JP3292867B2 - 癌の検出法 - Google Patents

癌の検出法

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JP3292867B2
JP3292867B2 JP2000308650A JP2000308650A JP3292867B2 JP 3292867 B2 JP3292867 B2 JP 3292867B2 JP 2000308650 A JP2000308650 A JP 2000308650A JP 2000308650 A JP2000308650 A JP 2000308650A JP 3292867 B2 JP3292867 B2 JP 3292867B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脳神経細胞の長期
生存に係わる蛋白質をコードするDNA及び該蛋白質に
対する抗体の、癌の検出における使用方法に関する。具
体的には、本発明は、ヒト由来ブラディオン(Brad
eion)蛋白質又はその類似体をコードするDNAお
よび該蛋白質又はその誘導体と免疫反応性である抗体
の、癌の検出における使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】脳神経細胞(ニューロン)は、高等生物
個体の生存を司る主要素子であり、生まれてからは一切
分裂せず、刻々脱落・壊死していくのみである。このニ
ューロンの脱落は、正常状態でも起こるが、遺伝病・脳
虚血やてんかん重積状態、低栄養・低酸素条件で非常に
加速させる。老化に伴う脳神経障害(ぼけ等)は、これ
らの集積による機能性ニューロンの絶対量の不足による
ものであり、この脱落状態のモニタリング、脱落制御、
ひいてはニューロンの機能再生が高齢化におけるもっと
も緊急な課題であると考えられる。
【0003】脳神経細胞は、発生過程における分化誘導
期を過ぎると、その後分裂せず、個体寿命が尽きるまで
その機能を維持したまま(あるいは緩やかな機能減退と
ともに)生存し、特異な分裂停止機構及び機能維持機構
が存在すると推測されるが、未だその機構解明に至って
いない。中枢神経系は、未解明の蛋白質・シグナル伝達
物質(刺激物質としても受容体としても)の宝庫であ
り、現在解明を待つ物質が大量に存在する。特に、脳と
特異的シグナル伝達に係わる刺激物質、その受容体が多
数存在し、その全貌は未だ明らかになっていない。
【0004】このように重要な脳神経細胞の生存制御因
子に対して、多数の研究が世界レベルで展開されたが、
未だその本体の物質的・分子的解明に至っておらず、解
析技法の開発から着手されなくてはならなかった。最
近、米国テキサス大学のハワードヒュージス財団認定医
学研究所の柳沢正史博士らのグループが、このような神
経ペプチドとその受容体を培養細胞を用いて無作為に探
査する技術開発に成功し、その例として視床下部の食欲
刺激中枢に直接結合・刺激する物質(オレキシン)の発
見とその受容体の機能解明に成功した(Cell,
,573−585(1998))。しかし、このよう
な系統だった物質探索の試みはまれであり、脳特異的シ
グナル伝達に係わる刺激物質、その受容体の解明につい
ては未だ十分に行われていないのが現状であった。この
ような状況にあって、本発明者は、改良型発現遺伝子
(cDNA)ライブラリーの構築、系統的スクリーニン
グ技術を開発し、それにより脳神経細胞特異的遺伝子の
抽出・選別に成功し、本発明を完成した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、脳神
経細胞の長期生存に関与するブラディオン蛋白質をコー
ドするDNA又は該蛋白質に対する抗体を癌の検出に使
用することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の性質: (1)膜蛋白質である、(2)Kyte−Doolit
tle法によるヒドロパシー分析により、膜貫通部分
(一回)も含めてインターロイキンレセプターに特徴的
な構造を有する、(3)ヒト成人脳に強度の発現が認め
られ、心臓において脳の10%以下の発現が認められ、そ
の他の臓器やヒト胎児には発現されない、(4)未分化
のヒト培養神経細胞に過剰発現させると、細胞死を誘導
する、(5)培養ヒト正常細胞に過剰発現させると、老
化・分裂停止を誘導する、(6)細胞死に至る過程で細
胞質に存在して細胞内凝集体を形成し、24時間以内でミ
トコンドリアに集積する、及び(7)ヒト大腸癌細胞株
及びヒト皮膚癌細胞株で特異的に発現されるを有するヒ
ト由来のブラディオン蛋白質又はその類似体に関する。
【0007】本発明の蛋白質には、配列表の配列番号2
又は4に示すアミノ酸配列からなり、それぞれαブラデ
ィオン、βブラディオンと称する蛋白質が包含される。
これらの蛋白質は転写過程での選択的スプライシングに
よる発現産物であると考えられる。上記の性質に加え
て、αブラディオンの場合、培養癌細胞にαブラディオ
ン又はその類似体をコードするDNAを遺伝子導入する
と細胞死を誘発するという性質を示すが、これに反して
βブラディオンの場合そのような細胞死は観察されな
い。
【0008】本明細書中「類似体」とは、ヒト由来ブラ
ディオンと実質的に同等の性質、特に上記性質中少なく
とも(1)、(2)、(3)、(6)、(7)の性質を
もつもの、或いは、配列番号2又は4に示すアミノ酸配
列において少なくとも1個のアミノ酸が欠失、置換若し
くは付加されたアミノ酸配列を有するものである。類似
体は、配列番号2又は4に示すアミノ酸配列と90%以
上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上
の相同性を有するのが望ましい。本発明の類似体には、
ヒト由来ブラディオン蛋白質のアミノ酸レベルでの改変
体もしくは変異体、ヒト以外の哺乳類由来の同等の性質
をもつブラディオンタンパク質が包含される。例えばマ
ウス脳では、ヒト由来の2種のタイプのうちβ型のみが
見出されたが、ヒト由来βブラディオンとの相同性は9
4%であった。本発明の類似体は、ヒトブラディオンの
生物学的活性を損なわない範囲で部位特異的変異誘発法
等の人工的改変法を用いてDNA組換え技術によって得
ることができ、糖鎖は含んでも含まなくてもよい。ま
た、ポリエチレングリコール等の水溶性ポリマーによっ
て化学的に修飾されていてもよい。本発明はまた、上記
に定義したブラディオン蛋白質又はその類似体をコード
する塩基配列を含むDNA又はその断片に関する。
【0009】そのようなDNA又はその断片の具体例と
して、配列番号1の129位から1943位までの塩基
配列からなるDNA(即ちヒトαブラディオンをコード
するDNA)又は該塩基配列の15個以上、好ましくは
20個以上、さらに好ましくは30個以上の連続するヌ
クレオチドからなる配列を有するDNA断片、或いは配
列番号1に示す全塩基配列からなるDNA、並びに、配
列番号3の129位から1562位までの塩基配列から
なるDNA(即ちヒトβブラディオンをコードするDN
A)又は該塩基配列の15個以上、好ましくは20個以
上、さらに好ましくは30個以上の連続するヌクレオチ
ドからなる配列を有するDNA断片、或いは配列番号3
に示す全塩基配列からなるDNAを挙げることができ
る。さらに、これらのDNAとストリンジェントな条件
下でハイブリダイズすることができるDNAも本発明に
包含されるものとする。ここでストリンジェントな条件
