JP3242588B2 - シリカの過飽和水溶液、該水溶液からなる木材の難燃化処理剤並びに鋼材防食剤及びその製造法 - Google Patents
シリカの過飽和水溶液、該水溶液からなる木材の難燃化処理剤並びに鋼材防食剤及びその製造法Info
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Description
液、更に詳しくは、シリカが極めて高濃度に水に溶解さ
れており、かつ高温時に溶解されたシリカの溶解度が、
液が常温に低下しても、なおそのまま過飽和状態が安定
に保たれて析出することのないシリカの過飽和溶液、及
び該過飽和水溶液からなる木材の難燃化処理剤並びに鋼
材防食剤及び該シリカの過飽和水溶液の製造法に関す
る。
いが、熱水には若干溶解することは既に知られている。
例えば100℃の熱水で約50ppm 、200℃では26
0ppm 、250℃では490ppm と水の温度が高くなる
と溶解度が高くなるが、それ以上は溶解せず300℃を
超えるあたりから逆に小さくなり始める。それ故熱水に
溶解したシリカは、水温が溶解可能温度以下、つまり常
温になると晶出してしまう。
態に溶解されている水溶液は全く知られていない。その
ため、従来シリカを溶液として使用する技術分野、例え
ば木材の材質中に含浸させて、木材の難燃化を図ろうと
する場合には、専らシリカの溶剤の面から検討されて来
たのである。
て溶液とし、これをオートクレーブで木材に加圧浸透さ
せる方法が知られている。しかしながらこの方法は、カ
テコール水溶液のアルカリ性が強いため、木材に加圧含
浸させた後、酸性液で処理してシリカを材質中に沈着さ
せねばならない。このように二液処理法であり、工程が
煩雑で施工が容易でないばかりでなく、アルカリ性,酸
性等各種の薬液を圧入使用するため、木材の組織自体の
劣化を招く惧れがある等の問題点があった。
従来の問題点を解決し水に対して加熱下、通常のシリカ
の溶解度より著しく多量に溶解せしめると共に液が常温
に低下しても、溶解したシリカが晶出することなく過飽
和状態に保たれ、木材の含浸処理剤として好適なシリカ
の過飽和水溶液を提供することを目的とする。
その特性の一つとして、前記の外鋼材面の腐食を防止す
る特性を有することが本発明者によって確認されたもの
であり、鋼材防食剤としても利用することができるもの
である。
4 )を有効成分として含有することを特徴とするシリカ
(SiO2 )の過飽和水溶液である。本発明のメタンを
含有するシリカの過飽和水溶液は、水にシリカを加え常
温又は加熱下でメタンガスを圧入して溶解せしめたもの
である。
て、そのまま木材に含浸させることによって木材の難燃
化(不延焼化)処理剤として用いられる。
の腐食を防止する特性があるため鋼材防食剤として有用
である。
レーブ(耐熱・耐圧反応容器)に所定量の水とシリカ粉
末を収容し、メタンガスを圧入し密閉して、常温から好
ましくはある一定温度まで加熱し、撹拌し、更に一定時
間、継続した後、常温まで冷却して容易に得ることがで
きる。
したシリカ溶液の常温における溶解度はその設定温度に
概略、比例することが判明した。即ち、シリカの溶解度
は100℃から360℃にかけては処理温度の上昇と共
に直線的に増加し、360℃を越えると逆に溶解度は低
下する。しかし、400℃で製造した溶液も上記の用途
には有効である。更に、本発明のシリカ過飽和水溶液の
用途は水溶液として有効であるので、最適濃度に希釈し
て使用するにしても、最高濃度の溶液を製造することが
要求される。従って加熱温度は300〜360℃が好ま
しい。
中にメタンが存在することが肝要である。本発明の開発
にあたり、水中にメタンを溶解し激しく撹拌するか、加
熱すると、その溶液は紫外線(波長365nm)の照射に
より蛍光を発することが確認された。この蛍光を発する
原理はつまびらかではないが、メタンが水中で特殊な構
造を形成しシリカ分子を安定に懸架するため、シリカを
過飽和に分散,溶解するものと思われる。メタンガスの
水に対する溶解度は小さいが、少量で有効に作用する。
実験ではメタンの圧入圧力が10Kg/cm2(以下KSCgと記
す)の場合と50KSCgの場合、同じ溶解度を示すことか
ら圧力には頼らないことが判明している。本発明に使用
するメタンガスの圧入圧力は製品のシリカ水溶液が上記
用途に有効である範囲として1〜100KSCgであり、オ
ートクレーブの操作上の点から10〜80KSCgが好まし
い。加熱時間は通常1時間程度で充分なシリカ過飽和溶
液が得られる。
l、圧力Max250KSCg 温度Max400℃ 前記オートクレーブに、蒸留水250ml、シリカ粉末
