JP3245149B2 - パターン認識装置 - Google Patents

パターン認識装置

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【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野] 本発明は、各カテゴリごとに複数個ずつ用意された標
準パターンを用いて識別を行うパターン認識装置に関す
る。 [発明の概要] 各カテゴリごとに複数個ずつ用意した標準パターンを
用いて識別を行なうパターン認識のための標準パターン
構成法に関するもので、与えられた学習データを識別率
を評価関数として最適に分類して標準パターンを構成す
ることにより、従来からの識別率を考慮に入れていない
クラスタリング法を用いて標準パターンを構成する方式
よりも高い識別性能が得られるようにしたものである。 [従来の技術] 各カテゴリごとに複数個の標準パターンを用意して識
別を行なうパターン認識方式のための標準パターン構成
法としては、例えば、長尾真著:岩波講座情報科学21
「パターン認識と図形処理」(岩波書店発行)に開示さ
れているようなクラスタリングの手法を用いた技術が考
えられる。従来のクラスタリングは、学習データが分布
している空間において距離を定義した上、各カテゴリご
とに互いに距離が近いものを集めてクラスタを構成する
方法であり、標準パターンは各クラスタごとに重心を計
算することによって与えられる。 このように、データの分類という観点から標準パター
ンを構成する方法はあるが、本発明のように識別という
観点からクラスタを構成する方法は皆無であった。 [発明が解決しようとする課題] 従来のクラスタリングを用いる標準パターンの構成法
は、各カテゴリごとに互いに距離の近いものを集めるこ
とによって学習データを分類する方法であって、識別と
いう点で他のカテゴリとの関係を考慮していないので、
得られた標準パターンは識別という意味では必ずしも適
当なものではなかった。そこで、より高い識別能力を実
現するためには、識別という観点から標準パターンを構
成する必要がある。 本発明の目的は、かかる点に鑑み、学習データに対し
て識別という意味で最適なクラスタリングを行なって、
標準パターンを構成することにより、各カテゴリごとに
複数個の標準パターンを用意して識別を行なうというパ
ターン認識方式の中で、従来よりも高いパターン識別能
力をもつパターン認識装置を提供することにある。 [課題を解決するための手段] 上記目的を達成するため、本発明は、各カテゴリごと
に複数個ずつ用意された標準パターンを用いて識別を行
うパターン認識装置において、学習データを各カテゴリ
毎に複数のクラスタに分割するクラスタ分割手段と、各
前記クラスタ毎に代表点を決める代表点決定手段と、当
該代表点によって標準パターンを構成する標準パターン
構成手段と、当該標準パターンを用いて前記学習データ
を認識したときの誤認識の程度を示す関数を構成する関
数構成手段と、前記関数を評価関数として前記クラスタ
分割を最適化するクラスタ分割最適化手段と、を具備
し、最適化されたクラスタ分割に対応する代表点による
標準パターンをもって最終的な標準パターンとし、当該
最終的な標準パターンを用いて識別を行うことを特徴と
する。 本発明の一形態として、前記誤認識の程度を示す関数
は、集合{tir}を標準パターンとして、学習データの
集合{Xij}を認識した時の誤認識の程度を示す関数E
であり、該関数Eは関数μを選ぶことにより次式
【数2】 で定義されることを特徴とすることができる。 [作 用] 本発明は、学習データを各カテゴリ毎に複数のクラス
タに分割し、各クラスタ毎に代表点を決め、当該代表点
によって標準パターンを構成し、当該標準パターンを用
いて学習データを認識したときの誤認識の程度を示す関
数を構成し、この関数を評価関数としてクラスタ分割を
最適化し、最適化されたクラスタ分割に対応する代表点
による標準パターンをもって最終的な標準パターンと
し、当該最終的な標準パターンを用いて識別を行うの
で、各カテゴリごとに複数個ずつ用意された標準パター
ンを用いて識別を行うパターン認識装置において、パタ
ーン識別能力を向上させることができる。 [実施例] 以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明す
