JP3259891B2 - ホログラム記録材料 - Google Patents
ホログラム記録材料Info
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Description
関する。詳しくは、光情報処理の分野におけるホログラ
フィー技術に関する。
る現象をフォトリフラクティブ効果と称する。光の干渉
縞を照射すると、この干渉縞の形そのままに屈折率が変
調され、光照射を止めても、この屈折率変調が保存され
て一種の回折格子として働く。このような効果を示す材
料は、ホログラフィー技術のなかで、ホログラムの記録
媒体として利用されている。
す材料に、ホログラフィー技術で称するところの「物体
光」と「参照光」を照射して、前記材料中に干渉縞を形
成すると、干渉縞が材料の屈折率変調として記録され
る。記録された屈折率変調は、前記のように一種の回折
格子であり、ホログラフィー技術で称するところの「ホ
ログラム」である。前記参照光及び物体光の照射を止め
た後、この参照光に相当する光(再生光と称する)を再
び前記材料に照射すると、前記ホログラムによる回折現
象で、前記物体光が再生される。
ては、電気光学結晶として知られるニオブ酸リチウム、
ニオブ酸ストロンチウムバリウム、チタン酸バリウム、
ニオブ酸カリウム、タンタル酸ニオブ酸カリウムなどの
単結晶などがある。特に、タンタル酸ニオブ酸カリウム
又はこれに他の元素を添加した材料の結晶は、フォトリ
フラクティブ効果を示す材料のうちで、電気信号でホロ
グラムの回折効率を制御できるもとのして、現在では唯
一知られる材料である。この材料は、ホログラフィーの
原理を使った従来の素子(ホログラフィック素子と称す
る)特有の波面変換機能や波長選択機能に、電気信号に
よる制御性を併せ持つ新しい素子を作製できる点で有望
な材料である。
記録や、近年注目されている位相共役光発生の他、記録
された回折格子の波長選択性を利用したフィルタなどが
あり、このフィルタは既に市販されている。フォトリフ
ラクティブ効果の発現のメカニズムは、以下の(1)(2)
(3)ように順を追って説明される。
干渉縞の光強度分布に従って結晶中でキャリア(電子又
は正孔)が光励起と移動、再結合という経過を経て再配
列され、空間電荷ができる、(3)空間電荷には空間電界
が伴うため電気光学効果により屈折率が変調される。但
し、同じ空間電場であっても、材料によって屈折率の変
調のされかたが多少異なる。空間電場の振幅がESCの
時、ホログラムの屈折率変調の振幅n1は、ニオブ酸リ
チウム、ニオブ酸ストロンチウムバリウム、チタン酸バ
リウム、ニオブ酸カリウム等の一次の電気光学効果を持
つ電気光学結晶の場合、下式(1)で示す結果となる。
は、下式(2)で示す結果となる。 n1=(1/2)n0 3gESCE …(2) 尚、n0は各電気光学結晶の屈折率、r,gはそれぞれ
1次及び2次の電気光学係数、Eは外部から印加する電
圧である。ホログラム効果の大きさは、このn1の大き
さにより表される。これらの式から、明らかなように、
立方晶のタンタル酸ニオブ酸カリウムは他の材料と異な
り、ホログラムの効果の大きさが外部印加電界によって
変わる。
数的に時間変化する。時定数τは、概ね誘電緩和時間で
表される。 τ=ε/σ 尚、εは誘電率、σ導電率である。図2はホログラムの
空間電界ESCの時間変化の例を示す。時刻t=0で光照
射を始め、干渉縞を形成すると、時定数τ1をもって立
ち上がり、やがて飽和に達する。このときの時定数τ1
はσをキャリアの光励起による導電率としたものであ
る。光導電率は光強度に比例するため、光強度によって
立ち上がりの速度は異なるが、同じ光速度で比較した場
合に、時定数τ1が短い場合を感度が良いとする。
くりとした時定数τ2で徐々に消えて行く。この時の時
定数τ2はσをキャリアの熱励起による暗導電率とした
ものである。時刻t1で光の照射を止める代わりに、干
