JP3283908B2 - バルーンカテーテル - Google Patents
バルーンカテーテルInfo
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Description
外部から供給されるガス圧により拡張・収縮されるバル
ーン部と、ガイドワイヤが挿通されるインナーチューブ
と、該バルーン部にガスを供給するためのアウターチュ
ーブとを備えたバルーンカテーテルに関する。
伴いショック状態にある患者や、心臓手術後の心拍出量
の低下した患者に対しては、薬物療法として用いられる
強心剤に加え、補助循環の一種である大動脈内バルーン
ポンピングを使用するのが一般的となってきた。上記患
者に対して機械的補助循環装置である人工心臓も用いら
れているが、未だ一般的ではなく、操作の簡便性から大
動脈内バルーンポンピングの有用性は高く、症例数は今
後とも増大することが予測される。
細長いバルーン(風船)を付けたカテーテルを、脚部上
部の動脈から胸部下行大動脈内に挿入し、上記バルーン
をヘリウムガスを用いて、心臓の拍動に合わせて心室の
拡張期に拡張させ、心室の収縮期に収縮させるものであ
る。このバルーンポンピングにより、心筋への酸素供給
が高まると共に、心室の負荷が低減されて、機能の衰え
た心臓の回復を図ることができる。
テルの開発においては、あくまでも前述の心臓に対する
補助効果が主眼に置かれ、結果的に生じる心拍出量の増
加により腎血流量の増加、尿量の増加がもたらされてい
た。しかし、重度心原性ショックの患者では、従来のバ
ルーンカテーテルでは、有効な腎血流量が得られない場
合もあった。
なされたものであり、重度心原性ショックの患者等につ
いても心臓の機能回復を助け得ると共に、能動的に腎血
流量の増大を図るバルーンカテーテルを提供することを
目的とする。
め、請求項1に記載の発明は、大動脈内に挿入され、外
部から供給されるガス圧により心臓の拍動に合わせて拡
張・収縮されるバルーン部と、ガイドワイヤが挿通され
るインナーチューブと、前記バルーン部にガスを供給す
るためのアウターチューブとを備えたバルーンカテーテ
ルにおいて、前記バルーン部が、第1のバルーンと、該
第1のバルーンから所定距離を隔てて配設され該第1の
バルーンと連通した第2のバルーンとからなり、前記第
1のバルーン及び第2のバルーンは、前記第1のバルー
ンを大動脈から腎動脈へ分岐する部分よりも上に配置し
たとき、前記第2のバルーンを該分岐部よりも下に配置
することができるように構成され、前記第1のバルーン
と前記第2のバルーンとを同時に拡張・収縮させること
により、前記第1のバルーンの作用により大動脈から心
臓の冠動脈に供給される血液の量を増大することができ
ると共に、前記第1のバルーン及び前記第2のバルーン
の作用により、大動脈から腎動脈へ供給される血液の量
を増大することができることを特徴とするバルーンカテ
ーテルを要旨とする。
ーンと前記第2のバルーンとの間隔が約100mmであ
ることを特徴とする。
は、バルーン部が第1のバルーンと該第1のバルーンか
ら所定の間隔を隔てて配設された第2のバルーンとから
なっており、大動脈内に挿入したとき、第1のバルーン
を大動脈から腎動脈へ分岐する分岐部より上に、かつ第
2のバルーンを該分岐部より下に配置することができ
る。つまり、大動脈から腎動脈への分岐部が第1のバル
ーンと第2のバルーンとで挟まれた状態となるようにす
ることができる。この状態で、第1のバルーンと第2の
バルーンにアウターチューブを介してガス圧を供給し、
該ガス圧を加減圧すると、第1のバルーンと第2のバル
ーンとが同時に拡張・収縮される。そして、心臓の筋肉
に血液を供給する冠動脈の血流量は、心臓の筋肉の弛緩
した拡張期に多く流れるが、第1のバルーンが拡張する
都度、大動脈から心臓の冠動脈に供給される血液量が更
に増大するので、心臓の機能回復が図られる。
きには、第2のバルーンも同時に拡張・収縮するので、
両バルーンの拡張時には、大動脈から腎動脈への分岐部
付近の血圧が高くなって、腎動脈に血液が送られ、両バ
ルーンの収縮時には、該分岐部に新たな血液が大動脈か
ら供給される。従って、両バルーンの拡張・収縮を継続
