JP3236459U - 温室効果ガス抑制支援型水稲生産用資材 - Google Patents

温室効果ガス抑制支援型水稲生産用資材 Download PDF

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Abstract

【課題】畜糞処理と水稲生産の過程で排出される、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素といった温室効果ガスを、農業の生産性や経営の効率性を低下させることなく抑制する水稲生産用資材を提供する。【解決手段】田植え後の水田に水稲収穫後残渣とともに流し込み、田面上で微生物の活動を制御しつつ有機物を発酵、分解させることによって、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素といった温室効果ガスの排出を抑制する、湾曲した楕円柱の形状を有する水稲生産用資材110、120、130、210、220、230であって、畜糞処理の過程で排出される温室効果ガスを削減するため、未発酵状態の畜糞を主たる原料とし、さらに動植物繊維を副原料に加え、乾燥後は嵩比重1以下となって水面に浮揚するよう製造された。【選択図】図2

Description

本考案は、畜糞処理と水稲生産から排出される、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素といった温室効果ガスを抑制するため、ガス発生の原因となる微生物の活動を人為的に制御できるよう、水稲栽培期間中は微生物のエネルギー源となる有機物を田面上に配置し、収穫時期までに分解されなかった難分解性有機物は土中にすき込むことによって炭素を貯留する、未発酵状態の畜糞を主たる原料に、浮力と緩効性肥料成分を有し、湾曲した楕円柱の形状を特徴とする水稲生産用資材に関するものである。
畜糞堆肥等の有機物は、ペレット化等の圧縮・加工技術によって軽量化と同時に取扱性の向上が進み、畜産地帯から遠方の耕種地帯へと広域流通させることも可能になり、温室効果ガス抑制という目的はないが、原料選択や脱水方法の工夫によって応用範囲をさらに広げた技術として、技術文献1~技術文献3が開示されている。
ちなみに特許文献1には、畜糞や汚泥といった含水分量が高い未発酵の有機物をペレット化する過程で、原料を空気に触れさせ内部にまで酸素が侵入するようにし、成形後に微生物により好気発酵させ堆肥化する技術が開示されている。
また特許文献2には、家畜家禽等の堆肥を単独で、もしくは食品加工物残渣との混合物として圧縮ペレット化したものを、130℃~180℃に加熱した廃天ぷら油や廃エンジンオイルの中で脱水することによって、化石燃料の代替品となる炭燃料を製造する技術が開示されている。
そして特許文献3には、紙、布、不織布、竹、木の薄片、鉋くず、枝葉、枯草等を原料に薄片状又は細片状の浮遊物を製造し、水田内に流し込んで遮光することで雑草や藻の発生を抑止するとともに、原料内に農薬等を封入又は含浸することで有害生物等を制御除去する技術が開示されている。
温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素に関しては、農業はその排出源であり吸収源でもあって、その削減について非特許文献1では、バイオ炭による炭素隔離が有効であるとし、堆肥化についてはメタンの削減効果についてのみ触れているが、難分解性有機物が主体となった堆肥であれば、バイオ炭同様の効果が期待できるとともに、堆肥から発生した二酸化炭素を作物に吸収させることで、炭素を固定することもできる。
バイオ炭に関しては、特許文献4に、生物体廃棄物や家畜家禽糞、ならびに下水汚泥等に対し、低酸素状態の熱風炉で薫留乾燥を行い「生物薫肥」および「生物酢液」を製造するシステムが開示されているが、「生物薫肥」、例えば、もみ殻クン炭を水田内に大量に施用した場合、土壌pHが上昇し、酸性土壌を好む水稲の生育に悪影響が及ぶ。