渉縞のような強度分布のない、均一な光を照射すると、
もょと短い時定数τ3で消える。これは、光励起による
導電率が暗導電率よりもはるかに大きいからである。
効果を示す電気光学結晶をホログラム記録材料として用
いるうえで、一つの問題点が指摘される。即ち、ホログ
ラムの安定性である。記録したホログラムを再生する時
に照射する再生光は、通常、何の情報も持たない均一な
光を用いる。従って、ホログラムの再生を行うと、ホロ
グラムは消えて行く(再生破壊と称する)。また光を照
射しないまでも、室温でしばらく放置してもキャリアの
熱励起によってホログラムは消去される。ホログラムの
寿命は、通常は長くて数日程度である。従ってフィルタ
などの光学素子に用いるためには、何らかの方法で消去
されないようにする必要がある。この操作を定着と称す
る。
がある。前者は、光を照射しない状態での前記のキャリ
アに比べて、高温ではより動きやすく(σが大きい)、
室温ではより動きにくい(σが小さい)イオン、例え
ば、水素イオン等が結晶に含まれているときに可能であ
る。このような結晶にホログラムが記録されている(キ
ャリアの空間分布がある)とき、この結晶の温度を十分
に上げると、キャリアが熱励起によって動いて空間分布
が消えてしまう前に、より動きやすいイオンがキャリア
の空間分布による空間電界を打ち消すように動く。この
状態で室温に戻すと、キャリアによる電荷分布は次第に
なくなってゆくが、この電荷分布を補償するように形成
されたイオンによる電荷分布は、イオンが動きにくいた
め非常に消えにくい。また、イオンは光励起によって動
きやすくなる(σが大きくなる)ことはないため、光を
照射しても消えない。
可能である。強誘電体には自発分極が有るため、空間電
界分布を自発分極の分布に置き換える方法である。この
場合も自発分極は室温でも安定であり、光照射とは関係
ないため、ホログラムの寿命は非常に長くなる。熱処理
による定着を利用した例としては、ニオブ酸リチウム結
晶を用いたフィルターがある。これは結晶育成中に水素
イオンが取り込まれることに着目して熱処理によってホ
ログラムの定着を行ったものである。
オブ酸カリウム単結晶(KTa1-xNbxO3,0≦x≦
0.35の組成のものは0℃で立方晶)は、上記(2)
式からも判るように、外部から印加する電界の大きさを
変えることにより、記録されたホログラムの回折効率を
0%から100%まで変化させることのできる材料であ
る。ホログラフィー特有の波面変換機能や波長選択機能
に、電気信号による制御性を併せ持つ素子が作製できる
点で有望な材料である。例えば、前記フィルタへの応用
例から類推されるように、通す波長を電気信号により自
由に設定することのできるフィルタを作製することがで
きる。
料とする場合、記録したホログラムが消去された時点
で、素子としての機能がなくなってしまうため、ホログ
ラムが消えないように定着操作を行うことが不可欠であ
る。しかし、従来のタンタル酸ニオブ酸カリウムには、
結晶中を動けるイオンが含まれていないため、熱的な定
着ができなかった。また、室温で強誘電体ではないた
め、電気的に定着することもできなかった。本発明は、
上記従来技術に鑑みて成されたものであり、ホログラム
の定着操作の可能なタンタル酸ニオブ酸カリウムによる
ホログラム記録材料を提供することを目的とする。
発明のホログラム記録材料の構成は、タンタル酸ニオブ
酸カリウム或いは該物質の構成元素であるところのタン
タル、ニオブ又はカリウムの一部を他の元素で置換した
化合物の結晶において、該結晶中に水素イオンを含むこ
とを特徴とする。
式で表されるペロブスカイト型の結晶構造を持つ酸化物
の一つである。カリウムイオンがAサイトに入ってお
り、Bサイトはタンタル又はニオブイオンが占める。結
晶中では、カリウムは1価であるので、やはり結晶中で
1価となるリチウムなどのアルカリ金属と置換すること
