JP3304344B2 - クラフトパルプ収率の算定方法 - Google Patents
クラフトパルプ収率の算定方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バッチ式蒸解釜或いは
連続式蒸解釜におけるパルプ収率を算定する方法に関す
る。
連続式蒸解釜におけるパルプ収率を算定する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】化学パルプは、原材料となる木材をチッ
プ状にしたものに薬品を混合し、高圧、高温の条件下で
蒸解することによって生産される。化学パルプ中クラフ
トパルプは、アルカリと硫黄化合物を使って木材中に存
在するリグニンの90%以上を溶解除去し、その後に漂
白処理を行うことで白色度、強度ともに高い紙を得るこ
とができる。しかし、リグニンの溶解除去のために、木
材チップを160℃以上の高温下で数時間処理するの
で、この段階でセルロースやヘミセルロースのような木
材中の他の成分にも損傷を与え、クラフトパルプの収率
を低下させることになる。このために、クラフトパルプ
製造工程は常に改善が研究されているが、その改善効果
を確認する上で、収率を知ることは極めて重要である。
プ状にしたものに薬品を混合し、高圧、高温の条件下で
蒸解することによって生産される。化学パルプ中クラフ
トパルプは、アルカリと硫黄化合物を使って木材中に存
在するリグニンの90%以上を溶解除去し、その後に漂
白処理を行うことで白色度、強度ともに高い紙を得るこ
とができる。しかし、リグニンの溶解除去のために、木
材チップを160℃以上の高温下で数時間処理するの
で、この段階でセルロースやヘミセルロースのような木
材中の他の成分にも損傷を与え、クラフトパルプの収率
を低下させることになる。このために、クラフトパルプ
製造工程は常に改善が研究されているが、その改善効果
を確認する上で、収率を知ることは極めて重要である。
【0003】従来、実操業の蒸解釜におけるパルプ収率
は、主として次の2つの方法により算出されている。第
1の方法は、実験室レベルで予備蒸解試験により得られ
たパルプのカッパー価とパルプ収率との相関式から推定
する方法である。第2の方法は実操業のデータを用いる
ものであり、チップメーターからチップの使用量を測定
し、またパルプスラリーの濃度及び流量から生産された
パルプ量を計算することで、チップ量とパルプ量からパ
ルプ収率を算定するものである。
は、主として次の2つの方法により算出されている。第
1の方法は、実験室レベルで予備蒸解試験により得られ
たパルプのカッパー価とパルプ収率との相関式から推定
する方法である。第2の方法は実操業のデータを用いる
ものであり、チップメーターからチップの使用量を測定
し、またパルプスラリーの濃度及び流量から生産された
パルプ量を計算することで、チップ量とパルプ量からパ
ルプ収率を算定するものである。
【0004】この他に、黒液の全有機炭素を測定し、予
め実験室で求めておいた検量線からパルプ収率を求める
方法や、黒液を紫外線分光法、赤外線分光法或いはガス
クロマトフィー法によって分析し、収率を求める方法が
提案されている。
め実験室で求めておいた検量線からパルプ収率を求める
方法や、黒液を紫外線分光法、赤外線分光法或いはガス
クロマトフィー法によって分析し、収率を求める方法が
提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の方法の
うち、実験室レベルでの黒液からの算定方法について
は、工場規模での実操業におけるパルプ収率を正確に把
握することができない。また、実操業の蒸解から算定す
る方法については、原材料チップ量と生産パルプ量とを
工場規模で正確に測定することは困難であるし、原料チ
ップの含水率のばらつきを排除することができないの
で、データの客観性に乏しいことが指摘される。さら
に、現在の日本のクラフト蒸解で主流の連続式蒸解釜で
は、蒸解薬液量とチップの仕込み量が常時変動し、溶解
している有機物濃度も大きく変化するので、黒液の全有
機炭素を測定するのみではパルプ収率を正確に測定する
ことができない。黒液を紫外線分光法、赤外線分光法或
いはガスクロマトフィー法によって分析する方法につい
ても同様である。
うち、実験室レベルでの黒液からの算定方法について
は、工場規模での実操業におけるパルプ収率を正確に把
握することができない。また、実操業の蒸解から算定す
る方法については、原材料チップ量と生産パルプ量とを
工場規模で正確に測定することは困難であるし、原料チ
