器と、
該差分器の出力の絶対値をとる絶対値演算器と、前記の
加速度センサの出力が所定の上限枠と下限枠の間を逸脱
する場合に、所定時間持続するワンショットパルスを出
力する時限動作手段と、該時限動作手段がワンショット
パルスを出力していることを条件に前記絶対値演算器の
出力を通過させるゲート手段と、該ゲート手段の出力を
区間積分し、大振幅の加速度の振動エネルギを算出する
振動エネルギ算出用区間積分器と、該振動エネルギ算出
用区間積分器から出力される振動エネルギをしきい値判
別して衝突判定を下す判定手段とを具備することを特徴
とするものである。加えて、本発明の車両の側面衝突判
定装置は、衝突に伴って発生する加速度を検出する加速
度センサと、前記加速度に基づき加速度データを生成す
る加速度データ変換手段と、前記加速度データに基づき
速度変化量を算出する速度変化量算出手段と、前記速度
変化量が基準値よりも大きい期間に、前記速度変化量に
応じて前記加速度データの時間微分値の絶対値を演算す
ることにより、衝突面に加わる振動エネルギを算出する
振動エネルギ算出手段と、前記振動エネルギ算出手段に
よって得られた値をしきい値判別して衝突判定を行う衝
突判定手段とを具備することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図1ないし図3を参照して説明する。図1は、本発明の
車両の側面衝突判定装置の一実施形態を示す回路構成
図、図2は、図1に示した判定回路によって演算される
振動エネルギに基づく衝突判定を説明するための図であ
る。
【0013】図1に示す車両の衝突判定装置11は、加
速度センサ12を中心とする加速度信号検出系と、振動
エネルギを演算する振動エネルギ演算ブロック20と、
振動エネルギの演算に条件を課す条件判断ブロック30
と、振動エネルギをしきい値判別して展開信号を生成す
る比較器16等から構成してある。加速度信号検出系
は、加速度センサ12とアンチエイリアシングフィルタ
13と開閉スイッチ14とAD変換器15の縦列接続回
路からなる。
【0014】加速度センサ12には、半導体上に応力歪
みゲージを形成した半導体加速度センサが用いられ、例
えば応力を受けて歪んだ時に半導体のピエゾ抵抗が変化
することを利用する応力歪みゲージを、車両の側面方向
と平行に受圧面を向けて組み込んだもの等が用いられ
る。加速度センサ12の取り付け箇所は、車両側面部の
乗員に近い場所であればどこでもよいが、多様な衝突形
態において側面衝突による衝撃が比較的一様に伝達する
ような車両側面の広範囲を覆う構造物に取り付けるのが
好ましい。一例として、ドアの場合であれば、フロント
ドア・インナーパネル中央部とかドアビームなどに取り
付けるとよく、またBピラーの場合は、Bピラーの中央
部或いは下部が適しており、さらにサイドシルの場合
は、Bピラーの付け根からフロントドア中央部に相当す
る領域が好ましい。
【0015】加速度センサ12に接続されたアンチエイ
リアシングフィルタ13は、折り返し歪みの影響を排除
するためのフィルタであり、加速度信号を離散値データ
に変換する前に所定帯域をもって帯域制限する。開閉ス
イッチ14は、衝突時に発生する比較的高周波の加速度
振動を検出できる周期、例えば0.1〜0.5ms程度
の短い周期のサンプリングクロックに従って開閉動作を
行う。AD変換器15は、開閉スイッチ14によりサン
プリングされた加速度信号を所定の量子化ビットをもっ
てディジタルデータG(k)に変換する。AD変換器1
5には、振動エネルギ演算ブロック20と条件判断ブロ
ック30が並列接続されており、加速度データG(k)
は振動エネルギ演算ブロック20と条件判断ブロック3
0とに供給される。
【0016】振動エネルギ演算ブロック20は、差分器
21と絶対値演算器22と乗算器23と区間積分器24
とを縦列接続して構成してある。差分器21は、AD変
換器15から送り込まれた加速度データG(k)を差分
演算する。このため、離散値化され入力された加速度デ
ータG(k)と1サンプリングクロック前に入力された
加速度データG(k−1)との差分が、 dG(k)=G(k)−G(K−1) として得られる。絶対値演算器22は、差分器21の差
分出力dG(k)を絶対値演算する。すなわち、 ΔE=|dG(k)|=|G(k)−G(k−1)| である。乗算器23は、絶対値演算器22の出力ΔEに
後述する条件判断ブロック30内の比較器32の出力を