が可能である。本発明のホログラム記録材料は、カリウ
ムイオンの占めるべきAサイトの一部或いは格子間位置
に、やはり1価の水素イオン(陽子、プロトン)が入っ
ていることを特徴とする。
入射し、電子や正孔による空間電荷を形成する。 水素イオンの再配列:結晶の熱処理を行い、前記空間
電荷を補償するように水素イオンを移動させる。 電子、正孔の再配列:再び室温まで冷却し、一様な光
を照射して電子や正孔を結晶内全体に均一に分布させ
る。水素イオンは室温では殆ど動かず、この水素イオン
による空間電荷がレプリカとして残る。 上記操作により、ホログラムの寿命は飛躍的に向上す
る。なお、との操作は同時に行っても良い。即ち、
初めから温度を上げておいて、電子や正孔による空間電
場を形成しつつ、水素イオンを移動させるという操作で
ある。
を入れる方法は大きく分けて、次の(a)(b)のように二つ
方法がある。 (a)タンタル、ニオブ、カリウムなどの酸化物からなる
融液中から単結晶を育成するときに、この融液と水素ガ
ス或いは水蒸気とを反応させる方法である。この方法
は、KTN単結晶を育成する時、原料として主にK2C
O3、Ta2O5及びNb2O5の粉末を用いる。このうち、
K2CO3粉末がよく吸湿するために融解前の混合粉末に
水が取り込まれる。この水、または融解してから育成中
に雰囲気中から取り込まれる水から出た水素イオンが単
結晶中に入り込むことがある。但し、原料中に含まれる
不純物によっては全く水素イオンが入り込まないことが
ある。しかし、光感度を上げ、ホログラムの効果を大き
くするためには、不純物をドーピングするのが良い。原
料に混合しても、水素イオンが結晶中に入るのを妨げな
い不純物として鉄やコバルトなどが好適である。
に、結晶中に水素イオンを入れる方法である。単結晶に
水素イオンを注入する方法には、酸性の液体中に結晶を
つけておいて、この結晶中のAサイトのイオンと水素イ
オンを交換する方法(プロトン交換法と称する)、水蒸
気や水素ガスを含むガス中で熱処理する方法、また、こ
の二つの方法と同様であるが電気化学的に反応を促進す
る方法、更に加速水素イオンを注入する方法などがあ
る。尚、真空中での熱処理により、逆に結晶中の水素イ
オンを抜くことを可能である。これにより、単結晶中に
含まれる水素イオンの量を、適当な値に調節し、ホログ
ラムの寿命を制御可能である。水素イオンが多過ぎる
と、定着したホログラムの寿命が短くなる。
酸ニオブ酸カリウムが水素イオンを含むことを基本とす
るが、前記タンタル酸ニオブ酸カリウムは、そのAサイ
ト及びBサイトの一部を他の材料で置換したものでも良
い。Aサイトはアルカリ金属、例えば、リチウム、ナト
リウム、ルビジウム、フランシウムなどで、Bサイトは
バナジウムなどで置換できる。
成を適当に選ぶと室温で大きな効果を持つものになる
が、この結晶は割れ易いという欠点がある。カリウムの
一部をリチウムで置換した材料K1-yLiyTa1-xNbxO3
では、室温で効果が大きく、且つ、割れにくい結晶がで
きる。同様なことが、他の元素で置換した場合にも期待
できる。
に限界があるのに対し、ナトリウムはより多く置換でき
るため有望である。また、光に対する感度を上げるた
め、通常は、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニ
ッケル、鉄、銅、ロジウムなどの遷移元素を微量に添加
する。
参照して詳細に説明する。
ム記録材料の作製例である。銅を不純物として添加した
タンタル酸ニオブ酸カリウムリチウム(K0.95Li0 .05
Ta0.65Nb0.35O3)単結晶を、全ての面が結晶の(1
00)面に等価な面であるような立方体に切り出した。
大きさは、2mm×2mm×2mmである。この単結晶
を、濃度69%の硝酸に浸し、98℃に保って100日
間反応させた。これにより、結晶中のリチウムは、結晶
表面付近でほぼ100%、結晶中心部で50〜70%水
