JP3241331B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの製造方法

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JP3241331B2
JP3241331B2 JP29589198A JP29589198A JP3241331B2 JP 3241331 B2 JP3241331 B2 JP 3241331B2 JP 29589198 A JP29589198 A JP 29589198A JP 29589198 A JP29589198 A JP 29589198A JP 3241331 B2 JP3241331 B2 JP 3241331B2
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    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/82Recycling of waste of electrical or electronic equipment [WEEE]

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  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)
  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示デバイスなど
に用いるプラズマディスプレイパネル製造方法に関
し、より具体的には、溶射法によって形成された隔壁を
有するプラズマディスプレイパネル製造方法、特に溶
射法による隔壁の形成工程に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、薄型に適したディスプレイ装置と
して注目されているプラズマディスプレイパネルは、例
えば図1に示す構成を有する。このプラズマディスプレ
イパネルは、互いに対向して配置された前面基板300
と背面基板301とを備えている。前面基板300の上
には、表示電極302及び303、誘電体層304、及
びMgO誘電体保護層305が、順に形成されている。
また、背面基板301の上には、アドレス電極306及
び誘電体層307が形成されており、その上には、更に
隔壁308が形成されている。そして、隔壁308の側
面には、蛍光体層309が塗布されている。
【0003】前面基板300と背面基板301との間に
は、放電ガス310(例えばNe−Xeの混合ガス)
が、500Torr〜600Torrの圧力で封入され
ている。この放電ガス310を表示電極302及び30
3の間で放電させて紫外線を発生させ、その紫外線を蛍
光体層309に照射することによって、カラー表示を含
む画像表示が可能になる。
【0004】隔壁308は、個々の画素の色(G、B、
R)毎に微少な放電空間を形成して放電セルを形成する
ための仕切りであり、この隔壁308によって、放電を
各セル毎に制御することを可能とし、誤放電や誤表示を
防ぐことができる。隔壁308のサイズは、典型的に
は、40インチのNTSCパネルにおいて、隔壁ピッチ
が一色あたり360μm、隔壁頂部の幅が50μm〜1
00μm、及び隔壁高さが100μm〜150μmであ
る。
【0005】従来の隔壁の形成方法としては、(1)ス
クリーン印刷技術を用いて隔壁を形成する印刷法、
(2)隔壁材料を背面基板の全面に塗布後に感光性フィ
ルム層を塗布された隔壁材料の上に形成し、写真法によ
り所定パターンを形成した後に、サンドブラストにより
隔壁材料の不要部分を除去して感光性フィルム層を剥離
し、隔壁を形成するサンドブラスト法、(3)感光性ペ
ーストを塗布後に、写真法により不要部分を除去して隔
壁を形成するフォトペースト法、或いは、(4)基板に
感光性フィルム層を形成した後に写真法によって所定パ
ターンを形成し、更にパターンの溝部にペーストを埋め
込んでから感光性フィルムを剥離し、その後にペースト
を焼成工程で焼き固めるフォト−埋め込み法(或いはリ
フトオフ法)、などが挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来
の隔壁形成方法は、それぞれ以下のような問題点を有し
ている。
【0007】印刷法では、1回の印刷工程で形成できる
隔壁の高さが10μm程度であるため、100μm程度
の高さの隔壁を形成するためには、印刷工程及び乾燥工
程を繰り返す必要がある。これは、工程数が多くなると
ともにコスト高の原因となる、また、スクリーンが大型
化するほどスクリーン版の非線形伸縮が著しくなり、形
成した隔壁の位置ずれや膜厚或いは形状のばらつきが大
きくなる。
【0008】サンドブラスト法は、除去する材料の量が
多いことや、切削量の制御が難しく基板や電極にダメー
ジを与えやすいという問題点を有している。感光性ペー
スト法では、ペースト材料のコストが高い。フォト−埋
め込み法は高精細なプラズマディスプレイパネルの実現
が可能であるが、隔壁形成のために焼成工程を有するこ
とが、低コストでの製造の実現を妨げている。
【0009】本発明は、上記のような従来技術の課題を
克服するためになされたものであり、その目的は、
(1)溶射法によって低コストで高精度に隔壁を形成し
て、高品位な表示を可能とするプラズマディスプレイパ
ネルの製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のプラズマディス
プレイパネルの製造方法は、放電空間を規定する隔壁
を、隔壁材料の溶射によって形成された溶射膜から構成
する隔壁形成工程を包含する、プラズマディスプレイパ
ネルの製造方法であって、前記隔壁形成工程は、基板の
上に感光性被覆層を形成する工程と、該感光性被覆層に
開口部の断面形状が頂部よりも底部が広い台形状である
所定パターンの開口部を形成する工程と、少なくとも該
開口部の内部に、溶射法によって前記隔壁材料を所定の
高さまで堆積させて、前記溶射膜を形成する工程と、該
感光性被覆層の表面よりも突出している該溶射膜の部分
を研磨によって削り取る研磨工程と、該感光性被覆層を
除去し、所定の形状の前記隔壁を得る工程とを含んでお
り、そのことによって前述の目的が達成される。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】本発明のプラズマディスプレイパネルの製
造方法は、放電空間を規定する隔壁を、隔壁材料の溶射
によって形成された溶射膜から構成する隔壁形成工程を
包含する、プラズマディスプレイパネルの製造方法であ
って、前記隔壁形成工程は、基板の上に感光性被覆層を
形成する工程と、該感光性被覆層に開口部の断面形状が
頂部よりも底部が広い台形状である所定パターンの開口
部を形成する工程と、少なくとも該開口部の内部に、溶
射法によって前記隔壁材料を所定の高さまで堆積させ
て、前記溶射膜を形成する工程と、該感光性被覆層のう
ちの表面から前記開口部の幅が最も狭くなっている位置
に相当する深さまで該感光性被覆層および溶射膜の部分
を研磨によって削り取る研磨工程と、該感光性被覆層を
除去し、所定の形状の前記隔壁を得る工程とを含んでお
り、そのことによって前述の目的が達成される。
【0016】前記溶射は、プラズマ溶射であり得る。
【0017】ある実施形態では、前記感光性被覆層に形
成された前記所定パターンの開口部が、頂部よりも底部