二酸化炭素施肥に関しては、既にトマトやイチゴ等の施設園芸で実用化されており、特許文献5には、有機物を発酵させて生成したバイオガスと内燃機関から発生する排ガスから二酸化炭素を回収し、閉鎖系の植物栽培施設に供給する装置が開示されているが、同様の技術を開放系の露地栽培で実用化することは困難である。
なお、開放系実験圃場で実施した水稲収量試験に関する非特許文献2では、将来的な二酸化炭素濃度の上昇によって、複数の水稲品種の平均値として、13%の増収効果を確認したと報告されている。
メタンに関しては、地球温暖化係数が二酸化炭素の25倍で、稲作、畜産からの排出割合が高いとされており、その削減について非特許文献1は、SRI農法における中干しと間断灌漑が効果的であるとし、非特許文献3では、中干しや間断潅漑による水管理とともに、稲わらの堆肥化や非湛水期間における分解を促進する有機物管理、そして肥料または資材の使用と土壌改良が重要であるとしている。
そして非特許文献4には、慣行栽培で実施されているよりも1週間、中干し実施期間を延長することによって、実証試験に参画した地域の平均値として、約30%メタンの発生量が削減されたと報告されているが、山形県(鶴岡市)では、中干しを1週間前進延長した結果、メタンが37%削減されたものの、収量は13%減ったとされる。
一酸化二窒素に関しては、地球温暖化係数が298倍と高く、農業においては過剰な窒素施肥が原因とされているが、その削減について非特許文献1は、作物の窒素利用効率を向上させるために適正な時期と適正な場所への施肥が重要であり、ポリマー被覆肥料の有効性が述べられており、非特許文献3では、最適な窒素施肥量と分施・局所施肥、適切な有機物施用等、施用方法の改善設計を基礎とした技術が重要であるとしている。
そして特許文献6には、速効性肥料と緩効性肥料を適切に組合せ、次年度の田植えから遡り6ヶ月~7ヶ月前に全肥料を施用することで、作業負担を軽減する技術が開示されおり、速効性窒素肥料により収穫後残渣の分解が早まり次作時のメタン発生が抑えられるとともに、緩効性窒素肥料の施用により一酸化二窒素の発生も抑えられるという、温室効果ガス抑制技術としても評価できるが、生産コストの上昇、さらには緩効性肥料の被膜殻が河川や海洋等に流出するという問題がある。
特開2006-342009号公報 特開2009-011998号公報 特開2009-045556号公報 特開2012-096219号公報 特開2016-131920号公報 特開2003-125622号公報
Paul Hawken「Drawdown: The Most Comprehensive Plan Ever Proposed to Reverse Global Warming」Penguin Books、2017年4月 長谷川 利拡 他「つくばみらいFACE実験によるイネの高CO2応答の検証」光合成研究、23巻1号、2013年4月、pp.18~23 八木 一行「農耕地からのメタン・一酸化二窒素の排出はどこまで明らかになったか」日本LCA学会誌、7巻1号、2011年1月、pp.2~10 (独)農業環境技術研究所「水田メタン発生抑制のための新たな水管理技術マニュアル」[online]、2013年8月、<URL:https://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/techdoc/methane_manual.pdf>[2021年10月20日検索]
図1に示すように、現行の畜糞処理と水稲生産からは、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素、メタンそして一酸化二窒素といった温室効果ガスが排出されており、農業の生産性や経営の効率性を大きく低下させることなく、それぞれのガスの発生量を抑制することが喫緊の課題となっている。
