JP3258314B6 - 多段式エアバッグ用ガス発生器及びエアバッグ装置 - Google Patents

多段式エアバッグ用ガス発生器及びエアバッグ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多段式エアバック用ガス発生器及びそれを用いたエアバック装置に関する。
【0002】
【従来技術】
自動車を始め各種車両等に搭載されているエアバッグシステムは、該車両が高速で衝突した際に、ガスによって急速に膨張したエアバッグ(袋体)で搭乗者を支持し、搭乗者が慣性によりハンドルや前面ガラス等の車両内部の硬い部分に激突して負傷すること等を防ぐことを目的とする。このようなエアバッグシステムは、通常、車両の衝突によって作動してガスを放出するガス発生器と、該ガスを導入して膨張するエアバッグとから構成されている。
【0003】
かかるエアバッグシステムは、乗員の体格(例えば座高の高い人若しくは低い人、又は大人若しくは子供等)や、その搭乗姿勢(例えばハンドルにしがみついた姿勢)等が異なる場合であっても、乗員を安全に拘束可能であることが望ましい。そこで従来、作動時初期の段階に於いて、乗員に対してできる限り衝撃を与えないで作動する様なエアバッグシステムの提案がなされている。このようなガス発生器は、特開平8−207696号公報、米国特許第4,998,751号及び米国特許第4,950,458号等に開示されおり、特開平8−207696号公報では、1つの点火器で2種類のガス発生剤のカプセルを着火し、二段階でガスを発生させるガス発生器が、米国特許第4,998,751号、米国特許第4,950,458号には、ガス発生器の作動機能を規制するため二つの燃焼室を設けて、ガス発生剤の燃え広がりにより二段階でガスを発生するガス発生器がそれぞれ提案されている。
【0004】
また特開平9-183359号、及び独国特許第19620758号では、ハウジング内に、ガス発生剤が収容された燃焼室を2室設けて、それぞれの燃焼室毎に点火器を配置し、各点火器の作動タイミングを調整することにより、ガス発生器の作動出力を調整可能としたガス発生器が開示されている。
【0005】
しかしながら、これら従前のガス発生器に於いては、簡易な構造で製造容易としながらも、更に容器(ハウジング)の全体的な大きさを抑えた多段式エアバッグ用ガス発生器とはなっていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、作動初期の段階に於いて、乗員に対してできる限り衝撃を与えないで作動し、且つ乗員の体格(例えば座高の高い人若しくは低い人、又は大人若しくは子供等)や、その搭乗姿勢(例えばハンドルにしがみついた姿勢)等が異なる場合であっても、乗員を安全に拘束可能な様に、任意にガス発生器の作動出力、及び出力上昇のタイミングを調整可能としながらも、簡易な構造であって製造容易とし、更に容器(ハウジング)の全体的な大きさを抑え、且つ各燃焼室の容積の比率を任意に調整可能とした多段式エアバッグ用ガス発生器を提供する。
【0007】
本発明は、ハウジング内に、複数の燃焼室を設けた多段式エアバッグ用ガス発生器に於いて、ガス発生器の全体の大きさを抑え、且つ各燃焼室の容積の比率を任意に調整できることを可能とした内部構造、特に燃焼室の配置構造に特徴を有する。
【0008】
即ち、本発明の多段式エアバッグ用ガス発生器は、筒状側壁に複数のガス排出口を有するディフューザシェルと、該ディフューザシェルと共に内部空間を形成するクロージャシェルとから成る円筒状ハウジング内に、ガス発生手段を収容する燃焼室を複数設けると共に、各燃焼室毎に前記ガス発生手段を着火・燃焼させる点火手段を配置してなり、該複数の燃焼室の内、少なくとも1つの燃焼室は、ハウジング内に於いて、ハウジング中心軸から偏心して配置されたインナーシェルの内側に設けられており、また各燃焼室毎に配置される点火手段は、ハウジング内に於いて、ハウジング中心軸から偏心して配置されていることを特徴とする。
【0009】
更に本発明のガス発生器では、各燃焼室同士を相互に連通可能とする連通孔を設けることができる。
【0010】
何れか一の燃焼室内には、伝導熱により着火・燃焼する自動発火材料(AIM)が配置されていてもよい(AIM)。
【0011】
上記のガス発生器を含み、衝撃によって点火器の作動信号を出力する出力部が点火手段中の点火器と同数設けられた点火信号出力手段と、コネクターを有する複数のリードワイヤーを含んで構成され、該点火器と出力部とはコネクターを有するリードワイヤーで繋がっており、該コネクターは、何れかの点火器と出力部との連結を1通りに特定する限定手段を有する多段式エアバック装置である(コネクター)。
【0012】
上記ガス発生器は、作動ガスを浄化及び/又は冷却する筒状フィルター手段とを含み、該フィルター手段は、軸方向端面の何れか一方又は双方が、軸心延伸方向に向かって窄み、且つ内周面との内角が鋭角となるように傾斜する傾斜端面として形成されており、該ハウジング内には該フィルター手段の傾斜端面に対向する支持部が存在していてもよい(自緊式フィルター)。
【0013】
本発明は、インナーシェルの外側表面の大部分をインナーシェルの外側にある第一のガス発生剤と、保温材を介さずに直接接触させることもできる。インナーシェルに連通孔があるところは破裂部材を介してガス発生剤がインナーシェルの外側表面に接触する。最初に燃焼する第一のガス発生剤と他の第二のガス発生剤の間にインナーシェルの壁が介在する。第一のガス発生剤が燃焼しても、第二の点火器の作動より前に第二のガス発生剤が燃焼し始めることはなく、第二のガス発生剤が伝熱により着火温度に達する前に、第二の点火器の作動により燃焼する。
【0014】
第一のガス発生剤着火後、第二のガス発生剤に着火しないままガス発生器を放置すると、約10秒後に第二のガス発生剤が着火する。
【0015】
本発明に於いて、このインナーシェルは、一般に、上端を閉塞した円筒形であって、水平断面形状が円形のものが好ましい。これは、インナーシェルの水平断面形状を、矩形、楕円形など各種形状とすることも可能ではあるが、その接合容易性を考慮すれば、通常円形とすることが望ましいためである。このインナーシェルは、ハウジング内に、ハウジングの中心軸に対して偏心して配置される。つまり、このインナーシェルは、その中央が、ハウジングの中央と一致しない様にしてハウジング内に配置されており、インナーシェルは、この円筒形状のハウジングに対して偏心して配置される。従って、仮にハウジングの平面形状が平面略楕円形であっても、その平面形状の中央と、インナーシェルの中央とがずれている場合には、インナーシェルとハウジングとが偏心することとなる。なお、このハウジングの中心軸は、専ら筒状体の平面形状に基づいて特定されるものであり、仮に該ハウジングがモジュール取り付け用のフランジを有する場合にあっても、このフランジの部分はハウジングの中心軸を特定する際に考慮されないものとする。
【0016】
この各燃焼室毎に配置される点火手段は、電気信号によって作動する点火器をそれぞれ含んで構成されるものとし、この点火器を、ハウジングの軸方向に揃えて配置することができる。また、ハウジングを構成するクロージャシェルは、点火器を固定するカラー部分を含んで構成されるものとし、点火器がこのカラー部分に固定されるものとすることもできる。この場合、各点火手段毎にそれぞれ含まれている点火器を、全て単一のカラー部分に固定する事が望ましい。これはカラー部分を含めてクロージャシェルを形成する場合、予めこのカラー部分に複数の点火器を固定しておけば、クロージャシェルを形成する単一の操作で、複数の点火器をハウジング内に固定することができ、製造上有利となるためである。
【0017】
ハウジング内に偏心して配置されるインナーシェルは、円筒形状であって、一方の燃焼室内のガス発生手段の燃焼により開口する開口部を有するものを使用することができる。但しこのインナーシェルの形状は、前記の通りその他の形状とすることも可能であるが、クロージャシェルとの接合容易性を考慮すれば、特に水平断面形状を円形とすることが好ましい。このインナーシェルは、開口部が開口することによって、インナーシェルの内外に区画された燃焼室同士のガス流通を可能とする。このような開口部は、例えば、インナーシェルの周壁に複数の孔を形成して、この孔を破裂部材で閉塞することによって形成することができる。この破裂部材によって閉塞された孔は、インナーシェルの内側に設けられる燃焼室内に収容されたガス発生手段が燃焼することによってのみ開口する。ガス発生手段の燃焼による孔の開口は、例えば破裂部材がガス発生手段の燃焼による圧力などで、破裂、剥離、焼失又は外れることにより行われる。この様な開口部は、その他にもインナーシェルにノッチを設けるか、或いはインナーシェルの一部の肉厚を薄く形成することによっても実現することができる。また開口部の外側に遮蔽板を配置し、この遮蔽板により、インナーシェルの外側に設けられる燃焼室内で発生する燃焼火炎が、該開口部に直接接触することのないものとし、一方の燃焼室内のガス発生手段の燃焼に依ってのみ該開口部が開口するように形成することもできる。
【0018】
上記の如くインナーシェルをハウジング内にその中心軸に対して偏心して配置し、更に各燃焼室毎に配置される点火手段も、該ハウジングの中心軸に対して偏心させて配置することにより、ハウジングの大きさを極力抑え、かつ燃焼室の容積・配置等の自由度を最大限とすることができる。即ち、例えばハウジング内に2つの燃焼室を画成して設ける場合、ハウジング内に偏心してインナーシェルを配置し、その外側を第一の燃焼室内側を第二の燃焼室とすれば、第一及び第二の燃焼室の容積比は、このインナーシェルの容積を変えることにより自在に変えることができる。その際、各燃焼室毎配置される点火手段の点火器も、ハウジングの中心軸に対して偏心して配置することにより、第一の燃焼室内に配置された点火器が、第二の燃焼室の容積を確保する上で障害となることはない。依って、本発明に於いては、第一及び第二の燃焼室の容積等に関する自由度を最大限とすることができる。
【0019】
更に本発明は、上記多段式エアバッグ用ガス発生器において、インナーシェルの内側に設けられた燃焼室内に、更に、インナーシェルの外側に設けられた燃焼室内に配置されるガス発生手段の燃焼によって生じた熱で着火・燃焼する自動発火材料(AIM)が配置されている多段式エアバッグ用ガス発生器、また、この自動発火材料(AIM)がインナーシェルの内側に設けられる燃焼室内に配置された点火手段に含まれる多段式エアバッグ用ガス発生器を提供する。即ち、多段式ガス発生器の作動に於いては、全ての点火手段を作動させて、全燃焼室内のガス発生手段を燃焼させる場合が殆どであるが、その作動状況に依っては、意図的に何れか一つの点火手段のみ作動させ、ある特定の燃焼室内のガス発生手段のみ燃焼させる場合もある。この場合、作動せずに残った点火手段及びガス発生手段は、後の処理・廃棄などの際に不都合を来すことから、ガス発生器の作動後に於いて着火・燃焼させることが望ましい。そこで、燃焼室及び/又は点火手段に、自動発火材料(AIM)を配置することにより、仮に何れかの燃焼室内のガス発生手段及び/又は点火手段が着火・燃焼することなく残った場合においても、これらのガス発生手段及び/又は点火手段を、他の燃焼室内で燃焼したガス発生手段の熱(伝導熱)によって遅延させて着火・燃焼させることができる。依って本発明においても、インナーシェルの内側に設けられる燃焼室内及び/又は点火手段には、インナーシェルの外側に画成される燃焼室内のガス発生手段が燃焼した熱によって着火・燃焼する自動発火材料(AIM)を配置することが望ましい。このような自動発火材料(AIM)としては、ガス発生手段や伝火薬よりも低い温度で発火するものが好適に使用される。この自動発火材料によるガス発生手段の着火は、ガス発生器の作動後に行われる。つまり、ガス発生器の作動性能を調整することを目的として、意図的に点火手段の作動タイミングを遅延させて、ガス発生手段を燃焼させるのとは異なり、かかるガス発生器の作動性能を調整するために意図的に確保される点火手段同士の作動遅延時間が十分経過した後に行われる。従って、最初に点火手段が作動した後、他の点火手段が作動するまでの意図的に遅延させた時間内に、残ったガス発生手段が自動発火材料により着火されることはない。
【0020】
ハウジングは、ディフューザシェルとクロージャシェルとを各種溶接法、例えば摩擦圧接、電子ビーム溶接、レーザ溶接、ティグ溶接、プロセクション溶接などにより接合して形成することができる。この内、両シェルを摩擦圧接により接合してハウジングを形成する場合には、クロージャシェルを固定した上で摩擦圧接を行うことが好ましい。一般的に両シェルの接合は最後に行われるが、この様にクロージャシェルを固定して摩擦圧接を行えば、点火手段を偏心して配置する等クロージャシェル側の重心が偏っている場合に於いても、両シェルの接合を安定して行うことができる。つまり、摩擦圧接は、一方を固定し、他方を回転させて行われるが、この回転させる側の重心が偏っていると、安定した摩擦圧接が困難となる。そこで、本発明に於いては、クロージャシェル側を固定して摩擦圧接を行うことにより、安定した摩擦圧接を実現する。
【0021】
また、クロージャシェルを固定して摩擦圧接を行う場合には、ガス発生器をモジュールケースに取り付けるためのフランジ部をクロージャシェルに設け、更にこのフランジ部に、摩擦圧接時に固定されるクロージャシェルの向き及び/又は位置を特定する位置決め部を形成することが望ましい。このような位置決め部は、例えば、フランジ部が、ガス発生器をモジュールケースに固定する為の複数の半径方向突出部を有する場合には、該突出部を相互に非対称形状に形成することにより実現する。突出部が1つの場合には、この突出部自体を位置決め部とすることができる。このようにフランジ部に位置決め部を形成すれば、インナーシェルを摩擦圧接によってハウジング内に固定する場合には、回転させる方のインナーシェルに対して、ハウジングの接合位置が常に一定に決まるため、該インナーシェルを所定の向き及び/又は位置に確実に固定することができる。特に係る位置決め部をフランジ部に形成することにより、このフランジ部が該位置決めとガス発生器の取り付けとに兼用されることとなる。なお、本発明に於いて、摩擦圧接に際してクロージャシェルを所定の位置・向きに固定する為には、フランジ部に限らず、その他の部分、例えば周壁又は底面に位置決め部を形成することも当然可能である。
【0022】
また、燃焼室内に配置される点火手段には、その作動によって生じる火炎の噴出方向を規制するための噴出方向規制手段を設けることができる。この噴出方向規制手段は、点火手段の作動によって生じる火炎、即ちガス発生手段を着火・燃焼させる為の火炎の噴出方向を規制する為に使用される。
【0023】
この噴出方向規制手段は、少なくとも該点火手段の火炎を生じる部分を包み込むことができ、かつ火炎の噴出方向を所望方向に規制するための2以上の伝火孔を有する中空容器から構成できる。かかる噴出方向規制手段の例としては、偏向板や、該点火手段全体を包囲できるような筒状部材又は該点火手段の火炎を生じる部分を包囲できるようなカップ状等の容器が挙げられる。
【0024】
この様な噴出方向規制手段を使用することにより、点火手段の火炎の噴出方向を燃焼室の内壁面に沿う方向に規制できる。この「燃焼室の内壁面に沿う方向」とは、火炎が内壁面の形状と一致する方向に噴出され、移動することを意味するものである。この様に点火手段の火炎の噴出方向を規制することにより、点火手段が燃焼室の中心に配置されていない場合や、燃焼室が円形以外の形状であって、燃焼室の隅の方に配置されたガス発生手段と点火手段との距離が著しく離れている場合等に於いても、燃焼室内のガス発生手段を好適に燃焼させることが可能となる。
【0025】
噴出方向規制手段として、更に、第一の点火器からより離れたディフューザーシェルのガス排出口の数がより多く又は合計開口面積がより大きく分布するように配置してもよい。噴出方向規制手段は、これらを組み合わせることがより好ましい。
【0026】
各燃焼室に配置される点火手段は、各燃焼室毎に出力の異なる点火手段を使用することができる。この点火手段の出力は、異なる出力の点火器を使用する他、点火手段が伝火薬をも含んで構成されている場合には、該伝火薬の材料、形状、量等を調整して点火手段の出力を調整することができる。
【0027】
またインナーシェル内には、クロージャシェルとの接続を安全かつ円滑に行うためにリテーナーを配置することができる。このリテーナーは実施形態に示すガス発生剤固定部材であってもよい。このリテーナーは、インナーシェルをクロ−ジャシェルに、摩擦圧接、かしめ、抵抗溶接等又は凹凸継合等により取り付ける際に、ガス発生剤をインナーシェル内に保持し、ガス発生剤が直接クロージャシェルと接触しないようにし、また、インナーシェル内に点火手段を収容する空間を確保するようにできる。このリテーナーを使うことで、組み立て性を向上することができる。特に本発明のように組み立て時に2以上のガス発生手段の充填方向が異なる場合は、リテーナーを用いることは有効である。リテーナーとしては、アルミニウム、鉄等で作成したキャニスタ形状のものや、金網等からなる多孔状部材等を用いることができる。
【0028】
この点火手段に含まれる点火器は、コントロールユニットなどから出力されるガス発生器の作動信号を受けて作動する。従って、この点火器には、各点火器毎に、コントロールユニット等からの作動信号を伝えるためのケーブルが接続されている。本発明のガス発生器は、2つ以上の点火手段を有していることから、点火器も2つ以上含まれている。この各点火器に接続するケーブルを、同一方向に引き出すことにより、その後、ガス発生器を容易にモジュールに組み付けることができる。
【0029】
また、前記本発明の多段式エアバッグ用ガス発生器において、各燃焼室毎に配置された点火手段が、電気信号によって作動する点火器を含んで構成され、各点火器には、電気信号を伝えるケーブルがコネクターによってそれぞれ接続されている場合には、該コネクターは、何れか一の点火器にのみ接続を可能とする位置決め手段を有することが望ましい。即ち、各点火器毎に接続されるケーブルが、作動タイミングの調整などの観点からそれぞれ異なる作動信号を伝える場合には、何れかの点火器に、誤って異なるケーブルを接続してしまうと、所望とする作動出力を得ることができなくなる。そこで点火器に位置決め手段を設け、何れか一のケーブルにのみ接続できるようにすれば、接続の誤りを阻止することができる。この様な位置決め手段は、例えば点火器とケーブルとを接続する為のコネクターの点火器との係合部分を、各点火器毎に異なる形状とする他、接続する点火器毎に、位置及び/又は形状が異なる溝及び/又は突起をコネクターに形成することにより実現する。また点火器毎の複数のケーブルを1つのコネクターに集め、このコネクターに位置決め手段を形成することもできる。本発明に於いてコネクターに設けられる位置決め手段には、その他にも、コネクターを接続して通電する部分(ブレードや通電差込口)の形状や大きさ、コネクターのケースの形状や大きさ等が異なる場合等、プラグとジャックとの接続の可否を決定する何れかの要素が異なる場合を全て含む。つまり、ケーブルと点火器との接続の組み合わせが一通りのみに限定されるような手段を施したものを全て含む。
【0030】