素に置換された。結晶表面全体に蒸着法又はスパッタリ
ング法で白金膜を堆積させ、表面からの水素イオンの蒸
発を防ぎ、1000℃で10分間熱処理を行って、結晶
内全体に水素イオンを均一に分布させた。
ム記録材料の作製例である。実施例1と同じ組成、大き
さの単結晶を用い、この単結晶の全面に、200KeV
の加速水素イオンを打ち込んだ。これを実施例1と同様
に表面を厚さ1μmの白金の膜で包み、1000℃で1
0分間熱処理を行って、結晶内全体水素イオンを均一に
分布させた。
ム記録材料の作製例である。実施例1と同じ組成、大き
さの単結晶を用い、この単結晶を、水蒸気中900℃
で、24時間熱処理した。これにより、結晶中の水素イ
オン濃度は1020cm -3程度になったと予想される。
着に関する。図1にホログラム定着の模式図を示す。同
図に示すように、Arイオンレーザの波長514.5n
mの発振光をビームスプリッタ(図示省略)で二つのレ
ーザビーム3,4に分け、これらのレーザビーム3,4
を互いに20°の角度を成すようにしてホログラム記録
材料1に入射させ、ホログラム記録材料1内で干渉させ
た。ホログラム記録材料1としては、実施例3の単結晶
を用いた。
し、このホログラム記録材料1を150℃で5分間熱処
理をした後、この単結晶に今度は一様なArイオンレー
ザ光を約1秒間照射した。このように定着の操作を完了
した後、再び、図1に示すように、ホログラム記録材料
1にレーザビーム3のみを照射し、ホログラム記録材料
1に電極2を通じて20Vの電圧を印加したところ、回
折が起こり、レーザビーム4と同じ方向に進む光を観測
できた。
ころ、回折効率の減少は全く見られなかった。また、定
着済みのホログラム記録材料1に任意の方向からレーザ
を1時間以上照射しても、全くホログラムの劣化は見ら
れなかった。
ム記録材料の作製例である。以下は、高純度の原料を用
いて単結晶を育成した例である。静置除冷法により、K
TN単結晶を育成した。原料は、純度99.99%のK
2CO3、純度99.99%のTa2O5及び純度99.9
9%のNb2O5の粉末である。これらをそれぞれ58m
ol%、29.4mol%、12.6mol%の比率と
なるように秤量して混合し、白金坩堝に入れて加熱、融
解させ、原料をよく反応させた後、除冷した。これによ
り1cm角程度の単結晶が得られる。
frared Spectorscopy )装置による測定で得た、この試
料の赤外透過スペクトルである。横軸は波数、縦軸は透
過率である。3480cm-1付近のピークが、結晶中の
酸素原子の周りに水素イオン(陽子)が有ることを示
す。ピークでの吸収係数は、0.67cm-1であり、こ
れより水素イオン濃度は10-3mol%(1023m-3)
程度であることが判った。
ム記録材料の作製例である。実施例5は、不純物のドー
ピングを行っていないものであった。しかし、不純物を
含まない場合、光に対する感度が悪い(応答が遅い)の
みならず、十分に時間がたって飽和に達してもホログラ
ムの空間電界の振幅は小さく回折効率も小さい(図2参
照)。そこで、同じく静置除冷法により、鉄(Fe)、
クロム(Cr)、コバルト(Co)、銅(Cu)を各1種
類ずつ不純物として含むKTN単結晶の育成を行った。
原料は、実施例5と全く同量のK2CO3、Ta2O5及び
Nb2O5に加え、少量のFe2O3、Cr2O3、Co3O4、C
uOの各粉末を一種類ずつ混合した。
見られ、特定の波長の光を吸収することが判った。Fe
ドープの単結晶は、ドープ量が少ないと黄色、多い時に
は赤褐色であった。Crドープの単結晶は、殆ど無色で
あった。Coドープの単結晶は、一個の結晶内で成長初
期の部分は黄色、成長が進むに連れて青色へと変色して
いった。Cuドープの単結晶も同様に、黄色から深い緑
色へと変色していた。一般に、着色して吸収が大きいほ
どフォトリフラクティブ効果の感度が良く、この点で、
鉄、コバルト、銅が良好であった。また、育成した個々