して行うことにより、腎動脈を経由して腎臓へ血液が供
給される。従って、腎動脈へ供給される血液量が増大さ
れ、腎臓の機能改善と、それに伴う尿量の増加が図れ
る。
明する。図1は、本実施例のバルーンカテーテルを示す
説明図である。図1において、バルーンカテーテル1
は、動脈に挿入されるとき挿入先端となる先端部3と、
動脈に挿入されるときガイドワイヤが挿通されるインナ
ーチューブ5と、このインナーチューブ5を取り囲むよ
うに配設され、ヘリウムガス等を供給するアウターチュ
ーブ7と、該アウターチューブ7により供給されるガス
圧により拡張・収縮するバルーン部9等から構成されて
いる。
の端部に設けられた第1のバルーン91と、該第1のバ
ルーン91から約100mm離れて設けられた第2のバ
ルーン92とから構成されている。この両バルーンの間
隔は、患者の体長別に適宜定められるが、上記範囲が選
ばれた理由は、成人の腹腔動脈と腎動脈の距離が約7〜
8cm離れているからである。
ーテル1の基端部のアウターチューブ7aに接続され、
また、第2のバルーン92と第1のバルーン91とは、
これらの間に配設されたアウターチューブ7bにより連
通している。それにより、アウターチューブ7により外
部からヘリウムガスが供給されると、第1のバルーン9
1と第2のバルーン92とが同時に拡張され、該ガス圧
が減じられると、第1のバルーン91と第2のバルーン
92とが同時に収縮するようになっている。
びアウターチューブ7には、X線を透過させない物質を
含む造影用カラー11a,11b,11c及び11dが
設けられていて、バルーンカテーテル1の位置を体外か
ら検出できるようになっている。
には、ガス供給用のコネクタ,バルーンカテーテル1を
固定するための固定翼あるいは弁などの付属部品(図示
せず)が取り付けられるようになっている。尚、バルー
ンカテーテル1の長さは、大腿動脈から弓部大動脈に達
する長さになっており、約700mmである。大腿動脈
と弓部大動脈との間隔が更に長い患者のためには、該長
さを長くすればよい。第1のバルーン91は、容量が2
0〜40ccで、長さが、190〜280mmであり、
拡張時の直径が15〜16mmである。第2のバルーン
92は、容量が2.5〜8ccで、長さが30〜70m
mであり、拡張時の直径が13〜14mmである。
型に応じて適宜定められるが、これらの数値が選ばれた
技術的理由は、次の通りである。第1のバルーン91の
容量については、臨床的に従来使用されていたバルーン
カテーテルの容量をそのまま踏襲し、長さについては、
計測した日本人の身長Xと胸部下行大動脈長Yとの関係
式:Y=0.14X+0.49(cm)より算出した、
各身長層に対応する胸部下行大動脈長から2cmを差し
引いた長さをもって決定し、直径については、計測した
日本人の胸部下行大動脈長Yとその直径Zとの関係式:
Z=0.15Y+6.99(cm)より算出した、各胸
部下行大動脈長に対応する直径の80%をもって決定し
た。
は、後述する該バルーンの持つ”腹部大動脈の閉塞用バ
ルーン”としての性格を考慮し、なるべく容量の少ない
2.5,5.0,8.0mlの3種を採用した。長さに
ついては、腎動脈から下腸間膜動脈までの距離、約8c
mを超えないよう設定した。また、直径については、胸
部下行大動脈に比べ、腹部大動脈はその直径が約80%
に減少するため、第1のバルーン91の87%のバルー
ン直径をもって第2のバルーン92の直径とした。
の良好なシリコン樹脂、ポリウレタン樹脂等が好まし
い。しかしながら、比較的短時間の使用で抗血栓性がそ
れほど重要ではない場合については、この限りでない。
バルーン部9の素材としては、良好な抗血栓性を有する
ポリウレタン樹脂が用いられる。インナーチューブ5の
素材としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が
好ましい。なかでも、ガイドワイヤに対する滑りが良い
点で、ポリアミド樹脂が好ましい。アウターチューブ7
の素材としては、比較的抗血栓性の良好なシリコン樹
脂、ポリウレタン樹脂等が好ましい。しかしながら、比
較的短時間の使用で抗血栓性がそれほど重要でない場合
については、この限りでない。本実施例で使用される高