ハウジング内に複数の燃焼室を設け、各燃焼室毎に単位時間当たりの発生ガス量が異なるガス発生手段、例えば燃焼速度、組成、組成比、形状又は量が少なくとも1つ以上異なるガス発生手段を収容するガス発生器とすることにより、ガス発生器の作動性能、特にガス放出量の経時変化をより特徴的に且つ任意に調整することが可能となる。各燃焼室内のガス発生手段を、任意のタイミングで独立に着火・燃焼させる場合には、独立して着火・燃焼する点火手段を各燃焼室毎に配置する。このようなガス発生手段は、従来から広く使用されている無機アジド、例えばナトリウムアジド(アジ化ナトリウム)に基づくアジド系ガス発生剤の他、無機アジドに基づかない非アジド系ガス発生剤を使用することができる。但し、安全性を考慮すれば、非アジド系ガス発生剤が望ましい。これらガス発生手段は、燃焼速度、非毒性、燃焼温度及び分解開始温度等の要求に応じて適宜選定される。各燃焼室毎に異なる燃焼速度のガス発生手段を用いる場合には、例えば、アジ化ナトリウム等の無機アジド又はニトログアニジン等の非アジドを燃料及び窒素源として用いる等、その組成や組成比自体が異なるガス発生手段を用いる他、ペレット状、ウエハー状、中空円柱状、ディスク状、又は単孔体状若しくは多孔体状等の様に組成物の形状を変えるか、或いは成形体の大きさ等により表面積を変えたガス発生手段を用いることができる。特に、ガス発生手段の形状を貫通孔が複数個存在する多孔体に形成する場合には、その孔の配置は特に制限はないが、ガス発生器性能の安定化のため、成形体の外端部と孔の中心との距離及び相互の孔の中心間距離がほぼ等しくなる配置構造が望ましい。具体的には、例えば成形体の断面が円型である円筒状成形体においては、中心に1個とその周囲に相互に等距離となる正三角形の頂点の位置に孔の中心を有する6個の孔を配置した構造が好ましい。更に同様にして中心に1個と周囲に18個の孔が存在する配置も考えられる。これらの孔数と配置構造はガス発生剤の製造のしやすさ、及び製造コストと性能の兼ね合いで決定されるものであり、特に限定されるものではない。
【0031】
エアバッグ膨脹用のガスを得るために固形のガス発生手段を使用したガス発生器(火工式ガス発生器)においては、通常、ガス発生手段の燃焼により生じた燃焼ガスを浄化し、また冷却するためのフィルターやクーラントが好適に使用されている。従って、本発明のガス発生器に於いても、ガス発生手段の燃焼によって発生した燃焼ガスを浄化及び/又は冷却する場合には、積層金網を圧縮形成したフィルター手段を使用することができる。かかるフィルター手段を、燃焼ガスの圧力によって半径方向外側に押され、その上下端部がハウジング内面に押圧されるような自緊式構造に形成すれば、フィルター手段端面とハウジング内面との間に於ける燃焼ガスのショートパスは、特段の部材を配置することなく阻止することができる。かかる自緊式構造は、例えば、ハウジングの上下内面を窄める様に傾斜させ、フィルター手段の上下端面にも、該ハウジングの上下内面に整合する傾斜を設けることにより実現することができる。またこのフィルター手段は内側と外側とを異なる積層金網体として三重構造とし、内側にフィルター手段の保護機能、外側にフィルター手段の膨出抑止機能を有するものとすることもできる。このフィルター手段の膨出抑止機能に関しては、該フィルター手段の外周を、積層金網体、多孔円筒体又は環状ベルト体等からなる外層で支持することにより、その膨出を抑止することによっても行うことができる。
【0032】
前記の如く、ハウジング内に複数の燃焼室が設けられ、各燃焼室毎にガス発生手段の燃焼による燃焼ガスが発生する場合には、各燃焼室から排出される燃焼ガスは、共通のフィルター手段を通過することが望ましい。この様に全ての燃焼ガスが共通のフィルター手段を通過すれば、ハウジング内に配設されるフィルター手段は1つで済み、その結果、全体容積を小さくし、製造コストを削減することができる。また、この共通のフィルター手段を通過した燃焼ガスは、ハウジングに形成された共通のガス排出口から排出することができる。
【0033】
上記のエアバッグ用ガス発生器は、該ガス発生器で発生するガスを導入して膨張するエアバッグ(袋体)と共にモジュールケース内に収容され、エアバッグ装置となる。このエアバッグ装置は、衝撃センサが衝撃を感知することに連動してガス発生器が作動し、ハウジングのガス排出口から燃焼ガスを排出する。この燃焼ガスはエアバッグ内に流入し、これによりエアバッグはモジュールカバーを破って膨出し、車両中の硬い構造物と乗員との間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
【0034】
本発明によれば、容器の全体的な高さを抑え、且つ簡易な構造であって製造容易としながらも、その作動初期の段階に於いて、乗員に対してできる限り衝撃を与えないで作動し、且つ乗員の体格(例えば座高の高い人若しくは低い人、又は大人若しくは子供等)や、その搭乗姿勢(例えばハンドルにしがみついた姿勢)等が異なる場合であっても、乗員を安全に拘束可能な様に、任意にガス発生器の作動出力、及び出力上昇のタイミングを調整可能としたガス発生器となる。
【0035】
また本発明のガス発生器に於いては、少なくとも1つの燃焼室をハウジングに対して偏心させ、また各燃焼室毎に配置される点火手段をハウジング内に偏心して配置することで、ハウジング半径方向の大きさを抑えた上で、各燃焼室の自由度を最大に得ることができる。
【0036】
上記の偏心構造のガス発生器はのちに記載するAIM、コネクター、自緊式フィルターまたはこれらの組み合わせを含んで実施できる。本明細書に記載した他の各部品とも組み合わせて実施できる。
【0037】
本発明によれば、複数の点火器を含んで構成されたエアバッグ用ガス発生器を含んで構成され、各点火器毎に、点火信号出力手段からの作動信号が出力されるエアバッグ装置に於いて、各点火器と点火信号出力装置出力部との接続の誤りを無くし、常に所望の出力で作動できる多段式ガス発生装置となる。従って任意に作動出力、及び出力上昇のタイミングを調整可能とした多段式エアバッグ装置において、常に所期の作動性能を得ることができる。
【0038】
また、フィルター手段が作動ガスの通過によって半径方向に膨出した場合に於いても、該フィルター手段の傾斜端面はハウジング内の支持部に圧接し、両者の面接触が維持されることから作動ガスのショートパスを効果的に阻止可能となる。フィルター手段を膨出可能な部材とすることで組込精度がそれほど要求されることなく、ハウジング内への組み込みを容易に行うことができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態
以下、図面に示す実施の形態に基づき、本発明の多段式エアバッグ用ガス発生器を説明する。
「偏心構造の実施の形態」図1は、本発明のエアバッグ用ガス発生器の一の実施の形態を示す縦断面図である。この図に示すガス発生器は、特に運転席側に配置するのに適した構造となっている。
【0040】
図1に於いて、ガス発生器は、ガス排出口10を有するディフューザシェル1と、該ディフューザシェル1と共に内部収容空間を形成するクロージャシェル2とを摩擦圧接により接合してなる円筒形状ハウジング3内に、水平断面形状が円形であって上端を閉塞したカプセル形状のインナーシェル4をハウジング中心軸に対して偏心して配置・固定している。インナーシェルのハウジングに対する偏心度は、所望とする燃焼室の容積比などに応じて適宜変更可能である。この偏心度は、ハウジング内の構造、例えばクーラント・フィルター25の有無などによっても変わり得る要素であって、例えば、この図に示すガス発生器のように、ハウジングの周壁面と対向させて、クーラント・フィルター25を配置する場合には、10〜75%の範囲で適宜選択することができる。但し、この数値範囲も点火器の大きさ等に起因して変化し得ることから、この数値範囲は、図1に示すガス発生器に於けるインナーシェル4の偏心の目安を示すものである。
【0041】
またこのインナーシェル4は、その水平断面形状を矩形、楕円形など各種形状とすることも可能であるが、クロージャシェル2等への接合容易性を考慮すれば、特に円形とすることが望ましい。つまり、このインナーシェル4を摩擦圧接によりクロージャシェル2に接合する場合には、該インナーシェル4の水平断面形状は円形とする必要があり、またレーザー溶接によって接合する場合に於いても、レーザーの照射距離を一定に保つ必要があるためである。
【0042】
このインナーシェル4は、クーラント・フィルター25との間に僅かな隙間を確保した上で配置されている。この隙間は、クーラント・フィルター25とインナーシェル4との間にガスの流れを作り、該フィルター25の全面を有効に使うことを目的とするものであり、また後述の通りインナーシェル4の開口部が開口する際にクーラント・フィルター25が障害とならないようにするためでもある。従って、この隙間は、係る目的の範囲内に於いて適宜選択される。
【0043】
インナーシェル4は、第一の燃焼室50と第二の燃焼室60とを画成している。つまり第一の燃焼室50はインナーシェルの外側に設けられ、第二の燃焼室60はインナーシェル4の内側に設けられている。第一の燃焼室50と第二の燃焼室60との容積比(第一の燃焼室容積:第二の燃焼室容積)は、本実施の形態に於いては、3.3:1としているが、その他にも97:1〜1:1.1の範囲で、適宜選択することができる。但しこの容積比に関しても、点火器の大きさやガス発生剤の形状などに起因して、適宜その選択範囲は変化し得るものである。依って、前記の数値範囲は、この図に示すガス発生器の構造に於いて選択し得る範囲を示すものである。
【0044】
インナーシェル4によって隔離された第二の燃焼室60と第一の燃焼室50には、それぞれガス発生剤(52、62)が収容されている。第一の燃焼室50内には第一のガス発生剤52が、第二の燃焼室60内には第二のガス発生剤62がそれぞれ収容されている。本実施の形態に於いては、第一のガス発生剤52と第二のガス発生剤62とは形状等が同じガス発生剤が使用されているが、各燃焼室毎に、燃焼速度、組成、組成比又は量が少なくとも1つ以上異なるガス発生手段を収容することもできる。
【0045】
第一の燃焼室50と第二の燃焼室60とを画成するインナーシェル4は、ハウジング3の中心軸に対して偏心して配置されている。また、このインナーシェル4の内側に設けられた第二の燃焼室60もハウジング3に対して偏心している。この第一の燃焼室50と第二の燃焼室60には、それぞれ点火器が配置されており、この内、第二の燃焼室に配置される第二の点火器61は、このハウジング3の中心軸に対して偏心する第二の燃焼室60の中央に配置されている。その結果、該点火器61が作動して発生する火炎は、第二のガス発生剤62を均等に燃焼させることができる。そしてこの第二の点火器61と、第一の燃焼室50に配置される第一の点火器51とは、共にハウジング3の中心軸に対して偏心して配置されている。この様に第一及び第二の点火器、並びにインナーシェルをハウジング3の中心軸に対して偏心させることにより、第一及び第二の燃焼室の容積比の変化を幅広くすることができ、またハウジング3の径方向の大きさを極力抑えることができる。
【0046】
各燃焼室毎に配置される点火器の内、第一の燃焼室50内に配置された点火器51は、その周囲及び上方向に伝火薬8を配置している。この伝火薬8はガス発生器の組立の際の便宜上、更には車両に搭載中に受ける衝撃や振動で、伝火薬8が第一の燃焼室50内に散乱して、第一のガス発生剤52への着火性を低減させることがないように、伝火薬容器26の中に収納されている。この伝火薬容器26は内部の伝火薬8の燃焼によって容易に破裂して、火炎をその周囲に伝火させるような厚さ(例えば200μm程度)のアルミニウムによって形成されている。一方、第二の燃焼室60内には第一の燃焼室50内に配置されたような伝火薬は必ずしも必要としない。これは第一のガス発生剤52が燃焼して第一の燃焼室50内の圧力が上昇しても、後述するインナーシェル4の孔6を塞ぐ破裂部材7は、第二の燃焼室60の内部圧力が第一の燃焼室50内の内部圧力以上に上昇しないと破裂しないため、この間、第二の燃焼室60は密閉状態となり、その間圧力が高まり、第二のガス発生剤62は、第一のガス発生剤52よりも着火しやすいためであるが、必要に応じて伝火薬を使用することもできる。
【0047】
そして第一の燃焼室50内には、第一の点火器51とその上方に配置された伝火薬8の半径方向外側を囲む様にして筒状部材36が設置されている。この筒状部材36は、上下両端を開放した円筒形状で、その片端部は点火器51を固定した部分の外周に、隙間が生じないように外嵌し、他端部はディフューザシェル1天井部内面近傍に存在するリテーナー11により挟持されて所定箇所に固定されている。この筒状部材36の周壁には、複数の伝火孔37が形成されており、伝火薬8の燃焼によって生じた火炎は、この伝火孔37から噴出され、該筒状部材の外側に存在する第一のガス発生剤を着火・燃焼させる。この筒状部材36は、ハウジング3と同一材質の部材であることが望ましい。
【0048】
特にこの実施の形態に示すガス発生器では、第一の燃焼室50は、図2の平面図に示すように、円形の内側を丸く打ち抜いた三日月形に近似した環状となっており、第一のガス発生剤52はこの中に設置される。従って第一の燃焼室50に於いては、第二の燃焼室60とは異なり、ガス発生剤52と点火器51との距離は、ガス発生剤52の収容場所により異なっている。依って点火器51の着火の際に第一のガス発生剤52への着火・燃焼に斑が生じる。そこで内筒部材36の周壁に設けられる伝火孔37は、第一の燃焼室50の内壁面50aに沿う方向(図2中矢印で示す方向)に伝火薬8の火炎を噴出させるようにその向きが規制されている。これによって第二の燃焼室60(即ちインナーシェル4)の陰になった部分のガス発生剤52も斑なく燃焼させることができる。なお、この実施の形態の場合、内壁面50aはクーラント・フィルター25の表面と一致している。
【0049】
更にその他の噴出方向規制手段として、前記内筒部材36に代え、例えばカップ状の容器で、その周壁部に第一の燃焼室50の内壁面50aに沿う方向(図2中矢印で示す方向)に、第一の点火手段(図1では点火器51と伝火薬8)の火炎を噴出させるためのノズルを設けたものを使用することができる。従って、噴出方向規制手段としてのカップ状の容器は、火炎の噴出方向を規制するため、少なくとも点火器51と伝火薬8を包み込むことができるものであり、第一の点火手段の周りに取り付け(かぶせ)て使用される。かかる噴出方向規制手段を使用する場合に於いても、その内側に配置される第一の点火手段は、点火器と該点火器の作動に依って着火・燃焼する伝火薬とを含んで構成することが望ましい。
【0050】
火炎噴出方向規制手段の他の例として図34の偏向板99があり、火炎を矢印で示す方向へ反射して方向を規制する。例えば、凹面状の板を燃焼室とハウジングの間に置く。偏向板はフィルタの内側にあってもよいし、フィルタの外側にあってもよい。偏向板は、第一の点火器からの火炎の方向を制御する働きと、それ以外にガス発生剤が燃焼して発生したガスの流れを制御する働きをもつ。
【0051】
第一の燃焼室50と第二の燃焼室60とを画成するインナーシェル4は、上記の通りカプセル形状であって、その周壁に複数の開口部5が形成されている。この開口部5は第二の燃焼室60内に配置された第二のガス発生剤62の燃焼によってのみ開口し、第一の燃焼室50内に収容された第一のガス発生剤52の燃焼によっては開口しないものとして形成されている。本実施の形態に於いては、この開口部5は、インナーシェル4周壁に設けられた複数の孔6と、この孔を閉塞する破裂部材7とから成り、破裂部材7としてはステンレス製のシールテープが使用されている。この破裂部材7は、第二のガス発生剤62の燃焼によってのみ、破裂、剥離、焼失又は外れる等により孔6を開口し、第一のガス発生剤52の燃焼によっては破裂等しないものとして形成されている。なお、第一のガス発生剤52の燃焼によっても、インナーシェル4の開口部が開口しないようにするためには、その他にも、インナーシェル4の開口部5を、外側から適宜形状遮蔽板、例えば帯状部材を環状に形成した遮蔽板等で覆い、第一のガス発生剤52の燃焼火炎が直接接触しないものとすることもできる。
【0052】
この開口部5に関しては、その他にも図3aに示すようにインナーシェル4の周壁にノッチ12を形成するか、或いは図3bに示すように、インナーシェル4の周壁の肉厚を部分的に薄く形成することによっても実現可能である。開口部5が開口することにより、第一の燃焼室50と第二の燃焼室60とは連通し、第二の燃焼室60内で発生した燃焼ガスは、第一の燃焼室50内を通って、その後ハウジング1外へ排出される。
【0053】
上記のインナーシェル4は、その開放した下方13を、クロージャシェル2に接続して固定される。このクロージャシェル2が、点火器を固定する為のカラー部分2aを含んで構成される場合には、該インナーシェル4は、このカラー部分2aに取り付けることもできる。図1に示すガス発生器に於いては、このクロージャシェル2は、ディフューザシェル1に接合する筒状殻部2bの底面に、2つの点火器を固定可能な大きさとした円形のカラー部分を一体状に接合して形成されており、該インナーシェル4は、このカラー部分2aに接合されている。但し、このカラー部分2aは、各点火器毎に固定可能な大きさの円形として該筒状殻部2bの底面に一体状に形成することも可能であり、また筒状殻部2bの底面に一体形成することも可能である。この様な場合には、該インナーシェル4は、クロージャシェルのカラー部分2a以外、筒状殻部2bの底面に直接取り付けることができる。
【0054】
インナーシェル4とクロージャシェル2との接続は、摩擦圧接、かしめ、抵抗溶接等の他、凹凸継合により行うことができる。特に摩擦圧接により両者を接合する場合、望ましくは、クロージャシェル2側を固定して行う。これにより、インナーシェル4とクロージャシェル2の軸心が整合していなくとも、安定して摩擦圧接を行うことができる。つまり、仮にインナーシェル4を固定し、クロージャシェル2を回転させて摩擦圧接を行った場合には、クロージャシェル2の重心は、回転中央からずれているため、安定した摩擦圧接が不可能となる。そこで、本発明に於いては、クロージャシェル2側を固定し、インナーシェル4側を回転させて摩擦圧接を行うものとする。また、摩擦圧接に際して、インナーシェル4を、常に所定の位置に取り付けることができるように、このクロージャシェル2は、位置決めして固定されることが望ましい。依って、このクロージャシェル2には、適宜位置決め手段が施されることが望ましい。
【0055】
このインナーシェル4内には、クロージャシェル2との接続を安全かつ円滑に行うためにガス発生剤固定部材14が配置されている。ガス発生剤固定部材14は、インナーシェル4をクロージャシェル2に摩擦圧接する際に、ガス発生剤62が直接クロージャシェル2に接触しないように、またインナーシェル4で形成された空間内に点火器61の設置スペースを確保する目的で使用される。このインナーシェル4をクロージャシェル2に取り付けるときは、前述の摩擦圧接だけではなく、かしめ、抵抗溶接等の他、凹凸継合等により取り付けることができるが、その場合もガス発生剤固定部材14を使用することで、組立性が向上する。このガス発生剤固定部材14は、ここでは一例として、アルミ製で、ガス発生剤62の燃焼によって容易に破裂する程度の厚さを有するキャニスタを使用しているが、その他にも金網等を用いてなる多孔状部材など、かかる目的を達成可能な適宜部材(材質、形状などは問わない)を使用することができる。なお、このようなガス発生剤固定部材14を使用しない場合には、単孔円筒状のガス発生剤62をインナーシェル4の内部空間と同一形状に固めたガス発生剤の固まりを形成し、これをインナーシェル4内に設置することもできる。この場合、ガス発生剤固定部材14は省略しても良い。
【0056】
本実施の形態に於いて、クロージャシェル2のカラー部分2aは、二つの点火器51,61を横並びに固定可能な大きさに形成されている。これにより2つの点火器51,61を、予めカラー部分2aにかしめ等により固定しておけば、このカラー部分2aを筒状殻部2bに一体化してクロージャシェル2を形成すれば、2つの点火器51,61をクロージャシェル2に固定することができる。図面上、第一の点火器51と第二の点火器61とは、同じ大きさに記載されているが、これらは各燃焼室毎に異なる出力を有するものとすることもできる。
【0057】