10gを収容し、オートクレーブの蓋を閉め、撹拌を開
始した。次いでオートクレーブのバルブを開き、メタン
ガスをボンベから導入しオートクレーブ内を50KSCg
(ゲージ圧)に加圧し、よく撹拌しメタンガスを放出し
た。この操作を3回くり返しオートクレーブ内の溶存酸
素等を取り除いた。その後50KSCgに圧入し、撹拌と同
時に加熱した。350℃まで昇温し、この状態で1時間
保持した後、常温まで冷却し、液を取り出し本発明の過
飽和水溶液を得た。溶解度は、この水溶液の一定量を1
50℃で蒸発乾固し、残量から計算し800ppm を得
た。この水溶液はガラス容器に密封し、室温(25℃)
で1ケ月以上もシリカの晶出が見られず安定なものであ
った。
易に浸透して、木材を難燃性にすること、更に鋼材の腐
食を防ぐ等の特殊な性質を有することが認められた。こ
れらは前述のとおり水中のメタンが特殊な形態を有し、
シリカを分子状に溶解し木材に浸透し、メタンが木材成
分に吸収されシリカを沈澱するためと思われる。
をシリカ分子が覆い、鋼材を腐食成分から保護するため
と思われる。鋼材腐食のうち、廉価に防食するのが困難
であるのはH2 Sによる腐食である。しかし、本発明の
シリカ水溶液はH2 S腐食を完全に防ぐものであること
が認められた。次にこれらを実施例で示すが、本発明を
限定するものではない。
験管に、実施例1で得たシリカ過飽和水溶液30mlを入
れ、これに5×5×150mmの白樺材の木片1本を浸漬
し、24時間経過後、木片をとり出し、3日間自然乾燥
した。このように処理した木片を水平に支え、一端をガ
スバーナーの火炎中に入れ着火させた。着火後、約40
秒で、火炎中、及び火炎から外部に5mm離れた部分の木
片が燃焼した後、消えた。即ち、延焼しないものであっ
た。
浸漬した木片について行った。火炎に入れ着火した木片
は火炎外部まで延焼し、約2分間で全焼した。
液はメタンが水中でシリカを過飽和に溶解する作用をし
ているものと考えられる。従って、メタン水溶液の、シ
リカ以外の不溶性の金属、金属の(水)酸化物及び炭酸
塩等についての溶解性を調べた。この実験は実施例1に
用いたオートクレーブを用いて行った。鉄を用いた例を
示すと、オートクレーブに水250ml、鉄粉〔市販の還
元鉄;試薬特級〕10g、更に5×5×20mmの白樺材
の木片5個収容し、メタンガス100KSCg圧入し、15
0℃で2時間加熱撹拌した。冷却後取出した木片を調べ
た結果、木片は大量のFeOを吸収しており、ガス中に
H2 が検出されたことから、鉄は下式(1)のように反
応したものと推定される。 Fe+H2 O → FeO+H2 この反応におけるメタンガスの作用はつまびらかではな
いが、鉄粉の一部がFeOになり、水溶液経由で木材に
吸収されたものである。しかしながら、FeOを吸収し
た木材について比較例1と同様な試験をした結果は全焼
するものであった。
等について実験例1と同様の試験を行った結果は次の通
りであった。試薬としてMg(OH)2 ,Ca(OH)
2 ,ZnO,Fe2 O3 ,MgCO3 ,CaCO3 ,B
aCO3 について、各々オートクレーブ内で吸収させた
木片についての燃焼試験の結果、すべて全焼するもので
あった。即ち、本発明のシリカの過飽和水溶液のみが木
材の難燃化剤として有効であることが確認された。ま
た、実施例2と同様な試験において、実施例1で得たシ
リカの過飽和水溶液を水で希釈して用いた結果、約10
0ppm の溶液でも有効であることが確認できた。
スの輸送管には、その配管構造や気温の変化に基づく凝
縮水が生ずる場合があり、その接水部分は往々にして腐
食される。これは比較例2に示したメタン水溶液による
鋼材の溶解と思われるので、この腐食実験を試みた。実
施例1に用いたオートクレーブに水250ml収容し、撹
拌棒に鋼材と同質の炭素鋼試料片(10×50×2mm、
材質;N−80)を、全体が水中に浸漬した状態で撹拌
棒と同じに回転するよう、白金線で固定した。メタンガ
スを50KSCgに圧入し350℃で3時間、加熱撹拌し
た。冷却後、試料片を取り出し重量法で腐食速度を調べ
た結果、0.2mm/Y(年間)であり、よく腐食される
ことが確認された。
のオートクレーブに10gのシリカを添加し、シリカ過
飽和水溶液がメタンガスによる鋼材の腐食を防ぐ実験を
行った。結果は0mm/Yを得て、完全に防食効果がある
ことが確認された。この結果は更に、シリカがメタン水
溶液に過飽和に溶解する以前に防食効果があることが確
認されたものである。
量のH2 Sを含有する場合があり、必要な処理装置を往
々にして腐食する。これらの処理装置は殆どステンレス
製である。従ってH2 Sのステンレスに対する腐食の程