ップの含水率のばらつきを排除することができないの
で、データの客観性に乏しいことが指摘される。さら
に、現在の日本のクラフト蒸解で主流の連続式蒸解釜で
は、蒸解薬液量とチップの仕込み量が常時変動し、溶解
している有機物濃度も大きく変化するので、黒液の全有
機炭素を測定するのみではパルプ収率を正確に測定する
ことができない。黒液を紫外線分光法、赤外線分光法或
いはガスクロマトフィー法によって分析する方法につい
ても同様である。
【0006】本発明は、上記した従来法の欠点を解消
し、連続式蒸解釜のように液のバランスが変化する場合
にも適応でき、簡便で正確なパルプ収率の算定方法を提
供するものである。
し、連続式蒸解釜のように液のバランスが変化する場合
にも適応でき、簡便で正確なパルプ収率の算定方法を提
供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来法に
おける黒液の全有機炭素を測定する方法が有機物の絶対
量とパルプ収率との関係に注目したために、連続式蒸解
の収率には適用できなかったことから、黒液全体の有機
物とそのうちの炭水化物由来の有機物とにおける全有機
炭素量(TOC)の比に注目した。即ち、請求項1に記
載のパルプ収率の算定方法は、予め、任意に選択された
n回のクラフトパルプ製造工程の各々について、クラフ
トパルプ蒸解黒液中に溶解する全有機物の量に対する、
前記クラフトパルプ蒸解黒液から沈殿可能なリグニンを
除去した後の処理済み黒液中に溶解する有機物(炭水化
物)の量の比Rn(但し、nは3以上の任意の整数を示
す。以下同じ。)を算出すると共に、一方で、このクラ
フトパルプについて蒸解に用いたチップ重量と得られた
パルプ重量との関係からパルプ収率Ynを算出して、前
記比Rnとパルプ収率Ynとの相関を求めておき、実操
業におけるパルプ収率の算定に際しては、前記した相関
に基いて、パルプ収率を測定すべきクラフトパルプ蒸解
黒液について算出された比Rからそのパルプ収率Yを算
定することを特徴とする。
おける黒液の全有機炭素を測定する方法が有機物の絶対
量とパルプ収率との関係に注目したために、連続式蒸解
の収率には適用できなかったことから、黒液全体の有機
物とそのうちの炭水化物由来の有機物とにおける全有機
炭素量(TOC)の比に注目した。即ち、請求項1に記
載のパルプ収率の算定方法は、予め、任意に選択された
n回のクラフトパルプ製造工程の各々について、クラフ
トパルプ蒸解黒液中に溶解する全有機物の量に対する、
前記クラフトパルプ蒸解黒液から沈殿可能なリグニンを
除去した後の処理済み黒液中に溶解する有機物(炭水化
物)の量の比Rn(但し、nは3以上の任意の整数を示
す。以下同じ。)を算出すると共に、一方で、このクラ
フトパルプについて蒸解に用いたチップ重量と得られた
パルプ重量との関係からパルプ収率Ynを算出して、前
記比Rnとパルプ収率Ynとの相関を求めておき、実操
業におけるパルプ収率の算定に際しては、前記した相関
に基いて、パルプ収率を測定すべきクラフトパルプ蒸解
黒液について算出された比Rからそのパルプ収率Yを算
定することを特徴とする。
【0008】しかしながら、上記請求項1の算定方法に
おける比Rnと収率Ynとの相関は、酸性処理によって
も除去されずに溶液中に残存するリグニンの量が蒸解法
の種類によって異なるために、蒸解法の種類の違いを超
えて適用することはできないことが判明した。そこで、
請求項2に記載の算定方法は、請求項1において沈殿可
能なリグニンを除去した後の処理済み黒液中に残存する
リグニン量を勘案して前記比Rnをリグニン沈殿率で補
正することを特徴とする。
おける比Rnと収率Ynとの相関は、酸性処理によって
も除去されずに溶液中に残存するリグニンの量が蒸解法
の種類によって異なるために、蒸解法の種類の違いを超
えて適用することはできないことが判明した。そこで、
請求項2に記載の算定方法は、請求項1において沈殿可
能なリグニンを除去した後の処理済み黒液中に残存する
リグニン量を勘案して前記比Rnをリグニン沈殿率で補
正することを特徴とする。
【0009】更に、請求項3に記載の算定方法は、上記
請求項1又は2に記載の発明において、比Rnを全有機
炭素量(TOC)の比によって算出することを特徴とす
る。
請求項1又は2に記載の発明において、比Rnを全有機
炭素量(TOC)の比によって算出することを特徴とす
る。
【0010】本発明における具体的な方法を説明すれ
ば、予めクラフトパルプ蒸解黒液を適当な濃度に稀釈し
てその全有機炭素量(TOC)を測定しA1 とする。次