る。 実施例の詳細 まず、次のように記法を定める。 K :識別すべきパターンのカテゴリ数 Ni :カテゴリiに対する学習データの数 (i=1,…,K) Mi :カテゴリiに対するクラスタの数 (i=1,…,K) Xij :学習データ (i=1,…,K、j=1,…,Ni) Cir :カテゴリ(例えば、母音)iに対するr番目のク
ラスタ (i=1,…,K、r=1,…,Mi) Sir :クラスタCirに含まれる学習データの数 (i=1,…,K、r=1,…,Mi) yirp :クラスタCirに属するp番目の学習データ (i=1,…,K、r=1,…,Mi、p=1,…,Sir) 但し、yirp∈{Xij} tir :カテゴリ(例えば、母音)iに対するr番目の標
準パターン (i=1,…,K、r=1,…,Mi) E :標準パターンの組{tir}を用いて全学習パター
ン{Xij}を識別した時の誤認識の程度を表わす関数 A,B :繰返しの回数 本発明実施例は、上記の関数Eを最小にする標準パタ
ーンの組{tir}を構成することを特徴とする。関数E
を最小化する方法として、組合せ最適化問題を解く方法
の1つであるアニーリング法(simulated annealing)
を用いた場合の、本発明の実施例のフローチャートを、
第1図から第3図までに示す。図示したB2〜B40の各ブ
ロック(処理ステップとも称する)における実行内容は
次の通りである。なお、このアルゴリズムを実行するた
めの計算機、記憶装置等は標準パターン作成に用いるこ
とのできる一般的なものを適用できるので、その説明は
省略する。 B2 :まず学習データの集合{Xij}を各カテゴリごとに
予め決められた数Mi個のクラスタCi1、…、CiMiに分類
する。本実施例では、従来のクラスタリング法を用いて
この分類を行う。最後に、得られたクラスタの集合{C
ir}を出力する。 B4 :{yirp}をクラスタCirに含まれる学習データの集
合とすると、クラスタCirから得られる標準パターンtir
を次式(1)により計算する。 ここで、SirはクラスタCirに含まれる学習データの数
である。また、学習データがベクトル空間上の点で表現
されている場合には、上式のΣはベクトルの和を計算す
ることを意味することとする。全てのクラスタに対し標
準パターンを計算した後、標準パターンの集合{tir
を出力して、本ブロックは処理を終える。 B6 :集合{tir}を標準パターンとして、学習データの
集合{Xir}を認識した時の誤認識の程度を表わす関数
Eを計算する。誤認識された学習データの個数でEを定
義しても良いが、本実施例では、次のようにしてEを計
算する。先ず、ある学習データXijに対して次の2つの
距離d1,d2を定義する。 ここで、dは2つのパターン間のユークリッド距離を
表わす。この時、λを λ(Xij,{tir}) =d1(Xij,{tir}) /(d1(Xij,{tir}) +d2(Xij,{tir})) …(2) で定義する。上式(2)から明らかに、0≦λ≦1であ
る。このλと、パラメータκ(0<κ<0.5)に対して
関数μ(Xij,{tir})を定義する。具体的には、λ<
0.5−κの場合にはμ=0,0.5−κ≦λ<0.5+κに対し
て μ=(λ−κ−0.5)/2κ …(3) とし、0.5+κ≦λに対してμ=1とする。標準パター
ンを用いる識別の場合には、λ<0.5なら正しく識別さ
れ、λ≧0.5ならば誤って識別される。従って、λ≧0.5
に対して1、それ以外のλに対して0となる関数μ′を
考えると、μ′は誤識別かどうかを0と1で表現する。
上式(3)のμは、このμ′にパラメータκを導入した
ものであり、誤認識の程度を表わす関数となっている。
関数Eを次式(4) で定義する。明らかにEは標準パターンの組{tir}の
関数であり、標準パターンとして{tir}を選んで学習
パターン全体を識別したときの誤識別の程度を表わす。 B7 :Eの初期値としてB6で求めたEを代入する。 B84:変数aに0を代入する。 B10:変数bに0を代入する。 B12:2つの誤認識の程度EとEを比較する。E<E
の場合はB14へ進み、それ以外の場合はB16へ飛ぶ。 B14:クラスタの集合{Cir}及び標準パターンの集合{t
ir}の全要素をそれぞれ集合{Cir }{tir }の要素
とし、Eの値をEに代入する操作を行なう。 B16:アニーリング法におけるパラメータの1つである
「温度」Taを次式(5)により設定する。 Ta=0.1/log(2+a) …(5) B18:クラスタの集合{Cir}の中からランダムに1つの