図1の畜産地帯10において、家畜11から排泄された直後の糞は、アンモニア、チオール、短鎖脂肪酸に起因する悪臭を発し、75%~85%の水分を含み嵩張り、運搬効率が悪いため、域内あるいは近隣の牧草地あるいは堆肥化施設12へ運ばれるか、メタン発酵施設あるいは畜糞焼却施設13に運ばれ処理され、未発酵状態の畜糞14が遠隔地に運び出されることはない。
畜産地帯10において、牧草地への散布および堆肥化からは、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素といった温室効果ガス15が、畜糞焼却処理からは、主に二酸化炭素16が発生し、大気中に放出される。
稲作地帯20においては、稲わらやもみ殻といった水稲収穫後残渣、そして蘖、雑草、緑肥作物といった植物体が水田30に残ったままの状態だと、次年度の代かきや田植えの際に機械に絡まり作業に支障をきたし、そして風に吹き寄せられた残渣や植物体が移植直後の水稲苗を引き抜くこともあるため、野焼きされるか細断後に土中にすき込まれる。
野焼きされた水稲収穫後残渣21からは、主に二酸化炭素22が、湛水状態により嫌気条件下にある水田30にすき込まれた水稲収穫後残渣および植物体31からは、主にメタン32が発生し、大気中に放出される。
水稲収穫後残渣を低酸素状態で野焼きした場合は、微生物の分解を受けにくいクン炭、すなわちバイオ炭となり、すき込めば炭素貯留に貢献するが、水田全体に薄く広げてからすき込まないと、局所的にカリウム過剰やpH上昇が発生し水稲の生育に悪影響が及ぶとともに、散布と同時にすき込み作業を進めないと、クン炭が風に飛ばされ周辺の生活環境に悪影響が及ぶ。
水稲栽培期間中の水田30には、用水とともに流れ込んだ有機物、すき込まれず田面に残った稲作収穫後残渣や植物体、そして微生物や小動物の死骸といった未発酵状態の有機物33とともに、表層付近に施用された化成肥料34があり、気温、水温、灌漑水位、有機酸や酸素の濃度、さらには速効性窒素肥料の量によって、発生する温室効果ガスの種類と量は変化する。
未発酵状態の有機物33に含まれる炭素と化成肥料34から供給される速効性窒素との比率が20対1に近づき、かつ気温上昇と好気的条件が揃うと、枯草菌等の好気性微生物の活動が促され、二酸化炭素の発生量が増加する。
また未発酵状態の有機物33が湛水状態の水田で長時間嫌気条件下に置かれ、かつ水温と水中の有機酸濃度が上昇すると、メタン生成古細菌の活動が促され、メタンの発生量が増加する。
さらに化成肥料34や発酵途中の有機物から、水稲や藻類の吸収量を超えたアンモニウムイオンや硝酸イオンが供給され続けると、硝化や脱窒の過程に関わる菌類の活動が促され、一酸化二窒素の発生が増加する。
一方、未発酵状態の有機物33と化成肥料34由来の温室効果ガス35のうち、一部の二酸化炭素36は水稲37や藻類に吸収、固定され、一部のメタンと一酸化二窒素は関係する菌類によって分解されるが、残りの温室効果ガス38は大気中に放出される。
未発酵状態の有機物33の内、水溶性多糖類、低分子窒素化合物、脂質といった易分解性成分は、水稲栽培期間中に好気性微生物によって分解され、難分解性成分が主体となった有機物39は水稲収穫後にすき込まれ、炭素が土壌中に貯留される。
畜糞の焼却や運搬等で使われる化石燃料由来の温室効果ガスについては、説明を簡単にするため省略するが、図1に示す未発酵状態の畜糞14を稲作地帯20に向け運び出すことによって、運び出された畜糞量に相当する温室効果ガス15と二酸化炭素16を、畜産地帯10から削減することができる。
稲作地帯20においては、野焼きされるはずであった水稲収穫後残渣と土中にすき込まれるはずであった水稲収穫後残渣を水田外に運び出すことによって、運び出された水稲収穫後残渣量に相当する二酸化炭素22とメタン32を、稲作地帯20から削減することができる。
