JP3264581B2 - 交流電動機の制御装置 - Google Patents

交流電動機の制御装置

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JP3264581B2
JP3264581B2 JP05797494A JP5797494A JP3264581B2 JP 3264581 B2 JP3264581 B2 JP 3264581B2 JP 05797494 A JP05797494 A JP 05797494A JP 5797494 A JP5797494 A JP 5797494A JP 3264581 B2 JP3264581 B2 JP 3264581B2
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耕作 市川
昭彦 黒岩
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、直流電圧を交流電圧に
変換し交流電動機を駆動する電圧形インバ―タを具備し
た交流電動機の制御装置に係り、特に短絡等により過大
な電流が流れたときに、装置を保護し運転を継続するよ
うにした交流電動機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電力発電プラントの冷却ポンプや上下水
道の送水ポンプ等、公益施設に用いられる交流電動機の
制御装置は高信頼度の運転が要求される。この種の制御
部を二重化した従来装置を図4(a)(b)に示す。
【0003】図4(a)において、主回路部10は、しゃ
断器11、コンバ―タ部12、リアクトル13、インバ―タ部
14から成る電流形インバ―タを構成し、交流電動機30を
駆動する。制御部20は速度指令器21、制御部22,23、切
換操作部24,25、切換部26から成り、いずれか一方の制
御部によって運転が行われ、他方の制御部を待機状態に
しておく。運転中の制御部に故障が発生すると、切換操
作部24,25が動作し、他方の制御部に切り換えて運転が
継続される。この従来例の場合、直流短絡故障が発生し
た場合に、過大な電流が流れないように電流制御を行う
ことができる。
【0004】しかし、図4(b)のように、主回路部10
がコンデンサ15を持つ電圧形インバ―タを構成する場
合、直流短絡電流を抑えることができない。この場合、
インバ―タ部14に流れる短絡電流を分流する短絡器16が
設けられ、インバ―タ部のスイッチ素子を保護すること
が行われている。
【0005】このように、制御部を二重化した場合、故
障発生時には一般に、運転中の制御部を停止させ、故障
検出をリセットした後に待機している制御部に切り換え
て、運転を再開させる方法が採られる。
【0006】故障の種類や検出手段は、いろいろあるが
例えば、過電流故障は主回路素子の耐量(GTOの場合
にはタ―ンオフ能力)範囲以内で検出して保護停止させ
るため主回路素子の健全性を確認せずに待機系の制御部
に切り替えて再起動することが可能である。しかしなが
ら、電圧形インバ―タで直流短絡故障の場合には、主回
路素子の耐量(GTOではタ―ンオフ能力)以上の電流
が流れるので、前述したように短絡器16を設ける方法が
採用される。短絡器を設けた場合でも制御信号に起因し
た直流短絡故障の場合には主回路素子が健全であるとは
限らない。したがって、直流短絡故障が発生した場合に
は、素子など主回路機器の故障拡大の心配があるため待
機系の制御部で再起動させないのが一般的であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述の如く公益施設に
用いられる高信頼性を要求される装置では、制御部を二
重化して可能な限り運転を継続するように構成しても直
流短絡故障発生時にはシステムの運転継続は困難とされ
高信頼化システムを組む上で問題であった。
【0008】本発明は、前述の点に鑑みてなされたもの
であり、電圧型インバ―タにより交流電動機を駆動する
場合、直流短絡故障発生時にも主回路状態を監視して再
起動させ、運転を継続させる高信頼性の交流電動機の制
御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、交流を直流に変換しコンデンサで平滑し
た直流電圧を出力するコンバ―タ部と、前記直流電圧を
可変周波数の交流電圧に変換し交流電動機を駆動するイ
ンバ―タ部を備えた装置において、次のような手段を設
ける。