クラスタCvwを選択する。 B20:B18で選ばれたクラスタCvwと同じカテゴリに属し、
Cvwとは異なるクラスタCvzをクラスタの集合{Cir}の
中からランダムに選択する。 B22:B18で選ばれたクラスタCvwに含まれる学習データの
中から、 d(yvwp,tvz)<ν・d(yvwp,tvw) を満たす学習データyvwpをランダムに選ぶ。ここで、t
vw,tvzはそれぞれクラスタCvw,Cvzに対応する標準パタ
ーンである。また、νは経験に基づいて適当に与えられ
た定数である。但し、この定数νの値は1以上(例えば
1.5)である。 B23:データyvwpをいままでのクラスタCvwから別のクラ
スタCvzに移すことにより、クラスタの集合{Cir}に対
し摂動を与える。摂動後のクラスタの集合を{Cir′}
と表すこととする。 B24:B4と同様にして、標準パターン{tir′}の計算を
行う。 B25:B6と同様にして、誤認識の程度E′の計算を行う。 B26:区間[0,1]の間で一様分布する乱数ωを発生す
る。 B28:2つの誤認識の程度を表す関数E′,Eの差(E′−
E)が負であるか、あるいはB26で発生された乱数ωがe
xp(−(E′−E)/Ta)未満であるか否かを判定す
る。 肯定(YES)の判定結果の場合はB30へ進み、否定(NO)
の判定結果の場合はB32へ飛ぶ。 B30:クラスタの集合{Cir′}及び標準パターンの集合
{tir′}の全要素をそれぞれ集合{Cir}および
{tir}の要素とし、E′の値をEに代入する操作を行
なう。 B32:変数bの値を1だけ増加させる。 B34:変数bが予め設定された値(繰り返しの回数)Bよ
りも大きいか否かを判定する。否定判定の場合はB12へ
戻り、肯定判定の場合はB36へ進む。 B36:変数aの値を1だけ増加させる。 B38:変数aが予め設定された値(繰り返しの回数)Aよ
りも大きいか否かを判定する。否定判定の場合はB10へ
戻り、肯定判定の場合はB40へ進む。 B40:集合{tir }を最終的な標準パターンの集合と決
定し、標準パターンを格納するためのあらかじめ定めた
メモリ(例えば、RAM)の所定領域に格納する。 以上に示した本実施例では、アニーリング法を用いた
場合について述べてきたが、例えば、B28の判断条件を
E′−E<0のみにすると最急降下法を用いる場合に対
応する。従って、本発明は、アニーリング法を用いる場
合に限らず、他の最適化手法を用いる場合にも常に適応
し得ることは勿論である。 実験結果 以上に述べた通り、本発明によれば、識別に適した標
準パターンを構成することができるので、標準パターン
を用いるパターン認識であれば音声認識に限らず、図形
認識等においても識別能力の向上を図るために本発明を
適応することができる。 ここでは、音声認識のうちで、標準パターンを用いて
母音を認識する場合に本発明を適応した結果について述
べる。 母音として撥音を含む6母音/a/,/i/,/u/,/e/,/o/,/N
/を想定し、これらの6つの各カテゴリごとに3つずつ
の標準パターン(すなわち、K=6,Mi=3(i=1,
6))を用意して母音認識を行なう場合について検討し
た。従って、全クラスタ数は18となる。検討に当っては
男性話者2名が発声した連続音声を、第2図に示すよう
に、標本化周波数15kHzで標本化し、18次のLPC(線形予
測符号化)ケプストラム分析を行なった後、母音中心3
フレームを平均して母音データを作成した。 1名分の音声データ(話者1と称する)については、
母音中心は視察によって定めた。 もう1名の話者の音声データ(話者2と称する)は、
ATR(アドバンスト テレコミュニケーションズ リサ
ーチ インスティテュト インタナショナル)音声デー
タベースの中の話者MAUが文節単位に発声した文章デー
タ(SA1〜SA4)であり、母音中心はこのデータベースに
付与された母音中心のラベルに基づいて定めた。 このようなデータを各カテゴリごとに100個ずつ作成
し、これらを50個ずつに分割して(すなわち、Ni=50
(i=1,6))、データセットA、データセットBを作
成した。 データセットAを用いて標準パターンを構成し、デー
タセットA(学習データ)の認識及びデータセットB
(未知データ)の認識を行なった。 データセットBを用いて標準パターンを構成する場合
についても同様のことを行ない、最後に、学習データ、