とは、配列番号1(129〜1943位)又は配列番号
3(129〜1562位)に示す塩基配列と90%以上
の相同性、好ましくは95%以上の相同性、より好まし
くは97%以上の相同性が配列間に存在するときのみハ
イブリダイゼーションが起こることを意味する。通常、
完全ハイブリッドの融解温度(Tm)より約5℃〜約3
0℃、好ましくは約10℃〜約25℃低い温度でハイブ
リダイゼーションが起こる場合をいう。ストリンジェン
トな条件については、J.Sambrookら,Mol
ecular Cloning,ALaborator
y Mannual,Second Edition,
Cold Spring Harbor Labora
tory Press(1989),特に11.45節“C
onditions for Hybridizati
on of Oligonucleotide Pro
bes”に記載されており、ここに記載の条件を使用し
得る。本発明のDNA又はその断片は、ブラディオン蛋
白質の発現用だけでなく、ハイブリダイゼーション用の
プローブとして、またPCR用のプライマーとしても使
用することができる。
【0010】本発明はさらに、ブラディオン蛋白質をコ
ードするDNAを含むベクターに関する。ベクターは、
該DNAが発現可能なように少なくともプロモーターを
含有しており、その他に複製開始点、エンハンサー、リ
ボソーム結合部位、転写終結因子(ターミネーター)、
選択マーカー、RNAスプライス部位、ポリアデニル化
シグナル等の要素を含むことができる。本発明はさらに
また、そのようなベクターで形質転換若しくはトランス
フェクションされた宿主細胞に関する。宿主細胞は原核
細胞又は真核細胞のいずれでもよいが、好ましくは真核
細胞、より好ましくは哺乳類細胞、特にヒト細胞株であ
る。
【0011】本発明はまた、上記定義のブラディオン蛋
白質又はその類似体と免疫反応性である抗体に関する。
抗体は、ブラディオン蛋白質又はその類似体と特異的に
免疫反応するものが好ましく、ポリクローナル又はモノ
クローナル抗体のいずれでもよい。
【0012】本発明はさらに、癌の検出における、上記
定義のDNAもしくはその断片又は上記定義の抗体の使
用に関する。具体的には、本発明は、癌の検出におけ
る、下記のDNAもしくはその断片、または抗体の使用
方法を提供する: (1)配列番号2もしくは配列番号4に示すアミノ酸配
列を有するヒト由来ブラディオン蛋白質をコードするD
NA、または15個以上の連続するヌクレオチドの配列か
らなるその断片、 (2)配列番号2または配列番号4に示すアミノ酸配列
において少なくとも1個のアミノ酸が欠失、置換もしく
は付加されたアミノ酸配列を有し且つ以下の性質: (a)膜蛋白質である、(b)Kyte−Doolitt
le法によるヒドロパシー分析により、膜貫通部分(一
回)も含めてインターロイキンレセプターに特徴的な構
造を有する、(c)ヒト成人脳に強度の発現が認めら
れ、心臓において脳の10%以下の発現が認められ、その
他の臓器やヒト胎児には発現されない、(d)未分化の
ヒト培養神経細胞に過剰発現させると、細胞死を誘導す
る、(e)培養ヒト正常細胞に過剰発現させると、老化
・分裂停止を誘導する、(f)細胞死に至る過程で細胞
質に存在して細胞内凝集体を形成し、24時間以内でミト
コンドリアに集積する、及び(g)ヒト大腸癌細胞株又
は皮膚癌細胞株で特異的に発現される、を有するDNA
組換え技術により得ることができるヒト由来ブラディオ
ン蛋白質類似体をコードするDNA、または15個以上の
連続するヌクレオチドの配列からなるその断片、
【0013】(3) 配列番号1に示す129位〜19
43位の塩基配列からなるDNAもしくはそれとストリ
ンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA、また
は15個以上の連続するヌクレオチドの配列からなるそ
れらの断片、 (4) 配列番号3に示す129位〜1562位の塩基
配列からなるDNAもしくはそれとストリンジェントな
条件下でハイブリダイズするDNA、または15個以上
の連続するヌクレオチドの配列からなるそれらの断片、
【0014】(5)寄託微生物FERM BP-6922中に含まれ
るブラディオンをコードするDNA、または15個以上の
連続するヌクレオチドの配列からなるその断片、あるい
は、 (6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のDNAまた
はその断片によってコードされるヒト由来ブラディオン
蛋白質、その類似体、またはそれらの断片に対する抗
体。ここで、癌は好ましくは、ヒト大腸癌またはヒト皮
膚癌である。また、検出はハイブリダイゼーション又は
イムノアッセイによって行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のブラディオン蛋白質をコ
ードするcDNAは、以下のような方法によって得るこ
とができる。まず、脳組織をグアニジンイソチオシアネ
ートを含んだフェノール又はフェノール−クロロフォル
ム溶液でホモジナイズし、高速遠心により水層と有機層
に分離した後、水層に含まれる全RNAをイソプロパノ
ールに加え沈殿させて回収するか、或いはショ糖もしく
はセシウムクロライド密度勾配遠心法により回収する。
この全RNAをオリゴ(dT)セルロースクロマトグラ
フィーにかけてmRNA(即ち、poly(A)RNA)を精製
する。
【0016】次に、mRNAから逆転写酵素の存在下に
cDNAを合成し、ファージ若しくはプラスミドベクタ
ーに連結可能なように適当な制限酵素部位を作り、これ
を同様の制限酵素部位をもつファージ若しくはプラスミ
ドベクターに連結し、このようにして得られたベクター
で大腸菌を形質転換又はトランスフェクションしてcD
NAライブラリーを作製する。
【0017】クローン化cDNAライブラリーには、目
的のDNA以外に種々の異なった情報をもったDNA断
片が挿入されているため、目的のDNAを選抜する必要
がある。選抜方法として、例えばプラークハイブリダイ
ゼーション、コロニーハイブリダイゼーション等の方法
を用いることができる。この方法によれば、寒天上に形
成されたプラーク(ファージベクターの場合)又はコロ
ニー(プラスミドベクターの場合)をニトロセルロース
膜若しくはナイロン膜に転写し、アルカリ溶液で処理し
た後、これに目的のDNAとハイブリダイズ可能な放射
性(32P)若しくは蛍光標識DNAプローブを添加し結
合させ、X線フィルム上で感光することにより、目的の
DNAを含有するプラーク又はクローンを検出し回収す
る。或いは、得られたクローン群を、イソプロピル−1
−チオ−β−D−ガラクトシド(IPTGという)等の
誘導物質により蛋白質を強制発現させ、これをナイロン
膜若しくはセルロース膜に転写し、目的蛋白質に対する
特異抗体を用いて免疫学的に対応クローンを選抜するこ
とも可能である。
【0018】プローブに対して陽性反応を示したプラー
ク又はクローンから回収した目的のcDNAについて、
マキサム・ギルバート(Maxiam−Gilber
t)法又はサンガー・クールソン(Sanger−Co
ulson)法により配列決定する。クローニング法お
よび配列決定については、例えばSambrookら,
Molecular Cloning(上掲)、Aus
ubelら,CurrentProtocols in
Molecular Biology,Green
Publishing Company Assoc.