にその黒液を硫酸によりpH1に調整し、生じた沈殿を
遠心分離によって除去する。得られた上澄み液のTOC
を測定しB1とする。この両者の比R1 (B1 /A1 )
とこの蒸解におけるパルプ収率Y1 との関係は、溶液量
の変動による濃度の変化を受けることがない。従って、
実験室レベルにおいて、アルカリ量を変えてカッパー価
の異なる複数のクラフトパルプ蒸解を繰返し、その各々
における比Rnとパルプ収率Ynとを得ることで、両者
の相関を表す検量線を求めることができる。
ば、予めクラフトパルプ蒸解黒液を適当な濃度に稀釈し
てその全有機炭素量(TOC)を測定しA1 とする。次
にその黒液を硫酸によりpH1に調整し、生じた沈殿を
遠心分離によって除去する。得られた上澄み液のTOC
を測定しB1とする。この両者の比R1 (B1 /A1 )
とこの蒸解におけるパルプ収率Y1 との関係は、溶液量
の変動による濃度の変化を受けることがない。従って、
実験室レベルにおいて、アルカリ量を変えてカッパー価
の異なる複数のクラフトパルプ蒸解を繰返し、その各々
における比Rnとパルプ収率Ynとを得ることで、両者
の相関を表す検量線を求めることができる。
【0011】また、比Rnの補正に際しては、沈殿可能
なリグニンを除去した後の処理済み黒液中のリグニン量
を紫外線吸光度法によって定量して、処理済み黒液中の
TOC量からリグニ由来のTOC分を差引くことで炭水
化物由来の純粋なTOC分を求めることができる。
なリグニンを除去した後の処理済み黒液中のリグニン量
を紫外線吸光度法によって定量して、処理済み黒液中の
TOC量からリグニ由来のTOC分を差引くことで炭水
化物由来の純粋なTOC分を求めることができる。
【0012】
【作用】本発明は、クラフトパルプ蒸解黒液中に溶解す
る全有機物の量に対する、そのうちの炭水化物の量に注
目し、(炭水化物の量/全有機物の量)を比Rとして用
いるものである。黒液中には、有機物として炭水化物と
リグニンとが溶解しているが、黒液中の炭水化物の量比
が増すことはパルプ収率の低下を意味する。前記の比R
は黒液中での相対値であるので、絶対的な黒液成分濃度
の変動及びチップ含水率によっても影響されることがな
く、パルプ収率を反映する有効なパラメータとなる。
る全有機物の量に対する、そのうちの炭水化物の量に注
目し、(炭水化物の量/全有機物の量)を比Rとして用
いるものである。黒液中には、有機物として炭水化物と
リグニンとが溶解しているが、黒液中の炭水化物の量比
が増すことはパルプ収率の低下を意味する。前記の比R
は黒液中での相対値であるので、絶対的な黒液成分濃度
の変動及びチップ含水率によっても影響されることがな
く、パルプ収率を反映する有効なパラメータとなる。
【0013】また、比Rをリグニン沈殿割合で補正する
ことによって、酸性処理によって沈殿しないリグニンの
量を、前記比R(炭水化物の量/全有機物の量)中の炭
水化物の量から除外し、本来の意味での炭水化物の量に
補正することができる。
ことによって、酸性処理によって沈殿しないリグニンの
量を、前記比R(炭水化物の量/全有機物の量)中の炭
水化物の量から除外し、本来の意味での炭水化物の量に
補正することができる。
【0014】更に、前記の比Rを全有機炭素量(TO
C)の比とすることで、簡便に比を算出することができ
る。
C)の比とすることで、簡便に比を算出することができ
る。
【0015】
【実施例】以下に、実施例に基いて本発明を説明する。
【0016】先ず、針葉樹チップ700gを硫化度29
%の白液で活性アルカリ14〜20%に添加し、Hファ
クター1989で実験用バッチ式蒸解釜で蒸解した。キ
ノン誘導体の添加効果を調べるために、チップに対して
0.05%のキノン誘導体(川崎化成(株)製、商品
名:SAQ)を添加した蒸解も行った。得られたパルプ
は良く洗浄してその重さを測り、使用したチップの重量
で除して収率を求めた。
%の白液で活性アルカリ14〜20%に添加し、Hファ
クター1989で実験用バッチ式蒸解釜で蒸解した。キ
ノン誘導体の添加効果を調べるために、チップに対して
0.05%のキノン誘導体(川崎化成(株)製、商品
名:SAQ)を添加した蒸解も行った。得られたパルプ
は良く洗浄してその重さを測り、使用したチップの重量
で除して収率を求めた。
【0017】一方、蒸解釜から採取した黒液を稀釈して
TOC測定機に掛けてTOCを測定した。また、黒液を
稀釈後硫酸を加えてpH1に調整し、遠心分離器によっ
て沈殿と上澄みとに分離し、この上澄みのTOCを測定
した。後者のTOCを前者のTOCで除して比Rを求め
た。