【0010】請求項1の発明として、前記コンデンサの
放電電流が所定値を越えるとき、前記コンバ―タ部とイ
ンバ―タ部の制御動作を中止させ、前記直流電圧の正負
間をリアクトルを介して短絡し、半波の共振電流を流し
てコンデンサの電圧の極性を反転させる短絡手段と、反
転したコンデンサの電圧により前記インバ―タ部内のフ
リ―ホイ―ルダイオ―ドとアノ―ドリアクトルを介して
半波の共振電流が流れ、通常の極性の電圧に回復し、所
定時間が経過したとき、回復信号を出力する回復電圧検
出手段を設け、前記回復信号が出力されたとき、前記コ
ンバ―タ部とインバ―タ部の制御動作を再開させる。
【0011】請求項2の発明として、前記コンデンサの
放電電流が所定値を越えるとき、前記コンバ―タ部とイ
ンバ―タ部の制御動作を中止させ、前記インバ―タ部の
全てのスイッチ素子を導通させ、該スイッチ素子と直列
接続されるアノ―ドリアクトルを介して前記直流電圧の
正負間を短絡し、半波の共振電流を流してコンデンサの
電圧の極性を反転させる短絡手段と、反転したコンデン
サの電圧により前記インバ―タ部内のフリ―ホイ―ルダ
イオ―ドとアノ―ドリアクトルを介して半波の共振電流
が流れ、通常の極性の電圧に回復し、所定時間が経過し
たとき、回復信号を出力する回復電圧検出手段を設け、
前記回復信号が出力されたとき、前記コンバ―タ部とイ
ンバ―タ部の制御動作を再開させる。
【0012】請求項3の発明として、更に、前記コンバ
―タ部とインバ―タ部を制御する制御部を少なくとも2
組備え、いずれか一方の制御部により前記コンバ―タ部
とインバ―タ部の制御動作を行わせ、前記回復信号が出
力されたとき、他方の制御部に切り替えて前記コンバ―
タ部とインバ―タ部の制御動作を再開させる。
【0013】
【作用】請求項1の発明は、インバ―タ部内のスイッチ
素子を介して直流短絡が発生し、コンデンサの放電電流
が所定値を越えると、前記短絡手段が動作し、リアクト
ルを介してコンデンサから半波の共振電流が流れ、コン
デンサの電圧の極性が反転し、最大電圧に到達した時点
からインバ―タ部内のフリ―ホイ―ルダイオ―ドとアノ
―ドリアクトルを介して逆方向に半波の共振電流が流
れ、コンデンサの電圧の極性は元の極性に復帰する。
【0014】この時点で、インバ―タ部内のスイッチ素
子が絶縁を回復していればコンデンサの電流は零となり
電圧は一定となる。前記回復電圧検出手段は、この状態
が所定時間経過した時点でインバ―タ部が正常と判断
し、回復信号を出力して装置の運転を再開させる。
【0015】請求項2の発明は、インバ―タ部内のスイ
ッチ素子を介して任意の相に直流短絡が発生し、コンデ
ンサの放電電流が所定値を越えると、前記短絡手段が動
作し、インバ―タ部内の全ての相のアノ―ドリアクトル
を介してコンデンサから半波の共振電流が流れ、コンデ
ンサの電圧の極性が反転し、最大電圧に到達した時点か
らインバ―タ部内のフリ―ホイ―ルダイオ―ドとアノ―
ドリアクトルを介して逆方向に半波の共振電流が流れ、
コンデンサの電圧の極性は元の極性に復帰する。
【0016】この時点で、インバ―タ部内のスイッチ素
子が絶縁を回復していればコンデンサの電流は零となり
電圧は一定となる。前記回復電圧検出手段は、この状態
が所定時間経過した時点でインバ―タ部が正常と判断
し、回復信号を出力して装置の運転を再開させる。
【0017】請求項3の発明は、更に、装置の制御部を
少なくとも2組備え、いずれか一方の制御部で装置の運
転を行い、直流短絡が発生して回復信号が出力されたと
き、待機状態の他方の制御部によって装置の運転が再開
される。
【0018】
【実施例】本発明の交流電動機の制御装置の請求項1と
請求項3に対応する実施例を図1に示す。図1におい
て、主回路部10は、しゃ断器11を介して交流を直流に変
換し、リアクトル13とコンデンサ15により平滑した直流
電圧を出力するコンバ―タ12、この直流電圧を可変周波
数の交流電圧に変換し、交流電動機30を駆動するインバ
―タ14、コンデンサ15の電流を検出する電流検出器41、
リアクトル42を介して直流電圧の正負間を短絡するサイ
リスタ等で成る短絡器16、電流検出器41の出力信号が所
定値を越えるとき、短絡器16を動作させると共に故障信
号s1 を出力する短絡検出器43、直流電圧が正の所定値
以上のとき判定信号aを出力するレベル検出器44を備考
えて構成される。
【0019】制御回路20は、交流電動機30の目標速度を
与える速度指令器21、それぞれ主回路部10を制御する制
御部22,23、この制御部22,23の運転、停止を指示する