and JohnWiley Interscien
ce,NY,1992等に記載される方法を参照するこ
とができる。
【0019】具体的には、後述の実施例に記載するよう
に、ヒト成人脳のcDNAライブラリーを構築し、その
陽性クローンから本発明のブラディオン蛋白質をコード
するcDNAを取得した。配列分析の結果、選択的スプ
ライシングによるものと推定される2種のα型、β型の
ブラディオン遺伝子が見出された。これらの塩基配列を
それぞれ配列番号1及び配列番号3に示したが、コーデ
ィング領域はそれぞれ129位〜1943位、129位
〜1562位であった。また、塩基配列から判明したα
型、β型のブラディオン蛋白質はそれぞれ配列番号2及
び配列番号4に示されるアミノ酸配列を有することがわ
かった。即ち、α型ブラディオンDNAは1815個の
ヌクレオチドからなり、605個のアミノ酸からなる蛋
白質をコードしている。また、β型ブラディオンDNA
は1434個のヌクレオチドからなり、478個のアミ
ノ酸からなる蛋白質をコードしている。但し、配列番号
2又は4に示されるアミノ酸配列中の1位のMetは欠
失していてもよい。これらの配列をジーンバンクで精査
したところ、α型、β型ともに新規の遺伝子及び蛋白質
であることが判明した。
【0020】α及びβブラディオン蛋白質は、Kyte
−Doolittle法(J.Mol.Biol.,
57(1):105−132,1982)によるヒドロ
パシー分析により、膜貫通部分(一回)も含めてインタ
ーロイキンレセプターに特徴的な構造を有することがわ
かった。すなわち、細胞内シグナル伝達機構に関わると
予想される膜貫通型受容体構造を有していることが示さ
れた。さらに、α型、β型という2種の発現様式があ
り、一方は多種生物にも恒存的であるところは、癌抑制
遺伝子p53/p73の関係に類似している。また、細
胞内凝集体形成は、トリプレットリピート遺伝子発現物
質によるヒト神経退行性変異に見られるものと極めて大
きな相同性を示す(Igarashiら,Nature
Genetics,111−117,1998;Ma
rtindaleら,NatureGenetics,
150−154,1998)ことから、この遺伝子正常
発現状態では発生・分化以降の脳神経細胞におけるヒト
特異的神経細胞分裂停止及び機能維持に大きく関わって
いると考えられる。
【0021】本発明のヒト由来ブラディオン蛋白質又は
その類似体は例えば以下のように遺伝子組換え技術を利
用して得ることができる。配列番号1又は3に示される
塩基配列或いは配列番号2又は4に示されるアミノ酸配
列に基いて、遺伝暗号の縮重を考慮しつつ、任意の連続
する15以上、好ましくは約20〜約50個の塩基から
なるハイブリダイゼーションプローブを作製し、これを
用いてヒト又はヒト以外の哺乳類の脳組織に由来するゲ
ノムDNAライブラリー又はcDNAライブラリーか
ら、ブラディオン蛋白質をコードするDNAをスクリー
ニングすることができる。ライブラリーは、例えばλZA
PII、pBluescript(登録商標)クローニングベクター
(Stratagene Cloning Systems)などの商業的に入手可
能なベクターを用いて作製することが可能である。プラ
ークハイブリダイゼーション又はコロニーハイブリダイ
ゼーションによって目的のDNAを含むプラーク又はク
ローンを選択する。
【0022】或いは、配列番号1の129〜1943位
又は配列番号3の129〜1562位に示される塩基配
列に基いてそれに相補的な通常15〜100ヌクレオチ
ドの連続するDNA配列をプライマーとして作製し、こ
れを用いてヒト又は他の哺乳類の脳組織に由来するゲノ
ムDNAライブラリー又はcDNAライブラリーについ
てポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行なって目的のD
NAを特異的に増幅することができる。PCRは例え
ば、変性94℃,1分;アニーリング57℃,2分;伸長
70℃,3分を1サイクルとして20サイクル以上、好
ましくは30サイクル以上の条件を使用できる。PCR
については例えば、蛋白核酸酵素「PCR法最前線−基
礎技術から応用まで−」第4巻,第5号,1996年4月号増
刊,共立出版に記載されている技術を利用できる。目的
のDNAをクローン化又は増幅した後、目的DNAを回
収し、これを入手可能な適当な発現ベクターに組込み、
さらに適当な宿主細胞に形質転換し、適当な培地中で培
養、発現させ、目的蛋白質を回収、精製することができ
る。
【0023】本発明の類似体には、ヒト由来ブラディオ
ンと実質的に同等の性質、特に上記性質中少なくとも
(1)、(2)、(3)、(6)、(7)の性質をもつ
ものか、或いは、配列番号2又は4に示されるアミノ酸
配列において1個以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは
付加されたアミノ酸配列を有するものが包含される。類
似体として、配列番号2又は4に示されるアミノ酸配列
と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは9
7%以上の相同性を有するものが望ましい。このこと
は、ヒトα又はβブラディオンと実質的に同等の生物学
的活性を有するのであれば、それらのアミノ酸配列に少
なくとも1個のアミノ酸の欠失、置換又は付加の改変が
あってもよいことを意味する。例えば部位特異的突然変
異/PCR法などの周知の技術(S.N.Hoら,Ge
ne 77,51(1989);西郷薫と佐野弓子共
訳,CURRENT PROTOCOLSコンパクト
版,分子生物学実験プロトコールI,1997年6月,
丸善)を用いることによって、遺伝子工学的に配列番号
2又は4に示されるアミノ酸配列中に変異を導入するこ
とも可能である。置換の例としては、疎水性アミノ酸
(Ala、Val、Leu、Ile等)間の置換、Se
r及びThr間の置換、Asp及びGlu間の置換、A
sn及びGln間の置換、Lys及びArg間の置換、
Phe及びTyr間の置換が挙げられる。付加の例とし
ては、細菌性宿主での発現産物で認められる成熟蛋白の
N末端へのMetの付加、成熟型蛋白に誘導し易くする
ためのN末端へのHisタグやMet−Lys若しくは
Met−Arg配列の付加などが挙げられる。また、生
物学的活性の喪失に導かない範囲で、ブラディオン蛋白
質のカルボキシル末端又はアミノ末端側の幾つかのアミ
ノ酸残基をトランケートすることも可能である。
【0024】さらに、遺伝子組換え技術によってブラデ
ィオン蛋白質又はその類似体をコードするDNAを発現
する際に、宿主細胞として細菌等の原核細胞を用いると
きには糖鎖のない蛋白質が生成され、一方、菌類、酵
母、昆虫細胞、植物細胞、哺乳類細胞などの真核細胞中
で発現された場合の生成物は糖鎖をもつものが得られる
可能性がある。糖鎖導入は、DNA組換え技術、PCR法など
により配列上に任意にN結合型糖鎖部位(Asn−Xa
a−Thr/Ser、ここでXaaはPro以外の任意
のアミノ酸である)を導入することによっても可能であ
る。いずれにせよ、得られる類似体はヒトブラディオン
と実質的に同等の生物学的活性をもつべきである。
【0025】本発明のヒトブラディオン蛋白質又はその
類似体は、そのN末端のアミノ基又はリシンのε−アミ
ノ基にポリエチレングリコール(PEG)等の水溶性ポ
リマーを化学的に結合させることができる。PEG化は
生体への投与時に抗原性又は免疫原性を低減又は抑制さ
せることが知られている。本発明はさらに、上記DNA
を含む発現ベクター、及びこのベクターを用いて形質転
換又はトランスフェクションされた宿主細胞を提供す
る。
【0026】本発明のベクターは、プラスミド、ファー
ジ、ウイルス等の形態であり得る。例えば、細菌プラス
ミド(pBR322、pKC30、pCFM536な
ど)、ファージDNA(ラムダファージなど)、酵母プ
ラスミド(pG−1など)、哺乳類細胞用のベクターと
してのバキュロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ
ウイルス等のウイルスDNA、SV40とその誘導体な
ど、宿主細胞において複製可能である限り他のいかなる
ベクターも用いることができる。ベクターは複製開始
点、選択マーカー、プロモーターを含み、必要に応じて
エンハンサー、転写終結配列(ターミネーター)、リボ
ソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル等を含んでい
てもよい。
【0027】複製開始点として、大腸菌ベクターに対し
て、例えばColE1、R因子、F因子由来のものが、
酵母用ベクターに対して、例えば2μm DNA、AR
S1由来のものが、哺乳類細胞用ベクターに対して、例
えばSV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイル
ス由来のものを用いることができる。プロモーターは本
発明のDNAをコードするmRNAの合成を指令するた
めの調節配列であり、その代表的な例は、アデノウイル
ス又はSV40プロモーター、大腸菌lac又はtrp
プロモーター、ファージラムダPLプロモーター、酵母
用としてのADH、PHO5、GPD、PGK、AOX
1プロモーター、蚕細胞用としての核多角体病ウイルス
由来プロモーターである。
【0028】選択マーカーは、形質転換宿主細胞を選択
するための表現型を宿主に付与するための遺伝子であ
り、その例として、大腸菌用ベクターには、カナマイシ
ン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、テトラサイク
リン耐性遺伝子等を、酵母用ベクターには、Leu2、
Trp1、Ura3遺伝子等を、哺乳類細胞用ベクター
には、ネオマイシン耐性遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝
子、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子等を挙げることができ