分子材料はインナーチューブを除き、必ず血液と接触す
るうえ、インナーチューブについても血液との接触の可
能性があることから、バルーンカテーテル1を構成する
各部分に対して表面処理、抗血栓物質であるヘパリンの
コーティングあるいはヘパリン固定化等を実施してもよ
い。
めの模式図である。次に、本実施例の使用方法について
説明する。まず、穿刺針により大腿動脈21を穿刺し、
該穿刺針の内針を抜き取って、ガイドワイヤを挿入す
る。次に、ガイドワイヤを残して、穿刺針の外筒を抜取
り、ダイレータと呼ばれる拡張器を該ガイドワイヤに通
して皮膚,皮下組織及び動脈血管を貫通させ、穿刺口を
拡張する。次に、ダイレータを抜取り、シースをガイド
ワイヤに通し、上述と同様に皮膚,皮下組織及び動脈血
管を貫通させる。
て、インナーチューブ5内に別のガイドワイヤを挿入し
ておく。バルーンカテーテル1を人体に挿入するとき、
バルーン部9は折り畳まれている。この状態でバルーン
カテーテル1を、上記シース内に挿入し、大動脈23内
の所望の位置まで進める。
動脈23aの直下に到達したとき、バルーンカテーテル
1の挿入を終了し、ガイドワイヤを引き抜き、基端部1
3を固定する。このとき、第1のバルーン91が、大動
脈23から腎動脈25へ分岐する分岐部27より上に位
置し、かつ第2のバルーン92が、該分岐部27より下
に位置するようにする。
ウムガスをバルーン部9に送り、その圧力を増減させる
ことにより、第1のバルーン91及び第2のバルーン9
2を拡張・収縮させる。バルーン部9の拡張・収縮は、
患者の心電図または動脈圧波形をとって、心臓の拍動に
合わせて行ない、心臓の拡張期にはバルーン部9を拡張
させ、心臓の収縮期には、バルーン部9を収縮させる。
量は、心臓の筋肉の弛緩した拡張期に多く流れる。拡張
期に第1のバルーン91が膨らむと、先端部3より心臓
に近い側の動脈内の血圧が高くなり、冠動脈の血流量が
増大され、より多くの酸素が心筋に供給される。また、
第1のバルーン91が収縮すると、陰圧効果により収縮
期の血圧が低下し、左心室の仕事量が低減される。上記
2つの作用により機能の衰えた心臓の回復が図られる。
るときには、第2のバルーン92も同時に拡張・収縮す
るので、バルーン部9の拡張時には、大動脈23から腎
動脈25への分岐部27付近の血圧が高くなって、腎動
脈25に血液が送られ、バルーン部9の収縮時には、該
分岐部27に新たな血液が大動脈23から供給される。
従って、両バルーン91,92の拡張・収縮を継続して
行うことにより、腎動脈25を経由して腎臓へ供給され
る血液量が増大され、腎臓の機能改善と、それに伴う尿
量の増加が図れる。
た実験について説明する。この実験は、生体の血管系を
模してプラスチック等により作成した模擬血管システム
を用いて行った。この模擬血管システムは、動脈に相当
する模擬動脈と、静脈に相当する模擬静脈と、毛細血管
に相当する模擬末梢部と、模擬動脈の一部から分岐した
腎動脈に相当する模擬腎動脈と、腎臓に相当する模擬腎
臓と、腎静脈に相当する模擬腎静脈とからなり、模擬動
脈及び模擬静脈の末端は心臓に相当する拍動流付きロー
ラポンプ(SARNS)に接続されている。尚、模擬血
管の胸部下行動脈に相当する部分の内径を17.5mm
とし、模擬腎動脈の内径を8.7mmとした。
の比重を有する液体を注入し、大腿部に相当する位置に
設けた開口部から本実施例の2つのバルーン部を有する
バルーンカテーテルを挿入して該開口部を遮閉した。次
に、ローラポンプを駆動して流体を実際の血流と同様脈
動するように循環させた。このとき、模擬血管内の圧力
が平均で約100mmHgとなるようにした。次に、流
体の流れをバルーン部に駆動装置(DATASCOPE
製システム90)を用いてヘリウムガスを供給し、バル
ーン部を拡張・収縮させた。そして、模擬腎動脈内の圧
力変化と流量とを測定した。また、本実施例と比較する
ために従来の1つのバルーン部を有するバルーンカテー
テルについても同様の実験を行った。
較例)のバルーンカテーテルの寸法及び容量等を表1に
示す。
に、本実施例のバルーンカテーテルを用いた場合は比較
例に比べて、模擬腎動脈の最高圧力が高くなった。ま
た、模擬腎動脈の流量は本実施例が700cc/min