TOC測定機に掛けてTOCを測定した。また、黒液を
稀釈後硫酸を加えてpH1に調整し、遠心分離器によっ
て沈殿と上澄みとに分離し、この上澄みのTOCを測定
した。後者のTOCを前者のTOCで除して比Rを求め
た。
【0018】各々の蒸解に際して、添加したアルカリ量
の違いによって異なるカッパー価(リグニン量)のパル
プが得られたので、その各々について、比Rと収率との
関係を図1に示した。キノン誘導体を添加した蒸解と無
添加の蒸解の各々について、相関を良く表す直線が得ら
れた。この相関に基いて、実操業から得られる黒液につ
いて、比Rを求めその収率を算定したところ、操業実績
を良く反映していた。
の違いによって異なるカッパー価(リグニン量)のパル
プが得られたので、その各々について、比Rと収率との
関係を図1に示した。キノン誘導体を添加した蒸解と無
添加の蒸解の各々について、相関を良く表す直線が得ら
れた。この相関に基いて、実操業から得られる黒液につ
いて、比Rを求めその収率を算定したところ、操業実績
を良く反映していた。
【0019】次に、図1で得られた比Rと収率との相関
はキノン誘導体の添加又は無添加の蒸解法の違いによっ
て直線が異なることから、相関の関係式の統一を試み
た。先ず、紫外線吸光度法によって前記の分離された黒
液の上澄みに残ったリグニン率を測定しリグニン沈殿率
を求めたところ、キノン誘導体添加では76.6%、無
添加では76%であった。これを用いて、比Rを補正し
て比R´を求めたところ、図2に示すような統一された
直線が得られ、関係式;収率=78.78−99.73
R´が求められた。なお、相関係数は0.95であっ
た。
はキノン誘導体の添加又は無添加の蒸解法の違いによっ
て直線が異なることから、相関の関係式の統一を試み
た。先ず、紫外線吸光度法によって前記の分離された黒
液の上澄みに残ったリグニン率を測定しリグニン沈殿率
を求めたところ、キノン誘導体添加では76.6%、無
添加では76%であった。これを用いて、比Rを補正し
て比R´を求めたところ、図2に示すような統一された
直線が得られ、関係式;収率=78.78−99.73
R´が求められた。なお、相関係数は0.95であっ
た。
【0020】工場で採取した3種類の蒸解法各々の黒液
からリグニンの沈殿率を求めたところ、次の通りであっ
た。
からリグニンの沈殿率を求めたところ、次の通りであっ
た。
【0021】 キノン誘導体無添加の通常蒸解法 77.9% キノン誘導体無添加の改良脱リグニン蒸解法 78.6% キノン誘導体添加の改良脱リグニン蒸解法 79.9% なお、改良脱リグニン蒸解法とは、アルカリを分割して
添加することを特徴とする蒸解法である。
添加することを特徴とする蒸解法である。
【0022】この沈殿率を用いて、別に算出した各々の
黒液における比Rを補正して、比R´を求め、上記収率
の関係式に代入することで、各々の蒸解法におけるパル
プ収率が算出された。求められた収率とカッパー価のグ
ラフよりカッパー価が目標値28の時の収率を求めれる
と次の通りであり、蒸解法の種類を問わず、パルプ収率
を求めることができる。
黒液における比Rを補正して、比R´を求め、上記収率
の関係式に代入することで、各々の蒸解法におけるパル
プ収率が算出された。求められた収率とカッパー価のグ
ラフよりカッパー価が目標値28の時の収率を求めれる
と次の通りであり、蒸解法の種類を問わず、パルプ収率
を求めることができる。
【0023】 キノン誘導体無添加の通常蒸解法 46.0% キノン誘導体無添加の改良脱リグニン蒸解法 47.7% キノン誘導体添加の改良脱リグニン蒸解法 48.8%
【0024】
【発明の効果】本発明におけるパルプ収率算定方法によ
れば、実操業におけるクラフトパルプ蒸解における黒液
を分析することによって、迅速かつ正確にその蒸解にお
けるパルプ収率を算定することができる。しかも、蒸解
法に影響されないパルプ収率を求める場合には、黒液の
分析と同時に補正のためのリグニンの沈殿割合を求めれ
ば良い。このように、本発明の方法によれば、実験室で
の再現が困難なために正確なパルプ収率が算定できなか
った改良脱リグニン蒸解法についても、容易にパルプ収
率を算定することができる。
れば、実操業におけるクラフトパルプ蒸解における黒液
を分析することによって、迅速かつ正確にその蒸解にお
けるパルプ収率を算定することができる。しかも、蒸解
法に影響されないパルプ収率を求める場合には、黒液の
分析と同時に補正のためのリグニンの沈殿割合を求めれ
ば良い。このように、本発明の方法によれば、実験室で
の再現が困難なために正確なパルプ収率が算定できなか