が広い台形状の断面形状を有しており、且つ、該断面形
状の底角が60度以上且つ90度未満である。
【0018】前記感光性被覆層に形成された前記所定パ
ターンの開口部の前記頂部の幅は、100μm以下であ
り得る。
【0019】ある実施形態では、少なくとも溶射粒子が
前記基板と密着する部分での溶射時のプラズマエネルギ
ー量をAとするときに、前記隔壁が、該プラズマエネル
ギー量Aで第1の隔壁材料を堆積させて形成された第1
層と、該プラズマエネルギー量Aよりも小さいプラズマ
エネルギー量で該第1層の上に前記所定高さまで第2の
隔壁材料を堆積させて形成された第2層と、を少なくと
も含む多層構造を有している。
【0020】前記溶射は、プラズマ作動ガスとして少な
くともアルゴンガス或いはアルゴンガスとヘリウムガス
との混合ガスを使用するプラズマ溶射であり得る。
【0021】前記プラズマ作動ガスが前記アルゴンガス
とヘリウムガスとの混合ガスである場合に、該ヘリウム
ガスの添加量を変えることでプラズマエネルギー量を変
化させ得る。
【0022】好ましくは、前記感光性被覆層に形成され
た前記所定パターンの開口部の前記頂部の幅がWaであ
るときに、前記隔壁材料の粉末の一次粒子径Dが、5μ
m以上且つ0.7・Wa以下の範囲内にある。
【0023】前記溶射膜の形成工程は、前記隔壁材料の
堆積と同時に前記感光性被覆層の上に付着した溶射粒子
を除去する工程を更に含み得る。
【0024】前記溶射膜の形成工程は、前記基板を裏面
から加熱して、該基板内の温度分布を所定の範囲内に維
持する工程を更に含み得る。或いは、前記溶射膜の形成
工程は、前記基板の表面を冷却して、該基板内の温度分
布を所定の範囲内に維持する工程を更に含み得る。ま
た、前記溶射膜の形成工程は、前記基板の裏面からの加
熱及び該基板の表面の冷却を行って、該基板内の温度分
布を所定の範囲内に維持する工程を更に含み得る。
【0025】好ましくは、前記研磨工程は、前記感光性
被覆膜をその表面から約10μmの深さまで削り取る。
【0026】好ましくは、前記溶射膜の形成工程は、前
記隔壁の長手方向に直交する方向に溶射トーチを移動さ
せる。
【0027】前記感光性被覆膜の除去後に、蛍光体層を
形成する工程を更に含み得る。
【0028】ある実施形態では、前記隔壁の欠損箇所に
所定のペースト材料を充填する工程と、前記感光性被覆
膜の除去後に蛍光体層を焼成によって形成する工程と、
が更に含まれており、該所定のペースト材料は、該蛍光
体層の焼成工程で硬化する材料である。
【0029】ある実施形態では、前記隔壁を、その底部
から所定の高さまでは第1の色の隔壁材料の溶射によっ
て形成し、該所定高さから頂部までは第2の色の隔壁材
料の溶射によって形成する。例えば、前記第1の色は白
色であり、前記第2の色は黒色である。また、第1の色
の隔壁材料は、酸化アルミニウム或いはスピネルであり
得て、前記第2の色の隔壁材料は、酸化クロム、酸化チ
タン、或いは酸化アルミニウムと酸化チタンとの混合物
或いは溶融物であり得る。
【0030】以上のような特徴を有する本発明による
と、感光性被覆層に所定のパターンの溝を形成した後に
溶射法(例えばプラズマ溶射法)によって溝内に隔壁材
料を堆積させ、その後に感光性被覆層を除去することに
よって、焼成工程を必要とせずに高精度に隔壁を形成す
ることができ、隔壁形成の製造コストの低減が実現され
る。また、隔壁材料の底部を白色材料で形成し、頂部を
黒色材料で形成すれば、高輝度や高コントラストを可能
とする隔壁が形成される。
【0031】より具体的には、本発明では、基板上に隔
壁を形成する方法として溶射法(例えばプラズマ溶射
法)を用いて、隔壁材料を直接に堆積させることによ
り、焼成工程が不要になる。その結果、焼成のために必
要であった電気炉のスペースや電力が不要となり、低コ
スト化が実現できる。
【0032】また、上記の隔壁形成に際して、隔壁の底
部から所定の高さまでを白色材料で形成すれば、隔壁の
可視光反射率を向上させることができるので、隔壁側面
に塗布された蛍光体からの放電による可視光の利用効率
が向上し、その結果として、プラズマディスプレイパネ
ルの輝度が向上する。また、隔壁の所定高さから頂部ま
でを黒色材料で形成すれば、外光の反射が抑制され、そ
の結果として、プラズマディスプレイパネルの高コント
ラスト化が実現される。
【0033】更に、上記の隔壁形成に際して、隔壁の白
色材料として酸化アルミニウムを用いれば、可視光に対
して高い反射効果をあげることが可能であり、プラズマ
ディスプレイパネルの高輝度化を実現することができ
る。また、黒色材料として、少なくとも酸化クロム或い
は酸化チタンの何れかを用いれば、外光に対して低い反
射効果をあげることが可能であり、プラズマディスプレ
イパネルの高コントラスト化を実現することができる。
【0034】また、基板上に形成した感光性被覆層に所
定パターンの開口部を形成した後に、溶射法(例えばプ
ラズマ溶射法)によって隔壁材料を前記開口部に堆積さ
せて隔壁を形成すれば、隔壁の形状が感光性被覆層に形
成させたパターンの形状に限定されるため、隔壁を高精
度に形成することが可能である。
【0035】更に、上記の感光性被覆層に形成した開口
部の断面形状を、頂部よりも底部が広い台形状であり、
且つその台形状開口部の底角を60度以上且つ90度未
満にすれば、隔壁材料がパターンの開口部へ充填して堆
積し、隔壁の形状精度や基板との密着性を均一にするこ
とが可能になる一方で、感光性被覆層の剥離を容易に
し、感光性被覆層の剥離時における隔壁の欠損をなくす
ことが可能になる。また、上記感光性被覆層の開口部の
頂部の幅が100μm以下であると、隔壁と基板との間
の密着力が小さいため、感光性被覆層の剥離の際に生じ
る隔壁方向の力により、隔壁が感光性被覆層と同時に剥
離する可能性がある。しかし、本発明によれば、このよ
うに隔壁頂部の幅が小さい場合であっても、隔壁を押す
力を緩和して、隔壁の剥離を発生させずに感光性被覆層
を剥離することが可能となる。
【0036】更に、少なくとも溶射粒子が基板と密着す
る部分での溶射時のプラズマエネルギー量をAとすると
きに、このプラズマエネルギー量Aにて隔壁材料を堆積
させた第1層と、前記プラズマエネルギー量Aよりも小
さいプラズマエネルギー量で所定高さまで隔壁材料を堆
積させた第2層と、を少なくとも有する多層構造の隔壁
を形成すれば、基板と溶射粒子との間の密着力を確保す
る一方で、第2層の隔壁材料(例えば酸化アルミニウ
ム)の酸素欠損を小さくして、その白色性を確保するこ
とが可能となる。
【0037】また、プラズマ作動ガスとして、アルゴン
或いはアルゴンとヘリウムとの混合気体を用いて、ヘリ
ウムの混合量を変化させることでプラズマエネルギーを
変化させれば、第2層の形成時にヘリウムの混合量を第
1層形成時よりも少なくすることで、第1層形成時より
も小さいプラズマエネルギーを容易に得ることができ
る。
【0038】更に、開口部の頂部幅がWaのときに、隔
壁形成に用いる隔壁材料の粉末の一次粒子径Dを5μm
以上且つ0.7・Wa以下に設定すれば、以下の作用が
得られる。すなわち、隔壁材料の粉末の一次粒子径Dを
5μm以上にすれば、隔壁材料をプラズマジェット内に
効率よく投入することができ、その結果として、プラズ
マ溶射法における隔壁形成の材料利用効率を高くするこ
とが可能である。一方、隔壁材料の粉末の一次粒子径D
を0.7・Wa以下にすれば、隔壁材料を、感光性被覆
層に形成した開口部へ効率よく充填させることが可能で