に対し、比較例は250cc/minであり、約2.8
倍の流量が得られた。
第1のバルーン91と該第1のバルーン91から所定の
間隔だけ隔てた第2のバルーン92とから構成し、大動
脈23から腎動脈25への分岐部27が、第1のバルー
ン91と第2のバルーン92とで挟まれた状態とするこ
とができるようにし、この状態でバルーン部9にガス圧
を供給して、第1のバルーン91と第2のバルーン92
とを同時に拡張・収縮させるようにした。この結果、第
1のバルーン91の作用により、冠動脈へ供給される血
液量が増大され、それにより、機能の衰えた心臓の回復
が図られ、また、第1のバルーン91と第2のバルーン
92との作用により、腎動脈25を経由して腎臓へ供給
される血液量が増大され、腎臓の機能改善と、それに伴
う尿量の増加が図れる。
は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様で
実施できることは勿論である。
ある。
ある。
測定された本実施例と比較例との腎動脈圧を示すグラフ
である。
ーチューブ 7…アウターチューブ 9…バルーン部 91…第
1のバルーン 92…第2のバルーン
Claims (2)
- 【請求項1】 大動脈内に挿入され、外部から供給され
るガス圧により心臓の拍動に合わせて拡張・収縮される
バルーン部と、ガイドワイヤが挿通されるインナーチュ
ーブと、前記バルーン部にガスを供給するためのアウタ
ーチューブとを備えたバルーンカテーテルにおいて、 前記バルーン部が、第1のバルーンと、該第1のバルー
ンから所定距離を隔てて配設され該第1のバルーンと連
通した第2のバルーンとからなり、前記第1のバルーン
及び第2のバルーンは、前記第1のバルーンを大動脈か
ら腎動脈へ分岐する部分よりも上に配置したとき、前記
第2のバルーンを該分岐部よりも下に配置することがで
きるように構成され、 前記第1のバルーンと前記第2のバルーンとを同時に拡
張・収縮させることにより、前記第1のバルーンの作用
により大動脈から心臓の冠動脈に供給される血液の量を
増大することができると共に、前記第1のバルーン及び
前記第2のバルーンの作用により、大動脈から腎動脈へ
供給される血液の量を増大することができる ことを特徴
とするバルーンカテーテル。 - 【請求項2】前記第1のバルーンと前記第2のバルーン
との間隔が約100mmであることを特徴とする請求項
1記載のバルーンカテーテル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18681692A JP3283908B2 (ja) | 1992-07-14 | 1992-07-14 | バルーンカテーテル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18681692A JP3283908B2 (ja) | 1992-07-14 | 1992-07-14 | バルーンカテーテル |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0630998A JPH0630998A (ja) | 1994-02-08 |
JP3283908B2 true JP3283908B2 (ja) | 2002-05-20 |
Family
ID=16195102
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18681692A Expired - Lifetime JP3283908B2 (ja) | 1992-07-14 | 1992-07-14 | バルーンカテーテル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3283908B2 (ja) |
-
1992
- 1992-07-14 JP JP18681692A patent/JP3283908B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0630998A (ja) | 1994-02-08 |
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