この実施の形態に於いては、図4の底面図に示すように、各点火器51,61毎に接続して作動信号を伝えるためのケーブル15は、同一方向に引き出されている。また、各点火器51,61の配置される部分には、それぞれの点火器毎に接続されるケーブル15が特定されるように、位置決め手段が形成されている。このような位置決め手段は、例えば、図5a〜dの要部拡大図に示すように、各点火器毎に異なる形式のコネクター16を使用することによって行うことができる。図5aに示す位置決め手段では、コネクターに位置決め用の溝(又は突起)17を形成し、この位置決め用の溝(又は突起)17に対応する突起(又は溝)18の形成位置が、各点火器毎に異なるものとしている。即ち、ガス発生器にコネクター16を取り付けるとき、正規の向きにコネクター16を取り付けないとコネクター同士が干渉して、きちんと取り付けることができないように、各コネクターの溝(又は突起)17の位置をかえている。図5bに示す位置決め手段では、何れか一のコネクター21にだけ位置決め用の溝(又は突起)19を設けている。即ち、溝(又は突起)19を設けたコネクター21Aは、突起(又は溝)20を設けていない側の点火器22bには継合することができるが、溝(又は突起)19を設けていないコネクター21Bは、突起(又は溝)20を設けた側の点火器22aには継合する事ができない。その結果、コネクター21の接続の間違えは、組立時に容易に気づくことができる。図5cは、各コネクターの接続継合する部分23自体の形状が、それぞれ異なるものとしている。また図5dでは、二つのコネクターを一つにして、更に位置決め溝(又は突起)24を形成している。この位置決め手段としては、その他にも、コネクターの接続の誤りをなくすための手段を適宜実施することができる。
【0058】
またハウジング3内には、ガス発生剤の燃焼によって発生した燃焼ガスを浄化・冷却するためのフィルター手段としてクーラント・フィルター25が配設されている。第一及び第二のガス発生剤の燃焼によって発生したしたガスは、共にこのクーラント・フィルター25を通過することとなる。この燃焼ガスが、クーラント・フィルター25の端面とディフューザシェル1天井部内面との間を通過するショートパスを防止する場合には、内向きフランジ形状のショートパス防止部材で、クーラント・フィルター25の上下内周面とハウジング内面を覆うこともできる。
【0059】
そしてクーラント・フィルター25の外側には、燃焼ガスの通過などによる該フィルター25の膨出を抑止するための外層27が配置されている。この外層27は、例えば、積層金網体を用いて形成する他、周壁面に複数の貫通孔を有する多孔円筒状部材、或いは所定巾の帯状部材を環状にしたベルト状抑止層を用いて形成することもできる。更に該外層の外側には、燃焼ガスが該フィルターの全面を通過することができるように、所定幅の間隙28が形成されている。ディフューザシェル1に形成されるガス排出口10は、外気の進入を阻止するためシールテープ29で閉塞されている。このシールテープ29は、ガスを放出する際に破裂することとなる。シールテープ29は外部の湿気からガス発生剤を保護するのが目的であり、燃焼内圧などの性能調整には全く影響を与えるものではない。第一及のガス発生剤52の燃焼によるガスと第二のガス発生剤62の燃焼によるガスは、共にこのガス排出口10を通過する。
【0060】
なお、燃焼ガスを浄化及び/又は冷却するためのフィルター手段としては、その他にも図6に示すように、その上下端面を外周方向に倒すように傾斜させた自緊式構造のフィルター手段30を使用する事もできる。この自緊式構造のフィルター手段30を使用する場合には、ハウジングの上下内面31を窄めるように傾斜させることが望ましい。その結果、燃焼ガスにより半径方向外側に押し出されたフィルター手段30は、その上下端面がハウジング内面31に当接し、両者間に於ける燃焼ガスのショートパスを防止することができる。
【0061】
前述の通り、図1に示すガス発生器では、点火器51,61及びインナーシェル4を、ハウジング3に対して偏心して配置している。この様なガス発生器に於いては、ディフューザシェル1とクロージャシェル2とを摩擦圧接により接合する際には、クロージャシェル2側を固定して摩擦圧接を行うことにより、両シェルの接合を安定して行うことができる。特に、インナーシェル4をクロージャシェル2に摩擦圧接により直接取り付ける場合には、図7に示すように、クロージャシェル2側に、ガス発生器をモジュールケースに取り付けるためのフランジ部32を設け、このフランジ部32を構成する部分、例えば突出部33等に、その周縁を切り欠いた位置決め部34を形成することが望ましい。この様に形成した場合、クロージャシェル2は、該位置決め部34に基づき、常に一定の向きに固定されることから、インナーシェル4を所定の位置に確実に取り付けることができる。
【0062】
上記の様に形成されたガス発生器では、インナーシェル4の外側に設けられた第一の燃焼室50内に配置される第一の点火器51が作動すると、該燃焼室50内の第一のガス発生剤52が着火・燃焼して燃焼ガスを発生させる。インナーシェル4とクーラント・フィルター25との間には、ガス流通が可能な隙間が確保されていることから、この燃焼ガスは、クーラント・フィルター25全面を通過することができる。この燃焼ガスはクーラント・フィルター25を通過する間に浄化・冷却され、その後ガス排出口10から排出される。
【0063】
一方、インナーシェル4内に配置された第二の点火器61が作動すると、第二のガス発生剤62が着火・燃焼して燃焼ガスを発生させる。この燃焼ガスはインナーシェル4の開口部5を開口させ、該開口部5から、第一の燃焼室50内に流入する。その後、前記第一のガス発生剤52の燃焼ガスと同様にクーラント・フィルター25を通過し、ガス排出口10から排出される。ガス排出口10を閉塞するシールテープ29は、ハウジング3内で発生した燃焼ガスの通過によって破裂する。この第二のガス発生剤62は、第二の点火器61の作動によって着火・燃焼され、第一のガス発生剤52の燃焼によって直接燃焼することはない。これは、インナーシェル4の開口部5が、第二のガス発生剤62の燃焼によってのみ開口し、第一のガス発生剤52の燃焼によっては開口しないためである。但し、図8に示すように、この第二の燃焼室60内に、ハウジング1等から伝わる第一のガス発生剤52の燃焼熱により発火する自動発火材料(AIM)35を収容した場合には、第一のガス発生剤52の燃焼に起因して、間接的に第二のガス発生剤62を燃焼させることができる。
【0064】
つまり、上記の様な多段式エアバッグ用ガス発生器に於いては、通常、第一のガス発生剤52は第一の点火器51に依って、また第二のガス発生剤62は第二の点火器61に依って、各々独立に着火・燃焼されるが、意図的に第一の点火器51だけに電流を流して点火させ、第一の燃焼室50内のガス発生剤52だけを着火・燃焼させる場合がある。即ち、意図的に第二のガス発生剤62及び第二の点火器61を燃焼させずに残す場合である。この様な場合は、後の処理・廃棄等の際に不都合を来すので、ガス発生器(第一の点火器のみ)の作動後に、第二の点火器61を作動させる通常の遅延着火のタイミング(例えば10〜40ミリ秒など)よりも更に遅らせて(例えば100ミリ秒以上等)、第二の燃焼室60のガス発生剤62を燃焼させることが望ましい。そこで図8に示すガス発生器に於いては、第二の燃焼室60内に、第一のガス発生剤52の燃焼熱の伝導によって着火・燃焼する自動発火材料35を配置している。この自動発火材料35による第二のガス発生剤62の着火は、第一の点火器51の作動後、所定の時間遅延させて第二の点火器61を作動させる場合の遅延時間(即ち、点火器同士の作動間隔)よりも十分な時間が経過した後に行われる。つまり、ガス発生器の作動性能を調整することを目的として、意図的に第二のガス発生剤62の燃焼を遅らせる(即ち、第二の点火器61の作動を遅らせる)のとは異なる。ガス発生器の作動性能を調整するため、任意に第二の点火器61への作動電流を遅延させている間に、第二のガス発生剤62が該自動発火材料35によって着火・燃焼されることもない。なおこの自動発火材料35は、第二の点火器61に組み合わせることもできる。
【0065】
上記のように形成されたガス発生器は、第一又は第二の何れの点火器51,61を最初に作動させるか、或いは同時に作動させるか等、2つの点火器51,61の着火タイミングを調整することで、ガス発生器の出力形態(作動性能)を任意に調整することができ、衝突時の車両の速度や環境温度など様々な状況において、後述のエアバッグ装置とした場合に於けるエアバッグの展開を最大限適正なものとすることができる。特に図1に示すガス発生器では、2つの燃焼室を半径方向に並べて設けていることから、ガス発生器の高さを極力抑えることができる。
【0066】
なお、ガス発生剤の形状、組成、組成比及び量等は、勿論、所望の出力形態を得るために、適宜変更することができる。
「エアバック装置の実施の形態」図9は、電気着火式点火手段を用いたガス発生器を含んで構成した場合の本発明のエアバッグ装置の実施例を示す。
【0067】
このエアバッグ装置は、ガス発生器200と、衝撃センサ201と、コントロールユニット202と、モジュールケース203と、そしてエアバッグ204からなっている。ガス発生器200は、図1に基づいて説明したガス発生器が使用されており、その作動性能は、ガス発生器作動初期の段階において、乗員に対してできる限り衝撃を与えないように調整されている。
【0068】
衝撃センサ201は、例えば半導体式加速度センサからなることができる。この半導体式加速度センサは、加速度が加わるとたわむようにされたシリコン基板のビーム上に4個の半導体ひずみゲージが形成され、これら半導体ひずみゲージはブリッジ接続されている。加速度が加わるとビームがたわみ、表面にひずみが発生する。このひずみにより半導体ひずみゲージの抵抗が変化し、その抵抗変化を加速度に比例した電圧信号として検出するようになっている。
【0069】
コントロールユニット202は、点火判定回路を備えており、この点火判定回路に前記半導体式加速度センサからの信号が入力するようになっている。センサ201からの衝撃信号がある値を越えた時点でコントロールユニット202は演算を開始し、演算した結果がある値を越えたとき、ガス発生器200の点火器51,61に作動信号を出力する。
【0070】
モジュールケース203は、例えばポリウレタンから形成され、モジュールカバー205を含んでいる。このモジュールケース203内にエアバッグ204及びガス発生器200が収容されてパッドモジュールとして構成される。このパッドモジュールは、自動車の運転席側取り付ける場合には、通常ステアリングホイール207に取り付けられている。
【0071】
エアバッグ204は、ナイロン(例えばナイロン66)、またはポリエステルなどから形成され、その袋口206がガス発生器のガス排出口を取り囲み、折り畳まれた状態でガス発生器のフランジ部に固定されている。
【0072】
自動車の衝突時に衝撃を半導体式加速度センサ201が感知すると、その信号がコントロールユニット202に送られ、センサからの衝撃信号がある値を越えた時点でコントロールユニット202は演算を開始する。演算した結果がある値を越えたときガス発生器200の点火器51,61に作動信号を出力する。これにより点火器12が作動してガス発生剤に点火しガス発生剤は燃焼してガスを生成する。このガスはエアバッグ204内に噴出し、これによりエアバッグはモジュールカバー205を破って膨出し、ステアリングホイール207と乗員の間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
【0073】
上記の偏心構造のガス発生器はAIM、連通孔、コネクター、自緊式フィルターまたはこれらの組み合わせを含んで実施できる。本明細書に記載した他の各部品とも組み合わせて実施できる。
【0074】
本発明は、以下に述べるAIM、連通孔、コネクター又は自緊式フィルターを含むガス発生器又はエアバック装置を含む。ここに開示されたAIM、連通孔、コネクター又は自緊式フィルターは前記の偏心構造に適応し、組み合わせて実施できる。
(AIM)即ち本発明のエアバッグ用ガス発生器は、ガス排出口を有するハウジング内に、衝撃によって作動する点火手段と、該点火手段によって着火・燃焼されエアバッグを膨張させる為の燃焼ガスを発生するガス発生手段とを含んで収容してなるエアバッグ用ガス発生器であって、該ハウジング内には、ガス発生手段を収容する2室以上の燃焼室が区画して設けられ、何れか一の燃焼室内には、伝導熱により着火・燃焼する自動発火材料(AIM)が配置されていることを特徴とする。
【0075】
各燃焼室同士を相互に連通可能とする連通孔が設けることもできる。
【0076】
例えば、複数の燃焼室内に収容されるガス発生手段が、各燃焼室毎に異なるタイミングで燃焼されるとすると、この自動発火材料(AIM)は、遅いタイミングで燃焼するガス発生手段が収容された燃焼室内に配置されることが好ましい。この場合、該自動発火材料(AIM)は、先に燃焼したガス発生剤の燃焼によって生じた熱の伝導により着火・燃焼することができる。この自動発火材料は、先に燃焼するガス発生手段を着火するための点火手段が作動した後、100ミリ秒以上遅れて遅いタイミングで燃焼するガス発生剤を着火することが好ましい。また、この自動発火材料は、遅いタイミングで燃焼する(或いはガス発生器の作動後に残存する可能性のある)ガス発生手段を着火・燃焼させる為の点火手段に含まれる点火器に組み合わせて配置することもできる。
【0077】
各燃焼室毎に異なるタイミングでガス発生手段を燃焼させるガス発生器は、例えば点火手段を、前記点火器の作動によって着火され燃焼する伝火薬を含んで構成すると共に、該伝火薬は、前記各点火器毎に区分されて各点火器毎に独立して着火・燃焼し、複数の燃焼室内に収容されたガス発生手段は、それぞれ異なる区分の伝火薬が燃焼した火炎により着火・燃焼されるガス発生器とすることによっても実現可能である。
【0078】
例えば、ハウジング内に、ガス発生手段を収容する2つの燃焼室を設けて、各燃焼室毎に、先に燃焼する第一のガス発生手段と遅いタイミングで燃焼する第二のガス発生手段をそれぞれ配置し、更に第一のガス発生手段を着火する第一の点火手段、及び第二のガス発生手段を着火する第二の点火手段を設けたガス発生器に於いては、この自動発火材料(AIM)は、第二の燃焼室又は第二の点火手段にに含まれる点火器に設けられる。この自動発火材料(AIM)としては、ハウジングなどを伝わってくる第一のガス発生手段の燃焼によって発生した熱により着火・燃焼するものが使用される。
【0079】
ハウジング内に、ガス発生手段を収容する2つの燃焼室を形成する場合には、これら2つの燃焼室をハウジングの半径方向に隣接して同心円に設け、更にハウジング内に、各燃焼室同士を相互に連通可能とする連通孔を設けることができる。
【0080】
本発明に於いて使用することができる自動発火材料(AIM)は、少なくともハウジング等から伝わる(最初に燃焼した)ガス発生手段の燃焼熱(即ち、伝導熱)により着火・燃焼することのできるものが使用される。この様なものとしては、例えばニトロセルロース等がある。
【0081】
但し、これらは当然、使用されるガス発生手段の種類や、その燃焼熱を伝える伝熱部材(例えばハウジング)、及び最初に燃焼するガス発生手段が収容された箇所との距離等によって変わりうることから、設計に於いて適宜選択採用される必要がある。
【0082】
上記のエアバッグ用ガス発生器は、該ガス発生器で発生するガスを導入して膨張するエアバッグ(袋体)と共にモジュールケース内に収容され、エアバッグ装置となる。このエアバッグ装置は、衝撃センサが衝撃を感知することに連動してガス発生器が作動し、ハウジングのガス排出口から燃焼ガスを排出する。この燃焼ガスはエアバッグ内に流入し、これによりエアバッグはモジュールカバーを破って膨出し、車両中の硬い構造物と乗員との間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
「AIMの実施の形態1」図28は、本発明のエアバッグ用ガス発生器の更に他の実施の形態を示す縦断面図である。この図に示すガス発生器は、特に運転席側に配置するのに適した構造となっている。
【0083】
この図に示すガス発生器に於いて、第一の燃焼室1105aと第二の燃焼室1105bとは、内筒部材1104により画成されて、ハウジング803内に、同心円上に隣接して設けられている。この内筒部材1104の内周面には、所定の高さに段欠き部1106が設けられ、この段欠き部1106には、第二の燃焼室1105bと点火手段収容室1108とを画成する隔壁1107が配置されている。本実施の形態に於いて、この隔壁1107は、図29の分解斜視図に示すように、内筒部材1104の段欠き部1106に係止する区画円形部材1150と、該区画円形部材1150に係合するシールカップ部材1160とで構成されている。この区画円形部材1150は、略平板円形状であって、後述するシールカップ部材1160の伝火薬収容部1161を内嵌する開口部1151と、底面を円形状に刳り抜き、点火器1112bの上部を収容する円形穴部1152と、該円形穴部の略中央に貫通して穿設された第二の伝火孔1119とを有している。また、シールカップ部材1160は、前記区画円形部材1150の開口部1151内に嵌入して第二の燃焼室1105b内に突出する筒状の伝火薬収容部1161と、前記区画円形部材1150の円形穴部1152と対向する位置に形成され、伝火薬収容部1161と反対側に延在する筒状の点火器収容口1162とを有している。この伝火薬収容部1161の内側には、第一の伝火薬1116aが収容されており、また点火器収容口1162には、第二の点火器1112bが内嵌されている。この区画円形部材1150とシールカップ部材1160とは、該シールカップ部材1160の伝火薬収容部1161を前記区画円形部材1150の開口部1151に嵌入して係合しており、点火器収容口1162に内嵌された第二の点火器1112bの上部は、区画円形部材1150の円形穴部1152内に突出している。
【0084】
この区画円形部材1150とシールカップ部材1160とからなる隔壁1107は、図28に示すように、内筒部材1104の内周面に形成された段欠き部1106に係止される。即ち、区画円形部材1150の周縁が段欠き部1106に支持され、シールカップ部材1160は、該区画円形部材1150に当接して支持されている。またこのシールカップ部材1160の周縁は、点火器収容口1162と同一方向に曲折して形成されており、この曲折部1163は内筒部材1104の内周面に設けられた溝1164内に嵌入している。これにより、前記区画円形部材1150は、シールカップ部材1160に支持されて、ハウジング803の軸方向への移動が阻止されている。また、このシールカップ部材1160周縁の曲折部1163を、内筒部材1104内周面の溝1164内に嵌入することにより、隔壁1107(即ちシールカップ部材1160)と内筒部材1104とは隙間なく係合している。従って、内筒部材1104内に於いて、クロージャーシェル802側に設けられる点火手段収容室1108と、ディフューザシェル802側に設けられる第二の燃焼室1105bとは、該シールカップ部材1160と溝1164との組み合わせからなる点火手段シール構造により確実に区画されている。
【0085】
前記シールカップ部材1160に形成される点火器収容口1162は、その裾部を袴状に開いており、その内側、即ち、該収容口1162に収容された第二の点火器1112bとの間には、Oリング1181が配置され、該収容口1162と第二の点火器1112bとの間のシールが行われている。またこのOリング1181は、後述の点火器固定部材1182にも圧接していることから、この第二の点火器1112bは、区画円形部材の円形穴部1152−シールカップ部材の点火器収容口1162−Oリング1181−点火器固定部材1182によって区画された空間内に配置されている。この区画された空間内は、第二の点火器1112bが作動することにより、区画円形部材1150の円形穴部1152に形成された第二の伝火孔1119を閉塞するシールテープ1120が破裂し、第二の燃焼室1105bと連通する。そして第一の点火器1112aと第二の点火器1112bとは、点火器収容口1162の裾部−Oリング1181−点火器固定部材1182からなるシール構造(以下、「点火器シール構造」とする)に依って、確実に分離されている。これにより、何れかの点火器の作動によって発生する火炎は、他の点火器が収容された空間内に直接流入することはない。