ある。
【0039】また、感光性被覆層の溶射粒子が付着し
て、感光性被覆層に形成したパターン開口部(溝部)の
一部がその付着粒子によって覆われると、その箇所だけ
溶射粒子の溝内への堆積が妨げられ、隔壁欠損の原因と
なる。そこで、所定の形状の除去機構、例えば鋭利な端
部を有するスキージを、感光性被膜層に接触させた状態
で溶射トーチに連動して動かして、感光性被膜層の上に
付着して上記のような好ましくない影響を及ぼす溶射粒
子を除去すれば、感光性被覆層のパターン開口部(溝
部)の中に溶射皮膜を均一且つ密に堆積することが可能
になる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の具体的な実施形
態について、添付の図面を参照しながら説明する。具体
的には、溶射法の一種であるプラズマ溶射法を使用する
場合を例にとって、プラズマディスプレイパネルの隔壁
を溶射法で形成する本発明の実施形態を、以下に説明す
る。
【0041】図2は、プラズマ溶射装置の構成を模式的
に示す図である。
【0042】図2に示すように、プラズマ溶射装置に含
まれるプラズマ溶射トーチ200は、水冷された陰極2
01と水冷された陽極202とを有する。両電極201
及び202の間に直流電源203から直流電圧を印加し
て、アーク放電204を発生させる。プラズマ溶射トー
チ200の後部に取り付けられたガスポート205か
ら、プラズマ作動ガス206が供給される。供給された
プラズマ作動ガス206は、電極201及び電極202
の間で発生したアーク放電204によって加熱電離さ
れ、プラズマジェット207としてノズル208から噴
出される。プラズマ作動ガス206としては、アルゴ
ン、ヘリウム、窒素、水素などが使用できる。本実施形
態では、アルゴン、或いはアルゴンとヘリウムとの混合
気体を用いる。
【0043】隔壁の材料となる溶射材料209は、粉末
の状態で供給ポート210からキャリアーガスにのせら
れてプラズマジェット207の中へ吹き込まれる。供給
された溶射材料209は、プラズマジェット207によ
って加熱溶融され、感光性被覆層212によるパターン
が形成されている基板211(厚さ:t)へ、高速で衝
突する。これによって、基板211の表面に被膜(溶射
膜)213を堆積する。
【0044】また、好ましくは、冷却ガスポート214
を設置して、プラズマジェット207の溶射と同時に、
冷却ガスを基板211へ吹き付ける。但し、ここでは、
簡略化のために、冷却ガスポート214の具体的な配管
構成の説明や図示は省略する。
【0045】次に、図3(a)〜図3(g)を参照し
て、本発明における溶射法を使用した隔壁形成プロセス
を説明する。図3(a)〜図3(g)は、上記プロセス
の各工程を説明する断面図である。
【0046】まず、図3(a)に示すように、ガラス基
板100の上にアドレス電極101を形成する。このガ
ラス基板100は、例えば、厚さ2.8mmのソーダガ
ラスや高歪点ガラスなどが用いられる。アドレス電極1
01の形成後に、例えば誘電体ガラスからなる下地層1
02を形成する。なお、以下の説明では、便宜上、ガラ
ス基板100、アドレス電極101、及び下地層102
を含む構成を、総称的に基板103とも称する。また、
以下の説明でも、同様に、基板とその上に形成されてい
るアドレス電極及び下地層を含む構成を、総称的に基板
と称することがある。
【0047】次に、図3(b)に示すように、形成した
基板103の上に、感光性被覆層104を形成する。本
実施形態では、感光性被覆層104として、感光性のド
ライフィルムレジスト(以下、「DFR」と称する)を
用いて、厚さ60μmのDFRを2層重ねて120μm
の厚さとする。
【0048】次に、図3(c)に示すように、所定のパ
ターン幅及びピッチを有するフォトマスク105を用い
て紫外線光(UV光)を照射し、露光を行う。露光量
は、フォトマスク105のパターン幅及びピッチに応じ
て適正化させる。
【0049】図3(d)に示す工程では、露光後に現像
を行う。現像液は、1%炭酸ナトリウム水溶液を使用
し、約3分間現像後に水洗する。露光及び現像工程を経
て、DFR104にストライプ状の所定パターンの溝
(開口部)106を形成する。溝106のサイズは、典
型的には、上部の開口幅を80μm、ピッチを360μ
mとする。
【0050】溝106のパターンの形成後に、図3
(e)に示すように、基板103の上部からプラズマ溶
射を行い、DFR104の溝106の中に溶射膜(隔壁
材料)107を堆積させる。具体的には、プラズマ溶射
トーチ108には冷却ガスポート110が設置されてお
り、プラズマジェット109の溶射と同時に、冷却ガス
111を、基板103へ吹き付ける。この冷却ガス11
1には、窒素ガスを用いる。冷却ガス111の作用によ
り、溶射時の熱によるDFR104へのダメージが軽減
し、精度のよい隔壁形成が可能となる。また、この溶射
工程で、溶射膜107は、DFR104の溝106の内
部に主として堆積され、また、DFR104の表面から
上方に盛り上がるように堆積される。しかし、その周囲
のDFR104の上には、溶射膜はほとんど堆積(付
着)しない。
【0051】次に、図3(f)に示すように、DFR1
04の表面から飛び出した溶射膜107の部分を研磨に
よって除去して、DFR104の溝106の内部に堆積
された溶射膜107の表面を平坦化する。
【0052】次に、図3(g)に示すように、基板10
3を剥離液、例えば5%水酸化ナトリウム水溶液に約1
0分間浸すことによって、DFR104を剥離する。こ
れによって、ストライプ状の溶射膜107のパターンと
して、所定の形状の隔壁107が形成される。
【0053】以上の様に、プラズマ溶射法によって隔壁
を形成すれば、焼成工程が不必要となり、且つ焼成炉で
消費される電気エネルギーが不必要となるので、製造コ
ストを大幅に削減することが可能となる。
【0054】更に、以下には、本願発明者らによる検討
の結果として得られた本発明における溶射プロセスの特
徴や好ましい設定条件を、詳細に説明する。
【0055】隔壁材料としては、白色材料のみを使用す
る場合には、アルミナ(酸化アルミニウム)の粉末材料
を使用する。具体的には、例えば粒度分布が5μm以上
25μm以下であって純度99%の粉末材料を使用す
る。プラズマ溶射トーチを速度750mm/秒にて3m
mピッチで基板の全面上を動かして、この粉末材料を基
板の全面上に溶射する。この溶射操作を2回行うことに
よって、基板の全面に、DFRの厚さ120μmよりも
約50μm厚い溶射膜を形成する。また、溶射条件とし
ては、プラズマ作動ガスをAr及びHe(Arの供給
量:40リットル/分、Heの供給量:20リットル/
分)とし、プラズマ電流を800A、及び溶射距離を1
20mmとする。
【0056】(プラズマ溶射トーチの基板上での移動方
向)プラズマ溶射トーチの基板上での移動方向と基板上
のDFRのストライプ状の溝パターンの方向との関係
が、溶射膜の質及び成膜効率に及ぼす影響を説明する。
【0057】具体的には、図4(a)に示すように、プ
ラズマ溶射トーチ1104を基板上のDFR1103の
ストライプ状の溝パターンの方向に対して平行方向11
01に移動させる場合と直交方向1102に移動させる
場合との各々について、形成された溶射膜の断面を電子
顕微鏡(SEM)によって観察したところ、直交方向1
102に移動させる場合の方が、溶射膜がDFRの開口
部(溝)の内部に密に形成されており、また成膜効率