る。
【0029】ベクターは商業的に入手可能なものを使用
することができるが、そのようなベクターには、例え
ば、細菌性のものではpQE70、pQE60、pQE
−9(Qiagen)、pBluescript II
KS、ptrc99a、pKK223−3、pDR5
40、pRIT2T(Pharmacia)、pET−
11a(Novagen);及び真核性のものではpX
T1、pSG5(Stratagene)、pSVK
3、pBPV、pMSG、pSVL SV40(Pha
rmacia)がある。
【0030】本発明のDNAは任意の手段でベクター中
に導入することができる。ベクターは、種々の制限部位
をその内部にもつポリリンカーを含んでいるか、又は単
一の制限部位を含んでいることが望ましい。ベクター中
の特定の制限部位を特定の制限エンドヌクレアーゼによ
って切断し、その切断部位に本発明のDNAを挿入す
る。本発明のDNA及び調節配列を含む発現ベクターを
適切な宿主細胞の形質転換又はトランスフェクションに
用いて宿主細胞に本発明のヒトブラディオン蛋白質又は
その類似体を発現、産生させることができる。
【0031】宿主細胞の例としては、細菌細胞、例えば
大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌など;真菌細胞、例
えばアスペルギルス属菌株など;酵母細胞、例えばパン
酵母、メタノール資化性酵母など;昆虫細胞、例えばド
ロソフィラS2,スポドプテラSf9など;ヒト培養細
胞を含む哺乳類細胞、例えばCHO、COS、BHK、
3T3,C127などが挙げられる。形質転換又はトラ
ンスフェクションは、塩化カルシウム/塩化ルビジウム
法、リン酸カルシウム法、DEAE-デキストラン介在
トランスフェクション、電気穿孔法などの公知の方法で
行うことができる。
【0032】本発明のヒト由来ブラディオン又はその類
似体は、上記のように形質転換又はトランスフェクトさ
れた宿主細胞をプロモーターの制御下において発現さ
せ、産生した目的蛋白質を回収する。発現に際しては、
宿主細胞を適切な細胞密度まで増殖又は成長させた後、
プロモーターを温度シフト又は化学的誘発(IPTG
等)手段によって誘発させ、細胞をさらに一定期間培養
する。目的の蛋白質が細胞外に分泌される場合には培地
から直接に、また、細胞内に存在する場合には物理的手
段(超音波破壊、機械的破壊)若しくは化学的手段(リ
ゾチームや細胞溶解剤)によって細胞を破壊した後に、
目的の蛋白質を精製する。例えば蛋白質は、組換え細胞
の培養培地又はその抽出液から、硫酸アンモニウム若し
くはエタノール沈殿、酸抽出、アニオン若しくはカチオ
ン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグ
ラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルろ
過クロマトグラフィー、HPLC、電気泳動、クロマト
フォーカシングなどの慣用の技術を組合わせて部分的に
又は完全に精製することができる。
【0033】本発明のDNAを種々のヒト細胞株及び癌
細胞株に遺伝子導入することによってブラディオン蛋白
質の機能を調べた結果、前述の知見に加えて、次のこと
が明らかになった。(1)本発明のDNAを、未分化の
ヒト培養神経細胞であるヒト培養神経細胞NT2neu
ron(Stratagene製)にSuperfec
t試薬(Qiagen製)を用いて遺伝子導入し、過剰
発現させると、18〜24時間以内に細胞死を誘導し
た。(2)同様の方法で培養ヒト正常細胞に過剰発現さ
せると、老化・分裂停止を誘導した。(3)培養癌細胞
への遺伝子導入はα型のみ細胞死を誘導し、β型では細
胞死が観察されなかった。(4)細胞死に至る過程でブ
ラディオン蛋白質は細胞質に存在して細胞内凝集体を形
成し24時間以内でミトコンドリアに集積した。さらにま
た、培養ヒト癌細胞を用いた研究により、ブラディオン
が大腸直腸癌細胞株及びメラノーマ(皮膚癌)細胞株へ
の特異的発現が検出され、脳神経系以外の組織において
も癌化に伴って特異的に機能発現していることが判明し
た。
【0034】以上の知見に基づいて、本発明のブラディ
オン蛋白質は、中枢の脳神経細胞における神経刺激伝達
を介した非分裂状態での生存を可能にしていると考えら
れる。これは、遺伝子の過剰発現において細胞寿命の停
止を指令し、また、α及びβ型の発現比率(正常脳神経
細胞において10:1)を維持することが重要と考えら
れる。この発現比率の変化(例えば1:1)により、癌
化を誘導することも示唆された。従って、ブラディオン
蛋白質は、脳神経細胞の発生・分化後の長期にわたる非
分裂状態のままの生存を決定づける細胞寿命制御・癌化
制御因子として働くと推定され、老化に伴う神経細胞の
脱落のモニタリング、脳虚血やてんかん重積状態で発生
する神経細胞壊死などの解明、中枢における神経細胞の
生存機構、脳の病態の理解に有用であるほか、遺伝病の
治療や新規医薬品の創製にも有用である。また、癌の遺
伝子診断および遺伝子治療への応用も可能である。
【0035】したがって、本発明の蛋白質もしくはその
断片、それらに対する抗体、又は本発明のDNAもしく
はその断片を、癌(例えばヒト大腸がんやヒト皮膚癌)
の検出もしくはは診断、或いは細胞寿命制御・癌化制御
のための治療に使用することできる。このような目的に
は、該蛋白質を単特異的に認識するポリクローナル又は
モノクローナル抗体が有用である。抗体、特にモノクロ
ーナル抗体は診断、ワクチン、ドラッグデリバリーシス
テムなどに使用できる。抗体の作製に関しては、例えば
松橋直ら,生物化学実験法15,免疫学実験入門(1982
年),学会出版センター;岩崎辰夫ら,単クローン抗体
−ハイブリドーマとELISA−(1987年),講談社サ
イエンティフィク等に記載される方法を使用できる。
【0036】ポリクローナル抗体は、本発明の蛋白質又
はその断片を抗原とし、その抗原液とFreundの完
全アジュバントとを混合して乳濁液を形成した後、ウサ
ギ、マウス、ヤギ、ウシ、ウマ等の哺乳動物の皮下に注
射し、約2週間後Freundの不完全アジュバントに
乳濁させた抗原液を動物に同様に注射し、必要によりブ
ーストし、採血することによって抗血清として得ること
ができる。さらに、抗血清を硫安塩析、DEAEセルロ
ースを用いるイオン交換クロマトグラフィーなどによっ
てIgGを得、本発明の蛋白質又はその断片をCNBr
活性化Sephadex若しくはSepharoseに
結合させたアフィニティクロマトグラフィーにIgG画
分をアプライし、免疫反応により結合した目的の抗体を
単特異的に精製することができる。
【0037】モノクローナル抗体は、上記と同様に調製
した抗原−アジュバント乳濁液をマウス(BALB/c
等)の腹腔内に注射しマウスを免疫し、脾臓を摘出し、
脾臓細胞を得た後、この細胞をミエローマ細胞(X6
3、NS−1等)とポリエチレングリコール(PEG4
000等)の存在下に融合させ、HAT培地で抗体産生
ハイブリドーマを選択し、クローニング法か又はマウス
腹腔内注射後の腹水から目的のモノクローナル抗体を得
ることができる。また、Tengら,Proc.Nat
l. Acad. Sci. USA(1983),
:7308−7312、Kozborら,Immun
ology Today(1983),(3):72
−79に記載されるような公知の技術を用いてヒト化モ
ノクローナル抗体を作製することも可能である。上記抗
体を癌などの診断に用いる場合の免疫学的方法として、
酵素免疫測定法、ラジオイムノアッセイ、蛍光抗体法な
どの慣用のイムノアッセイ法を使用できる。
【0038】さらに、本発明のDNA又はその断片をプ
ローブ又はプライマーとして使用する場合、配列番号1
(129〜1943位)又は配列番号3(129〜15
62位)に示される塩基配列中の任意の連続する15個
以上、好ましくは20個以上、さらに好ましくは30個
以上のヌクレオチドからなるプローブ又はプライマーを
自動DNA合成機を用いて作製し、アイソトープ、蛍光
物質等で標識後に診断用プローブ又はPCRプライマー
として使用することができる。ハイブリダイゼーション
を行なう場合の条件は、Sambrookら,Mole
cular Cloning(上掲)、F.M.Aus
ubelら,Short Protocols In
Molecular Biology,Third E
dition,John Wiley&Sonsに記載
される条件を使用できる。
【0039】
【実施例】本発明を以下の実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。 <実施例1>ヒトブラディオンをコードするcDNAの
クローニング及び配列決定 初めに、真核細胞での発現のためのCMVプロモーター
に接続できるプラスミドベクターpCMV SPORT
1(Life Technologies 社(米
国))を用いてヒト成人脳のcDNAライブラリーを構
築した。この時、成人脳は、米国の36歳のコーカサス
系白人女性からの検体であり、Life Techno
logies 社製のトリゾール試薬(商品名)にてm
RNA(poly(A) RNA)を抽出、メッセージ
メーカー試薬(Life Technologies
社)によりmRNA(poly(A) RNA)を精
製、スーパースクリプトプラスミドシステムにより二本
鎖cDNA合成・ライブラリー構築を開始した。
【0040】上記で調製したmRNA(poly(A)
RNA)の3’末端にNotIプライマーアダプター
を結合させた後、これを、逆転写酵素SuperScr
iptII及びT4DNAポリメラーゼを用い、定法に
従い2本鎖cDNAを合成・調製した。次いで、cDN
A鎖の5’末端にSalIアダプターを付加、3’末端
を制限酵素NotIで処理して、制限酵素による切断部
位Sal1−NotIを両端に持つcDNA断片とし
た。このcDNAをゲルろ過クロマトグラフィーにより
サイズ毎に分離し、1kb以上の大きさをもったcDN
Aを選択、分取した。得られたcDNA断片群を、同じ