乗算する。区間積分器24は、乗算器23の出力ΔE’
(k)を予め定められた積分区間t2〜t1に亙って区
間積分し、速度変化を伴う加速度の振動エネルギE
(k)を求める。すなわち、 を得る。なお、積分区間t2〜t1は、5〜30ms程
度が好ましく、また異なる区間のものを複数用いること
も可能である。
【0017】条件判断ブロック30は、区間積分器31
と比較器32の縦列接続回路からなる。区間積分器31
は、AD変換器15から送り込まれた加速度データG
(k)を、サンプリングクロックに合わせて所定区間加
算する。この区間積分により得られる速度変化量ΔV
(k)は、 である。積分区間t3〜t1は、例えば5〜30ms程
度の短区間〜長区間に決められており、新しい加速度信
号が入力するつど過去の信号は捨てられる。比較器32
は、速度変化量算出用区間積分器31から得られた速度
変化量ΔV(k)を、予め決めたしきい値Th2を基準
にしきい値判別する。すなわち、 ΔV(k)≧Th2 なる関係を満たすか否かの比較演算を行い、この関係式
を満たす場合は、アクティブ信号“1”を出力し、そう
でない場合は、ノンアクティブ信号“0”を出力する。
【0018】ところで、条件判断ブロック30から得ら
れる“1”,“0”の二値信号を供給された乗算器23
は、アクティブ信号“1”が供給されているときにだけ
絶対値演算器22の出力に1を乗算し、後段の振動エネ
ルギ算出用区間積分器24に送り出す。従って、乗算器
23の出力ΔE’(k)は、予め決めた速度変化量を伴
う場合にだけ絶対値演算器22の出力ΔE(k)から抽
出されることになる。乗算器23の出力を区間積分器2
4において区間積分して得られる値は、加速度G(k)
の差分(時間微分値)の絶対値の区間積分値であり、こ
うして得られた物理量E(k)は、振動エネルギを表す
量であり、加速度信号の振幅と角速度に応じて大きくな
る。従って、予め決めた速度変化量を伴う条件下で演算
した速度変化を伴う加速度の振動エネルギE(k)は、
比較器32のしきい値Th2を側面衝突に顕著に現れる
速度変化量に設定することで、車両が縁石に乗り上げた
ときなどに検出される非衝突時の加速度振動による振動
エネルギと衝突時の加速度振動による振動エネルギとを
明確に区別する物理量となる。
【0019】図2に示す振動エネルギの演算結果から明
らかなように、衝突による速度変化を伴う条件での加速
度の振動エネルギは、衝突規模に応じた振幅特性をもつ
ことが判る。このため、振動エネルギ演算ブロック20
に接続した比較器16において、適当なしきい値Th1
を基準に振動エネルギをしきい判別することにより、高
精度の衝突判定が可能であり、高速側面衝突について
は、5ms前後で衝突判定を下すことができ、また中速
側面衝突についても、10msを僅かに越える時点で衝
突判定を下すことができる。これは、衝突後短時間での
衝突判定が必要とされる高速衝突時では、衝突後数ms
で急速に振動エネルギが増加するため、しきい値TH1
によって高速に衝突判定を行うことができるからであ
り、同様にまた衝突後10〜40ms程度の衝突判定が
必要とされる中速側面衝突についても、衝突後に次第に
振動エネルギが増すため、同じ手法により的確な衝突判
定を下すことができるからである。
【0020】このように、上記車両の側面衝突判定装置
11によれば、加速度センサ12により側面衝突に伴っ
て発生する加速度を検出し、車両側面に加わる振動エネ
ルギを加速度に基づいて演算し、振動エネルギをしきい
値判別して衝突判定を下すようにしたから、側面衝突の
初期段階から衝突場所に依存せずに検出される比較的高
周波数の加速度の振動に着目し、この加速度の振動を衝
突により定常状態(0G)から励起された波としてとら
え、波の振動エネルギをしきい値判別して衝突判定を行
うため、5〜10msといった極短時間での展開が必要
とされる高速側面衝突時にも、乗員の慣性移動が殆ど生
じていない衝突初期の段階での衝突判定が可能であり、
また10〜40ms程度での展開が要求される中速側面
衝突時でも衝突場所に依存せずに的確な衝突判定が可能
であり、さらに前記振動エネルギは一定時間内の加速度
振動の振動エネルギの総量を演算するため、強ドア閉め
等の乱用や小質量物体の衝突等の単発的な振動と、衝突
時の連続的な振動を明確に区別でき、これによりエアバ
ッグの展開が必要とされる多様な衝突形態に対し的確な
衝突判定を下すことができる。
