JP3254481B2 - 高強度高制振性コンクリート系材料 - Google Patents

高強度高制振性コンクリート系材料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコンクリート、モルタ
ル、石膏等のコンクリート系材料に関するものであり、
特に形状記憶合金を用いて強度と制振性を付与したコン
クリート系材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建築構造用材料であるコンクリート系材
料の一般的特性としては、圧縮強度は大きいが引張強
度は非常に小さいこと、振動の伝達能が高いことが挙
げられる。
【0003】コンクリート系材料の耐引張応力の低さに
関しては、コンクリート系材料よりなる構造物に対して
例えば曲げ荷重が掛かると、材料の曲げ中心の前後に圧
縮応力と引張応力が作用することになるが、引張応力側
では亀裂が発生し、更にそこを基点として応力の集中に
より崩壊に至るという現象が見られる。そのための対策
としてプレストレス工法と称される方法が取られてき
た。
【0004】これは予めコンクリート系材料に予備圧縮
を掛けておき、引張力が働いても材料内に残留している
圧縮応力が作用して、大きな引張り応力を生じるのを抑
えて破壊抵抗を増加させるようにしたものである。具体
的には、例えば予めPC鋼材を所定の引張力で緊張させ
たままコンクリート系材料内に埋め込み固化させた後、
このPC鋼材の張力を除いて元の寸法に復帰しようとす
る圧縮弾性応力をコンクリート系材料に付与するという
手段が採られてきた。しかし、その際の圧縮ひずみ量
は、鋼材での弾性限内の高々0.1〜0.2%程度であ
り、またPC鋼材の張力維持には高い保持力(拘束力)
を必要としていた。
【0005】それゆえに、この方法を建設現場で実施し
ようとすると、コンクリート系材料が固化するまでの間
PC鋼材に張力を維持させるために、ジャッキ等の装置
が必要になるとか、固定金具の締め付け作業のためのス
ペースが必要になる等、工程が複雑化し建設コストを押
し上げる要因となっていた。
【0006】そのため最近では、例えば特公昭62−3
1141号、特開昭60−47166号、或いは特開平
3−126649号に開示されるような、形状記憶合金
を用いたプレストレス工法が開発されてきている。これ
らはいずれも、図1に模式的に示されるように、形状記
憶合金に逆変態化開始点(As)以下の室温で引張り予
歪を付与しておき、種々の方法でコンクリート系材料と
一体化させた後に、形状記憶合金を逆変態終了点(A
f)以上に昇温させて、予歪前の形状に回復させる際に
生じる、圧縮方向への予歪変形応力よりも数倍高い回復
応力を利用して、コンクリート系材料に圧縮力を付与せ
しめるというものであって、これらに開示された方法
は、使用する形状記憶合金の形態とコンクリート系材料
との一体化の方法という点において異なる。
【0007】即ち特公昭62−31141号に開示され
る従来技術においてはコンクリート系材料に設けられた
孔に線状の形状記憶合金を貫挿せしめ両端末に固定具を
装着してコンクリート系材料と一体化するというもので
ある。また特開昭60−47166号に開示される従来
技術においては、棒状の形状記憶合金を配設してコンク
リート系材料を固化せしめることで一体化している。更
に特開平3−126649号に開示される従来技術にお
いては、短繊維状の形状記憶合金をコンクリート系材料
に混練させた後、固化せしめて一体化している。このよ
うにコンクリート系材料の引張強度に対する弱さの克服
に関しては、形状記憶合金を用いたプレストレス工法が
種々提案されている。
【0008】一方コンクリート系材料の振動の伝達能の
高さに関しては、居住用建築物において、階上の音響・
振動が階下に伝わり使用者の居住性が損なわれるという
ケースが見られ問題となっている。また地震の多い地域
での、高層建築物等の建設への技術的制約にもなってい
た。こうした事象に対処するため、従来の対策として
は、建築物の躯体構造を改善したり、或いは床壁材その
ものの質量を増して制振性や遮音性の向上を測ったり、
構造材料中に中空層や他の振動吸収能の高い異種材料層
を介層させる等の方法が採られてきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし以上の従来の建