くSal1−NotIで切断されたプラスミドベクター
pCMV SPORT1に挿入して、定法により環状プ
ラスミドを作製した。これを、大腸菌DH12S細胞
(Life Technologies社)にエレクト
ロポレーション法を用いて導入し、増殖させ、ライブラ
リーを構築した。
【0041】この大腸菌群を抗生物質アンピシリン添加
LB寒天培地上に増殖させてコロニーを形成した。この
コロニーの上に、10mM IPTGで処理したバイオ
ダインAナイロン膜(Pall社、米国)を密着させて
37℃で2時間静置、その後ナイロン膜を脳神経細胞を
特異的に認識する抗体CE5[Nature,296
34−38,(1982)]に反応させ、picoBl
ueTM Immunoscreening Kit
(STRATAGENE,米国)にて陽性クローンを選
別した。
【0042】得られた陽性クローンよりプラスミドDN
Aを採取し、それを32P標識プローブとしてヒト各臓
器特異的mRNA転写ナイロン膜(MTN blot、
Clontech社)にハイブリダイズさせ、脳特異的
かどうかを検定した。cDNAは、シークエンス解析に
より塩基配列を決定し、遺伝子バンクによる相同性をも
つ他の配列と比較検討し、全く新規配列と認められたも
ののみを目的に添うものとして遺伝子バンクに登録し
た。かくして決定されたαブラディオンcDNAの塩基
配列を配列表の配列番号1(ジーンバンク登録ナンバ
ー:AB002110)に示した。コーディング領域は
129〜1943位であった。また、この塩基配列に基
いて決定されたαブラディオンのアミノ酸配列を配列番
号2に示した。αブラディオンcDNAを含むDNA
は、平成10年7月14日に工業技術院生命工学工業技
術研究所(茨城県つくば市東1−1−3)にFERMP−1
6897として寄託された。
【0043】上記αブラディオンcDNAの配列を基
に、5’末端プライマー(下記)を合成し、関連遺伝子
の系統的探査を行った。そのために、Gene Tra
pper Positive Selection s
ystem (Life Technologies社
製) を用いて、合成オリゴヌクレオチドとマグネット
ビーズによる上記遺伝子ライブラリーのスクリーニング
を行った。用いたオリゴヌクレオチドの配列は、5’−
ctgagcaagttcgtgaaggatttc−
3’(配列番号5)及び5’−cagtcctctga
caaccagcagta−3’(配列番号6)であ
る。その結果βブラディオンと命名する遺伝子が検出さ
れ、その塩基配列を配列表の配列番号3(ジーンバンク
登録ナンバー:AB008753)に示した。コーディ
ング領域は129〜1562位であった。この塩基配列
に基いて決定されたβブラディオンのアミノ酸配列を配
列番号4に示した。
【0044】<実施例2> α及びβブラディオンの特
徴付け (1)ヒドロパシー分析 実施例1で決定されたα及びβブラディオン蛋白質のア
ミノ酸配列について、Kyte−Doolittle法
(Kyte,J.とDoolittle,R.F.
J.,J .Mol. Biol.(1982),15
(1):105−132)によるヒドロパシー分析を
行った。この分析法は蛋白質のアミノ酸配列からその高
次構造を推定する方法の1つであり、蛋白質中の疎水性
及び親水性部分の分布を知ることができ、これに基いて
立体構造の有無や膜貫通ドメインの存在を推定すること
が可能である。図1a、図1bには、分析結果を示して
いるが、同時にヒト由来のインタイーロイキン(IL)
2レセプター、IL3レセプター、IL4レセプター及
び成長ホルモンレセプターについての分析結果も比較の
ために示した。図から、成長ホルモン・サイトカインレ
セプター配列を有する蛋白質は、膜貫通部分(左から3
番目の枠(赤色で示す))である疎水基の集合部分(計
算式上プラスとして出る)及びその前部の細胞質外部分
(左から2番目の枠(青色で示す))、さらに後部の細
胞質内部分(左から4番目の枠(緑色で示す))に大別
されることがわかる。これらの構造は各レセプターに共
通であり、本発明のブラディオンも同様の構造を有する
ことが判明した。ただし、ブラディオンは、疎水基部分
であるシグナルペプチド(左から1番目の枠(黄色で示
す))を有していない。結果として、本発明のブラディ
オンは膜蛋白質であり、そのアミノ酸配列において膜貫
通部分(一回)も含めてインターロイキンレセプターに
特徴的な構造を有することがわかった。
【0045】(2)ブラディオン蛋白質の局在 ヒト各臓器特異的mRNA転写ナイロン膜(MTN b
lot、Clontech社)へのハイブリダイゼーシ
ョンにより、ヒト成人脳に強度の発現が認められ、他に
は心臓においてわずかな発現(脳の10%以下)が認め
られるのみであった。他の臓器、ヒト胎児には発現され
なかった。成人脳においては、上記α及びβタイプが発
現しており、その差は選択的スプライシングによって生
じたものと考えられた。マウス脳にも相同遺伝子配列が
存在するが、1種類のみであり、それはヒトの2種のタ
イプのうち、β型(94%の相同性)のみであった。
【0046】(3)α及びβブラディオン遺伝子の培養
細胞への導入実験 α及びβブラディオンDNAをそれぞれヒト培養神経細
胞NT2 neuron(STRATAGENE社)、
すなわち未分化のヒト培養神経細胞、にSuperfe
ct試薬(QIAGEN,米国)を用いて遺伝子導入
し、過剰発現させた。結果を図2a,b,cに示す。
【0047】図2のパネルaには、α(上段)及びβ
(下段)ブラディオン遺伝子の遺伝子導入後24時間の
標識像について、左にα(上段)及びβ(下段)ブラデ
ィオンの存在位置を、中にミトコンドリアの存在部位
を、右に左と中のダブルイメージを示した。像はすべて
共焦点レーザー顕微鏡によって観察された。その結果、
αブラディオンはミトコンドリアに一致した存在(赤色
+緑色で黄色く呈色する)を示し、βブラディオンでは
一致しないことがわかった。
【0048】さらに、αブラディオン遺伝子導入後、1
8〜24時間以内に細胞死が誘導されるが、死に至る過
程でαブラディオンは細胞内凝集体を形成し、ミトコン
ドリアに集積することが示された。パネルbには、遺伝
子導入後の表示の各時間における細胞像を示し、左がヒ
ト培養細胞NT2neuron(STRATAGENE
社)、右がヒト癌細胞HeLaである。その結果、どち
らの細胞系列においても、細胞質内凝集体の形成と細胞
死が認められた。この事実を確認するために、パネルb
の細胞を用いて電子顕微鏡観察を行ったところ、パネル
cに示されたように、プログラム細胞死(アポトーシ
ス)に特異的なアポトーシス小体の存在が確認された。
【0049】(4)α及びβブラディオン遺伝子と癌と
の相関 α及びβブラディオン遺伝子は、正常の組織では、脳及
びごく僅かに(脳の約10%)心臓でしか発現しないに
も拘らず、培養癌細胞での発現が認められた。結果を図
3a、3b、3cに示した。図3aには、異なる培養ヒ
ト癌細胞におけるα及びβブラディオン遺伝子の発現検
定をノーザンブロッティングにより行った結果を示し
た。レーン8(皮膚癌細胞株G361)及びレーン6
(大腸癌細胞株SW480)にのみ特異的発現反応(シ
グナル)が認められた。
【0050】そこで、ヒト患者検体(病理組織標本)を
用いて、発現の検定を検索したところ、図3bに示すと
おり、10検体の大腸癌(T1〜T10;Adとして記
載)、3検体の皮膚癌(T11〜T13;Muc、MM
として記載)において特異的発現が確認された。図3c
には、その遺伝子発現確認を組織染像として示した。上
記の結果は、α及びβブラディオン並びにそれらをコー
ドする遺伝子が大腸癌や皮膚癌等の癌の腫瘍マーカーと
して使用できることを示している。
【0051】
【発明の効果】本発明のブラディオン及びそれをコード
するDNAは、中枢の脳神経細胞における神経刺激伝達
を介した非分裂状態での生存を可能にしていると考えら
れる。これは、遺伝子の過剰発現において細胞寿命の停
止を指令し、また、生体内ではα及びβ型の発現比率
(正常脳神経細胞において10:1)が維持されている
と考えられる。この発現比率の変化(例えば1:1)に
より、癌化を誘導することも示唆される。従って、ブラ
ディオン及びそれをコードするDNAは、脳神経細胞の
発生・分化後の長期に渡る非分裂状態のままの生存を決
定づける、細胞寿命制御・癌化制御因子として働くと推
定され、老化に伴う神経細胞の脱落のモニタリング、脳
虚血やてんかん重積状態で発生する神経細胞壊死などの
解明、中枢における神経細胞の生存機構、脳の病態の理
解に有用である他、遺伝病の治療や新規医薬品の創製に
も有用である。また、癌の遺伝子診断および遺伝子治療
への応用も可能である。