は、平行方向1101に移動させる場合に比べて直交方
向1102に移動させる場合の方が約1割高いことが確
認された。
【0058】プラズマディスプレイパネルでは、一般に
図4(b)に示すように、基板1105の長手方向とD
FRのストライプ状の溝パターン(ここでは、参照番号
1103で示す)の方向とが直交しているので、プラズ
マ溶射トーチをストライプ状の溝パターン1103に直
交する方向1102に移動させる方が、ストライプ状の
溝パターン1103に平行な方向1101に移動させる
よりも、基板1105の全面に対する溶射を短い時間で
完了することができる。これは、プラズマ溶射トーチの
折り返し箇所ではその移動速度が低下することから、折
り返し箇所が少ない方が、基板1105の全面に対する
溶射処理を短い時間で完了できるからである。
【0059】以上の点を考慮して、本発明では、好まし
くはプラズマ溶射トーチをDFRのストライプ状の溝パ
ターンに直交する方向に移動させて、基板全面に対する
溶射処理を行う。
【0060】(溶射粒子のDFRへの付着特性)溶射粒
子は、DFRの上には付着し難く、DFRの開口部
(溝)の内部のみに堆積する。これは、溶融した溶射粒
子が基板へくい込むアンカー効果によって溶射皮膜が基
板に密着する一方で、溶射粒子のDFRの様な有機材料
への衝突時には、溶射粒子はDFRをブラストしなが
ら、それ自身は弾かれるからである。
【0061】しかし、溶射粒子がプラズマジェットによ
って十分に加速されない条件、例えばプラズマ作動ガス
の量が最適値よりも少ない場合などには、最適条件時で
の溶射処理の実施時に比べて、溶射粒子がDFRの上に
付着し易くなる。これは、溶射材料がプラズマジェット
に投入される前に凝集しており、プラズマジェットの中
で十分に溶融せずに基板上へ到達するためと考えられ
る。このとき、凝集粒子の粒子径は数10μm〜数10
0μmに達しており、溶射粒子のDFRの上への付着が
一旦始まると、その付着粒子が核になって成長が始ま
る。
【0062】具体的には、図5に模式的に示すように、
基板900の上に形成されたDFR901の表面に、プ
ラズマ溶射トーチ904からのプラズマジェット905
によって溶射された粒子が付着粒子902として存在す
るとき、その一部がDFR901の開口部(溝)903
を覆うように存在すると、その部分での溶射粒子の開口
部(溝)903の内部への堆積が妨げられて、形成され
る隔壁の欠損を生じる。
【0063】そこで、上記のような問題点を克服するた
めに、図6に模式的に示すように、プラズマ溶射トーチ
904に付着粒子902を除去する機構907を取り付
ける。この機構907は、先端が鋭利なスキージ(材質
は例えばステンレス製)であって、基板900の上のD
FR901の表面に鋭利な先端が接触するように、プラ
ズマ溶射トーチ904に取り付けられている。なお、図
6では、DFR901の溝は省略している。
【0064】この機構907を、プラズマ溶射トーチ9
04の矢印908の方向への移動に連動して移動させる
ことによって、DFR901の表面に付着した粒子90
2が除去される。これによって、DFR901の表面へ
の付着粒子902による隔壁欠損の発生が抑制されて、
良質な隔壁の形成が可能になる。
【0065】(冷却ガスポート機構)プラズマ溶射で
は、プラズマジェットからの熱輻射を基板温度を上昇さ
せるために利用して、形成される溶射膜の膜質を向上さ
せることがある。また、基板の耐熱性が低い場合には、
例えばプラズマ溶射トーチの移動速度をできるだけ大き
くして、基板温度の局所的な上昇を妨げることがある。
しかし、基板がガラスであり、且つ耐熱性に極めて乏し
いDFRを溶射膜形成時のパターン作成に使用する場合
には、上記のような従来の手法だけでは、基板へのダメ
ージを避けることが困難である。
【0066】そこで、本発明では、基板がプラズマジェ
ットの熱を受けても、基板温度が著しく上昇する前に冷
却することによって、基板への熱ダメージを回避してい
る。具体的には、先に述べた様に、プラズマ溶射トーチ
に連動して移動する冷却ガスポート(冷却機構)を設置
し、プラズマジェットの溶射と同時に、冷却ガス(例え
ば窒素ガス)を基板へ吹き付けて、溶射工程中における
基板内の温度分布、例えば、基板の表面と裏面との間の
温度差や基板表面の溶射されている領域とその周囲との
間の温度差を、所定の範囲内に維持する。この冷却ガス
には、窒素ガスを用いる。冷却ガスの作用により、溶射
時の熱によるDFRへのダメージが軽減し、精度のよい
隔壁形成が可能となる。
【0067】プラズマ溶射トーチの基板上での位置にか
かわらず、冷却ガスによって一様に基板が冷却されるよ
うに、冷却ガスポート(冷却機構)は、プラズマ溶射ト
ーチに連動して移動するように設置している。また、基
板を高効率に冷却する一方で、成膜に影響を与えないよ
うにするために、冷却ガスが溶射パターンの外周付近に
当たるように、冷却ガスポート(冷却機構)の設置位置
や方向を設定する。
【0068】(基板の割れ対策)プラズマジェットによ
る基板の急激な温度上昇を避けるためには、上記のよう
な冷却ガスポート(冷却機構)の設置が効果的である。
しかし、基板が大型化するに従って基板内での温度分布
が大きくなると、プラズマ溶射トーチの通過後に基板の
割れが発生することがある。これは、プラズマ溶射トー
チの通過後に基板温度が急激に低下するためであると考
えられ、冷却ガスポート(冷却機構)の設置では対応で
きない。
【0069】上記の問題を克服するためには、図7に模
式的に示すように、基板を裏面から加熱保温する加熱保
温機構を設置する。具体的には、基板1201をプレー
ト1202の上に載置し、固定ジグ1203によって固
定する。プレート1202の下には、ヒータ1214に
接続された加熱板1204を置き、これによって基板1
201を加熱及び保温する。加熱板1204を直接にス
テージ1215の上に設置しても良いが、断熱板120
5を介してステージ1215の上に設置すれば、加熱保
温効率が向上する。
【0070】具体的には、上記の機構を利用して、溶射
プロセスの開始直前に基板温度が60℃〜80℃になる
ように基板1201を加熱し、更にプラズマ溶射トーチ
1206(プラズマ溶射トーチ1206の構成は既に説
明済みであるので、ここでは簡略化して描いている)か
らのプラズマジェット1207による溶射工程中には、
基板1201の温度分布、例えば、基板1201の表面
と裏面との間の温度差や基板1201の表面における溶
射されている領域とその周囲との間の温度差が所定の範
囲内に維持されるように、加熱保温する。これによっ
て、サイズが1000mm×600mmという比較的大
型のガラス基板に対しても、割れを発生させることな
く、溶射プロセスによる隔壁を形成することが可能にな
る。
【0071】なお、上記のような基板裏面からの加熱保
温機構は、先に説明した基板表面に対する冷却機構(冷
却ガスポート)と、併用することが可能である。
【0072】(最適粒子径)隔壁形成における溶射粉末
の最適粒子径に関して本願発明者らが行った検討結果
を、以下に説明する。
【0073】一般的な溶射プロセスにおいて、平坦な基
板の上に溶射膜を形成する場合には、溶射される粉末粒
子の径が大きい方が、成膜速度が大きくなる。これは、
溶射粉末粒子の径が大きい方がその運動量が大きく、プ
ラズマジェットの中心軸方向に効率的に投入されるため
に、溶射時の粒子速度及び温度が十分に高められるから