築物用構造材料としてのコンクリート系材料においては
次のような問題があった。即ち前述したように、従来形
状記憶合金を用いたプレストレス工法によってコンクリ
ート系材料の引張強度に対する弱さを克服してきたが、
この方法は制振性に対しては無力であった。
【0010】一方、制振性を向上させるために従来から
実施されている床壁材の質量を増す方法では、建築物の
重量が増加してしまい、基礎への負担が増加し、特に高
層建築物では耐地盤沈下や耐震性の劣化を招くという問
題が生じる。また同じく制振性向上のため採られている
中空層や他の振動吸収能の高い異種材料層を介層させる
方法においては、剛性が著しく低下するので所定の剛性
を維持するために材料の厚さを増加させなければなら
ず、構造物内の実使用空間を減じてしまうという欠点を
持っていた。
【0011】したがって本発明はこのような従来技術に
おける問題点に鑑みてなされたものであって、コンクリ
ート系材料の一般的特性である引張強度に対する弱さを
克服しつつ、かつ建築物の重量増や床壁面の体積増を招
くこと無く、制振性をも付与することのできるコンクリ
ート系材料を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明者は鋭意調査、
研究を重ねた結果、一般に形状記憶合金では、図2に示
されるように、その逆変態開始点(As)以下で生成す
る低温マルテンサイト相では非常に大きな制振(減衰)
効果が得られるが、形状回復効果は小さいこと、逆に逆
変態終了点(Af)以上で生成する高温オーステナイト
相では形状回復効果は大きいが、制振(減衰)効果は小
さくなってしまうことに着眼した。さらに、図3の図中
の右上部分に黒丸印で示されるように、形状記憶現象を
示す金属間化合物系合金では、その他の金属合金系に比
べてその制振(減衰)能と引張り強度の両方が大きいと
いう特徴も考慮して、変態点の異なる二種類の形状記憶
合金を土木・建築用材料中に混合・複合化させること
で、コンクリート系材料に「強化作用」と「制振作用」
の両方を付与できることを知見し、本願発明に至ったも
のである。
【0013】即ち上記目的を達成するために、本発明の
高強度高制振性コンクリート系材料は、変態終了点以下
の温度で塑性伸びを付与されてなる少なくとも1種以上
の第一の形状記憶合金と、第一の形状記憶合金の逆変態
終了点以上の逆変態開始点を有する少なくとも1種以上
の第二の形状記憶合金とを、第一の形状記憶合金の変態
終了点以下の温度でコンクリート系材料と一体化せし
め、その一体化したコンクリート系材料に第一の形状記
憶合金の逆変態終了点以上でかつ第二の形状記憶合金の
逆変態開始点以下の温度において熱処理を施してなるこ
とを特徴とする。
【0014】また本発明の高強度高制振性コンクリート
系材料においては、前記第一の形状記憶圧縮応力強化用
の形状記憶合金の形状が、線状、もしくはそれ自体の単
体として複合材料中で剛性の調整が可能なコイル(らせ
んもしくはジグザグ)状であり、前記第二の吸振(振動
減衰)用の形状記憶合金の形状が、比表面積(アスペク
ト比)の大きな偏平、短尺の繊維、条、箔、粉末である
ことが好ましい。
【0015】さらに本発明の高強度高制振性コンクリー
ト系材料においては、前記第一の形状記憶合金の形状が
直線状、らせん、もしくはジグザグ状の繊維、条、箔で
あり、前記第二の形状記憶合金の形状が比表面積の大き
な偏平、短尺の繊維、条、箔、粉末であることが好まし
い。
【0016】前記第一の形状記憶合金のコンクリート系
材料における含有量は7vol%未満とするのがよく、
さらに望ましくは3〜5vol%とするのがよい。なぜ
ならコンクリート系母相よりも比重の大きな形状記憶合
金をあまり多く混合すると、コンクリート系材料(部
材)全体での重量の増加を招き、軽量強化の目的に反す
るからである。また、前記第二の形状記憶合金のコンク
リート系材料における含有量は1〜7vol%とするの
がよく、さらに望ましくは3〜5vol%とするのがよ
い。これは前述と同じ理由で、含有量が多いとコンクリ
ート系部材の総重量の増加をまねき、コンクリート粒子
と、第二形状記憶合金の繊維、条、箔、粉末との密着性
(ぬれ性)の悪さによる割れやすさ、強度の低下をまね
