JP3265318B2 - 輪郭形状測定データ補正方法及び輪郭形状測定機 - Google Patents

輪郭形状測定データ補正方法及び輪郭形状測定機

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JP3265318B2 JP09282697A JP9282697A JP3265318B2 JP 3265318 B2 JP3265318 B2 JP 3265318B2 JP 09282697 A JP09282697 A JP 09282697A JP 9282697 A JP9282697 A JP 9282697A JP 3265318 B2 JP3265318 B2 JP 3265318B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワークの輪郭形状
を求める輪郭形状測定機に係わり、特に、触針の移動方
向及びそれに直角な方向の変位量をリニアエンコーダで
検出する輪郭形状測定機の測定データの補正方法及びそ
れを備えた輪郭形状測定機に関するものである。
【従来の技術】
【0002】図7に一般的な輪郭形状測定機の測定部4
0を示す。図7に示すように、測定部40は、ベース4
1に立設されたコラム42に送り装置43が設けられ、
触針49を有し触針49のZ方向(鉛直方向)の変位量
を検出する検出器44が、送り装置43にX方向(水平
方向)移動自在に設けられている。送り装置43には検
出器44の移動量(Z方向との名称を統一するために、
本明細書ではX方向についても「変位量」という)を検
出するリニアエンコーダが内蔵されている。これによっ
て、ワークWの測定位置に触針49を当接した状態で検
出器44をX方向に移動させると、触針49のZ方向の
変位量が検出器44で検出され、検出器44のX方向の
変位量が送り装置43のスケールで検出されて、測定デ
ータ(触針49のX及びZ方向の変位データ)が得られ
る。そして、測定データからワークWの輪郭形状が演算
され、その結果がCRTやX−Yレコーダーに出力され
る。
【0003】検出器44の検出方式としては差動トラン
ス等が用いられるものもあるが、差動トランス等は測定
誤差が検出範囲に比例するので、輪郭形状測定のように
測定範囲が比較的広い場合は、X方向の変位量の検出と
同様にリニアエンコーダが用いられることが多くなって
きている。
【0004】ところで、リニアエンコーダとしては一般
的に光電式が多く用いられる。光電式リニアエンコーダ
では精密に目盛りが刻まれたスケールを基準とし、その
目盛りを読取りヘッドで計数することによって変位量を
検出するが、目盛りと目盛りとの間(狭範囲)の変位量
についても微細に検出することができる。つまり、読取
りヘッドにも精密に刻まれた目盛りが設けられており、
狭範囲内で変位するとスケールの目盛りと読取りヘッド
の目盛りとの相対位置が変化して、光量が正弦波的に変
化するので、これを電気的に分割して微細な変位量を求
める。例えば、狭範囲としては10〜20μm、これを
50〜100に分割する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この場合、広範囲はス
ケールの目盛り間の距離の精度がそのまま測定精度とし
て現れるのでスケールの製作精度に依存するが、狭範囲
は読取りヘッドとの位置関係(スケールと読取りヘッド
の目盛り同士の相対的な傾きやスケールと読取りヘッド
との隙間等)によって影響される。すなわち、スケール
と読取りヘッドとの位置関係が正しく調整されないと、
正しい正弦波形が得られないので検出された値に誤差が
発生する。通常、狭範囲の調整方法としては、出力が互
いに位相が90゜ずれるように読取りヘッド内に設けら
れた2つの光電センサーの出力を、X−Yのグラフにプ
ロットさせ、プロット図形(リサージュ波形)が真円に
なるように、スケールと読取りヘッドとの位置関係を調
整する。図8で示したのは、真円Jに対してリサージュ
波形Kが楕円になっている例であり、真円Jに対する差
δが誤差を表している。
【0006】しかしながら、このような調整を行うため