った改良脱リグニン蒸解法についても、容易にパルプ収
率を算定することができる。
【図1】 実施例における比Rと収率との関係を示す
図。
図。
【図2】 実施例における比R´と収率との関係を示す
図。
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−119791(JP,A) 特開 昭47−702(JP,A) 特開 昭57−49860(JP,A) 特開 昭61−239092(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21C 1/00 - 11/14 JICSTファイル(JOIS)
Claims (4)
- 【請求項1】 予め、任意に選択されたn回のクラフト
パルプ製造工程の各々について、クラフトパルプ蒸解黒
液中に溶解する全有機物の量に対する、前記クラフトパ
ルプ蒸解黒液から沈殿可能なリグニンを除去した後の処
理済み黒液中に溶解する有機物の量の比Rnを算出する
と共に、このクラフトパルプについて蒸解に用いたチッ
プ重量と得られたパルプ重量との関係からパルプ収率Y
nを算出して、前記比Rnとパルプ収率Ynとの相関を
求め、この相関に基いて、パルプ収率を測定すべきクラ
フトパルプ蒸解黒液について算出された比Rからそのパ
ルプ収率Yを算定することを特徴とするクラフトパルプ
収率の算定方法。但し、nは、3以上の任意の整数を示
す。 - 【請求項2】 予め、任意に選択されたn回のクラフト
パルプ製造工程の各々について、クラフトパルプ蒸解黒
液中に溶解する全有機物の量に対する、前記クラフトパ
ルプ蒸解黒液から沈殿可能なリグニンを除去した後の処
理済み黒液中に溶解する有機物の量の比Rnを算出し、
この比Rnを前記沈殿処理におけるリグニン沈殿割合で
補正して、クラフトパルプ蒸解黒液中に溶解する全有機
物の量に対する、そのうちの炭水化物の量を示す比R´
nを算出すると共に、このクラフトパルプについて蒸解
に用いたチップ重量と得られたパルプ重量との関係から
パルプ収率Ynを算出して、前記比R´nとパルプ収率
Ynとの相関を求め、この相関に基いて、パルプ収率を
測定すべきクラフトパルプ蒸解黒液について算出された
比R´からそのパルプ収率Yを算定することを特徴とす
るクラフトパルプ収率の算定方法。但し、nは、3以上
の任意の整数を示す。 - 【請求項3】 前記比Rnを、全有機炭素量(TOC)
の比として算出することを特徴とする請求項1又は2に
記載のクラフトパルプ収率の算定方法。 - 【請求項4】 前記のクラフトパルプ蒸解黒液から沈殿
可能なリグニンを除去する方法が、酸性処理後に遠心分
離する方法であることを特徴とする請求項1又は2に記
載のクラフトパルプ収率の算定方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27231994A JP3304344B2 (ja) | 1994-11-07 | 1994-11-07 | クラフトパルプ収率の算定方法 |
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JP27231994A JP3304344B2 (ja) | 1994-11-07 | 1994-11-07 | クラフトパルプ収率の算定方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH08134787A JPH08134787A (ja) | 1996-05-28 |
JP3304344B2 true JP3304344B2 (ja) | 2002-07-22 |
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DE10041077A1 (de) * | 2000-08-22 | 2002-03-21 | Siemens Ag | Verfahren zur Prozesskontrolle bei der Zellstoffherstellung |
CN105518212B (zh) * | 2013-09-11 | 2018-09-04 | 日本制纸株式会社 | 溶解牛皮纸浆的制造方法 |
-
1994
- 1994-11-07 JP JP27231994A patent/JP3304344B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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