度を測定すること、及び本発明のシリカ過飽和水溶液
の、この防食剤としての効果を調べた。
腐食の程度を調べる実験を行った。実施例1に用いたオ
ートクレーブに水250ml収容し、撹拌棒にステンレス
試料片(10×50×2mm、材質SUS−304)を全
体が水中に浸漬した状態で撹拌棒と同じに回転するよう
白金線で固定した。H2 Sを5%含有するメタンガスを
20KSCgに圧入し300℃で3日間、加熱撹拌した。冷
却後、試料片を取り出し重量法で腐食速度を調べた。2
mm/Yの腐食速度を得、よく腐食することを確認した。
オートクレーブに10gのシリカを添加し、他は全く同
様に行い、シリカ過飽和水溶液がH2 Sによるステンレ
スの腐食を防ぐ実験を行った。結果は0mm/Yを得て、
完全に防食効果があることが確認された。この結果は更
に、シリカの溶解量がかなり小さい溶液でも防食効果が
あることが確認された。
なる前に防食効果が得られることが示される。従って、
天然ガス処理プラントの防食を図るにあたり、系内の循
環液が水溶液である場合、この循環液をシリカ貯槽に新
規に通過するよう配管を変更し、メタンガスを溶解して
いる循環液にシリカを溶解させると良好な防食効果が得
られるものと思われる。本発明のシリカの過飽和水溶液
が鋼材防食剤として使用される場合、実施例1に示した
溶液として使用されるよりも、上記のように現場のプラ
ント内で、製造して用いる場合の方が多いものと思われ
る。
のみ変化させ、他は全く同様に行った実験結果は次のと
おりであった。加熱温度℃ シリカ濃度ppm 100 85 200 420 250 493 300 707 360 828 400 659
の通常の溶解度より、かなり大きな溶解度を有し、製造
時の加熱温度に左右されること、長期間安定であること
等の特徴を有する。このことは、高温岩帯から地熱水を
採取する場合、地下深部に天然ガスを送り、地熱水に溶
解させると、地上で冷却されても、地熱水がシリカを晶
出せず、地熱発電等の地上のプラントをスムーズに稼働
させることも可能となる。
飽和水溶液は、常温においても常にシリカが高濃度に溶
解された水溶液として保たれており、かつ容易に製造す
ることができる。また必要に応じて現場においても多量
に製造して随時供給することができる利点があり、利用
範囲も広く、各種の用途が期待されるものである。ま
た、木材の処理に際しては従来のように特殊な溶媒を用
いたり、煩雑な工程を必要とせずに、優れた難燃化効果
を奏する。鋼材の防食剤としては、鋼管の内面に現場に
おいても容易に適用できるので、例えば鋼管に対するH
2 Sその他腐食性物質を含むガス処理プラントの配管、
或いはH2 Sを含む液体類の輸送管等に対し優れた防食
効果を奏し、かつ廉価に提供できるので多量の使用に有
利である等その効果は頗る大きい。
Claims (4)
- 【請求項1】 メタンを有効成分として含有することを
特徴とするシリカの過飽和水溶液。 - 【請求項2】 請求項1記載のシリカの過飽和水溶液か
らなる木材の難燃化処理剤。 - 【請求項3】 請求項1記載のシリカの過飽和水溶液か
らなる鋼材防食剤。 - 【請求項4】 オートクレーブ内に所定量の水とシリカ
粉末を収容し、密閉しメタンガスを圧入して常温〜40
0℃で混和することを特徴とする請求項1記載のシリカ
の過飽和水溶液の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03142297A JP3242588B2 (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | シリカの過飽和水溶液、該水溶液からなる木材の難燃化処理剤並びに鋼材防食剤及びその製造法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10217208A JPH10217208A (ja) | 1998-08-18 |
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JP03142297A Expired - Fee Related JP3242588B2 (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | シリカの過飽和水溶液、該水溶液からなる木材の難燃化処理剤並びに鋼材防食剤及びその製造法 |
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1997
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