くことによる。またコストも上昇する。さらに、前記コ
ンクリート材料の水セメント比は15〜60%程度とす
るのがよく、さらに好ましくは15〜50%程度とする
のがよい。
【0017】
【作用】本発明の高強度高制振性コンクリート系材料
は、変態終了点(Ms)以下の温度で塑性伸びを付与さ
れてなる第一の形状記憶合金と、第一の形状記憶合金の
逆変態終了点(Af)以上の逆変態開始点(As)を有す
る第二の形状記憶合金とを少なくとも1種以上づつ同時
にコンクリート系材料に一体化せしめてなる。この時コ
ンクリート系材料の固化温度は第一の形状記憶合金の変
態終了点以下となるように条件を保つ。そしてこのコン
クリート系材料の固化・一体化終了後に部材全体を加熱
したり、第一形状記憶合金のみを積極的に加熱して圧縮
変形を起こさせるために、直接通電もしくは電磁誘導
(うず電流)効果等の方法で、第一の形状記憶合金の温
度が逆変態終了点(Af)以上で、かつ第二の形状記憶
合金の逆変態開始点(As)以下の温度に所定時間保持
し、第一の形状記憶合金のみ逆変態を誘起せしめる。す
ると第一の形状記憶合金は塑性伸びを与えられる以前の
形状に復そうとするので、一体化してなるコンクリート
系材料に圧縮力を付与することができる。
【0018】一方もともと逆変態終了点以下で高い制振
性を有する第二の形状記憶合金はコンクリート系材料に
分散・一体化されているが、プロセス途中の加熱にも係
わらず変態を起こさず低温相に維持されるので、コンク
リート系材料に加えられた振動はこの第二の形状記憶合
金を伝播する際に減衰されてしまう。こうして第二の形
状記憶合金によって制振性が付与されることとなる。
【0019】この場合第一の形状記憶合金の形状は線状
であってもよいし、分散性の良い繊維、条、箔であって
もよいが、機能はやや異なる。即ち線状の場合、材料の
予備圧縮方向が線の長手方向に限定されるので、複合化
されたコンクリート系材料の強度は異方性を持つことに
なる。ただし方向性さえ考慮すれば繊維、条、箔を分散
させた場合よりも大きな強度を持つことになる。一方第
一の形状記憶合金の形状が繊維、条、箔の場合には逆に
強度の異方性は無くなるが、強度そのものは線状の場合
に比べ小さくなる。
【0020】また用いることのできる形状記憶合金は公
知のいずれのものであってもよく、例えばAgCd、A
uCd、CuAlNi、AuZn、CuSn、CuZ
n、InTl、NiAl、TiNi(Fe、Cu)、F
ePt、FePd、MnCu、FeNiTiCo等のも
のが挙げられる。これらの組成を種々に変更することに
よって変態点も種々に変更することができる。
【0021】
【実施例】以下に本発明の実施例につき説明する。本発
明の一実施例として以下の仕様の試料を作成し、3点
曲げ試験、および振動減衰特性試験を行った。比較例
としては通常のコンクリートブロックを用いた。用いた
形状記憶材料とその量は、制振用の第二の形状記憶合金
としては粒径100μmのTi50Ni50(at%)粉末
(逆変態開始点80℃)をコンクリート体積比で約5%
用いた。また圧縮力負荷用の第一の形状記憶合金として
はTiNi線(逆変態終了点=60℃)に記憶処理後、
引張予歪を約5%付加したものをコンクリート体積比で
約3%用いた。これらは図4に示すように、予め第二の
形状記憶合金とコンクリートを混合しておいた材料3
に、第一の形状記憶合金線2を配列して固化させた。こ
の後約70℃に加温処理して試料1とした。第一の形状
記憶合金線2の両端末に固着されたクリップ4は、材料
3と第一の形状記憶合金線2の一体化が完全に行われ
て、変形の際にも滑りが生じないように保証するための
ものである。
【0022】3点曲げ試験の試験結果を図5に示す。比
較例の単純なコンクリートブロックでは、たわみ量も曲
げ荷重も小さな段階で亀裂を生じそこから一気に破壊す
る様が読み取れる。それに対して本発明材料では、たわ
み量も曲げ荷重もはるかに大きくなるまで亀裂が生じる
ことがなく、しかもそこからの破壊の進行も相当に遅
く、靱性の向上が見られる。
【0023】振動減衰特性試験はハンマー打撃法により
行った。この方法は図6に示されるようにアブソーバー
20の上に配置した試料1にゴム・プラスチック等から
なるハンマー22を矢印23方向に落下させそのときに