【0086】
また、本実施の形態に於いても、2つの点火器1112a,1112bはハウジング内への配置の容易性を確保するため、単一のイニシエータカラー1113に固定されている。特に、本実施の形態に於いては、この2つの点火器1112a,1112bは、イニシエータカラー1113に係合する点火器固定部材1182によって支持され、該イニシエータカラー1113に固定されている。この点火器固定部材1182は、イニシエータカラー1113の上面を覆うような形状であって、各点火器の上部を挿通し、且つ肩部1183を支持する穴部1184を有している。イニシエータカラー1113に配置された2つの点火器1112a,1112bは、イニシエータカラー1113に外嵌する点火器固定部材1182に固定されている。この様な点火器固定部材1182を用いることにより、2つの点火器1112a,1112bを容易にイニシエータカラー1113に組み合わせることができる。なお、この実施の形態に示すガス発生器に於いては、第一の点火器1112aと第二の点火器1112bとは異なる大きさに形成され、その作動出力が異なるものが使用されているが、同じ作動出力の点火器を使用することもできる。
【0087】
本実施の形態に示すガス発生器の作動に際して、第一の点火器1112aの作動により発生した火炎は、その上方に配置された第一の伝火薬1116aを着火・燃焼させる。この第一の伝火薬1116aの燃焼によって発生した火炎は、前記の点火器シール構造により、第二の点火器1112bが収容される空間内に流入することはなく、またシールカップ部材1160の曲折部1163と内筒部材1104の溝1164とから成る点火手段シール構造により、第二の燃焼室1105b内に流入することもない。従って、この第一の伝火薬1116aの燃焼により発生した火炎は、内筒部材1104の周壁に形成された第一の伝火孔1117を通って、専ら第一の燃焼室1105a内に流入し、第一のガス発生剤1109aを着火・燃焼させて、燃焼ガスを発生させる。また、第二の点火器1112bの作動によって発生した火炎は、区画円形部材1150の円形穴部1152に形成された第二の伝火孔1119を通って、専ら第二の燃焼室1105b内に流入し、第二のガス発生剤1109bを着火・燃焼させ、燃焼ガスを発生する。特に、この実施の形態に於けるガス発生器では、第二の伝火薬は配置されておらず、第二のガス発生剤1109aは、第二の点火器1112bの作動により発生する火炎によって、直接着火・燃焼されるものとしている。
【0088】
そして、これら第一のガス発生剤1109a及び第二のガス発生剤1109bの燃焼によって発生した燃焼ガスは、その後、共通のクーラント・フィルタ822を通過する間に浄化・冷却され、間隙825を通り、ガス排出口826から排出される。第一及び第二の伝火孔を閉鎖するシールテープ1118,1120は、点火器の火炎や伝火薬の燃焼ガスが通過する際に破裂し、ガス排出口826を閉塞するシールテープ827は、燃焼ガスが通過する際に破裂する。
【0089】
この様に、それぞれの点火器1112a,1112bの作動タイミングをずらして、ガス発生剤1109a,1109bの着火タイミング、即ちガス発生器の作動性能を調整する場合には、点火器1112a,1112bが配置される箇所には、それぞれの点火器に接続されるリードワイヤー815'が特定されるように、位置決め手段が形成されている。このような位置決め手段は、例えば、図30a〜dの要部分解斜視図に示すように、各点火器毎に異なる形式のコネクター816’を使用することによって行うことができる。図30aに示す位置決め手段では、コネクターに位置決め用の溝(又は突起)817'を形成し、この位置決め用の溝(又は突起)817'に対応する突起(又は溝)818'の形成位置が、各点火器毎に異なるものとしている。即ち、ガス発生器にコネクター816'を取り付けるとき、正規の向きにコネクター816'を取り付けないとコネクター同士が干渉して、きちんと取り付けることができないように、各コネクターの溝(又は突起)817'の位置をかえている。図30bに示す位置決め手段では、何れか一のコネクター821'にだけ位置決め用の溝(又は突起)819'を設けている。即ち、溝(又は突起)819'を設けたコネクター821A'は、突起(又は溝)820'を設けていない側の点火器822b'には継合することができるが、溝(又は突起)819'を設けていないコネクター821B'は、突起(又は溝)820'を設けた側の点火器822a'には継合する事ができない。その結果、コネクター821'の接続の間違えは、組立時に容易に気づくことができる。図30cは、各コネクターの接続継合する部分823'自体の形状が、それぞれ異なるものとしている。また図30dでは、二つのコネクターを一つにして、更に位置決め溝(又は突起)824'を形成している。この位置決め手段としては、その他にも、コネクターの接続の誤りをなくすための手段を適宜実施することができる。
【0090】
この実施の形態に示すガス発生器に於いても、第一のガス発生剤1109aは第一の点火器1112aの作動に依って、また第二のガス発生剤1109bは第二の点火器1112bの作動に依って、各々独立に着火・燃焼されるが、場合によっては第一の点火器1112aだけに電流を流して点火させ、第一の燃焼室1105a内のガス発生剤1109aだけを着火・燃焼させる場合がある。即ち、第二のガス発生剤1109b及び第二の点火器1112bを燃焼させずに残す場合である。この様な場合は、後の処理・廃棄等の際に不都合を来すので、ガス発生器(第一の点火器1112aのみ)の作動後に、第二の点火器1112bを作動させる通常の遅延着火のタイミング(例えば10〜40ミリ秒など)よりも更に遅らせて(例えば100ミリ秒以上等)、第二の燃焼室1105bのガス発生剤1109bを燃焼させることが望ましい。そこで本発明に於いては、第二の燃焼室1105b内に、第一のガス発生剤1109aの燃焼熱の伝導によって着火・燃焼する自動発火材料1185を配置している。この場合、自動発火材料1185による第二のガス発生剤1109bの着火は、第一の点火器1112aの作動後、所定の時間遅延させて第二の点火器1112bを作動させる場合の通常の遅延時間(即ち、点火器同士の作動間隔)よりも十分な時間が経過した後に行われる。つまり、ガス発生器の作動性能を調整することを目的として、第二のガス発生剤1109bの燃焼を遅らせる(即ち、第二の点火器1112bの作動を遅らせる)のとは異なる。ガス発生器の作動性能を調整するため、任意に第二の点火器1112bへの作動電流を遅延させている間に、第二のガス発生剤1109bが該自動発火材料1185によって着火・燃焼されることもない。なおこの自動発火材料1185は、第二の点火器に組み合わせて配置ることもできる。
【0091】
この自動発火材料の着火タイミングは、第一のガス発生剤の燃焼熱を伝える伝熱材料(例えばハウジング)の熱伝導率、及び距離などにより決定づけられる。この実施の形態に於いては、ガス発生剤として非アジド系のガス発生剤が使用されており、また、最初に燃焼したガス発生剤の燃焼熱を伝える伝熱材料としては、ハウジング及び/又は内筒部材が該当する。また、自動発火材料は第二の燃焼室に於いて、各シェルに近いところに配置される事が好ましく、さらには該シェルに接触している事が好ましい。
【0092】
自動発火材料の第二の燃焼室への配置は、接着するか、或いは自動発火材料のみを別の容器に入れ、その容器を第二の燃焼室におく方法等によって行うことができる。但し伝熱材料に接して配置されることが望ましい。
【0093】
而して、上記の様に自動発火材料を配置したガス発生器では、第一のガス発生剤1109aだけを燃焼させ、第二の燃焼室1105b内に配置された第二のガス発生剤1109bが、ガス発生器の作動後に於いてもそのまま残った場合に於いても、これを第一のガス発生剤1109aの燃焼に起因して、間接的に燃焼させることができ、ガス発生器作動後に於いても、何ら支障を来すことなく、後の処理・廃棄等を行うことができる。
【0094】
第一の燃焼室1105aと第二の燃焼室1105bとは、内筒部材1104によって画成されている。この内筒部材1104には貫通孔1110が設けられており、該貫通孔1110はステンレス板1111によって閉塞されている。このステンレス板1111は、接着剤などの粘着部材によって内筒部材1104に接着されており、専ら第二のガス発生剤1109bの燃焼によって貫通孔1110を開口し、第一のガス発生剤1109aの燃焼によって開口することはない。この様に貫通孔1110をステンレス板1111で閉塞するのは、第一のガス発生剤1109aの燃焼した火炎が、該貫通孔1110を通って第二の燃焼室1105b内に流入し、第二のガス発生剤1109bを燃焼させることのない様にする為である。従って、この様な機能を確保できるものであれば、貫通孔1110をステンレス板1111で閉塞する他にも、第二のガス発生剤の燃焼による圧力等で破裂、剥離、焼失又は外れるような破裂板を内筒部材に溶接・接着又はヒートシールして貫通孔1110を閉塞するか、或いは内筒部材1104の周壁にノッチを設けるか、或いは内筒部材1104の周壁の肉厚を部分的に薄く形成することによっても実現することができる。更に、図31に示すように、内筒部材1104に設けられた貫通孔1110を覆うようにして、略リング形状の遮蔽板1186を配置することもできる。特に図31に示すガス発生器の態様に於いては、第一のガス発生剤1109aの燃焼によって燃焼ガスが発生しても、貫通孔1110を閉塞するシールテープは、遮蔽板1186により保護されていることから、該第一のガス発生剤1109aの燃焼によっては破裂しないものとなる。この様に、本実施の形態に於いても、内筒部材1104の貫通孔1110は、専ら第二のガス発生剤1109bの燃焼によってのみ開口し、第一のガス発生剤1109aの燃焼によって開口しないことから、最初に第一の燃焼室1105a内で燃焼ガスが発生しても、これが第二の燃焼室1105b内に流入することはなく、該第二の燃焼室1105b内のガス発生剤1109bは、第二の点火器1112bの作動(場合によっては、前記自動発火材料1185の燃焼)により着火・燃焼される。第二のガス発生剤1112bの燃焼によって発生した燃焼ガスは、その燃焼によって開口した貫通孔1110を通過して、第一の燃焼室1105a内を通り、その後クーラント・フィルタ822により浄化・冷却されてガス排出口826から排出される。
【0095】
図28中、符号823は、クーラント・フィルタの端面とディフューザシェル天井部内面との間を燃焼ガスが通過することを阻止するショートパス防止部材である。
(コネクター)本発明は、複数の点火器を含んで構成されたエアバッグ用ガス発生器を含んで構成され、各点火器毎に、点火信号出力手段からの作動信号が出力されるエアバッグ装置に於いて、各点火器と点火信号出力装置との接続の誤りを無くし、エアバッグ装置が常に所望の出力で作動できる多段式ガス発生装置を提供する。
【0096】
本発明は、複数の点火器を含んで構成された多段式エアバッグ用ガス発生器を含んで構成され、点火信号出力手段からの作動信号が、コネクターを有するリードワイヤーによって各点火器毎に送られるガス発生装置において、該コネクターに限定手段を設け、点火信号出力手段と複数の点火器とを、複数のリードワイヤーによって接続する際、その接続が唯一つの組み合わせに限定されている多段式エアバッグ装置とする。
【0097】
即ち本発明のエアバッグ装置は、ハウジング内に複数の電気着火点火器を収容してなる多段式エアバッグ用ガス発生器と、衝撃によって点火器の作動信号を出力する出力部が点火器と同数設けられた点火信号出力手段と、コネクターを有する複数のリードワイヤーを含んで構成される多段式エアバッグ装置であって、該点火器と出力部とはコネクタを有するリードワイヤで繋がっており、該コネクタは、何れかの点火器と出力部との連結を1通りに特定する限定手段を有する多段式エアバッグ装置である。
【0098】
限定手段は、点火器と出力部とを接続するリードワイヤーの少なくとも片端部に存在するコネクターに形成されても良いし、点火器と点火信号出力手段の出力部とを接続するリードワイヤーに少なくとも一ヶ所存在する中継コネクターに形成されていても良い。
【0099】
リードワイヤは、ガス発生器に設けられる電気着火式点火器と同数設けることができる。そして該複数の点火器は、エアバッグ装置の作動時に於ける環境条件によって、各々の着火タイミングが調整されている多段式エアバッグ装置とする。
【0100】
この限定手段は、点火器がコネクターと継合する結合部を備える場合には、点火信号出力手段の出力部から伸びたリードワイヤーを各点火器に結合させるコネクター、及び各点火器の結合部に形成することができ、また点火信号出力手段の出力部がコネクターと継合する結合部を備える場合には、前記限定手段は、ガス発生器から伸びたリードワイヤーを出力部に結合させるコネクター、及び出力部の結合部に形成することができる。また中継コネクターは、プラグ部分とジャック部分とから成るものとし、各部分はそれぞれ結合部を備え、限定手段は、ガス発生器から伸びたリードワイヤーと出力部から伸びたリードワイヤーとを結合する中継コネクターのプラグ部分とジャック部分の結合部に形成してもよい。
【0101】
前記コネクターと結合部とが、それぞれ導電性部分を有しており、コネクターと結合部を継合することで、各々の導電性部分が接触し、点火信号出力手段から出力される点火信号を各点火器に通電可能なものとして構成されている場合には、前記限定手段は、前記コネクターの導電性部分の形状、数または位置の少なくとも一つが異なることによって実現することができる。例えば、コネクターの導電性部分を凸又は凹形状に形成し、これに継合可能なように、結合部の導電性部分を、それぞれ凹又は凸形状に形成することができる。また、各リードワイヤーに設けられたコネクターが可塑性の部材を用いて形成される場合には、この可塑性の部材に限定手段を設け、これにより複数のコネクター同士を互いに連結することができる。更に限定手段に関しては、複数のリードワイヤーを1つのコネクターに収束させて、このコネクターに限定手段を設けることもできる。
【0102】
上記のように、多段式エアバッグ装置に於いて、点火信号出力手段と点火器とを繋ぎ且つ作動信号を伝えるリードワイヤーに、限定手段を設けたコネクターを使用すれば、点火器−コネクター−作動信号出力手段出力部の繋がりを唯一通り特定することができる。
【0103】
この多段式エアバッグ装置には、ガス排出口を有するディフューザシェルと、該ディフューザシェルと共に内部空間を形成するクロージャシェルとから成る円筒形状ハウジングを有しているガス発生器を使用することができる。前記複数の点火器は、互いに該ハウジングの軸と同じ向きに並んで、クロージャシェルに設置されていても良い。
【0104】
また、本発明は、ガス排出口を有するハウジング内に、電気信号によって作動する複数の点火器と、該点火器の作動に起因して燃焼及び/又は膨脹し、作動ガスを発生させるガス発生手段とを含んで収容してなる多段式エアバッグ用ガス発生器であって、各点火器は、点火信号出力手段の出力部から出力される作動信号を伝えるリードワイヤーの先端に配置されたコネクターを継合する為の結合部を有しており、該結合部には、何れかのコネクターだけの接続を可能とする限定手段が設けられている多段式エアバッグ用ガス発生器をも提供する。特にこの多段式エアバッグ用ガス発生器は、前記多段式エアバッグ装置に好適に使用することができる。
【0105】
つまり、このガス発生器は、エアバッグ装置に組み込んだ際に、点火信号出力手段からの作動信号を伝えるリードワイヤーの先端に設けられたコネクターを継合する為の結合部を有しており、この結合部には、何れかのコネクターだけを継合可能とする限定手段が形成されていることを特徴とする。かかる限定手段としては、例えば点火器中の、点火信号出力手段からの作動信号を受領する導電性部分の形状、数及び/又は位置を、各点火器毎に異なるものとして形成することにより、それに合った特定のコネクターだけを継合可能とする他、点火器の結合部の形状を、特定のコネクターとだけ相補的に嵌合する形状に形成することに依って行うことができる。後者の場合、例えば各点火器毎に、位置及び/又は形状が異なる溝及び/又は突起を、その結合部に形成することができる。
【0106】
このガス発生器は、2つ以上の点火器を含むもので有れば良く、エアバッグ(袋体)を膨脹させる為の作動ガスを発生させるガス発生手段は、固形のガス発生剤であっても加圧ガスであっても良い。また、ガス発生器は、運転席側に配置するのに適した形状であっても、助手席側に配置するのに適した形状であっても良い。このガス発生器に於いては、ハウジング内に点火器と同数の燃焼室を設け、それぞれの点火器に依って、各燃焼室内のガス発生手段を燃焼又は膨脹させる構造のガス発生器であることが望ましい。
【0107】
更に本発明に於いては、上記多段式エアバッグ装置に於いて好適に使用される点火信号出力手段(出力部)と点火器との接続方法を提供する。
【0108】
即ち、ガス発生器に含まれる複数の点火器に点火信号を発するコントロールユニットを含んだ点火信号出力手段と、該ガス発生器に含まれる複数の点火手段とを接続する接続方法であって、各点火器は、それぞれコネクターを有するリードワイヤーによって点火手段出力装置に接続されており、各点火器と点火手段出力装置出力部とは、限定手段によって両者間の接続が特定されていることを特徴とする接続方法である。
【0109】
この限定手段としては、各点火器毎に設けられる導電性部分の形状、数及び/又は位置を、各点火器毎に異なるものとして形成する他、各コネクターと結合部との組み合わせが、単一となるように、両者を相補的に嵌合可能な形状に形成することができる。特に後者の場合、それぞれの点火器に設けられる結合部に、各点火器毎に位置及び/又は形状が異なる溝及び/又は突起を形成することに依っても実現することができる。
【0110】
通常、ガス発生器及びエアバッグ(袋体)を含んで構成されるモジュールは、運転席用、助手席用又は後部座席用など、それを配置する場所に応じて、大きさ・形状などが異なっているが、本発明の多段式エアバッグ装置は、これらモジュールの形状・大きさ等とは無関係に使用することができる。同様に、本発明の多段式エアバッグ用ガス発生器も、運転席用、助手席用又は後部座席用など、その形状・大きさが異なる場合であっても、実施することができる。
【0111】
前記の多段式エアバッグ装置に使用される作動信号出力装置は、複数の作動信号出力部を有し、且つその出力部から出力される作動信号の出力タイミングを調整可能であって、更に衝撃を感知して作動信号を出力するもので有れば使用可能である。従って、衝撃を感知しする部分と、該衝撃の程度を判断して出力信号をコントロールする部分とを有していれば、両者が一体又は別体となっているか否かを問わず使用することができる。
【0112】
上記の多段式エアバッグ装置は、エアバッグ(袋体)の展開パターンを最適なものとするために、作動信号出力手段が衝撃を感知すると、作動信号の出力タイミングを調整し、ガス発生器に含まれる各点火器の作動タイミングを調整する。その際、点火信号出力手段と各点火器とを接続するリードワイヤーのコネクターには、それぞれ限定手段が設けられていることから、作動信号出力手段から出力される作動信号は、確実に特定の点火器、即ち当初作動を予定する点火器に送られ、点火信号出力手段と点火器との接続ミスによるエアバッグ装置の作動性能の変化は生じない。依って、この多段式エアバッグ装置は、より確実にエアバッグの展開パターンを最適なものとすることができる。