には多くの時間がかかり、調整精度には作業者による個
人差が生じやすい。また、スケールと読取りヘッドとの
位置関係は機械的に調整しいてるので一度正しく調整さ
れてたとしても、温度変化や振動などで経年変化するお
それは免れられない。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、触針49の移動方向(X方向)及びそれに直角
な方向(Z方向)の変位量をリニアエンコーダで検出す
る輪郭形状測定機において、リニアエンコーダの狭範囲
を容易に補正することができて、作業者による差が生じ
にくく、経年変化するおそれが極めて小さい方法及びそ
れを備えた輪郭形状測定機を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、高平面度面を有する基準ゲージを斜めにし
て測定し、得られた測定データのうちリニアエンコーダ
の狭範囲に相当する分の測定データについて、最小二乗
直線を算出するとともにその最小二乗直線からの個々の
測定データの偏差を求め、得られた偏差をリニアエンコ
ーダの狭範囲補正値とするようにする。
【0009】この場合、測定データはZ方向とX方向の
2つのリニアエンコーダから出力されるので、補正値の
算出に当たってはZ方向とX方向とを分離して行う。つ
まり、まず、X方向の出力が無視できる程度小さくなる
ように、基準ゲージの高平面度面を水平面に対して小さ
な角度傾けた状態で測定し、その測定データからZ方向
の補正値を算出する。次に、触針が基準ゲージを正確に
トレースできる程度の範囲内で大きな角度傾けた状態で
測定し、その測定データをZ方向の補正値で補正した
後、X方向の補正値を算出する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係る輪郭形状測定機の実
施の形態のブロック図を図3に示す。図3に示すよう
に、測定部40は従来の技術(図7)で説明したよう
に、ワークWの表面に触針49を当接させながら触針4
9をワークWに対して相対的に移動させ、触針49のZ
方向及びX方向の変位量をリニアエンコーダで検出する
ものである。
【0011】Z補正値算出部31は、基準ゲージGの高
平面度面Gaを水平面に対して小さな角度傾けて測定し
得られた測定データのうち、検出器44に内蔵されたZ
リニアエンコーダの狭範囲に相当する測定データについ
て、最小二乗直線を算出するとともにその最小二乗直線
からの個々の測定データの偏差を求め、得られた偏差を
Zリニアエンコーダの狭範囲補正値δzとする。Z補正
値記憶部32は、狭範囲補正値δzを記憶する。
【0012】同様に、X補正値算出部33は、基準ゲー
ジGを大きな角度傾けて高平面度面Gaを測定し得られ
た測定データのうち、送り装置43に内蔵されたXリニ
アエンコーダの狭範囲に相当する測定データについて、
先に求めた狭範囲補正値δzで補正した後、最小二乗直
線を算出するとともにその最小二乗直線からの個々の測
定データの偏差を求め、得られた偏差をXリニアエンコ
ーダの狭範囲補正値δxとする。X補正値記憶部34
は、狭範囲補正値δxを記憶する。
【0013】以上が補正値の算出部分であり、前述した
狭範囲補正値δz及びδxが設定記憶された後にワーク
を測定すると、Z測定データ補正部35は、検出器44
から出力された触針49のZ方向の変位量を、Z補正値
記憶部32から出力された狭範囲補正値δzを用いて補
正する。また、X測定データ補正部36は、検出器44
のX方向の変位量を、X補正値記憶部34から出力され
た狭範囲補正値δxを用いて補正する。そして、輪郭形
状算出部37はZ測定データ補正部35及びX測定デー
タ補正部36で補正された測定データによってワークの
輪郭形状を算出する。
【0014】図1に示したフローチャートは、狭範囲補
正値δz及び狭範囲補正値δxを算出する手順である。
また、図3は狭範囲補正値δz算出のための基準ゲージ
測定説明図、図4は狭範囲補正値δzの算出説明図、図
5は狭範囲補正値δx算出のための基準ゲージ測定説明
図、図6は狭範囲補正値δxの算出説明図である。
【0015】まず、平面度精度の高い面(高平面度面G
a)を有する基準ゲージGを、X方向の出力が無視でき
