JP3283435B2 - 免疫クロマトグラフィー装置、およびその装置における試料液の保持方法 - Google Patents

免疫クロマトグラフィー装置、およびその装置における試料液の保持方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種医療診断に用
いられる免疫クロマトグラフィー装置とその装置におけ
る試料液の保持方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、医療用に利用されている免疫クロ
マトグラフィ−装置において、試料液を添加し保持する
部分は、免疫クロマトグラフィー装置中の抗体試薬を担
持させた多孔質キャリアからなるクロマトグラフィー材
料の一部、またはこのクロマトグラフィー材料と別の保
水率の高い多孔質キャリアを一体化して用いる方法が一
般的であった。また、免疫クロマトグラフィー装置に試
料液受容部を設け、この受容部に試料液を溜めて保持す
るという方法があった(特公平7−46107号公
報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、試料液を添加
し保持する部分に多孔質キャリアを用いた方法では、試
料液の添加方法、多孔質キャリアの乾燥状態、多孔質キ
ャリア本来の性質などに影響されて、多孔質キャリアに
保持される試料液の量が少なくなる場合がある。このよ
うな場合は、クロマトグラフィー材料に浸透する検体量
も少なくなるため、分析後の判定に誤りが生じるという
問題があった。また、試料液を添加し保持する部分にク
ロマトグラフィー材料と別の保水率の高い多孔質キャリ
アを一体化して用いる場合には、クロマトグラフィ−材
料とは異なった材料で構成する必要があるため、コスト
高になるという面で問題があった。さらに、免疫クロマ
トグラフィー装置に試料液受容部を設けた場合も、この
試料液受容部の上面には蓋などが設置されていないた
め、装置に試料液を保持した後、装置を振り回したり、
逆さにしたりすると、試料液が装置からこぼれ、その結
果検体不足が生じるということがあった。そのため、分
析時には、装置を水平にして動かさないようにするな
ど、丁寧な取り扱いが必要であった。
【0004】本発明は、免疫クロマトグラフィー装置に
おいて、分析するのに十分な量の検体を保持することが
でき、かつ取り扱いが簡単な免疫クロマトグラフィー装
置を提供することを目的とする。また、本発明は、免疫
クロマトグラフィー装置に試料液を最大限保持する方法
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み、本発明
における免疫クロマトグラフィー装置は、複数の開口を
設けた蓋が設置された試料液を保持する容器、一端が前
記容器内部と連通して試料液を通じる通液路を形成する
ケーシング、および前記ケーシング中のみに収納された
一つの多孔質キャリアを具備し、前記ケーシングの通液
路の途中に多孔質キャリアを露出させる判定確認窓を設
け、前記多孔質キャリアに、前記判定確認窓の位置に検
体を固定化する抗体を固定し、前記判定確認窓と前記容
器の間に標識付き抗体を保持した免疫クロマトグラフィ
ー装置であって、前記容器は、その内部が空洞であっ
て、かつ分析するのに十分な量の試料液を一度に保持で
きるだけの容量を有していることを特徴とする
【0006】
【発明の実施の形態】上記のように免疫クロマトグラフ
ィー装置における試料液を保持する容器に、複数の開口
を設けた蓋を設置すると、開口に接している試料液の表
面張力を有効に利用することができ、装置を逆さにした
り揺すったりしても添加された試料液を装置内に保持す
ることができる。この蓋に設けた開口は、長方形、円
形、楕円形、多角形など様々な形状をとることができ
る。この開口は、容器を逆さにしても試料液を保持で
き、さらに試料液を添加したとき、数秒で容器を満たす
ことができるような大きさや数にすることが好ましい。
例えば、開口の形状が円形の場合は、縦×横が1.6c
m×3.0cmの蓋中に、直径2.0mmの穴を50個
ほど設けるとよい。さらに、分析結果に充分な信頼性を
持たせるには、試料液を保持する容器に、試料液が約7
00μl〜1ml保持されることが好ましい。
【0007】試料液を保持する容器の開口に、試料液を
添加すると、試料液は、容器内に一旦保持される。その
後、試料液は、容器内部と連通するケーシング中の多孔
質キャリアからなるクロマトグラフィー材料中に浸透す
る。クロマトグラフィー材料には、ケーシングに設けら
れた判定確認窓の位置に検体を固定化する抗体が固定さ
れており、さらに容器と判定確認窓の間に標識付き抗体
が保持されている。標識付き抗体と、検体を固定化する
抗体は、検体の異なるエピトープに対してそれぞれ特異
性を持つもの、または検体の同じエピトープに対して特
異性をもち、かつ互いには特異性を持たないものを用い
る。また、標識付き抗体に、色など視覚で認識できる直
接標識を付けた抗体を用いれば、検体の存在の有無を容
易に判定できる。
【0008】試料液中に検体が含まれる場合は、試料液
が、クロマトグラフィー材料中を浸透し、標識付き抗体
が保持される部分に達すると、検体と標識付き抗体が反
応を起こして結合する。さらに、標識付き抗体と結合し
た検体を含む試料液は、クロマトグラフィー材料中を浸
透し、標識付き抗体と結合した検体は、試料液で移動し
ないようクロマトグラフィー材料に固定された抗体と結