「コネクターの実施の形態」以下、図面に示す実施の形態に基づき、本発明の多段式エアバッグ用ガス発生器を説明する。図10は、本発明の多段式エアバッグ装置の一の実施の形態を示す縦断面図である。
【0113】
この図に示す多段式エアバッグ装置は、2つの点火器108a、108bを含んで構成された多段式エアバッグ用ガス発生器101と、衝撃に応じて各点火器に作動信号を出力する作動信号出力手段102とを含んで構成されている。この内多段式エアバッグ用ガス発生器101は、該ガス発生器の作動により発生する作動ガスを導入して膨らむエアバッグ103と共にモジュールケース104内に収容される。
【0114】
作動信号出力手段102は、衝撃を感知する衝撃センサ105と該衝撃センサからの信号を入力して点火器作動信号を出力するコントロールユニット106とで構成されている。
【0115】
衝撃センサ105は、衝撃を感知するためのものであり、例えば半導体式加速度センサ等を用て形成することができる。この半導体式加速度センサは、加速度が加わるとたわむようにされたシリコン基板のビーム上に4個の半導体ひずみゲージが形成され、これら半導体ひずみゲージはブリッジ接続されている。加速度が加わるとビームがたわみ、表面にひずみが発生する。このひずみにより半導体ひずみゲージの抵抗が変化し、その抵抗変化を加速度に比例した電圧信号として検出するようになっている。
【0116】
コントロールユニット106は、点火判定回路を備えており、前記半導体式加速度センサからの信号は、この点火判定回路に入力するようになっている。センサ105からの衝撃信号がある値を越えた時点でコントロールユニット106は演算を開始し、演算した結果がある値を越えたとき、ガス発生器101の各点火器108a、108bに作動信号を出力する。
【0117】
モジュールケース104は、例えばポリウレタンから形成され、モジュールカバー129を含んでいる。このモジュールケース104内にエアバッグ103及びガス発生器101が収容されてパッドモジュールとして構成される。このパッドモジュールは、自動車の運転席側取り付ける場合には、通常ステアリングホイール130に取り付けられている。
【0118】
エアバッグ103は、ナイロン(例えばナイロン66)、またはポリエステルなどから形成され、その袋口131がガス発生器のガス排出口を取り囲み、折り畳まれた状態でガス発生器のフランジ部に固定されている。
【0119】
上記の構成からなる多段式エアバッグ装置は、自動車の衝突時に衝撃を半導体式加速度センサ105が感知すると、その信号がコントロールユニット106に送られ、センサからの衝撃信号がある値を越えた時点でコントロールユニット106は演算を開始する。演算した結果がある値を越えたとき、作動タイミングを調整して、各点火器108a、108bに作動信号を出力する。これにより各点火器108a、108bは作動してガス発生剤を着火・燃焼させ燃焼ガスを生成する。このガスはエアバッグ103内に噴出し、これによりエアバッグはモジュールカバー129を破って膨出し、ステアリングホイール130と乗員の間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
【0120】
コントロールユニット106から出力される作動信号は、コントロールユニット106中、各点火器毎108a、108bに設けられる出力部107から出力される。この出力部107は、ガス発生器101に含まれる点火器108の数以上、即ち本実施の形態では、2つ以上設けられている。各出力部107a,107bから出力される作動信号は、各点火器の作動タイミングを調整するために、それぞれ異なるタイミングで作動信号を出力することができる。各出力部107a,107bから出力される作動信号は、点火器108a、108bと同数存在するリードワイヤー109a、109bによって、それぞれガス発生器101に含まれる各点火器108a、108bに伝えられる。この場合、何れかの点火器に、誤って異なるリードワイヤー109を接続してしまうと、所望とする作動出力を得ることができなくなる。そこで各出力部107a,107bと点火器108a、108bとを接続するそれぞれのリードワイヤー109a、109bには、コネクター110a、110bを設け、各コネクター110a、110bに限定手段を設けることにより、第一の出力部107aから出力される作動信号が第一の点火器108aに、第二の出力部107bから出力される作動信号が第二の点火器108bに確実に送られる様に構成している。この限定手段に関しては、点火器108やコントロールユニット106の構造、又は点火器108と出力部107とを繋ぐリードワイヤー109の形状等により異なるものとして形成することができる。
【0121】
図10に示す多段式エアバッグ装置に於いて、図11に示すように、それぞれの出力部107a,107bから延びる各リードワイヤー109a、109bの先端にコネクター110a、110bを設け、それぞれのコネクター110a、110bを、各点火器108a、108bの結合部111a,111bに継合させる場合には、それぞれのコネクター110a、110b及び結合部111a,111bには、図12及び13に示すような限定手段を設けることができる。このようにリードワイヤー109のコネクター110が、点火器に継合する場合には、点火器としては、コントロールユニット106からの作動出力を受け取る導電性部分、即ち導電ピン112を有するものが使用される。
【0122】
図12に示す限定手段は、ガス発生器中、各点火器毎に結合部の形状を異なったものとするか、或いは位置及び/又は形状が異なる溝及び/又は突起を形成している。図12aに示す限定手段では、各コネクター110a、110bに位置決め用の溝(又は突起)117を形成し、この位置決め用の溝(又は突起)117に対応する突起(又は溝)118の形成位置が、各点火器毎に異なるものとしている。この図に示す限定手段では、ガス発生器にコネクター110a、110bを取り付けるとき、正規の向きにコネクターを取り付けないとコネクター同士が干渉して、きちんと取り付けることができないように、各コネクターの溝(又は突起)117の位置をかえている。図12bに示す限定手段では、何れか一のコネクター110bにだけ位置決め用の溝(又は突起)119を設けている。即ち、溝(又は突起)119を設けたコネクター110bは、突起(又は溝)120を設けていない側の点火器108aには継合することができるが、溝(又は突起)119を設けていないコネクター110aは、突起(又は溝)120を設けた側の点火器108bには継合する事ができない。その結果、コネクターの接続の間違えは、組立時に容易に気づくことができる。図12cは、各コネクター110a,bの接続継合する部分116自体の形状が、それぞれ異なるものとしている。図12dでは、二つのコネクターを一つにして、更に位置決め溝(又は突起)124を形成している。
【0123】
また図11に示すガス発生器のように、コネクターが継合する結合部には導電性部分として導電ピン112が存在し、結合部111の導電性部分(導電ピン112)とコネクター110の導電性部分とが継合して通電可能となるように形成されている場合には、各点火器毎に、導電ピン112の形状、数又は位置を異なるものとし、それに応じてコネクター110の通電部分の形状、数又は位置を異ならせることによって実現することができる。
【0124】
図13は、各点火器毎に異なるものとした導電ピンの態様を示す。図13aは、各点火器108a、108b毎に導電ピン112の形状自体が異なる場合を示し、図13bは、各点火器108a、108b毎に異なる位置に導電ピン112を形成した場合を示す。この様な導電ピンの態様は、それぞれの点火器毎に唯一となるようなものであれば適宜採用することができる。この場合、図11に於けるコネクター110a、110b側の導電性部分は、継合する点火器108a、108bの導電ピン112の形態に合わせて、その形状や形成位置又は数が調整されている。また、図13bに示すように、各点火器108a、108b毎に異なる位置に導電ピン112を形成した場合、それに継合するコネクター110a、110bは、図13cに示すように、各コネクター110a、110bを繋げることもできる。
【0125】
上記のように、限定手段を設けて点火器とコネクター110a、110bとを接続する場合、それぞれのコネクター110a、110bは、更に各コネクター110a、110bに接続するリードワイヤー109a、109bを、同一方向に引き出す要に構成されていることが望ましく、更にその引き出し方向は、ハウジングの中心軸と直交する方向に揃えて引き出されていることが望ましい。
【0126】
また図10に示す多段式エアバッグ装置に於いて、図14に示すように、リードワイヤー109a、109bの端部にコネクター113a,113bを設け、それぞれのコネクター113a,113bを、各出力部107a,107bの結合部114a,114bに継合させる場合には、それぞれのコネクター113a,113b及び結合部114a,114bには、前記図12に示した点火器側の限定手段と同様の限定手段を設けることができる。即ち、各出力部107a,107bの結合部114a,114bの形状を、各コネクター113a,113b毎に異なったものとするか、或いは位置及び/又は形状が異なる溝及び/又は突起を形成する。この場合、各コネクター113a,113bは、それぞれの継合する出力部107a,107bの結合部114a,114bに合わせて、その形状や溝及び/又は突起の形成位置及び/又は形状に形成されている。更に各出力部107a,107bの結合部114a,114bが導電性部分として機能する導電ピン115a,115bを有する場合には、該導電ピン115a,115bは、前記図13に示す態様に形成することができる。このように、点火信号出力手段(本形態に於いてはコントロールユニット106)に、リードワイヤー109のコネクター113が継合する多段式エアバッグ装置の場合には、各出力部107a,107bの結合部114a,114b、及びコネクター113a,113bに限定手段を設けることにより、第一の出力部107aには、コネクター113aを介してリードワイヤー109aが接続され、第二の出力部107bには、コネクター113bを介してリードワイヤー109bが接続される。依って、各点火器108a、108bとリードワイヤー109a、109bとの接続に於いて、前記図12及び13に示すような限定手段を施せば、第一の出力部107aから出力される作動信号は、必ず第一の点火器108aに入力し、第二の出力部107bから出力される作動信号は、必ず第二の点火器108bに入力することとなる。これにより、該多段式エアバッグ装置では、確実に所期の作動性能を得ることができる。
【0127】
更に、図10に示す多段式エアバッグ装置に於いて、図15に示すように、点火信号出力手段(本形態に於いてはコントロールユニット106)の出力部107a,bと、多段式エアバッグ用ガス発生器(本形態に於いては点火器108)とを接続するリードワイヤーが、その途中に中継コネクター125a、125bが設けられ、接続している場合には、この中継コネクター125a、125bにも限定手段を施すことができる。即ち、中継コネクター125aでは、そのプラグ125a1とジャック125a2に、また中継コネクター125bでは、そのプラグ125b1とジャック125b2に、それぞれ前記図12及び13で説明したような限定手段を設ける。係る限定手段としては、前述の如くプラグ125a1がジャック125a2にのみ継合可能となり、またプラグ125b1がジャック125b2にのみ継合可能となるようなコネクター自体の形状や凹凸の有無、或いは導電ピンの位置・形状等を調整することにより行うことができる。より具体的には、図16(a)に示すように、各中継コネクター125a、125b毎に、そのプラグ側125a1,125b1の各導電ピン121の形成位置を異ならせるか、図16(b)に示すように、各中継コネクター125a、125b毎に、そのプラグ側125a1,125b1の各導電ピン121の形状を異ならせる、或いは図16(c)に示すように、コネクター125a,125bの形状自体を異なるものとすることができる。このような中継コネクターに限定手段を設ける方法は、例えば図17に示す様に、ガス発生器に設けられる各点火器126a,126bが、コネクターを直接継合するものでない場合にも使用することができる。つまり点火器がコネクターを継合する結合部を有する場合には、前記図12又は13に示すような方法により限定手段を設けることができるが、図17に示す様に、各点火器126a,126bからリードワイヤー127a,127bが直接延びている場合には、各点火器126a,126bに直接コネクターを継合することは困難である。そこで各点火器126a,126bから延びるリードワイヤー127a,127bの先端にコネクター128a、128bを設け、これに前記中継コネクター125a、125bを継合させる。そしてそれぞれのコネクターに前記限定手段を設け、コネクター128aには中継コネクター125aが、コネクター128bには中継コネクター125bがそれぞれ継合すれば、第一のリードワイヤー126aから送られる作動信号は確実に第一の点火器126aに伝わり、第二のリードワイヤー126bから送られる作動信号は確実に第二の点火器126bに伝わる。
【0128】
上記の構成・方法により、この多段式エアバッグ装置では、出力部と点火器との接続ミスが無くなり、点火信号出力手段中、コントロールユニット106の各出力部107a,107bから出力される点火器の作動信号は、確実に所期の点火器に伝えることができる。従ってこの多段式エアバッグ装置では、確実に所期の作動性能を得ることができる。
【0129】
図18は、前記多段式エアバッグ装置に好適に使用される多段式エアバッグ装置の一の実施の形態を示す縦断面図である。即ちこのガス発生器に於いては、前記多段式エアバッグ装置において、点火信号出力手段に接続する各リードワイヤー先端のコネクター110a、110bを、特定して継合可能とする限定手段が設けられたガス発生器である。
【0130】
このガス発生器は、ハウジング132内にガス発生剤を収容する2つの燃焼室133a,bを設け、各燃焼室毎にそれぞれ配置されたガス発生剤134a,bを燃焼させる為の2つの点火器135a,bが収容されている。ハウジング内に配置される各点火器は、独立して作動することができ、1の点火器の作動により、何れか1の燃焼室内のガス発生剤が着火・燃焼するものとして形成されている。つまりこのガス発生器は、各燃焼室133a,b内のガス発生剤134a,bは何れかの点火器135の作動によってのみ着火・燃焼するものとして形成されていることから、点火器135a,b同士の作動タイミングを調整すれば各燃焼室内のガス発生剤134a,bの燃焼タイミングを調整することができ、これによりガス発生器、ひいてはエアバッグ装置の作動性能を調整することができる。具体的には、第一の点火器135aが作動すると、伝火薬136が燃焼し、この火炎は第一の伝火孔150から第一の燃焼室133a内に噴出して、その中に収容された第一のガス発生剤134aを着火・燃焼させる。また第二の点火器135bは第一の点火器と同時か或いは僅かに遅れて作動し、その火炎は第二の伝火孔150bを通って、第二の燃焼室内に噴出する。この火炎により第二のガス発生剤は着火・燃焼して、作動ガスを発生させ、内筒部材151の貫通孔152を通って第一の燃焼室133a内に噴出する。第一のガス発生剤134a及び第二のガス発生剤134bの燃焼によって発生した作動ガスは、クーラント・フィルター137を通過する間に浄化・冷却されて、ガス排出口153から排出される。
【0131】
このガス発生器に於いては、点火器135には、その作動により着火・燃焼し、ガス発生剤を効率的に燃焼させることができるような伝火薬136を組み合わせることができる。またガス発生剤134が燃焼した際に、燃焼残渣をも発生する場合には、その燃焼残渣を浄化するためのフィルタを配置することができ、また燃焼ガスを冷却する為のクーラントを配置することができる。本実施の形態では、燃焼ガスの浄化・冷却を果たすクーラント・フィルター137を使用している。
【0132】
このガス発生器に於いて、2つの点火器は、それぞれ点火器カラー138に収容されてハウジング132内に配置されており、この点火器カラー中、点火器135が収容された個所には結合部139が設けられている。この結合部には、該ガス発生器を用いてエアバッグ装置を形成する際、点火信号出力手段から延びるリードワイヤー109先端のコネクター110がそれぞれ継合することとなる。
【0133】
本発明のガス発生器では、結合部139には限定手段140が設けられており、点火信号出力手段からの作動信号を各点火器135a,bに伝える複数のコネクター110a,bの内、1の結合部140に継合可能なコネクター110aを特定することができる。つまり、この限定手段140は各点火器110a,b毎に異なるものとして形成されており、例えば、前記図12に示すように、各点火器125a,b毎に結合部139a,bの形状を異なったものとするか、或いは位置及び/又は形状が異なる溝及び/又は突起を形成する事ができる。また、前記図13に示すように、各点火器135a,b毎に、各結合部139a,bに突起する点火器の導電ピン141の形状又は位置等を異なるものとすることができる。
【0134】
なお、この実施の形態では、固形のガス発生剤を用いた運転席側に配置するのに適したガス発生器に基づいて説明したが、その他にも助手席側に配置するのに適した軸方向に長いガス発生器、又は固形のガス発生剤に代わり加圧ガスを用いたガス発生器であっても、2つ以上の点火器を有するもので有れば実施することができる。
【0135】
また、2つの点火器は必ずしも図18に示すように、同一平面上に併置する必要はなく、異なる面、例えば上面と下面とに配置したガス発生器に於いても当然実施する事ができる。
(自緊式フィルター)本発明に係るエアバッグ用ガス発生器のフィルター手段は、全体略筒状であって、少なくとも何れかの軸方向端面が、半径方向外側に窄むように傾斜して形成されており、このフィルター手段は、ガス発生器の作動で生じる作動ガスによって半径方向外側に膨出する。この膨出により、フィルター手段はハウジング内の支持部及び/又は支持部材に当接し、且つ端面の傾斜により、軸方向に収縮され、ガス発生器の作動時に於いて、フィルター手段端面に於ける作動ガスのショートパスを防止することができる。
【0136】
即ち本発明に係るエアバッグ用ガス発生器のフィルター手段は、エアバッグ用ガス発生器のハウジング内に配置され、エアバッグを膨脹させる為の作動ガスを浄化及び/又は冷却するための筒状フィルター手段であって、軸方向端面の何れか一方又は双方は、軸心延伸方向に向かって窄んで傾斜し、且つ内周面との内角が鋭角となる傾斜端面に形成されていることを特徴とする。特にこのフィルター手段は、ガス発生器の作動で生じる作動ガスにより半径方向外側に膨出することからすれば、該フィルター手段は線材を用いて形成されており、また少なくとも半径方向に伸縮可能に形成されることが望ましい。
【0137】
かかるフィルター手段としては、作動ガスが高温の場合にそれを冷却するために使用されるクーラントの他、作動ガス中に含まれる燃焼残渣等を浄化するためのフィルター、更に両機能を併せ持つクーラント・フィルター等、その空隙内を作動ガスが通過するものが全て含まれる。このフィルター手段は、全体略筒状であって、何れか一方又は双方の軸方向端面に傾斜端面が形成されていることを特徴とする。この傾斜端面は、フィルター手段の軸心延伸方向に向かって窄むように傾斜するものであり、より具体的には、上部端面が傾斜する場合には、半径方向外側に下降するように傾斜し、下部端面が傾斜する場合には、半径方向外側に上昇する様に傾斜する。即ち、このフィルター手段は、傾斜端面が形成された傾斜部と、該傾斜部に軸方向に繋がって周面を形成する直胴部とで構成されている。傾斜部は、直胴部の軸方向両側に設けられても良く、また何れかの片側にだけ設けても良い。