未知データ別に認識率を平均した。 なお、第1図〜第3図のフローチャートのアルゴリズ
ムを使用するに当っては、B2,B24に示すクラスタ集合の
初期化を、従来から提案されているクラスタリングアル
ゴリズムの1つであるLBG(Linde,Buzo,Gray)アルゴリ
ズムを用いて行なった。 また、B6,B25におけるパラメータκを0.2、B22におけ
るパラメータνを1.5と設定した。また、B38のAを200,
B34のBを10と設定した。 比較のため、従来のクラスタリング法の例としてLBG
アルゴリズムのみを用いる場合についても同様の認識実
験を行なった。 実験結果を表1に示す。表1により何れの話者につい
ても、特に未知データの場合、本発明を用いると誤認識
率が下がり、従って認識性能が向上することが確認でき
た。 [発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、学習データを
各カテゴリ毎に複数のクラスタに分割し、各クラスタ毎
に代表点を決め、当該代表点によって標準パターンを構
成し、当該標準パターンを用いて学習データを認識した
ときの誤認識の程度を示す関数を構成し、この関数を評
価関数としてクラスタ分割を最適化し、最適化されたク
ラスタ分割に対応する代表点による標準パターンをもっ
て最終的な標準パターンとし、当該最終的な標準パター
ンを用いて識別を行うので、各カテゴリごとに複数個ず
つ用意された標準パターンを用いて識別を行うパターン
認識装置において、パターン識別能力を向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図,第2図および第3図は、本発明のパターン認識
装置の一実施例の標準パターン構成手順を示すフローチ
ャート、 第4図は、本発明を実施したパターン認識装置の機能構
成例を示すブロック図である。 4……クラスタ化・標準パターン構成ブロック(B2〜B4
0に相当)、 6……照合ブロック、 7……判定ブロック。
フロントページの続き (56)参考文献 鹿野清宏著「不特定話音単語音声認識 における単語マルチテンプレートの一選 択法」信学技報 PRL83−38,PP. 39−46(1983) 尾関和彦 安藤彰男著「疑似アニーリ ング法による母音標準パターンの最適配 置」日本音響学会 昭和63年秋季講演論 文集2−P−(22),昭和63年10月

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】各カテゴリごとに複数個ずつ用意された標
    準パターンを用いて識別を行うパターン認識装置におい
    て、 学習データを各カテゴリ毎に複数のクラスタに分割する
    クラスタ分割手段と、 各前記クラスタ毎に代表点を決める代表点決定手段と、 当該代表点によって標準パターンを構成する標準パター
    ン構成手段と、 当該標準パターンを用いて前記学習データを認識したと
    きの誤認識の程度を示す関数を構成する関数構成手段
    と、 前記関数を評価関数として前記クラスタ分割を最適化す
    るクラスタ分割最適化手段と、 を具備し、最適化されたクラスタ分割に対応する代表点
    による標準パターンをもって最終的な標準パターンと
    し、当該最終的な標準パターンを用いて識別を行うこと
    を特徴とするパターン認識装置。
  2. 【請求項2】前記誤認識の程度を示す関数は、集合{t
    ir}を標準パターンとして、学習データの集合{Xij
    を認識した時の誤認識の程度を示す関数Eであり、該関
    数Eは関数μを選ぶことにより次式 【数1】 で定義されることを特徴とする請求項1に記載のパター
    ン認識装置。
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Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
尾関和彦 安藤彰男著「疑似アニーリング法による母音標準パターンの最適配置」日本音響学会 昭和63年秋季講演論文集2−P−(22),昭和63年10月
鹿野清宏著「不特定話音単語音声認識における単語マルチテンプレートの一選択法」信学技報 PRL83−38,PP.39−46(1983)

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