の単結晶についてFTIR装置で赤外光透過スペクトル
を測定した。その結果、原料にそれぞれ0.1mol
%、0.5mol%、1.0mol%のFe2O3を加え
て育成した単結晶については、水素イオンの存在を確認
できた。Cr2O3を加えた場合も同様である。
5mol%をそれぞれ加えたものから単結晶を育成した
が、双方とも3480cm-1付近のピークは観測でき
ず、水素イオンの存在を示す明確な証拠は得られなかっ
た。水素イオンを検出したものについては、3480c
m-1の吸収ピークより、その濃度は、10-3mol%
(1023m-3)程度と判った。色の観察、FTIR測定
の両結果より、光感度が良く且つ水素イオンを含むKT
N単結晶を育成するには、鉄次いでコバルトを不純物と
するのがクロムや銅を不純物とするよりも好適であるこ
とが判った。
ム記録材料の作製例である。静置除冷法を用いた実施例
5,6と異なり、TSSG法によりKTN単結晶を育成
した。本実施例の単結晶ホログラム記録材料は実施例8
で定着動作を確認した。原料は、純度99.99%のK
2CO3、純度99.99%のTa2O5及び純度99.9
9%のNb2O5の粉末である。これらをそれぞれ54.
4mol%、16.1mol%、29.9mol%の比
率となるように秤量して混合し、白金坩堝に入れて加
熱、融解させ、原料をよく反応させた後、種結晶を浸け
て除冷した。
囲まれた4.96×4.20×5.64mmの大きさの
直方体に切り出した。結晶全体では部分によって僅かに
組成が異なるが、EPMA(Electron Probe Micro Ana
lysis )による組成分析の結果、切り出した直方体試料
の中ではほぼ組成は一定であり、KとTaとNbのモル比
はほぼ52:35:13であり、室温では立方晶であっ
た。ピークでの吸収係数は1.4cm-1と、実施例5,
6の単結晶よりもやや大きかった。
に関する。図4にホログラム定着の模式図を示す。本実
施例は、電子等のキャリアの空間分布を生成してから温
度を上げる実施例4に比較して、初めから温度を上げて
おく点が異なる。実施例4と同様に、Arイオンレーザ
の波長514.5nmの発振光をビームスプリッタ(図
示省略)で二つのレーザビーム3,4に分け、これらの
レーザビーム3,4を互いに16°の角度を成すように
してホログラム記録材料1に入射させ、ホログラム記録
材料1内で干渉させた。ホログラム記録材料1には、高
圧交流電源7と電極2を用いて振動電界を印加した。
べてはるかに速くすると、キャリアの空間分布に関して
は、電界を全く掛けない状態と同一視することができ
る。更に、ホログラムの屈折率の変調振幅が非常に小さ
い場合、ホログラム記録材料1から出射して光ディテク
タ5で検出される光強度Iは次式で示される。 I=I1(1+ξn1) …(3) ここで、I1はホログラム記録材料1に入射前の光強
度、Eは外部印加電界、ξはホログラム記録材料1の材
料定数や実験の条件などによって決まる定数、n 1は前
述したように空間電界ESCと外部印加電界Eとに比例す
る。正負の符号は、電界の向きの取り方等によって決ま
る。
光ディテクタ5で検出される光強度は次式で示される。 I=I1{1+(1/2)ξn0 3gESCE0sinωt} …(4) ロックインアンプ6でこの振動成分を抽出すると、その
出力は空間電界ESCに比例する。ホログラム記録材料1
としては実施例7の単結晶を用いた。この単結晶は不純
物ドープを行っていないために、ホログラムの屈折率の
変調振幅はかなり小さい。ホログラム記録材料1に印加
する振動電界は振幅610V/cm、周波数1.61k
Hzであった。
時間変化である。単結晶の温度は終始90℃に保った。
通常、フォトリフラクティブ効果では、図2に示したよ
うに、空間電界は増加して飽和する。しかし、図5では
増加した後に飽和せず再び減少している。これは、光の