【0138】
このフィルター手段は、例えば、各種線材を用いて形成された金網を筒状に積層させて積層金網フィルターを形成し、これを圧縮成型することにより製造することができる。線材を用いて形成された金網としは、望ましくはステンレス鋼製金網が使用され、金網材料のステンレス鋼としては、SUS304、SUS310S、SUS316(JIS規格記号)などを使用することができる。SUS304(18Cr−8Ni−0.06C)は、オーステナイト系ステンレス鋼として優れた耐食性を示す。このように線材を用いて形成されたフィルター手段は、少なくとも半径方向に伸縮可能なものとして形成すれば一層顕著な効果を得ることができる。
【0139】
また本発明に於いては上記フィルター手段を用いて、作動ガスのショートパスを効果的に防止したエアバッグ用ガス発生器をも提供する。
【0140】
即ち本発明のエアバッグ用ガス発生器は、ガス排出口を有するハウジング内に、衝撃によって作動する点火手段と、該点火手段の作動によりエアバッグを膨張させるための作動ガスを発生するガス発生手段と、該作動ガスを浄化及び/又は冷却する筒状フィルター手段とを含んで収容してなるエアバッグ用ガス発生器であって、該フィルター手段は、軸方向端面の何れか一方又は双方が、軸心延伸方向に向かって窄み、且つ内周面との内角が鋭角となるように傾斜する傾斜端面として形成されており、該ハウジング内には該フィルター手段の傾斜端面に対向する支持部が存在していることを特徴とする。
【0141】
このハウジング内に設けられる支持部は、例えば、フィルター手段の傾斜端面と対向する内面、即ちフィルター手段が配置される個所の軸方向であって、フィルター手段の傾斜端面が設けられる側の内面に、該傾斜端面と略同じ傾きの傾斜面を形成して、このハウジングの傾斜面を支持部とする他、ハウジング内のフィルター手段端面の軸方向であって、該傾斜端面が形成された側に、フィルター手段の傾斜端面に対向する傾斜面を有するフィルター手段支持部材を配置し、該支持部材の傾斜面を前記支持部とすることができる。
【0142】
フィルター手段は、その軸方向両側の端面を傾斜端面に形成したものを使用する他、何れか一方の軸方向端面を傾斜端面に形成したものを使用することもできる。即ち、このフィルター手段は、周面を形成する直胴部と傾斜端面が形成された傾斜部とで構成されており、該傾斜部は、直胴部の軸方向の何れか一方又は双方に設けられている。軸方向両端面に傾斜端面(傾斜部)を形成したフィルター手段を使用する場合には、ハウジング内に設けられる支持部は、フィルター手段が配置される個所の軸方向両側に設けられる。そして軸方向端面の何れか一方に傾斜端面(傾斜部)を形成したフィルター手段を使用する場合には、ハウジング内に設けられる支持部は、フィルター手段端面の軸方向であって、フィルター手段の傾斜端面(傾斜部)側に設けられる。この場合、ハウジング内のフィルター手段端面について、支持部と軸方向反対側、即ち傾斜端面の反対側には、環状部と外周壁とを有するリテーナーを配置することが望ましい。このリテーナーは、その外周壁内面をフィルター手段の端部外周面と対向し配置されており、該端部外周面を当接・支持可能に形成されている。リテーナーを配置する代わりに、フィルター手段の傾斜端面が形成されていない端面側の外径を大きく形成し、ハウジングの周壁部内面に当接する様に形成することもできる。
【0143】
またこのフィルター手段は、直胴部の膨出変形を好まない場合、例えばハウジング内面とフィルター手段外面との間の空間の確保が望まれる場合には、直胴部外周面に多孔円筒状のパンチングメタル又は巻線などからなる膨出防止手段を設け直胴部の膨出を防止しても良い。この様に形成した場合、フィルター手段の端部の傾斜部のみが膨出し、これが支持部(材)に当接・支持される。
【0144】
本発明に於けるガス発生器は、その全体形状による制限はないことから、例えば軸方向に長い円筒状のガス発生器であっても半径方向に広い円筒状のガス発生器であっても使用することができる。またハウジング内に配置される点火手段は、衝撃によって作動するものであれば、衝撃によって出力される電気信号で作動する点火器、或いはこの点火器と、点火器の作動により着火・燃焼する伝火薬とを組み合わせて構成されるものなど、ガス発生手段から作動ガスを発生させるために使用される公知の点火手段を使用することができる。
【0145】
ハウジング内に収容され、点火手段の作動によりエアバッグを膨張させるための作動ガスを発生するガス発生手段としては、作動した点火手段によって着火されて燃焼し、作動ガスを発生させる固形のガス発生剤や、加熱されて膨脹し作動ガスを発生する加圧ガスを用いる他、更にこれらを併用することができる。斯かるガス発生剤としては、従来から広く使用されている無機アジド、例えばナトリウムアジド(アジ化ナトリウム)に基づくアジド系ガス発生剤の他、無機アジドに基づかない非アジド系ガス発生剤を使用することができる。また加圧ガスとしては、酸素及び不活性ガスの混合物等公知のものを使用することができる。即ち、本発明のガス発生器は、固形のガス発生剤を用いた火工式ガス発生器、及び加圧ガスと固形のガス発生剤とを併用したハイブリッドタイプのガス発生器の何れに於いても実施することができる。
【0146】
本発明のガス発生器の作動は、点火手段が作動すると、ガス発生手段から作動ガスが発生し、この作動ガスはフィルター手段を通過する間に浄化・冷却され、その後ガス排出口から排出される。作動ガスがフィルター手段を通過する際には、フィルター手段は、作動ガスの圧力により半径方向に膨出するが、このガス発生器に於いては、フィルター手段は、何れか一方又は双方の軸方向端面が、半径方向外側に向かって窄むように傾斜した傾斜面として形成され、またハウジング内には該フィルター手段の傾斜面と対向する傾斜面を有する支持部が設けられていることから、半径方向に膨出したフィルター手段は、その傾斜面がハウジング内の支持部に当接し、またその傾斜により、僅かに軸方向に収縮することとなる。これにより、フィルター手段の端面は強く支持部に圧接することとなり、フィルター手段の傾斜面(即ち端面)と支持部との間に於ける作動ガスのショートパスを防止することができる。
【0147】
上記のように構成されたガス発生器に於いても実現されている様に、ハウジング内に、その半径方向外側に向かって窄むように傾斜した支持部を設けて、作動ガスの通過により半径方向に膨出したフィルター手段を、該支持部の傾斜により軸方向に収縮させると共に、支持部に圧接させ、フィルター手段と支持部との間の作動ガスの通過を阻止する作動ガスの浄化及び/又は冷却方法を使用すれば、より製造コストを削減することができる。
【0148】
斯かるガス発生器は、該ガス発生器で発生するガスにより膨張するエアバッグ(袋体)と共にモジュールケース内に収容され、少なくとも衝撃を感知して前記ガス発生器を作動させる衝撃センサと組み合わされてエアバッグ装置となる。このエアバッグ装置は、衝撃センサが衝撃を感知することに連動してガス発生器が作動し、ハウジングのガス排出口から燃焼ガスを排出する。この燃焼ガスはエアバッグ内に流入し、これによりエアバッグはモジュールカバーを破って膨出し、車両中の硬い構造物と乗員との間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
「自緊式フィルターの実施の形態1」図19は本発明のエアバッグ用ガス発生器の一の実施の形態を示す縦断面図である。特にこの図に示すガス発生器は、燃焼によって作動ガスを発生させる火工式ガス発生器であって、軸方向よりも径方向に長い構造を有している。
【0149】
本実施の形態に示すガス発生器は、ガス排出口310を有するディフューザシェル301と、該ディフューザシェルと共に内部空間を形成するクロージャシェル302とを接合してなる略円筒形状のハウジング303内に、周壁に複数の貫通孔320を設けた筒状の内筒部材304を同心円に配置し、該内筒部材304の外側を第一の燃焼室305aとしている。内筒部材の内側は、シールカップ部材106と区画円形部材307とで構成された隔壁321により、軸方向に隣接するように二室に画成され、その内のディフューザシェル301側を第二の燃焼室305b、クロージャシェル302側を点火手段収容室308としている。この第一の燃焼室と第二の燃焼室には共にガス発生剤309が配置されており、各燃焼室内に配置されたガス発生剤は、点火手段収容室内に配置された二つの点火器311a,bの作動によって、それぞれ独立に着火・燃焼されるものとして形成されている。
【0150】
ハウジング303内には、本発明の一の実施の形態に於けるフィルター手段350が使用されている。図20にこのフィルター手段350の部分断面図を示す。このフィルター手段は、全体略筒状であって、その軸方向両端面は、軸心延伸方向に向かって窄んで傾斜し、且つ内周面との内角θが鋭角となる傾斜端面351に形成されている。具体的には、上部端面は半径方向外側に下降するように、下部端面は半径方向外側に上昇する様にそれぞれ傾斜している。かかるフィルター手段350は、例えば各種線材を用いて形成された金網を筒状に積層させて積層金網フィルターを形成し、これを圧縮成型することにより製造することができる。このフィルター手段350は、図19に示すように、ハウジング301内周面と対向する様にして、ハウジング内に配置されている。ハウジング内の該フィルター手段端面の軸方向には、フィルター手段の傾斜端面351と対向する傾斜面352を有する支持部材353が配置されている。この支持部材353の傾斜面352はフィルター手段350の支持部として機能する。即ちこの実施の形態に於いては、軸方向両側の端面を傾斜端面351に形成したフィルター手段350が使用されており、またハウジング内のフィルタ手段軸方向両側には、フィルター手段支持部材353が設けられている。このフィルター手段支持部材353は、その傾斜面352で、半径方向に膨出したフィルター手段350の傾斜端面351を当接・支持する。
【0151】
内筒部材304の内側を、第二の燃焼室305bと点火手段収容室308とに画成する隔壁321は、シールカップ部材306と略平板円形状の区画円形部材307とで構成されており、シールカップ部材306に設けられる伝火薬収容部312は、区画円形部材の開口部313から突起するように組み合わされている。この隔壁321は内筒部材の段欠き部314に係止され、固定されている。また、このシールカップ部材306は、伝火薬収容部312と反対側に延在する筒状の点火器収容口315を有しており、この中に第二の点火器311bを収容している。
【0152】
第一の点火器311aと第二の点火器311bとは、イニシエーターカラー316に収容されており、該カラー316を覆う点火器固定部材317により支持・固定されている。この点火器固定部材317には、前記シールカップ部材306の点火器収容口315が近接しており、両者間にはO−リング325が配置されている。これにより、第一の点火器311aと第二の点火器311b、及び第二の燃焼室305bとハウジング外とのシールが実現している。
【0153】
このガス発生器の作動は、第一の点火器311aが作動することによりシールカップ部材306aの伝火薬収容部312内に収容された第一の伝火薬318が着火・燃焼し、その火炎は内筒部材304に設けられた第一の伝火孔319aから第一の燃焼室305a内に放出され、第一のガス発生剤309aを着火燃焼させる。点火手段収容室308内に収容された第二の点火器311bは、第一の点火器311aと同時又は僅かに遅れて作動し、その火炎が区画円形部材307に形成された第二の伝火孔319bから第二の燃焼室305b内に放出し、第二のガス発生剤309bを燃焼させる。この第二のガス発生剤の燃焼により発生した作動ガスは、内筒部材304に設けられた貫通孔320から第一の燃焼室305a内に排出される。
【0154】
この第一のガス発生剤309a、及び第二のガス発生剤309bの燃焼によって発生した作動ガスは、第一の燃焼室305aの半径方向外側を囲むようにして配置されたフィルター手段350を通過する間に燃焼残渣が捕集され、また冷却される。その際、フィルター手段350は、作動ガスの圧力等によって半径方向外側に僅かに膨出する。この膨出したフィルター手段は、その軸方向に配置されたフィルター手段支持部材353に当接・支持され、フィルター手段端面とフィルター手段支持部材353との隙間を作動ガスが通過する作動ガスのショートパスを防止することができる。即ちこのフィルター手段350は、作動ガスの通過により自ら緊まる自緊式のフィルター手段となる。フィルター手段350を通過した作動ガスは、ガス排出口310を閉塞するシールテープ322を破り、該排出口310からハウジング外に放出される。
【0155】
本実施の形態に示すガス発生器に於いては、ガス発生剤309a,b、伝火薬318及び点火器311a,bなどは公知のものを使用することができる。
【0156】
また本実施の形態に於いて、図21に示すような片側にだけ傾斜面を設けたフィルター手段、即ち、全体略筒状であって、その軸方向端面の片方に、軸心延伸方向に向かって窄んで傾斜し、且つ内周面との内角θが鋭角となる様に調整された傾斜端面351が形成されたフィルター手段355を使用することもできる。但しこの場合、ハウジング303内に配置されるフィルター手段支持部材353は、図22に示すように、フィルター手段の傾斜端面351が形成された側にのみ配置されており、反対側(即ちクロージャシェル302側)には、環状部323bと内周及び外周が設けられた壁面部323aとからなるリテーナー324が配置されている。このフィルター手段の裾部外周面354は、リテーナーの外周壁部323aの内面によって当接・支持されている。
【0157】
図22に示すガス発生器に於いては、第一及び第二のガス発生剤の燃焼によって作動ガスが発生すると、該作動ガスは、図19に示すガス発生器と同じように、フィルター手段を通過する際、該フィルター手段355を半径方向外側に膨出させる。半径方向に膨出したフィルター手段355は、傾斜端面351がフィルター手段支持部材353の傾斜面352に当接し、裾部外周面354はリテーナー324の外周壁内面に当接する。従って、このフィルター手段355に於いても、上部端面に形成された傾斜端面352により、作動ガスの通過により自ら緊まる自緊式のフィルター手段となる。
「自緊式フィルターの実施の形態2」図23に示すガス発生器は、特にハウジング403の内面に半径方向外側に向かって窄むように傾斜した傾斜面452が形成されていることを特徴とする。この傾斜面452は、ハウジングの内面であって、フィルター手段の傾斜面が形成された側の軸方向に形成される。本実施の形態に於いて、傾斜面はフィルター手段に支持部として機能し、これはハウジング403の円形部461の周縁に、面取り状に傾斜する傾斜部を形成することによって設けられている。
【0158】
この実施の形態に示すガス発生器は、ガス排出口410を有するディフューザシェル401と、該ディフューザシェルと共に内部空間を形成するクロージャシェル402とからなるハウジング403内に、周壁に複数の貫通孔420を有する略円筒形状の内筒部材404を配置し、その外側を燃焼室405、内側を点火手段収容室408としている。燃焼室405内には、燃焼によって作動ガスを発生するガス発生剤409が収容され、点火手段収容室408内には、点火器411と伝火薬418とで構成される点火手段が配置されている。燃焼室405の半径方向外側には、前記図21に示した軸方向片側にだけ傾斜端面351を設けたフィルター手段355、即ち、全体略筒状であって、その軸方向端面の片側が、軸心延伸方向に向かって窄んで傾斜し、且つ内周面との内角θが鋭角となる傾斜端面351に形成されているフィルター手段355が配置されている。
【0159】
特にこの実施の形態に於いては、フィルター手段355の傾斜端面351の軸方向には、前記実施の形態1に示したようなフィルター手段支持部材は配置されていない。これは、ハウジング403内の、フィルター手段355が配置される個所であって、傾斜端面351が形成された側に、フィルター手段の傾斜端面351が当接する傾斜面452を形成しているためである。従ってこの実施の形態では、傾斜面452がフィルター手段355の支持部として機能する。
【0160】
このような傾斜面を有するハウジング403は、例えば、ディフューザシェルとクロージャシェルとを、ステンレス鋼板、ニッケルメッキ鋼板又はアルミニウム合金板等の各種金属板をプレス成形により形成し、フィルター手段355の傾斜面351が設けられる側のシェル(本実施の形態では、ディフューザシェル401)に傾斜部453を形成することにより実現可能である。
【0161】
本実施の形態に於いて、ハウジングを構成するディフューザシェル401は、天井面を形成する円形部461と、該円形部の外周から半径方向外側に向かって袴状に広がって傾斜する傾斜部453と、該傾斜部の先端から曲折して下方に延伸する周壁部462と、該周壁部の下端から曲折してハウジングの径方向外側に広がるフランジ部463とで構成されており、クロージャシェル402は、中央に内筒部材404を内装する孔部464を設けた環状部465と、該環状部の外周縁からハウジングの軸方向に立ち上がる周壁部466と、外周壁部の上端から曲折してハウジングの径方向外側に広がるフランジ部467とで構成されている。そして両シェルのフランジ部同士は、各種溶接法で接合されてハウジングが形成されている。ディフューザシェル401の周壁面には、作動ガスを放出するためのガス排出口410が複数形成されており、このガス排出口は防湿目的のシールテープ422で閉塞される。このシールテープ422としては、作動ガスによって破裂するようなものが使用される。
【0162】
上記のように形成されたハウジングでは、ディフューザシェル401に設けられた傾斜部453の内面も、下方に袴状に広がる傾斜面として、具体的には、半径方向外側に下降するように傾斜する傾斜面452として形成されている。フィルター手段355は、その傾斜端面351を該傾斜面452と対向するようにして、ハウジング403内に配置されている。ハウジング内面に設けられた傾斜面452は、前記実施の形態1のフィルター手段支持部材の傾斜面と同様にフィルター手段の支持部材として機能し、作動ガスの通過により半径方向外側に膨出したフィルター手段355の傾斜端面351を当接・支持する。
【0163】
本実施の形態に於いても、傾斜端面を形成していない側のフィルター手段355の端面には、前記図22に示すガス発生器と同様に、平板環状部422とその内周及び外周設けられた壁面部423とからなるリテーナー424が配置されており、フィルター手段の裾部外周面354は、このリテーナー424の外周壁部423の内面によって当接・支持される。
【0164】
この図に示すガス発生器は、点火器411が作動すると、その上方に配置された伝火薬418が着火・燃焼し、その火炎は内筒部材404の貫通孔420から、ガス発生剤409が収容された燃焼室405内に噴出する。燃焼室内に噴出した伝火薬418の火炎は、ガス発生剤409を着火燃焼させて、エアバッグを膨脹させるための作動ガスを発生させる。この作動ガスは、フィルター手段355を通過する間に浄化・冷却され、シールテープ422を破りガス排出口410から排出される。
【0165】
フィルター手段355は、作動ガスが通過している間に於いて、その圧力により半径方向外側に膨出する。フィルター手段355が半径方向外側に膨出する事により、その傾斜端面351は、ハウジング内面の傾斜面452に当接し、フィルター手段端面(傾斜端面351)とハウジング内面との間の作動ガスのショートパスを防止することができる。
【0166】
従って、この実施の形態に示すガス発生器に於いては、フィルター手段の傾斜端面351は、ハウジング内面に傾斜面452に圧接することから、フィルター手段355を支持するための特段の部材を配置することなく、フィルター手段355の端面に於ける作動ガスのショートパスを防止することができる。