【0052】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Agency of Industrial Science and Technology <120> Cancer detecting methods <130> <140> <141> <160> 6 <170> Windows 95 <210> 1 <211> 2274 <212> DNA <213> Homo sapiens <220> <221> mat peptide <222> (129)・・・(1943) <400> 1 gaaaggagca agccaggaag ccagacaaca acagcatcaa aacaaggctg tttctgtgtg 60 tgaggaactt tgcctgggag ataaaattag acctagagct ttctgacagg gagtctgaag 120 cgtgggacat ggaccgttca ctgggatggc aagggaattc tgtccctgag gacaggactg 180 aacctgggat caaccgtttc ctggaggaca ccacggatga tggagaactg agcaagttcg 240 tgaaggattt ctcaggaaat gcgagctgcc acccaccaga ggctaagacc tgggcatcca 300 ggccccaagt cccggagcca aggccccagg ccccggacct ctatgatgat gacctggagt 360 tcagaccccc ctcgcggccc cagtcctctg acaaccagca gtacttctgt gccccagccc 420 ctctcagccc atctgccagg ccccgcagcc catgggggga gcttgatccc tatgattcct 480 ctgaggtaga gcctccagcc ctgcctttgc ctttcagtgg gctgctgcag gaagaccggg 540 ggcagggagc aggaatgtgt gtgtgtgtgt gtgtgtgtgt gtgtgtgtgt gtgtttgtgt 600 gtgtgtgtat ctgggaccca tttcagtcct gtgtcagccc tagctccaaa atatctgccc 660 ccaagggcac tggaaatttg cagtttcagc aagggcagga ggcccagctg gtggcctcag 720 atgggaactc acagaagtct ggcactgctt ttttaaggct ggggcaaagg cctgaaaggg 780 agagaagatt ggcgctgggt gccggggccc ctttggctcc tcaccgtgat gcattctgcc 840 ttcctgtcta ctacgatgac aaggagtatg tgggctttgc aaccctcccc aaccaagtcc 900 accgaaagtc cgtgaagaaa ggctttgact ttaccctcat ggtggcagga gagtctggcc 960 tgggcaaatc cacacttgtc aatagcctct tcctcactga tctgtaccgg gaccggaaac 1020 ttcttggtgc tgaagaaagg atcatgcaaa ctgtggagat cactaagcat gcagtggaca 1080 tagaaaaaaa aggtgtgagg ctgcggctca ccattgtgga cacaccaagt tttggggatg 1140 cagtcaacaa cacagagtgt atgtctgact ggaagcctgt ggcagaatac attgatcagc 1200 agtttgagca gtatttccga gacgagagtg gcctgaaccg aaagaacatc caagacaaca 1260 gggtgcactg ctgcctgtac ttcatctcac ccttcggcca tgggctccgg ccattggatg 1320 ttgaattcat gaaggccctg catcagcggg tcaacatcgt gcctatcctg gctaaggcag 1380 acacactgac acctcccgaa gtggaccaca agaaacgcaa aatccgggag gagattgagc 1440 attttggaat caagatctat caattcccag actgtgactc tgatgaggat gaggacttca 1500 aattgcagga ccaagcccta aaggaaagca tcccatttgc agtaattggc agcaacactg 1560 tagtagaggc cagagggcgg cgagttcggg gtcgactcta cccctggggc atcgtggaag 1620 tggaaaaccc agggcactgc gactttgtga agctgaggac aatgctggta cgtacccaca 1680 tgcaggacct gaaggatgtg acacgggaga cacattatga gaactaccgg gcacagtgca 1740 tccagagcat gacccgcctg gtggtgaatg aacggaatcg caagtatgac cagaagccag 1800 gacaaagctg gcagggggag atcccaagcc tagccttggg tgagaccaag ccctactttt 1860 gttcttctat aggccctggg ctcaatctaa gcgggtgctg gggtcctcct cgccttatca 1920 acccttttct ccctttagca aactgactcg ggaaagtggt accgacttcc ccatccctgc 1980 tgtcccacca gggacagatc cagaaactga gaagcttatc ccagagaaag attaggagct 2040 gcggcggata cacgagatac tacaccaaat accaaaacag ataaaggaga actatttact 2100 ggctttcagc cctggatatt taaatctcct cctcttcttc ctgtccatgc cggcccctcc 2160 cagcaccagc tctgctcagg ccccttcagc tactgccact tcgccttaca tccctgctga 2220 ctgcccagag actcagagga aataaagttt aataaatctg taggtggctt ctgg 2274 <210> 2 <211> 605 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 2 Met Asp Arg Ser Leu Gly Trp Gln Gly Asn Ser Val Pro Glu Asp Arg 1 5 10 15 Thr Glu Pro Gly Ile Asn Arg Phe Leu Glu Asp Thr Thr Asp Asp Gly 20 25 30 Glu Leu Ser Lys Phe Val Lys Asp Phe Ser Gly Asn Ala Ser Cys His 35 40 45 Pro Pro Glu Ala Lys Thr Trp Ala Ser Arg Pro Gln Val Pro Glu Pro 50 55 60 Arg Pro Gln Ala Pro Asp Leu Tyr Asp Asp Asp Leu Glu Phe Arg Pro 65 70 75 80 Pro Ser Arg Pro Gln Ser Ser Asp Asn Gln Gln Tyr Phe Cys Ala Pro 85 90 95 Ala Pro Leu Ser Pro Ser Ala Arg Pro Arg Ser Pro Trp Gly Glu Leu 100 105 110 Asp Pro Tyr Asp Ser Ser Glu Val Glu Pro Pro Ala Leu Pro Leu Pro 115 120 125 Phe Ser Gly Leu Leu Gln Glu Asp Arg Gly Gln Gly Ala Gly Met Cys 130 135 140 Val Cys Val Cys Val Cys Val Cys Val Cys Val Phe Val Cys Val Cys 145 150 155 160 Ile Trp Asp Pro Phe Gln Ser Cys Val Ser Pro Ser Ser Lys Ile Ser 165 170 175 Ala Pro Lys Gly Thr Gly Asn Leu Gln Phe Gln Gln Gly Gln Glu Ala 180 185 190 Gln Leu Val Ala Ser Asp Gly Asn Ser Gln Lys Ser Gly Thr Ala Phe 195 200 205 Leu Arg Leu Gly Gln Arg Pro Glu Arg Glu Arg Arg Leu Ala Leu Gly 210 215 220 Ala Gly Ala Pro Leu Ala Pro His Arg Asp Ala Phe Cys Leu Pro Val 225 230 235 240 Tyr Tyr Asp Asp Lys Glu Tyr Val Gly Phe Ala Thr Leu Pro Asn Gln 245 250 255 Val His Arg Lys Ser Val Lys Lys Gly Phe Asp Phe Thr Leu Met Val 260 265 270 Ala Gly Glu Ser Gly Leu Gly Lys Ser Thr Leu Val Asn Ser Leu Phe 275 280 285 Leu Thr Asp Leu Tyr Arg Asp Arg Lys Leu Leu Gly Ala Glu Glu Arg 290 295 300 Ile Met Gln Thr Val Glu Ile Thr Lys His Ala Val Asp Ile Glu Lys 305 310 315 320 Lys Gly Val Arg Leu Arg Leu Thr Ile Val Asp Thr Pro Ser Phe Gly 325 330 335 Asp Ala Val Asn Asn Thr Glu Cys Met Ser Asp Trp Lys Pro Val Ala 340 345 350 Glu Tyr Ile Asp Gln Gln Phe Glu Gln Tyr Phe Arg Asp Glu Ser Gly 355 360 365 Leu Asn Arg Lys Asn Ile Gln Asp Asn Arg Val His Cys Cys Leu Tyr 370 375 380 Phe Ile Ser Pro Phe Gly His Gly Leu Arg Pro Leu Asp Val Glu Phe 385 390 395 400 Met Lys Ala Leu His Gln Arg Val Asn Ile Val Pro Ile Leu Ala Lys 405 410 415 Ala Asp Thr Leu Thr Pro Pro Glu Val Asp His Lys Lys Arg Lys