【0021】また、振動エネルギを前記加速度の時間微
分値の絶対値の区間積分値として演算し、二乗演算を用
いることなく、波の振幅と角振動数に応じて大きくなる
量で代用したので、ディジタル信号処理に要求される処
理能力負担が大幅に軽減されることになる。
【0022】なお、前記実施形態では、振動エネルギが
予め決めた速度変化量を伴う場合について衝突判定を下
すようにしたが、本発明は、前記実施例に限定されるも
のではなく、様々な設計変更が可能である。例えば、図
3に示す車両の側面衝突経過装置51のごとく、前記条
件判断ブロック30とは構成が異なる条件判断ブロック
40を用いることもできる。本実施形態では、条件判断
ブロック40を、比較器41とフリップフロップ42と
ワンショットタイマ43の縦列接続回路で構成してあ
り、初段の比較器41は加速度センサ12の出力が上限
しきい値Th4と下限しきい値Th5に挟まれた所定の
帯域を逸脱するか否か比較判定する。加速度データG
(k)が所定帯域を逸脱する場合は、比較器41の出力
により次段のフリップフロップ42がセットされる。さ
らに、フリップフロップ42のセットとともに出力され
るQ出力によりワンショットタイマ43が時限動作し、
セット時点から所定時間持続するワンショットパルスが
しきい判別信号として出力される。ワンショットタイマ
43が出力するワンショットパルスは、前記アクティブ
信号と同様、乗算器23に送り込まれ、ワンショットパ
ルスがハイレベルである期間にだけ絶対値演算器22の
出力に1が乗算され、後段の振動エネルギ算出用区間積
分器24に送り出される。すなわち、乗算器23の出力
ΔE’(k)は、衝突時に検出される大振幅の加速度信
号について、その後の一定時間に亙って積分されて振動
エネルギの算出に供される。この場合、衝突判定を下す
衝突領域と衝突判定を下さない非衝突領域とが、振動エ
ネルギのしきい判別基準を与えるしきい値Th3の設定
一つで区別されるため、車種や加速度センサ12の配設
位置によって衝突領域と非衝突領域の線引きが異なろう
とも、しきい値Th3を置き換えるだけで対応すること
ができ、これにより安全で確実な衝突判定が可能であ
る。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、加速度
センサにより側面衝突に伴って発生する加速度を検出
し、車両側面に加わる振動エネルギを前記加速度に基づ
いて演算し、該振動エネルギをしきい値判別して衝突判
定を下すようにしたから、側面衝突の初期段階から検出
される比較的高周波数の加速度の振動に着目し、この加
速度の振動を衝突により定常状態(0G)から励起され
た波としてとらえ、波の振動エネルギをしきい値判別し
て衝突判定を行うため、5〜10msといった極短時間
での展開が必要とされる高速側面衝突時にも、乗員の慣
性移動が殆ど生じていない衝突初期の段階での衝突判定
が可能であり、また10〜40ms程度での展開が必要
とされる中速側面衝突時でも衝突場所に依存せずに的確
な衝突判定が可能であり、さらに前記振動エネルギは一
定時間内の加速度振動の振動エネルギの総量を演算する
ため、強ドア閉め等の乱用や小質量物体の衝突等の単発
的な振動と、衝突時の連続的な振動を明確に区別でき、
これによりエアバッグの展開を必要とする多様な衝突形
態に対し的確な衝突判定を下すことができる等の優れた
効果を奏する。
【0024】また、本発明は、振動エネルギを前記加速
度の時間微分値の絶対値の区間積分値して求めるように
したから、二乗演算を用いることなく、波の振幅と角振
動数に応じて大きくなる量で代用し、ディジタル信号処
理に要求される処理能力負担を大幅に軽減することがで
きる等の効果を奏する。
【0025】さらにまた、振動エネルギを、前記加速度
の時間微分値の絶対値を、前記加速度の区間積分値から
求めた速度変化量が所定のしきい値を越える場合のみ区
間積分し、衝突による速度変化を伴う条件下での振動エ
ネルギとして求めるようにしたから、加速度の時間微分
値の絶対値として求めた衝撃力を、速度変化量が所定の
しきい値を越える場合にだけ区間積分することで、速度
変化勾配が急激に増大する高速側面衝突のように、衝突
発生後の顕著な特徴を捕らえて衝突判定を下すことがで
き、しかも衝突判定は簡単な物理量によるしきい値でよ
いため、安全で確実な衝突判定が可能である等の優れた
効果を奏する。
【0026】さらに、振動エネルギを、加速度の時間微