合して固定化される。その結果、判定確認窓から露出し
たクロマトグラフィー材料の色が変化する。試料液中に
検体が含まれていない場合は、標識付き抗体は、固定さ
れた抗体と結合しないので、固定化されない。よって、
判定確認窓から露出したクロマトグラフィー材料の色は
変化しない。以上のようなサンドイッチ反応を利用した
クロマトグラフィー材料の色の変化から検体の判定を行
う。
【0009】測定できる検体としては、尿(原液)、血
液(全血、血漿、血清)、唾液、腹水などの体液など溶
液一般が用いられ、LH、CRP等のタンパク質、ハプ
テン、免疫グロブリン、病原体(細菌、ウィルス等)な
どを測定する診断薬分野に利用できる。固定化する抗体
には、マウスやラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ニワト
リ、ウシなどのモノクロナール抗体、ポリクローナル抗
体が用いられる。標識付き抗体には、これらの抗体に、
蛍光色素、酵素、ラテックス等の有色ゾル等で標識した
ものが有効に用いられる。
【0010】
【実施例】図1は、本発明による免疫クロマトグラフィ
ー装置を示し、図2は、この装置の縦断面図である。上
部に、縦×横が、8mm×2mmの開口4を5個設けた
蓋5を設置した試料液を保持する容器1を、判定確認窓
3を有するケーシング2の先端に内部で連通して設けて
いる。ケーシング2の内部には、ガラス繊維濾紙からな
るクロマトグラフィー材料6を収納している。クロマト
グラフィー材料6には、検体を固定化する抗体8を判定
確認窓の位置に固定し、容器1と判定確認窓3の間には
標識付き抗体7を保持している。容器1とケーシング2
は、不透明プラスチックで一体に形成している。容器の
内寸は、14mm×9mm×7mmである。
【0011】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に
説明する。図2における標識付き抗体7に、金コロイド
標識抗hCGマウスモノクローナル抗体を用い、これを
判定確認窓3の位置に凍結乾燥することにより保持し
た。また、検体を固定化する抗体8に、抗hCGマウス
モノクローナル抗体(LH非交差)を用い、これを判定
確認窓3と容器1の間に、スタンプによる転写をした後
風乾して固定した。そして、このクロマトグラフィー材
料を、ケースシング2中に収納して偏平で細長の免疫ク
ロマトグラフィー装置を作製した。
【0012】この装置の容器1に、尿をかけた。尿は、
容器内に瞬時にして、充満した。保持された検体の量
は、約750μlであり、分析するのに充分な量であっ
た。次に、装置を水平な場所に静置した。尿はクロマト
グラフィー材料を浸透し、尿中に抗原(hCG)が存在
すれば、hCGは、コロイド標識抗hCGマウスモノク
ロール抗体と抗体抗原反応起こした後、抗hCGマウス
モノクローナルで固定化され、判定確認窓に赤紫色の線
が現れた。もし、尿中に抗原(hCG)が存在しなけれ
ば、判定確認窓には、何の変化も起こらなかった。十分
な量の試料液を保持しているため、検体不足に起因する
判定誤りは、ほとんどなかった。
【0013】
【発明の効果】以上のように、本発明による免疫クロマ
トグラフィー装置における試料液を保持する容器は、単
位容量当たり最大量の検体を簡便に保持することがで
き、分析後の判定の信頼性を向上することができる。さ
らに、多孔質キャリアを用いることがないので、低コス
トの効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における免疫クロマトグラフ
ィ−装置の斜視図である。
【図2】同免疫クロマトグラフィ−装置の縦断面図であ
る。
【符号の説明】
1 試料液を保持する容器 2 ケーシング 3 判定確認窓 4 開口 5 試料液を保持する容器に設けた蓋 6 クロマトグラフィ−材料 6 標識付き抗体 7 検体を固定化する抗体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上甲 茂樹 香川県高松市古新町8番地の1 松下寿 電子工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−164756(JP,A) 特開 平7−55809(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/543

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の開口を設けた蓋が設置された試料
    液を保持する容器、一端が前記容器内部と連通して試料
    液を通じる通液路を形成するケーシング、および前記ケ
    ーシング中のみに収納された一つの多孔質キャリアを具
    備し、前記ケーシングの通液路の途中に多孔質キャリア
    を露出させる判定確認窓を設け、前記多孔質キャリア
    に、前記判定確認窓の位置に検体を固定化する抗体を固
    定し、前記判定確認窓と前記容器の間に標識付き抗体を
    保持した免疫クロマトグラフィー装置であって、前記容
    器は、その内部が空洞であって、かつ分析するのに十分
    な量の試料液を一度に保持できるだけの容量を有してい
    ることを特徴とする免疫クロマトグラフィー装置
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