である。しかし、本発明のように、基板上に形成された
DFRのストライプ状開口部(溝)の内部に溶射粒子を
入り込ませて堆積させる場合には、DFRの開口部
(溝)の上部の幅Waよりも小さい粒子径を有する粉末
しか、その内部に入り込むことができない。従って、D
FRの開口部(溝)の内部にプラズマ溶射粒子を効率的
に入り込ませて堆積させるためには、溶射粉末の一次粒
子径Dに適切な範囲が存在する。
【0074】図8は、溶射材料の粉末粒子の一次粒子径
Dの一般的な分布例である。横軸に粒子径Dを対数表示
すると、その個数分布はガウス分布をなす。このとき、
粒子径の最大値Dmaxが、DFRの開口部(溝)の上
部の幅Wa(図11を参照)に対して0.7・Waを越
えると、DFRの開口部(溝)の内部に溶射粒子が効率
的に入らなくなる。一方、粒子径の最小値Dminが5
μm以下の場合には、溶射粉末の運動量が減少してプラ
ズマジェットの中に効率的に投入されなくなって、成膜
効率が低下する。
【0075】従って、溶射材料の粉末粒子の一次粒子径
Dは、5μm以上で、且つDFRの開口部(溝)の上部
の幅Waに対して0.7・Wa以下であることが望まし
い。
【0076】(研磨工程)次に、DFRの表面から飛び
出した溶射膜の部分を除去して、DFRの溝の内部に堆
積された溶射膜の表面を平坦化するための研磨工程につ
いて、以下に説明する。
【0077】好ましくは、研磨工程は湿式研磨とする。
具体的には、まず所定の粗さを有する研磨紙(例えば、
JIS規格で100番の研磨紙)を使用して、DFRの
表面から飛び出した溶射膜の部分を削り取る。その後
に、より細かい研磨紙(例えば、JIS規格で400番
の研磨紙)でDFRの表面を研磨して、DFRの溝内部
に存在する溶射膜の上面(形成される隔壁の上面に相当
する)の表面粗さを、小さくする。プラズマディスプレ
イパネルの隔壁の表面粗さが大きいと、隔壁を挟んで隣
接するセルからの放電が漏れてきて、誤表示の原因とな
る。このような原因に伴う誤表示を防止するためには、
隔壁上面の表面粗さRzが±3μmの範囲にまで小さく
なるように、研磨(平坦化)処理を行う必要がある。
【0078】図9には、典型的な研磨工程を模式的に示
す。DFR1305の開口部(溝)1306の中に溶射
膜1307が堆積された状態の基板(ここでは、参照番
号1301で総称的に示している)の表面を、DFR1
305の開口部1306の幅及びピッチよりも十分に大
きい直径20mm〜30mmのパッド1302に取り付
けた研磨紙によって、研磨する。研磨時には、パッド1
302は矢印Aの方向に回転しながら矢印Bの方向に移
動して、基板1301の表面(より具体的にはDFR1
305及び溶射膜1307の表面)を研磨していく。こ
のとき、研磨紙は、空気圧によって外側に若干膨らむよ
うに、パッド1302に取り付けられている。
【0079】このような構成による研磨によって、基板
1301の大きなうねりが吸収されて、基板1301に
沿って確実な研磨が実施される。
【0080】(DFR残さの処理)DFRの開口部
(溝)の内部に溶射膜を堆積した後にDFRを剥離する
工程で、DFRが全て剥離されず、数mmの長さに切断
された状態のDFRが隔壁間に残さとして残存すること
がある。この現象を更に詳細に検討したところ、当初は
図10(a)に示すように台形状であったDFR104
の溝106が、溶射プロセスの間にその上部が削られて
幅が広がる結果、図10(b)に模式的に示すように、
中間部分がくびれて幅が細くなった形状を有するように
なることが確認された。このため、DFR104の剥離
時に、溝106の内部に堆積されている溶射膜(隔壁)
107の頂部近傍に、剥離時に膨潤したDFR104が
引っかかって、その一部が切れて隔壁間に残さとして残
存する。
【0081】このような現象を防ぐためには、DFR1
04の剥離工程の実施に先立って、DFR104のうち
の表面から溝106の幅が最も狭くなっている位置に相
当する深さ(図10(b)の点線a)までの部分を、研
磨によって削って除去する。このようにすることによっ
て、図10(c)に模式的に示すように、DFR104
の溝106及びその中に堆積されている溶射膜(隔壁)
107は再び台形状になって、DFR104の剥離時に
おける上述の問題点の発生が抑制される。
【0082】なお、上記の研磨工程は、図9を参照して
先に説明したようなDFR表面(隔壁上面)の平坦化の
ための研磨工程の一部として実施すればよい。また、具
体的に必要になる研磨量(DFRの削除深さ、すなわ
ち、図10(b)の点線aの表面からの深さ)は、典型
的には約10μmである。
【0083】剥離時のDFR残さの発生を防ぐ目的で、
上記のようにDFR104の一部を研磨によって除去す
る工程を実施するためには、DFR104の積層厚さ
を、必要な隔壁高さよりも、少なくとも研磨で除去され
る深さに相当する分だけあらかじめ厚く形成しておく必
要がある。
【0084】(DFRの溝形状の最適化)DFRの溝形
状のパターニングの際に、露光量を変えることでDFR
の断面形状を変化させることができる。図11は、DF
R104の断面形状を模式的に示す図である。以下で
は、図11及び図12〜図14の実験データを参照しな
がら、DFR104に所定パターンの開口溝106を形
成する条件を検討する。なお、DFR104の溝106
の作成のためのフォトマスクは、ライン部の幅Lとスペ
ース部の幅Sとの比をL/S=70μm/290μmと
する。
【0085】図12は、DFR104の厚さが100μ
mの場合に、DFR104に照射した露光量とDFR1
04に形成された溝106の上部幅Wa及び下部幅Wb
との関係を示したものである。具体的には、現像量は全
て一定として露光量のみを様々に変化させて、図3
(a)〜図3(g)を参照して説明した製造プロセスに
従って隔壁を形成し、その特性を評価した。
【0086】これより、露光量が減少すると、溝106
の上部幅Wa及び底部幅Wbが共に広くなる。また、そ
の幅の広がる割合は、WaよりもWbの方が大きい。こ
のため、溝106の底角θ(隔壁の底角θとも称する)
は、図13に示すように、露光量の減少とともに小さく
なる。
【0087】一方、図14には、DFR104の底角θ
と隔壁の完成度との関係を示す。ここで、隔壁の完成度
とは、形成された隔壁に欠陥が全くない場合を1、隔壁
が基板から剥離した場合を0として、形成された隔壁に
おける欠陥の状態を相対的に評価したパラメータであ
る。このとき、DFR104の溝106は、上記のよう
にピッチ360μm且つパターン幅70μmのフォトマ
スクを用いて露光・現像して作成した。
【0088】図14より、隔壁の形成に際して、底角θ
が86度以下であるときに、完成度が1となる。但し、
実際には、底角θが86度よりも大きくても、90度未
満であれば、実用上の問題は発生しない。
【0089】このように、隔壁の完成度が底角θに依存
する理由を、以下に検討する。
【0090】プラズマ溶射法によって堆積された隔壁材
料は、DFRの開口部(溝)の内部に隙間なく埋め込ま
れる。DFRは、剥離の際に上方及び横方向に膨潤し、
それに伴って溝の内部の溶射膜(隔壁)を縦及び横方向
へ押す。このとき、隔壁の底角θが大きくなるほど、D
FRの膨潤によって隔壁を横方向に押す力が大きくな
り、最終的には隔壁を押し倒す。
【0091】また、隔壁の強度は隔壁の幅に比例して大
きくなるが、隔壁の幅が大きくなると、隔壁の底角θも
大きくなる。従って、隔壁の幅が大きくなると隔壁の底