そして稲作地帯20に運び込まれた未発酵状態の畜糞14と前作の水稲収穫後残渣を、田植え後の水田表面に施用し、温室効果ガスを発生させる微生物の活動を制御しつつ易分解性有機物の発酵、分解を促し、そこで発生した二酸化炭素の一部は水稲に吸収、固定させ、残った難分解性成分が主体となった有機物39を土中にすき込み炭素を貯留することにより、温室効果ガスを抑制する。
ただし未発酵状態の畜糞を稲作地帯20に移送するには、排泄直後で75%~85%含まれる水分を可能な限り減らし軽量化するとともに、アンモニア等の悪臭を取り除き、大腸菌等の病原菌を死滅させておくことが必要となる。
またアンモニアは悪臭の原因になるだけでなく、速効性窒素肥料成分として一酸化二窒素や二酸化炭素の発生原因となるため、畜産地帯10から稲作地帯20に移送する前に、熱した廃食用油を用いた油熱乾燥によって、畜糞中の水分を蒸発させ軽量化すると同時にアンモニアを揮発させ、殺菌も行う。
さらに本考案が提供する水稲生産用資材は、油熱乾燥によって嵩比重が1以下となり、そして表面に付着した油脂によって撥水性が高まり、長時間水面上に浮遊させておくことが可能になるため、水稲収穫後残渣とともに水田内に流し込みやすい形状となるよう、油熱乾燥処理に先んじて、原料を湾曲した楕円柱の形状に成形する。
水稲生産用資材の原料に関しては、調達コストの低い域内の有機資源を活用する前提で、牛糞、豚糞、鶏糞、馬糞、羊糞から選ばれた一つ又は複数組合せた畜糞を主体に、稲わら、麦稈、トウモロコシ茎葉、乾牧草、刈芝草、木綿くず、牛毛くず、羊毛くず、廃棄羽毛から選ばれた一つ又は複数の動植物繊維の組合せを、幅2mm以下、長さ5mm~50mm、望ましくは10mm~20mmに細断し、10体積%~40体積%を加え混合し、全体の水分含量が40重量%以下になるよう調整する。
もし原料全体の水分含量が40重量%以下にならない場合は、乾燥させた廃菌床、おがくず、竹パウダー、落葉粉砕物、もみ殻クン炭粉、同クン炭灰、畜糞焼却灰から選ばれた一つ又は組合せたものを水分調整資材として加える。
水分調整資材としてもみ殻クン炭粉を用いる場合、400℃~600℃の熱で作成したクン炭であれば、水稲に吸収されやすくなったケイ酸が病虫害軽減効果を発揮し、もみ殻クン炭灰や畜糞焼却灰を用いた場合は、水分調整能は高いものの土壌のpHを上昇させやすい。
十分な量のもみ殻クン炭を準備できる畜産地帯の場合は、まず油熱乾燥に用いる廃食用油の濾過材として使い、次に油分を含んだクン炭を油熱乾燥時の燃料として用い、最後にその灰を水分調整資材として利用すれば、資源の有効活用につながる。
混合原料の成形に関しては、水平方向の長軸半径を6mm~15mm、垂直方向の短軸半径を4mm~13mmとする楕円形の穴を複数個設置した押出口を持ち、この押出口を水平状態から上方に0度~60度まで、任意の角度に傾けることができるスクリュー筒を有したペレット製造機によって行う。
上方向に傾けたスクリュー筒内では、スクリューの回転とともに混合原料内の水分が絞り出され、その水分は重力によって下方に移動し外部に排出され、その一方で押し出された混合原料の先端部は自重によって下を向き、自然に湾曲形状を有するようになる。
押し出された混合原料には、90℃~120℃の熱風を吹きかけ表面を乾燥させ、押し出されたときの形状が保持されるようにするとともに、混合原料が10cm~20cmの長さまで押し出されたところを回転刃によって切断する。
切断された成形物は風通しの良い屋内施設で養生させ、水分含量が25%以下になったところで、150℃~190℃に加熱した廃食用油の中を60秒~150秒間通過させ乾燥させる。
この油熱乾燥によって、一酸化二窒素発生の原因となるアンモニア等の速効性窒素が激減し、悪臭は感じられなくなり、大腸菌等の有害菌も死滅するとともに、輸送中でも簡単に折損しないだけの強度が得られるが、例え途中から折れたとしても、その箇所は原料中の動植物繊維によってつながっているので、本考案が提供する水稲生産用資材として求められる機能に問題は生じない。