生じた振動エネルギーをピックアップ21で拾い上げて
解析するものである。X軸を時間軸に取って、どのよう
に振動エネルギーが減衰していくかということを、比較
例と重ね合わせて図7に示されている。これにより本発
明材料が比較例に比べて、2倍程度早く振動が減衰して
しまう様子が読み取れる。さらに、その際の衝撃吸収エ
ネルギーも3倍程度大きくなった。これらの結果は、本
発明複合機能コンクリート系材料の制振性および衝撃吸
収性が非常に向上していることを示している。
【0024】本実施例においては通常の溶解法による形
状記憶合金を用いて比較したが、本発明は他のあらゆる
製法、例えばメカニカルアロイング法、或いは急冷凝固
法等による形状記憶合金自体の特性を向上させてなるコ
ンクリート系材料も含むものとする。特に急冷凝固材料
においては、日本金属学会1990年春期大会講演概要
集NO.414(P.249):古屋、松本、増本:
「急冷凝固TiNi系合金の機能特性」に示されるよう
に、従来の溶解・圧延材料よりも大きな形状記憶変態ひ
ずみの発現が可能であり、かつ低温側マルテンサイト相
では、準静的な引張り試験レベルから、図2に示された
比較的低周波数(10Hz程度)での内耗(減衰=ta
nσ)の向上、さらには高周波域(MHzオーダーの超
音波域)までの広い範囲にわたる材料減衰性が向上する
ことを発見した。本発明に使用する形状記憶合金として
は、合金そのものの製法によってこの様な効果を発現す
るものも本発明の範躊に含まれるものとする。
【0025】また本実施例においては用いる形状記憶合
金とコンクリート材の一体化に関して、特に圧縮力を付
与するための第一の形状記憶合金線材とコンクリート材
との一体化はクリップを用いた例により説明したが、こ
の方法に限定されるものではなく、例えば線材の表面に
コンクリート材と濡れ性の良い第二相をコーティングす
るとか、或いは線材の断面形状を異形断面として接触面
積を増やすことによって、コンクリート材の形状記憶合
金に対する付着力を確保する等の方法により、本発明の
趣旨にそってその特性を向上させた形状記憶合金を用い
る場合も、本発明に含まれるものとする。また、母材
(コンクリート)と混合配列させた第一の形状記憶合金
自体を線状、らせん状、ジグザグ状などに変えてそれ自
体の形状変化による剛性の違いを利用して、比較的低周
波数域での吸振・耐震性の向上を行う様式も含まれるも
のとする。
【0026】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の高強
度高制振性コンクリート系材料によれば、変態終了点以
下の温度で塑性伸びを付与されてなる少なくとも1種以
上の第一の形状記憶合金と、第一の形状記憶合金の逆変
態終了点以上の逆変態開始点を有する少なくとも1種以
上の第二の形状記憶合金とを、第一の形状記憶合金の変
態終了点以下の温度でコンクリート系材料と一体化せし
め、その一体化したコンクリート系材料に、第一の形状
記憶合金の逆変態終了点以上でかつ第二の形状記憶合金
の逆変態開始点以下の温度において熱処理を施してなる
ようにしたので、従来のプレストレス工法によるコンク
リート系材料と同等の強度を備えかつ、質量の増大や剛
性の低下を伴うこと無く、優れた制振性をコンクリート
系材料に付与することができる。したがって本発明のコ
ンクリート系材料によれば、従来のプレストレス工法の
ように、ジャッキ等の大型の装置が必要であるとか、固
定金具締付のためのスペースが必要になるといった諸問
題が解決され、狭小な箇所においても施工可能である上
に、高い強度と優れた制振性を有する結果、かかるコン
クリート系材料を用いることにより居住空間を犠牲にす
ること無く、居住性を大幅に向上させることができ、ま
た、構造物の梁の長尺化が可能となり建築物のデザイン
の自由度が増すという利点がある。
【0027】更に本発明の形状記憶合金を複合化させ
た、高強度高制振性コンクリート系材料によれば、内在
する長繊維状形状記憶合金自体の温度および応力に対す
る電気抵抗値の変化をモニター(測定)することで、コ
ンクリート系部材の現在の温度や負荷応力を知ることが
できる。このことは、内在する形状記憶合金自体を利用
して、地震や衝撃荷重、さらには火災等の突発的な事故
に対するセンサーとして利用でき、この材料・部材で