角θは90度に近づき、一方、隔壁の幅が小さくなると
隔壁の底角θは小さくなる。例えば、図11におけるD
FR104の厚さH=100μm、及び溝106の上部
幅Wa=30μmである場合には、十分な機械的な強度
を確保し、DFR104の剥離を容易にするためには、
下部幅Wb=80μmまで広くする必要があり、そのと
きの隔壁の底角θは76度になる。
【0092】隔壁の底角θを小さくしていくと、プラズ
マ溶射をしてもDFR104の溝106の底部に溶射粒
子が密に入り込まない。これは、溶射粒子が一般に直進
してくることから、台形型をしたDFR104の溝10
6の底部が、溶射粒子に対する死角になるからである。
隔壁の底角θが小さいと、DFR104の溝106の底
部の両端における溶射膜(隔壁)の膜質が疎になって、
溶射膜(隔壁)の付着強度が劣化する。このような原因
に伴う溶射膜(隔壁)の付着強度の劣化を抑制するため
には、隔壁の底角θが60度以上であることが好まし
い。
【0093】なお、以上では露光量を調整して隔壁の底
角θを変化させているが、その代わりに、現像量を変化
させることによっても同様の効果を得ることができる。
【0094】以上のような、溶射法によって形成される
隔壁の完成度が、形成時に溶射材料を埋め込むために使
用されるDFRの溝形状に依存するという現象は、例え
ばDC型プラズマディスプレイパネルのカソード電極を
溶射法によって形成する際には、同様な現象は問題にな
らない。この理由を、以下に考察する。
【0095】第1に、DC型プラズマディスプレイパネ
ルのカソード電極では、溶射法によって形成されるパタ
ーン断面のアスペクト比は一般に0.3〜0.4である
のに対して、本発明に従って溶射法によって形成される
隔壁では、その断面のアスペクト比は一般に1.2〜
3.0と大きい。このことは、本発明で溶射法によって
形成される溶射膜(隔壁)の重心が、カソード電極の重
心に比べて高い位置に存在しており、そのために、DF
R剥離時のDFRの膨潤に伴う圧力印加に対して、形成
された溶射膜(隔壁)の機械的抵抗力が弱いことを意味
している。
【0096】第2に、DC型プラズマディスプレイパネ
ルのカソード電極を溶射法によって形成する際の溶射材
料は、一般に金属アルミニウム(融点:660℃)など
の低融点材料であるので、溶射膜の内部における溶射粒
子同士の付着力が強く、また、基板に対しても良く密着
する。更に、このような低融点の溶射材料が十分に溶融
されるような溶射条件では、溶射時にプラズマジェット
が基板に与える熱的な影響は小さい。これに対して、本
発明に従って隔壁を溶射法によって形成する際の溶射材
料は、一般に酸化物である。例えば、アルミナの融点は
2010℃と高く、これが十分に溶融されるような溶射
条件では、溶射時にプラズマジェットが基板に与える熱
的な影響が非常に大きくなる。そのために、酸化物の溶
射時に好ましいとされる一般的な溶射条件に比べて、本
発明の隔壁形成時の溶射プロセスでは、発生熱量が小さ
くなるような条件にしなければならない。これに加え
て、溶射材料が酸化物であることから、溶射膜の内部に
おける溶射粒子同士の付着力、及び基板に対する密着力
が大きくない。
【0097】以上のような原因により、DC型プラズマ
ディスプレイパネルのカソード電極を溶射法によって形
成する場合に比べて、本発明に従って隔壁を溶射法によ
って形成する場合には、安定したDFR剥離を行うため
に、DFRの溝形状を、剥離を容易にする形状に形成す
ることが好ましい。
【0098】(溶射材料の選択)プラズマ溶射法で隔壁
を形成する場合には、印刷法におけるペーストの様な混
合物からなる隔壁とは異なって、ほぼ100%が所期の
隔壁材料から形成される。このために、プラズマ溶射法
で形成した隔壁では、例えばペースト中の有機バインダ
が焼成後に残留カーボンとして残存するような従来技術
での問題点が発生せず、放電の安定性に対して有効であ
る。
【0099】また、本実施形態における酸化アルミニウ
ムのような、反射率の高い白色材料で隔壁を形成する
と、隔壁側面の蛍光体材料からの可視光の利用効率が向
上する。具体的には、隔壁が全て黒色材料で形成され
て、隔壁側面が全て黒色であるときに比べて、輝度が
1.2倍になることが確認された。
【0100】但し、隔壁を白色材料で形成すると、上記
のようなプラズマディスプレイパネルの輝度の向上が図
れる一方で、黒色表示時に十分な黒色が表示されずに、
表示のコントラストが劣化することがある。このような
問題を回避するためには、隔壁の頂部近傍のみを黒色材
料で形成すればよい。
【0101】具体的には、DFRの厚さを120μmと
し、ピッチが360μmで幅が70μmであるフォトマ
スクパターンを使用して、DFRに溝形状を形成する際
に、まずDFRの溝内部に、白色材料として粒度分布が
5μm〜25μmである酸化アルミニウム(Al23
を、厚さ約90μmに溶射によって堆積する。次に、そ
の上に、粒度分布が5μm〜30μmであるAl23
13%TiO2の混合材料を、溶射膜の最表面がDFR
表面から約50μmだけ高くなるように、溶射によって
堆積させる。その後に、これまでに説明したように、D
FR表面よりも突出している溶射膜部分と、表面から約
10μmの深さまでのDFRとを、研磨によって削り取
った後に、DFRを剥離する。
【0102】このようなプロセスによれば、底部から9
0μmの高さまでは白色材料から形成され、その上に厚
さ20μmの黒色材料部分が存在する2層構造の隔壁
が、形成される。この2層構造の隔壁を使用することに
よって、輝度及びコントラストの双方に関して優れた特
性を呈するプラズマディスプレイパネルが形成される。
【0103】なお、隔壁の高さや形成時に使用されるフ
ォトマスクのパターン形状は、上記で言及した特定のも
のに限定されるわけではなく、これらを任意に変えても
同様な効果を得ることができる。
【0104】また、白色材料としては、上記の酸化アル
ミニウムに代えて、他の材料(例えば、スピネル)を使
用することが可能である。また、黒色材料としては、他
の材料(例えば、酸化クロム或いは酸化チタンの単体)
を用いても、同様の効果を得ることができる。また、酸
化アルミニウムと酸化チタンとの混合物を使用する際に
は、これらが溶融状態にあってもよい。
【0105】上記のような2層構造の隔壁をペーストを
用いた焼成法で形成するためには、焼成温度の制御が必
要であるが、本発明のプラズマ溶射法では、焼成工程自
体が必要なく、簡易なプロセスで実施することが可能で
ある。
【0106】更に、2層或いは多層構造の隔壁における
色の配置は、必ずしも上記で説明した例に限られるわけ
ではなく、本発明の溶射プロセスによれば、適切な隔壁
材料の選択によって任意の色配置が可能である。
【0107】なお、焼成法で使用されるペースト内には
通常は鉛成分が含まれるが、溶射法を用いれば、鉛成分
を全く含まない材料によって隔壁を形成することができ
る。従って、溶射法は、隔壁形成に伴う鉛公害を阻止す
るために有効な工法である。
【0108】更に、本願発明者らによる検討では、隔壁
の構成材料として使用される酸化アルミニウムの白色性
が、溶射時のプラズマエネルギー量によって変化するこ
とが確認された。
【0109】プラズマエネルギー量は、プラズマ作動ガ
スとしてのアルゴンに対するヘリウム添加量を調節する
ことによって、変化させることができる。具体的には、
アルゴン供給量を40リットル/分で一定として、これ
に対するヘリウム添加量を増加させると、得られる酸化