干渉縞によって再配列したキャリアの空間分布を補償す
るように、ゆっくりと水素イオンが動いたためである。
最終的には、水素イオンが完全にキャリアの空間分布を
補償するため、見掛け上、空間分布は殆ど零となる。図
6は、全く同じ実験を60℃で行った結果である。空間
電界の減少の速度が非常に遅くなったことが判る。水素
イオンの動きが非常に緩慢になった結果である。更に、
温度を下げると、水素イオンは殆ど動かなかった。
がりと立下がりのそれぞれの時定数χ1,χ2の、照射光
強度依存性である。縦軸は時定数の逆数(s-1)、横軸
は光強度(mW/cm2)である。丸印は立ち上がりの
時定数χ1に、四角印は立下がりの時定数χ2にそれぞれ
対応する。立下がりの時定数χ1が光強度I0に依存する
のに対して、立下がりの時定数χ 2は全く依存しない。
立ち上がりが光活性な電子等のキャリアの動きを象徴す
るのに対して、立下がりが水素イオンの動きを象徴して
おり、水素イオンが光に対して感度を持たない。即ち、
いくら強い光を照射しても、水素イオンを動かして分布
を消去することができないことを表す。
たように、本発明では、タンタル酸ニオブ酸カリウム或
いは該物質の構成元素であるところのタンタル、ニオブ
又はカリウムの一部を他の元素で置換した化合物の結晶
において、該結晶中に水素イオンを含むため、ホログラ
ムの定着操作が可能となり、実用可能な電気信号制御機
能を持つホログラフィック素子の提供ができるようにな
った。
式図である。
ブ効果の空間電界の時間変化の例を示すグラフである。
TN単結晶の赤外透過スペクトルの例を示すグラフであ
る。
定着の模式図である。
90℃における空間電界の時間変化を示すグラフであ
る。
60℃における空間電界の時間変化を示すグラフであ
る。
図5の空間電界の時間変化における立ち上がりの時定数
及び立下がりの時定数の照射光強度依存性を示すグラフ
である。
Claims (6)
- 【請求項1】 タンタル酸ニオブ酸カリウムからなる電
気光学結晶を用いたホログラム記録材料において、前記
電気光学結晶のカリウムの一部を水素イオンで置換し
た、あるいは前記電気光単結晶の格子間位置に水素イオ
ンを含ませたことを特徴とするホログラム記録材料。 - 【請求項2】 前記電気光学結晶は、微量の遷移金属元
素を含むことを特徴とする請求項1記載のホログラム記
録材料。 - 【請求項3】 前記電気光学結晶は、タンタル、ニオブ
又はカリウムの一部を他元素で置換したことを特徴とす
る請求項1又は2記載のホログラム記録材料。 - 【請求項4】 前記電気光学結晶は、カリウムの一部を
1種以上のアルカリ金属元素で置換したことを特徴とす
る請求項3記載のホログラム記録材料。 - 【請求項5】 前記電気光学結晶は、タンタル又はニオ
ブの一部をバナジウムで置換したことを特徴とする請求
項3又は4記載のホログラム記録材料。 - 【請求項6】 主にタンタル酸ニオブ酸カリウムからな
る電気光学結晶を用いたホログラム記録材料において、
チタン、マンガン、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、
銅、亜鉛のうちの一つ以上の元素を微量に含むことを特
徴とする請求項2記載のホログラム記録材料。
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Journal of Optical Society of America Vol.7 No.12 |
八木生剛,強誘電体を用いたホログラムメモリ,希土類,日本,日本希土類学会,1998年11月13日,No.33,P.59−P.70 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH08190020A (ja) | 1996-07-23 |
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