【0167】
このガス発生器に於いても、ガス発生剤409、伝火薬418及び点火器411などは公知のものを使用することができる。
「自緊式フィルターの実施の形態3」図24は他の実施の形態に於ける本発明のエアバッグ用ガス発生器を示す。この図に示すガス発生器は、図23に示すガス発生器同様、ハウジング503の内面に傾斜面552a,bを形成し、この傾斜面552a,bにより、フィルター手段550の端面に設けられた傾斜端面551a,bを支持するものである。
【0168】
本実施の形態に示すガス発生器は、前記実施の形態2に示すガス発生器と異なり、軸方向端面の両側に傾斜端面551を形成したフィルター手段550が使用されている。フィルター手段の軸方向端面両側に形成される傾斜端面551は、半径方向外側に向かって窄むように傾斜しており、上部の端面551aは半径方向外側に下降するように、下部の端面551bは半径方向外側に上昇するように傾斜している。また、この実施の形態に於けるフィルター手段は、その下方が半径方向外側に膨出するものとして形成されている。
【0169】
ハウジング503は、その内面に、上記フィルター手段の傾斜端面551a,bと対向し、該フィルター手段550を支持可能な傾斜面552a,bが形成されている。特にこの実施の形態に於いては、前記フィルター手段が軸方向両側に傾斜端面551a,bが形成されていることから、ディフューザシェル501の内面とクロージャシェル502の内面との双方に、フィルター手段550の傾斜端面551a,bと対向する傾斜面552a,bが形成されている。具体的には、クロージャシェル501とクロージャシェル502とを、前記実施の形態2と同様に、各種金属板をプレス成形により形成し、フィルター手段550の傾斜面が設けられる側のシェル、即ち本実施の形態に於いてはディフューザシェル501とクロージャシェル502とに傾斜部553を形成している。図24に於いて、この傾斜部553a,bは、ディフューザシェル501に於いては円形部561と周壁部562との間、クロージャシェル502に於いては環状部565と周壁部566との間に形成されている。
【0170】
上下両端面を傾斜端面551に形成したフィルター手段550は、上端の傾斜端面551aをディフューザシェル501内面の傾斜面552aに対向させ、下端の傾斜端面551bをクロージャシェルの傾斜面552bに対向させて、ハウジング内に配置されている。また、このフィルター手段下方の半径方向に膨出した膨出部556は、その外周がクロージャシェルの周壁部566の内面に当接するように配置される。
【0171】
このように形成された本実施の形態のガス発生器は、点火器511の作動により伝火薬518が着火・燃焼すると、その火炎は内筒部材504の貫通孔520から燃焼室505内に噴出し、ガス発生剤509を着火・燃焼させる。ガス発生剤509の燃焼によって発生した作動ガスは、フィルター手段550を通過する間に浄化・冷却され、シールテープ522を破って、ガス排出口510から排出される。作動ガスの通過により半径方向に膨出したフィルター手段550は、その上下端部に設けられた傾斜面551a,bが、それぞれ両シェル内面に設けられた傾斜面552a,bに当接し、フィルター手段550端面とハウジング503内面との間に於ける作動ガスのショートパスを防止することができる。
【0172】
特にこの図24に示すガス発生器に於いては、フィルター手段550の下方の膨出部556の外周が、ハウジング周壁部566の内面に当接していることから、作動ガスの通過によりフィルター手段550が膨出すると、その一部がハウジング周壁部566内面に接触して、それ以上の変形を抑え、膨出量を制御することができる。これにより安定したフィルター手段550と傾斜面552との接触状態を確保することができる。
【0173】
また本実施の形態に関連して、ハウジングの上下内面に、半径方向に窄むように傾斜した傾斜面を設けたガス発生器としては、図25に示す構造とすることもできる。
【0174】
但しこの図25に示すガス発生器は、燃焼室及び点火器の配置・数等の内部構造等の他、ディフューザシェル601とクロージャシェル602とを摩擦圧接により接合している点、及びフィルター手段650は、下方に膨出部を設けていないフィルター手段(図20)が使用されている点に於いて、図24に示すガス発生器とは異なる。図26は、図25に示すエアバッグ用ガス発生器の平面略図である。
【0175】
この実施の形態に於けるガス発生器は、ガス排出口610を有するディフューザシェル601とフランジ部667を有するクロージャシェル602とを摩擦圧接により接合してなるハウジング603内に、上部開口を閉塞した筒状のインナーシェル625をハウジング中心軸から偏心して配置し、インナーシェル625の外側第一の燃焼室605a、該シェル625の内側を第二の燃焼室605bとしている。そして各燃焼室605a,b内には、それぞれ電気的信号により作動する電気着火式の点火器611と、該点火器の作動に起因して着火・燃焼するガス発生剤609a,bが各々収容されている。特に第一の燃焼室605a内の点火器611aは、図26に示すように、周壁部に伝火孔619が偏在して設けられた内筒部材604の内側に配置されており、第一の点火器611aの上方には、この点火器611aにより着火・燃焼される伝火薬618が配置されている。図面上、第二の燃焼室605bには、伝火薬は配置されていないが、必要に応じて適宜配置することもできる。
【0176】
第一の燃焼室605aと第二の燃焼室605bとを区画するインナーシェル625は、その周壁に開口部660が設けられており、この開口部はシールテープ622等により閉塞されている。この開口部660を閉塞するシールテープ622等は、第二の燃焼室605b内に収容された第二のガス発生剤609bの燃焼によって破裂、剥離、焼失又は外れるものとして形成されており、該開口部660は、第一の燃焼室605a内のガス発生剤609aの燃焼によっては開口しないものとして形成されている。
【0177】
図25に示すガス発生器では、ハウジング603はディフューザシェル601とクロージャシェル602とを摩擦圧接により接合して形成されている。ディフューザシェル601は、周壁部662から天井面661に向かって窄むように傾斜する傾斜部653aが形成されており、またクロージャシェル602も周壁部666から底面665に向かって窄むように傾斜する傾斜部653bが形成されている。両シェルの傾斜部653a,bの内面は、それぞれフィルター手段650の傾斜端面651に対向する傾斜面652となり、この傾斜面652はフィルター手段650の支持部として機能する。図面上、両シェルは折り曲げることにより傾斜部653a,bを形成しているが、両シェルを湾曲させることにより傾斜部を形成することも可能である。
【0178】
このハウジング603内には、上下両端に傾斜端面651を形成した図20に示すようなフィルター手段350が配置されている。このフィルター手段350は、図面上、上端の傾斜端面351をディフューザシェルの傾斜面652aに対向させ、下端の傾斜端面351をクロージャシェル602の傾斜面652bに対向して配置されている。
【0179】
このガス発生器は、第一の点火器611aが作動すると第一の伝火薬618が着火・燃焼する。この伝火薬618の火炎は、内筒部材604に偏在して設けられた伝火孔619から、インナーシェル625を囲むようにして、図26中矢印で示す方向に放出される。伝火孔619から放出された火炎は第一の燃焼室605a内のガス発生剤609aを着火・燃焼させ、作動ガスを発生させる。第二の点火器611bは、第一の点火器611aと同時か或いは僅かに遅れて作動し、この点火器611bの作動により、第二の燃焼室605b内の第二のガス発生剤609bは着火・燃焼し、作動ガスを発生させる。インナーシェル625の周壁に設けられた開口部620は、この作動ガスの圧力により開口し、これにより、第二のガス発生剤609bの燃焼により発生した作動ガスは第一の燃焼室605a内に流入する。
【0180】
第一のガス発生剤609aと第二のガス発生剤609bとが燃焼して発生した作動ガスは、フィルター手段350を通過する間に浄化・冷却されて、シールテープ622を破り、ガス排出口610から放出される。この図に示すガス発生器に於いても、フィルター手段350は、作動ガスの通過により半径方向外側に膨出し、上下端面に形成された傾斜端面351は、ハウジング内の傾斜面652a,b、即ち支持部に圧接し、フィルター手段350端面とハウジング603内面との間の作動ガスのショートパスを防止することができる。
「自緊式フィルターの実施の形態4」図27は、本発明のフィルター手段を使用したガス発生器の他の実施の形態を示す縦断面図である。特にこの実施の形態に示すガス発生器は、内径よりも軸方向に長いガス発生器となっている。
【0181】
図27に示すガス発生器は、筒状部材701の軸方向一端開口730に、内部にフィルター手段750を収容したフィルター手段収容容器702(以下「フィルター容器」とする)を繋げてハウジング703を形成し、他端開口731には、点火手段用容器704を内嵌した環状部材732で閉塞している。
【0182】
上記ハウジング中、筒状部材701内には、燃焼して作動ガスを発生するガス発生剤709が収容されており、この筒状部材701の内部空間はガス発生剤が燃焼するための燃焼室705として機能する。またこの燃焼室705内のフィルター容器702側の端部には、径方向に広がる円形の多孔板733が配置されており、この多孔板733により、燃焼室705内のガス発生剤709は支持されている。
【0183】
環状部材732に内嵌する点火手段用容器704は、燃焼室705内に突起する側の端面を閉塞して形成されており、その内側には、燃焼室705から区画された点火手段収容室708が設けられている。この点火手段収容室708中には、点火器711と伝火薬718とで構成される点火手段が収容されている。点火手段用容器704の周壁には、複数の伝火孔719が設けられており、点火手段の作動によって発生した火炎は、この伝火孔719から燃焼室705内に噴出して、ガス発生剤709を着火・燃焼させる。
【0184】
フィルター容器702は、全体略円筒形状であって、その軸方向両端面の周縁には面取りを施したように、該容器の軸方向に窄んで傾斜する傾斜部753が形成されている。また、このフィルター容器702のハウジング側端面に貫通孔734が設けられており、他端面には、このガス発生器をモジュールに取り付けるためのスタッドボルト735が設けられている。そして周壁には複数のガス排出口710が形成されている。このフィルター容器702の内部空間は、ハウジング側の端面に設けられる貫通孔734により、燃焼室705と連通している。図面上、このフィルター容器702は、周壁面736と傾斜部753とハウジング側端面737とからなるカップ状部材の開口端を、傾斜部753とスタッドボルト735を設けた端面739とからなる蓋部材で閉塞するものとして形成されている。
【0185】
フィルター容器702内には、前記図20に示した本発明のフィルター手段350、即ち全体略筒状であって、その軸方向両端面に、軸心延伸方向に向かって窄む様に傾斜する傾斜端面351が形成されたフィルター手段が収容されている。このフィルター手段350は、その傾斜端面351をフィルター容器702の傾斜部753内面、即ち傾斜面752に対向して配置されており、フィルター手段の外周面とフィルター容器702の内壁面との間には、所定幅の間隙741が確保されている。
【0186】
このガス発生器の作動に際しては、点火器711が作動することにより、伝火薬718が着火・燃焼し、その火炎は点火手段用容器704の伝火孔719から、燃焼室705内に噴出する。燃焼室内に噴出した伝火薬718の火炎により、ガス発生剤709は着火・燃焼して作動ガスを発生する。この作動ガスは貫通孔734からフィルター容器702内に流入し、フィルター手段350を通過する間に浄化・冷却されて、ガス排出口710から放出される。作動ガスがフィルター手段350を通過することにより、フィルター手段350は径方向に膨出し、その傾斜端面351がフィルター容器702の傾斜部753内面の支持部(即ち傾斜面752)に当接し、また軸方向に収縮される。その結果、該フィルター手段350は、ハウジングの内面、詳細にはフィルター容器702の内面に強く圧接し、両者間を作動ガスが通過するショートパスを防止することができる。
(複数の点火器を有するガス発生器)更に本発明は、衝撃によって着火する2つ以上の点火手段と、該点火手段により夫々着火・燃焼し、エアバッグを膨張させる燃焼ガスを発生するガス発生手段を収容し、外殻容器を形成するハウジングに複数のガス排出口が形成されたエアバッグ用ガス発生器において、該ガス排出口は、ハウジングの内部圧力を一定圧まで保持する遮断手段により閉塞されており、該ガス排出口及び/又は該遮断手段を制御することによって、該遮断手段を破裂させる破裂圧力を複数段階に調節し、各々の点火手段が作動した時のハウジング最大内部圧力の差を抑えることを特徴とするエアバッグ用ガス発生器を含む。
【0187】
図32は、他の実施の形態に於ける本発明のエアバッグ用ガス発生器を示す縦断面図である。この実施の形態に示すガス発生器も特に運転席に配置するのに適した構造を有する。
【0188】
特にこの実施の形態に示すガス発生器は、ハウジング内に設けられる2つの燃焼室の配置、及び形成方法に特徴を有する。
【0189】
本実施の形態に於いても、ディフューザシェル1201に形成されるガス排出口1210は、径の異なるガス排出口1210a,1210bが2種類具備されており、これらはハウジング外部の湿度等の環境の影響からガス発生剤1252を保護するためのシールテープ1229で閉塞されている。内径(及び開口面積)が異なる2種類のガス排出口1210a,1210bを設けることにより、作動時に於けるハウジング1203内の燃焼内圧を均等化(燃焼性能を安定)することができる。
【0190】
即ち、この実施の形態に示すガス発生器は、複数のガス排出口1210を有するディフューザシェル1201と、該ディフューザシェル1201と共に内部収容空間を形成するクロージャシェル1202とを摩擦圧接により接合してなる円筒形状ハウジング1203内に、水平断面形状が円形であって上端を閉塞したカプセル形状のインナーシェル1204をハウジング中心軸に対して偏心して配置・固定し、その外側を第一の燃焼室1250、内側を第二の燃焼室1260としている。
【0191】
ハウジング1203内に配置されるインナーシェル1204の、ハウジング1203に対する偏心度は、所望とする燃焼室の容積比などに応じて適宜変更可能であり、またハウジング1203内の構造、例えばクーラント・フィルタ1225の有無などによっても変わり得る要素である。例えば、この図に示すガス発生器のように、ハウジング1203の周壁面と対向させて、クーラント・フィルタ1225を配置する場合には、偏心度は10〜75%の範囲で適宜選択することができる。但し、この数値範囲も点火器(1251,1261)の大きさ等に起因して変化し得ることから、この数値範囲は、図32に示すガス発生器に於けるインナーシェル1204の偏心の目安を示すものである。
【0192】
このインナーシェル1204は、その水平断面形状を矩形、楕円形など各種形状とすることも可能であるが、クロージャシェル1202等への接合容易性を考慮すれば、特に円形とすることが望ましい。つまり、このインナーシェル1204を摩擦圧接によりクロージャシェル1202に接合する場合には、該インナーシェル1204の水平断面形状は円形とする必要があり、またレーザー溶接によって接合する場合に於いても、レーザーの照射距離を一定に保つ必要があるためである。
【0193】
前記の通り、この実施の形態に於いては、第一の燃焼室1250と第二の燃焼室1260とはインナーシェル1204によって画成されている。つまり第一の燃焼室1250はインナーシェル1204の外側に設けられ、第二の燃焼室1260はインナーシェル1204の内側に設けられている。第一の燃焼室1250と第二の燃焼室1260との容積比(第一の燃焼室容積:第二の燃焼室容積)は、本実施の形態に於いては、3.3:1としているが、その他にも97:1〜1:1.1の範囲で、適宜選択することができる。但しこの容積比に関しても、点火器(1251,1261)の大きさやガス発生剤(1252,1262)の形状などに起因して、適宜その選択範囲は変化し得るものである。依って、前記の数値範囲は、この図に示すガス発生器の構造に於いて選択し得る範囲を示すものである。
【0194】
上記のようにインナーシェル1204によって隔離された第二の燃焼室1260と第一の燃焼室1250には、それぞれガス発生剤(1252,1262)が収容されている。第一の燃焼室1250内には第一のガス発生剤1252が、第二の燃焼室1260内には第二のガス発生剤1262がそれぞれ収容されている。本実施の形態に於いては、第一のガス発生剤1252と第二のガス発生剤1262とは形状等が同じガス発生剤が使用されているが、各燃焼室毎に、燃焼速度、組成、組成比又は量が少なくとも1つ以上異なるガス発生手段を収容することもできる。
【0195】
第一の燃焼室1250と第二の燃焼室1260とを画成するインナーシェル1204は、ハウジング1203の中心軸に対して偏心して配置されており、このインナーシェル1204の内側に設けられた第二の燃焼室1260もハウジング1203に対して偏心している。この第一の燃焼室1250と第二の燃焼室1260には、それぞれ点火器が配置されており、この内、第二の燃焼室1260に配置される第二の点火器1261は、このハウジング1203の中心軸に対して偏心する第二の燃焼室1260の中央に配置されている。その結果、該点火器1261が作動して発生する火炎は、第二のガス発生剤1262を均等に燃焼させることができる。そしてこの第二の点火器1261と、第一の燃焼室1250に配置される第一の点火器1251とは、共にハウジング1203の中心軸に対して偏心して配置されている。この様に第一及び第二の点火器、並びにインナーシェル1204をハウジング1203の中心軸に対して偏心させることにより、第一及び第二の燃焼室の容積比の変化を幅広くすることができ、またハウジング1203の径方向の大きさを極力抑えることができる。
【0196】
各燃焼室毎に配置される点火器の内、第一の燃焼室1250内に配置された点火器1251は、その周囲及び上方向に伝火薬1208を配置している。この伝火薬1208はガス発生器の組立の際の便宜上、更には車両に搭載中に受ける衝撃や振動で、伝火薬1208が第一の燃焼室1250内に散乱して、第一のガス発生剤1252への着火性を低減させることがないように、伝火薬容器1226の中に収納されている。この伝火薬容器1226は内部の伝火薬1208の燃焼によって容易に破裂して、火炎をその周囲に伝火させるような厚さ(例えば200μm程度)のアルミニウムによって形成されている。一方、第二の燃焼室1260内には第一の燃焼室1250内に配置されたような伝火薬は必ずしも必要としない。これは第一のガス発生剤1252が燃焼して第一の燃焼室1250内の圧力が上昇しても、後述するインナーシェル1204の孔1206を塞ぐ破裂部材1207は、第二の燃焼室1260の内部圧力が第一の燃焼室1250内の内部圧力以上に上昇しないと破裂しないため、この間、第二の燃焼室1260は密閉状態となり、その間圧力が高まり、第二のガス発生剤1262は、第一のガス発生剤1252よりも着火しやすいためであるが、必要に応じて伝火薬を使用することもできる。
【0197】