る程度の小さな角度(例えばθa=2.5゜)傾けて測
定部40にセットし(ステップ11)高平面度面Gaを
測定する(ステップ12)。そして、得られた全測定デ
ータ(図3でLa)の中からZリニアエンコーダの狭範
囲Za(例えばZa=10μm)分の測定データが得ら
れる補正区間Maを設定し(ステップ13)、補正区間
Ma内の測定データについて最小二乗直線Baを算出し
(ステップ14)、その最小二乗直線BaからのZ方向
偏差を個々の測定データごとに求め、得られた偏差をZ
リニアエンコーダの狭範囲補正値δzとする(ステップ
15)。そして狭範囲補正値δzを記憶する(ステップ
16)。なお、θa=2.5゜、Za=10μmの場
合、触針49の必要なX方向変位量(補正区間Maと同
じ)は250μm程度になる。
【0016】次に、基準ゲージGを、触針49が基準ゲ
ージGを正確にトレースできる程度の範囲内で大きな角
度(例えばθb=45゜)傾けて測定部40にセットし
(ステップ17)高平面度面Gaを測定する(ステップ
18)。そして、得られた全測定データ(図5でLb)
の中からXリニアエンコーダの狭範囲Xa(例えばXa
=10μm)分の測定データが得られる補正区間Mbを
設定し(ステップ19)、補正区間Mb内の測定データ
について狭範囲補正値δzで補正した後(ステップ2
0)、最小二乗直線Bbを算出し(ステップ21)、そ
の最小二乗直線BbからのX方向偏差を個々の測定デー
タごとに求め、得られた偏差をXリニアエンコーダの狭
範囲補正値δxとする(ステップ22)。そして、狭範
囲補正値δxを記憶する(ステップ23)。
【0017】なお、基準ゲージGは専用に製作してもよ
いが、オプチカルフラットやブロックゲージ等を用いて
もよい。いずれも、高精度の平面度面が必要な長さは数
mm程度あればよい。
【0018】また、リニアエンコーダの狭範囲検出方式
としては、モアレ縞方式や光干渉方式等があるが、いず
れの場合についても本発明は適用できる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、触
針の移動方向及びそれに直角な方向の変位量をリニアエ
ンコーダで検出する輪郭形状測定機において、高平面度
面を有する基準ゲージを測定して得られた測定データか
ら、リニアエンコーダの狭範囲補正値を算出し、ワーク
測定時にはその補正値を用いて測定データを補正するよ
うにした。したがって、スケールと読取りヘッドとの正
確な位置関係を機械的に調整しなくてもよいので、リニ
アエンコーダの狭範囲を容易に補正することができ、調
整精度に作業者による個人差が生じたり、一度正しく調
整されてたものが経年変化するおそれもない輪郭形状測
定機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る輪郭形状測定データ補正方法の実
施の形態のフローチャート
【図2】本発明に係る輪郭形状測定機の実施の形態のブ
ロック図
【図3】本発明に係る輪郭形状測定データ補正方法の実
施の形態のZ方向狭範囲補正値算出のための基準ゲージ
測定説明図
【図4】本発明に係る輪郭形状測定データ補正方法の実
施の形態のZ方向狭範囲補正値算出説明図
【図5】本発明に係る輪郭形状測定データ補正方法の実
施の形態のX方向狭範囲補正値算出のための基準ゲージ
測定説明図
【図6】本発明に係る輪郭形状測定データ補正方法の実
施の形態のX方向狭範囲補正値算出説明図
【図7】一般的な輪郭形状測定機の測定部外観図
【図8】リニアエンコーダのリサージュ波形例
【符号の説明】
11……基準ゲージ設定ステップ 12……基準ゲージ測定ステップ 13……Z補正区間設定ステップ 14……Z基準直線算出ステップ 15……Z補正値算出ステップ 16……Z補正値記憶ステップ 17……基準ゲージ設定ステップ 18……基準ゲージ測定ステップ 19……X補正区間設定ステップ 20……Zデータ補正ステップ 21……X基準直線算出ステップ 22……X補正値算出ステップ 23……X補正値記憶ステップ

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】触針の移動方向の変位量を検出するXリニ