油熱乾燥に用いる廃食用油は、事業系で動物性油脂、家庭系で植物性油脂の占める比率が高く、事業系の廃食用油は、まとまった量を調達しやすく、動物性油脂は、水稲生産用資材表面の撥水性を高め浮力に持続性を与え、植物性油脂は、水面に広がる油膜が害虫防除に役立つものの微生物による分解速度が早い。
油熱乾燥後の水稲生産用資材は、図2に示すような、馬蹄形水稲生産用資材斜視図110、同正面図120、同平面図130から鎌形水稲生産用資材斜視図210、同正面図220、同平面図230まで、スクリュー筒の傾斜角度、ならびに原料の混合比率や水分含量によって、湾曲の大きさが異なるものができる。
水田内に流し込んだとき、馬蹄形水稲生産用資材は、水の抵抗を受けて峰部132を先にし、内弧側に水稲収穫後残渣を抱え、後続する同資材に蓋をされる形となって流れ、最後は魚鱗の様になって水面を覆い、鎌形水稲生産用資材は、先端部231か終端部233を先頭にし水稲収穫後残渣をかき分けるように流れ、最後は密状態になって水面を覆う。
油熱乾燥後、水稲生産用資材の表面温度が40℃~50℃に低下したところで、米ぬか、おから、油かす、魚かす、賞味期限切れ食品、乾燥鶏糞から選ばれた一つ又は複数組合せたものを粉砕し、油脂の粘性によって水稲生産用資材110、210の表面に付着させ、有機質肥料111、211とする。
油熱乾燥の過程で失われた速効性窒素肥料成分は、硫安や尿素のような化成肥料で補うことも可能であるが、肥効が緩やかに発現される窒素肥料の方が一酸化二窒素や二酸化炭素の発生を制御しやすく、また化成肥料の原料であるアンモニアは製造過程で大量の化石燃料を消費するとともに、将来的にはアンモニア自体に脱炭素燃料としての需要が見込まれるという理由から、窒素肥料成分は有機質肥料によって補う。
有機質肥料の量は、原料中の畜糞等から速効性窒素肥料成分が供給されないものとした場合、米ぬか70重量%とおから30重量%の混合物で250kg/10a~350kg/10aが必要となるが、全量を水稲生産用資材表面に付着させることができない場合、残りは水田内に同時に流し込む稲わらやもみ殻の表面に廃食用油を噴霧し付着させる。
有機質肥料を未発酵の状態で用いることは、窒素肥料成分の発現が緩やかになり一酸化二窒素の発生が抑えられるというメリット以外に、有機質肥料の選択範囲が広がり食品加工残渣や廃棄食品からの肥料成分回収が可能になるとともに、湛水下の嫌気性発酵の過程で田面を還元状態にしpHを低下させることによってヒエやコナギ等の水田雑草を抑えることができる、といった多様な効果が期待できる。
しかし未発酵状態の有機物は、水中に投入してから数日経過したころから、嫌気性発酵による強い腐敗臭を発するようになるため、住宅地に隣接するような水田では、有機質肥料をボカシ肥にする、施肥を元肥と複数回の追肥に分けて実施する、投入直後から自然減水させ軽い中干しを実施する、といった悪臭対策を検討する必要がある。
本考案が提供する水稲生産用資材を利用することによって、低コスト化と省力化を図りつつ、従来からの生産体系を大きく変えることなく、畜糞処理および水稲生産由来の温室効果ガスに対する排出抑制策を講じることができる。
本考案を実施することによって、畜糞を処理するための牧草地や堆肥化施設を持たない農家であっても、増頭による経営規模の拡大が可能となるとともに、都市化が進行しつつある地域では、畜糞の悪臭問題が軽減されることによって、畜産経営の持続可能性を高めることができる。
本考案が提供する水稲生産用資材の導入は、一酸化二窒素の発生を抑えるため、域内の有機資源を有効利用し化成肥料を使用しないことを前提とすることから、病害虫防除、雑草対策を有機資材で行うことによって、有機栽培に移行し価格プレミアムを追求することができる。
本考案を実施するに当たっては、富栄養化した用水を排出させない畦畔管理と水管理が前提となることから、水田の洪水緩和機能を発揮させる「田んぼダム」のような取り組みへの参加が容易になる。