操作部24,25、制御部22,23のいずれか一方の制御出力
を選択出力する切換部26、故障信号s1 と判定信号aに
応じて回復信号s2 を出力する回復電圧検出手段27を備
えて構成される。
【0020】上記構成において、コンバ―タ12とインバ
―タ14は切換部26を介して制御部22,23のいずれか一方
によって制御され、他方の制御部は待機状態となる。例
えば、操作部24から運転指令bが出力され制御部22によ
ってコンバ―タ12とインバ―タ14が制御され交流電動機
30を駆動しているとき、コンデンサ15に流れる電流ic
は図2に示すようにインバ―タ出力の無効電流成分によ
るリップル電流となる。
【0021】ここで、制御部22の異常等によりインバ―
タ14を介して直流短絡が発生すると、コンデンサ15の放
電電流が急速に増大し所定電流を越える時点t0 で短絡
検出器43が動作して短絡器16を閉路すると同時に信号s
1 を出力し操作部24の運転指令bの出力を停止させる。
これにより、コンバ―タ12からの電力の供給は停止さ
れ、コンデンサ15の充電電荷による放電電流ic は短絡
相のスイッチ素子に流れる電流と並行してリアクトル42
を介して分流し共振電流が流れてコンデンサの電圧Vd
は急速に減少し極性の反転した負の電圧となり、時点t
1 でレベル検出器44の出力信号aは0となる。このリア
クトル42に分流して流れる共振電流is は短絡器16の整
流作用によって図2のt0 −t2 間に示すように半波の
共振電流となり、時点t2 でコンデンサの電圧Vd は負
の最大電圧となる。この時点t2 からインバ―タ14内の
アノ―ドリアクトル14aとフリ―ホイ―ルダイオ―ド14
cを介してコンデンサ15の反転した充電電荷により共振
電流ic が流れコンデンサの電圧は再び正の電圧に回復
し、時点t3 でレベル検出器44の出力信号aは1とな
る。時点t2 以降のコンデンサの電圧Vd の負の期間中
にインバ―タ14のスイッチ素子14bの順電圧絶縁が回復
していれば、負の半波の共振電流が流れ終った時点t4
以降からコンデンサの電流ic は零となり回復した正の
電圧で一定となる。この状態が時点t3 から一定時間T
d 経過した時点t5 で回復電圧検出手段27から回復信号
2 が出力され操作部25を介して運転指令cが出力され
待機状態の制御部23が制御動作を開始し、切換部26を介
してコンバ―タ12とインバ―タ14の運転を再開させる。
【0022】なお、短絡器16としてサイリスタを用いた
場合、アノ―ドリアクトルのインダクタンスはコンデン
サ15による半波の共振電流の流通期間t2 −t4 が該サ
イリスタのタ―ンオフ時間の2倍より十分大きくなるよ
うに設定し、t2 以降のVdの負電圧期間中に確実にタ
―ンオフさせるようにする。
【0023】本発明の第2実施例を図3に示す。この第
2実施例では、指令に応じてインバ―タ14の全てのスイ
ッチ素子を導通させる全点弧手段45を備え、短絡検出器
43は、この全点弧手段45に指令を与えるようにして、短
絡器16とリアクトル42を省略した例である。この構成に
おいて、インバ―タ14の任意の相の正負のスイッチ素子
が同時にオンして直流短絡が発生し、コンデンサ15の放
電電流が所定電流を越えると、短絡検出器43が動作して
全点弧の指令を出力し全点弧手段45を介してインバ―タ
14の全てのスイッチ素子を導通させコンバ―タ12とイン
バ―タ14の運転を中止させる。これにより短絡相の電流
は健全相に分流され、各相のアノ―ドリアクトル14aを
介して半波の共振電流が流れ、コンデンサ15の電圧を反
転させる。更にフリ―ホイ―ルダイオ―ド14cを介して
負の半波の共振電流が流れ、コンデンサ15の電圧を通常
の極性に回復させる。この場合、インバ―タ14の全ての
スイッチ素子が順電圧絶縁を回復していればコンデンサ
15の電圧はそのまま一定となり、一定時間経過した時点
で回復電圧検出手段27から回復信号s2 が出力され、前
述と同様にしてコンバ―タ12とインバ―タ14の運転が再
開される。
【0024】なお、以上の説明では、制御部を二重化し
た例で示したが、制御部を1つしか持たない通常の制御
を行うものに適用することができる。この場合、制御以
外の要因によって生じる直流短絡のみ保護することは云
うまでもない。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、電圧形インバ―タの任
意の相に直流短絡が発生した場合に、短時間だけ装置を