    アエンコーダ及びその移動方向に直角な方向の前記触針
    の変位量を検出するZリニアエンコーダを有し、ワーク
    の表面に前記触針を当接させながら前記触針をワークに
    対して相対的に移動させ、前記触針の移動方向及びそれ
    に直角な方向の変位量を前記Xリニアエンコーダ及び前
    記Zリニアエンコーダで検出して、ワークの輪郭形状を
    測定する輪郭形状測定機において、 高平面度面を有する基準ゲージのその高平面度面を、前
    記触針の移動方向に対して小さな角度傾けて測定し、 得られた測定データのうち、前記Zリニアエンコーダの
    狭範囲に相当する測定データについて、最小二乗直線を
    算出するとともに、その最小二乗直線からの個々の測定
    データの偏差を求め、 得られた偏差を前記Zリニアエンコーダの狭範囲補正値
    とし、 前記基準ゲージの高平面度面を、前記触針が基準ゲージ
    を正確にトレースできる程度の範囲内で大きな角度傾け
    て測定し、 得られた測定データのうち、前記Xリニアエンコーダの
    狭範囲に相当する測定データについて、前記Zリニアエ
    ンコーダの狭範囲補正値で補正した後、最小二乗直線を
    算出するとともに、その最小二乗直線からの個々の測定
    データの偏差を求め、 得られた偏差を前記Xリニアエンコーダの狭範囲補正値
    とすることを特徴とする輪郭形状測定データ補正方法。
  2. 【請求項2】前記Zリニアエンコーダ及びXリニアエン
    コーダが光電式で狭範囲出力が正弦波形であることを特
    徴とする請求項1に記載の輪郭形状測定データ補正方
    法。
  3. 【請求項3】前記小さな角度が2.5゜で、前記大きな
    角度が45゜であることを特徴とする請求項1又は請求
    項2に記載の輪郭形状測定データ補正方法。
  4. 【請求項4】触針の移動方向の変位量を検出するXリニ
    アエンコーダ及びその移動方向に直角な方向の前記触針
    の変位量を検出するZリニアエンコーダを有し、ワーク
    の表面に前記触針を当接させながら前記触針をワークに
    対して相対的に移動させ、前記触針の移動方向及びそれ
    に直角な方向の変位量を前記Xリニアエンコーダ及び前
    記Zリニアエンコーダで検出する測定部と、 高平面度面を有する基準ゲージと、 前記基準ゲージの高平面度面を、前記測定部で前記触針
    の移動方向に対して小さな角度傾けて測定し得られた測
    定データのうち、前記Zリニアエンコーダの狭範囲に相
    当する測定データについて、最小二乗直線を算出すると
    ともにその最小二乗直線からの個々の測定データの偏差
    を求め、得られた偏差を前記Zリニアエンコーダの狭範
    囲補正値とするZ補正値算出部と、 前記Zリニアエンコーダの狭範囲補正値を記憶するZ補
    正値記憶部と、 前記基準ゲージの高平面度面を、前記測定部で前記触針
    が前記基準ゲージを正確にトレースできる程度の範囲内
    で大きな角度傾けて測定し得られた測定データのうち、
    前記Xリニアエンコーダの狭範囲に相当する測定データ
    について、前記Zリニアエンコーダの狭範囲補正値で補
    正した後、最小二乗直線を算出するとともにその最小二
    乗直線からの個々の測定データの偏差を求め、得られた
    偏差を前記Xリニアエンコーダの狭範囲補正値とするX
    補正値算出部と、 前記Xリニアエンコーダの狭範囲補正値を記憶するX補
    正値記憶部と、を備えたことを特徴とする輪郭形状測定
    機。
  5. 【請求項5】前記Zリニアエンコーダ及びXリニアエン
    コーダが光電式で狭範囲出力が正弦波形であることを特
    徴とする請求項4に記載の輪郭形状測定機。
  6. 【請求項6】前記小さな角度が2.5゜で、前記大きな
    角度が45゜であることを特徴とする請求項4又は請求
    項5に記載の輪郭形状測定機。
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