アルミニウムの溶射皮膜の色が、灰色がかった色へ変化
する。一方、基板と隔壁との間の密着強度は、ヘリウム
添加量が20リットル/分のとき最大となる。この実験
結果に基づいて、図15に示す形状を有する隔壁を、プ
ラズマ溶射法によって以下のようにして形成した。
【0110】隔壁の底部には、アルゴンの供給量を40
リットル/分及びヘリウムの供給量を20リットル/分
として、酸化アルミニウムからなる第1の溶射被膜80
0を、厚さ約20μm形成する。これによって、基板1
00の上にアドレス電極101を覆うように形成された
下地層102に対して、十分な密着力が確保される。
【0111】次に、プラズマ作動ガスをアルゴンのみと
し、その供給量を40リットル/分として、酸化アルミ
ニウムからなる第2の溶射皮膜801を厚さ約80μm
形成する。これによって、側面が白色である隔壁が形成
される。
【0112】更に、その上にAl23−13%TiO2
の混合材料を溶射して、第3の溶射被膜802を形成す
る。但し、この時点では、第3の溶射被膜802は、そ
の最表面が周囲のDFRの表面(不図示)から約50μ
m高くなるように、形成する。
【0113】その後に、既に説明した湿式研磨法によっ
て、DFR表面よりも突出している溶射膜部分と、表面
から約10μmの深さまでのDFRとを削り取り、更に
DFRを剥離する。これによって、図15に示すような
構成を有し、頂部が黒色で側部が白色であり、且つ基板
に対して十分な密着力を有する隔壁が形成される。
【0114】なお、プラズマエネルギー量は、プラズマ
電流の変化によっても調節することが可能である。
【0115】(隔壁の欠陥の修正方法)以上に説明した
ように溶射法で形成した隔壁に、何らかの原因で欠損が
存在している場合には、図16(a)〜(d)を参照し
て以下に説明するようにして、その欠損箇所を修正する
ことが可能である。
【0116】図16(a)に示すように、基板103の
上の隔壁107の一部に欠損部1352が存在すると
き、その欠損部1352にペースト1351を滴下す
る。このペースト1351としては、後に実施する蛍光
体焼成工程で硬化するペースト材料を選択することが好
ましく、例えば、その焼成温度が、後に実施する蛍光体
焼成工程での焼成温度と同じであるようなペースト材料
を使用する。
【0117】次に、常温で乾燥させることによって、図
16(b)に示すように、隔壁107の欠損部1352
が滴下されたペースト1354で充填される。
【0118】この後に、図16(c)に示すように蛍光
体層1359を、例えば印刷法やラインジェット法によ
って形成する。その後に蛍光体層1359を、例えば焼
成温度540度で焼成する。この焼成工程では、隔壁1
07の欠損部1352を充填するペースト1354も同
時に焼成され、これによって、図16(d)に模式的に
示すように、隔壁107の欠損が修正される。
【0119】以上の説明では、プラズマディスプレイパ
ネルにおける隔壁のみを溶射法(プラズマ溶射法)によ
って形成しているが、これに加えてアドレス電極及び隔
壁の下地層も溶射法で形成することが可能である。この
ようなプロセスを、図17(a)〜図17(d)を参照
して以下に説明する。
【0120】まず、図17(a)に示すように、基板1
00の上に所定の厚さ(例えば20μm)のDFR14
02を形成し、露光及び現像工程によって所定の溝パタ
ーン(例えば開口幅80μm)を形成する。
【0121】次に、図17(b)に示すように、溶射ト
ーチ1405から金属材料1403を溶射し、DFR1
402の溝パターンの中に堆積させることによって、ア
ドレス電極101を形成する。金属材料1403として
は、例えば平均粒径10μmのアルミニウム粉末を使用
し、プラズマ作動ガスをアルゴン(供給量10リットル
/分)として、プラズマ電流を500Aとする。
【0122】ここで、金属材料1403の溶射時に使用
される溶射トーチ1405では、金属粉末(溶射材料)
供給部が溶射トーチ1405の外側に設置されることが
好ましい。これは、金属材料の融点が低いことから、金
属粉末(溶射材料)供給部が溶射トーチの内部に設置さ
れていると、金属材料が溶射トーチ1405の内壁(例
えば供給部の内壁)に付着するスピッティング現象が生
じて、良好な溶射プロセスが実施できないからである。
【0123】次に、DFRを、例えば液温40℃のアミ
ン系有機アルカリ液を剥離液として使用して剥離し、図
17(c)のように、基板100の上にアドレス電極
(金属電極)101のみを残存させる。
【0124】続いて、溶射トーチ1408から絶縁材料
1406を溶射して、アドレス電極(金属電極)101
を覆う下地誘電体層1407を基板100の上に形成す
る。絶縁材料1406としては、例えば径度分布5μm
〜15μmのアルミナ粉末を使用し、下地誘電体層14
07は例えば30μmとする。なお、絶縁材料1406
の溶射時に使用される溶射トーチ1408では、高融点
の絶縁材料1406が十分に溶融されるように、溶射材
料供給部が溶射トーチ1408の内部に設置されること
が好ましい。
【0125】なお、上記では、溶射プロセスのみによっ
て所定の厚さの下地誘電体層1407を形成している
が、その代わりに、溶射によって形成された下地誘電体
層1407の表面を研磨して、その厚さを調節すること
も可能である。
【0126】上記のようにして溶射法によってアドレス
電極101及び下地誘電体膜1407を形成した後に
は、先に図3(b)〜図3(g)を参照して説明したプ
ロセスによって、所定の形状の隔壁を溶射プロセスによ
って形成する。
【0127】隔壁とその下地の誘電体層とを同じ材料で
形成すれば、両者の間の密着性が向上する。更に、アド
レス電極、下地誘電体層、及び隔壁を何れも溶射法によ
って形成すれば、これらの形成時に焼成工程が一切不要
になり、大量の電気エネルギーを消費する焼成炉の使用
が不要になるので、消費エネルギー、製造コスト、及び
製造時間の削減が可能になる。また、焼成時に必要なペ
ースト材料とは異なって、鉛成分を含まない溶射材料に
よってアドレス電極、下地誘電体層、及び隔壁を形成で
きるので、環境との適合性に優れた隔壁の製造工程が実
現される。
【0128】図18は、本発明に従って形成された隔壁
を有するプラズマディスプレイパネルの連続点灯時にお
ける放電電圧の経時変化を示す図である。このように、
本発明に従って形成された隔壁を有するプラズマディス
プレイパネルでは、連続点灯時において、安定した放電
電圧が長期間に渡って得られる。
【0129】なお、以上の説明では、感光性被覆層を感
光性ドライフィルムレジスト(DFR)としているが、
これに代えて他の材料を使用することも可能である。例
えば、感光性ドライフィルムレジスト(DFR)の代わ
りに、感光性の液状材料をスピナーを用いて塗布するこ
とによって感光性被覆層を形成することも可能である。
【0130】また、上記の説明では、溶射法としてプラ
ズマ溶射法を例にとって本発明の実施形態を説明してい
るが、同様な溶射工程が実施可能な他の溶射プロセスを
代わりに使用しても、上記で説明したものと同様の効果
を得ることができる。
【0131】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、プラズマ
ディスプレイパネルにおける隔壁を溶射法によって形成
することによって、隔壁を焼成工程を用いずに形成する
ことができる。更に、大面積で且つ欠陥のない隔壁を形