停止して該短絡相のスイッチ素子を過電流から保護する
と共に、該スイッチ素子の順電圧絶縁が回復したとき、
装置の運転を再開させることが可能となり運転信頼性の
高い交流電動機の制御装置が得られる。
【0026】また、制御部を二重化し、装置の運転を再
開させるとき、他の制御部に切り換えることが可能とな
り、更に、制御信頼性の高い交流電動機の制御装置を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1と請求項3に対応する実施例
の構成図
【図2】上記実施例の作用を説明するためのタイムチャ
―ト
【図3】本発明の請求項2と請求項3に対応する第2実
施例の構成図
【図4】従来装置の構成図で、(a)は電流形インバ―
タを用たもの、(b)は電圧形インバ―タを用たもの
【符号の説明】
10…主回路部 11…しゃ断器 12…コ
ンバ―タ 13…直流リアクトル 14…インバ―タ 15…コ
ンデンサ 16…短絡器 20…制御回路 21…速
度指令器 22,23…制御部 24,25…操作部 26…切
換部 27…回復電圧検出手段 41…電流検出器 42…短
絡用リアクトル 43…短絡検出器 44…レベル検出器 45…全
点弧手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−344738(JP,A) 特開 昭61−295875(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02M 7/48 H02P 7/63

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交流を直流に変換しコンデンサで平滑し
    た直流電圧を出力するコンバ―タ部と、前記直流電圧を
    可変周波数の交流電圧に変換し交流電動機を駆動するイ
    ンバ―タ部を備えた装置において、 前記コンデンサの放電電流が所定値を越えるとき、前記
    コンバ―タ部とインバ―タ部の制御動作を中止させ、前
    記直流電圧の正負間をリアクトルを介して短絡し、半波
    の共振電流を流してコンデンサの電圧の極性を反転させ
    る短絡手段と、反転したコンデンサの電圧により前記イ
    ンバ―タ部内のフリ―ホイ―ルダイオ―ドとアノ―ドリ
    アクトルを介して半波の共振電流が流れ、通常の極性の
    電圧に回復し、所定時間が経過したとき、回復信号を出
    力する回復電圧検出手段を設け、前記回復信号が出力さ
    れたとき、前記コンバ―タ部とインバ―タ部の制御動作
    を再開させることを特徴とする交流電動機の制御装置。
  2. 【請求項2】 交流を直流に変換しコンデンサで平滑し
    た直流電圧を出力するコンバ―タ部と、前記直流電圧を
    可変周波数の交流電圧に変換し交流電動機を駆動するイ
    ンバ―タ部を備えた装置において、 前記コンデンサの放電電流が所定値を越えるとき、前記
    コンバ―タ部とインバ―タ部の制御動作を中止させ、前
    記インバ―タ部の全てのスイッチ素子を導通させ、該ス
    イッチ素子と直列接続されるアノ―ドリアクトルを介し
    て前記直流電圧の正負間を短絡し、半波の共振電流を流
    してコンデンサの電圧の極性を反転させる短絡手段と、
    反転したコンデンサの電圧により前記インバ―タ部内の
    フリ―ホイ―ルダイオ―ドとアノ―ドリアクトルを介し
    て半波の共振電流が流れ、通常の極性の電圧に回復し、
    所定時間が経過したとき、回復信号を出力する回復電圧
    検出手段を設け、前記回復信号が出力されたとき、前記
    コンバ―タ部とインバ―タ部の制御動作を再開させるこ
    とを特徴とする交流電動機の制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1及び請求項2のいずれかに記載
    の交流電動機の制御装置において、前記コンバ―タ部と
    インバ―タ部を制御する制御部を少なくとも2組備え、
    いずれか一方の制御部により前記コンバ―タ部とインバ
    ―タ部の制御動作を行わせ、前記回復信号が出力された
    とき、他方の制御部に切り替えて前記コンバ―タ部とイ
    ンバ―タ部の制御動作を再開させることを特徴とする交
    流電動機の制御装置。
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