畜糞処理と水稲生産に由来する温室効果ガス 湾曲した楕円柱の形状を有する水稲生産用資材
本考案が提供する水稲生産用資材は、田植えから5日~10日後、苗の活着を待って水稲収穫後残渣とともに水田内に流し込むが、該当資材が水面上を浮遊したままで、かつ水温が低い状態で、そのためメタン発生の可能性がまだ小さな段階では、水田を湛水状態のまま保持しつつ、窒素肥料成分の損失が少ない嫌気的条件で有機質肥料の発酵を進めるとともに、低温対策や雑草防除を考慮に入れた水位で水管理を行う。
その後は、自然減水によって水稲に肥料成分を吸収させながら、間断灌漑開始後は、嫌気的条件と好気的条件が交互に繰り返されるよう水管理を行い、メタン、一酸化二窒素を抑えつつ、田面上の有機物から発生した二酸化炭素を水稲に吸収、固定させるとともに、次年度になってメタン発酵の原因となり得る易分解性有機物の発酵、分解を促した上で、収穫後に残った難分解性有機物は土中にすき込み、炭素を貯留する。
以下では、本考案が目的とする温室効果ガス排出抑制に加え、有機栽培による食の安全・安心への取り組み、ならびに水田の持つ洪水緩和機能強化に向けた取り組みを同時進行させることによって稲作所得の向上を目指す実施例を、前年度収穫後から時系列的に示すが、その内容は慣行の栽培体系と大きく異なるものではない。
収穫後に発生した稲わらやもみ殻、および蘖や刈り株は、野焼きや土中へのすき込みを行わず、次年度のメタン発生を抑えるため、望ましくは全量を水田外に運び出し屋内に保管する。
もし水稲収穫後残渣の回収が難しい場合は、曝気処理済み牛尿またはメタン消化液400L/10a~800L/10aを水口から灌漑水とともに水田に流し込む、あるいは米ぬかであれば100kg/10a~200kg/10aを水田全面に散布し、その後1回~2回耕起し、有機物の分解を促し次作期のメタン発生を抑制する。
水稲生産用資材の投入から間断灌漑を実施するまでの間、越水や漏水によって富栄養化した水田内の水が河川に流出しないよう、畦畔高を30cm以上確保し、毎年3月~4月に畦塗りを実施するとともに、小動物の開けた穴は見つけ次第即座に塞ぐようにする。
有機質肥料が発する悪臭対策が必要な都市近郊稲作地帯を除き、元肥は施用せず、水稲生産用資材表面に付着させた未発酵の有機質肥料のみを施し、田植えから4週間~5週間後にアンモニア態窒素の水中濃度が最大となるよう、水管理を行う。
慣行栽培に従った田植え密度のままで水田内の二酸化炭素濃度が上昇した場合、水稲が育ちすぎ過繁茂状態になり、病害虫に侵されやすい環境となることから、田植え時の株間と条間を広げるとともに、一株当たりの本数を減らすといった対応が必要となる。
田植えから5日~10日が経過し、苗が活着したことを確認した上で、稲わら、もみ殻といった水稲収穫後残渣と本考案が提供する水稲生産用資材を、灌漑水とともに水口から流し込む。
水稲生産用資材の投入直後から、融点が低い植物性油脂が水面に広がり、その油膜上に落下した昆虫は再び水稲に登れなくなることから、ヒメトビウンカ、イネドロオイムシ、イネミズゾウムシ等の害虫が水田内に侵入する時期まで油膜が分解されず残っているようであれば、害虫防除のために利用する。
水稲生産用資材投入から3週間~4週間後、投入した資材が不定期に沈下を始める前に、自然減水によって軽い田干しを実施し、資材を田面上の泥に固着させ、湛水状態になっても再浮上しないようにするとともに、中干し以降の入排水管理を速やかに行うための溝切りを行う。
中干しは、有効茎数が8割程度確保された時点で実施するが、収穫後残渣のすき込みが少ない水田ではメタンの発生量は少ない(非特許文献3参照)ことから、メタン発生を抑えることを目的にした中干し期間の延長は行わない。
というのも、中干し期間の延長は表層根を湛水状態に弱い根に置き換えてしまうことから、「田んぼダム」等、水田の洪水緩和機能を発揮させる取り組みを行っている水田では、台風襲来等による冠水時に表層根が枯死し、その後のメタン発生源を生み出すことになるとともに、根量の減少にともなって深刻な収量減を招く危険性があるためである。