Ile 420 425 430 Arg Glu Glu Ile Glu His Phe Gly Ile Lys Ile Tyr Gln Phe Pro Asp 435 440 445 Cys Asp Ser Asp Glu Asp Glu Asp Phe Lys Leu Gln Asp Gln Ala Leu 450 455 460 Lys Glu Ser Ile Pro Phe Ala Val Ile Gly Ser Asn Thr Val Val Glu 465 470 475 480 Ala Arg Gly Arg Arg Val Arg Gly Arg Leu Tyr Pro Trp Gly Ile Val 485 490 495 Glu Val Glu Asn Pro Gly His Cys Asp Phe Val Lys Leu Arg Thr Met 500 505 510 Leu Val Arg Thr His Met Gln Asp Leu Lys Asp Val Thr Arg Glu Thr 515 520 525 His Tyr Glu Asn Tyr Arg Ala Gln Cys Ile Gln Ser Met Thr Arg Leu 530 535 540 Val Val Asn Glu Arg Asn Arg Lys Tyr Asp Gln Lys Pro Gly Gln Ser 545 550 555 560 Trp Gln Gly Glu Ile Pro Ser Leu Ala Leu Gly Glu Thr Lys Pro Tyr 565 570 575 Phe Cys Ser Ser Ile Gly Pro Gly Leu Asn Leu Ser Gly Cys Trp Gly 580 585 590 Pro Pro Arg Leu Ile Asn Pro Phe Leu Pro Leu Ala Asn 595 600 605 <210> 3 <211> 1735 <212> DNA <213> Homo sapiens <220> <221> mat peptide <222> (129)・・・(1562) <400> 3 gaaaggagca agccaggaag ccagacaaca acagcatcaa aacaaggctg tttctgtgtg 60 tgaggaactt tgcctgggag ataaaattag acctagagct ttctgacagg gagtctgaag 120 cgtgggacat ggaccgttca ctgggatggc aagggaattc tgtccctgag gacaggactg 180 aagctgggat caagcgtttc ctggaggaca ccacggatga tggagaactg agcaagttcg 240 tgaaggattt ctcaggaaat gcgagctgcc acccaccaga ggctaagacc tgggcatcca 300 ggccccaagt cccggagcca aggccccagg ccccggacct ctatgatgat gacctggagt 360 tcagaccccc ctcgcggccc cagtcctctg acaaccagca gtacttctgt gccccagccc 420 ctctcagccc atctgccagg ccccgcagcc catggggcaa gcttgatccc tatgattcct 480 ctgaggatga caaggagtat gtgggctttg caaccctccc caaccaagtc caccgaaagt 540 ccgtgaagaa aggctttgac tttaccctca tggtggcagg agagtctggc ctgggcaaat 600 ccacacttgt caatagcctc ttcctcactg atctgtaccg ggaccggaaa cttcttggtg 660 ctgaagagag gatcatgcaa actgtggaga tcactaagca tgcagtggac atagaagaga 720 agggtgtgag gctgcggctc accattgtgg acacaccagg ttttggggat gcagtcaaca 780 acacagagtg ctggaagcct gtggcagaat acattgatca gcagtttgag cagtatttcc 840 gagacgagag tggcctgaac cgaaagaaca tccaagacaa cagggtgcac tgctgcctgt 900 acttcatctc acccttcggc catgggctcc ggccattgga tgttgaattc atgaaggccc 960 tgcatcagcg ggtcaacatc gtgcctatcc tggctaaggc agacacactg acacctcccg 1020 aagtggacca caagaaacgc aaaatccggg aggagattga gcattttgga atcaagatct 1080 atcaattccc agactgtgac tctgatgagg atgaggactt caaattgcag gaccaagccc 1140 taaaggaaag catcccattt gcagtaattg gcagcaacac tgtagtagag gccagagggc 1200 ggcgagttcg gggtcgactc tacccctggg gcatcgtgga agtggaaaac ccagggcact 1260 gcgactttgt gaagctgagg acaatgctgg tacgtaccca catgcaggac ctgaaggatg 1320 tgacacggga gacacattat gagaactacc gggcacagtg catccagagc atgacccgcc 1380 tggtggtgaa ggaacggaat cgcaacaaac tgactcggga aagtggtacc gacttcccca 1440 tccctgctgt cccaccaggg acagatccag aaactgagaa gcttatccga gagaaagatg 1500 aggagctgcg gcggatgcag gagatgctac acaaaataca aaaacagatg aaggagaact 1560 attaactggc tttcagccct ggatatttaa atctcctcct cttcttcctg tccatgccgg 1620 cccctcccag caccagctct gctcaggccc cttcagctac tgccacttcg cctaacatcc 1680 ctgctgactg cccagagact cagaggaaat aaagtttaat aaatctgtag gtggc 1735 <210> 4 <211> 478 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 4 Met Asp Arg Ser Leu Gly Trp Gln Gly Asn Ser Val Pro Glu Asp Arg 1 5 10 15 Thr Glu Ala Gly Ile Lys Arg Phe Leu Glu Asp Thr Thr Asp Asp Gly 20 25 30 Glu Leu Ser Lys Phe Val Lys Asp Phe Ser Gly Asn Ala Ser Cys His 35 40 45 Pro Pro Glu Ala Lys Thr Trp Ala Ser Arg Pro Gln Val Pro Glu Pro 50 55 60 Arg Pro Gln Ala Pro Asp Leu Tyr Asp Asp Asp Leu Glu Phe Arg Pro 65 70 75 80 Pro Ser Arg Pro Gln Ser Ser Asp Asn Gln Gln Tyr Phe Cys Ala Pro 85 90 95 Ala Pro Leu Ser Pro Ser Ala Arg Pro Arg Ser Pro Trp Gly Lys Leu 100 105 110 Asp Pro Tyr Asp Ser Ser Glu Asp Asp Lys Glu Tyr Val Gly Phe Ala 115 120 125 Thr Leu Pro Asn Gln Val His Arg Lys Ser Val Lys Lys Gly Phe Asp 130 135 140 Phe Thr Leu Met Val Ala Gly Glu Ser Gly Leu Gly Lys Ser Thr Leu 145 150 155 160 Val Asn Ser Leu Phe Leu Thr Asp Leu Tyr Arg Asp Arg Lys Leu Leu 165 170 175 Gly Ala Glu Glu Arg Ile Met Gln Thr Val Glu Ile Thr Lys His Ala 180 185 190 Val Asp Ile Glu Glu Lys Gly Val Arg Leu Arg Leu Thr Ile Val Asp 195 200 205 Thr Pro Gly Phe Gly Asp Ala Val Asn Asn Thr Glu Cys Val Lys Pro 210 215 220 Val Ala Glu Tyr Ile Asp Gln Gln Phe Glu Gln Tyr Phe Arg Asp Glu 225 230 235 240 Ser Gly Leu Asn Arg Lys Asn Ile Gln Asp Asn Arg Val His Cys Cys 245 250 255 Leu Tyr Phe Ile Ser Pro Phe Gly His Gly Leu Arg Pro Leu Asp Val 260 265 270 Glu Phe Met Lys Ala Leu His Gln Arg Val Asn Ile Val Pro Ile Leu 275 280 285 Ala Lys Ala Asp Thr Leu Thr Pro