成することができるので、低コストで高品位なプラズマ
ディスプレイパネルを実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマディスプレイパネルの構成を模式的に
示す図である。
【図2】プラズマ溶射装置の構成を模式的に示す図であ
る。
【図3】(a)〜(g)は、本発明における溶射法を使
用した隔壁形成プロセスの各工程を説明する断面図であ
る。
【図4】(a)は、プラズマ溶射トーチの移動方向と基
板上のドライフィルムレジスト(DFR)のストライプ
状の溝パターンの方向との関係を説明する図であって、
(b)は、プラズマディスプレイパネルにおける基板の
長手方向とDFRのストライプ状の溝パターンの方向と
の関係を説明する図である。
【図5】DFR表面に溶射粒子が付着している様子を模
式的に示す図である。
【図6】DFR表面に付着した溶射粒子を除去する機構
を模式的に示す図である。
【図7】基板を裏面から加熱保温する機構を模式的に示
す図である。
【図8】溶射材料の粉末粒子の一次粒子径Dの一般的な
分布例を示す図である。
【図9】本発明のプロセスで実施される湿式研磨工程を
模式的に説明する図である。
【図10】(a)〜(c)は、溶射に伴うDFRの溝形
状の変化を補正してDFRの剥離残さの発生を抑制する
プロセスを模式的に説明する図である。
【図11】DFRの典型的な溝形状を示す断面図であ
る。
【図12】DFRの露光量とDFRに形成された溝の上
部幅Wa及び下部幅Wbとの関係を示す図である。
【図13】DFRの露光量と形成される隔壁の底角θと
の関係を示す図である。
【図14】形成される隔壁の底角θと隔壁の完成度との
関係を示す図である。
【図15】多層構造を有する隔壁の構成を模式的に示す
断面図である。
【図16】(a)〜(d)は、溶射法によって形成され
た隔壁の欠損を修正するプロセスの各工程を模式的に説
明する図である。
【図17】(a)〜(d)は、アドレス電極及び下地誘
電体膜を溶射法によって形成するプロセスの各工程を模
式的に説明する図である。
【図18】本発明に従って形成された隔壁を有するプラ
ズマディスプレイパネルの連続点灯時における放電電圧
の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
100 ガラス基板 101 アドレス電極 102 下地層 103 基板 104 感光性被覆層(DFR) 105 フォトマスク 106 溝(開口部) 107 溶射膜(隔壁材料) 108 プラズマ溶射トーチ 109 プラズマジェット 110 冷却ガスポート 111 冷却ガス 200 プラズマ溶射トーチ 201 陰極 202 陽極 203 直流電源 204 アーク放電 205 ガスポート 206 プラズマ作動ガス 207 プラズマジェット 208 ノズル 209 溶射材料 210 供給ポート 212 感光性被覆層 211 基板 213 溶射膜 214 冷却ガスポート 300 前面基板 301 背面基板 302、303 表示電極 304 誘電体層 305 誘電体保護層 306 アドレス電極 307 誘電体層 308 隔壁 309 蛍光体層 310 放電ガス 800 第1の溶射被膜 801 第2の溶射被膜 802 第3の溶射被膜 900 基板 901 DFR 902 付着粒子 903 溝(開口部) 904 プラズマ溶射トーチ 905 プラズマジェット 907 除去機構 1103 DFR(DFRの溝パターン) 1104 プラズマ溶射トーチ 1105 基板 1201 基板 1202 プレート 1203 固定ジグ 1204 加熱板 1205 断熱板 1206 プラズマ溶射トーチ 1207 プラズマジェット 1214 ヒータ 1215 ステージ 1301 基板 1302 パッド 1305 DFR 1306 溝(開口部) 1307 溶射膜 1351 ペースト 1352 隔壁の欠損部 1354 滴下されたペースト 1359 蛍光体層 1402 DFR 1403 金属材料 1405 溶射トーチ 1406 絶縁材料 1407 下地誘電体層 1408 溶射トーチ
フロントページの続き (72)発明者 青木 正樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−150830(JP,A) 特開 平2−242548(JP,A) 特開 平3−127429(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/02 H01J 11/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放電空間を規定する隔壁を、隔壁材料の
    溶射によって形成された溶射膜から構成する隔壁形成工
    程を包含する、プラズマディスプレイパネルの製造方法
    であって、 前記隔壁形成工程は、 基板の上に感光性被覆層を形成する工程と、 該感光性被覆層に開口部の断面形状が頂部よりも底部が
    広い台形状である所定パターンの開口部を形成する工程
    と、 少なくとも該開口部の内部に、溶射法によって前記隔壁
    材料を所定の高さまで堆積させて、前記溶射膜を形成す
    る工程と、 該感光性被覆層の表面よりも突出している該溶射膜の部
    分を研磨によって削り取る研磨工程と、 該感光性被覆層を除去し、所定の形状の前記隔壁を得る
    工程と、 を含むプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  2. 【請求項2】 放電空間を規定する隔壁を、隔壁材料の
    溶射によって形成された溶射膜から構成する隔壁形成工
    程を包含する、プラズマディスプレイパネルの製造方法
    であって、 前記隔壁形成工程は、 基板の上に感光性被覆層を形成する工程と、 該感光性被覆層に開口部の断面形状が頂部よりも底部が
    広い台形状である所定パターンの開口部を形成する工程
    と、 少なくとも該開口部の内部に、溶射法によって前記隔壁
    材料を所定の高さまで堆積させて、前記溶射膜を形成す
    る工程と、 該感光性被覆層のうちの表面から前記開口部の幅が最も
    狭くなっている位置に相当する深さまで該感光性被覆層
    および溶射膜の部分を研磨によって削り取る研磨工程
    と、 該感光性被覆層を除去し、所定の形状の前記隔壁を得る
    工程と、 を含むプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記溶射がプラズマ溶射である、請求項
    またはに記載のプラズマディスプレイパネルの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記感光性被覆層に形成された前記所定
    パターンの開口部が、頂部よりも底部が広い台形状の断
    面形状を有しており、且つ、該断面形状の底角が60度
    以上且つ90度未満である、請求項またはに記載の
    プラズマディスプレイパネルの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記感光性被覆層に形成された前記所定
    パターンの開口部の前記頂部の幅が、100μm以下で
    ある、請求項1,2,4の何れかに記載のプラズマディ
    スプレイパネルの製造方法。
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