中干し終了後は間断灌漑に移行し、田面に固着している水稲生産用資材を好気的条件に置きつつ、水溶性多糖類、低分子窒素化合物、脂質といった易分解性有機物の発酵、分解を促し、発生した二酸化炭素は水稲や藻類に吸収、固定させ、残った難分解性有機物は、収穫後土壌中にすき込み炭素貯留を図る。
なお、本考案が提供する水稲生産用資材を長期間連用した場合、原料由来の有機態窒素、カリウム、ナトリウム、カルシウム、亜鉛、銅が土壌中に蓄積することで、水稲の生育に悪影響が及ぶ可能性があるため、定期的に土壌調査を行いつつ状況を把握し、過剰となっている成分を多く含む原料は使わない、水稲生産用資材の湾曲を大きくし単位面積当たりの施用量を減らす、あるいは3年~4年に1度は水稲生産用資材の投入を中止する、といった対応を検討する。
本考案が提供する水稲生産用資材は、域内の未利用資源を活用することで原料の調達コストを抑えつつ製造することができ、かつ浮力を有し作業の省力化が図れることから、高齢化による担い手不足が深刻化する稲作地帯、規模拡大にともなう分散圃場が問題化しつつある稲作地帯、そして資本装備が必ずしも十分ではない開発途上国の稲作地帯へ普及させることが可能である。
本考案が提供する水稲生産用資材を使って栽培されたコメは、環境意識の高い消費者、食の安全・安心を求める消費者、そして水稲生産用資材を導入している稲作地帯の下流域に暮らす消費者の需要を喚起し、価格プレミアムも形成されやすく、かつ行政からの支援策も受けやすいことから、生産者は所得確保に不安を抱くことなく、水稲生産用資材の導入に踏み切ることができる。
10 畜産地帯
11 家畜
12 牧草地あるいは堆肥化施設
13 メタン発酵施設あるいは畜糞焼却施設
14 未発酵状態の畜糞
15 温室効果ガス
16 二酸化炭素
20 稲作地帯
21 野焼きされた水稲収穫後残渣
22 二酸化炭素
30 水田
31 すき込まれた水稲収穫後残渣および植物体
32 メタン
33 未発酵状態の有機物
34 化成肥料
35 温室効果ガス
36 二酸化炭素
37 水稲
38 温室効果ガス
39 難分解性成分が主体となった有機物
110 馬蹄形水稲生産用資材の斜視図
111 有機質肥料
120 馬蹄形水稲生産用資材の正面図
130 馬蹄形水稲生産用資材の平面図
131 先端部
132 峰部
133 終端部
210 鎌形水稲生産用資材の斜視図
211 有機質肥料
220 鎌形水稲生産用資材の正面図
230 鎌形水稲生産用資材の平面図
231 先端部
232 峰部
233 終端部

Claims (4)

  1. 田植え後の水田に水稲収穫後残渣とともに流し込み、田面上で微生物の活動を制御しつつ有機物を発酵、分解させることによって、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素といった温室効果ガスの排出を抑制する、湾曲した楕円柱の形状を有する水稲生産用資材。
  2. 畜糞処理の過程で排出される温室効果ガスを削減するため、未発酵状態の畜糞を主たる原料とし、さらに動植物繊維を副原料に加え、乾燥後は嵩比重1以下となって水面に浮揚するよう製造された、請求項1記載の湾曲形状を特徴とする水稲生産用資材。
  3. 油熱乾燥により、一酸化二窒素の発生原因となる速効性窒素が減少するとともに、撥水性が高まり長時間水面上を浮遊させることができ、かつ輸送中の折損が起こりにくい強度を有するようになった、請求項1記載の湾曲形状を特徴とする水稲生産用資材。
  4. 窒素の肥効を緩やかにしつつ一酸化二窒素の排出を抑制するため、食品加工残渣、廃棄食品、乾燥鶏糞の粉砕物から選ばれた一つ又は複数組合せた有機質肥料を、油脂によって表面に付着させた、請求項1記載の湾曲形状を特徴とする水稲生産用資材。
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