Pro Glu Val Asp His Lys Lys Arg 290 295 300 Lys Ile Arg Glu Glu Ile Glu His Phe Gly Ile Lys Ile Tyr Gln Phe 305 310 315 320 Pro Asp Cys Asp Ser Asp Glu Asp Glu Asp Phe Lys Leu Gln Asp Gln 325 330 335 Ala Leu Lys Glu Ser Ile Pro Phe Ala Val Ile Gly Ser Asn Thr Val 340 345 350 Val Glu Ala Arg Gly Arg Arg Val Arg Gly Arg Leu Tyr Pro Trp Gly 355 360 365 Ile Val Glu Val Glu Asn Pro Gly His Cys Asp Phe Val Lys Leu Arg 370 375 380 Thr Met Leu Val Arg Thr His Met Gln Asp Leu Lys Asp Val Thr Arg 385 390 395 400 Glu Thr His Tyr Glu Asn Tyr Arg Ala Gln Cys Ile Gln Ser Met Thr 405 410 415 Arg Leu Val Val Lys Glu Arg Asn Arg Asn Lys Leu Thr Arg Glu Ser 420 425 430 Gly Thr Asp Phe Pro Ile Pro Ala Val Pro Pro Gly Thr Asp Pro Glu 435 440 445 Thr Glu Lys Leu Ile Arg Glu Lys Asp Glu Glu Leu Arg Arg Met Asp 450 455 460 Glu Met Leu His Lys Ile Gln Lys Gln Met Lys Glu Asn Tyr 465 470 475 <210> 5 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of the artificial sequence: a 5'-end primer synthesize d based on the nucleotide sequence of cDNA for alpha-Bradeion. <400> 5 ctgagcaagt tcgtgaagga tttc 24 <210> 6 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of the artificial sequence: a 5'-end primer synthesize d based on the nucleotide sequence of cDNA for alpha-Bradeion. <400> 6 cagtcctctg acaaccagca gta 23
【0053】
【配列表フリーテキスト】配列番号5−合成配列の説
明:β-ブラディオンcDNAの塩基配列に基いて合成され
た5'末端側プライマー 配列番号6−合成配列の説明:α-ブラディオンcDNAの
塩基配列に基いて合成された5'末端側プライマー
【図面の簡単な説明】
【図1a】この図は、αブラディオンの疎水性、親水性
部分の分布を、IL2、IL3、IL4の各レセプタ
ー、成長ホルモンレセプターと比較して示したKyte
−Doolittle法によるヒドロパシー分析の結果
を示す写真である。
【図1b】この図は、αブラディオンの疎水性、親水性
部分の分布を、IL2、IL3、IL4の各レセプタ
ー、成長ホルモンレセプターと比較して示したKyte
−Doolittle法によるヒドロパシー分析の結果
を示す写真である(図1aのつづき)。
【図2】この図は、α及びβブラディオン遺伝子を培養
NT2neuron(未分化のヒト神経細胞)及びHe
La細胞に導入し過剰発現させたときの、共焦点レーザ
ー顕微鏡による標識像(パネルaの場合NT2neur
on;パネルbの場合NT2neuronとHeL
a)、並びに、パネルbの細胞(18hrsと24hr
s)についての電顕像(パネルc)を示す写真である。
パネルa中、EGFP(Enhanced Green
Fluorescent Protein;Clon
tech社製)によるブラディオン遺伝子の存在部位
を、Mitochondriaはミトコンドリアにおけ
るブラディオン遺伝子の存在部位を、Overlayは
左の標識像と中の標識像を重ね合わせた像をそれぞれ示
している。
【図3a】この図は、ヒト癌細胞株におけるα及びβブ
ラディオン遺伝子の等量発現を示す写真である。放射性
標識ブラディオン遺伝子を用いたノーザンブロット解析
の結果を示す。レーン1は、多発骨髄球性白血病(po
lymyelocyticleukemia),HL6
0;レーン2は、HeLaS3;レーン3は、慢性ミオ
ロジィナス白血病(chronic myologen
ous leukemia),K−562;レーン4
は、リンパ芽球性白血病(lymphoblastic
leukemia),MOLT−4;レーン5は、バ
ーキットリンパ腫(Burkitt’s lympho
ma),Raji;レーン6は、大腸癌(colore
ctal adenocarcinoma),SW48
0 SW48021,22;レーン7は、肺癌(lun
gcarcinoma),A549;レーン8は、骨髄
腫(melanoma),G361である。また陽性コ
ントロールとして、ベータアクチン遺伝子を用いたノー
ザンブロット解析の結果を下に示す。
【図3b】この図は、大腸癌患者検体におけるブラディ
オン遺伝子の癌特異的発現を示す。RT−PCR法、i
nsituハイブリダイゼーション法による大腸癌(T
1〜T10)、皮膚癌(T11〜T13)、正常細胞
(N1〜N2)におけるブラディオン遺伝子発現の測定
結果を示す。図中、*は、α及びβブラディオン遺伝子
双方が検出され、遺伝子内変異は見られなかった場合で
あり、NDは、RNAの変質により検出不能であったこ
とを示し、Ad(well)は、アデノカルシノーマ
(分化型)を示し、Ad(mod)は、アデノカルシノ
ーマ(中度分化型)を示し、Mucは、ムチン分泌型ア
デノカルシノーマを示し、MMは、悪性黒色腫を示す。
K−ras遺伝子のコドン12の標準遺伝子配列はGG
Tであるが、その遺伝子内変異をもつものを記載した。
この突然変異は染色体1対のうち片方で生じたものであ
る。
【図3c】この図は、ヒト癌組織検体のinsituハ
イブリダイゼーションの結果を示す写真である。図3b
におけるT13、T8についての組織染色図(Anti
sennse:陽性、Sense:陰性対照)を示す。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/09 C12Q 1/68 G01N 33/53 G01N 33/566 MEDLINE(STN) GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 癌の検出における、下記のDNAもしく
    はその断片、または抗体の使用方法: (1)配列番号2もしくは配列番号4に示すアミノ酸配
    列を有するヒト由来ブラディオン蛋白質をコードするD
    NA、または15個以上の連続するヌクレオチドの配列か
    らなるその断片、 (2)配列番号2または配列番号4に示すアミノ酸配列
    において少なくとも1個のアミノ酸が欠失、置換もしく
    は付加されたアミノ酸配列を有し且つ以下の性質: (a)膜蛋白質である、 (b)Kyte−Doolittle法によるヒドロパ
    シー分析により、膜貫通部分(一回)も含めてインター
    ロイキンレセプターに特徴的な構造を有する、 (c)ヒト成人脳に強度の発現が認められ、心臓におい
    て脳の10%以下の発現が認められ、その他の臓器やヒト
    胎児には発現されない、 (d)未分化のヒト培養神経細胞に過剰発現させると、
    細胞死を誘導する、 (e)培養ヒト正常細胞に過剰発現させると、老化・分
    裂停止を誘導する、 (f)細胞死に至る過程で細胞質に存在して細胞内凝集
    体を形成し、24時間以内でミトコンドリアに集積する、
    及び (g)ヒト大腸癌細胞株又は皮膚癌細胞株で特異的に発
    現される、を有するDNA組換え技術により得ることが
    できるヒト由来ブラディオン蛋白質類似体をコードする
    DNA、または15個以上の連続するヌクレオチドの配列
    からなるその断片、 (3)配列番号1に示す129位〜1943位の塩基配
    列からなるDNAもしくはそれとストリンジェントな条
    件下でハイブリダイズするDNA、または15個以上の
    連続するヌクレオチドの配列からなるそれらの断片、 (4)配列番号3に示す129位〜1562位の塩基配
    列からなるDNAもしくはそれとストリンジェントな条
    件下でハイブリダイズするDNA、または15個以上の
    連続するヌクレオチドの配列からなるそれらの断片、 (5)寄託微生物FERM BP-6922中に含まれるブラディオ
    ンをコードするDNA、または15個以上の連続するヌク
    レオチドの配列からなるその断片、あるいは、 (6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のDNAまた
    はその断片によってコードされるヒト由来ブラディオン
    蛋白質、その類似体、またはそれらの断片に対する抗
    体。
  2. 【請求項2】 前記癌がヒト大腸癌またはヒト皮膚癌で
    ある、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記検出がハイブリダイゼーションまた
    はイムノアッセイによって行われる、請求項1または2
    に記載の方法。
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