の'自己診断機能'を付与できる事を示唆している。ま
た、もしも第一の形状記憶合金長繊維などの逆変態温度
(Af)以下で、繊維強化効果のみの状態で建築物の中
で使用すれば、たとえ長期使用や地震時に内部に亀裂
(割れ)や空洞などの損傷が生じても、その後の逆変態
温度(Af)以上の加熱により、形状記憶合金は収縮変
形して、その際の圧縮応力発生により、それら亀裂、空
洞などは閉鎖され、これら損傷などの'自己修復機能'も
付与できる事になる。
【0028】このように、本発明の二種類の形状記憶合
金を含むコンクリート系材料は、従来にない繊維複合強
化、制振、自己診断、さらには自己修復機能という、建
築材料として重要な複数の材料機能を有することにな
る。それ故に、高層ビルディング用壁材、支柱にとどま
らず、架橋の振動を防ぐ緩衝性橋桁、防音壁、さらには
超音波等の吸収材料など新たな土木、建築用構造材料と
しての用途が広がり従来工法にない制振性のあるコンク
リート系材料を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 逆変態開始点(As)以下で引っ張り与歪を
与えられた形状記憶合金が逆変態終了点(Af)以上の
加温により大きな圧縮側回復力を発生することを示した
模式図である。
【図2】 形状記憶Ti50Ni50(at%)合金における
低温マルテンサイト相側(As〜Af点以下)での高減
衰性(内耗)性の例
【図3】 各種の形状記憶合金の高強度と高制振性の両
方の材料機能を有することを示す図である。
【図4】 本発明の一実施例に係わる試料の構造図であ
る。
【図5】 本発明材料と比較例の3点曲げ試験結果を表
す特性図である。
【図6】 ハンマー打撃法の説明図である。
【図7】 本発明材料と比較例のハンマー打撃法による
振動減衰特性試験結果を表す図である。
【符号の説明】
1 試料 2 第一の形状記憶合金線 3 第二の形状記憶合金を混合したコ
ンクリート 4 クリップ 20 アブソーバー 21 ピックアップ 22 ハンマー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉岡 保彦 東京都江東区南砂2丁目5番14号 株式 会社 竹中工務店 技術研究所内 (72)発明者 坪内 信朗 東京都江東区南砂2丁目5番14号 株式 会社 竹中工務店 技術研究所内 (72)発明者 斉藤 俊夫 東京都江東区南砂2丁目5番14号 株式 会社 竹中工務店 技術研究所内 (72)発明者 井上 孝之 東京都江東区南砂2丁目5番14号 株式 会社 竹中工務店 技術研究所内 (72)発明者 古屋 泰文 宮城県仙台市青葉区三条町14−1−33 (72)発明者 増本 健 宮城県仙台市青葉区上杉3丁目8番22号 (56)参考文献 特開 平3−126649(JP,A) 特開 昭59−34369(JP,A) 特開 昭60−47166(JP,A) 特開 平5−8217(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B28B 1/00 - 23/22 E04B 1/00 - 1/99

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変態終了点以下の温度で塑性伸びを付与
    されてなる少なくとも1種以上の第一の形状記憶合金
    と、第一の形状記憶合金の逆変態終了点以上の逆変態開
    始点を有する少なくとも1種以上の第二の形状記憶合金
    とを、第一の形状記憶合金の変態終了点以下の温度でコ
    ンクリート系材料と一体化せしめ、その一体化したコン
    クリート系材料に第一の形状記憶合金の逆変態終了点以
    上でかつ第二の形状記憶合金の逆変態開始点以下の温度
    において熱処理を施してなることを特徴とする高強度高
    制振性コンクリート系材料。
  2. 【請求項2】 第一の形状記憶合金の形状が、直線状、
    らせん、もしくはジクザグ状繊維、条、箔であり、第二
    の形状記憶合金の形状が、比表面積の大きな偏平、短尺
    の繊維、条、箔、粉末であることを特徴とする請求項1
    に記載される高強度高制振性コンクリート系材料。
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