第一の燃焼室1250内には、第一の点火器1251とその上方に配置された伝火薬1208の半径方向外側を囲む様にして筒状部材1236が設置されている。この筒状部材1236は、上下両端を開放した円筒形状で、その片端部は点火器1251を固定した部分の外周に、隙間が生じないように外嵌し、他端部はディフューザシェル1201天井部内面近傍に存在するリテーナー1211により挟持されて所定箇所に固定されている。この筒状部材1236の周壁には、複数の伝火孔1237が形成されており、伝火薬1208の燃焼によって生じた火炎は、この伝火孔1237から噴出され、該当状部材の外側に存在する第一のガス発生剤1252を着火・燃焼させる。この筒状部材1236は、ハウジング1203と同一材質の部材であることが望ましい。
【0198】
特にこの実施の形態に示すガス発生器では、第一の燃焼室1250は、図33の平面図に示すように、円形の内側を丸く打ち抜いた三日月形に近似した環状となっており、第一のガス発生剤1252はこの中に設置される。従って第一の燃焼室1250に於いては、第二の燃焼室1260とは異なり、ガス発生剤1252と点火器1251との距離は、ガス発生剤1252の収容場所により異なっている。依って点火器1251の着火の際に第一のガス発生剤1252への着火・燃焼に斑が生じる。そこで内筒部材1236の周壁に設けられる伝火孔1237は、図33中矢印で示す方向に伝火薬1208の火炎を配向させるように、その向きを規制している。これによって第二の燃焼室1260(即ちインナーシェル1204)の陰になった部分のガス発生剤1252も斑なく燃焼させることができる。更に前記内筒部材1236に代え、図33中、矢印で示した方向に孔の開いた噴出方向規制手段(図示せず)を使用することができる。この噴出方向規制手段は、第一のガス発生剤1252を効果的に燃焼させることを目的として、該第一のガス発生剤1252を着火するための第一の点火手段(図32に於いては点火器1251と伝火薬1208)の作動によって生じる火炎の噴出方向を規制するものである。この噴出方向規制手段としては、例えば円筒部材でその片端部を閉じたカップ状の容器で、その周壁部に所望の方向(図33中、矢印で示す方向)に、点火手段の火炎を配向させるためのノズルを設けたものを使用することができる。この場合、該噴出方向規制手段は、第一の点火手段の周りに取り付け(かぶせ)て使用される。かかる噴出方向規制手段を使用する場合に於いても、その内側に配置される第一の点火手段は、点火器と該点火器の作動に依って着火・燃焼する伝火薬とを含んで構成することが望ましい。
【0199】
第一の燃焼室1250と第二の燃焼室1260とを画成するインナーシェル1204は、上記の通りカプセル形状であって、その周壁に複数の開口部1205が形成されている。この開口部1205は第二の燃焼室1260内に配置された第二のガス発生剤1262の燃焼によってのみ開口し、第一の燃焼室1250内に収容された第一のガス発生剤1252の燃焼によっては開口しないものとして形成されている。本実施の形態に於いては、この開口部1205は、インナーシェル1204周壁に設けられた複数の孔1206と、この孔を閉塞する破裂部材1207とから成り、破裂部材1207としてはステンレス製のシールテープが使用されている。この破裂部材1207は、第二のガス発生剤1262の燃焼によってのみ、破裂、剥離、焼失又は外れる等により孔1206を開口し、第一のガス発生剤1252の燃焼によっては破裂等しないものとして形成されている。
【0200】
上記のインナーシェル1204は、その開放した下方1213を、クロージャシェル1202に接続して固定される。このクロージャシェル1202が、点火器を固定する為のカラー部分1202aを含んで構成される場合には、該インナーシェル1204は、このカラー部分1202aに取り付けることもできる。図32に示すガス発生器に於いては、このクロージャシェル1202は、ディフューザシェル1201に接合する筒状殻部1202bの底面に、2つの点火器を固定可能な大きさとした円形のカラー部分を一体状に接合して形成されており、該インナーシェル1204は、このカラー部分1202aに接合されている。但し、このカラー部分1202aは、各点火器毎に固定可能な大きさの円形として該筒状殻部1202bの底面に一体状に形成することも可能であり、また筒状殻部1202bの底面に一体形成することも可能である。この様な場合には、該インナーシェル1204は、クロージャシェルのカラー部分1202a以外、筒状殻部1202bの底面に直接取り付けることができる。
【0201】
本実施の形態に於いて、インナーシェル1204とクロージャシェル1202との接続は、摩擦圧接、かしめ、抵抗溶接等の他、凹凸継合により行うことができる。特に摩擦圧接により両者を接合する場合、望ましくは、クロージャシェル1202側を固定して行う。これにより、インナーシェル1204とクロージャシェル1202の軸心が整合していなくとも、安定して摩擦圧接を行うことができる。つまり、仮にインナーシェル1204を固定し、クロージャシェル1202を回転させて摩擦圧接を行った場合には、クロージャシェル1202の重心は、回転中央からずれているため、安定した摩擦圧接が不可能となる。そこで、本発明に於いては、クロージャシェル1202側を固定し、インナーシェル1204側を回転させて摩擦圧接を行うものとする。また、摩擦圧接に際して、インナーシェル1204を、常に所定の位置に取り付けることができるように、このクロージャシェル1202は、位置決めして固定されることが望ましい。依って、このクロージャシェル1202には、適宜位置決め手段が施されることが望ましい。このインナーシェル1204内には、クロージャシェル1202との接続を安全且つスムーズに行うためにガス発生剤固定部材1214が配置されている。このガス発生剤固定部材1214は、インナーシェル1204をクロージャシェル1202に摩擦圧接する際に、ガス発生剤1262が直接インナーシェル1204に接触しないように、またインナーシェル1204で形成された空間内に点火器1261の設置スペースを確保する目的で使用される。このインナーシェル1204をクロージャシェル1202に取り付けるときは、前述の摩擦圧接だけではなく、かしめ、抵抗溶接等の他、凹凸継合等により取り付けることができるが、その場合もガス発生剤固定部材1214を使用することで、組立性が向上する。このガス発生剤固定部材1214は、ここでは一例として、アルミ製で、ガス発生剤1262の燃焼によって容易に破裂する程度の厚さを有するキャニスタを使用しているが、その他にも金網等を用いてなる多孔状部材など、かかる目的を達成可能な適宜部材(材質、形状などは問わない)を使用することができる。なお、このようなガス発生剤固定部材1214を使用しない場合には、単孔円筒状のガス発生剤1262をインナーシェル1204の内部空間と同一形状に固めたガス発生剤の固まりを形成し、これをインナーシェル1204内に設置することもできる。この場合、ガス発生剤固定部材1214は省略しても良い。
【0202】
本実施の形態に於いて、クロージャシェル1202のカラー部分1202aは、二つの点火器1251,1261を横並びに固定可能な大きさに形成されている。これにより2つの点火器1251,1261を、予めカラー部分1202aにかしめ等により固定しておけば、このカラー部分1202aを筒状殻部1202bに一体化してクロージャシェル1202を形成すれば、2つの点火器1251,1261をクロージャシェル1202に固定することができる。図面上、第一の点火器1251と第二の点火器1261とは、同じ大きさに記載されているが、これらは各燃焼室毎に異なる出力を有するものとすることもできる。またこの実施の形態に於いては、各点火器1251,1261毎に接続して作動信号を伝えるためのケーブル1215は、同一方向に引き出されている。
【0203】
ハウジング1203内には、ガス発生剤の燃焼によって発生した燃焼ガスを浄化・冷却するためのフィルター手段としてクーラント・フィルタ1225が配設されている。第一及び第二のガス発生剤の燃焼によって発生したしたガスは、共にこのクーラント・フィルタ1225を通過することとなる。この燃焼ガスが、クーラント・フィルタ1225の端面とディフューザシェル1201天井部内面との間を通過するショートパスを防止する場合には、内向きフランジを有する筒状のショートパス防止部材で、クーラント・フィルタ1225の上下内周面とハウジング内面を覆うこともできる。特に、図32に示すガス発生器では、その上下端面を半径方向外側に窄めるように傾斜させた自緊式構造のクーラント・フィルタ1225が使用されている。クーラント・フィルタ1225の外側には、燃焼ガスの流路となる間隙1228が形成されている。
【0204】
例えば、図32に示すガス発生器では、点火器1251,1261及びインナーシェル1204を、ハウジング1203に対して偏心して配置している。この様なガス発生器に於いては、ディフューザシェル1201とクロージャシェル1202とを摩擦圧接により接合する際には、クロージャシェル1202側を固定して摩擦圧接を行うことにより、両シェルの接合を安定して行うことができる。特に、インナーシェル1204をクロージャシェル1202に摩擦圧接により直接取り付ける場合には、図32に示すように、クロージャシェル1202側に、ガス発生器をモジュールケースに取り付けるためのフランジ部1232を設け、このフランジ部1232を構成する部分、例えば突出部1233等に、その周縁を切り欠いて位置決め部を形成することが望ましい。この様に形成した場合、クロージャシェル1202は、該位置決め部に基づき、常に一定の向きに固定されることから、インナーシェル1204を所定の位置に確実に取り付けることができる。
【0205】
上記の様に形成されたガス発生器では、インナーシェル1204の外側に設けられた第一の燃焼室1250内に配置される第一の点火器1251が作動すると、該燃焼室1250内の第一のガス発生剤1252が着火・燃焼して燃焼ガスを発生させる。そして、インナーシェル1204とクーラント・フィルタ1225との間には、僅かな隙間が確保されており、この隙間は、クーラント・フィルタ1225とインナーシェル1204との間にガスの流れを作ることから、該燃焼ガスは、フィルター1225の全面を有効に使うことが可能となる。この燃焼ガスはクーラント・フィルタ1225を通過する間に浄化・冷却され、その後ガス排出口1210から排出される。
【0206】
一方、インナーシェル1204内に配置された第二の点火器1261が作動すると、第二のガス発生剤1262が着火・燃焼して燃焼ガスを発生させる。この燃焼ガスはインナーシェル1204の開口部1205を開口させ、該開口部1205から、第一の燃焼室1250内に流入する。その後、前記第一のガス発生剤1252の燃焼ガスと同様にクーラント・フィルタ1225を通過し、ガス排出口1210から排出される。ガス排出口1210を閉塞するシールテープ1229は、ハウジング1203内で発生した燃焼ガスの通過によって破裂する。この第二のガス発生剤1262は、第二の点火器1261の作動によって着火・燃焼され、第一のガス発生剤1252の燃焼によって直接燃焼することはない。これは、インナーシェル1204の開口部1205が、第二のガス発生剤1262の燃焼によってのみ開口し、第一のガス発生剤1252の燃焼によっては開口しないためである。
【0207】
上記のように形成されたガス発生器は、第一の点火器1251を作動させた後、第二の点火器1261を作動させるか、或いは第一の点火器1251と第二の点火器1261とを同時に作動させるか等、2つの点火器の着火タイミングを調整することで、ガス発生器の出力形態(作動性能)を任意に調整することができ、衝突時の車両の速度や環境温度など様々な状況において、後述のエアバッグ装置とした場合に於けるエアバッグの展開を最大限適正なものとすることができる。特に図32に示すガス発生器では、2つの燃焼室を半径方向に並べて設けていることから、ガス発生器の高さを極力抑えることができる。
【0208】
この図に示すガス発生器に於いても、ハウジング1203に形成される複数のガス排出口1210は、その開口径および/または開口面積が2種類以上に制御されていることから、各々の点火手段が作動した時のハウジング最大内部圧力の差を抑えることができ、ガス発生器の作動時の内圧を均等化し、燃焼性能が安定したエアバッグ用ガス発生器となる。また、この実施の形態に於けるガス発生器に於いても、各ガス排出口1210の開口面積は一定にしておき、シールテープ等の遮断手段1229の厚さを変更して破裂圧力を調節することにより、各々の点火手段が作動した時のハウジング最大内部圧力の差を抑えることもできる。更に、ガス排出口1210の開口径および/または開口面の制御と積遮断手段1229の厚さの制御を併用することも当然可能である。
【0209】
【発明の効果】
本発明によれば、作動初期の段階に於いて、乗員に対してできる限り衝撃を与えないで作動し、且つ乗員の体格(例えば座高の高い人若しくは低い人、又は大人若しくは子供等)や、その搭乗姿勢(例えばハンドルにしがみついた姿勢)等が異なる場合であっても、乗員を安全に拘束可能な様に、任意にガス発生器の作動出力、及び出力上昇のタイミングを調整可能としながらも、簡易な構造であって製造容易とし、更に容器(ハウジング)の全体的な大きさを抑え、且つ各燃焼室の容積の比率を任意に調整可能とした多段式エアバッグ用ガス発生器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス発生器の一の実施態様を示す縦断面図である。
【図2】本実施の形態の平面図である。
【図3】本発明のガス発生器の部分断面図である。
【図4】本発明のガス発生器の背面図である。
【図5】位置決め手段を示す部分斜視図である。
【図6】自緊式構造のフィルターを示す部分断面図である。
【図7】位置決め部を示すガス発生器の背面図である。
【図8】本発明のガス発生器の他の実施態様を示す縦断面図である。
【図9】本発明のエアバッグ装置の構成図である。
【図10】本発明のエアバッグ装置の一の実施態様を示す縦断面略図である。
【図11】エアバッグ装置の他の実施態様を示す斜視略図である。
【図12】限定手段の実施態様を示す斜視略図である。
【図13】限定手段の他の実施態様を示す斜視略図である。
【図14】エアバッグ装置の更に他の実施態様を示す斜視略図である。
【図15】エアバッグ装置の更に他の実施態様を示す斜視略図である。
【図16】限定手段の更に他の実施態様を示す斜視略図である。
【図17】エアバッグ装置の更に他の実施態様を示す斜視略図である。
【図18】本発明のガス発生器の一の実施態様を示す縦断面略図である。
【図19】本発明のガス発生器の一の実施態様を示す縦断面図である。
【図20】本発明のフィルター手段の一の実施態様を示す縦断面図である。
【図21】フィルター手段の他の実施態様を示す縦断面図である。
【図22】ガス発生器の他の実施態様を示す縦断面図である。
【図23】ガス発生器の更に他の実施態様を示す縦断面図である。
【図24】ガス発生器の更に他の実施態様を示す縦断面図である。
【図25】ガス発生器の更に他の実施態様を示す縦断面図である。
【図26】図25に示すガス発生器の透視平面図である。
【図27】ガス発生器の更に他の実施態様を示す縦断面図である。
【図28】本発明のガス発生器の一の実施態様を示す縦断面図である。
【図29】隔壁を示す要部分解斜視図である。
【図30】位置決め手段を示す要部分解斜視図である。
【図31】本発明のエアバッグ用ガス発生器の他の実施態様を示す縦断面図である。
【図32】本発明のエアバッグ用ガス発生器の更に他の実施態様を示す縦断面図である。
【図33】図31に示すガス発生器の透視平面図である。
【図34】偏向板を有する本実施の形態の平面図である。

Claims (11)

  1. ガス排出口を有するハウジング内に、衝撃によって作動する点火手段と、該点火手段の作動によりエアバッグを膨張させるための作動ガスを発生するガス発生手段と、該作動ガスを浄化又は冷却する筒状フィルター手段とを含んで収容してなるエアバッグ用ガス発生器であって、該フィルター手段は、軸方向端面の何れか一方又は双方が、軸心延伸方向に向かって窄み、且つ内周面との内角が鋭角となるように傾斜する傾斜端面として形成されており、該ハウジング内には該フィルター手段の傾斜端面に対向する支持部が存在しており、前記 フィルター手段は少なくとも半径方向に膨出可能に形成 され、且つ前記フィルター手段の外周面とハウジング内 周面との間には間隙が形成されていることを特徴とするエアバッグ用ガス発生器。
  2. ガス排出口を有するハウジング内に、衝撃によって作動する点火手段と、該点火手段の作動によりエアバッグを膨張させるための作動ガスを発生するガス発生手段と、該作動ガスを浄化又は冷却する筒状フィルター手段とを含んで収容してなるエアバッグ用ガス発生器であって、該フィルター手段は、軸方向端面の何れか一方又は双方が、軸心延伸方向に向かって窄み、且つ内周面との内角が鋭角となるように傾斜する傾斜端面として形成されており、該ハウジング内には該フィルター手段の傾斜端面に対向する支持部が存在しており、前記 フィルター手段は半径方向外側に突起する膨出部を備 え、少なくとも作動ガスの通過によってフィルター手段 が膨出すると、該膨出部の外周はハウジング周壁部の内 面に接触することを特徴とするエアバッグ用ガス発生器。
  3. 前記フィルター手段は少なくとも半径方 向に膨出可能に形成されており、該膨出は、前記作動ガ スの通過によって行われ、当該膨出したフィルター手段 は、その傾斜端面が前記支持部に当接・支持される請求 項1又は2記載のエアバッグ用ガス発生器。
  4. 前記ハウジングは、前記フィルター手段の傾斜端面と対向する内面が傾斜面として形成されており、該傾斜面が前記支持部となる請求項1〜3の何れか 一項記載のエアバッグ用ガス発生器。
  5. 前記ハウジング内には、前記フィルター手段端面の軸方向であって、傾斜端面が形成された側にフィルター手段支持部材が配置されており、該フィルター手段支持部材は、フィルター手段の傾斜端面に対向する傾斜面を有し、該傾斜面が前記支持部となる請求項 〜4の何れか一項記載のエアバッグ用ガス発生器。
  6. 前記フィルター手段は、軸方向両側に傾斜端面が形成されており、前記支持部も、ハウジング内であって、フィルター手段端面の軸方向両側に設けられる請求項1〜5の何れか一項記載のエアバッグ用ガス発生器。
  7. 前記フィルター手段は、軸方向の何れか一方に傾斜端面が形成されており、前記支持部は、フィルター手段の軸方向であって、該傾斜端面が形成されている側にのみ設けられている請求項1〜5の何れか一項記載のエアバッグ用ガス発生器。
  8. 前記ハウジング内には、フィルター手段端面について支持部と軸方向反対側に、環状部と外周壁とを有するリテーナーが配置されており、該リテーナーの外周壁内面は、フィルター手段の端部外周面と対向している請求項記載のエアバッグ用ガス発生器。
  9. エアバッグ用ガス発生器のハウジング内に配置された筒状フィルター手段により、エアバッグを膨脹させる為の作動ガスを浄化又は冷却する方法に於いて、該ハウジング内には、ハウジング中心軸の延伸方向に向かって窄むように傾斜する支持部が設けられると共 に、該フィルター手段の半径方向外側には間隙が設けら ており、作動ガスの通過により半径方向に膨出した筒状フィルター手段は、該支持部の傾斜により軸方向に収縮されると共に、支持部に当接して、フィルター手段と支持部との間の作動ガスの通過を阻止する作動ガス化又は冷却方法。
  10. 前記筒状フィルター手段は、軸方向端面の何れか一方又は双方が、軸心延伸方向に向かって窄み、且つ内周面との内角が鋭角となるように傾斜する傾斜端面として形成されており、該傾斜端面が前記支持部に当接する請求項記載の方法。
  11. エアバッグ用ガス発生器と、衝撃を感知して前記ガス発生器を作動させる衝撃センサと、前記ガス発生器で発生するガスにより膨張するエアバッグと、前記エアバッグを収納するモジュールカバーとを含み、前記エアバッグ用ガス発生器が請求項1〜8の何れか一項記載のエアバッグ用ガス発生器であるエアバッグ装置。
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