分値の絶対値を、所定の領域を越える振幅の加速度を検
出したときから一定時間に亙って区間積分し、大振幅の
加速度の振動エネルギとして求めるようにしたから、衝
突判定を下す衝突領域と衝突判定を下さない非衝突領域
とが、振動エネルギのしきい判別基準を与えるしきい値
の設定一つで区別されるため、車種や加速度センサの配
設位置によって衝突領域と非衝突領域の線引きが異なろ
うとも、しきい値を置き換えるだけで対応することがで
き、安全で確実な衝突判定が可能である等の優れた効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両の側面衝突判定装置の一実施形態
を示す回路構成図である。
【図2】図1に示した判定回路によって演算される振動
エネルギに基づく衝突判定を説明するための図である。
【図3】本発明の車両の側面衝突判定装置の一変形例を
示す回路構成図である。
【図4】従来の車両の側面衝突判定装置の一例を示す概
略構成図である。
【符号の説明】
11 車両の側面衝突判定装置 12 加速度センサ 13 アンチエイリアシングフィルタ 15 AD変換器 16 比較器 20 振動エネルギ演算ブロック 21 差分器 22 絶対値演算器 23 乗算器 24 振動エネルギ算出用区間積分器 30 条件判断ブロック 31 速度変化量算出用区間積分器 32 比較器 40 条件判断ブロック 41 比較器 42 フリップフロップ 43 ワンショットタイマ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−107116(JP,A) 特開 平5−147496(JP,A) 特開 平5−85300(JP,A) 特開 平8−40189(JP,A) 特表 平9−501627(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01P 15/00 - 15/18 B60R 21/32

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加速度センサにより側面衝突に伴って
    発生する加速度を検出し、該加速度の時間微分値の絶対
    値を、該加速度の区間積分値から求めた速度変化量が所
    定のしきい値を越える場合のみ区間積分し、衝突による
    速度変化を伴う条件下での車両側面に加わる振動エネル
    ギを求め、該振動エネルギをしきい値判別して衝突判定
    を下すことを特徴とする車両の側面衝突判定方法。
  2. 【請求項2】 車両側面に加わる加速度を検出する加速
    度センサと、該加速度センサの出力の時間差分をとる差
    分器と、該差分器の出力の絶対値をとる絶対値演算器
    と、前記加速度センサの出力を区間積分して速度変化量
    を算出する速度変化量算出用区間積分器と、該速度変化
    量算出用区間積分器の出力が所定のしきい値を越える場
    合にアクティブ信号を出力する比較器と、該比較器がア
    クティブ信号が出力していることを条件に前記絶対値演
    算器の出力を通過させるゲート手段と、該ゲート手段の
    出力を区間積分し、車両側面への振動エネルギを算出す
    る振動エネルギ算出用区間積分器と、該振動エネルギ算
    出用区間積分器から出力される振動エネルギをしきい値
    判別して衝突判定を下す判定手段とを具備することを特
    徴とする車両の側面衝突判定装置。
  3. 【請求項3】 衝突に伴って発生する加速度を検出する
    加速度センサと、前記加速度に基づき加速度データを生
    成する加速度データ変換手段と、前記加速度データに基
    づき速度変化量を算出する速度変化量算出手段と、前記
    速度変化量に応じて前記加速度データの時間微分値の絶
    対値を演算することにより、衝突面に加わる振動エネル
    ギを算出する振動エネルギ算出手段と、前記振動エネル
    ギ算出手段によって得られた値をしきい値判別して衝突
    判定を行う衝突判定手段とを具備することを特徴とする
    車両の側面衝突判定装置。
  4. 【請求項4】 前記振動エネルギ算出手段は、前記速度
    変化量が基準値よりも大きい期間に振動エネルギを算出
    することを特徴とする請求項3記載の車両の側面衝突判
    定装置。
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